JPH05245000A - 結核菌の特異的検出法 - Google Patents

結核菌の特異的検出法

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JPH05245000A
JPH05245000A JP4049433A JP4943392A JPH05245000A JP H05245000 A JPH05245000 A JP H05245000A JP 4049433 A JP4049433 A JP 4049433A JP 4943392 A JP4943392 A JP 4943392A JP H05245000 A JPH05245000 A JP H05245000A
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dna
mycobacterium tuberculosis
primer
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潤一郎 吉川
Noritatsu Yokoyama
教達 横山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 結核菌の特異的、高感度、迅速な検出法を提
供する。 【構成】 結核菌群の特異的検出方法であって、該結核
菌群を含むと思われる試料から該結核菌群の16S rR
NA遺伝子を含むDNA塩基配列を抽出し、16S r
RNA遺伝子DNA塩基配列中の該結核菌群に特異的な
配列に相補的なプライマーであって、センスストランド
用オリゴヌクレオチドプライマーおよびアンチセンスス
トランド用オリゴヌクレオチドプライマーからなる組合
せ、4種のデオキシヌクレオシド三リン酸およびDNA
合成酵素を該抽出したDNA溶液に適用して、該両プラ
イマーのヌクレオチド配列を両端に有するDNA断片を
増幅させ、該増幅されたDNA断片を制限酵素によって
処理し、制限酵素処理した後の該DNA増幅断片を電気
泳動にかけ、核酸結合膜に固定し、ついで該DNA増幅
断片の一部分に相補的な標識プローブをハイブリダイズ
させ、該標識プローブの標識を検出することによって該
結核菌群の存在を検出することを特徴とする方法;およ
び該方法に用いるプライマーおよびプローブ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、結核菌群の特異的かつ
迅速、高感度の検出法、および該方法に使用するプライ
マーおよびプローブに関する。
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】結核
菌(Mycobacterium tuberculosis)を起炎菌とする結核菌
感染症は、新しい化学療法の発達や生活環境の改善など
により年々減少してきてはいるものの、発展途上諸国に
おいては、年間900万人の結核患者が発生し、300
万人が結核によって死亡しており、いまだに患者を死に
至らしめる重篤な感染症であることには間違いない。ま
た、わが国においてもその減少は、1977年をさかい
に鈍化の傾向を示しており、1988年の1年間には5
4357人の新規患者が登録されているのが現状であ
る。結核感染症の診断・治療には、早期に結核菌を検出
することが必要であり、そのための迅速で高感度な検出
方法が望まれている。
【0002】結核菌を検出する方法としては、チール・
ネールゼン(Ziehl-Neelsen)染色による検鏡法、コール
ド式抗酸菌染色による鏡検法、培地を用いた培養法など
が知られている。新しく開発された培養法としては、14
Cで標識した基質を含む選択複合抗菌剤PANTAを添
加したミドルブルック7H12B培地に検体を接種、培
養し、接種菌の増殖に伴って培地中の14C標識基質をカ
ルボキシル化する時に発生する14CO2をラジオメトリ
ックに測定することによって菌増殖の有無を知る Bacte
c 460 TB システムがある。また、マイコバクテリ
ウム属(Mycobacterium)の菌体構成物質の1つであるツ
ベクロステアリン酸(TBSA)をガスクロマトグラフィ
ー/マススペクトル(GC/MS)によって定量するTB
SA検出法が開発されている。さらに、DNAハイブリ
ダイゼーションを利用したDNAプローブ法も知られて
いる。
【0003】しかしながら、上記従来方法は、種々の欠
点を有する。すなわち、鏡検法は染色の如何にかかわら
ず、その染色結果から結核菌の特定を行うことはできな
い。培養法は、結果を得るまでに4週間〜8週間の長期
間を要する。Bactec 460TB システムを用いた培養
では、結果を得るまでの時間を1週間〜2週間に短縮す
ることが可能であるが、14Cを使用するためRI施設を
必要とする。また、TBSA検出法は、高価な設備機器
を必要とすること、多検体を同時に処理できないことな
ど問題が多い。DNAプローブ法は、微量の菌体を検出
する際に培養の過程が避けられず、培養法と同様、長期
間の時間を要する。加えて、ラジオアイソトープを使用
するためRI施設が必要である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、結核菌に特異
的な塩基配列に相補的な1組のプライマーを用いて該特
異的配列を増幅させたうえで、制限酵素で処理し、得ら
れた断片から結核菌に特異的な断片のみを相補的標識プ
ローブを用いて検出することにより、結核菌を迅速、高
感度に検出し得ることを見いだし、本発明を完成するに
至った。
【0005】すなわち、本発明は、結核菌群(Mycobacte
rium tuberculosis complex)の特異的検出方法であっ
て、該結核菌群を含むと思われる試料から該結核菌群の
16SrRNA遺伝子を含むDNA塩基配列を抽出し、1
6S rRNA遺伝子DNA塩基配列中の該結核菌群に
特異的な配列に相補的なプライマーであって、センスス
トランド用オリゴヌクレオチドプライマーおよびアンチ
センスストランド用オリゴヌクレオチドプライマーから
なる組合せ、4種のデオキシヌクレオシド三リン酸およ
びDNA合成酵素を該抽出したDNA溶液に適用して、
該両プライマーのヌクレオチド配列を両端に有するDN
A断片を増幅させ、該増幅されたDNA断片を制限酵素
によって処理し、制限酵素処理した後の該DNA増幅断
片を電気泳動にかけ、核酸結合膜に固定し、ついで該D
NA増幅断片の一部分に相補的な標識プローブをハイブ
リダイズさせ、該標識プローブの標識を検出することに
よって該結核菌群の存在を検出することを特徴とする方
法に関する。本発明の結核菌の検出法は、従来法に比べ
て簡便であり、高感度かつ迅速である。
【0006】本発明はさらに、上記検出法に用いるプラ
イマーおよびプローブにも関する。上記「結核菌群」と
は、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacte
rium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ボビス(Myc
obacterium bovis)、マイコバクテリウム・アフリカヌ
ム(Mycobacterium africanum)、マイコバクテリウム・
ミクロチ(Mycobacterium microti)の4菌種を指すが、
今枝(InternationalJournal of Systematic Bacteriolo
gy35、147〜150(1980))およびアイゼナッ
ハ(Eisenach)(American Review of Respiratory Diseas
e133、1065〜1068(1986))によれば、こ
れら結核菌群を構成する4種の菌株は同一菌種単位に匹
敵すると報告されている。すなわち、これら4種の菌株
からなる結核菌群は、ヒト結核患者において通常認めら
れる結核菌を総称したものであり、いずれの菌種もほぼ
同等の同定特性を有するものである。従って、本明細書
において「結核菌群」なる語と「結核菌」なる語とは、ヒト
結核患者で認められる病原菌としての結核菌を総称する
ものとして、ほぼ同等の意味で用いられている。
【0007】16S rRNA遺伝子のDNA塩基配列中
には、結核菌に特異的な配列が含まれている。たとえ
ば、75番目の塩基から97番目の塩基の間の配列、お
よび453番目の塩基から475番目の塩基の間の配列
は、細菌種特異的に保存されている配列である[スズキ
(Suzuki,Y.)、ナガタ(Nagata,A.)、オノ(Ono,Y.)、ヤマ
ダ(Yamada,T.)のJournal of Bacteriology170、28
86−2889(1988年)]。このような結核菌に特
異的な配列を選択することは本発明の方法において非常
に重要であり、たとえば、上記特定の塩基よりもそれぞ
れ数塩基上流側または下流側にずらした位置でプライマ
ーを作成した場合、該プライマー間のDNA配列を結核
菌に特異的に増幅させることができず、結核菌以外にも
数多くの細菌種について同様のDNA断片が増幅される
結果を招く。
【0008】本発明の方法に用いる上記相補的プライマ
ーとは、上記特異的配列に相補的な一重鎖DNAからな
るオリゴヌクレオチドであり、下記配列: センスストランド用プライマー: 5′−GGTCTCTTCGGAGATACTCGAGT−3′ アンチセンスストランド用プライマー: 5′−CCGTCAATCCGAGAGAACCCGGA−3′ を有するプライマー、又はこれらと同等の相補性を有す
るプライマーが好ましい。ここで同等の相補性を有する
プライマーとは、相補性を妨げない程度で上記塩基配列
中のヌクレオチドの欠失、挿入、置換等を含むプライマ
ーを意味し、このようなプライマーも本発明のプライマ
ーに含まれる。
【0009】結核菌を含むと思われる試料から目的DN
Aを抽出するには、結核菌感染が疑われる動物個体より
得られた排出物中に存在する細胞から、界面活性剤やタ
ンパク質分解酵素を用いる方法あるいは凍結融解を繰り
返す方法などの通常の方法によってDNAを抽出すれば
よく、これをフェノール、クロロホルム、エタノール等
を使用して精製して溶液とする。
【0010】本発明の方法においては目的結核菌の検出
のために該結核菌に特異的な塩基配列を上記プライマー
対を用いて増幅させる。その際、たとえば、サイキ(Sai
ki,R.K.)らによって報告されたPCR法(Science23
、487−491(1988年)、特開昭61−274
697)、その変法およびその改良法(以下「PCR法
等」という)を用いるのが好ましい。これらのPCR法
等により、少量の試料から特定のDNA断片を飛躍的に
増幅させることができる。以下、そのPCR法等の手順
を簡単に説明する。
【0011】まず、増幅すべきDNA配列を変性して2
本の一重鎖DNA配列とする。つぎに、増幅すべきDN
A配列の一方の鎖の一方の端部に相補的な一重鎖オリゴ
ヌクレオチドである第一プライマーおよび他方の鎖のも
う一方の端部に相補的な一重鎖オリゴヌクレオチドであ
る第二プライマーを用意する。増幅系は、増幅すべきD
NA配列(鋳型として働く)、4種のデオキシヌクレオシ
ド三リン酸(dATP、dCTP、dGTPおよびdT
TPもしくはdUTP)およびDNAポリメラーゼから
なる。この増幅系に上記2種類のプライマーの組合せを
過剰に加え、増幅すべきDNA配列を有する鋳型DNA
と上記2種のプライマーをそれぞれアニールさせ、つい
でDNAポリメラーゼと4種のデオキシヌクレオシド三
リン酸とから各鋳型上に相補鎖を合成させる。つぎに、
生成した二重鎖を熱変性によって一重鎖としたうえで、
それぞれの鎖を鋳型として上記と同じアニール、相補鎖
の合成の手順を繰り返せば、プライマーに挟まれた部分
のみを指数関数的に増やすことができるのである。
【0012】以上のように、理論上、プライマーに挟ま
れた部分のDNA配列は、上記一連の操作をNサイクル
行うことにより2N倍に増幅され、DNAポリメラーゼ
は1分間に数百から数千塩基の合成が行えるので1サイ
クルを5〜7分で行うことができる。従って、たとえば
25サイクルの増幅が3時間程度で終了し、各サイクル
の効率が90%であるとすれば、(1+0.9)25すなわ
ち約100万倍に増幅できることになる。なお、PCR
法等において用いるDNAポリメラーゼとしては、DN
Aの開裂温度において耐熱性であるポリメラーゼ、たと
えばTaq、Tthポリメラーゼなどを用いると、各サ
イクルの熱変性の手順のたびに該酵素の補充をする必要
がほとんどなくなるのでPCR法等をより簡便、迅速な
方法となし得る。
【0013】上記増幅されたDNA断片は、結核菌が保
有する16S rRNA遺伝子の一部分を含むDNA断片
である。そのDNA断片の大きさは、PCR法等におい
てはプライマーに挟まれる部分のDNA配列が増幅され
るため、用いるプライマーの種類に依存する。本発明の
場合は、75の位置番号から始まるセンスストランド用
プライマーと475の位置番号で終わるアンチセンスス
トランド用プライマーとをPCR法等にて用いるので、
増幅されるDNA断片は、塩基配列番号の75から47
5までの部分となり、その大きさは401塩基対であ
る。
【0014】つぎに、上記で増幅されたDNA断片を制
限酵素を用いて断片化する。ここで制限酵素とは、DN
A鎖の特定の塩基配列を特異的に認識し、その配列の部
分、あるいは少し離れた部分を切断する酵素である。従
って、プライマーの選択に際して、増幅されたDNA断
片中に結核菌に特異的な制限酵素認識部位(作用部位)が
存在するようにしておけば、その後に該増幅DNA断片
に制限酵素を作用させることにより、特異的な長さを有
するDNA断片が得られることになる。本発明は、その
ような特異的な制限酵素認識部位が得られるように上記
2種のプライマーを選択したものである。
【0015】すなわち、本発明の制限酵素は、5'−G
CGC−3'なる塩基配列を認識する制限酵素であり、
結核菌群が保有する16S rRNA遺伝子のDNA塩基
配列において塩基配列番号の208から211と376
から379の二箇所に存在する上記塩基配列を認識し切
断することにより、168塩基対、136塩基対、およ
び97塩基対の3つの特異的DNA断片が得られる。し
かしながら、他のマイコバクテリウム属においては、結
核菌群の16S rRNA遺伝子の塩基配列番号の208
から211に相当する位置の制限酵素認識塩基配列は存
在しないため、そのような断片は得られない。結核菌群
以外の一部のマイコバクテリウム属には、結核菌群の1
6S rRNA遺伝子の塩基配列番号の184から190
に相当する位置に制限酵素認識塩基配列が存在するもの
があるが、下記に述べる本発明のプローブは、その塩基
配列番号の182から197の位置に該制限酵素認識配
列を包含している。すなわち、そのような184から1
90に相当する位置に制限酵素認識塩基配列を有する細
菌では、増幅DNA配列の制限酵素による処理の結果、
該制限酵素認識塩基配列において開裂して断片を生じ、
そのため本発明のプローブとはハイブリダイズすること
ができないから、結核菌群のみが本発明の特異的プロー
ブにより検出することができるのである。
【0016】つぎに、上記で断片化したDNA配列を電
気泳動に供し、アルカリ変性して一重鎖にした後、核酸
結合膜に固定させる。すなわち、上記増幅されたDNA
断片を制限酵素で処理した後の特異的DNA断片を、ド
ットブロット法やサザンブロット法あるいはエレクトロ
ンブロット法等によってニトロセルロース膜やナイロン
膜などの核酸結合膜に移し、加熱や紫外線照射により膜
に結合させる。つぎに、上記膜に固定化されたDNA断
片を標識プローブを用いて検出する。この標識プローブ
は化学修飾されており、プローブ、すなわち上記増幅さ
れたDNA断片や制限酵素処理後の特異的DNA断片ま
たは16S rRNA遺伝子の一部分の塩基配列と相補的
なオリゴヌクレオチドを、ハプテン、ビオチン、蛍光色
素、放射性同位元素などによって標識したものである。
この標識プローブを用いて、上記増幅されたDNA断片
や制限酵素処理後のDNA断片または16S rRNA遺
伝子を検出することができる。
【0017】本発明のプローブは、結核菌群の16S r
RNA遺伝子の塩基配列番号182から197に相当す
る下記配列: 5′−ACGGGATGCATGTCTT−3′ を有するもの、またはこれらと同等の相補性を有するプ
ローブを標識したものである。ここで同等の相補性を有
するプローブとは、相補性を妨げない程度で上記塩基配
列中のヌクレオチドの欠失、挿入、または置換を有する
ものを意味し、そのようなプローブも上記プローブに含
まれる。
【0018】なお、本発明においては、上記PCR等の
増幅法において、4種のデオキシヌクレオシド三リン酸
の1つとしてdUTPを使用しているが、それは上記増
幅DNA断片がウラシルDNAとなるようにするためで
ある。従って、dUTPの代わりにdUTPの一部をd
TTPに置き換えても同様の結果が得られるのである
が、最初の増幅反応を実施する直前にウラシルDNA分
解酵素を作用させて反応溶液中に誤って混入した汚染増
幅DNA断片を分解しておき、その後に増幅反応を行う
ことによって偽陽性を防止することが可能となり、検出
の精度が向上する。
【0019】
【実施例】つぎに、実施例に基づいて本発明をさらに詳
しく説明するが、本発明はこれらに限られるものではな
い。実施例1 結核菌の16S rRNA遺伝子の一部を含むDNA断片
のPCR法による増幅、増幅DNA断片の制限酵素処理
および制限酵素処理DNA断片(特異的DNA断片)の検
出: A.16S rRNA遺伝子を含む結核菌DNAの調製:
【0020】結核菌(Mycobacterium tuberclosis)H3
7RV株を、1%小川培地(極東製薬工業株式会社製)を
用いて37℃にて4週間純培養を行い、得られたコロニ
ーを白金耳でマイクロチューブに集めた。得られた菌体
にTE緩衝液(1mM EDTAを含む10mM Tri
s−HCl(pH7.5);200μl)を加えて懸濁後、
20%SDS(10μl)を加えて撹拌し、凍結融解を5
回繰り返した後、75℃で10分間加温し菌体を破壊し
た。これに0.1% 8−ヒドロキシキノリンを含むフェ
ノールで飽和した1M Tris−HCl(pH8.0)
(以下「フェノール」という)(200μl)を加えて混和
後、4℃にて5分間、11000rpmで遠心分離し、
その上層を別のマイクロチューブに移し、フェノール
(100μl)およびクロロホルム/イソアミルアルコー
ル(24:1)(以下「クロロホルム」という)(100μ
l)を加えて混和後、4℃にて5分間、11000rp
mで遠心分離し上層を得た。フェノール/クロロホルム
(1:1)(200μl)による抽出操作を2回繰り返し
た。上層を別のマイクロチューブに移し、クロロホルム
(200μl)を加えて混和後、4℃にて5分間、110
00rpmで遠心分離しDND溶液を得た。
【0021】この得られたDNA溶液にその1/10量
の3M酢酸ナトリウム(pH5.9)および2.5倍量の
エタノールを加え、−70℃に1時間静置した。その
後、4℃にて10分間、14000rpmで遠心分離す
ることにより得られたDNAの沈澱を70%冷エタノー
ルで洗浄後、再度4℃にて10分間、14000rpm
で遠心分離して得られたDNAの沈澱を減圧下に乾燥し
た後、TE緩衝液(100μl)にて溶解し、DNA試料
溶液として凍結保存した。
【0022】B.オリゴヌクレオチドプライマーおよび
オリゴヌクレオチドプローブの選択および合成:ウシ型
結核菌の16S rRNA遺伝子の塩基配列[スズキ(Suzuk
i,Y.)、ナガタ(Nagata,A.)、オノ(Ono,Y.)、ヤマダ(Yam
ada,T.)、Journal of Bacteriology170、2886−
2889(1988)]、エルナ・ダムス(Erna Dams)らの
文献(Nucleic Acids Research 16巻特集号 r87−
173(1988))およびティル・ロガル(Till Rogall)
らの文献(International Journal of Systematic Bactr
iology40、323−330(1990))に記載の塩基配
列をもとに、各種細菌種間に共通な配列およびGC含量
の多い領域を含まず、プライマーダイマーを形成せず、
かつTm値がほぼ同じである一組のプライマーを選択し
た。
【0023】すなわちセンスストランド用プライマーと
して下記配列: 5′−GGTCTCTTCGGAGATACTCGAGT−3′ を有するもの、およびアンチセンスストランド用プライ
マーとして下記配列: 5′−CCGTCAATCCGAGAGAACCCGGA−3′ を有するものを選択した。プローブの選択も同様に上記
文献に記載の塩基配列をもとに、細菌種間に共通な配列
およびGC含量の多い領域を含まない下記配列: 5′−ACGGGATGCATGTCTT−3′ を有するものを選択した。上記プライマーおよびプロー
ブの化学合成は、常法に従って行った。
【0024】C.結核菌の16S rRNA遺伝子の一部
を含むDNA断片の増幅:上記工程Aで調製したDNA
を上記PCR法を用いて増幅させた。上記工程Bで合成
したプライマーをPCR法において使用した。表1に示
した組成の反応液をミネラルオイルで覆いサーマル・リ
アクター(英国、HYBAID社製)にセットした。ウ
ラシルDNA分解酵素を37℃にて10分間作用させて
偽陽性の原因となり得る汚染増幅DNA断片を分解した
後、94℃で10分間加熱してウラシルDNA分解酵素
を失活させた。ここで、上記汚染増幅DNA断片とは、
過去に工程B記載のプライマーを使用して増幅された残
留DNA断片を意味する。そのような残留DNA断片
は、その5′および3′側の23塩基対が上記プライマ
ーと相補性を有するため、誤って上記反応液中に混入し
た場合、偽陽性の原因となる可能性がある。以上の前処
理を行った後、熱変性(92℃にて1分間)、アニーリン
グ(62℃にて2分間)、伸張反応(72℃にて2分間)か
らなるサイクルを40サイクル行った。
【0025】
【表1】 表1 成分 容量(μl) 10倍濃度の反応用緩衝液 5.00 dNTPs 1.30 プライマー 1.00 DNA溶液 適量 Taqポリメラーゼ(5単位/μl) 0.25 ウラシルDNA分解酵素(1単位/μl) 0.50 蒸留水 適量 合計 50.00
【0026】上記表1において、10倍濃度の反応用緩
衝液は、500mM KCl、15mM MgCl2、0.
1%ゼラチンを含有する100mM Tris−HCl
(pH8.3)からなるものであり、dNTPsは各10
ナノモル(dUTPに関しては20ナノモル)の4種のデ
オキシヌクレオシド三リン酸(dATP、dGTP、d
CTP、およびdUTP)を含有するものであり、プラ
イマーは、それぞれ12.5ピコモルのセンスストラン
ド用プライマーおよびアンチセンスストランド用プライ
マーを含有するものであり、DNA溶液は上記工程Aで
調製したDNA試料溶液であり、0.5μgのDNAを含
有している。TaqポリメラーゼおよびウラシルDNA
分解酵素はともにパーキン・エルマー・シータス(Perki
n ElmerCetus)社製のものを使用した。
【0027】D.増幅DNA断片の制限酵素処理:増幅
反応後、反応溶液を全て別チューブに移し替え、フェノ
ール(25μl)およびクロロホルム(25μl)を加えて
撹拌後、4℃にて5分間、11000rpmで遠心分離し
た。上層を再び別チューブに移し替え、3M酢酸ナトリ
ウム(pH5.9、5μl)および2.5倍量のエタノール
を加え、−70℃にて1時間静置した。その後、4℃に
て10分間、14000rpmで遠心分離し、得られたD
NAの沈澱を減圧下で乾燥後、蒸留水(17.5μl)中
に再溶解した。10倍濃度の反応緩衝液(2μl)および
制限酵素(0.5μl)を加えてミネラルオイルで覆った
後、37℃で2〜3時間酵素反応を行った。
【0028】上記で用いた10倍濃度の反応緩衝液に
は、100mM Tris−HCl(pH7.5)、100
mM MgCl2、10mMジチオトレイトール、500
mMNaClが含まれていた。また、上記制限酵素とし
てはHhaI(10単位/μl)を用いた。 E.制限酵素処理後のDNA断片の臭化エチジウム染色
による検出:上記工程Dで制限酵素処理により得られた
特異的DNA断片を含む反応液(10μl)をDNAサイ
ズマーカーとともに2.5%アガロースゲルにて電気泳
動を行った後、臭化エチジウムで染色した。その結果を
図1に示す。図1に示すように、168塩基対、136
塩基対、97塩基対の各特異的DNA断片が認められ
た。
【0029】F.特異的DNA断片のプローブによる検
出:上記工程Eで得られた染色ゲルをアルカリ変性液
(0.2N NaOH、0.6MNaCl;150ml)中
に浸し、30分間ゆっくり振盪し、アルカリ変性させ
た。ついで、ゲルを脱イオン水で軽く洗い、中和反応液
(0.2M Tris−HCl(pH7.5)、0.6M Na
Cl;150ml)中にて1時間ゆっくり振盪し、中和
させた。途中1回、中和反応液を交換した。ゲルと同じ
大きさに切ったナイロン膜を蒸留水に浮かして湿らせた
後、10×SSC(1×SSCは 0.15M NaCl、
0.015Mクエン酸ナトリウム pH7.0)中に10分
間浸した。このナイロン膜へ上記中和反応の終わったゲ
ル中の特異的DNA断片をサザーン(Southern)の方法(J
ournal of Molecular Biology 98、503−517(1
975))に準じて転写し、ナイロン膜を風乾後、254
nmの紫外線を3分間照射し固定した。
【0030】あらかじめ本発明の上記プローブを、ベー
リンガー−マンハイム社製の標識キット(DIG Oligonucl
eotide 3'-End Labeling Kit、製品番号136237
2)にてジゴキシゲニン−11−dUTPで標識してお
き、この標識プローブをナイロン膜に固定した上記DN
A断片にハイブリダイズさせ、ベーリンガー−マンハイ
ム社製の核酸検出キット(Nucleic Acid Detection Ki
t、製品番号1175041)を用い、説明書に準じて特
異的DNA断片の検出を行った。特異的DNA断片の検
出操作中、プレハイブリダイゼーションおよびハイブリ
ダイゼーションは37℃にてそれぞれ1時間および5時
間行った。また、ハイブリダイゼーション後のナイロン
膜の洗浄は、0.1%SDSを含む5×SSC用い、室
温下にて5分間、2回洗浄後、48℃にて15分間、2
回行った他は説明書に準じて行った。プローブの標識を
常法に従って酵素反応させて発色させた。その結果を図
2に示す。図2に示すように、本発明の上記プローブ
は、上記工程Eで認められた3つのDNA断片のうち1
68塩基対のDNA断片と特異的にハイブリダイズし
た。
【0031】実施例2 交叉性の検定:実施例1と同様の手順に従い、マイコバ
クテリウム属に属する細菌の内、動物個体に感染の可能
性があるもの14菌種およびヒト細胞について交叉性の
検定を行った。その結果を図3および図4に示す。
【0032】交叉性の検定に用いたマイコバクテリウム
属の13菌種(ヒト結核菌を除く)を下記表2に示す。表2 マイコバクテリウム・スクロフラセウム(Mycobacterium
scrofulaceum) マイコバクテリウム・フォルチツム(Mycobacterium for
titum) マイコバクテリウム・カンサイイ(Mycobacterium kansa
sii) マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis) マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium) マイコバクテリウム・スズルガイ(Mycobacterium szulg
ai) マイコバクテリウム・ゴルドナエ(Mycobacterium gordo
nae)
【0033】マイコバクテリウム・シェロナエ(Mycobac
terium chelonae) マイコバクテリウム・イントラセルラレ(Mycobacterium
intracellulare) マイコバクテリウム・シミアエ(Mycobacterium simiae) マイコバクテリウム・クセノピ(Mycobacterium xenopi) マイコバクテリウム・ノンクロマゲニクム(Mycobacteri
um nonchromagenicum) マイコバクテリウム・ボビスBCG(Mycobacterium bov
is BCG)実施例3 検出感度の検定:本発明による検出方法により目的結核
菌の検出を行った場合の検出感度を以下のようにして検
定した。
【0034】A.結核菌の菌希釈系列の作成およびその
培養:実施例1と同じ結核菌株(Mycobacterium tubercl
osis H37RV)を使用した。この結核菌をデュボス
培地(栄研化学株式会社製)(5ml)に一白金耳植菌し、
37℃で4週間培養した。この培養液の一部を用いて5
20nmの吸光度を測定し、同波長での吸光度が0.1
となるようにデュボス培地を用いて菌液を調製した。こ
の菌液を原液としデュボス培地を用いて10n(n=0〜
9)の希釈系列を作成し、その100μlを3%小川培
地に植菌し、37℃で8週間培養を行った。520nm
における吸光度が0.1の場合の菌濃度は106〜107
個/mlといわれており、各100μlの上記希釈液系
列を1%小川培地に植菌した場合、希釈系列の105
または106個の菌希釈液の場合まで、培養した培地中
に結核菌が存在すると仮定した。培養の結果、104
の希釈倍数まで菌の存在が確認できた。上記仮定と培養
結果が異なる原因として、培養操作および培養過程にお
ける菌の死滅が考えられる。培養結果を表3に示す。
【0035】B.16S rRNA遺伝子を含む結核菌D
NAの調製:上記工程Aで作成した菌希釈系列(各10
0μl)を1.5ml容のマイクロチューブにとり、4℃
にて5分間、11000rpmで遠心分離した後、上澄み
液を除去した。TE緩衝液(100μl)および20%S
DS(10μl)を添加し、実施例1工程Aに記載の方法
により結核菌DNAの調製を行った。 C.PCR法による結核菌16S rRNA遺伝子DNA
断片の増幅:上記工程Bで得たDNA試料溶液を用い、
実施例1工程Cに記載の方法に従ってPCR法を行い、
結核菌16S rRNA遺伝子DNA断片の増幅を行っ
た。PCR法に用いた反応液の組成は、DNA溶液とし
て上記DNA溶液(5μl)を用い、蒸留水は反応液が全
体として50μlとなるまで加えた他は表1に示した反
応液組成と同じであった。
【0036】D.結核菌16S rRNA遺伝子増幅DN
A断片の制限酵素処理:実施例1工程Dに記載の方法に
従い、上記工程Bで得られたDNA断片を制限酵素によ
り処理した。 E.制限酵素処理断片の臭化エチジウム染色による検
出:実施例1工程Eに記載の方法に従い、上記工程Dで
制限酵素処理により得られた制限酵素処理特異断片を含
む反応液(10μl)についてアガロースゲル電気泳動を
行った。その結果、168塩基対、136塩基対、97
塩基対の各DNA断片が104の希釈倍数まで確認でき
た。その結果を表3に示す。
【0037】F.特異的DNA断片のプローブによる検
出:実施例1工程Fに記載の方法に従い、上記工程Eで
得られた臭化エチジウム染色後の2.5%アガロースゲ
ルについて、168塩基対の特異的DNA断片のプロー
ブによる検出を行った。その結果を表3に示す。表3の
結果から明らかなように、上記工程Aにおいて仮定した
結果と一致した(すなわち、105の希釈倍数まで検出さ
れた)。
【0038】
【表3】 表3 希釈倍数 培養結果 臭化エチジウム フローブによる (コロニー数) 染色による検出 検出 100 多数 + + 101 多数 + + 102 多数 + + 103 30 + + 104 5 + + 105 0 − + 106 0 − − 107 0 − − 108 0 − − 109 0 − −
【0039】実施例4 動物排泄物中の結核菌の検出:ヒトより排泄された11
5の喀痰試料を用いて結核菌を検出した。最も汎用され
ているチール・ネールゼン染色を用いた染色標本検査法
および小川培地を用いた分離培養法を行い、本発明の方
法と比較した。 A.チール・ネールゼン染色を用いた染色標本検査法に
よる抗酸菌の検出:結核菌をはじめとするマイコバクテ
リウム属の細菌はチール・ネールゼン染色により、その
染色性の特異性(抗酸性)により赤く染まり、他の細菌と
判別が可能である。厚生省監修「結核菌検査指針」(財
団法人日本公衆衛生協会、染色標本検査法の項、15−
20頁、1979年)の記載に従い、上記各喀痰試料の
一部について塗抹標本を作製し、チール・ネールゼン染
色を施し、顕微鏡下にて赤色に染色された菌の存在が確
認された場合、抗酸菌陽性とした。
【0040】B.培養法による抗酸菌の検出および結核
菌の同定:厚生省監修「結核菌検査指針」(財団法人日
本公衆衛生協会、分離培養法の項、21−30頁、19
79年)の記載に従い、上記工程Aで使用した各喀痰の
残りについて4%NaOHをその5倍量加え、3%小川
培地(極東製薬工業株式会社製)を用いて抗酸菌の分離培
養を行った。菌発育の判定は植菌4週後および8週後に
行い、培地に発育した菌については上記工程Aに記載の
方法に従ってチール・ネールゼン染色を施し、抗酸菌で
あることを確認した。また、発育コロニーの少ないもの
については、そのコロニーの一部を1%小川培地を用い
て再度培養し、増菌を行った。
【0041】充分な菌体が得られた培地について、極東
N.T.ペーパー(極東製薬工業株式会社製)を用いてナイ
アシン試験を説明書に従って行った。ナイアシンテスト
陽性のものを結核菌とした。このテストは、結核菌は多
量のニコチン酸(ナイアシン)を産性するが他の抗酸菌は
一部を除いて極めて少量しか産性しないという性質を利
用したものであり、産性されたニコチン酸を検出するこ
とによって結核菌の同定が可能である。ニコチン酸を多
量に産性する菌としては、結核菌群、すなわちマイコバ
クテリウム・ツベルクローシス・コンプレックス(Mycob
acterium tubercuiosis complex、マイコバクテリウム
・ボビスを除く)の他にマイコバクテリウム・シミアエ
(Mycobacterium simiae)が知られているが、実施例2の
交叉検定試験の結果に示すように、結核菌群とマイコバ
クテリウム・シミアエとは交叉性を示さない。
【0042】C.本発明の方法による喀痰中の結核菌の
検出:上記工程Bにおいて4% NaOHを加え培養に
供した後の残りの喀痰を10ml容の先細スピッツに入
れ、3000rpmにて15分間遠心分離を行った。上澄
み液を除去後、沈渣をTE緩衝液(1ml)中に懸濁さ
せ、全量を1.5ml容のマイクロチューブに移し、4
℃にて11000rpmで5分間遠心をした。上澄み液を
除去後、再度TE緩衝液(200μl)および20%SD
S(10μl)を加えて懸濁後、実施例1工程A、工程
B、工程C、工程D、工程Eおよび工程Fに記載の各方
法に従い、喀痰中の結核菌の検出を行った。上記工程
A、工程Bおよび工程Cの各結果を4表に示す。表4
中、ナイアシンテストの欄で「過去陽性」とあるのは、
喀痰の排泄者において過去に抗酸菌が検出され、検出さ
れた抗酸菌についてナイアシンテストを行った際の結果
である。
【0043】
【表4】
【発明の効果】本発明の検出法は、従来法に比べて特異
的かつ高感度、迅速に結核菌を検出することができる。
従って、微量の試料からでも検出することが可能であ
る。また、RI法を用いていないため、特別な施設も必
要としない。また、本発明の検出法において増幅DNA
断片の大きさが401塩基対であるため、増幅を効率よ
く行うことができる。さらに、増幅DNA断片を制限酵
素で断片化して結核菌群に特異的な3つのDNA断片が
得られるため、特異的な結核菌の検出が可能となる。加
えて、ウラシルDNA分解酵素で前処理した後にdUT
Pを用いて増幅させるので、汚染増幅DNA断片による
偽陽性を防ぎ、検出精度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法により、増幅したDNA断片を
制限酵素処理して得られた特異的DNA断片をDNAサ
イズマーカーとともにアガロース電気泳動にかけ臭化エ
チジウム染色した結果を示す模式図。
【図2】 本発明の方法によって得られた酵素処理DN
A断片に本発明のプローブをハイブリダイズさせた後、
酵素反応によって発色させた結果を示す模式図。
【図3】 マイコバクテリウム属に属する各種細菌およ
びヒトより得たDNA試料を本発明の方法により増幅、
制限酵素処理して得られた各DNA断片をDNAサイズ
マーカーとともにアガロース電気泳動にかけ臭化エチジ
ウム染色した結果を示す模式図。
【図4】 マイコバクテリウム属に属する各種細菌およ
びヒトより得たDNA試料を本発明の方法により増幅、
制限酵素処理して得られた各DNA断片をDNAサイズ
マーカーとともにアガロース電気泳動にかけ臭化エチジ
ウム染色した後、さらに本発明のプローブを作用させて
酵素反応によって発色させた結果を示す模式図。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結核菌群(Mycobacterium tuberculosis
    complex)の特異的検出方法であって、該結核菌群を含む
    と思われる試料から該結核菌群の16S rRNA遺伝子
    を含むDNA塩基配列を抽出し、16S rRNA遺伝
    子DNA塩基配列中の該結核菌群に特異的な配列に相補
    的なプライマーであって、センスストランド用オリゴヌ
    クレオチドプライマーおよびアンチセンスストランド用
    オリゴヌクレオチドプライマーからなる組合せ、4種の
    デオキシヌクレオシド三リン酸およびDNA合成酵素を
    該抽出したDNA溶液に適用して、該両プライマーのヌ
    クレオチド配列を両端に有するDNA断片を増幅させ、
    該増幅されたDNA断片を制限酵素によって処理し、制
    限酵素処理した後の該DNA増幅断片を電気泳動にか
    け、核酸結合膜に固定し、ついで該DNA増幅断片の一
    部分に相補的な標識プローブをハイブリダイズさせ、該
    標識プローブの標識を検出することによって該結核菌群
    の存在を検出することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 制限酵素処理する前の増幅DNA断片の
    大きさが401塩基対である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 制限酵素処理した後の増幅DNA断片の
    大きさがそれぞれ168塩基対、136塩基対、97塩
    基対である請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 該4種のデオキシヌクレオシド三リン酸
    として、dATP、dCTP、dGTP、dUTPを用
    いる請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 DNA断片を増幅する前に、ウラシルD
    NA分解酵素を用いて汚染増幅DNA断片を分解するこ
    とにより偽陽性を防ぐ請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 該センスストランド用オリゴヌクレオチ
    ドプライマーが下記塩基配列: 5′−GGTCTCTTCGGAGATACTCGAGT−3′ を有するプライマーであるか、または該配列と同等の相
    補性を有するプライマーであり、該アンチセンスストラ
    ンド用オリゴヌクレオチドプライマーが下記塩基配列: 5′−CCGTCAATCCGAGAGAACCCGGA−3′ を有するプライマーであるか、または同等の相補性を有
    するプライマーである請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 該標識プローブが、下記塩基配列: 5′−ACGGGATGCATGTCTT−3′ を有するプローブ、または同等の相補性を有するプロー
    ブを標識したものである請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 (i)下記塩基配列: 5′−GGTCTCTTCGGAGATACTCGAGT−3′ を有するセンスストランド用オリゴヌクレオチドプライ
    マー、または該配列と同等の相補性を有するプライマー
    と、(ii)下記塩基配列: 5′−CCGTCAATCCGAGAGAACCCGGA−3′ を有するアンチセンスストランド用オリゴヌクレオチド
    プライマー、または同等の相補性を有するプライマーと
    からなる、試料から結核菌群を検出するのに使用するた
    めのプライマー組成物。
  9. 【請求項9】 (i)下記塩基配列: 5′−GGTCTCTTCGGAGATACTCGAGT−3′ を有するセンスストランド用オリゴヌクレオチドプライ
    マー、または該配列と同等の相補性を有するプライマ
    ー、(ii)下記塩基配列: 5′−CCGTCAATCCGAGAGAACCCGGA−3′ を有するアンチセンスストランド用オリゴヌクレオチド
    プライマー、または同等の相補性を有するプライマー、
    および(iii)下記塩基配列: 5′−ACGGGATGCATGTCTT−3′ を有するプローブ、または同等の相補性を有するプロー
    ブを標識した標識プローブからなる、試料から結核菌群
    を検出するのに使用するための組成物。
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