JPH05177004A

JPH05177004A - 呼吸具

Info

Publication number: JPH05177004A
Application number: JP35822791A
Authority: JP
Inventors: Shohei Okazaki; 昌平岡崎
Original assignee: Nissei Sangyo Co Ltd
Current assignee: Hitachi High Tech Corp
Priority date: 1991-12-27
Filing date: 1991-12-27
Publication date: 1993-07-20

Abstract

(57)【要約】【目的】簡便に装着できるうえに避難活動を容易に行
うことができ、しかも有毒ガスや煙の吸引防止と酸素吸
入を確実に行い得る呼吸具を提供する。【構成】使用者の顔面を気密に覆うとともに外部を見
るための窓部１２及び使用者に酸素を供給する吸入部１
２を設けたマスク２と、吸入部１４を介して酸素を供給
するボンベ及び使用者が排気した空気について酸素富化
を行う炭酸ガス吸収剤を充填したボンベ３１とを装着し
た着脱容易な着衣３とにより構成した。マスク２に設け
た吸入部２１に、使用者が吸気を行う際に開状態に動作
して着衣２に装着した酸素ボンベ３２から酸素を供給す
る第１の弁４５と、使用者が排気を行う際に開状態に動
作して使用者が吐き出した空気をマスク２外に排出する
第２の弁４６を設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、有毒ガスや煙が充満し
た場所を安全に通過する際に用いて好適な呼吸具に関す
るものであり、更に詳しくはビル火災発生時の如く、緊
急避難が必要な場合に簡便に使用できるように構成した
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、火災発生時においては、煙に
巻き込まれて逃げ遅れることがよく知られている。そし
て、火災発生時における心得として、地表や床面では煙
の濃度が薄いので這いながら逃げる等の伝聞がある。ま
た、濡れた布で口や鼻孔を覆いながら逃げる等の伝聞も
ある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、現代の火災現
場では、前記の如き古来からの言い伝え程度の知識で対
応できるものではない。即ち、デパートやオフィスビル
は元より、一般家庭においても新建材が多く使用され、
火災発生にともなって天然材料の燃焼時とは全く異なっ
た大量の黒煙が発生すると同時に有毒ガスまで発生す
る。このため、消防手等はガスマスク等の防備をしてい
るが、一般市民は全く無防備であり、デパートやホテル
等で火災が発生すると、多数の犠牲者が出る。

【０００４】そこで本発明者は、火災発生に出会った一
般市民の犠牲を防止すべく、種々の検討を行った。その
結果、煙や有毒ガスが発生しても、安全な空気、言い換
えれば酸素を吸い続けることができれば、犠牲者を減ら
すことができるのではないか、と考えた。しかし、デパ
ートやホテルは幼児や子供も集まるので、大きな酸素ボ
ンベや吸入具では用をなさない。一方、山火事や広範囲
の屋外火災と異なり、或る建物内の火災であるから、短
かい避難距離で別のフロアに逃げたり、防火壁外に避難
することができる。

【０００５】本発明は、火災発生時の諸問題に鑑みて成
されたものであり、その目的は簡便に装着し得るうえに
避難行動を容易に行うことができ、しかも有毒ガスや煙
の吸引防止と酸素吸入を確実に行い得る呼吸具を提供す
ることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

（１）本発明に係る前記目的は、使用者の顔面全体を気
密に覆うとともに、両眼を覆う位置に外部を目視する窓
部を形成し、且つ鼻孔及び口腔に対応する位置に前記使
用者が呼吸を行うための吸入部を設けたマスクと、前記
吸入部に酸素を供給する容器と前記吸入部に使用者によ
って排出された空気について酸素富化を行う炭酸ガス吸
収剤を充填した容器とを装着した着脱容易な着衣と、前
記吸入部と前記酸素を供給する容器及び前記炭酸ガス充
填剤を充填した容器とを通気可能に接続するパイプとに
より構成した呼吸具によって達成される。（２）本発明に係る前記目的は、使用者の顔面全体を気
密に覆うとともに、両眼を覆う位置に外部を目視する窓
部を形成したマスクと、前記マスクの着用時に口腔に対
応する位置に形成され、且つ吸気時に開状態になる第１
の弁と排気時に開状態になる第２の弁とを備えたマウス
ピースと、前記第１の弁への通気路に酸素を供給するボ
ンベを装着した着脱容易な着衣とにより構成した呼吸具
によって達成される。

【０００７】

【作用】即ち、前記第１の手段にあっては、マスクによ
って使用者の顔面が気密に、しかも外部を見ることがで
きるように覆われる。そして、使用者には着脱容易な着
衣に装着した酸素容器から吸入部を介して酸素が供給さ
れ、また使用者が排気した空気は炭酸ガス充填剤に供給
されて酸素富化されるので、使用者は煙や有毒ガスが充
満している例えば火災現場であっても、安全に呼吸を続
けながら避難することができ、更に前記酸素富化作用に
よって呼吸可能期間を長期化させ、避難時の行動時間を
延長させることができる。また、前記第２の手段にあっ
ては、マスクによって使用者の顔面が気密に、しかも外
部を見ることができるように覆われる。そして、使用者
には着脱容易な着衣に装着した酸素容器から吸入部を介
して酸素が供給される一方、使用者が排出した空気は排
気時に開状態になる弁を介してマスク外に排出されるの
で、煙等を吸引することなく安全に呼吸を続けながら避
難することができる。

【０００８】

【実施例】以下、第１を参照して本発明を適用した呼吸
具の第１実施例を説明する。図１（ａ）は呼吸具を構成
するマスク部分の外観図であり、図１（ｂ）は着衣部分
の一部切り欠き斜視図である。呼吸具１の構成を大別す
ると、顔面を気密に覆うマスク２、後述する炭酸ガス吸
収剤や酸素ボンベを装着した着衣３からなっている。マ
スク２は、顔面の全面を気密に覆うように形成され、硬
質材料で構成された枠体１１の内面には顔面に密着する
ようにスポンジ等が張られている。また、両眼に対応す
る位置は、外部を目視できるように窓部１２に構成さ
れ、枠体１１や頬等を覆うカバー部１３と一体になって
いる。

【０００９】吸入部１４は、鼻孔や口腔を覆うととも
に、酸素の供給と排気された気体、即ち呼吸後の空気を
後述する炭酸ガス吸収剤に供給して酸素富化を行うよう
に構成されている。吸入部１４には排気された気体を炭
酸ガス吸収剤に供給するためのパイプ１５の一端が接続
され、更に枠体１１の側面であって一方の耳に相当する
位置に設けた特殊ボンベ１６と通気可能に接続するパイ
プ１７の一端が接続されている。また、枠体１１の側面
であって、他方の耳に相当する位置に設けた特殊ボンベ
１８と後述する酸素ボンベとはパイプ１９により接続さ
れている。なお、特殊ボンベ１６、１８は、枠体１１内
に設けたパイプにより通気可能に接続され、酸素ボンベ
からパイプ１９を介して供給される酸素に窒素等を付加
した後、パイプ１７を介して吸入部に供給するようにな
っている。

【００１０】一方、着衣３は咄嗟の場合に着やすいよう
にベスト型に形成され、その背部に一部切り欠いて図示
したように炭酸ガス吸収剤を充填したボンベ３１や図示
を省略した酸素ボンベが装着されている。そして、ボン
ベ３１と吸入部１４とが着衣３の前面から引き出された
パイプ１５により通気可能に接続され、酸素ボンベと特
殊ボンベ１８とが着衣３の前面から引き出されたパイプ
１９により通気可能に接続されている。なお、着衣３を
身に着けて避難する際、簡単に抜け落ちてはいけないの
で、前面を止着する必要がある。止着構造としては、ボ
タン、結び紐等の種々の方法が考えられるが、止着作業
が容易な、いわゆるマジックテープが好適である。

【００１１】次に、呼吸具１の使用方法について説明す
る。呼吸具１を使用する場合は、着衣３を身につけ、マ
スク１を頭部からかぶるようにする。枠体１１の上部か
ら背面にかけて、抜け落ち防止用のベルト１１ａが設け
られているので、言わばヘルメットをかぶったようにな
り、顔面が窓部１２やカバー部１３により覆われ、鼻孔
や口腔が吸入部１４によって覆われる。この際、マスク
２の内部に外部の空気、言い換えれば火災現場における
煙や有毒ガスが入り込まないようになり、使用者が吸い
込んだり、目にしみたりしないようになる。そして、呼
吸を開始することにより、酸素ボンベから酸素が吸いだ
され、窒素等を付加した空気が吸入部１４に供給され、
使用者が安全に呼吸できるようになる。

【００１２】使用中においては、吐きだされた空気が炭
酸ガス吸収剤を充填したボンベ３１に供給され、酸素富
化が行われる。使用者は緊急に避難するのであるから、
酸素の消費量が増加するが、酸素富化を行うことにより
長時間の呼吸が可能になり、この分酸素ボンベを小型な
ものにして軽量化を図ることができる。なお、炭酸ガス
吸収剤としては、ｅＯＢＡとして日本酸素株式会社から
販売されているものがある。

【００１３】このように呼吸具１は緊急を要する際に使
用されるのであるから、軽量で取扱やすい構造が要求さ
れるが、小型軽量化を第一にして酸素ボンベ等を小容量
のものにすれば、避難中に酸素切れになる等の不都合が
生じる。そこで本実施態様では、火災現場の状況や使用
者の態様、更に使い勝手を勘案して、火災のなかで少な
くとも１０分から１５分程度は行動できるように酸素ボ
ンベを例えば３００ｃｃ、２００気圧程度のものに設定
するとともに、子女が着用しても容易に動けるように全
体重量が２ｋｇから３ｋｇになるように構成した。ま
た、操作が簡単になるように特別の操作手段も設けず、
全体として避難行動の邪魔にならない大きさ、形状にし
た。更に、煙や有毒ガスを吸い込まなくても、目にしみ
ると目を開けていられなくなり、避難行動に支障をきた
す。そこで、マスク２内に煙等がしみ込まないように、
顔面全体を気密に覆うように枠体１１の内面にスポンジ
等を張りつけた。従って、この呼吸具１の使用者は、火
災現場において迅速に避難することができ、煙に巻かれ
て死亡する等の不所望な事故を未然に防止することがで
きる。

【００１４】次に、図２及び図３を参照して本発明の第
２実施例を説明する。なお、本実施例の特徴は、使用者
が酸素を吸気するとともに、排気した空気をマスク外に
排出し得るように構成したことにある。従って、第１実
施例と同一の作用をなす部材には同一の符号を付し、重
複説明を省略する。吸気部２１の外部構造にはついて説
明すると、パイプ固定部２２にパイプ２３の一端が取り
付けられ、ベスト３の背面に装着された酸素ボンベ３２
から酸素を供給するようになっている。そして、パイプ
固定部２２の反対側に設けた排出部２４から使用者の排
気をマスク２外に排出するようになっている。

【００１５】以下、図３を参照して吸気部２１の内部構
造を説明すると、カバー部１３の内側に使用者が口にく
わえるためのマウスピース４１が設けられ、このマウス
ピース４１とパイプ固定部２２との間には酸素を通気す
るための第１の通気孔４２が形成され、マウスピース４
１と排出部２４との間には、使用者が排気した空気をマ
スク２外に通気するための通気孔４３とが形成されてい
る。通気孔４１内には、酸素の圧力を調整する圧力弁４
４、使用者が吸気するとき開状態になり、排気するとき
閉状態になる開閉弁４５が設けられている。また、通気
孔４３内には、使用者が吸気を行う際に閉状態になり、
排気を行う際に開状態になる開閉弁４６が設けられてい
る。

【００１６】次に、使用方法を説明すると、第１実施例
で述べた場合と同様に着衣３を身につけ、マスク２をか
ぶった状態でマウスピース４１を口にくわえる。枠体１
１の上部にはバンド１１ａが設けられているので、前記
同様に抜け落ちることがなく、またマウスピース４１を
くわえることにより、マスク２全体が顔面に当てつけら
れるようになる。従って、マスク２内に煙等が入り込む
ことがなく、目にしみて周囲が見にくくなる等の事態を
防止することができる。

【００１７】マウスピース４１を加えた状態で呼吸を行
うと、吸気時には一方の開閉弁４５が開き他方の開閉弁
４６が閉じるので、使用者は圧力弁４４により圧力調整
された酸素を吸気する。この際、開閉弁４６が閉じてい
るので、吸気した酸素が通気孔４３から無駄に排出され
てしまうことがない。一方、使用者が排気を行う場合
は、開閉弁４６が開いてそのままマスク２外に排出す
る。一見すると、開閉弁４６が開いた場合に煙や有毒ガ
スが逆流してマウスピース４１内に流入するように思わ
れるが、開閉弁４６は口の近傍であり、しかも通気孔４
３は細いので排出する空気の流れが早く、煙や有毒ガス
が流れ込むことがない。そして、排気から吸気へ移行す
る場合は、吸気に移行すると同時に開閉弁４６が閉じら
れ、開閉弁４５が開くので、使用者は窒息することなく
円滑に呼吸を続けることができる。

【００１８】本実施例の呼吸具１は、マスク２の構造が
簡単であるため軽量化を図ることができる。しかも、着
衣３には炭酸ガス吸収剤を充填したボンベが取り付けら
れておらず、着衣３も軽くすることができる。従って、
使用者は安全に呼吸しながら迅速に避難することができ
る。前記ボンベ３１、３２はアルミニゥム等の軽い材質
を用いて構成され、着衣３は耐熱、防災繊維を用いて構
成されている。従って、呼吸具１は２ｋｇから３ｋｇ程
度に軽くすることができ、逃げ遅れのないようにするこ
とができる。また、着衣３は耐熱性に優れたものにな
り、避難中に焦げて恐怖感を催すような事態を避けるこ
とができる。

【００１９】以上に本発明の実施例を説明したが、本発
明は前記に限定されず種々の変形が可能である。例え
ば、第２実施例においては、着衣３に炭酸ガス吸収剤を
充填したボンベが装着されていないので、酸素ボンベを
増してもよい。更に、マスク２の頂部を頭巾状のもので
覆うように構成し、火の粉を避けるとともに、落下物に
対処するように構成してもよい。また、枠体１１の一部
に照明器具を設けてもよい。この場合、火災現場の照明
が消えても使用者は周囲を照らしながら避難することが
でき、迷いによる逃げ遅れを低減することができる。枠
体１１の一部に光反射の良好なキューブミラーや、蛍光
塗料を塗布してもよい。この場合、消防手の照明が反射
するので、避難する者の発見が早くなり、救出活動を行
いやすくなる。呼吸具の使用者は、火災現場等から避難
する者に限定されるものではなく、救助する者、更に化
学プラント等で事故が発生した場合に補修作業を行う作
業員等の広い範囲にわたる。

【００２０】

【発明の効果】本発明に係る吸気具は、使用者の顔面を
気密に覆うとともに外部を見るための窓部及び前記使用
者に酸素を供給する吸入部を設けたマスクと、前記吸入
部を介して酸素を供給する酸素ボンベ及び前記使用者が
排気した空気について酸素富化を行う炭酸ガス吸収剤を
充填したボンベとを装着した着脱容易な着衣とにより構
成したものである。従って、火災現場等から避難する
際、使用者は着衣を身に着けマスクをかぶることによ
り、煙や有毒ガスを吸い込むことなく酸素による呼吸を
行いながら避難行動をとることができる。しかも、使用
者の呼吸により排気された炭酸ガスは、炭酸ガス吸収剤
により酸素富化されるので、言わば酸素供給量を増大し
たようになり、避難に要する行動範囲や避難時間を拡大
させることができる。また、マスク、着衣とも軽量化さ
れているので、避難行動が容易になり、火災現場等から
迅速に避難することができる。更に本発明に係る吸気具
は、前記マスクに設けた吸入部に、使用者が吸気を行う
際に開状態に動作して着衣に装着した酸素ボンベから酸
素を供給する第１の弁と、使用者が排気を行う際に開状
態に動作して使用者が吐きだした空気をマスク外に排出
する第２の弁を設けたものである。従って、火災現場等
から避難する際、使用者は着衣を身に着けマスクをかぶ
ることにより、前記同様に安全に呼吸しながら避難する
ことができ、しかも炭酸ガス吸収剤を充填したボンベが
不要であるから、着衣の軽量化とマスクの簡略化が可能
になり、避難行動がより一層容易になる。また、呼吸具
の低コスト化を図ることができるので、安価かつ安全な
避難用呼吸具を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示す呼吸具の外観図であ
る。

【図２】本発明の第２実施例を示す呼吸具の外観図であ
る。

【図３】本発明の第２実施例を示す吸入部の断面図であ
る。

【図中符号】

１呼吸具２マスク３着衣１１枠体１２窓部１３カバー部１４、２１吸入部１５、１７、１９、２３パイプ４１マウスピース４２第１の通路４３第２の通路４５第１の弁４６第２の弁

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】使用者の顔面全体を気密に覆うとともに、
両眼を覆う位置に外部を目視する窓部を形成し、且つ鼻
孔及び口腔に対応する位置に前記使用者が呼吸を行うた
めの吸入部を設けたマスクと、前記吸入部に酸素を供給
する容器と前記吸入部に使用者によって排出された空気
について酸素富化を行う炭酸ガス吸収剤を充填した容器
とを装着した着脱容易な着衣と、前記吸入部と前記酸素
を供給する容器及び前記炭酸ガス充填剤を充填した容器
とを通気可能に接続するパイプとにより構成したことを
特徴とする呼吸具。
【請求項２】使用者の顔面全体を気密に覆うとともに、
両眼を覆う位置に外部を目視する窓部を形成したマスク
と、前記マスクの着用時に口腔に対応する位置に形成さ
れ、且つ吸気時に開状態になる第１の弁と排気時に開状
態になる第２の弁とを備えたマウスピースと、前記第１
の弁への通気路に酸素を供給するボンベを装着した着脱
容易な着衣とにより構成したことを特徴とする呼吸具。