JPH05245223A - 緊急避難用防煙手段 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 火災時に有毒ガスを含む煙に巻かれることを
防止する緊急避難用呼吸バッグの提供。 【構成】 防煙バッグ１が人の頭部から首部を覆うもの
であって、それを被ったときに少なくともその者の眼部
付近にあたる箇所が透明なものであり、送風ホース３の
一端が上記の防煙バッグ内に挿入され保持されている。
そして、手動送風ポンプ２が、上記の送風ホース３に設
けられ上記の防煙バッグ１に空気を送る。最後に、紐や
ファスナーのごとき閉塞手段４が、上記の防煙バッグ１
の開口部を首に締める。また、活性炭６のごとき消煙手
段が、上記の防煙バッグ内および／または上記のホース
に設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、広くは防災用具に関す
るものであり、特に火災時等の呼吸を確保する空気覆顔
手段に関するものである。就中、その覆顔手段を容易に
開きひろげて頭にかぶせることができ、その上にその覆
顔手段を覆った後にも容易にしかも常に新鮮な空気をそ
の覆顔手段内に送風することの出来る緊急避難用防煙手
段に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】火災時に消防士が煙に巻かれないように
するプロ用の防煙具があるが、一般には濡れタオルを鼻
に巻いたり手近な袋を膨らませて空気袋にしたりして逃
げる等の程度で特に専用の防災具はなかった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】高層ビル等で火災が発
生した場合は、例外なく階段部分が有毒煙で充満し、下
層階へ下りることが出来なくなる。従って、避難者は煙
に追われるように上層へ上層へと逃げ、遂には屋上へ追
いつめられ助けを求める事態となるのが普通である。従
来はそのような時にポリエチレン等の透明な袋をうまく
ふくらまし、頭へかぶり、首の回りを紐で縛って袋の中
へ閉じ込められた空気を吸いながら下層階へ避難する方
法が推奨されてきた。

【０００４】所がこの方法も緊急避難時には誰もが大な
り小なりパニック状態に陥っている為、上手く袋に空気
をいれ頭へ被せる作業がなかなか出来ないものである。
更に首の回りを煙が侵入しないように紐で縛っている間
に袋内の酸素を消費してしまい、いざ避難を始めようと
した時は既に呼吸困難となってしまい、結局袋を破り捨
てて避難し煙にまかれてしまう結果を招く。煙にまかれ
た状態で緊急避難をする事態に遭遇すれば誰でもあわて
てしまうのが普通である。そのような一刻を争う時でも
素早くしかも簡単に装着出来る簡易避難用具はないもの
かと考慮したものを以下に説明する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる緊急避難
用防煙手段は、以上の問題点に鑑みて、頭部を覆う紐付
き防煙覆顔手段に手動送風ポンプ付きホースを設けたも
のである。そして、その請求項２の発明は、それに活性
炭のごとき有毒ガス阻止手段を設けたものである。

【０００６】以下に、本発明の緊急避難用防煙手段の具
体的な構成を詳細に記載する。最初に、本発明にかかる
緊急避難用防煙手段の請求項１に記載の発明の構成を説
明する。まず、防煙覆顔手段がある。この防煙覆顔手段
は、人の少なくともその顔部を覆うものであって、それ
で覆ったときに少なくともその者の眼部付近にあたる箇
所が透明なものである。つぎに、送風ホースがある。こ
の送風ホースは、上記の防煙覆顔手段内にその一端が挿
入され保持されるものである。

【０００７】そして、手動送風ポンプがある。この手動
送風ポンプは、上記の送風ホースに設けられ上記の防煙
覆顔手段に空気を送るものである。最後に、紐やファス
ナーのごとき装着手段がある。この装着手段は、上記の
防煙覆顔手段の開口部を顔面や首部に装着させるもので
ある。

【０００８】つぎに、本発明にかかる緊急避難用防煙手
段の請求項２の発明の構成を説明する。これは、以下の
点以外は上記の請求項１の発明の構成と同一ゆえに、上
記の請求項１の発明の構成の説明の全文をここに引用
し、以下の構成の説明をこれに追加する。すなわち、活
性炭のごとき有毒ガス阻止手段がある。この活性炭のご
とき有毒ガス阻止手段は、上記の防煙覆顔手段および／
または上記のホースに設けられたものである。

【０００９】そして、本発明の緊急避難用防煙手段の請
求項３の発明の構成を説明する。これは、以下の点以外
は上記の請求項１または２の発明の構成と同一ゆえに、
上記の請求項１または２の発明の構成の説明の全文をこ
こに引用し、以下の構成の説明をこれに追加する。すな
わち、上記のホースが、バグパイプの覆顔手段のごとき
空気保留覆顔手段を有している。

【００１０】さらに、本発明にかかる緊急避難用防煙手
段の請求項４の発明の構成を説明する。これは、以下の
点以外は上記の請求項１，２または３の発明の構成と同
一ゆえ、上記の請求項１，２または３の発明の構成の説
明の全文をここに引用し、以下の構成の説明をこれに追
加する。すなわち、上記の防煙覆顔手段および／または
上記のホースが、空気ボンベを有している。

【００１１】最後に、本発明にかかる緊急避難用防煙手
段の請求項５に記載の発明の構成を説明する。まず防煙
覆顔手段がある。この防煙覆顔手段は、人の少なくとも
その顔部を覆うものであって、それで覆ったときに少な
くともその者の眼部付近にあたる箇所が透明なものであ
る。つぎに、空気ボンベがある。この空気ボンベは、上
記の防煙覆顔手段に設けられたものである。最後に、紐
やファスナーのごとき装着手段がある。この装着手段
は、上記の防煙覆顔手段の開口部を顔面や首部に装着さ
せるものである。

【００１２】

【作用】本発明にかかる緊急避難用防煙手段は、以上の
ごとくに構成したゆえに以下のごとき作用が生じた。最
初に本発明の請求項１に記載の発明の作用を説明する。
まず、防煙覆顔手段が、人の少なくともその顔部を覆
う。そして、それで覆ったときに少なくともその者の眼
部付近にあたる箇所が透明なものであるゆえに、視界が
確保される。

【００１３】つぎに、送風ホースが、上記の防煙覆顔手
段内にその一端が挿入され保持されて、この送風ホース
に設けられた手動送風ポンプが上記の送風ホースに設け
られ上記の防煙覆顔手段に空気を送る。最後に紐やファ
スナーのごとき装着手段が、上記の防煙覆顔手段の開口
部を顔面や首部に装着させ煙の上記覆顔手段内への侵入
を防止する。

【００１５】つぎに、本発明にかかる緊急避難用防煙手
段の請求項２の発明の作用を説明する。これは、以下の
点以外は上記の請求項１の発明の作用と同一ゆえに、上
記の請求項１の発明の作用の説明の全文をここに引用
し、以下の作用の説明をこれに追加する。すなわち、活
性炭のごとき有毒ガス阻止手段が、上記の防煙覆顔手段
および／または上記のホースに設けられ、その覆顔手段
内に入る空気に混じった煙の消煙や有毒ガスの阻止を行
う。

【００１６】そして、本発明にかかる緊急避難用防煙手
段の請求項３の発明の作用を説明する。これは、以下の
点以外は上記の請求項１または２の発明の作用と同一ゆ
え、上記の請求項１または２の発明の作用の説明の全文
をここに引用し、以下の作用の説明をこれに追加する。
すなわち、上記のホースがバグパイプの覆顔手段のごと
き空気保留覆顔手段を有しているゆえに、煙が充満して
いる箇所を通過の時には、この覆顔手段内の空気で呼吸
する。

【００１７】さらに、本発明にかかる緊急避難用防煙手
段の請求項４の発明の作用を説明する。これは、以下の
点以外は上記の請求項１，２または３の発明の作用と同
一ゆえ、上記の請求項１の発明の作用の説明の全文の内
から下記の点を除きここに引用して、以下の作用の説明
をこれに追加する。すなわち、上記の防煙覆顔手段およ
び／または上記のホースが、空気ボンベを有しているゆ
えに、煙が充満している箇所を通過の時には、この空気
ボンベ内の空気で呼吸する。

【００１９】最後に、本発明にかかる緊急避難用防煙手
段の請求項５に記載の発明の作用を説明する。まず、防
煙覆顔手段が、人の少なくともその顔部を覆う。そし
て、それで覆ったときに少なくともその者の眼部付近に
あたる箇所が透明なものであるゆえ、視界が確保され
る。つぎに、空気ボンベが、上記の防煙覆顔手段に設け
られているゆえに、常にこの空気ボンベ内の空気で呼吸
できる。最後に、紐やファスナーのごとき装着手段が、
上記の防煙覆顔手段の開口部を顔面や首部に装着させ煙
がその防煙覆顔手段内に侵入するのを防止する。

【００２０】

【実施例】以下に、本発明にかかる緊急避難用防煙手段
をその一実施例を用いて添付の図面と共に詳細に述べ
る。図１は、本発明にかかる緊急避難用防煙手段の一実
施例の斜視図を示したものである。図２は、図１のもの
の着用状態の正面図である。図３は、図１のものの使用
状態の側面図を示したものである。

【００２１】まず、ヘルメットのように頭へすっぽりと
被り、首の回りを締められるようにした図１のごとき可
撓性の透明な防煙覆顔手段１がある。この防煙覆顔手段
１の大きさは、図２に示すように頭へ被ることが出来、
更にこの防煙覆顔手段１の中へ閉じ込められた空気を２
〜３分間呼吸できる程度の容積を持ったものを用意す
る。もちろん、防毒ガスマスクのごとくに、その顔面の
みを覆うマスク状のものであってもよい。

【００２２】この防煙覆顔手段１の材質はポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のフィルムでも良いが、出来れば
耐熱、防煙性のものがあればなお良い。又、アルミ箔等
の輻射熱を反射するもので防煙覆顔手段１を作り、前面
に窓Ｗ（図６を参照）を明け耐熱性の透明フィルムや硝
子板を貼って見えるようにしても良い。合成樹脂被膜の
場合、吐息中の湿気がその内側表面に付着してその被膜
が顔面にくっついてしまう。したがって、フレーム等で
支えなければならない。しかし、その内側に紙等の吸湿
性のある材質のものを用いると、吐息中の湿気を吸収し
フレーム等を使用しないでも済む。

【００２３】次に、空気ポンプ２と送風ホース３を用意
する。空気ポンプ２は手動式のもので、それに送風ホー
ス３を繋ぎ送風ホース３の先端を防煙覆顔手段１の中へ
取り付ける。送風ホース３は２図のように直立し、腕を
延ばした状態で空気ポンプ２を握れる程度の長さがあれ
ば良い。

【００２４】首の回りを煙が侵入しないよう顔面や首部
に装着させる方法は、紐４で縛るとかファスナーで留め
る、ゴム紐の様な伸縮性の材料を最初から作り付けてお
く等どの様な方法でも簡単に確実に出来るやり方ならば
なんでも良い。こうして、手で空気ポンプ２をポンプア
ップし空気を防煙覆顔手段１の中へ送り込めば、防煙覆
顔手段１は簡単に膨らむ。更に余分な空気は首の回りの
隙間から排出される。ポンプアップ動作を続ければ防煙
覆顔手段１を覆った状態でも窒息することはない。

【００２５】煙は殆どの場合、部屋または廊下でも床上
２０〜３０センチ以上で足元迄には達しない。従って、
足元の空気を吸い込めば助かる確率が非常に高くなる。
そこで図３のように脱出時にかがんだ状態で空気ポンプ
２の吸い込み口を出来るだけ低くして足元の空気を吸入
すれば煙に巻かれた状態でも比較的安全に脱出可能とな
る。

【００２６】勿論、足元まで煙が充満し煙を吸入する恐
れがある場所では吸入を止め、防煙覆顔手段１内の空気
を吸いながら脱出すればよい。防煙覆顔手段１内の空気
だけで２〜３分間もてば少なくとも２〜３階は降りるこ
とが可能となり、脱出成功の確率は飛躍的に向上する。

【００２７】送風ホース３の先端は防煙覆顔手段１の内
側へ取り付けておくか、又は防煙覆顔手段１とは別にし
て首と防煙覆顔手段１の隙間から差し込んで抜け落ちな
いように口でくわえていても良い。空気ポンプ２は、図
４のように２個の逆止弁の間にふいごをもうけ、そのふ
いごを手で握りポンプアップを行うものでも、図５のよ
うにふいごの両側に逆止弁を取り付ける形式のものでも
良い。要するに、手動で空気を防煙覆顔手段１の中へ送
り込むことが出来れば何でも良い。

【００２８】防煙覆顔手段１の製作は前述したものの他
に次のようなものも有効である。すなわち、透明な可撓
性フィルム（プラスチック）又はそれに近いもの）にア
ルミ箔をラミネートし二重フィルムとしたもの。それを
図６のような形に切り抜いて後頭部側１ａとする。前面
側１ｂは窓Ｗに当たる部分だけを除いてアルミ箔を張り
つける。

【００２９】この二枚を図６のように斜線部分を張り合
わせる。又は、フィルムの外側にアルミ等の輻射熱を反
射する材料を蒸着しても良い。このようにすることによ
って耐熱性も向上し、更に炎による輻射熱をアルミが反
射してしまう為、いくらかでも熱さを低減させることが
出来る。

【００３０】最後に、図４に示すごとくに、上記の送風
ホース３に活性炭を主とした有毒ガス阻止手段５を設け
ると、煙、特にその煙の中に含まれた有毒ガスを吸着や
消失等して避難者の安全に寄与する。

【００３１】そして、本発明の緊急避難用防煙手段の請
求項３の発明の一実施例では、図７に示す側面図のごと
くに、上記のホース３がバグパイプのバッグのごとき空
気保留バッグ６を有している。それゆえに、煙が充満し
ている箇所を通過の時には、このバッグ６内の空気で呼
吸する。さらに、本発明にかかる緊急避難用防煙手段の
請求項４の発明の一実施例では、図８および図９に示す
側面図のごとくに、上記の防煙覆顔手段１および／また
は上記のホース３が、空気ボンベ７を有している。それ
ゆえに、煙が充満している箇所を通過の時には、この空
気ボンベ７内の空気で呼吸する。

【００３２】また、本発明にかかる緊急避難用防煙手段
の請求項５に記載の発明の一実施例では、空気ボンベ７
が上記の防煙覆顔手段１に設けられている。それゆえ
に、常にこの空気ボンベ７内の空気で呼吸できる。この
場合、図９のごとくに、空気ポンプ２と送風ホース３を
有してもよいが、避難は短時間ゆえにこれらなしでも非
常に小型簡素な装置に出来、充分な呼吸が確保できるロ
ーコストなものが製作可能である。この空気ボンベは、
スキューバーダイビングで俗に酸素ボンベと言われてい
るものと同じ機能のものであるが、上述のごとくにその
呼吸確保時間は極端に短時間でよいゆえに、非常に簡素
なものとなる。

【００３３】

【発明の効果】本発明にかかる緊急避難用防煙手段は、
以上のごとくになしたゆえに以下のごとき多大な効果が
生じた。すなわち、この覆顔手段は非常にローコストな
ので、その配備が大変容易になり、手近な箇所に設ける
ことによって緊急な場合でも慌てずに済む。さらに、そ
の覆顔手段内に空気を容易に送り込める故に、その覆顔
手段を広げるのも慌てずに出来る。さらに、その覆顔手
段を被りながら、そして覆った後も着用者の呼吸の確保
が出来る故に、やはり慌てずに済む。

【００３４】また、その請求項２の発明では、煙の中の
有毒ガスの阻止が出来るゆえに、仮にその覆顔手段ある
いは送風ホース内に煙が混入したとしても安心である。
しかも、この有毒ガス阻止手段は、非常に短時間の使用
のみである故に、その構成も簡易なものでよく、そのコ
スト上昇には余り影響しない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる緊急避難用防煙手段の一実施例
の斜視図を示したものである。

【図２】図１のものの着用状態の正面図である。

【図３】図１のものの使用状態の側面図を示したもので
ある。

【図４】図１のものの空気ポンプを有毒ガス阻止手段と
共に記載した側面図を示したものである。

【図５】図１のものの空気ポンプの別な実施例の側面図
を示している。

【図６】図１のものの防煙覆顔手段の別な実施例の側面
図を示したものである。

【図７】空気保留バッグ付きの実施例の側面図である。

【図８】空気ボンベ付きの実施例の側面図である。

【図９】空気ボンベ付きの別な実施例の側面図である。

【符号の説明】

１ 防煙覆顔手段 ２ 送風ホース ３ 空気ポンプ ４ 紐 ５ 有毒ガス阻止手段 ６ 空気保留バッグ ７ 空気ボンベ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】少なくともその顔部を覆うものであってそ
   れで覆ったときに少なくともその者の眼部付近にあたる
   箇所が透明な防煙覆顔手段、該防煙覆顔手段内にその一
   端が挿入され保持される送風ホース、該送風ホースに設
   けられ上記の防煙覆顔手段に空気を送る手動送風ポン
   プ、および上記の防煙覆顔手段の開口部を顔面や首部に
   装着させる紐のごとき装着手段、より構成されることを
   特徴とした緊急避難用防煙手段。
2. 【請求項２】防煙覆顔手段および／またはホースが、活
   性炭のごとき有毒ガス阻止手段を有することを特徴とし
   た請求項１に記載の緊急避難用防煙手段。
3. 【請求項３】ホースが、バグパイプの覆顔手段のごとき
   空気保留覆顔手段を有することを特徴とした請求項１ま
   たは２に記載の緊急避難用防煙手段。
4. 【請求項４】防煙覆顔手段および／またはホースが、空
   気ボンベを有することを特徴とした請求項１，２または
   ３に記載の緊急避難用防煙手段。
5. 【請求項５】少なくともその顔部を覆うものであってそ
   れで覆ったときに少なくともその者の眼部付近にあたる
   箇所が透明な防煙覆顔手段、該防煙覆顔手段に設けられ
   た空気ボンベ、および上記の防煙覆顔手段の開口部を顔
   面や首部に装着させる紐のごとき装着手段、より構成さ
   れることを特徴とした緊急避難用防煙手段。