JPH05243628A - ジョセフソン接合素子及びその製造方法 - Google Patents

ジョセフソン接合素子及びその製造方法

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JPH05243628A
JPH05243628A JP4043162A JP4316292A JPH05243628A JP H05243628 A JPH05243628 A JP H05243628A JP 4043162 A JP4043162 A JP 4043162A JP 4316292 A JP4316292 A JP 4316292A JP H05243628 A JPH05243628 A JP H05243628A
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JP
Japan
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niobium
layer
counter electrode
josephson junction
base electrode
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Withdrawn
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JP4043162A
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English (en)
Inventor
Tetsuyoshi Shioda
哲義 塩田
Shinichi Morohashi
信一 諸橋
Takeshi Imamura
健 今村
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、熱処理による酸素拡散がトンネル・
バリア層にまで達することを阻止してジョセフソン接合
の特性変化を防止し、安定なジョセフソン接合を実現す
ることができるジョセフソン接合素子及びその製造方法
を提供することを目的とする。 【構成】Si基板11上にNb基部電極12が形成さ
れ、このNb基部電極12上に、AlOx−Alトンネ
ル・バリア層13を介して、第1Nb対向電極14、A
l酸素拡散阻止層15及び第2Nb対向電極16が順に
形成されいる。即ち、第1Nb対向電極14と第2Nb
対向電極16とからなるNb対向電極19中に、Al酸
素拡散阻止層15が挿入されている。全面には絶縁層1
7が堆積され、Nb対向電極19上の絶縁層17に開口
されたコンタクト窓を介して、Nb対向電極14に接続
されたNb配線層18が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超伝導デバイスの一つ
であるジョセフソン接合素子及びその製造方法に関す
る。近年、ジョセフソン集積回路の高集積化に伴い、微
細加工を行うために、熱処理を必要とする半導体素子製
造プロセスの導入が要求されている。このため、熱処理
に対して安定なジョセフソン接合素子を製造する必要が
ある。
【0002】
【従来の技術】従来のジョセフソン接合素子を、図7に
示す断面図を用いて説明する。例えばSi(シリコン)
基板51上に、厚さ30〜200nmのNb(ニオブ)
からなる基部電極52が形成されている。また、この基
部電極52上には、厚さ3〜20nmのAl(アルミニ
ウム)層と厚さ0.5〜5nmのAlOx 層からなるト
ンネル・バリア層53を介して、厚さ30〜200nm
のNbからなる対向電極54が形成されている。更にま
た、全面に、SiO2 からなる絶縁層55が堆積され、
対向電極54上の絶縁層55に開口されたコンタクト窓
を介して、厚さ200〜800nmのNbからなる配線
層56が対向電極54に接続して形成されている。
【0003】しかし、上記図7に示されるNb/AlO
x −Al/Nb接合は、例えばその作製プロセス途中に
温度200℃以上の熱処理が存在した場合、対向電極5
4表面から酸素が拡散し、AlOx −Alからなるトン
ネル・バリア層53のAlOx 層にまで到達するおそれ
がある。このため、トンネル・バリア層53の質及び厚
さが変化することにより、臨界電流が減少するという現
象が生じる。
【0004】このような酸素拡散を防止する方法とし
て、図8に示されるように、トンネル・バリア層53の
AlOx 層と対向電極54との間に、酸素とは余り反応
しない金属、例えばAl、Mo(モリブデン)、Au
(金)、Ag(銀)等からなる金属層57を形成する方
法が考えられている(特開昭58−39081号参
照)。しかしながら、この方法を用いた場合、絶縁体で
あるトンネル・バリア層53のAlOx 層と超伝導体で
ある対向電極54との間に金属層57が存在するため、
この金属層57を近接効果を利用して超伝導体としなけ
ればならないことから、対向電極54のNbが直接にA
lOx と接している場合に比べて、ギャップ電圧が下が
るなどの現象が起こり、接合の電気的特性が劣化してし
まう。
【0005】また、熱処理によるジョセフソン接合素子
表面からの酸素拡散を防止する他の方法として、配線層
56中にNbより酸素との結合度が強い金属、例えばA
l、又は耐酸化金属、例えばW(タングステン)、M
o、Ta(タンタル)、Pb(パラジウム)からなる金
属層58を挿入する方法が考えられている(特開平1−
128481号参照)。
【0006】しかしながら、製造プロセス途中で必ず大
気に晒される対向電極54表面に酸化膜が形成されるた
め、この方法を用いた場合においても、熱処理による対
向電極54表面の酸化膜からトンネル・バリア層53へ
の酸素拡散を防止することはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように上記従来の
ジョセフソン接合素子は、その製造プロセス途中での熱
処理による接合の劣化を防止するため、温度150℃以
下という比較的低温で全プロセスを行わなければならな
いという制約を受けている。一方、ジョセフソン回路の
高集積化に伴い、バイアススパッタによる平坦化技術
等、現在の半導体素子作製プロセスで使用されている技
術を導入する必要が生じているが、このプロセスにおい
ては、例えば温度200〜300℃程度に試料温度が上
昇することが考えられる。従って、このような温度上昇
が避けられないプロセスは、従来のジョセフソン接合素
子の作製プロセスに導入することができないという問題
があった。
【0008】そこで本発明は、熱処理による酸素拡散が
トンネル・バリア層にまで到達することを阻止してジョ
セフソン接合の特性変化を防止し、安定なジョセフソン
接合を実現することができるジョセフソン接合素子及び
その製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】図1は、本発明の原理説
明図である。例えばSi基板11上に、Nb基部電極1
2が形成されている。また、このNb基部電極12上に
は、Al層とAlOx 層からなるAlOx −Alトンネ
ル・バリア層13が形成されている。また、このAlO
x −Alトンネル・バリア層13上には第1Nb対向電
極14が形成されている。
【0010】更に、この第1Nb対向電極14上には、
Al酸素拡散阻止層15を介して第2Nb対向電極16
が形成されている。即ち、第1Nb対向電極14と第2
Nb対向電極16とからなるNb対向電極17中に、A
l酸素拡散阻止層15が挿入されている。そして全面に
はSiO2 からなる絶縁層18が堆積され、第2Nb対
向電極16上の絶縁層18に開口されたコンタクト窓を
介して、Nb対向電極14に接続されたNb配線層19
が形成されている。
【0011】このように本発明によるジョセフソン接合
素子は、第1Nb対向電極14と第2Nb対向電極16
とからなるNb対向電極17中に、Al酸素拡散阻止層
15が挿入されている点に特徴がある。次に、図1のジ
ョセフソン接合素子の製造方法を説明する。 (1) DCマグネトロン・スパッタリングにより、S
i基板11上にNb基部電極12及びAl層を堆積す
る。続いて、真空を破ることなく、酸素雰囲気中に放置
することにより、Al層表面にAlOx 層を生成する。
こうしてAl層とAlOx 層とからなるAlOx −Al
トンネル・バリア層13を形成する。
【0012】(2) DCマグネトロン・スパッタリン
グにより、AlOx −Alトンネル・バリア層13上に
第1Nb対向電極14を堆積し、この第1Nb対向電極
14上にAl酸素拡散阻止層15を堆積し、更に、この
Al酸素拡散阻止層15上に第2Nb対向電極16を堆
積する。 (3) RIE(Reactive Ion Etching;反応性イオン
・エッチング)法を適用することにより、第2Nb対向
電極16を所定の形状にパターニングする。続いて、A
rガス雰囲気中でプラズマ・エッチング法を適用するこ
とにより、Al酸素拡散阻止層15のパターニングを行
う。
【0013】また、同様にRIE法を適用することによ
り、第1Nb対向電極14のパターニングを行う。こう
してAl酸素拡散阻止層15が間に挿入された第1Nb
対向電極14と第2Nb対向電極16とからなるNb対
向電極17を形成する。続いて、Arガス雰囲気中でプ
ラズマ・エッチング法を適用することにより、AlOx
−Alトンネル・バリア層13をパターニングする。更
に、RIE法を適用することにより、Nb基部電極12
のパターニングを行う。
【0014】(4) DCマグネトロン・スパッタリン
グにより、全面にSiO2 からなる絶縁層18を堆積す
る。続いて、RIE法を適用することにより、Nb対向
電極17上の絶縁層18を選択的にエッチングして配線
コンタクト窓を開口する。 (5) DCマグネトロン・スパッタにより、配線コン
タクト窓内に露出しているNb対向電極17表面を含む
全面に、Nb配線層19を堆積する。続いて、RIE法
を適用することにより、Nb配線層19を所定の形状に
パターニングする。こうしてNb配線層19をNb対向
電極17に接続して形成する。
【0015】以上のようにして、図1のジョセフソン接
合素子を作製する。
【0016】
【作用】図1のジョセフソン接合素子の温度4.2kに
おける臨界電流の熱処理前後での変化を図2のグラフに
示す。また、図7の従来例によるジョセフソン接合素子
と比較した結果を同時に示す。なお、この実験では、接
合面積10μm×10μmのジョセフソン接合素子を用
い、窒素雰囲気中にて温度250℃の熱処理を行い、臨
界電流の変化を測定した。そしてこのグラフの横軸には
累積した熱処理時間を、縦軸には熱処理後の臨界電流I
c を熱処理前の臨界電流Icoで規格化した値Ic /Ico
をそれぞれ表している。
【0017】このグラフから次にことが明らかになる。
即ち、Nb対向電極中にAl酸素拡散阻止層を挿入しな
い従来技術による図7のジョセフソン接合素子の場合、
図中のBに示されるように、30分間の熱処理で臨界電
流Ic /Icoが10%以下に減少するのに対して、Nb
対向電極中にAl酸素拡散阻止層を挿入した本実施例に
よる図1のジョセフソン接合素子の場合、図中のAに示
されるように、40%以上の値を得ることができた。
【0018】このように本発明によれば、Nbより酸素
との結合度が強いAl酸素拡散阻止層15がNb対向電
極17中に挿入されていることにより、たとえ素子作製
の途中で素子温度が上昇し、Nb対向電極17表面から
酸素が拡散してくることがあっても、Al酸素拡散阻止
層15が酸素拡散を阻止するため、酸素が素子の特性を
決定するAlOx −Alトンネル・バリア層13まで到
達することはなく、素子特性を安定にすることができ
る。
【0019】即ち、図8に示されるような配線層56中
にAl等からなる金属層58を挿入する従来技術と比較
すると、Al酸素拡散阻止層15をNb配線層19中で
はなく、Nb対向電極17中に挿入しているにより、N
b対向電極17表面からの酸素拡散を防止する効果は飛
躍的に増大する。また、Nb対向電極17中にAl酸素
拡散阻止層15を挿入しても、接合部におけるAlOx
−Alトンネル・バリア層13と第1Nb対向電極14
とが直接に接しているため、図8に示されるように、ト
ンネル・バリア層53と対向電極54との間に酸素とは
あまり反応しないAl酸素拡散阻止層57を形成する従
来技術と比較すると、Al酸素拡散阻止層15を挿入し
たことによる特性劣化を生じることはない。
【0020】従って、現在の半導体素子作製で使用され
ている高温処理プロセスの導入が可能となる。例えば、
絶縁層18を堆積する工程で、温度200〜300℃の
試料温度上昇が要求されるバイアススパッタ法を用いる
ことができ、絶縁層18の平坦化を行うことができる。
これにより、ジョセフソン集積回路の高集積化に寄与す
ることができる。
【0021】また、Nb対向電極17中に挿入するAl
酸素拡散阻止層15の厚さをAlのコヒーレンス長以下
にすることにより、Al酸素拡散阻止層15を挟む第1
Nb対向電極14と第2Nb対向電極16との間に超伝
導電流が流れるため、Al酸素拡散阻止層15の挿入に
よる素子特性の劣化を生じることはない。更に、ジョセ
フソン集積回路の冷却時に、AlOx −Alトンネル・
バリア層13を挟んだNb基部電極12及びNb対向電
極17が表面から冷却されて超伝導状態に変化するた
め、接合部に磁束が掃き寄せられトラップされる現象が
生じるが、Nb対向電極17中のAl酸素拡散阻止層1
5が常伝導金属層であることによりこの磁束をトラップ
して接合部に影響を及ぼさないようにすることができる
ため、回路誤動作の原因となることもなく、素子特性の
いっそうの安定化を実現することができる。
【0022】従って、このような磁束トラップ作用を考
えた場合、常伝導金属層としてのAl酸素拡散阻止層1
5を、接合部への磁束トラップを阻止するための磁束ト
ラップ層として、Nb対向電極17中だけではなくNb
基部電極12中にも挿入することにより、より大きな効
果を奏することができる。なお、図1においては、Nb
対向電極17中にAl酸素拡散阻止層15が1層だけ挿
入されているが、複数層のAl酸素拡散阻止層を挿入し
てもよく、その効果を更に大きくすることができる。
【0023】また、Al酸素拡散阻止層15の代わり
に、Alと同様にNbより酸素との結合度が強い金属、
例えばZr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)から
なる酸素拡散阻止層を用いてもよい。更にまた、こうし
たNbより酸素との結合度が強い金属の代わりに、耐酸
化金属層、例えばAu、Ag、Pt(白金)等の貴金
属、又はW、Mo、Ta、Ti(チタン)、Pd等の高
融点金属からなる酸素拡散阻止層を用いても、同様の効
果を奏することができる。
【0024】また、Nb対向電極17中に挿入するAl
酸素拡散阻止層15の代わりに、金属窒化物層を挿入し
ても、この金属窒化物層はNb対向電極17表面からの
酸素拡散に対して酸素拡散阻止層として機能するため、
同様な酸素拡散阻止効果を奏することができる。この場
合、材料的にNb対向電極17と同時加工が可能である
ため、この金属窒化物層をNb対向電極17中に挿入す
るプロセスが容易であり、また熱処理に対して安定であ
るため、Nb対向電極17との間で拡散が起こり難いと
いう特徴を有する。更に、この金属窒化物層がZrN
(窒化ジルコニウム)、HfN(窒化ハフニウム)、T
aN(窒化タンタル)、TiN(窒化チタン)、MoN
(窒化モリブデン)、又はNbN(窒化ニオブ)である
ときは、温度4.2Kで超伝導性を示すため、接合部の
電気的特性に悪影響を及ぼすことがないという特徴も有
している。
【0025】更にまた、Al酸素拡散阻止層15をNb
対向電極17中に挿入する代わりに、Nb対向電極17
上面に形成しても同様の酸素拡散阻止効果を奏すること
ができる。この場合、Al酸素拡散阻止層15をNb対
向電極17上面に形成し、高温処理を要する絶縁層18
を形成した後、絶縁層18と共に選択的にエッチング除
去して、Nb対向電極17を露出させるコンタクト窓を
開口することにより、同様の酸素拡散阻止効果を奏する
と共に、Nb対向電極17とNb配線層19とのコンタ
クトを良好にすることができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基づいて具
体的に説明する。図3は、本発明の第1の実施例による
ジョセフソン接合素子を示す断面図である。例えばSi
基板21上に、厚さ30〜300nmのNb基部電極2
2が形成されている。また、このNb基部電極22上に
は、厚さ2〜10nmのAl層と厚さ0.5〜5nmの
AlOx 層からなるAlOx −Alトンネル・バリア層
23が形成されている。
【0027】また、このAlOx −Alトンネル・バリ
ア層23上には、厚さ20〜200nmの第1Nb対向
電極24が形成され、更に、この第1Nb対向電極24
上には、厚さ1〜50nmのAl酸素拡散阻止層25を
介して、厚さ20〜200nmの第2Nb対向電極26
が形成されている。即ち、第1Nb対向電極24と第2
Nb対向電極26とからなるNb対向電極27中に、A
l酸素拡散阻止層25が挿入されている。
【0028】また、全面に、厚さ200〜400nmの
SiO2 からなる絶縁層28が堆積され、平坦化されて
いる。そしてNb対向電極27上の絶縁層28に開口さ
れたコンタクト窓を介して、Nb対向電極27に接続さ
れた厚さ400〜800nmのNb配線層29が形成さ
れている。このように、第1の実施例によるジョセフソ
ン接合素子は、第1Nb対向電極24と第2Nb対向電
極26とからなるNb対向電極27中に、Al酸素拡散
阻止層25が挿入されている点に特徴がある。
【0029】次に、図3のジョセフソン接合素子の製造
方法を説明する。DCマグネトロン・スパッタリングに
より、Si基板21上に、厚さ30〜300nmのNb
基部電極22、厚さ2〜10nmのAl層を堆積する。
このAl層は、例えばガス圧1.3PaのAr(アルゴ
ン)ガス雰囲気中で、印加電圧−300V程度、時間1
分間程度の条件で形成する。
【0030】続いて、真空を破ることなく、酸素雰囲気
中に30〜100分間放置することにより、Al層表面
に厚さ0.5〜5nmのAlOx 層を生成する。こうし
て、Al層とAlOx 層とからなるAlOx −Alトン
ネル・バリア層23を形成する。次いで、DCマグネト
ロン・スパッタリングにより、AlOx −Alトンネル
・バリア層23上に、厚さ20〜200nmの第1Nb
対向電極24を堆積する。また、DCマグネトロン・ス
パッタリングにより、第1Nb対向電極24上に、厚さ
1〜50nmのAl酸素拡散阻止層25を堆積する。更
に、DCマグネトロン・スパッタリングにより、Al酸
素拡散阻止層25上に、厚さ20〜200nmの第2N
b対向電極26を堆積する。こうして第1Nb対向電極
24と第2Nb対向電極26とからなるNb対向電極2
7中に、Al酸素拡散阻止層25を挿入する。
【0031】次いで、フォト・リソグラフィ技術におけ
るレジスト・プロセスを適用することにより、対向電極
用のフォト・レジスト層のパターンを形成する。そして
このフォト・レジスト層をマスクとし、CF4 +(0〜
15%)O2 をエッチング・ガスとするRIE法を適用
することにより、第2Nb対向電極26を所定の形状に
パターニングする。続いて、Arガス雰囲気中でプラズ
マ・エッチング法を適用することにより、Al酸素拡散
阻止層25のパターニングを行う。
【0032】また、同様にして、CF4 +(0〜15
%)O2 をエッチング・ガスとするRIE法を適用する
ことにより、第1Nb対向電極24のパターニングを行
う。こうしてAl酸素拡散阻止層25が間に挿入された
第1Nb対向電極24と第2Nb対向電極26とからな
るNb対向電極27を形成する。続いて、Arガス雰囲
気中でプラズマ・エッチング法を適用することにより、
AlOx −Alトンネル・バリア層23をパターニング
する。
【0033】更に、フォト・リソグラフィ技術における
レジスト・プロセスを適用することにより、基部電極用
のフォト・レジスト層のパターンを形成する。そしてこ
のフォト・レジスト層をマスクとし、CF4 +(0〜1
5%)O2 をエッチング・ガスとするRIE法を適用す
ることにより、Nb基部電極22のパターニングを行
う。
【0034】次いで、バイアススパッタ法を用いて、全
面に絶縁層28を堆積し、その平坦化を行う。即ち、S
i基板21をマイナス電位にバイアスしながら、RFマ
グネトロン・スパッタにより、全面に厚さ200〜40
0nmのSiO2 からなる絶縁層28を堆積する。この
ときのスパッタ条件は、基板バイアス電位−50〜−2
00V、Arガス圧1.3Pa、パワー10〜30W/
cm2 であり、温度は200〜300℃に上昇する。
【0035】続いて、フォト・リソグラフィ技術におけ
るレジスト・プロセス及びCHF3をエッチング・ガス
とするRIE法を適用することにより、平坦化された絶
縁層28の選択的エッチングを行って配線コンタクト窓
を開口する。次いで、コンタクト窓内に露出しているN
b対向電極27表面をArでスパッタクリーニングす
る。例えばArガス圧1.3Pa、印加電圧200〜4
00V、時間1〜5分間の条件で行う。続いて、DCマ
グネトロン・スパッタにより、配線コンタクト窓内のN
b対向電極27表面を含む全面に、厚さ400〜800
nmのNb配線層29を堆積する。
【0036】続いて、フォト・リソグラフィ技術におけ
るレジスト・プロセスを適用することにより、配線用の
フォト・レジスト層のパターンを形成する。そしてこの
フォト・レジスト層をマスクとし、CF4 +(0〜15
%)O2 をエッチング・ガスとするRIE法を適用する
ことにより、Nb配線層29を所定の形状にパターニン
グする。こうしてNb配線層29をNb対向電極27に
接続して形成する。
【0037】以上のようにして、図3のジョセフソン接
合素子を作製する。このように第1の実施例によれば、
Nb対向電極27中に、Nbより酸素との結合度が強い
Al酸素拡散阻止層25が挿入されていることにより、
絶縁層28を堆積し、平坦化する際に温度200〜30
0℃の試料温度上昇が要求されるバイアススパッタ法を
用いても、Nb対向電極27表面からの酸素拡散はAl
酸素拡散阻止層25によって阻止される。このため、素
子の特性を決定するトンネル・バリア層まで酸素が達す
ることはなく、素子特性の安定化を実現することができ
る。
【0038】また、Nb対向電極27中にAl酸素拡散
阻止層25が挿入されても、接合部におけるAlOx −
Alトンネル・バリア層23と第1Nb対向電極24と
が直接に接しているため、Al酸素拡散阻止層25が挿
入されたことによる特性劣化を生じることはない。従っ
て、現在の半導体素子作製で使用されている高温処理プ
ロセスの導入が可能となるため、ジョセフソン集積回路
の高集積化に寄与することができる。
【0039】また、Nb対向電極27中に挿入されてい
るAl酸素拡散阻止層25の厚さが1〜50nmと、A
lのコヒーレンス長以下であることにより、Al酸素拡
散阻止層25を挟む上下の第1Nb対向電極24と第2
Nb対向電極26との間に超伝導電流が流れるため、A
l酸素拡散阻止層25の挿入による素子特性の劣化を生
じることはない。
【0040】更に、ジョセフソン集積回路の冷却時に、
AlOx −Alトンネル・バリア層23を挟んだNb基
部電極22及びNb対向電極27が表面から冷却されて
超伝導状態に変化するため、接合部に磁束が掃き寄せら
れトラップされる現象が生じるが、Nb対向電極27中
のAl酸素拡散阻止層25が常伝導金属層であることに
よりこの磁束をトラップして接合部に影響を及ぼさない
ようにすることができるため、回路誤動作の原因となる
こともなく、素子特性のいっそうの安定化を実現するこ
とができる。
【0041】なお、上記第1の実施例においては、Nb
対向電極27中にAl酸素拡散阻止層25が1層だけ挿
入されているが、複数層のAl酸素拡散阻止層を挿入し
てもよく、その効果を更に大きくすることができる。な
お、この場合の製造方法は、AlOx −Alトンネル・
バリア層23上に第1Nb対向電極24を堆積した後、
Al酸素拡散阻止層25と第2Nb対向電極26とを複
数回積層すればよい。
【0042】また、上記第1の実施例におけるAl酸素
拡散阻止層25の代わりに、Alと同様にNbより酸素
との結合度が強い金属、例えばZr、Hfからなる酸素
拡散阻止層を用いてもよい。また、こうしたNbより酸
素との結合度が強い金属の代わりに、耐酸化金属層、例
えばAu、Ag、Pt等の貴金属、又はW、Mo、T
a、Ti、Pd等の高融点金属からなる酸素拡散阻止層
を用いても、同様の効果を奏することができる。
【0043】更に、Al酸素拡散阻止層25の代わり
に、ZrN、HfN、TaN、TiN、MoN、又はN
bNの金属窒化物層を用いても、この金属窒化物層はN
b対向電極27表面からの酸素拡散に対して酸素拡散阻
止層として機能するため、酸素拡散阻止効果を奏するこ
とができる。なお、この場合、金属窒化物からなる酸素
拡散阻止層には、磁束トラップ機能はないが、温度4.
2Kで超伝導性を示すため、上記第1の実施例のように
酸素拡散阻止層の厚さをコヒーレンス長以下にしなくと
も、接合部の電気的特性に悪影響を及ぼすことがないと
いう特長を有している。
【0044】また、この場合の製造方法を、例えばHf
N酸素拡散阻止層の場合について、以下に説明する。上
記第1の実施例の場合と同様にして、Si基板21上
に、Nb基部電極22、AlOx −Alトンネル・バリ
ア層23、及び第1Nb対向電極24を順に堆積する。
【0045】次いで、RF又はDCマグネトロン・スパ
ッタリングにより、第1Nb対向電極24上に、厚さ2
〜20nmのHfN酸素拡散阻止層を堆積する。このと
きのHfNのスパッタ条件は、例えばRFスパッタの場
合、Arガス流量60sccm、N2 (窒素)ガス流量60
sccm、パワー2W/cm2 である。続いて、このHfN
酸素拡散阻止層上に、上記第1の実施例の場合と同様に
して、第2Nb対向電極26を堆積する。
【0046】次いで、対向電極用のフォト・レジスト層
をマスクとし、CF4 +(0〜15%)O2 をエッチン
グ・ガスとするRIE法を適用することにより、第2N
b対向電極26、HfN酸素拡散阻止層、及び第1Nb
対向電極24のパターニングを連続的に行う。こうして
HfN酸素拡散阻止層が間に挿入された第1Nb対向電
極24と第2Nb対向電極26とからなるNb対向電極
27を形成する。
【0047】続いて、上記第1の実施例の場合と同様に
して、AlOx −Alトンネル・バリア層23のパター
ニング、Nb基部電極22のパターニング、絶縁層28
の堆積、平坦化、配線コンタクト窓の開口、Nb配線層
29の形成を行い、ジョセフソン接合素子を作製する。
このように、HfN酸素拡散阻止層の場合、材料的に第
1及び第2Nb対向電極24、26と同時加工が可能で
あるため、このHfN酸素拡散阻止層をNb対向電極2
7中に挿入するプロセスが容易であるという製造プロセ
ス上の特長を有している。また、このHfN酸素拡散阻
止層は、熱処理に対して安定であるため、隣接する第1
及び第2Nb対向電極24、26との間で拡散が起こり
難いという特長も有している。
【0048】次に、本発明の第2の実施例によるジョセ
フソン接合素子及びその製造方法を、図4に示す断面図
を用いて説明する。なお、上記図3のジョセフソン接合
素子と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明
を省略する。Si基板21上にNb基部電極22が形成
され、またこのNb基部電極22上にはAlOx −Al
トンネル・バリア層23が形成され、またこのAlOx
−Alトンネル・バリア層23上には、厚さ40〜40
0nmのNb対向電極30が形成されていする。更に、
このNb対向電極30上には、厚さ2〜20nmのAl
酸素拡散阻止層31が形成されている。
【0049】また、全面にSiO2 からなる絶縁層28
が堆積され、平坦化されている。そしてAl酸素拡散阻
止層31上の絶縁層28に開口されたコンタクト窓を介
して、Al酸素拡散阻止層31に接続されたNb配線層
29が形成されている。このように、第2の実施例によ
るジョセフソン接合素子は、Nb対向電極30上に、A
l酸素拡散阻止層31が形成されている点に特徴があ
る。
【0050】次に、図4のジョセフソン接合素子の製造
方法を説明する。上記第1の実施例の場合と同様にし
て、Si基板21上に、Nb基部電極22及びAlOx
−Alトンネル・バリア層23を順に堆積する。次い
で、DCマグネトロン・スパッタリングにより、AlO
x −Alトンネル・バリア層23上に、厚さ40〜40
0nmのNb対向電極30を堆積する。また、DCマグ
ネトロン・スパッタリングにより、Nb対向電極30上
に、厚さ2〜20nmのAl酸素拡散阻止層31を堆積
する。
【0051】次いで、フォト・リソグラフィ技術におけ
るレジスト・プロセスを適用することにより、対向電極
用のフォト・レジスト層のパターンを形成する。そして
このフォト・レジスト層をマスクとし、Arガス雰囲気
中でプラズマ・エッチング法を適用することにより、A
l酸素拡散阻止層31のパターニングを行う。続いて、
CF4 +(0〜15%)O2 をエッチング・ガスとする
RIE法を適用することにより、Nb対向電極30のパ
ターニングを行う。こうしてAl酸素拡散阻止層31に
よって表面が覆われたNb対向電極30を形成する。
【0052】続いて、AlOx −Alトンネル・バリア
層23をパターニングする。更に、フォト・リソグラフ
ィ技術におけるレジスト・プロセスを適用することによ
ってパターニングした基部電極用のフォト・レジスト層
をマスクとし、Nb基部電極22のパターニングを行
う。次いで、上記第1の実施例の場合と同様にして、全
面に絶縁層28を堆積し、その平坦化を行う。続いて、
平坦化された絶縁層28の選択的エッチングを行って配
線コンタクト窓を開口する。
【0053】次いで、配線コンタクト窓内のAl酸素拡
散阻止層31表面を含む全面にNb配線層29を堆積す
る。続いて、Nb配線層29を所定の形状にパターニン
グして、Nb配線層29をAl酸素拡散阻止層31に接
続して形成する。以上のようにして、図4のジョセフソ
ン接合素子を作製する。このように第2の実施例によれ
ば、Nb対向電極30上に、Nbより酸素との結合度が
強いAl酸素拡散阻止層31が形成されていることによ
り、上記第1の実施例の場合と同様な効果を奏すること
ができる。
【0054】なお、上記第2の実施例におけるAl酸素
拡散阻止層31の代わりに、Zr等のAlと同様にNb
より酸素との結合度が強い金属からなる酸素拡散阻止層
を用いても、またAu等の貴金属又はW等の高融点金属
である耐酸化金属からなる酸素拡散阻止層を用いても、
更には、ZrN等の金属窒化物からなる酸素拡散阻止層
を用いてもよいのも、上記第1の実施例の場合と同様で
ある。
【0055】次に、本発明の第3の実施例によるジョセ
フソン接合素子及びその製造方法を、図5に示す断面図
を用いて説明する。なお、上記図4のジョセフソン接合
素子と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明
を省略する。Si基板21上にNb基部電極22が形成
され、またこのNb基部電極22上にはAlOx −Al
トンネル・バリア層23が形成され、またこのAlOx
−Alトンネル・バリア層23上にはNb対向電極30
が形成されていする。更に、このNb対向電極30上に
はAl酸素拡散阻止層31が形成されている。
【0056】また、全面にSiO2 からなる絶縁層28
が堆積され、平坦化されている。そしてNb対向電極3
0上の絶縁層28及びAl酸素拡散阻止層31に開口さ
れたコンタクト窓を介して、Nb対向電極30に接続さ
れたNb配線層29が形成されている。更に、このNb
配線層29上には、NbN窒化処理層32が形成されて
いる。
【0057】このように、第3の実施例によるジョセフ
ソン接合素子は、Nb対向電極30上にAl酸素拡散阻
止層31が形成されてはいるが、Nb配線層29はNb
対向電極30に直接に接続されており、更に、このNb
配線層29上にNbN窒化処理層32が形成されている
点に特徴がある。次に、図5のジョセフソン接合素子の
製造方法を説明する。
【0058】上記第2の実施例の場合と同様にして、S
i基板21上に、Nb基部電極22、AlOx −Alト
ンネル・バリア層23、Nb対向電極30及びAl酸素
拡散阻止層31を順に堆積する。続いて、Al酸素拡散
阻止層31、Nb対向電極30及びAlOx −Alトン
ネル・バリア層23のパターニングをそれぞれ順に行
う。更に、Nb基部電極22のパターニングを行う。
【0059】次いで、全面に絶縁層28を堆積し、その
平坦化を行う。続いて、平坦化された絶縁層28及びA
l酸素拡散阻止層31の選択的エッチングを行って配線
コンタクト窓を開口する。このときのAl酸素拡散阻止
層31の選択的エッチングは、例えばArガス圧0.7
〜1.3Pa、印加電圧100〜200V、時間3〜5
分間の条件で行う。なお、このAl酸素拡散阻止層31
のエッチングは、Nb対向電極30表面のArスパッタ
クリーニングの効果も果たしている。
【0060】次いで、コンタクト窓内に露出しているN
b対向電極30表面を含む全面にNb配線層29を堆積
した後、Nb配線層29を窒素プラズマに晒し、その表
面にNbN窒化処理層32を形成する。このときの窒素
プラズマ処理は、例えば窒素ガス圧2.6Pa、印加電
圧−200V、時間3分間の条件で行う。続いて、Nb
配線層29を所定の形状にパターニングして、Nb対向
電極30に接続するNb配線層29を形成する。
【0061】以上のようにして、図5のジョセフソン接
合素子を作製する。このように第3の実施例によれば、
Nb対向電極30上にAl酸素拡散阻止層31が形成さ
れた後、絶縁層28が形成されるため、この絶縁層28
の堆積、平坦化に温度200〜300℃の試料温度上昇
が要求されるバイアススパッタ法を用いても、上記第2
の実施例の場合と同様に、Al酸素拡散阻止層31によ
って酸素拡散は阻止される。
【0062】また、Nb配線層29上にはNbN窒化処
理層32が形成されるため、その後の工程における高温
熱処理に対しては、このNbN窒化処理層32が酸素拡
散阻止層としての機能を果たす。そしてこの第3の実施
例においては、Nb配線層29がNb対向電極30に直
接に接続していることにより、上記第2の実施例の場合
よりも良好なコンタクトが得られるという特長がある。
【0063】なお、上記第3の実施例におけるAl酸素
拡散阻止層31の代わりに、Zr等からなる酸素拡散阻
止層、Au等やW等の耐酸化金属からなる酸素拡散阻止
層、ZrN等の金属窒化物からなる酸素拡散阻止層を用
いてもよいのも、上記第2の実施例の場合と同様であ
る。次に、本発明の第4の実施例によるジョセフソン接
合素子及びその製造方法を、図5に示す断面図を用いて
説明する。なお、上記図3のジョセフソン接合素子と同
一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略す
る。
【0064】Si基板21上に、厚さ15〜150nm
の第1Nb基部電極33が形成され、更に、この第1N
b基部電極33上には、厚さ1〜50nmのAl磁束ト
ラップ層34を介して、厚さ15〜150nmの第2N
b基部電極35が形成されている。即ち、第1Nb基部
電極33と第2Nb基部電極35とからなるNb基部電
極36中に、Al磁束トラップ層34が挿入されてい
る。
【0065】また、このNb基部電極36上には、Al
Ox −Alトンネル・バリア層23が形成されている。
そしてこのAlOx −Alトンネル・バリア層23上に
は、第1Nb対向電極24、Al酸素拡散阻止層25及
び第2Nb対向電極26が順に積層され、第1Nb対向
電極24と第2Nb対向電極26とからなるNb対向電
極27中にAl酸素拡散阻止層25が挿入されている。
【0066】また、全面にSiO2 からなる絶縁層28
が堆積され、平坦化されている。そしてNb対向電極2
7上の絶縁層28に開口されたコンタクト窓を介して、
Nb対向電極27に接続されたNb配線層29が形成さ
れている。このように、第4の実施例によるジョセフソ
ン接合素子は、Nb対向電極27中にAl酸素拡散阻止
層25が挿入されているのみならず、第1Nb基部電極
33と第2Nb基部電極35とからなるNb基部電極3
6中にAl磁束トラップ層34が挿入されている点に特
徴がある。
【0067】次に、図6のジョセフソン接合素子の製造
方法を説明する。DCマグネトロン・スパッタリングに
より、Si基板21上に、厚さ15〜150nmの第1
Nb基部電極33、厚さ1〜50nmのAl磁束トラッ
プ層34及び厚さ15〜150nmの第2Nb基部電極
35を順に堆積する。こうして第1Nb基部電極33と
第2Nb基部電極35とからなるNb基部電極36中
に、Al磁束トラップ層34を挿入する。
【0068】次いで、上記第1の実施例の場合と同様に
して、Nb基部電極36上に、AlOx −Alトンネル
・バリア層23、第1Nb対向電極24、Al酸素拡散
阻止層25、及び第2Nb対向電極26を順に堆積した
後、第2Nb対向電極26、Al酸素拡散阻止層25、
第1Nb対向電極24及びAlOx −Alトンネル・バ
リア層23のパターニングをそれぞれ順に行う。更に、
Nb基部電極22のパターニングを行う。
【0069】次いで、上記第1の実施例の場合と同様に
して、絶縁層28の堆積し、平坦化した後、この絶縁層
28に開口した配線コンタクト窓を介して、Nb対向電
極27に接続するNb配線層29を形成する。以上のよ
うにして、図6のジョセフソン接合素子を作製する。こ
のように第4の実施例によれば、Nb対向電極27中に
Al酸素拡散阻止層25が挿入されていることにより、
当然に上記第1の実施例の場合と同様の効果を奏するこ
とができるが、更に、Nb基部電極36中にもAl磁束
トラップ層34が挿入されていることにより、ジョセフ
ソン集積回路の冷却時において、Nb対向電極27中の
Al酸素拡散阻止層25のみならず、Nb基部電極36
中のAl磁束トラップ層34にも磁束がトラップされる
ため、接合部に磁束が掃き寄せられトラップされる現象
を防止することができる。従って、接合部への磁束トラ
ップ阻止の目的からすると、上記第1の実施例よりもい
っそう効果的である。
【0070】なお、上記第4の実施例においては、Nb
基部電極36中にAl磁束トラップ層34が1層だけ挿
入されているが、複数層のAl磁束トラップ層を挿入し
てもよく、その効果を更に大きくすることができる。な
お、この場合の製造方法は、Si基板21上に第1Nb
基部電極33を堆積した後、Al磁束トラップ層34と
第2Nb基部電極35とを複数回積層すればよい。
【0071】また、上記第4の実施例におけるAl磁束
トラップ層34の代わりに、例えばZr、Hf等の他の
常伝導金属からなる酸素拡散阻止層を用いてもよい。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
Nb又はNb化合物からなる基部電極及び対向電極がト
ンネル・バリア層を挟んでジョセフソントンネル接合を
形成しているジョセフソン接合素子において、Nbより
酸素との結合度が強い金属層、耐酸化金属層、又は金属
窒化物層が対向電極中に挿入されていることにより、た
とえ素子作製途中で素子温度が上昇する工程があって
も、このNbより酸素との結合度が強い金属層、耐酸化
金属層、又は金属窒化物層が対向電極表面から酸素拡散
に対する酸素拡散阻止層として機能し、酸素拡散がトン
ネル・バリア層に達することを阻止するため、バリアの
変化を防止することができる。
【0073】これにより、ジョセフソントンネル接合特
性の著しい劣化を招くことなく、高温処理プロセスの導
入が可能となるため、ジョセフソン集積回路の高集積化
を実現することができると共に、素子特性を安定化し
て、ジョセフソン集積回路を安定に動作させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するためのジョセフソン接
合素子を示す断面図である。
【図2】図1のジョセフソン接合素子の臨界電流の熱処
理時間依存性を示すグラフである。
【図3】本発明の第1の実施例によるジョセフソン接合
素子を説明するための断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例によるジョセフソン接合
素子を説明するための断面図である。
【図5】本発明の第3の実施例によるジョセフソン接合
素子を説明するための断面図である。
【図6】本発明の第4の実施例によるジョセフソン接合
素子を説明するための断面図である。
【図7】従来のジョセフソン接合素子を説明するための
断面図である。
【図8】従来のジョセフソン接合素子を説明するための
断面図である。
【符号の説明】
11、21…Si基板 12、22…Nb基部電極 13、23…AlOx −Alトンネル・バリア層 14、24…第1Nb対向電極 15、25…Al酸素拡散阻止層 16、26…第2Nb対向電極 17、27…Nb対向電極 18、28…絶縁層 19、29…Nb配線層 30…Nb対向電極 31…Al酸素拡散阻止層 32…NbN窒化処理層 33…第1Nb基部電極 34…Al磁束トラップ層 35…第2Nb基部電極 36…Nb基部電極 51…Si基板 52…基部電極 53…トンネル・バリア層 54…対向電極 55…絶縁層 56…配線層 57、58…金属層

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニオブ又はニオブの化合物からなる基部
    電極と、前記基部電極上に、トンネル・バリア層を介し
    て形成されたニオブ又はニオブの化合物からなる対向電
    極とを有するジョセフソン接合素子において、 前記基部電極中及び/又は前記対向電極中に、ニオブよ
    り酸素との結合度が強い金属層又は耐酸化金属層が挿入
    されていることを特徴とするジョセフソン接合素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のジョセフソン接合素子に
    おいて、 前記ニオブより酸素との結合度が強い金属層又は前記耐
    酸化金属層の厚さが、前記ニオブより酸素との結合度が
    強い金属又は前記耐酸化金属のコヒーレンス長以下であ
    ることを特徴とするジョセフソン接合素子。
  3. 【請求項3】 ニオブ又はニオブの化合物からなる基部
    電極と、前記基部電極上に、トンネル・バリア層を介し
    て形成されたニオブ又はニオブの化合物からなる対向電
    極とを有するジョセフソン接合素子において、 前記対向電極上面に、ニオブより酸素との結合度が強い
    金属層又は耐酸化金属層が形成されていることを特徴と
    するジョセフソン接合素子。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のジョ
    セフソン接合素子において、 前記ニオブより酸素との結合度が強い金属が、アルミニ
    ウム、ジルコニウム、又はハフニウムのいずれかである
    ことを特徴とするジョセフソン接合素子。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれかに記載のジョ
    セフソン接合素子において、 前記耐酸化金属が、金、銀、或いは白金のいずれかから
    なる貴金属、又はタングステン、モリブデン、タンタ
    ル、チタン、或いはパラジウムのいずれかからなる高融
    点金属であることを特徴とするジョセフソン接合素子。
  6. 【請求項6】 ニオブ又はニオブの化合物からなる基部
    電極と、前記基部電極上に、トンネル・バリア層を介し
    て形成されたニオブ又はニオブの化合物からなる対向電
    極とを有するジョセフソン接合素子において、 前記対向電極中に、金属窒化物層が挿入されていること
    を特徴とするジョセフソン接合素子。
  7. 【請求項7】 ニオブ又はニオブの化合物からなる基部
    電極と、前記基部電極上に、トンネル・バリア層を介し
    て形成されたニオブ又はニオブの化合物からなる対向電
    極とを有するジョセフソン接合素子において、 前記対向電極上面に、金属窒化物層が形成されているこ
    とを特徴とするジョセフソン接合素子。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7に記載のジョセフソン接
    合素子において、 前記金属窒化物が、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウ
    ム、窒化タンタル、窒化チタン、窒化モリブデン、又は
    窒化ニオブのいずれかであることを特徴とするジョセフ
    ソン接合素子。
  9. 【請求項9】 ニオブ又はニオブの化合物からなる基部
    電極と、前記基部電極上に、トンネル・バリア層を介し
    て形成されたニオブ又はニオブの化合物からなる対向電
    極とを有するジョセフソン接合素子の製造方法におい
    て、 基板上に、ニオブ又はニオブの化合物からなる第1の基
    部電極を形成し、前記第1の基部電極上に、ニオブより
    酸素との結合度が強い金属層又は耐酸化金属層を形成
    し、前記ニオブより酸素との結合度が強い金属層上又は
    耐酸化金属層上に、ニオブ又はニオブの化合物からなる
    第2の基部電極を形成する工程を有し、 前記第1及び第2の基部電極からなる基部電極中に、前
    記ニオブより酸素との結合度が強い金属層又は前記耐酸
    化金属層を挿入することを特徴とするジョセフソン接合
    素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載のジョセフソン接合素子
    の製造方法において、 前記工程が、基板上に、ニオブ又はニオブの化合物から
    なる第1の基部電極を形成し、前記第1の基部電極上
    に、ニオブより酸素との結合度が強い金属層又は耐酸化
    金属層とニオブ又はニオブの化合物からなる第2の基部
    電極とを複数回積層する工程であり、 前記第1の基部電極及び複数の前記第2の基部電極から
    なる基部電極中に、複数の前記ニオブより酸素との結合
    度が強い金属層又は複数の前記耐酸化金属層を挿入する
    ことを特徴とするジョセフソン接合素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 ニオブ又はニオブの化合物からなる基
    部電極と、前記基部電極上に、トンネル・バリア層を介
    して形成されたニオブ又はニオブの化合物からなる対向
    電極とを有するジョセフソン接合素子の製造方法におい
    て、 基板上に、ニオブ又はニオブの化合物からなる基部電極
    を形成する第1の工程と、 前記基部電極上に、所定の材料からなる金属層を形成し
    た後、前記所定の材料からなる金属層の一部又は全部を
    酸化してトンネル・バリア層を形成する第2の工程と、 前記トンネル・バリア層上に、ニオブ又はニオブの化合
    物からなる第1の対向電極を形成し、前記第1の対向電
    極上に、ニオブより酸素との結合度が強い金属層又は耐
    酸化金属層を形成し、前記ニオブより酸素との結合度が
    強い金属層上又は前記耐酸化金属層上に、ニオブ又はニ
    オブの化合物からなる第2の基部電極を形成する第3の
    工程を有し、 前記第1及び第2の対向電極からなる対向電極中に、前
    記ニオブより酸素との結合度が強い金属層又は前記耐酸
    化金属層を挿入することを特徴とするジョセフソン接合
    素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項11記載のジョセフソン接合素
    子の製造方法において、 前記第3の工程が、前記トンネル・バリア層上に、ニオ
    ブ又はニオブの化合物からなる第1の対向電極を形成
    し、前記第1の対向電極上に、ニオブより酸素との結合
    度が強い金属層又は耐酸化金属層とニオブ又はニオブの
    化合物からなる第2の対向電極とを複数回積層する工程
    であり、 前記第1の対向電極及び複数の前記第2の対向電極から
    なる対向電極中に、複数の前記ニオブより酸素との結合
    度が強い金属層又は複数の前記耐酸化金属層を挿入する
    ことを特徴とするジョセフソン接合素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 ニオブ又はニオブの化合物からなる基
    部電極と、前記基部電極上に、トンネル・バリア層を介
    して形成されたニオブ又はニオブの化合物からなる対向
    電極とを有するジョセフソン接合素子の製造方法におい
    て、 基板上に、ニオブ又はニオブの化合物からなる基部電極
    を形成する第1の工程と、 前記基部電極上に、所定の材料からなる金属層を形成し
    た後、前記所定の材料からなる金属層の一部又は全部を
    酸化してトンネル・バリア層を形成する第2の工程と、 前記トンネル・バリア層上に、ニオブ又はニオブの化合
    物からなる対向電極を形成する第3の工程と、 前記対向電極上に、ニオブより酸素との結合度が強い金
    属層又は耐酸化金属層を形成する第4の工程と全面に、
    絶縁層を形成する第5の工程と、 前記絶縁層を選択的にエッチング除去してコンタクト窓
    を開口した後、前記コンタクト窓を介して、前記ニオブ
    より酸素との結合度が強い金属層又は前記耐酸化金属層
    と接続する配線層を形成する第6の工程とを有すること
    を特徴とするジョセフソン接合素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項13記載のジョセフソン接合素
    子の製造方法において、 前記第6の工程が、前記絶縁層及び前記ニオブより酸素
    との結合度が強い金属層又は前記耐酸化金属層を選択的
    にエッチング除去してコンタクト窓を開口した後、前記
    コンタクト窓を介して、前記対向電極と接続する配線層
    を形成する工程であることを特徴とするジョセフソン接
    合素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項11乃至14のいずれかに記載
    のジョセフソン接合素子の製造方法において、 前記ニオブより酸素との結合度が強い金属層又は前記耐
    酸化金属層の代わりに金属窒化物層を用いることを特徴
    とするジョセフソン接合素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114824054A (zh) * 2022-03-09 2022-07-29 中国科学院上海微系统与信息技术研究所 一种基于vn的sns约瑟夫森结及其制备方法
WO2023139779A1 (ja) * 2022-01-24 2023-07-27 富士通株式会社 ジョセフソン素子、超伝導回路、量子演算装置及びジョセフソン素子の製造方法

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