JPH0524708U - 応力制限要素を備えた構造部材用接合装置 - Google Patents

応力制限要素を備えた構造部材用接合装置

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JPH0524708U
JPH0524708U JP8234891U JP8234891U JPH0524708U JP H0524708 U JPH0524708 U JP H0524708U JP 8234891 U JP8234891 U JP 8234891U JP 8234891 U JP8234891 U JP 8234891U JP H0524708 U JPH0524708 U JP H0524708U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トラス用構造部材が軸方向の圧縮力を受ける
とき、構造部材に複雑かつコスト高となる加工を施すこ
となく、節点部材間で大きい塑性変形を起こさせること
ができるようにすること。 【構成】 構造部材1を節点部材2に結合するための接
合装置3に採用されたスリーブ体5に、構造部材1の座
屈耐力より小さい外力、塑略軸対称塑性座屈するに十分
な低い降伏耐力を有する材料を採用するか、十分な薄さ
の肉厚を形成させておき、構造部材1に軸圧縮力が作用
するとき、スリーブ体5に略軸対称塑性座屈が呈するよ
うにしておく。構造部材1に軸圧縮力が作用すれば、最
初にスリーブ体5が塑性変形を起こす。地震による構造
部材1の消費エネルギーをスリーブ体5で吸収させ、構
造部材1で構成されたトラス構造物の大きい変形を許容
し、その急激な倒壊などを防止することができる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は応力制限要素を備えた構造部材用接合装置に係り、詳しくは、トラス 構造やすじかい構造を形成するための節点部材に長尺なパイプ材などの構造部材 を結合する接合装置の一部を構成するスリーブ体の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
長尺な鋼管からなる構造部材を多数使用して大きい立体構造物を構築する場合 には、各構造部材の先端を節点部材に接合するトラス構造やすじかい構造を採用 することが多い。例えば、実公昭42−22992号公報などには、そのような 構造物に適用される構造部材やそれに採用される接合装置が提案されている。 ところで、例えば、地震などの動的な外力に起因する軸方向の圧縮力に耐える ことができるトラス構造を設計する場合、構造部材は、座屈する前に耐力を保持 して十分変形できることが望ましい。というのは、鋼管が座屈すると、その鋼管 の耐力が一般的には急激に低下するからである。したがって、構造部材は、その 座屈耐力以下の荷重に基づいて設計されることになる。しかし、動的な外力に対 して構造部材は弾性的に挙動してしまうことになり、そのような構造部材は、塑 性変形を利用する構造部材に比べて、大きい応力を想定した設計をしておかなけ ればならなくなる。 また、トラス構造に類似するすじかい構造においても、圧縮すじかいを弾性状 態に保持しようとすると、地震があった場合などには、すじかいに大きな応力が 発生する。この場合に、隣接する柱や梁にも非常に大きな力が作用することにな る。その力に耐えることができるように設計された柱や梁は、大きくかつ重くな りすぎて実用に供しえなくなる場合がしばしばある。なお、圧縮すじかいの座屈 後の耐力を評価してデザインする方法もあるが、座屈後の急激な耐力低下を適切 に評価し、トラス構造物に所望する耐震性能を付与することは、現在の技術レベ ルでは容易でない。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、図6および図7には、外力を受けた場合に座屈を生じない場合と、 生じる場合の鋼構造物の変形が模式的なグラフに表されている。これらの場合、 耐震性の優劣は変形によって生じる消費エネルギー(図中の斜線部面積Aおよび B)の大小によって論じられる。消費エネルギーは塑性変形する図7の方が大き いので、図6の場合よりも耐震性が高い。一方、図6の場合は、弾性耐力が大き いため、地震による応答応力が大きくなるという悪循環が生じる。 従来、トラス構造あるいはすじかい構造では、座屈が不可避であるため図7の ような特性を得ることが不可能と考えられていた。この図7のような特性を与え る構造形式としては、すじかいなしのラーメン構造がある。しかし、横方向の変 形が、すじかいあるいはトラス構造に比べて非常に大きいので、大量の鋼材を投 入しなければならないという問題がある。 本出願人は、特願昭61−204000号において、上記した欠点を解消する ようにした構造部材を提案した。図8に示すように、構造部材1は、節点部材2 に結合するための接合ボルト4が取り付けられるエンド部材1Bを構造主材1A の端部に備える。さらに、そのエンド部材1Bには円錐殼部1aと円筒部1bと があり、円錐殼部1aの殼厚みTは、構造主材1Aの座屈耐力より小さい外力に より、エンド部材1Bが、その下半図に示す朝顔の花のように開く塑性変形を呈 するように選定される。 したがって、そのエンド部材1Bを塑性変形させることによって、構造部材1 の座屈を避けることができるようになっている。なお、節点部材2とエンド部材 1Bとの間には、接合ボルト4の全体を覆うようにして被せられたスリーブ体5 があり、そのスリーブ体5を回転させて接合ボルト4を進退させ、構造部材1を 節点部材2に結合することができるように、その接合装置が構成されている。 また、特願平1−340441号においては、図9に示すように、構造主材1 Aの端部に、構造主材1Aの主胴部1pの座屈耐力より小さい外力で塑性変形す る薄い肉厚t1 とされた脆弱部20を設けたものを提案した。エンド部材1Bは 構造主材1Aに接続され、エンド部材1Bは脆弱部20と同程度の耐力で共に塑 性変形するように形成されている。そして、構造主材1Aの脆弱部20とエンド 部材1Bとをともに塑性変形させることによって、主胴部1pの座屈を避けるよ うにしている。そして、節点部材2とエンド部材1Bとの間には、接合ボルト4 を内蔵したスリーブ体5を有する接合装置が採用されている。 これによれば、構造部材に所定値以上の軸方向の圧縮力が作用すると、左右端 部を意図的に大きく塑性変形させることができる。一般的に図7のP2 で示すご とくの座屈荷重を越えると、耐力が破線のように急激に減少し、その圧縮材の変 形量は極めて小さくなる。一方、上記した脆弱部を設けた構造部材では、実線で 示すように、鋼管の軸方向変形量が大きくなる。しかし、鋼管端部に、複雑でコ ストの高くつく脆弱部もしくは円錐殼部を設けておかなければならない難点があ る。 本考案は上述の問題に鑑みなされたもので、その目的は、構造部材に外力が作 用したとき、構造部材を変形させることなく、他の要素でもって座屈変形を助長 させ、長尺な構造部材に手間の要する加工を施す必要がなく、また、新たな部品 の追加を伴うこともなく、節点部材間における大きな座屈変形を許容できるよう にする応力制限要素を備えた構造部材用接合装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案は、節点部材に構造部材を結合するための接合ボルトが備えられ、その 接合ボルトを節点部材と構造部材との間で覆うと共に、その接合ボルトを回転さ せるスリーブ体が設けられている構造部材用接合装置に適用される。 その特徴とするところは、図1を参照して、構造部材1に軸圧縮力が作用する とき、スリーブ体5が略軸対称塑性座屈14を呈するように、スリーブ体5が、 構造部材1の座屈耐力より小さい外力で塑性変形することができる状態とされて いることである。 そのスリーブ体5は、略軸対称塑性座屈14をするに十分なように、降伏耐力 の低い材料が採用される。 なお、そのスリーブ体5は、略軸対称塑性座屈14をするに十分なように、そ の肉厚が薄く形成されていてもよい。
【0005】
【作用】
構造部材1に軸圧縮力が作用すると、構造部材1と接合ボルト4を回転させる ためのスリーブ体5とに座屈応力が作用する。スリーブ体5は構造部材1の座屈 耐力より小さい外力で塑性変形するように製作されているので、構造部材1が座 屈する前にスリーブ体5が降伏する。 すなわち、スリーブ体5に外力が作用すると、構造部材1が座屈する前に、接 合ボルト4を回転させるスリーブ体5が降伏し、その軸芯外方へ膨らませるよう な略軸対称塑性座屈14を起こさせる。図7に示した外力P1 のような中規模地 震に対しては、構造部材1を座屈させないで、スリーブ体5を弾性範囲内で変形 させ、外力がP2 のような大規模地震時には構造部材1を座屈させないで、スリ ーブ体5を降伏させるように設計することができる。その結果、地震による構造 部材1の消費エネルギーは、塑性変形するスリーブ体5で吸収されると共に、残 余のエネルギーは熱として外部に発散され、構造部材1で形成された鋼構造物の 急激な倒壊が防止される。 したがって、ラーメン構造のような塑性変形による大きな耐震性能をトラス構 造物に付与することができ、すじかい構造あるいは従前のトラス構造に必要とさ れる程度の鋼材使用量に留めることができる。
【0006】
【考案の効果】
本考案によれば、スリーブ体の軸芯に対して直角をなす横方向への変形が抑制 された状態で、スリーブ体に大きな軸方向変形を起こさせることができる。その 軸方向の変形が進んだ時点で、局部的に大きく塑性化した略軸対称塑性座屈とな る。したがって、節点部材間では耐力低下の少ない安定した大きな塑性変形を持 続させ、トラス構造物が大きい外力を受けても、それによって直ちに倒壊すると いうようなことが防止される。 このような機能を発揮させる接合装置を採用すると、長尺な構造部材に手間の 要する加工を施す必要がなく、また、新たな部品を追加することもない。その結 果、簡単な構成でありながら低廉化も図られるコンパクトな応力制限要素を実現 することができる。
【0007】
【実施例】
以下に、本考案の応力制限要素を備えた構造部材用接合装置を、図面を参照し ながら詳細に説明する。 図1は、構造部材1とそれを節点部材2に取り付ける接合装置3の断面図であ り、長尺な鋼管構造部材1の先端が、節点部材2に放射状(本例では十字状)に 接合することができるようになっている。なお、図2は、二つの節点部材2,2 間に、一本の構造部材1を接合した場合の全体図を示している。 この接合装置3は、節点部材2に構造部材1を結合するための接合ボルト4を 備え、その接合ボルト4を節点部材2と構造部材1との間で覆うと共に、その接 合ボルト4を回転させるスリーブ体5をも有している。 詳しく述べると、構造部材1はパイプなどの構造主材1Aとその端部に溶接な どで一体化されたエンド部材1Bとからなる。本例においては、そのエンド部材 1Bは、構造主材1Aに連なる中空の円錐殻部1aとスリーブ体5が当接される 円筒部1bとを備えている。このエンド部材1Bを介して、構造主材1をねじ孔 2aの形成された節点部材2に接合するための接合ボルト4が設けられる。 この接合ボルト4にはボス部6が形成されるとともに、その両端部のねじ部4 a,4bは逆ねじに形成されている。ボス部6を境にして節点部材2側に形成さ れるねじ部4aは例えば右ねじであり、構造部材1を節点部材2に取り付ける場 合、接合ボルト4の回転に伴って基部側に取り付けられたアンカーナット7が構 造部材1内で外れないように、ねじ部4bは左ねじとなっている。 上記エンド部材1Bの円筒部1bの内部には、接合ボルト4の基部側に螺合さ れるアンカーナット7の径より大きい雌ねじ8が形成されている。このエンド部 材1Bの雌ねじ8には、雄ねじ9の形成された支持部材10が螺合され、これら のねじ部にねじロック剤などが塗布されて緩み止めが図られる。この支持部材1 0の中心部には、接合ボルト4の軸部4mを挿通して支持する摺動孔11が設け られている。 上記した支持部材10の摺動孔11には、予め接合ボルト4の軸部4mが挿通 され、かつ、アンカーナット7をねじ部4bに螺合させた後、その一体物が支持 部材10を介してエンド部材1Bに取り付けられるようになっている。 一方、接合ボルト4の外部には、そのボス部6の外面に係合して回転を伝達す るスリーブ体5が設けられている。これは、例えば六角状に形成されたボス部6 を外嵌する六角筒状体で、その内部は、ボス部6が軸芯5n方向へ摺動できるよ うな形状に成形されている。そして、そのスリーブ体5の外面には、ボス部6を 回転させるための回転力作用部12が形成されている。 ちなみに、ボス部6は六角形に限ることはなく、スリーブ体5と比較的緊密に 嵌合して、スリーブ体5を回転させた場合に接合ボルト4を回転させることがで きるようになっていればよい。そして、そのスリーブ体5の外面も、スパナーな どでもって回転させることができるような形状であればよい。 スリーブ体5を上記のように六角とした場合、構造部材1が座屈する前に、本 考案の思想にしたがう応力制限要素としてのスリーブ体5を降伏させ、それを塑 性変形させるために、図3に示す外幅W1 と内幅W2 の寸法から決まる肉厚tを 全体的に薄くするように機械加工しておき、スリーブ体5の全体的な脆弱化を図 っておけばよい。もちろん、肉厚tの大小によらず、スリーブ体5に焼鈍などの 熱処理を施して、脆弱化させてもよい。このような脆弱化は、構造部材1が座屈 する外力よりも小さい外力で、スリーブ体5が塑性変形の座屈を起こす程度に施 されることになる。
【0008】 このような構成の接合装置3によれば、以下に述べるように、構造部材1に塑 性変形を起こさせることなく、スリーブ体5でもって、構造部材1に作用する軸 方向圧縮に対する大きな塑性変形を起こさせることができる。 上記のように肉厚tが薄いか焼鈍により軟化されて脆弱状態にあるスリーブ体 5には、局部的な略軸対称座屈が生じる。これは、スリーブ体5の内部に接合ボ ルト4が挿通されており、かつ、そのボス部6がスリーブ体5に内接状態にある ことから、例えば、図1の二点鎖線のような膨らみとなって現れる。その場合、 構造部材1の耐力は急激に減じるようなことはない。 例えば、外幅W1 を54mm,内幅W2 を36mm,長さを81mmとし、材 質をS45C材としたスリーブ体5に焼鈍などの熱処理を施して脆弱化したもの を、外径が165.2mm,肉厚が7.1mmのパイプ状の構造部材1に適用し た場合の軸変形量の変化例が図4に示されている。 この試験体において、スリーブ体5の耐力を他の部分より弱くしているので、 変形のほとんど全てがスリーブ体5の座屈変形によるものとなっている。それゆ えに、スリーブ体5の降伏後も安定した変形が続き、本考案の所期の目的とする 性能が十分発揮されていることが分かる。
【0009】 図5は、異なる構成の接合装置3Aに、本考案を適用したものであり、本質的 に、上記した例と異なるところはない。この例においても、スリーブ体5が採用 され、構造部材1に圧縮力が作用すると、スリーブ体5が最初に降伏して塑性変 形し、構造部材1の座屈が回避される。 この接合装置3Aは、接合ボルト4のボス部6と支持部材10との間にスプリ ング13を介装させている。そのスプリング13の弾発力でもって、ボス部6が 常時節点部材2側に押圧された状態にある。そして、初期状態においてスリーブ 体5からねじ部4aの先端が突出した状態の構造部材1を、正寸状態となってい る二つの節点部材2,2に運び込んだとき、接合ボルト4のねじ部4aの先端を スプリング13の弾発力に抗してスリーブ体5側へ退避させることができるよう になっている。構造部材1と接合装置3Aとの二つの節点部材2,2に対するア ライメントが出た時点で、ねじ部4aの先端がスプリング13の復元力で節点部 材2のねじ孔2aに少し嵌め込まれた状態となる。その後に、スリーブ体5を回 転させれば、ねじ部4aとねじ孔2aとの噛み合いを達成させることができる。 なお、本構造は、本考案に直接関係しないのでその説明を省くが、その詳細につ いては、特願昭61−193059号明細書を参照されたい。 このような構造部材用接合装置3Aの場合、図5の下半部に表したように、ス リーブ体5の座屈変形量はスプリング13の縮み代に等しい量となり、前述した 例の場合よりも短くなる。しかし、その座屈量を大きくする場合には、スプリン グ13を介在させている部分を長くするか、図示しないが、スプリング13を円 錐蔓巻形にしておき、座屈が大きくなったときには各螺旋が重合するようにして おけばよい。
【0010】 なお、接合装置の構造が上記したもの以外のものであっても、接合ボルトに一 体的に形成されたボス部を、その接合ボルトを覆うようにして配置されたスリー ブ体でもって回転させるようになっているものであれば、本考案を適用すること ができる。 すなわち、接合ボルト4のようなネジ接続機構と協働するエンド部材1Bを備 えた構造部材1を採用したトラス構造物4が地震に遭遇して、構造部材1に軸方 向の圧縮力が作用すると、第1図の二点鎖線のように、スリーブ体5が座屈をは じめ、そのスリーブ体5が軸芯5nに対して直角方向へ撓もうとする。しかし、 接合ボルト4に対して自由な状態にあるので、接合ボルト4は横方向の抵抗力を 発揮し、スリーブ体5の横方向への撓みが抑制される。 スリーブ体5の内部に何もなければ、そのスリーブ体5が圧縮力を受けて座屈 を始める時点では、スリーブ体5は降伏するかしないかの遷移状態にある。した がって、そのときの横方向の変形と軸方向の変形とをスリーブ体5に全部負担さ せると、そのスリーブ体5は簡単に変形してしまう。しかし、上記したように、 軸方向変形をスリーブ体5に負担させる一方、撓み変形を接合ボルト4に負担さ せて、それぞれの変形の負担を分離させることができる。その結果、スリーブ体 5の横方向の変形すなわち撓みが抑制されると共に、その軸方向の変形を大きく することができる。 スリーブ体5は、その断面降伏後に図1に示すような全体的もしくは局部的な 軸対称変形座屈14を起こして最大耐力に至る。その降伏直後から軸対称変形座 屈14を呈するまでの間に、スリーブ体5は大きく変形する。この縮みの間に、 接合ボルト4はスリーブ体5の座屈を軸対称形に維持して、外側方向への変形を 誘導する。その結果、座屈の変形は極めて安定したものとなる。それ故に、スリ ーブ体5は折れ曲がることがなく、スリーブ体5の耐力が急激に低下することも ない。そのような安定した変形によってトラス構成物も大きく変形するが、建造 物が直ちに倒壊することはなく、その建物内にいる人々は、その大きな変形に気 づいて、屋外へ避難するための時間的な余裕が確保される。 接合ボルト4によるスリーブ体5の横方向撓みを抑制している状態で、スリー ブ体5が断面降伏すると、スリーブ体5は接合ボルト4によって誘導されること により、軸対称形した座屈14を起こしながら、その最大耐力に至る。その最大 耐力を越えて、スリーブ体5が軸方向変形可能長まで変形すれば、その後の圧縮 力は構造部材1にも及び、その圧縮力が、構造部材1の耐力で対抗される。その 結果、構造部材全体の実質的な耐力上昇効果が発揮され、トラス構造物の安全性 がより高く確保される。 なお、上述した例においては、エンド部材1Bは、円錐殻部1aと円筒部1b とを備えているが、エンド部材1Bは円錐殻部1aを備えるものである必要はな く、単なる当て板的なものを溶接して構造主材1Aに取り付けた構成の構造部材 にも、本考案の応力制限要素としてのスリーブ体を備えた接合装置を適用するこ とができる。
【0011】 上述の説明から分かるように、構造部材が座屈する前に接合ボルトを回転させ るためのスリーブ体が降伏し、軸芯方向長さに対して大きな比率で塑性変形させ ることができる。例えば、図7に示したような外力P1 の場合となる中規模地震 に対しては、構造部材を座屈させないで、スリーブ体を弾性範囲内で変形させ、 外力がP2 の場合の大規模地震時には、構造部材を座屈させることなく、スリー ブ体を降伏させるように設計することができる。したがって、構造部材にラーメ ン構造のような塑性変形による大きな耐震性を付与することができ、加えて、通 常のすじかい構造あるいはトラス構造で必要とされる程度の鋼材使用量に留める ことができる。しかも、長尺な構造部材に手間の要する加工を施す必要がなく、 また、新たな部品の追加を伴うこともない。単体での製作が極めて容易な接合装 置側での対策であり、また、スリーブ体という単純な形状の部品に略軸対称塑性 座屈を起こさせるような配慮を払うだけで済むという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 構造部材と節点部材ならびにその間に設けら
れた本考案が適用された接合装置、および、そのスリー
ブ体が座屈した様子を示す断面図。
【図2】 構造部材が接合装置を介して節点部材間に取
り付けられた場合の全体概略図。
【図3】 図1のA−A線矢視断面図。
【図4】 構造部材と節点部材との間で圧縮力を受ける
接合装置におけるスリーブ体が塑性変形する際の圧縮荷
重と軸方向変形量との定性的関係を示すグラフ。
【図5】 異なる例の接合装置に本考案を適用したもの
で、上半部は初期状態、下半部はスリーブ体が座屈した
状態の断面図。
【図6】 外力を受けた場合に座屈を伴わない鋼構造物
の変形模式図。
【図7】 外力を受けた場合に座屈を伴う鋼構造物の変
形模式図。
【図8】 エンド部材の円錐殻部における塑性変形を起
こさせるようにした場合の従来技術における断面図。
【図9】 構造部材の端部位とエンド部材の円錐殻部に
おける塑性変形を起こさせるようにした場合の他の従来
技術における断面図。
【符号の説明】
1…構造部材、2…節点部材、3,3A…接合装置、4
…接合ボルト、5…スリーブ体、14…略軸対称塑性座
屈。

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 節点部材と構造部材とを結合するための
    接合ボルトが備えられ、その接合ボルトを節点部材と構
    造部材との間で覆うと共に、その接合ボルトを回転させ
    るスリーブ体が設けられている構造部材用接合装置にお
    いて、 上記構造部材に軸圧縮力が作用するとき、上記スリーブ
    体が略軸対称塑性座屈を呈するように、該スリーブ体
    が、上記構造部材の座屈耐力より小さい外力で塑性変形
    することができる状態とされていることを特徴とする応
    力制限要素を備えた構造部材用接合装置。
  2. 【請求項2】 前記スリーブ体は、略軸対称塑性座屈を
    するに十分な低い降伏耐力を有する材料が採用されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載された応力制限要素
    を備えた構造部材用接合装置。
  3. 【請求項3】 前記スリーブ体は、略軸対称塑性座屈を
    するに十分な薄さの肉厚が形成されていることを特徴と
    する請求項1に記載された応力制限要素を備えた構造部
    材用接合装置。
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