JPH0524623B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は軽金属を負極に用いた有機電解質電池
の改良に係り、耐漏液性の向上と貯蔵性能の向上
をはかることを目的とする。 一般に軽金属を負極に用いた有機電解質電池で
は、耐有機溶媒性を有するポリプロピレン製の環
状ガスケツトを電池ケースの開口端部と封口板の
間に配設し、電池ケースの開口端部の内方への締
め付けにより環状ガスケツトを電池ケースの開口
端部と封口板の周縁部に圧接させて密封する封口
構造が採用されている。 ところが、電池ケースや封口板の表面に存在す
る傷や環状ガスケツト自身の傷によつて、電池ケ
ースと環状ガスケツトとの接面や封口板と環状ガ
スケツトとの接面にどうしても微細な間隙が存在
し、この間隙を通つて電解液が電池外部へ漏出し
たり、また該間隙を通つて空気中の水分が電池内
に侵入し、リチウムやナトリウムなどの軽金属負
極と反応して電池の内部抵抗の増加を引き起すと
いう問題がある。 本発明者らはそのような事情に鑑み、耐漏液性
を向上させ併せて貯蔵中における内部抵抗の増加
を抑制すべく種々研究を重ねた結果、ストレート
アスフアルトに酢酸ビニルの単独重合体または酢
酸ビニルの共重合体を添加してなるシール剤を、
環状ガスケツトと電池ケースとの間および環状ガ
スケツトと封口板との間に介在させるときは、耐
漏液性が良好でかつ貯蔵中における内部抵抗の増
加が少ない有機電解質電池が得られることを見出
し、本発明を完成するにいたつた。 本発明においては、上述のようにストレートア
スフアルトに酢酸ビニルの単独重合体または酢酸
ビニルの共重合体を添加するが、その際の酢酸ビ
ニルの共重合体としては、例えば酢酸ビニルとエ
チレンとの共重合体、酢酸ビニルとアクリル酸エ
ステルとの共重合体、酢酸ビニルと塩化ビニルと
の共重合体、酢酸ビニルとビニルエーテルとの共
重合体、酢酸ビニルとビニルエステルとの共重合
体などが用いられる。そして、ストレートアスフ
アルトへの酢酸ビニルの単独重合体または酢酸ビ
ニルの共重合体の添加量としては0.2〜5.0％（重
量％、以下同様）の範囲が好ましい。これは、酢
酸ビニルの単独重合体または酢酸ビニルの共重合
体の添加量が0.2％より少ないとシール剤と環状
ガスケツトとの接着性が悪く、逆に５％を超える
とシール剤が電解液と反応して電池特性の低下を
招くおそれがあるからである。 そして、上述のシール剤は使用に際して、トル
エン、キシレンなどの有機溶媒に溶解され、溶液
状で環状ガスケツト、電池ケース、封口板などの
所望位置に塗布される。そしてそれらシール剤の
塗布された部材は、乾燥して有機溶媒を除去した
のち、電池組立に供される。 前記のシール剤は電解液に対しては耐性が良好
であり、それ故、電解液に使用する有機溶媒は特
に制限を受けない。従つて電解液としてはこの種
電池に通常使用されるような有機電解質系のもの
がすべて使用でき、例えばプロピレンカーボネー
ト、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、
１，２−ジメトキシエタン、ジオキソランなどの
有機溶媒の単独または２種以上の混合溶媒に過塩
素酸リチウム、ホウフツ化リチウムなどの溶質を
溶解させたものが好適に使用される。本発明にお
いて、有機電解質とは上述のような有機溶媒にイ
オン導電性を持たせるために過塩素酸リチウム、
ホウフツ化リチウムなどのリチウム塩を溶質とし
て溶解させたものをいい、有機電解質系の電解液
とは、電解液が上記有機電解質で構成されるもの
をいう。 本発明の電池において負極活物質としては、例
えばリチウム、ナトリウム、マグネシウム、アル
ミニウムなどが用いられ、正極活物質としては例
えば二酸化マンガン、フツ化炭素、硫化鉄、酸化
銅などが単独でまたは２種以上混合して用いられ
る。 つぎに本発明の実施例を図面とともに説明す
る。 第１図は本発明の有機電解質電池の一実施例を
示す部分断面図であり、第２図はその要部拡大図
である。 図示の本発明電池はプロピレンカーボネートと
１，３−ジオキソランとの容量比が１：１の混合
溶媒に過塩素酸リチウムを0.5モル／溶解させ
た電解液を用い、電池寸法が直径11.5mm、高さ
3.05mmのボタン形電池である。図面において、１
は負極端子を兼ねるニツケルーステンレス鋼クラ
ツド板製の封口板であり、この封口板１の内面に
ステンレス鋼製の網２がスポツト溶接され、該網
２にリチウムが圧着されて負極３が形成されてい
る。 ４は二酸化マンガン、フツ化炭素、硫化鉄、酸
化銅などの正極活物質を主成分とする正極合剤を
成形して形成した正極で、５はステンレス鋼製の
環状台座であり、６は微孔性ポリプロピレンフイ
ルムを２枚積重してなるセパレータである。７は
正極端子を兼ねる電池ケースで、この電池ケース
７は鉄製で表面にニツケルメツキを施したものあ
るいはステンレス鋼、ニツケルーステンレス鋼ク
ラツド板などで構成される。 ８はポリプロピレン製の環状ガスケツトで、９
はストレートアスフアルトに酢酸ビニルの単独重
合体または酢酸ビニルの共重合体を添加してなる
シール剤であり、上記環状ガスケツト８は前記封
口板１の周縁折り返し部に嵌合され、電池ケース
７の開口端部の内方への締付けにより前記シール
剤９を介して電池ケース７と封口板１に圧接し電
池内部を密閉構造にしている。 つぎに、二硫化鉄と酸化第二銅との重量比が
１：１の混合物を正極活物質として用い、環状ガ
スケツトにシール剤を塗布して前記のような構成
に仕上げた本発明の電池Ａとシール剤を塗布して
いない電池Ｂを60℃、相対湿度90％の高温高湿条
件下に所定期間貯蔵したときの漏液発生電池個数
と電池の内部抵抗変化を調べ、その結果をそれぞ
れ第１表と第３図に示した。 なお、本発明の電池Ａにおいて、環状ガスケツ
トへのシール剤の塗布は、ストレートアスフアル
トに酢酸ビニルとエチレンとの共重合体を１％添
加してなるシール剤５部（重量部、以下同様）を
トルエン95部に溶解させた液に環状ガスケツトを
浸漬することによつて行ない、塗布後、60℃で２
時間真空乾燥した。

【表】 また実施例ではシール剤を環状ガスケツトと電
池ケースとの間および環状ガスケツトと封口板と
の間に介在させるにあたつて、シール剤を環状ガ
スケツトのみに塗布する例を示したが、電池ケー
スの環状ガスケツトとの当接面や封口板の環状ガ
スケツトとの当接面にシール剤を塗布してもよい
し、また、それらにシール剤を塗布した上でさら
に環状ガスケツトにシール剤を塗布してもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の有機電解質電池の一実施例を
示す部分断面図、第２図はその要部拡大図であ
る。第３図は本発明の有機電解質電池と従来の有
機電解質電池の貯蔵に伴なう内部抵抗変化を示す
図である。 １……封口板、３……負極、４……正極、７…
…電池ケース、８……環状ガスケツト、９……シ
ール剤。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 軽金属の負極３と正極４および有機電解質系
   の電解液を有してなる有機電解質電池において、
   ストレートアスフアルトに酢酸ビニルの単独重合
   体または酢酸ビニルの共重合体を添加してなるシ
   ール剤９を、環状ガスケツト８と電池ケース７と
   の間および環状ガスケツト８と封口板１との間に
   介在させたことを特徴とする有機電解質電池。 ２ 酢酸ビニルの単独重合体または酢酸ビニルの
   共重合体の添加量がシール剤中0.2〜5.0重量％で
   ある特許請求の範囲第１項記載の有機電解質電
   池。