JPH0525584Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はミシンの上糸糸案内に関する。

（従来の技術と問題点） ミシンに装着された糸コマから引き出された上
糸は、設定された糸道に従つて糸案内及び上糸調
子器に糸かけをして天秤を経て針穴に導かれて上
糸糸通しが行なわれる。この糸通し作業におい
て、装着された糸コマから引出された上糸には引
出す場合の抵抗の差が出ない様に引出し位置が配
慮されており、張力を持たない状態で最初の糸案
内に引出されている。

一方、糸案内や糸案内につづく上糸経路の糸調
子器では、押え上げ作用によつて押圧力を軽減さ
れた一対の糸調子皿の間に上糸を案内する必要が
あり、それらの極少のバネ圧に抗して糸を確実に
必要な所へ導くためにはある程度の張力が必要で
あつて前記糸案内にプリテンシヨンが設けられて
おり、このプリテンシヨンへの糸通かけにおいて
従来の糸引出しが無張力の場合糸コマ側の上糸を
手で押えて上糸の他の端を保持して糸かけを行な
うなど両手を使う必要がある。このため糸かけし
ようとする上糸糸案内等は目で確認するために又
糸かけを行なうために他の部分より突出する必要
もあつた。

（問題点を解決するための手段） これに対し本考案では糸コマから無張力で引出
された上糸を案内する上糸糸案内において、無張
力な上糸を案内するためプリテンシヨンの係合軸
と糸調子器の係合軸を結ぶ延長線よりも低い位置
に設けた取付面上に上糸案内板を設け、該上糸案
内板の下面と上糸案内板の取付面との間に上糸を
誘導可能なスキマを設ける如く構成した。

（作用） 糸コマから無張力で引出した上糸を前記取付面
と上糸案内板との間に設けたスキマにより誘導し
て位置決めし、つづくプリテンシヨンへの糸かけ
に対しては前記上糸案内板と次の糸調子軸とを結
ぶ線よりもプリテンシヨンの位置が高い位置に位
置されていることから糸通しに対し上糸案内板の
上方への押し上げ作用が生じこれに対して前記上
糸案内板を下方に押し下げるバネにより抵抗を付
与されてプリテンシヨンへ糸かけされる。

（実施例） 次に本考案の実施例を図面により詳細に説明す
る。第５図は本考案の上糸糸案内を装着したミシ
ンの外観図であつて、ミシン機枠１の上部の天板
２を開けた状態であり、該天板の下に中天板３が
前記ミシン機枠１に固着されている。

前記中天板３に上糸糸案内が装着されている。
その装着状態を第１から第４図により説明する。

前記中天板３に糸コマ４の穴部に挿通する糸コ
マ軸５が装着されており、該糸コマ軸より上方に
台板６が前記中天板３に装着されている。該中天
板に糸案内２４が固着されている。６は前記上糸
糸案内の台板であり、該台板にはバネ保持ピン７
が一体的に固着されており、該バネ保持ピンより
も糸通過位置側に糸案内ピン８が前記台板６に同
じく一体的に固着している。

９は前記バネ保持ピン７に嵌装するスペーサで
あり、その上方に前記バネ保持ピン７と前記糸案
内ピンに嵌装する穴部１０ａ，１０ｂを備え、先
端に糸を案内するための糸案内部１０ｃを備えた
糸案内板１０が載置されている。前記バネ保持ピ
ン７の軸端側に設けた溝にＥリング１１が係合し
ており、前記糸案内板１０と前記Ｅリング１１と
の間にバネ１２が配置されて前記バネ保持ピン７
に嵌装している。前記バネ１２のバネ圧により常
には前記糸案内板１０は前記スペーサ９側に押圧
されている。したがつて前記糸案内板１０の下面
は前記スペーサ９の厚さ分だけ前記台板６との間
にスキマｔを有している。該台板の立上り部６ｅ
は前記中天板３に固着のカバー１３の上方で取付
け部６ａと平行に折り曲げられて前記糸コマ４よ
りの上糸を案内する糸案内部６ｂを形成してお
り、該糸案内部から前記立上り部６ｅにかけて糸
案内面６ｃを形成しており、該糸案内面と台板取
付部６ａとの接合部６ｄの位置は第１図に示す如
くであつて、前記糸コマ軸５に装着した前記糸コ
マ４を前記コマ軸４に係着して保持する糸コマ押
え１４の外径線と前記接合部６ｄとを結ぶ二点鎖
線で示すＬ１に対し前記糸案内ピン８の外径が外
側に位置する如く配置されている。

前記台板６の立上り部６ｅの側面に固着の段ピ
ン１５の軸部にプリテンシヨン位板１６が嵌装し
ており、前記段ピン１５の軸端側に設けた円周溝
に係着するＥリング１７との間にバネ１８が前記
段ピン１５に嵌装して配置されており、前記バネ
１８の付勢により前記プリテンシヨン板１６を常
には前記台板６の立上り部６ｅの側面に押圧して
いる。１９は公知の糸調子器であつて、前記ミシ
ン機枠に固着の糸調子軸２０に嵌装する一対の糸
調子皿２１及び２２をバネ手段（図示せず）が押
圧しており、前記糸調子皿２１及び２２の間に挟
持圧を発生している。なおこの間の挟持圧は公知
の押え上げ（図示せず）の押え上げ操作により解
放される如く構成されており上糸の糸かけを容易
化している。

前記台板６の取付部６ａ上面と前記プリテンシ
ヨン２３の段ピン１５と前記上糸調子器の糸調子
軸２０との位置関係は第４図に示す如くであつ
て、前記段ピン１５と前記糸調子軸２０とを結ぶ
糸道線の延長線よりも下側に前記台板６の台取付
部６ａ上面が位置している。

以上の如く構成された上糸の糸道経路への糸か
けは次の如く行われる。前記糸コマ４から無張力
状態で引出された上糸は前記カバー１３に設けた
糸ガイド溝により案内されて、前記台板６の糸案
内部６ｂに係合し、前記立上り部６ｅに平行に導
かれて前記プリテンシヨン２３上を前記上糸調子
器１９の一対の糸調子皿２１及び２２の間に導か
れる。前記台板６の糸案内面６ｃに沿つて誘導さ
れる上糸は前記糸案内板１０の糸案内部１０ｃに
係合して導かれ、前記台板６の取付部６ａ上面と
前記糸案内板１０の糸案内部下面との間には前記
スペーサ９により保持される糸案内のためのスキ
マｔがあり、前記糸コマ押え１４の外周と前記台
板６の接合部６ｄとを結ぶ線よりも外側に前記糸
案内ピン８が位置していることから、前記糸コマ
４から無張力で引出された上糸は前記糸案内板１
０の下面に誘導されて第１図実線の位置となる。

該糸案内板の下面に誘導された上糸を第４図に
示す如く、前記糸調子器１９側へ引くことにより
前記プリテンシヨン板１６を軸端側へ押し出すこ
とに抗するバネ１８の圧力と、前記糸案内板１０
を押し上げることに抗する前記バネ１２の圧力と
の差により前記プリテンシヨン板１６が軸端方向
に移動して前記台板６の立上り部側面との間へ上
糸が侵入し前記段ピン１５に係合する。

（考案の効果） 以上の如く本考案によれば無張力で引出される
糸コマからの上糸を糸調子器の前に設けられたプ
リテンシヨンに対し、糸の誘導とプリテンシヨン
への糸かけ時の初期抵抗の付与とを行える上糸案
内であつて、プリテンシヨンへの糸かけに糸コマ
側の上糸を押える必要がなく、なめらかな一連の
動作により糸かけ出来る。更に糸かけ後において
は上糸に不必要に押圧することがないので縫い調
子の安定に対しても有効である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例に係り、第１図は本考案
の上糸糸案内を装着した状態を示すミシンの中天
板部分の上面図、第２図は糸コマ側より見た上糸
糸案内の取付け説明図、第３図は第１図中の−
断面図、第４図は第１図中Ａ矢方向から見た上
糸糸案内の説明図、第５図は本考案の上糸糸案内
を装着したミシンの外観図であり、４は糸コマ、
１９は上糸調子器、２３はプリテンシヨン、２４
は上糸糸案内である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ミシンの上糸を保持する糸コマと上糸調子器と
   の間に配置され上糸に小張力を付与する上糸糸案
   内であつて、該上糸糸案内のプリテンシヨン位置
   と上糸調子器とを結ぶ糸経路の延長線より下方に
   配置された上糸糸案内の取付面に糸を誘導可能な
   スキマを備えてバネにより取付面に付勢される糸
   案内板を備えてなるミシンの上糸糸案内。