JPH0523965A - ワイヤソー用ワイヤおよびその製造方法 - Google Patents
ワイヤソー用ワイヤおよびその製造方法Info
- Publication number
- JPH0523965A JPH0523965A JP17960791A JP17960791A JPH0523965A JP H0523965 A JPH0523965 A JP H0523965A JP 17960791 A JP17960791 A JP 17960791A JP 17960791 A JP17960791 A JP 17960791A JP H0523965 A JPH0523965 A JP H0523965A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wire
- layer
- plating
- saw
- ferrite
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23D—PLANING; SLOTTING; SHEARING; BROACHING; SAWING; FILING; SCRAPING; LIKE OPERATIONS FOR WORKING METAL BY REMOVING MATERIAL, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23D61/00—Tools for sawing machines or sawing devices; Clamping devices for these tools
- B23D61/18—Sawing tools of special type, e.g. wire saw strands, saw blades or saw wire equipped with diamonds or other abrasive particles in selected individual positions
- B23D61/185—Saw wires; Saw cables; Twisted saw strips
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Processing Of Stones Or Stones Resemblance Materials (AREA)
- Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 鍍金下地ワイヤの表面粗さを向上させること
により、鍍金層の厚みのバラツキを小さくし、切断磨耗
による部分的なワイヤ露出箇所の出現を抑え、長期に亘
り良好な切断効率、切断精度を維持し、使用寿命を延長
する。 【構成】 厚さ3〜8μmの銅、錫等比較的軟質な鍍金
層を周囲に有し、該鍍金下地ワイヤが深さ0.5〜2μm
のフェライト脱炭層を有し、かつ表面粗さをRt2μm
以下にして成る。
により、鍍金層の厚みのバラツキを小さくし、切断磨耗
による部分的なワイヤ露出箇所の出現を抑え、長期に亘
り良好な切断効率、切断精度を維持し、使用寿命を延長
する。 【構成】 厚さ3〜8μmの銅、錫等比較的軟質な鍍金
層を周囲に有し、該鍍金下地ワイヤが深さ0.5〜2μm
のフェライト脱炭層を有し、かつ表面粗さをRt2μm
以下にして成る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体、セラミック
ス、超硬合金等の硬質材料の切断に用いるワイヤソー用
ワイヤに関し、特にVTR、ATR等の磁気ヘッドの如
き精緻な表面精度が要求されるものを切断するのに適し
たワイヤソー用ワイヤおよびその製造方法に関するもの
である。
ス、超硬合金等の硬質材料の切断に用いるワイヤソー用
ワイヤに関し、特にVTR、ATR等の磁気ヘッドの如
き精緻な表面精度が要求されるものを切断するのに適し
たワイヤソー用ワイヤおよびその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ワイヤソーは、ワイヤを切断用砥粒、一
般には炭化硅素粉、ダイヤモンド粉等の砥粒とともに被
切断物に圧接しつつ走行させて切断するものである。
般には炭化硅素粉、ダイヤモンド粉等の砥粒とともに被
切断物に圧接しつつ走行させて切断するものである。
【0003】上記ワイヤには、切断にかかる張力に耐え
得る強度が必要なため高抗張力ワイヤ、一般には硬鋼線
材、ピアノ線材等が用いられている。しかし、これらの
ワイヤは、その表面が硬く、しかも滑らかであるため、
被切断物への砥粒の持ち込みに劣り、切断速度を向上す
ることができず、切断効率面で劣るという課題を有す
る。
得る強度が必要なため高抗張力ワイヤ、一般には硬鋼線
材、ピアノ線材等が用いられている。しかし、これらの
ワイヤは、その表面が硬く、しかも滑らかであるため、
被切断物への砥粒の持ち込みに劣り、切断速度を向上す
ることができず、切断効率面で劣るという課題を有す
る。
【0004】近年、上記課題に鑑み、ピアノ線の表面に
銅あるいは錫の層を設け、この比較的軟質な層に砥粒を
保持させることで被切断物への砥粒の持ち込みを向上せ
んとするワイヤソー用ワイヤが提案されている(例えば
特開昭54−21692号公報)。
銅あるいは錫の層を設け、この比較的軟質な層に砥粒を
保持させることで被切断物への砥粒の持ち込みを向上せ
んとするワイヤソー用ワイヤが提案されている(例えば
特開昭54−21692号公報)。
【0005】上記ワイヤソー用ワイヤの一般的な製造工
程の概要を図7に示す。図7において、18は線径0.7
〜1.5mmφの高抗張力ワイヤであり、このワイヤ18の
外周に銅、錫等の鍍金層19を形成する。しかる後、伸
線加工により、線径0.10 〜0.30mm φのワイヤソー用
ワイヤ20を得る。
程の概要を図7に示す。図7において、18は線径0.7
〜1.5mmφの高抗張力ワイヤであり、このワイヤ18の
外周に銅、錫等の鍍金層19を形成する。しかる後、伸
線加工により、線径0.10 〜0.30mm φのワイヤソー用
ワイヤ20を得る。
【0006】上記従来の製造方法を図8を用いてより具
体的に説明する。図8において、線径0.7〜1.5mmφの
高抗張力ワイヤ(たとえばSWRS80A)18は、加
熱炉9、鉛焼入槽10を経て熱処理(パテンティング)
された後、電解酸洗浄槽16、水洗槽13、アルカリ洗
浄槽17、水洗槽13を経て前処理され、しかる後硫酸
銅鍍金浴槽12で厚み30〜40μmの鍍金層19が形
成され、水洗槽13で水洗後巻取機14にて巻取られ
る。次いで、このワイヤを連続伸線機15の複数のダイ
ス21に導き、95〜98%の加工度で伸線加工して、
鍍金厚3〜8μmを有する線径0.10 〜0.30mm φのワ
イヤソー用ワイヤ20を得る。
体的に説明する。図8において、線径0.7〜1.5mmφの
高抗張力ワイヤ(たとえばSWRS80A)18は、加
熱炉9、鉛焼入槽10を経て熱処理(パテンティング)
された後、電解酸洗浄槽16、水洗槽13、アルカリ洗
浄槽17、水洗槽13を経て前処理され、しかる後硫酸
銅鍍金浴槽12で厚み30〜40μmの鍍金層19が形
成され、水洗槽13で水洗後巻取機14にて巻取られ
る。次いで、このワイヤを連続伸線機15の複数のダイ
ス21に導き、95〜98%の加工度で伸線加工して、
鍍金厚3〜8μmを有する線径0.10 〜0.30mm φのワ
イヤソー用ワイヤ20を得る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の如くして得られ
たワイヤソー用ワイヤ20を用いて硬質材料を切断して
いった場合、当然のことながらワイヤ20自身も磨耗す
る。なお、磨耗が進行し、鍍金下地が露出するようにな
ると、切断効率が劣るばかりか、切断力にムラが生じて
被切断物の表面状態を粗雑にせしめることとなる。上記
ワイヤ20にあっては、このような現象が早期に発生
し、ワイヤソー用ワイヤの使用寿命を短命化させてい
る。したがって、特に精緻な表面精度が要求されるVT
R、ATR等の磁気ヘッドを切断するワイヤソー用ワイ
ヤとしては不適である。
たワイヤソー用ワイヤ20を用いて硬質材料を切断して
いった場合、当然のことながらワイヤ20自身も磨耗す
る。なお、磨耗が進行し、鍍金下地が露出するようにな
ると、切断効率が劣るばかりか、切断力にムラが生じて
被切断物の表面状態を粗雑にせしめることとなる。上記
ワイヤ20にあっては、このような現象が早期に発生
し、ワイヤソー用ワイヤの使用寿命を短命化させてい
る。したがって、特に精緻な表面精度が要求されるVT
R、ATR等の磁気ヘッドを切断するワイヤソー用ワイ
ヤとしては不適である。
【0008】本発明者は上記課題の要因を探究すべく種
々の試験、分析を試み、その結果以下の如き知見を得る
に至った。すなわち、上記ワイヤソー用ワイヤ20の断
面を顕微鏡にて観察したところ、図6に示す如く、鍍金
下地ワイヤ23の表面全周に凹凸が観られ、この表面粗
さを測定したところRt3.0〜4.5μmという値であっ
た。ところで、上記ワイヤソー用ワイヤ20にあって
は、鍍金層の厚みのバラツキが大となり、鍍金下地ワイ
ヤ表面の凸部、すなわち鍍金層の薄い箇所が磨耗により
早期に露出することとなっていた。さらに、表面粗さを
粗雑にする要因を追求したところ、切断効率を向上する
ために施す高抗張力ワイヤと鍍金層との硬さの差異がか
えってワイヤソー用ワイヤの品質を粗悪にする要因であ
ることを突き止めた。すなわち、鋼線等高抗張力ワイヤ
と比較して軟質な鍍金層が外周に形成されたワイヤソー
用ワイヤを複数のダイスで以て細化する場合、内部の高
抗張力ワイヤは各ダイスを通過する際に偏心されつつ引
抜かれることとなり、このため鍍金下地ワイヤの表面に
凹凸が形成されることとなる。
々の試験、分析を試み、その結果以下の如き知見を得る
に至った。すなわち、上記ワイヤソー用ワイヤ20の断
面を顕微鏡にて観察したところ、図6に示す如く、鍍金
下地ワイヤ23の表面全周に凹凸が観られ、この表面粗
さを測定したところRt3.0〜4.5μmという値であっ
た。ところで、上記ワイヤソー用ワイヤ20にあって
は、鍍金層の厚みのバラツキが大となり、鍍金下地ワイ
ヤ表面の凸部、すなわち鍍金層の薄い箇所が磨耗により
早期に露出することとなっていた。さらに、表面粗さを
粗雑にする要因を追求したところ、切断効率を向上する
ために施す高抗張力ワイヤと鍍金層との硬さの差異がか
えってワイヤソー用ワイヤの品質を粗悪にする要因であ
ることを突き止めた。すなわち、鋼線等高抗張力ワイヤ
と比較して軟質な鍍金層が外周に形成されたワイヤソー
用ワイヤを複数のダイスで以て細化する場合、内部の高
抗張力ワイヤは各ダイスを通過する際に偏心されつつ引
抜かれることとなり、このため鍍金下地ワイヤの表面に
凹凸が形成されることとなる。
【0009】本発明は、上記課題に鑑みてなしたもので
あり、鍍金下地ワイヤの表面粗さを向上させ、鍍金層厚
みのバラツキを極小になすことにより、切断精度を早期
に劣化させることなく、使用寿命が長いワイヤソー用ワ
イヤを得ることを目的とする。
あり、鍍金下地ワイヤの表面粗さを向上させ、鍍金層厚
みのバラツキを極小になすことにより、切断精度を早期
に劣化させることなく、使用寿命が長いワイヤソー用ワ
イヤを得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明のワイヤソー用ワイヤは、外周に銅、錫等の比
較的軟質な金属からなる厚み3〜8μmの鍍金層を有す
る線径0.10 〜0.30mm φのワイヤソー用ワイヤにおい
て、鍍金下地ワイヤが深さ0.5〜2μmのフェライト脱
炭層を有し、かつ表面粗さRtを2μm以下にして成
る。
に本発明のワイヤソー用ワイヤは、外周に銅、錫等の比
較的軟質な金属からなる厚み3〜8μmの鍍金層を有す
る線径0.10 〜0.30mm φのワイヤソー用ワイヤにおい
て、鍍金下地ワイヤが深さ0.5〜2μmのフェライト脱
炭層を有し、かつ表面粗さRtを2μm以下にして成
る。
【0011】また、本発明のワイヤソー用ワイヤの製造
方法は、熱処理にて線径0.7〜1.5mmφのワイヤの全周
にフェライト脱炭層を形成した後、銅、錫等の比較的軟
質な金属からなる鍍金層を形成し、次に上記ワイヤを9
5〜98%の加工度で伸線して、鍍金下地ワイヤが深さ
0.5〜2μmのフェライト脱炭層を有し、かつ表面粗さ
をRt2μm以下にしたワイヤソー用ワイヤを形成して
成る。
方法は、熱処理にて線径0.7〜1.5mmφのワイヤの全周
にフェライト脱炭層を形成した後、銅、錫等の比較的軟
質な金属からなる鍍金層を形成し、次に上記ワイヤを9
5〜98%の加工度で伸線して、鍍金下地ワイヤが深さ
0.5〜2μmのフェライト脱炭層を有し、かつ表面粗さ
をRt2μm以下にしたワイヤソー用ワイヤを形成して
成る。
【0012】上記構成において、伸線加工前に形成する
鍍金下地ワイヤのフェライト脱炭層の深さは6〜15μ
m必要である。この理由は、6μmより小さいと、伸線
加工により鍍金下地ワイヤの表面粗さが大きくなり、鍍
金層厚みのバラツキが大きくなるため所期の目的を達成
できない。一方、大き過ぎると製品化した際、占める割
合が大きく、強力面で劣るため、上限を15μmとし
た。なお、ワイヤソー用ワイヤとして必要な強力を得る
には95〜98%の加工度の伸線加工を要する。
鍍金下地ワイヤのフェライト脱炭層の深さは6〜15μ
m必要である。この理由は、6μmより小さいと、伸線
加工により鍍金下地ワイヤの表面粗さが大きくなり、鍍
金層厚みのバラツキが大きくなるため所期の目的を達成
できない。一方、大き過ぎると製品化した際、占める割
合が大きく、強力面で劣るため、上限を15μmとし
た。なお、ワイヤソー用ワイヤとして必要な強力を得る
には95〜98%の加工度の伸線加工を要する。
【0013】また、ワイヤソー用ワイヤにおける鍍金下
地ワイヤが有するフェライト脱炭層の深さを0.5〜2μ
mとしたのは、大き過ぎると強力面で劣るため、上限を
2μmとし、一方、小さ過ぎると鍍金下地ワイヤの表面
粗さが大きくなり、鍍金層厚みが均一にならないため、
下限を0.5μmとした。
地ワイヤが有するフェライト脱炭層の深さを0.5〜2μ
mとしたのは、大き過ぎると強力面で劣るため、上限を
2μmとし、一方、小さ過ぎると鍍金下地ワイヤの表面
粗さが大きくなり、鍍金層厚みが均一にならないため、
下限を0.5μmとした。
【0014】さらに、ワイヤソー用ワイヤにおける鍍金
下地ワイヤの表面粗さRtを2μm以下としたのは、2
μmよりも大きいと従来と同様、鍍金層厚みが均一とな
らず、被切断面精度を長期に亘り良好に維持するような
切断が期待できないことによる。
下地ワイヤの表面粗さRtを2μm以下としたのは、2
μmよりも大きいと従来と同様、鍍金層厚みが均一とな
らず、被切断面精度を長期に亘り良好に維持するような
切断が期待できないことによる。
【0015】
【作用】本発明のワイヤソー用ワイヤは、鍍金下地ワイ
ヤがフェライト脱炭層を有し、かつその表面粗さが従来
に比して小さいため、鍍金層の厚みが略均一になり、鍍
金層が次第に磨耗していっても、部分的な露出箇所が早
期に現出せず、切断面の表面精度が良好である切断が長
期に亘り維持できる。
ヤがフェライト脱炭層を有し、かつその表面粗さが従来
に比して小さいため、鍍金層の厚みが略均一になり、鍍
金層が次第に磨耗していっても、部分的な露出箇所が早
期に現出せず、切断面の表面精度が良好である切断が長
期に亘り維持できる。
【0016】また、本発明の製造方法によれば、鍍金下
地のワイヤに比較的軟質なフェライト脱炭層を形成して
いるため、伸線加工により鍍金下地ワイヤが幾度か偏心
しても脱炭部分が展延されて、鍍金下地ワイヤが実質的
に略平滑な表面となり、鍍金層厚みが略均一なワイヤソ
ー用ワイヤが得られる。
地のワイヤに比較的軟質なフェライト脱炭層を形成して
いるため、伸線加工により鍍金下地ワイヤが幾度か偏心
しても脱炭部分が展延されて、鍍金下地ワイヤが実質的
に略平滑な表面となり、鍍金層厚みが略均一なワイヤソ
ー用ワイヤが得られる。
【0017】
【実施例】図1は本発明の好適な一実施例であるワイヤ
ソー用ワイヤの概略断面図であり、1は、深さ1.0μm
のフェライト脱炭層2を有し、該表面粗さRtを0.8μ
mにした高抗張力ワイヤから成る鍍金下地ワイヤであ
り、この鍍金下地ワイヤ1の周囲に厚さ5μmの銅鍍金
層3を形成したワイヤソー用ワイヤ4が構成されてい
る。
ソー用ワイヤの概略断面図であり、1は、深さ1.0μm
のフェライト脱炭層2を有し、該表面粗さRtを0.8μ
mにした高抗張力ワイヤから成る鍍金下地ワイヤであ
り、この鍍金下地ワイヤ1の周囲に厚さ5μmの銅鍍金
層3を形成したワイヤソー用ワイヤ4が構成されてい
る。
【0018】上記ワイヤソー用ワイヤ4の製造工程の概
略を図2に示す。図2において、5は線径0.9mmφの高
抗張力ワイヤであり、このワイヤ5に深さ8μmのフェ
ライト脱炭層6を形成した後、鍍金を施して外周に厚み
30μmの銅鍍金層7を形成する。次に、97.5%の加
工度で伸線加工を施して線径0.15mm φのワイヤソー用
ワイヤ4を得る。
略を図2に示す。図2において、5は線径0.9mmφの高
抗張力ワイヤであり、このワイヤ5に深さ8μmのフェ
ライト脱炭層6を形成した後、鍍金を施して外周に厚み
30μmの銅鍍金層7を形成する。次に、97.5%の加
工度で伸線加工を施して線径0.15mm φのワイヤソー用
ワイヤ4を得る。
【0019】上記製造方法を図3を用いてより具体的に
説明する。図3において、線径0.9mmφの高抗張力ワイ
ヤ(たとえばSWRS80A)5は、しゅう酸塩被膜処
理槽8(30g/l、しゅう酸塩被膜処理剤)に約5分
間浸漬された後、約960℃に保持された加熱炉9、約
530℃に保持された鉛焼入槽10を経て熱処理(パテ
ンティング)され、表面に深さ8μmのフェライト脱炭
層6が形成される。次いで、このワイヤに洗浄等の前処
理を施し、ピロリン酸銅鍍金浴槽11、硫酸銅鍍金浴槽
12にて厚み30μmの銅鍍金層を形成した後水洗槽1
3を経て巻取機14にて巻取る。しかる後このワイヤに
連続伸線機15で以て97.5%の加工度の伸線加工を施
し、銅鍍金層厚み5μm、フェライト脱炭層深さ1.0μ
m、鍍金下地ワイヤの表面粗さRt0.8μmを呈する線
径0.15mm φのワイヤソー用ワイヤ4を得た。なお、図
中16は電解酸洗浄槽、17はアルカリ洗浄槽である。
説明する。図3において、線径0.9mmφの高抗張力ワイ
ヤ(たとえばSWRS80A)5は、しゅう酸塩被膜処
理槽8(30g/l、しゅう酸塩被膜処理剤)に約5分
間浸漬された後、約960℃に保持された加熱炉9、約
530℃に保持された鉛焼入槽10を経て熱処理(パテ
ンティング)され、表面に深さ8μmのフェライト脱炭
層6が形成される。次いで、このワイヤに洗浄等の前処
理を施し、ピロリン酸銅鍍金浴槽11、硫酸銅鍍金浴槽
12にて厚み30μmの銅鍍金層を形成した後水洗槽1
3を経て巻取機14にて巻取る。しかる後このワイヤに
連続伸線機15で以て97.5%の加工度の伸線加工を施
し、銅鍍金層厚み5μm、フェライト脱炭層深さ1.0μ
m、鍍金下地ワイヤの表面粗さRt0.8μmを呈する線
径0.15mm φのワイヤソー用ワイヤ4を得た。なお、図
中16は電解酸洗浄槽、17はアルカリ洗浄槽である。
【0020】次に、表1に示すワイヤソー用ワイヤを製
作し、このワイヤを用いてビデオヘッドの材料である単
結晶フェライトを切断し、切断効率および被切断物精度
を測定した。その結果を図4および図5に示す。
作し、このワイヤを用いてビデオヘッドの材料である単
結晶フェライトを切断し、切断効率および被切断物精度
を測定した。その結果を図4および図5に示す。
【0021】
【表1】
【0022】上記試験に際し、各ワイヤソー用ワイヤに
は鍍金層厚み5μm、線径0.15mmφのものを使用し、
ワイヤ線速5m/sec 、荷重1kgで切断を行った。
は鍍金層厚み5μm、線径0.15mmφのものを使用し、
ワイヤ線速5m/sec 、荷重1kgで切断を行った。
【0023】試験No.Eは従来のワイヤソー用ワイヤ
であり、試験中鍍金下地ワイヤが早期に露出し、切断効
率、被切断精度が早期に低下した。試験No.Dは鍍金
下地ワイヤの表面粗さRtを非常に小さく、フェライト
脱炭層の深さが大きくした比較例で、試験中破断に至っ
た。上記試験結果から明らかなように、本発明のワイヤ
ソー用ワイヤA,B,Cは、従来例に比べて良好な切断
効率、切断精度を長期に亘って維持できるものである。
であり、試験中鍍金下地ワイヤが早期に露出し、切断効
率、被切断精度が早期に低下した。試験No.Dは鍍金
下地ワイヤの表面粗さRtを非常に小さく、フェライト
脱炭層の深さが大きくした比較例で、試験中破断に至っ
た。上記試験結果から明らかなように、本発明のワイヤ
ソー用ワイヤA,B,Cは、従来例に比べて良好な切断
効率、切断精度を長期に亘って維持できるものである。
【0024】
【発明の効果】本発明のワイヤソー用ワイヤは、上記構
成であるため均一な厚みの鍍金層を有し、良好な切断効
率、切断精度を長期に亘って維持でき、使用寿命を著し
く延長できる。このため、特にVTR、ATR等の磁気
ヘッドの如き精緻な表面精度が要求されるものの切断に
使用する場合、顕著な効果を奏する。
成であるため均一な厚みの鍍金層を有し、良好な切断効
率、切断精度を長期に亘って維持でき、使用寿命を著し
く延長できる。このため、特にVTR、ATR等の磁気
ヘッドの如き精緻な表面精度が要求されるものの切断に
使用する場合、顕著な効果を奏する。
【0025】また、本発明のワイヤソー用ワイヤの製造
方法にあっては、上記構成のワイヤソー用ワイヤを得る
に極めて効果的である。
方法にあっては、上記構成のワイヤソー用ワイヤを得る
に極めて効果的である。
【図1】本発明のワイヤソー用ワイヤの一実施例を示す
概略断面図である。
概略断面図である。
【図2】本発明のワイヤソー用ワイヤの製造方法の概略
工程図である。
工程図である。
【図3】(イ),(ロ)は本発明のワイヤソー用ワイヤ
の製造方法における製造工程を構成する装置の概略説明
図である。
の製造方法における製造工程を構成する装置の概略説明
図である。
【図4】ワイヤソー用ワイヤの総切断面積と切断効率と
の関係を表すグラフである。
の関係を表すグラフである。
【図5】ワイヤソー用ワイヤの総切断面積と切断精度と
の関係を表すグラフである。
の関係を表すグラフである。
【図6】従来のワイヤソー用ワイヤを示す概略断面図で
ある。
ある。
【図7】従来のワイヤソー用ワイヤの製造方法の概略工
程図である。
程図である。
【図8】(イ),(ロ)は従来のワイヤソー用ワイヤの
製造方法における製造工程を構成する装置の概略説明図
である。
製造方法における製造工程を構成する装置の概略説明図
である。
1,23 鍍金下地ワイヤ
2,6 フェライト脱炭層
3,7,19,22 鍍金層
4,20 ワイヤソー用ワイヤ
5,18 高抗張力ワイヤ
8 しゅう酸塩被膜処理槽
9 加熱炉
10 鉛焼入槽
11 ピロリン酸銅鍍金浴槽
12 硫酸銅鍍金浴槽
13 水洗槽
14 巻取機
15 連続伸線機
16 電解酸洗浄槽
17 アルカリ洗浄槽
21 ダイス
Claims (2)
- 【請求項1】 外周に銅、錫等の比較的軟質な金属から
なる厚み3〜8μmの鍍金層を有する線径0.10 〜0.3
0mm φのワイヤソー用ワイヤにおいて、鍍金下地ワイヤ
が深さ0.5〜2μmのフェライト脱炭層を有し、かつ表
面粗さRtを2μm以下にしたことを特徴とするワイヤ
ソー用ワイヤ。 - 【請求項2】 熱処理にて線径0.7〜1.5mmφのワイヤ
の全周に、フェライト脱炭層を形成した後、銅、錫等の
比較的軟質な金属からなる鍍金層を形成し、次に上記ワ
イヤを95〜98%の加工度で伸線して、深さ0.5〜2
μmのフェライト脱炭層を有する鍍金下地ワイヤの表面
粗さをRt2μm以下にしたことを特徴とするワイヤソ
ー用ワイヤの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17960791A JPH0523965A (ja) | 1991-07-19 | 1991-07-19 | ワイヤソー用ワイヤおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17960791A JPH0523965A (ja) | 1991-07-19 | 1991-07-19 | ワイヤソー用ワイヤおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0523965A true JPH0523965A (ja) | 1993-02-02 |
Family
ID=16068707
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17960791A Pending JPH0523965A (ja) | 1991-07-19 | 1991-07-19 | ワイヤソー用ワイヤおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0523965A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100385164B1 (ko) * | 2000-06-19 | 2003-05-22 | 홍덕스틸코드주식회사 | 와이어 소어용 와이어 및 그 제조방법 |
WO2010125083A1 (en) * | 2009-04-29 | 2010-11-04 | Nv Bekaert Sa | A fixed abrasive sawing wire with a rough interface between core and outer sheath |
WO2012055711A1 (en) * | 2010-10-28 | 2012-05-03 | Nv Bekaert Sa | A fixed abrasive sawing wire and a method to produce such wire |
CN103189158A (zh) * | 2010-10-29 | 2013-07-03 | 贝卡尔特公司 | 具有电镀在衬底线上的磨料颗粒的锯线 |
-
1991
- 1991-07-19 JP JP17960791A patent/JPH0523965A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100385164B1 (ko) * | 2000-06-19 | 2003-05-22 | 홍덕스틸코드주식회사 | 와이어 소어용 와이어 및 그 제조방법 |
WO2010125083A1 (en) * | 2009-04-29 | 2010-11-04 | Nv Bekaert Sa | A fixed abrasive sawing wire with a rough interface between core and outer sheath |
CN102413982A (zh) * | 2009-04-29 | 2012-04-11 | 贝卡尔特公司 | 在芯和外鞘之间具有粗糙界面的固结磨料锯线 |
WO2012055711A1 (en) * | 2010-10-28 | 2012-05-03 | Nv Bekaert Sa | A fixed abrasive sawing wire and a method to produce such wire |
CN103189158A (zh) * | 2010-10-29 | 2013-07-03 | 贝卡尔特公司 | 具有电镀在衬底线上的磨料颗粒的锯线 |
TWI552820B (zh) * | 2010-10-29 | 2016-10-11 | Nv貝卡特股份有限公司 | 固定磨料鋸線及彼之製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100709846B1 (ko) | 신선 가공성이 우수한 고탄소강 선재 및 그의 제조방법 | |
JPH09150314A (ja) | ワイヤーソー及びその製造方法 | |
KR20110119705A (ko) | 고정 연마제 소잉 와이어 | |
JP2003226937A (ja) | メカニカルデスケーリング性に優れた鋼線材およびその製造方法 | |
JP2006200039A (ja) | 伸線性に優れた高炭素鋼線材およびその製法 | |
JPH059655A (ja) | 高強度極細金属線 | |
JP2013081982A (ja) | 耐デラミネーション特性に優れた極細鋼線とその製造方法 | |
JP2004261889A (ja) | 固定砥粒式ソーワイヤの製造方法 | |
JPH0523965A (ja) | ワイヤソー用ワイヤおよびその製造方法 | |
KR20000033534A (ko) | 취성재료 절단용 다이아몬드 전착 와이어 및 그 제조방법 | |
JP2005232549A (ja) | 捻回特性に優れた高強度pc鋼線 | |
JP2007044794A (ja) | ワイヤソー用ワイヤ | |
JPH0560811U (ja) | ワイヤソー用ワイヤ | |
JP6558255B2 (ja) | 高強度極細鋼線およびその製造方法 | |
JP2011121161A (ja) | ワイヤー工具 | |
JPH06226330A (ja) | 自動コイリング用鋼線及びその製造方法 | |
JPH0469155A (ja) | 研磨用ワイヤソー | |
JP3447963B2 (ja) | ワイヤーソー用めっき鋼線 | |
KR101114684B1 (ko) | 소우 와이어의 제조방법 및 그로부터 제조된 소우 와이어 | |
JPH11347910A (ja) | ワイヤソー用高強力ワイヤ | |
KR100385164B1 (ko) | 와이어 소어용 와이어 및 그 제조방법 | |
JP2003205448A (ja) | 加工面に優れたソーワイヤ | |
JPH0839416A (ja) | ワイヤソー用ワイヤ | |
JPH0516066A (ja) | ワイヤー・ ソー用ピアノ線とその製造方法 | |
JP3475271B2 (ja) | ワイヤソー用ワイヤ |