JPH0524106U - Ｈ形鋼のフランジ冷却装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フランジ鉛直方向の冷却液流量分布を一様に
すると共に、Ｈ形鋼長手方向の断面におけるフランジ幅
方向の冷却液流量分布を制御可能としたフランジ冷却装
置の提供。 【構成】 Ｈ形鋼２のフランジ2aを外側より冷却する装
置に関し、フランジ2aの幅方向である上下方向に複数段
旋回自在に支持し、旋回駆動させることにより、装着ノ
ズル３からの冷却液噴射方向を変更可能としたヘッダー
４を、左右方向へ移動可能な支持架台５に載置する。そ
してフランジ2aの幅方向に冷却能力を可変として、Ｈ形
鋼２の寸法，フランジ2a厚に応じて冷却液量と冷却位置
の変更を各ヘッダー４毎に行う。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、熱間圧延によるＨ形鋼の製造時において、フランジとウエブとの 肉厚差による温度差から起こる局部曲りやウェブの座屈を防止するＨ形鋼のフラ ンジ冷却装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来のこの種のＨ形鋼のフランジ冷却装置としては、次に述べるものが一般に 知られている。

【０００３】 フランジを鉛直方向に位置させたＨ形鋼のフランジ側方に冷却液吹付けノズ ルを設けると共に、この吹付けノズルとフランジとの間に鉛直方向へ移動自在な マスキングプレートを設ける。そして冷却液吹付けノズルからフランジに向い冷 却液を吹き付けて該フランジを冷却する際に、該フランジ上部から冷却液が該Ｈ 形鋼のウェブ面に飛散することをマスキングプレートで防止して、フランジのみ を確実に冷却できるようにしたもの（実開平１-153806 号公報参照）。

【０００４】 複数種類の冷却液吹付けノズル付ヘッダーを納めた冷却ボックスを、昇降方 向および左右開閉方向へ動かし、Ｈ形鋼のフランジに対向して最適な冷却位置に 調整可能としたもの（特開昭60-221524 号公報）。

【０００５】 複数の冷却液吹付けノズル付ヘッダーを上下左右方向に移動可能とし、フラ ンジの幅方向温度を均一化にすべく、冷却能力をフランジ幅方向で調整可能とし たもの（特開昭62-174326 号公報）。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】

［従来の技術］の項で述べたの冷却装置では、Ｈ形鋼のウェブとフランジと の温度差を極力僅少に保持することによって、Ｈ形鋼のウェブ波打を防止するこ とができて、熱間圧延によるＨ形鋼の製造時における第１の目的は達成可能であ る。

【０００７】 しかしながら、鉛直方向に移動自在なマスキングプレートにてフランジ冷却位 置を変化させる装置であるため、フランジ鉛直方向の冷却液流量分布が一様とな らない。またフランジ幅方向の温度分布情報に基づき、該温度分布を均一にする よう冷却する場合においても、Ｈ形鋼長手方向の１断面において冷却液流量分布 を制御することは不可能である。そのため、長手方向に複数のそれぞれ独立に移 動自在であるマスキングプレートを配置することにより、前記長手方向にフラン ジ幅方向の冷却液流量分布を変化させ、かつＨ形鋼を長手方向に搬送させながら 冷却する方法を実施することになるため、本方法では種々の温度分布を持つＨ形 鋼のフランジを均一温度分布となるように冷却することは極めて難しい。

【０００８】 またおよびで述べた装置では、冷却液吹付けノズルを上下左右方向に移動 させるため、装置が複雑となり、ヘッダー間での干渉も発生し、フランジの局部 的冷却能の調整が難しいという問題がある。特にヘッダー部の昇降は、全重量を 受けることと、長い部材のヘッダーを水平に保持する必要があり、駆動機構が複 雑な構造のものとなる。しかも干渉をさけるため、冷却液吹付けノズル用の配管 を長く曲管とするなど、冷却液吹付けノズルの指向調整が難しいものとなる。

【０００９】 この考案は前述した事情に鑑みて創案されたもので、その目的はフランジ鉛直 方向の冷却液流量分布を一様にできるようにすると共に、Ｈ形鋼の長手方向の断 面におけるフランジ幅方向の冷却液流量分布を制御できるようにしたＨ形鋼のフ ランジ冷却装置を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

この考案によれば、フランジを鉛直方向に位置させたＨ形鋼のフランジの側方 に設けられた冷却液吹付けノズルから、フランジに冷却液を吹き付け、該フラン ジを冷却するＨ形鋼のフランジ冷却装置において、冷却液吹付けノズルの角度を 鉛直方向に移動自在とし、該冷却液吹付けノズルの角度をフランジ幅情報または フランジ幅方向の温度分布情報の少なくとも一方に基づき変化させるように制御 することによって、前記目的を達成するものである。

【００１１】

【作用】

冷却液吹付けノズルの角度を鉛直方向に移動自在とし、この吹付けノズルの角 度をフランジ幅情報に基づき変化させることにより、冷却液がフランジ上端部を 越えてウェブ上面に飛散することを防止する。これにより、フランジ幅寸法の異 なる各種Ｈ形鋼に対して、冷却不要部であるウェブを冷却することなく、フラン ジのみを冷却することができる。従って不均一な冷却によって生じるＨ形鋼の形 状悪化を防止することができる。

【００１２】 また吹付けノズルの角度をフランジ幅方向の温度分布情報に基づき変化させる ことによって、種々の温度分布状態のフランジに対して該温度分布を均一にする ように冷却する。これによって、前記同様に不均一な冷却によって生じるＨ形鋼 の形状および材質低下を防止することができる。さらに種々の温度分布状態のフ ランジに対し、該温度分布を任意の分布となるように冷却することができるため 、Ｈ形鋼の形状および材質を制御することができる。

【００１３】

【実施例】

以下、この考案のＨ形鋼のフランジ冷却装置を、図示する実施例に基づいて説 明する。

【００１４】 フランジ2aを鉛直方向に位置させたＨ形鋼２のフランジ2a側方に設けられた冷 却液吹付けノズル３から、フランジ2aへ冷却液を吹き付けて冷却するＨ形鋼２の フランジ冷却装置１（図１，図２および図６参照）は、複数段設けられた旋回動 自在なヘッダー４と、この各ヘッダー４に装着されており、各ヘッダー４を駆動 手段によって旋回させることで各段毎に吹付け方向を個別に旋回調整できる冷却 液吹付けノズル３と、ヘッダー４をＨ形鋼２に対して水平方向に接離自在に支持 する支持架台５と、各段のヘッダー４毎に設けられており、冷却液吹付けノズル ３への冷却液流量を調整する流量調整弁６と、冷却液吹付けノズル３の吹付け方 向を、冷却前に測定したフランジ2a幅方向の温度分布情報またはフランジ2a幅情 報の少なくとも何れか一方の情報に基づき変化させるように制御する制御装置７ とを備えてなっている。

【００１５】 図１は、冷却液吹付けノズル３の角度を可変にし、Ｈ形鋼２に対して効率的に 冷却する目的でスクリュージャッキ８を昇降させることにより、リンク９を介し てヘッダー４を傾動する例を示すものである。なおこの実施例でのヘッダー４は 、鉛直方向に３段とし、それぞれ独立に冷却液吹付けノズル３の角度調整が可能 となっている。

【００１６】 図２は、支持架台５の実施例で、Ｈ形鋼２の両側に対向する開閉可能とした支 持架台５に冷却液吹付けノズル３付きヘッダー４を上下に三段配設する。そして それぞれのノズル３を介して、冷却液配管10より導入した冷却液をＨ形鋼２に噴 射して冷却する例を示すものである。

【００１７】 図３〜図５は、支持架台５の配置例を示す。そして図３は圧延機11の前後に配 置した例を示すもので、図４および図５はそれぞれを圧延機11の後面および前面 に配した例を示すものである。

【００１８】 図６は、冷却液を各ヘッダー４へ供給する配管の実施例（三段ヘッダーの内の 一段）を示すもので、流量調整弁６である圧力調整弁12および流量計13により液 量をコントロールし、ゾーンセンサー14でＨ形鋼２を検知したら、三方切替弁15 により冷却液の噴射を行い、噴射終了後はスケールスルース等へ排水する。そし て三方切替弁15で、流量コントロールを安定させる。また温度計16により、冷却 液量の設定およびヘッダー４の使用段数を設定する。

【００１９】 このような構成からなるフランジ冷却装置１を使用しての、Ｈ形鋼２における フランジ2aの冷却は、以下に述べるようにして行う。

【００２０】 まずＨ形鋼２の冷却前にフランジ2a幅方向の温度分布を測定する。そして該温 度分布の情報と、フランジ2aの幅情報とに基づき各段のヘッダー４における冷却 液吹付けノズル３の角度およびノズル３への冷却液流量を決定する。

【００２１】 このことによって、フランジ2aの冷却後の温度をフランジ2aの幅方向に均一に することができる。なおこの実施例によるフランジ2aの幅方向における温度分布 や冷却液吹付ノズル３の角度およびノズル３への冷却液流量分布の一例を図７の 表に示す。

【００２２】

【考案の効果】

この考案は前述したように構成したので、フランジ幅寸法の異なる各種のＨ形 鋼に対して、冷却不要部分であるウェブを冷却することなくフランジのみを冷却 することができる。しかも種々の温度分布を持つＨ形鋼のフランジを均一温度分 布となるように冷却することができるという優れた効果を有する。さらに種々の 温度分布を持つＨ形鋼のフランジを任意の温度分布となるように冷却することが できるという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案のＨ形鋼のフランジ冷却装置を示す概
略図である。

【図２】この考案のＨ形鋼のフランジ冷却装置における
支持架台の実施例を示す概略図である。

【図３】この考案のＨ形鋼のフランジ冷却装置における
支持架台を圧延機の前後に配置した図である。

【図４】支持架台を圧延機の後面に配した図である。

【図５】支持架台を圧延機の前面に配した図である。

【図６】フランジ冷却装置における各ヘッダーへ、冷却
液を供給すべく配設された管路状態を示す配管図であ
る。

【図７】フランジの幅方向における温度分布や冷却液吹
付ノズルの角度およびノズルへの冷却液の流量分布の一
例を示す角度状態および流量，温度分布図である。

【符号の説明】

１…フランジ冷却装置、２…Ｈ形鋼、2a…フランジ、３
…冷却液吹付けノズル、４…ヘッダー、５…支持架台、
６…流量調整弁、７…制御装置、８…スクリュージャッ
キ、９…リンク、10…冷却液配管、11…圧延機、12…圧
力調整弁、13…流量計13、14…ゾーンセンサー、15…三
方切替弁、16…温度計。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 フランジを鉛直方向に位置させたＨ形鋼
   のフランジ側方に設けられた冷却液吹付けノズルから、
   前記フランジへ冷却液を吹き付けて冷却するＨ形鋼のフ
   ランジ冷却装置であり、 複数段設けられた旋回動自在なヘッダーと、この各ヘッ
   ダーに装着されており、各ヘッダーを駆動手段によって
   旋回させることで各段毎に吹付け方向を個別に旋回調整
   できる冷却液吹付けノズルと、前記ヘッダーを前記Ｈ形
   鋼に対して水平方向に接離自在に支持する支持架台と、
   前記各段のヘッダー毎に設けられており、冷却液吹付け
   ノズルへの冷却液流量を調整する流量調整弁と、前記液
   吹付けノズルの吹付け方向を、冷却前に測定したフラン
   ジ幅方向の温度分布情報またはフランジ幅情報の少なく
   とも何れか一方の情報に基づき変化させるように制御す
   る制御装置とが備えられていることを特徴とするＨ形鋼
   のフランジ冷却装置。