JPH0524267Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、機体前部の刈取り搬送部で刈取つた
穀稈を、後方の脱穀部で脱穀処理する普通型コン
バインにおいて、特に脱穀部の脱穀シリンダを軸
流型とした脱穀装置に係るものである。

従来の技術 機体の前部に穀稈の刈取り搬送部を設け、その
後方に脱穀部および選別部を設けてなる普通型コ
ンバインは、例えば特開昭57−138316号公報に記
載されているように、種々のものが知られてい
る。また、脱穀部の脱穀シリンダを軸流型とした
ものも、同公報に記載されている。

考案が解決しようとする問題点 普通型コンバインは、刈取つた穀稈をそのまま
脱穀部に送込んで脱穀処理するものであるから、
脱穀処理される穀稈は不整状な状態を呈してお
り、稈長もまちまちである。

このため、１つの脱穀シリンダで完全な脱穀処
理を行うには、長い脱穀処理経路を要するので、
従来、普通型コンバインにおいては、脱穀シリン
ダが大型化し、かつ軸方向に長くなるのを避ける
ことができず、機体の小型化を図ることは甚だ困
難であつた。

そこで、本考案は、かかる従来からの問題点に
鑑み、小型でしかも軸方向に短い穀稈シリンダで
あつても、穀稈に十分な衝撃と分断作用を与え
て、脱穀処理能力を大幅に向上させることができ
る普通型コンバインにおける脱穀装置を提供する
ことを目的とするものである。

問題点を解決するための手段 本考案は、その目的を達成するための技術的手
段を次のように構成した。すなわち、本考案に係
る普通型コンバインにおける脱穀装置は、機体の
前部に穀稈の刈取り搬送部を設け、その後方に脱
穀部および選別部を設けてなる普通型コンバイン
において、脱穀シリンダは軸流螺旋体と多数の処
理歯を形成し、その受網を、適当間隔で並設した
複数のリングの対向面に多数の横棧を周方向に一
定間隔で貫通して筒状に形成すると共に、上記軸
流螺旋体の最大回転軌跡と各リングとの間隔、お
よび各処理歯の先端回転軌跡と横棧との間隔をそ
れぞれ小さく、かつ等しくなるように構成したこ
とを特徴とするものである。

作 用 機体は前進に伴つて刈取り搬送部で刈取られた
穀稈は後方へ搬送され、脱穀部に供給されて脱穀
処理される。すなわち、脱穀部に供給された穀稈
は、脱穀シリンダの軸流螺旋体に誘導されて、筒
状の受網内を順次軸方向に移動され、その移動過
程で脱粒、分断、ほぐし作用を受け、穀粒は受網
から漏下する。

脱穀シリンダの受網は、複数のリングおよび多
数の横棧で構成されているので、軸方向に移動中
の穀稈は、軸流螺旋体および処理歯によつてリン
グおよび横棧との間で撹拌作用を受け、その過程
における衝撃および分断作用によつて、効率のよ
い脱穀処理が行われる。

実施例 本考案の一実施例を図面について説明する。

第１図および第２図において、１は穀稈の刈取
り搬送部、２は脱穀部、３は選別部であつて、刈
取り搬送部１は機体前部に、脱穀部２は刈取り搬
送部１の後方に、さらに選別部３は脱穀部２の下
方に設けられている。

上記刈取り搬送部１は、分草体４、刈刃５、穀
稈掻込みリール６、ピツクアツプリール７、コン
ベヤ８等を備えて構成されている。脱穀部２は、
脱穀シリンダ９とその受網１０とで構成されてお
り、脱穀シリンダ９は軸流螺旋体１１および多数
の処理歯１２を有するものである。受網１０は第
３図で示すように、複数のリング１３を適当間隔
で並設し、かつ該リング１３の対向面には、多数
の横棧１４を周方向に一定間隔で貫通して筒状に
形成されている。そして受網１０の始端側は刈取
り搬送部１のコンベヤ８に接続されており、受網
１０の終端側下面には排稈の排出口１５が形成さ
れている。脱穀部２の下方には穀粒を後方へ集め
る複数のオーガ１６が設けられており、このオー
ガ１６の後部下方にはそれと直交する螺旋体１７
が設けられている。１８はその漏下樋である。１
９は選別部３の揺動選別体、２０はそのチヤーフ
シーブ、２１は唐箕、２２は選別風路、２３は１
番口、２４は２番口、２５は排風フアン、２６は
排塵口である。

上記脱穀部２の受網１０の内部には、各リング
１３の内周縁１３ａが張出しており、このリング
１３の内周縁１３ａは第４図に示すように波形状
に形成してもよく、脱穀シリンダ９の軸流螺旋体
１１の端縁１１ａも同様に波形状としてもよい。
そして、軸流螺旋体１１の最大回転軌跡とリング
１３の内周縁１３ａとの間隔ｌは小さくなるよう
に構成されており、処理歯１２の先端回転軌跡と
横棧１４との間隔l′も小さくなるように構成され
ている。上記間隔ｌとl′はほぼ等しくなつてい
る。なお、受網１０を構成する横棧１４には、パ
イプ状部材２７を回転自在に嵌装してもよく、こ
のパイプ状部材２７はゴム等の弾性を有するもの
である。横棧１４はパイプ状部材２７を嵌装する
場合以外は、丸棒材のほか角棒材等適宜のもので
よい。

叙上の如く構成されたものにおいて、機体の前
進に伴つて刈取り搬送部１で刈取られた穀稈は、
そのコンベヤ８で後方へ搬送され、脱穀部２に供
給される。そして、脱穀部２では脱穀シリンダ９
の軸流螺旋体１１によつて後方へ移送され、その
過程で脱穀処理される。ところで、脱穀部２にお
いて、受網１０内には複数のリング１３の内周縁
１３ａが張出しており、かつ受網１０が多数の横
棧１４で構成されているうえ、軸流螺旋体１１の
最大回転軌跡がリング１３の内周縁１３ａに接近
し、かつ処理歯１２の先端回転軌跡も横棧１４に
接近しているので、受網１０内を移動中の穀稈
は、軸流螺旋体１１とリング１３の内周縁１３ａ
間、および処理歯１２と横棧１４間で均等に十分
攪拌され、衝撃と摩擦による分断作用を受ける。
このため、脱穀シリンダ９が短くても効率のよい
脱穀が行われる。

なお、リング１３の内周縁１３ａおよび軸流螺
旋体１１の端縁１１ａを波形状としたものでは、
上記作用がさらに強く、横棧１４にパイプ状部材
２７を回転自在に嵌装したものでは目詰りの防止
と穀粒の損傷防止が図られると共に、横棧１４の
偏摩耗が防止でき、耐久性が向上する。

考案の効果 本考案は、前記の如き技術的手段を有し、かつ
作用するものであるから、小型でしかも軸方向に
短い脱穀シリンダであつても、軸流螺旋体とリン
グの内周縁間、および処理歯と横棧間で穀稈に十
分な衝撃と分断作用を与えることができ、脱穀処
理能力を飛躍的に向上させることができる極めて
有用な実用的効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る普通型コンバインにおける
脱穀装置の一実施例を示すものであつて、第１図
はコンバイン全体の縦断側面図、第２図は一部の
縦断正面図、第３図は脱穀部の受網の斜視図、第
４図は脱穀部の要部断面図である。 １……刈取り搬送部、２……脱穀部、３……選
別部、９……脱穀シリンダ、１０……受網、１１
……軸流螺旋体、１１ａ……その端縁、１２……
処理歯、１３……リング、１３ａ……その内周
縁、１４……横棧、１５……排稈の排出口、２７
……パイプ状部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 機体の前部に穀稈の刈取り搬送部を設け、そ
   の後方に脱穀部および選別部を設けてなる普通
   型コンバインにおいて、脱穀シリンダには軸流
   螺旋体と多数の処理歯を形成し、その受網を、
   適当間隔で並設した複数のリングの対向面に多
   数の横棧を周方向に一定間隔で貫通して筒状に
   形成すると共に、上記軸流螺旋体の最大回転軌
   跡と各リングとの間隔、および各処理歯の先端
   回転軌跡と横棧との間隔をそれぞれ小さく、か
   つほぼ等しくなるように構成したことを特徴と
   する普通型コンバインにおける脱穀装置。 (2) 脱穀シリンダの軸流螺旋体の端縁を波形状に
   形成し、受網のリング内周縁を波形状に形成し
   たことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の普通型コンバインにおける脱穀装
   置。 (3) 受網を構成する横棧にパイプ状部材を回転自
   在に嵌装したことを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項または第２項記載の普通型コン
   バインにおける脱穀装置。