JPH05245336A - 溶剤処理方法と溶剤処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 有機溶剤の濃度が３０〜３００ｐｐｍ程度の
処理対象ガスに対して、装置の大型化、コストアップを
招来することなく連続処理できるようにする。 【構成】 循環経路に沿って帯状の溶剤吸着体３を移動
させた状態で、その循環移動する溶剤吸着体３に循環経
路の設定箇所で溶剤含有の処理対象ガスＧ１を供給して
溶剤を溶剤吸着体３に吸着させる一方、前記とは異なる
設定箇所で溶剤吸着体３に脱着用ガスＧ２を供給して溶
剤吸着体３から溶剤を脱着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、塗装工場や半導体製造
工場などから排出される溶剤（トルエンやキシレンで代
表される有機溶剤等で３０〜３００ｐｐｍ程度の濃度）
含有の排気を処理する、つまり、排気中の溶剤を除去処
理する技術のうち、最終処理量の減量を図るように溶剤
の濃度を濃縮する技術で、詳しくは、活性炭などの吸着
材を主体とする帯状の溶剤吸着体を用い、溶剤を含有す
る処理対象ガスを、溶剤吸着体を厚さ方向で横断するよ
うに供給してその処理対象ガス中の溶剤を溶剤吸着体に
吸着させることにより溶剤を除去する技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】帯状の溶剤吸着体を用いての溶剤を処理
する場合（ベルト式）には、例えば、繊維状活性炭をペ
ーパ化し、段加工して多数のガス通路を有するハニカム
状に成形し、それを枠に支持させたブロック状の溶剤吸
着体を用い、その溶剤吸着体のガス通路内に沿って処理
対象ガスを通過させることにより、繊維状活性炭が分散
するガス通路周囲壁に接触させて溶剤を吸着させる場合
（ハニカムロータ式）に比較して、次のような利点があ
る。つまり、ハニカムロータ式の場合には、ガス通路周
囲壁に沿って処理対象ガスを流動させて吸着材に接触さ
せることで吸着させるため、溶剤吸着体の大きさの割り
には吸着材と溶剤との接触面積が小さく、その上加工数
が多くて、吸着材と溶剤との接触効率が悪く、溶剤吸着
体の大きさの割りには処理能力が小さくてコストの高い
ものになる。しかも、溶剤吸着体を加熱して脱着する
際、溶剤吸着体が大きく、加えて、支持用の枠に熱を取
られることにより、多量の熱量が必要であり、かつ、脱
着後に吸着可能状態に復帰させる上で冷却を必要とする
こともあり、ランニングコストが高くつく。これに対し
て、本発明が対象とするベルト式の場合には、溶剤吸着
体を、繊維状活性炭をフェルト状に成形することなどに
より、接触面積を大きくして接触効率を優れたものにで
きる割りには溶剤吸着体の厚さを薄くでき、その結果、
溶剤吸着体を加熱・冷却し易いものにできて、脱着のた
めの加熱に要するランニングコストが安くて済み、ま
た、特別な装置類を要することなく脱着後の吸着のため
の冷却を行える。そのような利点を有する溶剤処理技術
として、従来では、図４に示すように、溶剤吸着体３を
第１のロールＲ１から繰り出すとともに、第２のロール
Ｒ２で巻き取り、その第１のロールＲ１から第２のロー
ルＲ２への移動途中で、処理対象ガスＧ１を供給して溶
剤を溶剤吸着体３に吸着させ、第２のロールＲ２を収納
する加熱室Ｈに脱着用ガスＧ２としての加熱空気を供給
して溶剤吸着体３から溶剤を脱着する技術が知られてい
る（例えば特公昭５３−９５８７号公報）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
によるときは、溶剤吸着体を第１のロールから繰り出し
つつ第２のロールで巻き取ることで移動させて溶剤吸着
体に溶剤を吸着させるから、そのような移動時に加熱室
に加熱空気を並行して供給することにより、吸着と同時
に脱着を行えるものの、第２のロールに溶剤吸着体が最
後まで巻き取られと、第１のロールに溶剤吸着体を巻き
戻しする必要があって、処理形態が、吸脱着と巻き戻し
とを交互に繰り返す形態とならざるを得ない。その結
果、長時間の処理を行うには、第１のロールから溶剤吸
着体の全部を繰り出しての１回の吸着作業時間を長くし
たり、或いは、複数の溶剤処理装置を設けて一方のもの
が吸脱着しているときに他方のものが巻き戻しするよう
に交互に使用したりする必要がある。そして、前者の場
合には、溶剤吸着体の巻き取り径が大きくなってそれに
付帯する装置の大型化、コストアップを招来するのみな
らず、第２のロールに巻き取られた状態で加熱室で溶剤
吸着体が溶剤を吸着した状態で加熱される時間が長くな
ることで、溶剤吸着体の異常な昇温を招来することがあ
って、それを防止するための構成が別途必要になり、装
置の大型化、コストアップが不可避である。このこと
は、特に、高濃度の処理対象ガスを処理するために溶剤
吸着体の移動速度を速くした場合に顕著である。他方、
後者の場合には、溶剤処理装置の数が増えて、やはり、
装置の大型化、コストアップが不可避である。本発明の
目的は、上記欠点を解消する点、つまり、たとえ前記従
来例の主使用領域濃度に比べて高濃度の処理対象ガスで
あっても、装置の大型化、コストアップを招来すること
なく長時間連続処理できるようにする点にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明による溶剤処理方
法の特徴は、循環経路に沿って帯状の溶剤吸着体を移動
させた状態で、その循環移動する溶剤吸着体に循環経路
の設定箇所で溶剤含有の処理対象ガスを供給して溶剤を
溶剤吸着体に吸着させる一方、前記とは異なる設定箇所
で溶剤吸着体に脱着用ガスを供給して溶剤吸着体から溶
剤を脱着する点にある。

【０００５】本発明による溶剤処理装置の特徴は、循環
経路に沿って移動する帯状の溶剤吸着体を設け、前記循
環経路の設定箇所でその溶剤吸着体に溶剤含有の処理対
象ガスを供給して溶剤を溶剤吸着体に吸着させる吸着手
段と、前記とは別の設定箇所で溶剤吸着体に脱着用ガス
を供給して溶剤吸着体から溶剤を脱着する脱着手段とを
設けてある点にある。

【０００６】

【作用】上記の本発明方法によれば、処理対象ガスの供
給箇所と脱着用ガスの供給箇所とに交互に繰り返して移
動位置するように帯状の溶剤吸着体を循環移動させるこ
とにより、溶剤吸着体による処理対象ガスからの溶剤の
吸着と、その吸着した溶剤の脱着用ガスへの脱着とを行
うから、溶剤吸着体の循環移動と、その状態での処理対
象ガスの供給及び脱着用ガスの供給とを連続して行うこ
とにより、吸脱着を中断することなく連続して行うこと
ができるとともに、脱着時に溶剤吸着体を過剰に加熱す
ることがない。上記の本発明装置によれば、溶剤吸着体
を循環移動させるとともに、吸着手段と脱着手段とを作
動させることにより、上記本発明方法の吸脱着を行え
る。

【０００７】

【発明の効果】従って、本発明によれば、装置の大型
化、コストアップを招来することなく、高濃度の溶剤含
有ガスを長時間連続処理できる方法と装置とを提供でき
るようになった。

【０００８】

【実施例】溶剤処理設備は、図３に示すように、溶剤を
含有する処理対象ガスＧ１を濃縮する前処理用の溶剤処
理装置１と、そこからの濃縮ガスｇ１から溶剤を除去す
る最終処理装置２とからなる。前記溶剤処理装置１は、
図１に示すように、通気性を有する無端帯状の溶剤吸着
体３を設け、その溶剤吸着体３を循環経路に沿って移動
案内する案内手段と移動手段とを設け、前記循環経路の
うち上昇箇所と下降箇所とで前記溶剤吸着体３にその溶
剤吸着体３を厚さ方向に通過するように前記処理対象ガ
スＧ１を供給して溶剤をその溶剤吸着体３に吸着させる
吸着手段と、前記循環経路のうち上昇箇所から下降箇所
に至る水平箇所で溶剤吸着体３にその溶剤吸着体３を厚
さ方向に通過するように脱着用ガスＧ２を供給して溶剤
吸着体３から溶剤を脱着する脱着手段とを設けて構成さ
れている。前記溶剤吸着体３は、活性炭を吸着材とし
て、常温で処理対象ガスＧ１中の溶剤を吸着し、加熱
（１００〜１３０度）により脱着するものであり、具体
的には、図２に示すように、フェルト状に成形した繊維
状活性炭３Ａの表裏に、その繊維状活性炭３Ａを保護す
る不織布等からなる保護層３Ｂを重ねて構成されてい
る。因みに、繊維状活性炭３Ａの実数値例を挙げると、
活性炭繊維の径は１０〜２０μｍ、厚さは１０から２０
ｍｍ、目付け量は６００ｇ／ｍ² 程度である。なお、図
では判りやすくする上で保護層３Ｂを厚く示してある
が、保護層３Ｂの実際の厚さは非常に薄いものである。
前記案内手段は、前記溶剤吸着体３を張る複数のローラ
４から構成されている。前記移動手段は、前記ローラ４
の１つを駆動するモータ５から構成されている。前記吸
着手段は、上昇箇所及び下降箇所に外側から処理対象ガ
スＧ１を供給する供給ダクト６を設け、溶剤吸着体３を
通過した処理ガスｇ２を集合排出する排気ダクト７を設
けて構成されている。前記脱着手段は、加熱空気を脱着
用ガスＧ２として供給する供給ダクト８と、溶剤吸着体
３を通過した濃縮ガスｇ１を回収して最終処理装置２に
供給する回収ダクト９とを設けて構成されている。次
に、上記の溶剤処理装置１を用いての処理方法を説明す
る。モータ５で駆動して溶剤吸着体３を循環移動させ、
その状態で、上昇箇所及び下降箇所に処理対象ガスＧ１
を供給するとともに、水平箇所に脱着用ガスＧ２を供給
する。これにより、処理対象ガスＧ１中の溶剤は上昇箇
所及び下降箇所を厚さ方向に通過する際にその溶剤吸着
体３に吸着されて、処理対象ガスＧ１中から溶剤が除去
される。他方、溶剤吸着体３に吸着された溶剤は、水平
箇所を通過する脱着用ガスＧ２による加熱で脱着されて
脱着用ガスＧ２に取り入れられ濃縮ガスｇ１として排出
される。上記の実施例によれば、溶剤吸着体３がフェル
ト状に成形した繊維状活性炭３Ａを主体とするものであ
って、処理対象ガスＧ１の通過に伴いその処理対象ガス
Ｇ１中の溶剤と繊維状活性炭３Ａとを効率良く接触させ
るものであるから、良好な吸着性能を発揮できながら
も、溶剤吸着体３を薄くて、加熱・冷却性に優れたもの
にでき、それ故、水平箇所での加熱による脱着を加熱量
少なく行え、かつ、特別な冷却構成を要することなく、
下降箇所での吸着を効率良く行えるように冷却できる。

【０００９】〔別実施例〕上記実施例では、循環経路と
して、上昇箇所と下降箇所と水平箇所とを備えたものを
示したが、循環経路の形状は適宜変更自在である。上記
実施例では、２つの吸着箇所、１つの脱着箇所を示した
が、それらの数は不問である。上記実施例では、溶剤吸
着体３の吸着材として、フェルト状の繊維状活性炭を用
いたが、活性炭は繊維状の他、粉状、粒状のものであっ
ても良く、要するに、吸着材は、微細な活性炭（吸着、
脱着速度が大きい）を用いてベルト状に構成したもので
あれば良い。

【００１０】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】溶剤処理装置の斜視図

【図２】溶剤吸着体の断面図

【図３】溶剤処理設備の概略構成図

【図４】従来例の正面図

【符号の説明】

３ 溶剤吸着体 Ｇ１ 処理対象ガス Ｇ２ 脱着用ガス

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 循環経路に沿って帯状の溶剤吸着体
   （３）を移動させた状態で、その循環移動する溶剤吸着
   体（３）に循環経路の設定箇所で溶剤含有の処理対象ガ
   ス（Ｇ１）を供給して溶剤を溶剤吸着体（３）に吸着さ
   せる一方、前記とは異なる設定箇所で溶剤吸着体（３）
   に脱着用ガス（Ｇ２）を供給して溶剤吸着体（３）から
   溶剤を脱着する溶剤処理方法。
2. 【請求項２】 循環経路に沿って移動する帯状の溶剤吸
   着体（３）を設け、前記循環経路の設定箇所でその溶剤
   吸着体（３）に溶剤含有の処理対象ガス（Ｇ１）を供給
   して溶剤を溶剤吸着体（３）に吸着させる吸着手段と、
   前記とは別の設定箇所で溶剤吸着体（３）に脱着用ガス
   （Ｇ２）を供給して溶剤吸着体（３）から溶剤を脱着す
   る脱着手段とを設けてある溶剤処理装置。