JPH05255732A - 金型用鋼材料の製造方法 - Google Patents
金型用鋼材料の製造方法Info
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- JPH05255732A JPH05255732A JP5295992A JP5295992A JPH05255732A JP H05255732 A JPH05255732 A JP H05255732A JP 5295992 A JP5295992 A JP 5295992A JP 5295992 A JP5295992 A JP 5295992A JP H05255732 A JPH05255732 A JP H05255732A
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- steel
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は硬化後の良好な靭性を得るために鋼
成分と熱処理を特定することによって、これを実現しう
るものであって、充分な硬度と高い靭性を有する金型用
鋼材料を提供する。 【構成】 重量比で、C;0.12〜0.18%、S
i;0.5%以下、Mn;0.1〜1.0%、Cr;
1.0〜3.0%、Mo;0.1〜0.6%、Ni;
2.0〜4.5%、Cu;0.5〜1.0%、V;0.
2〜0.5%、Al;0.3〜0.7%を含有し、残部
Fe及び不可避的な不純物よりなる鋼を、900℃〜1
050℃で加熱してから強制冷却し、500℃〜600
℃で焼鈍して後硬さがHRC35〜45の範囲にあるこ
とを特徴とする金型用鋼材料の製造方法。
成分と熱処理を特定することによって、これを実現しう
るものであって、充分な硬度と高い靭性を有する金型用
鋼材料を提供する。 【構成】 重量比で、C;0.12〜0.18%、S
i;0.5%以下、Mn;0.1〜1.0%、Cr;
1.0〜3.0%、Mo;0.1〜0.6%、Ni;
2.0〜4.5%、Cu;0.5〜1.0%、V;0.
2〜0.5%、Al;0.3〜0.7%を含有し、残部
Fe及び不可避的な不純物よりなる鋼を、900℃〜1
050℃で加熱してから強制冷却し、500℃〜600
℃で焼鈍して後硬さがHRC35〜45の範囲にあるこ
とを特徴とする金型用鋼材料の製造方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主としてプラスチック成
型用金型などの切削性、耐ヒートチェック性、靭性、耐
摩耗性、などの特性が必要とされる鋼製金型に使用され
る鉄鋼材料の製造方法に関する。
型用金型などの切削性、耐ヒートチェック性、靭性、耐
摩耗性、などの特性が必要とされる鋼製金型に使用され
る鉄鋼材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、プラスチック金型などの材料
には耐摩耗性を向上させるため硬さを上昇させることが
行われているが、その手段としてはJIS G 405
1機械構造用炭素鋼−S50C,S55CやJIS G
4105クロムモリブデン鋼鋼材−SCM440系
鋼、JIS G 4404合金工具鋼鋼材−SKD61
などのように炭素量を増加し、又はCr,Moの添加や
W,Vなどの添加によって焼入性の向上や、固溶硬化又
は炭化物の析出硬化を狙ったものなどが見受けられる
が、これらは焼入焼戻しなどの硬化処理をした後の靭性
が低く、金型として使用中にヒートチェックによる割れ
が出て、寿命が短いなどの欠点がある。
には耐摩耗性を向上させるため硬さを上昇させることが
行われているが、その手段としてはJIS G 405
1機械構造用炭素鋼−S50C,S55CやJIS G
4105クロムモリブデン鋼鋼材−SCM440系
鋼、JIS G 4404合金工具鋼鋼材−SKD61
などのように炭素量を増加し、又はCr,Moの添加や
W,Vなどの添加によって焼入性の向上や、固溶硬化又
は炭化物の析出硬化を狙ったものなどが見受けられる
が、これらは焼入焼戻しなどの硬化処理をした後の靭性
が低く、金型として使用中にヒートチェックによる割れ
が出て、寿命が短いなどの欠点がある。
【0003】これを防止するため、最近例えば特開昭5
8−221262号公報に示される如くC量を低めAl
を大量に添加し、AlとNiの金属間化合物を析出せし
めることによって硬さを上昇させる金型用鋼や、Cuを
多量に添加してその析出硬化を利用するものなどが提案
されている。しかし、この種の鋼は総じて硬化後の切欠
靭性が低く、2mmUノッチシャルピー試験で20℃でせ
いぜい2kgf-m 程度のものであり、場合によっては0.
5〜1.0kgf-m のものとなっており、精密な金型加工
を行って使用する場合の熱応力によって割れが発生する
危険性が大きいという問題がある。
8−221262号公報に示される如くC量を低めAl
を大量に添加し、AlとNiの金属間化合物を析出せし
めることによって硬さを上昇させる金型用鋼や、Cuを
多量に添加してその析出硬化を利用するものなどが提案
されている。しかし、この種の鋼は総じて硬化後の切欠
靭性が低く、2mmUノッチシャルピー試験で20℃でせ
いぜい2kgf-m 程度のものであり、場合によっては0.
5〜1.0kgf-m のものとなっており、精密な金型加工
を行って使用する場合の熱応力によって割れが発生する
危険性が大きいという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述したよう
な従来の問題点を解消しようとするものであって、硬化
後の靭性を最重点にして鋼成分の特定と、その特徴を発
揮せしめる熱処理を施すことによって充分な硬度と高い
靭性を実現せしめる金型用の鋼材料を提供することを目
的とする。
な従来の問題点を解消しようとするものであって、硬化
後の靭性を最重点にして鋼成分の特定と、その特徴を発
揮せしめる熱処理を施すことによって充分な硬度と高い
靭性を実現せしめる金型用の鋼材料を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目標の達成のために
本発明の金型用鋼材料の製造法は、重量比で、C;0.
12〜0.18%、Si;0.5%以下、Mn;0.1
〜1.0%、Cr;1.0〜3.0%、Mo;0.1〜
0.6%、Ni;2.0〜4.5%、Cu;0.5〜
1.0%、V;0.2〜0.5%、Al;0.3〜0.
7%、を含み残部がFe及び不可避的不純物より成る鋼
を、900℃〜1050℃の温度に加熱後強制冷却を行
い、さらに500℃〜600℃の温度範囲で焼鈍して硬
さをHRC35〜45を確保することを特徴とするもの
である。
本発明の金型用鋼材料の製造法は、重量比で、C;0.
12〜0.18%、Si;0.5%以下、Mn;0.1
〜1.0%、Cr;1.0〜3.0%、Mo;0.1〜
0.6%、Ni;2.0〜4.5%、Cu;0.5〜
1.0%、V;0.2〜0.5%、Al;0.3〜0.
7%、を含み残部がFe及び不可避的不純物より成る鋼
を、900℃〜1050℃の温度に加熱後強制冷却を行
い、さらに500℃〜600℃の温度範囲で焼鈍して硬
さをHRC35〜45を確保することを特徴とするもの
である。
【0006】以下本発明を更に詳細に説明する。本発明
は前述のように従来の金型用鋼の欠点を補うため、C量
を下げて組織全体の靭性を先ず基本的に向上せしめ、強
制冷却後の硬さの不足分を、合金成分のそれぞれの最適
な組み合わせ配合によって析出する炭化物及び金属間化
合物の析出温度範囲を広くとり、しかも比較的高い温度
に迄拡大することによって残留応力を少なくし、靭性と
耐ヒートチェック性を向上せしめたものである。
は前述のように従来の金型用鋼の欠点を補うため、C量
を下げて組織全体の靭性を先ず基本的に向上せしめ、強
制冷却後の硬さの不足分を、合金成分のそれぞれの最適
な組み合わせ配合によって析出する炭化物及び金属間化
合物の析出温度範囲を広くとり、しかも比較的高い温度
に迄拡大することによって残留応力を少なくし、靭性と
耐ヒートチェック性を向上せしめたものである。
【0007】これらの特性を実現するための手段とし
て、合金成分の持つ役割りを定量化し、更にこれらの限
定範囲内で、最も特性を発揮可能な熱処理条件を限定し
た。
て、合金成分の持つ役割りを定量化し、更にこれらの限
定範囲内で、最も特性を発揮可能な熱処理条件を限定し
た。
【0008】すなわち、本発明は重量比で、C;0.1
2〜0.18%、Si;0.5%以下、Mn;0.1〜
1.0%、Cr;1.0〜3.0%、Mo;0.1〜
0.6%、Ni;2.0〜4.5%、Cu;0.5〜
1.0%、V;0.2〜0.5%、Al;0.3〜0.
7%、を含有し、残りFe及び不可避的な不純物より成
る化学成分を有する鋼を900℃〜1050℃で加熱後
強制冷却を行い、続いて500℃〜600℃で焼鈍を行
うことによって硬さをHRC35〜45の範囲に調整
し、これによって靭性が良好で、耐ヒートチェック性が
良く、尚且つ溶接性、シボ加工性なども良好な金型用鋼
材料を得ることができる。
2〜0.18%、Si;0.5%以下、Mn;0.1〜
1.0%、Cr;1.0〜3.0%、Mo;0.1〜
0.6%、Ni;2.0〜4.5%、Cu;0.5〜
1.0%、V;0.2〜0.5%、Al;0.3〜0.
7%、を含有し、残りFe及び不可避的な不純物より成
る化学成分を有する鋼を900℃〜1050℃で加熱後
強制冷却を行い、続いて500℃〜600℃で焼鈍を行
うことによって硬さをHRC35〜45の範囲に調整
し、これによって靭性が良好で、耐ヒートチェック性が
良く、尚且つ溶接性、シボ加工性なども良好な金型用鋼
材料を得ることができる。
【0009】次に、本発明鋼の構成成分および熱処理条
件の限定理由を詳細に説明する。Cは、加熱後強制冷却
によって、焼入性を高め、組織を焼入組織とし強制冷却
後の硬さを上昇させる効果並びにCr,Mo,Vなどと
炭化物を形成し、焼鈍時の析出による硬化に寄与する
が、従来材のように多量に添加すると強制冷却後の組織
が高炭素マルテンサイトになって靭性に乏しく、又焼き
割れを生じる可能性がある。Cの上限を0.18%とし
たのはそのためである。しかし、強制冷却後の硬さがあ
まり低い場合はその後の焼鈍による析出硬化を惹起せし
めても硬さの向上に制約があり所定の硬さが得られな
い。従って下限を0.12%とした。
件の限定理由を詳細に説明する。Cは、加熱後強制冷却
によって、焼入性を高め、組織を焼入組織とし強制冷却
後の硬さを上昇させる効果並びにCr,Mo,Vなどと
炭化物を形成し、焼鈍時の析出による硬化に寄与する
が、従来材のように多量に添加すると強制冷却後の組織
が高炭素マルテンサイトになって靭性に乏しく、又焼き
割れを生じる可能性がある。Cの上限を0.18%とし
たのはそのためである。しかし、強制冷却後の硬さがあ
まり低い場合はその後の焼鈍による析出硬化を惹起せし
めても硬さの向上に制約があり所定の硬さが得られな
い。従って下限を0.12%とした。
【0010】Siは固溶することによりマトリックスの
硬さを上げるが多量に添加すると靭性を著しく低下せし
めるため上限のみを限定し、0.5%とした。
硬さを上げるが多量に添加すると靭性を著しく低下せし
めるため上限のみを限定し、0.5%とした。
【0011】Mnは焼入性を向上させ強制冷却時にC,
Cr,Mo,Niなどと同様に硬さを上昇せしめるが、
他の元素の含有量との相関で0.1〜1.0%とした。
下限の0.1%は主として溶製上の問題からの限定で、
これより低い添加量ではコストアップになる可能性が大
きい。上限を1.0%としたのはCu,V,Mo,A
l,Niによる炭化物或いは金属間化合物による析出硬
化によって硬化する場合のバランス上限定したもので、
これ以上の添加では焼鈍後の硬さがHRC45を超える
可能性があるからである。
Cr,Mo,Niなどと同様に硬さを上昇せしめるが、
他の元素の含有量との相関で0.1〜1.0%とした。
下限の0.1%は主として溶製上の問題からの限定で、
これより低い添加量ではコストアップになる可能性が大
きい。上限を1.0%としたのはCu,V,Mo,A
l,Niによる炭化物或いは金属間化合物による析出硬
化によって硬化する場合のバランス上限定したもので、
これ以上の添加では焼鈍後の硬さがHRC45を超える
可能性があるからである。
【0012】Crは焼入性を向上させる元素で、本発明
の用途であるプラスチック金型などは、プラスチック成
品のサイズにより厚みの大きなものが必要であり、強制
冷却後厚みの中心迄充分な初期硬さを得るには少なくと
も1.0%は必要である。しかし多量に添加すると溶接
性や靭性を劣化させる危険性が高く、その意味で上限を
3%とした。
の用途であるプラスチック金型などは、プラスチック成
品のサイズにより厚みの大きなものが必要であり、強制
冷却後厚みの中心迄充分な初期硬さを得るには少なくと
も1.0%は必要である。しかし多量に添加すると溶接
性や靭性を劣化させる危険性が高く、その意味で上限を
3%とした。
【0013】Moは本発明では固溶化によるマトリック
スの硬さ向上のためと、焼鈍時の炭化物の析出による硬
化目的、更にはCr添加を行っているため発生する焼戻
し脆化の防止の目的から添加するが、下限の0.1%は
以上の目的達成のための下限量であり、上限の0.6%
はこれ以上添加しても効果が飽和するのみでコスト上昇
などの逆効果につながるからである。
スの硬さ向上のためと、焼鈍時の炭化物の析出による硬
化目的、更にはCr添加を行っているため発生する焼戻
し脆化の防止の目的から添加するが、下限の0.1%は
以上の目的達成のための下限量であり、上限の0.6%
はこれ以上添加しても効果が飽和するのみでコスト上昇
などの逆効果につながるからである。
【0014】Niは本発明の重要元素であってAlと金
属間化合物(Ni3 Alなど)を作り、焼鈍時に析出し
て析出硬化を起こさしめる元素であるが、Al添加量と
の原子比つまりAlの下限量0.3%に見合うNi量を
2.0%を下限として規制し、Alの上限量0.7%に
見合うNi量4.5%を上限とした。
属間化合物(Ni3 Alなど)を作り、焼鈍時に析出し
て析出硬化を起こさしめる元素であるが、Al添加量と
の原子比つまりAlの下限量0.3%に見合うNi量を
2.0%を下限として規制し、Alの上限量0.7%に
見合うNi量4.5%を上限とした。
【0015】Cuは固溶限界を超えるとε−Cuとして
析出し析出硬化現象をもたらす。下限の0.5%は、こ
の析出硬化の顕著になる量であり、又添加し過ぎると赤
熱脆性などを起こして熱間加工中に粒界割れの原因とな
るため上限を1%と限定した。
析出し析出硬化現象をもたらす。下限の0.5%は、こ
の析出硬化の顕著になる量であり、又添加し過ぎると赤
熱脆性などを起こして熱間加工中に粒界割れの原因とな
るため上限を1%と限定した。
【0016】VはCと結びついて炭化物を生ぜしめ焼鈍
時にこの析出による硬化現象を生ぜしめる。下限を0.
2%としたのは焼戻し温度の比較的高い540℃〜60
0℃程度の温度範囲での析出硬化を狙ったもので、HR
C35〜45を確保するために必要とするからである。
しかし添加量が多くなると靭性を損なう恐れがあり、そ
のために上限を0.5%とした。
時にこの析出による硬化現象を生ぜしめる。下限を0.
2%としたのは焼戻し温度の比較的高い540℃〜60
0℃程度の温度範囲での析出硬化を狙ったもので、HR
C35〜45を確保するために必要とするからである。
しかし添加量が多くなると靭性を損なう恐れがあり、そ
のために上限を0.5%とした。
【0017】AlはNiと共に本発明の重要元素であ
り、Niと結合してNi−Alの金属間化合物を作り、
析出硬化を著しく発効させるが、析出量が多過ぎると著
しく靭性を低下せしめる。前述のように焼鈍温度を高め
にして低炭素焼戻しマルテンサイト又はベイナイトの靭
性を利用するためAlの上限を低めに規制することによ
ってNi−Alの析出量を制限し、他の元素の炭化物な
どとのバランスを保つ方が好ましい。従って、Alの上
限を0.7%とした。下限の0.3%は500℃〜60
0℃の焼鈍によって所定の硬さを確保するための必要量
である。
り、Niと結合してNi−Alの金属間化合物を作り、
析出硬化を著しく発効させるが、析出量が多過ぎると著
しく靭性を低下せしめる。前述のように焼鈍温度を高め
にして低炭素焼戻しマルテンサイト又はベイナイトの靭
性を利用するためAlの上限を低めに規制することによ
ってNi−Alの析出量を制限し、他の元素の炭化物な
どとのバランスを保つ方が好ましい。従って、Alの上
限を0.7%とした。下限の0.3%は500℃〜60
0℃の焼鈍によって所定の硬さを確保するための必要量
である。
【0018】その他P,Sなどの不純物元素は特に限定
しないが、高硬度の金型材料としては靭性を損なう可能
性が大きい故に、又特にSはMnSなどの介在物を形成
し、シボ加工性、鏡面性など金型としての必要特性を損
なうためできるだけ少なくするのがよい。
しないが、高硬度の金型材料としては靭性を損なう可能
性が大きい故に、又特にSはMnSなどの介在物を形成
し、シボ加工性、鏡面性など金型としての必要特性を損
なうためできるだけ少なくするのがよい。
【0019】溶製はエルー式電気炉、転炉など通常の溶
製炉を使用するが、その後の特殊精錬炉の使用などは特
に限定しない。
製炉を使用するが、その後の特殊精錬炉の使用などは特
に限定しない。
【0020】次に熱処理条件の限定理由について述べ
る。本発明は前述のように金型として必要な諸特性の中
でも特に靭性を最重点特性としたもので、基本的にC量
を低減し、Cr,Mo,Niなどの焼入性向上元素の添
加により、900℃〜1050℃に加熱、強制冷却後一
旦、低炭素マルテンサイト及び、又は低炭素ベイナイト
組織となし、続いて500℃〜600℃の焼鈍により、
Cr,Mo,Vなどの炭化物、Ni−Al金属間化合
物、ε−Cuなどの析出による硬化と低炭素マルテンサ
イト及び/又は低炭素ベイナイトの焼戻しによる強靭化
を同時に図ったものであって、これらの強化、強靭化メ
カニズムを構成するために所定のサイズに熱間加工後9
00℃〜1050℃に一旦加熱して後強制冷却を施こ
し、引続いて500℃〜600℃の温度で焼鈍するもの
である。
る。本発明は前述のように金型として必要な諸特性の中
でも特に靭性を最重点特性としたもので、基本的にC量
を低減し、Cr,Mo,Niなどの焼入性向上元素の添
加により、900℃〜1050℃に加熱、強制冷却後一
旦、低炭素マルテンサイト及び、又は低炭素ベイナイト
組織となし、続いて500℃〜600℃の焼鈍により、
Cr,Mo,Vなどの炭化物、Ni−Al金属間化合
物、ε−Cuなどの析出による硬化と低炭素マルテンサ
イト及び/又は低炭素ベイナイトの焼戻しによる強靭化
を同時に図ったものであって、これらの強化、強靭化メ
カニズムを構成するために所定のサイズに熱間加工後9
00℃〜1050℃に一旦加熱して後強制冷却を施こ
し、引続いて500℃〜600℃の温度で焼鈍するもの
である。
【0021】強制冷却前の加熱を900℃〜1050℃
の範囲とした理由は、熱間加工又はその後の冷却時に析
出する炭化物、金属間化合物などをオーステナイト中に
溶解するためであり、下限の900℃はそれらの固溶温
度からみて決めたものであり、上限を1050℃とした
のはこれ以上加熱するとオーステナイト粒の増大により
靭性の劣化を招くからである。加熱時間は特に限定しな
いが通常の工業炉で所定の大きさのものが限定された温
度範囲に入るように管理された加熱条件をとることが好
ましい。
の範囲とした理由は、熱間加工又はその後の冷却時に析
出する炭化物、金属間化合物などをオーステナイト中に
溶解するためであり、下限の900℃はそれらの固溶温
度からみて決めたものであり、上限を1050℃とした
のはこれ以上加熱するとオーステナイト粒の増大により
靭性の劣化を招くからである。加熱時間は特に限定しな
いが通常の工業炉で所定の大きさのものが限定された温
度範囲に入るように管理された加熱条件をとることが好
ましい。
【0022】以上の温度に加熱した後強制冷却を施こす
が、強制冷却とは水冷、油冷、ミスト冷却、衝風冷却な
どを指し、熱処理する材料のサイズに応じて適当に選択
すればよい。要は冷却後の材料組織がマルテンサイト及
び/又はベイナイトになることが必要であるため水冷又
は油冷が好ましい。
が、強制冷却とは水冷、油冷、ミスト冷却、衝風冷却な
どを指し、熱処理する材料のサイズに応じて適当に選択
すればよい。要は冷却後の材料組織がマルテンサイト及
び/又はベイナイトになることが必要であるため水冷又
は油冷が好ましい。
【0023】次に引続いて500℃〜600℃での焼鈍
を行うが、下限を500℃と規定したのは、500℃未
満だと充分な炭化物、金属間化合物、ε−Cuなどの析
出が起らず所定の硬さが得られないためであり、上限を
600℃に決めたのは析出による時効硬化が所謂過時効
となって硬さの低下を招くからである。最も好ましい温
度は520℃〜570℃であり、これにより靭性の向上
と硬さの確保を同時に行うのに適する。
を行うが、下限を500℃と規定したのは、500℃未
満だと充分な炭化物、金属間化合物、ε−Cuなどの析
出が起らず所定の硬さが得られないためであり、上限を
600℃に決めたのは析出による時効硬化が所謂過時効
となって硬さの低下を招くからである。最も好ましい温
度は520℃〜570℃であり、これにより靭性の向上
と硬さの確保を同時に行うのに適する。
【0024】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に
説明する。表1に示す化学組成の供試鋼を溶製し、鍛造
後一旦常温迄冷却し、所定の温度に加熱後油冷した。続
いて500℃〜620℃の各温度で焼鈍を行い硬さ試験
と2mmUシャルピー衝撃試験を行った。表2にその結果
を示す。
説明する。表1に示す化学組成の供試鋼を溶製し、鍛造
後一旦常温迄冷却し、所定の温度に加熱後油冷した。続
いて500℃〜620℃の各温度で焼鈍を行い硬さ試験
と2mmUシャルピー衝撃試験を行った。表2にその結果
を示す。
【0025】これらから明らかなように本発明鋼1〜7
は500℃〜600℃の各焼鈍温度において充分な硬さ
と最高硬さ(HRC)時点での高い衝撃値を示すのに対
して比較鋼1〜5は500℃〜600℃の広い焼鈍温度
範囲において一様な高硬度を確保できていないか、衝撃
値が劣る結果を示し、本発明の目的とする材料が得られ
ないことがわかる。
は500℃〜600℃の各焼鈍温度において充分な硬さ
と最高硬さ(HRC)時点での高い衝撃値を示すのに対
して比較鋼1〜5は500℃〜600℃の広い焼鈍温度
範囲において一様な高硬度を確保できていないか、衝撃
値が劣る結果を示し、本発明の目的とする材料が得られ
ないことがわかる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】以上のように本発明によれば鋼成分と熱
処理を特定することにより、硬さをHRC35〜45の
範囲に保持し、しかも靭性が良好であり、さらに耐ヒー
トチェック性や溶接性及びシボ加工性などの諸特性が良
好である金型用鋼材料を製造できる。
処理を特定することにより、硬さをHRC35〜45の
範囲に保持し、しかも靭性が良好であり、さらに耐ヒー
トチェック性や溶接性及びシボ加工性などの諸特性が良
好である金型用鋼材料を製造できる。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量比で、 C ;0.12〜0.18%、 Si;0.5%以下、 Mn;0.1〜1.0%、 Cr;1.0〜3.0%、 Mo;0.1〜0.6%、 Ni;2.0〜4.5%、 Cu;0.5〜1.0%、 V ;0.2〜0.5%、 Al;0.3〜0.7% を含有し、残部Fe及び不可避的な不純物よりなる鋼
を、900℃〜1050℃で加熱してから強制冷却し、
500℃〜600℃で焼鈍して後硬さがHRC35〜4
5の範囲にあることを特徴とする金型用鋼材料の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5295992A JPH05255732A (ja) | 1992-03-11 | 1992-03-11 | 金型用鋼材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5295992A JPH05255732A (ja) | 1992-03-11 | 1992-03-11 | 金型用鋼材料の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05255732A true JPH05255732A (ja) | 1993-10-05 |
Family
ID=12929433
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5295992A Pending JPH05255732A (ja) | 1992-03-11 | 1992-03-11 | 金型用鋼材料の製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JPH05255732A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013023708A (ja) * | 2011-07-19 | 2013-02-04 | Daido Steel Co Ltd | プラスチック成形金型用プリハードン鋼 |
CN105018852A (zh) * | 2015-07-13 | 2015-11-04 | 江苏曜曜铸业有限公司 | 一种用于减速机箱体模具的合金 |
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1992
- 1992-03-11 JP JP5295992A patent/JPH05255732A/ja active Pending
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