JPH0524130Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【0001】

【産業上の利用分野】 本考案は電池に関し、特
定すると、ニツケル水素電池のような金属−気体
電池に関する。

【0002】

【従来技術、考案の課題】 従来技術として次の
ような米国特許文献がある。 米国特許第4115630号は、本考案の目的の１つ
を遂行している。すなわち、全モジユールを横切
る内部電路間の抵抗を均一化することにより、電
極モジユールの同等の劣化を達成している。しか
しながらこの特許は、電池の端子を電池の同一の
端部に位置づけるという他の目的を達成する場合
にこの目的がどのようにして達成し得るかを示唆
していない。実際に、この特許の設計では、電池
の円筒軸線に沿つて各端子を位置づけることが必
須であり、このため電池の両端子を同じ端部に位
置づけることは妨げられる。

【0003】 米国特許第3956015号は、両端子を電
池の一側に配置するが、端子は、本考案のものと
違つて電池の壁に垂直である。この特許は、端子
から各電極まで個々のリード線を利用することに
より全モジユール電路に対して電池内の抵抗を均
一化しようとするものである。しかしながら、リ
ード線の寸法および接続にはつねに若干の変動が
あるため、電路抵抗は等しくならない。さらに、
リード線は互いに絶縁されるべきであるから、得
られた装置は複雑で、重く、宇宙船への応用には
不適当である。

【0004】 また、米国特許第3899351号、第
4004067号、第4004068号、第4098962号、第
4127703号および第4159367号は、電池の同じ端部
に正端子および負端子を備える電池を開示してい
る。しかしながら、これらの特許は、本考案にお
けるように電池の寿命を長びかせるため、モジユ
ール電路間の抵抗を平衡化することをいずれも開
示していない。 米国特許第3846174号は、１モジユール内の抵
抗の平衡化を示しているが、モジユール間の抵抗
の平衡化を示していない。

【0005】

【課題を解決するための手段】 本考案の電池に
おいては、２つの重要な目的が実現される。第１
に、負および正端子は、同じ端部から電池に入
る。これは、負荷への相互接続を容易にし、導線
の長さを短く維持できる。これは、宇宙船への応
用におけるようにマルチセル式電池の重量および
容積をできるだけ小さくしなければならない場合
に非常に重要である。

【0006】 第２の重要な特別の構成は、本考案の
電池の内部の幾何形態が電極が同等に劣化するよ
うに形成されていることである。これは、宇宙船
におけるように、重量を最小にしながら電池の寿
命を長びかせようとする場合に重要である。この
目的は、全電極モジユールに対応する電池内部の
全電路に沿つての抵抗を均一化することにより遂
行される。このようにして、各モジユールは、電
池の全容量に等量の電力を供給し、同等に劣化す
る。 両方の目的を同時に達成することの困難性は、
上述のようにこれを達成することができない電池
について記述する多数の特許が存在することによ
り例証されよう。

【0007】 本考案は、端子が位置づけられる電池
端部と反対の電極積層端部の領域において、正ま
たは負端子のいずれかと従来のバスバーの１つ
（均一化側バスバー）との間に単一の均一化用バ
スバーを接続することにより上述の目的を達成す
る。均一化側バスバーは、均一化用バスバーが正
端子に接続された場合正のバスバーである。同様
に、均一化用バスバーが負端子に接続された場
合、均一化側バスバーは負のバスバーである。本
願明細書において、均一化用バスバーが設けられ
る側を「均一化側」と称し、均一化用バスバーが
設けられない側を「非均一化側」と称する。それ
ぞれの側にある部品には、対応するこの限定詞が
付されている。また、「均一化用バスバー」とは、
端子から各モジユールを経て他の端子に至る電路
の抵抗を均一化するための、本考案の目的を達成
するためのバスバーをいう。

【0008】 驚くべきことに、均一化用バスバー
は、正または負のバスバーや非均一化側端子を非
均一化側バスバーと接続する導体と、単位長あた
り同じ抵抗値を有しなくてよいことが分かつた。
原則として、均一化用バスバーは、抵抗損失およ
び重量をできるだけ小さくするため可能な限り短
く維持されるべきである。

【0009】 各正および負バスバーに沿つての２つ
の隣接する電極接続部間の抵抗の増分は同じにし
なければならない。この状態を満足させる簡単な
方法は、同じ長さおよび単位長当り同じ抵抗値を
有する正および負バスバー（電極積層の領域のみ
に延在するものと定義される）を提供することで
ある。全電極モジユール内における正バスバーか
ら負バスバーまでの内部抵抗は、実質的に同じと
すべきである。

【0010】

【実施例】 本考案のこれらおよびその他の特定
の目的および利点は、図面を参照して行なつた以
下の説明から一層明らかとなろう。 第１図は、本考案を適用し得る一形式の電池、
すなわち加圧金属−ガス電池４９を図示するもの
である。水素のような反応体ガスが容器５４の内
部を満たしている。少なくとも２つの電極モジユ
ールより成る電極積層５６には、第２の反応体が
含まれている。各モジユールは、普通、正のバス
バー６８（第３図参照）に接続された１つの正電
極８と、負のバスバー５８に接続された１つの負
電極９とを含む。正および負電極は、電極積層５
６を形成するように交互に積まれている。セパレ
ータ（図示せず）が電極間を隔絶しており、電解
質を含んでいる。モジユール間には、反応体ガス
の出入りを可能にしあるいは電気的絶縁を行なう
ため、別個のセパレータを設けてもよい。水素が
第１の反応体の場合、負電極９は、例えば白金の
触媒作用を受けるニツケルとし得る。

【0011】 本明細書の記述は、１例として加圧金
属／気体電池を対象としてなされるが、本考案
は、各モジユールが少なくとも１つの正電極およ
び１つの負電極を含む少なくとも２つの電極モジ
ユールを備える電極積層を有する２端子電池に有
利に利用できる。

【0012】 電池４９の形状は、両端が楕円形部分
で終わる細長い真円円筒形スリーブとして図示さ
れている。例示の具体例において、両端は半球状
である。これは、高圧気体を包含するのに最適の
幾何形態である。

【0013】 正端子７３および負端子６３が電池４
９の同じ端部を貫通している。 電極積層５６は、絶縁材料より成る細長い円筒
状の中心ロツド５１により支持されており、そし
て該ロツドは、ワツシヤ９５および９４を介して
容器５４の内面に軸線方向において外向きの力を
加えている。絶縁性端板が５２および６０（この
例においては円形形状）が、電極積層５６を軸線
方向において内向きに圧縮しており、容器５４の
内面に外向きの力を加えている。電池の製造中容
器５４の２部分の溶接を容易にするために溶接リ
ング７０が使用される。

【0014】 この種の電池は、本考案とともに譲渡
され1981年11月２日付で提出されたメイヤおよび
ヒツクマンの「軽重量金属−気体電池」と題する
米国特許出願に詳細に記載されている。

【0015】 端子６３は、通常薄鋼板のような導体
の容器５４から電気的に絶縁された貫通導体を含
む。同様に、端子７３は、容器５４から同じよう
に電気的に絶縁された貫通導体７２を含む。端子
６３および７３は、電池４９の長手方向軸線に実
質的に平行であるのがよい。各貫通導体６４およ
び７２と容器５４間の絶縁体シールを構成する好
ましい手段は、本考案と一緒に譲渡され、1981年
８月28日付で出願された米国特許出願第297374号
に記載されている。

【0016】 貫通導体６４は、可撓性導体１２２を
介して負のバスバーと電気的に接続される。この
端子は非均一化側端子として例示されているが、
負端子は同様に容易に均一化側端子とし得る。こ
の場合、端子７３は非均一化側端子となろう。こ
こでは、端子７３は均一化側端子として示されて
いる。貫通導体７２は、可撓性導体１２３を介し
て均一化用バスバー１と電気的に接続される。均
一化用バスバー１は、積層５６に沿う唯一の領域
で、すなわち端子７３から遠い端部にて正のバス
バー６８に接続されている。このように、この例
示において、正のバスバー６８は均一化側バスバ
ーであり、負のバスバー５８は非均一化側バスバ
ーである。

【0017】 均一化用バスバー１は、端子７３およ
び６３が突出する電池端部と反対の電池積層の端
部における一領域においてのみ均一化側バスバー
に接続されている。重要なことは、均一化側バス
バーが、積層５６と並ぶ領域で均一化用バスバー
と接触しないことである。何故ならば、各正負バ
ーに沿う２つの隣接する電極接続部間の抵抗増分
は、いずれにおいても同じでなければならないか
らである。

【0018】 本考案の装置および全電極モジユール
電路中の抵抗を均一化する手段の動作は、下の表
を検討することにより理解できよう。ここに、Ｎ
は、非均一化側端子の端部から（すなわち貫通導
体７２または６４の未接続端部から）非均一化側
バスバーの最近端までの導電路に沿う抵抗値であ
る。すなわち、例示の具体例において、Ｎは貫通
導体６４の未接続端末から導体１２２を介して負
バスバー５８の積層５６の底部と並ぶ点までの抵
抗値である。

【0019】 Ｍは、均一化側バスバーの積層５６の
頂部と並ぶ点から始まり、均一化用バスバー１と
可撓性導体（１２３または１２２）と均一化側貫
通導体とを含む電路の抵抗である。それゆえ、こ
こでは、Ｍは、バスバー６８の頂部からバー１を
経て正の貫通導体７２の未接続端部までの抵抗で
ある。Ｌは、積層５６の領域における非均一化側
バスバーと均一化側バスバーの各々の抵抗であ
る。下記の表は、電極積層５６中の３つの異なる
電極モジユール中の内部電路抵抗を示す。

【0020】

【表１】 ■■■ 亀の甲 ［0002］ ■■■

【0021】 上の表から、電極モジユールの位置に
拘りなく、１つのモジユールを横切る電路に沿つ
ての電池４９内の内部抵抗は、Ｌ＋Ｍ＋Ｎ＋Ｐに
等しい（ここにＰは各モジユール中の抵抗であ
る）ことが分ろう。また、上の表から、ＭはＬお
よびＮと無関係であり、したがつて特定の値であ
る必要がないことが分る。このことは、バー１の
抵抗が、特定の値を有する必要がないことを意味
する。バー１の長さは、均一化側バスバーおよび
非均一化側バスバーの各々の長さと無関係であ
る。バー１の単位長さ当りの抵抗は、均一化側バ
スバーおよび非均一化側バスバーの各々の単位長
さ当りの抵抗と無関係である。原則として、Ｍ
は、損失をできるだけ少なくするためできるだけ
小さく維持されるべきであり、均一化用バスバー
１は、特に宇宙への応用のためできるだけ軽量に
維持されるべきである。

【0022】 均一化側バスバーおよび非均一化側バ
スバーの各々に沿う隣接する電極間の抵抗増分は
同じでなければならない。この条件を満足させる
簡単な方法は、同じ長さおよび単一の長さ当り同
じ抵抗を有する均一化側バスバーおよび非均一化
側バスバーを提供することである。また、正のバ
スバーから負のバスバーまでの各電極モジユール
内の内部抵抗は、できるだけ等しくすべきであ
る。 バスバー１，６８、または５８は、壁５４上で
電気化学的反応が起こるのを避けるためいずれ壁
５４に触れさせてはならない。

【0023】 以上が本考案についての唯一の限定で
あるから、均一化用バスバー１を実施するには多
くの可能な方法があることが容易に認められよ
う。例えば、均一化用バスバー１は、途中で絶縁
中心ロツド５１の中心を通つて均一化側端子に至
る導体の形式で実施できよう。例示の具体例は、
実施中の具体例のほんの１例であり、第２図およ
び第３図に詳細に示されている。均一化用バスバ
ー１は、可撓性導体（１２３または１２２）に接
続する下部１１と、方形の孔が切除された細長い
矩形部分３とを有する。しかして、この孔は、タ
ブ７とバスバー１を電気的に接触させることなく
タブ７を通すためのものである。各タブは、均一
化側バスバーと同じ極性の電極（ここでは正の電
極８と正のバスバー６８）の端末である。各タブ
７の機能は、電極８とバスバー６８間を電気的に
接触させる手段を提供することである。

【0024】 バスバー６８は、その長さ方向に横断
方向に配置された狭い矩形状スリツトを有する細
長い矩形状バーの形状を有するものとして示され
ている。スリツト６は、タブ７を受け入れるよう
に寸法が設定されている。溶接タブ７は、タブ７
のバスバー６８への溶接を容易にするため、スリ
ツト６に予め挿入できる。

【0025】 均一化用バスバー１は、バスバー６８
の頂部に溶接、はんだ付けまたはその他の方法で
導電的に接合された上部縁部２を有する。これ
は、バスバー１と６８が接触をなす唯一の領域で
ある。細長い矩形形状を有するものとして示され
る絶縁体４は、バスバー１および６８が積層５６
の領域で接触しないことを保証するためにバスバ
ー１と６８間に配置される。絶縁体４は、タブ７
を受け入れてそれに対する機械的支持手段を提供
するため、長さ方向に対して横断方向に配置され
た一連の細い矩形スリツト５が切除されている。

【0026】

【考案の効果】 本考案の構成によれば、正端子
および負端子が電池の同じ端部に設けられている
ので、負荷への接続が容易であり、導線の長さを
短く維持できる。また、全電極モジユールに対応
する電池内部の全電路に沿つての抵抗を均一化す
ることによつて、電極の各電極モジユールの劣化
が同等となり、電池の効率的な使用を達成し得
る。これは、小型高能率を必要とする宇宙船にお
いて、極めて有用である。しかも、本考案によれ
ば、単に１本のバスバーの追加によつて上述のよ
うな利点を同時にもたらすことができる。

【0027】 以上の説明は、好ましい具体例の動作
を例示するためのものであり、本考案の技術思想
を限定することを意味しない。技術に精通したも
のであれば、以上の論述から実用新案登録請求の
範囲から逸脱することなく種々の変更をなし得る
ことは明らかである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を利用する電池の一部断面の概略
図である。

【図２】均一化用バスバーの１具体例の分解斜視
図である。

【図３】第２図に例示される具体例の側面であ
る。

【符号の説明】

１……均一化用バスバー ４……絶縁体 ５……スリツト ６……スリツト ８……正電極 ９……負電極 ５１……中心ロツド ５２，６０……絶縁性端板 ５４……容器 ５６……電極積層 ５８……負バスバー ６３……負端子 ６４，７２……貫通導体 ７４……正端子 １２２，１２３……可撓性導体。

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 各々少なくとも１つの正電極およ
   び負電極を有する少なくとも２つの電極モジユー
   ルを含む電極積層と、 前記各正電極に接続される導電性の正端子と、 前記各正電極を接続する導電性の正のバスバー
   と、 前記各負電極に接続された導電性の負端子と、 前記各負電極を接続する導電性の負のバスバー
   と、 前記端子の一方のみと当該均一化用バスバーが接
   続される端子と同極性の前記バスバーとの間に接
   続された導電性の均一化用バスバーとを含み、 前記均一化用バスバーおよび当該均一化用バスバ
   ーが接続されるバスバーが、前記均一化用バスバ
   ーが接続される端子から遠い方の電極積層体の端
   部にてのみ結合されており、 前記均一化用バスバーが、両端子および１つのモ
   ジユールを含む各電路の抵抗を均一化する働きを
   する ことを特徴とする電池。
2. 【請求項２】 ２つのバスバーの各々に沿う２つ
   の隣接する電極間の抵抗増分が同じである請求項
   １記載の電池。
3. 【請求項３】 前記端子の各々が、電池の同じ端
   部にて電池中に突出する請求項１記載の電池。
4. 【請求項４】 前記積層内の各正電極に接続され
   た正のバスバーと、前記積層内の各負極に接続さ
   れた負のバスバーを含み、前記均一化用バスバー
   が、前記端子の一方のみと該均一化用バスバーが
   接続された端子と同じ極性を有するバスバーとの
   間に接続され、前記電極積層が、前記端子に隣接
   する第１の端部と、この端子から遠い第２の端部
   を有し、均一化用バスバーおよびバスバー間の電
   気的接続が前記電極積層の第２端部領域において
   のみなされる請求項３記載の電池。
5. 【請求項５】 前記各バスバーに沿う隣接する２
   電極間の抵抗増分が同じであり、各モジユールが
   相対するバスバー間において実質的に同じ抵抗を
   有する請求項４記載の電池。