JPH0523904A - 多結晶ダイヤモンド工具及びその製造方法 - Google Patents

多結晶ダイヤモンド工具及びその製造方法

Info

Publication number
JPH0523904A
JPH0523904A JP3331345A JP33134591A JPH0523904A JP H0523904 A JPH0523904 A JP H0523904A JP 3331345 A JP3331345 A JP 3331345A JP 33134591 A JP33134591 A JP 33134591A JP H0523904 A JPH0523904 A JP H0523904A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diamond
tool
base material
impurity content
impurity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP3331345A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2675218B2 (ja
Inventor
Keiichiro Tanabe
敬一朗 田辺
Naoharu Fujimori
直治 藤森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP33134591A priority Critical patent/JP2675218B2/ja
Publication of JPH0523904A publication Critical patent/JPH0523904A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2675218B2 publication Critical patent/JP2675218B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 切削工具や耐摩耗工具として好適な、強度、
耐摩耗性、耐欠損性、耐溶着性、耐熱性に優れた多結晶
ダイヤモンド工具を提供する事。 【構成】 工具母材と多結晶ダイヤモンドよりなり工具
母材の先端にダイヤモンドを固着する。ダイヤモンドの
厚さが40μm以上であり、ダイヤモンドの厚み方向に
ダイヤモンドの不純物濃度が変化しており、すくい面の
方が、母材に取り付けた面より低不純物濃度としてい
る。母材設置面の方が高不純物濃度であるので、弾力性
に冨み、靱性を増すので耐欠損性が高まる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強度、耐溶着性、耐熱
性が良く切削工具や耐摩工具として好適な多結晶ダイヤ
モンド工具およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】工具用ダイヤモンドは、従来焼結によっ
て作られた。ダイヤモンド微粉末を型に入れ高温高圧下
で焼結するものである。焼結ダイヤモンドを用いた工具
は非鉄金属の切削工具、ドリルビット、線引きダイス等
に使用されている。例えば、特公昭52−12126号
公報には、ダイヤモンド粉末をWC−Co系超硬合金の
粉末成形体に接触させた状態で焼結し、Coの一部をダ
イヤモンド粉末中に結合金属として侵入させることによ
って、約10〜15体積%のCoを有するダイヤモンド
焼結体が開示されている。このダイヤモンド焼結体は、
非鉄金属の切削工具として実用的性能を有する。しかし
これは耐熱性に難点があった。例えば700℃以上に加
熱すると耐摩耗性、強度が低下する。さらに900℃以
上の温度では焼結体が破壊されてしまう。
【0003】このような耐熱性低下の原因は次のように
考えられる。ひとつは結合材であるCoとダイヤモンド
粒子の界面でダイヤモンドが黒鉛化するというこであ
る。もうひとつはCoとダイヤモンドの熱膨脹率が違う
ので高温になると両者の界面に強い熱応力が発生するた
めである。このようなダイヤモンド焼結体の耐熱性を改
善するために、特開昭53−114589は焼結体を酸
処理して、結合金属であるCoを除去することを提案し
ている。こうすればCoとダイヤモンドの界面というも
のが存在しないので、黒鉛化、熱応力の問題がなくなる
筈である。しかしこの方法では、Coが除去された後が
空孔となってしまう。耐熱性は向上するが、機械的強度
は低下するという難点があった。焼結法にはこのような
難点があり強度、耐熱性ともに優れたものを作ることが
難しい。最近では、気相からダイヤモンドを化学的に合
成することが可能になってきた。化学的気相堆積法(C
VD法)または単に気相合成法という。約5体積%以下
の炭化水素ガスを、水素ガスによって希釈し数十Tor
rの減圧下においてダイヤモンドを基材の上に析出させ
るものである。原料ガスをどのように分解し励起するか
について様々な方法が提案されていていくつものCVD
法がある。加熱したり、電子、プラズマで励起する。
【0004】特開昭58−91100号公報には原料ガ
スを1000℃以上に加熱した熱電子放射材によって予
備加熱し、加熱された基材表面に原料ガスを導き炭化水
素を熱分解させ、基材上にダイヤモンドを析出させる方
法が提案されている。特開昭58−11049号公報は
水素ガスをマイクロ波プラズマCVD法無電極放電中を
通過させた後、炭化水素ガスと混合し基材上にダイヤモ
ンドを析出させる方法を提案している。このようにCV
D法によってダイヤモンド膜を合成する方法はいくつも
ある。合成したダイヤモンド膜をどのように使うかとい
うと、二つの方法がある。ひとつは基材から剥離してダ
イヤモンドの単体とするものである。これは改めて適当
な工具に取り付けられる。もうひとつは工具の刃先を基
材としてこれにダイヤモンドを被覆するものである。特
開平1−153228、特開平1−210201は、気
相合成法でダイヤモンドを析出させた後、基材をエッチ
ング除去しダイヤモンド単体とする。これを別体の工具
主体の先に設置固定することにより工具とする。しかし
これも耐欠損性、耐摩耗性が不十分であってダイヤモン
ド本来の性能を発揮できていない。CVD法で工具の先
を多結晶ダイヤモンドでコ−テイングした工具も提供さ
れている。工具または工具の一部を基材としてCVD方
法でダイヤモンドを成長させるのである。刃先はダイヤ
モンドであるので強度も十分な筈である。しかしダイヤ
モンドの膜厚が薄く、ダイヤモンドと基材との密着強度
も不十分であって工具として十分な性能が得られていな
い。基材とダイヤモンドは異質であるから密着強度を高
めることは難しい。特開平2−22471号公報は、組
成に工夫を加えたダイヤモンド膜を超硬合金にコ−テイ
ングして密着強度を高めようとしている。しかしこれと
て被切削材の面粗度によっては切削性が悪く、密着強度
も不十分である。さらに難削材(例えば17%Al−S
i合金、25%Al−Si合金)を被切削材とする場合
の切削特性が不十分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】強度、耐溶着性、耐熱
性、耐摩耗性に優れ、特に難切削材に対し耐欠損性、耐
摩耗性が優れた多結晶ダイヤモンド工具とその製造方法
を提供することが本発明の目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の多結晶ダイヤモ
ンド工具は、工具母材と多結晶ダイヤモンドとよりな
り、工具刃先の母材面に多結晶ダイヤモンドの1面を当
接して固定しダイヤモンドを刃先とする構造の工具であ
って、ダイヤモンドの厚さが40μm 以上であり、ダ
イヤモンドの厚み方向に不純物含有量が変化しており、
ダイヤモンドのすくい面側の不純物含有量X0 (%)
が、ダイヤモンドの母材設置固定面側の不純物含有量Y
0 (%)よりも小さい(X0 <Y0 )事を特徴とする。
従来のダイヤモンド膜は気相合成したものであっても組
成が厚み方向に均一であった。本発明はそうではなく不
純物含有量を厚み方向に変化させる。ダイヤモンドの工
具母材に設置する面は不純物含有量が多く、反対側のす
くい面は不純物含有量が少なくなるようにしているので
ある。厚み方向に不純物含有量の異なるダイヤモンド膜
を作るには、最も簡単には、気相合成中に於いて原料ガ
スの組成を変化させれば良い。
【0007】前述の条件はダイヤモンドの両面のみの不
純物含有量によって本発明を定義しているが、より厚み
をもたせて表面から一定深さの部分領域における不純物
含有量の大小によっても定義できる。すくい面側から膜
厚の30%厚みの部分領域の不純物含有量をX1 とし、
母材設置固定面から膜厚の30%厚みの部分領域の不純
物含有量をY1 として、X1<Y1 として定義できる。
もしも不純物含有量が厚み方向に単調に変化していると
すれば両者の定義は等価である。実際気相合成するとき
不純物含有量は連続的にあるいは階段状に変化させるが
単調に増加させるのであって増加減少を繰り返すのでは
ない。しかし実際に製造されたものの不純物含有量は揺
らぎがあるので、第1の定義(X0 <Y0 )だけでは十
分ではない。第2の定義(X1 <Y1 )は厚みのある部
分領域で不純物含有量を定義しているから不純物含有量
の揺らぎがあっても本発明を巧く定義できる。実際の不
純物含有量の測定は第1の定義の方が便利である。
【0008】
【作用】図1に多結晶ダイヤモンド工具の概略図を示
す。超硬合金製の母材1の一隅に多結晶ダイヤモンド膜
2がろう付け層3によって固定設置してある。多結晶ダ
イヤモンド膜2の外部に現れた方の面がすくい面4で、
母材に固定してあるほうが母材固定設置面5である。本
発明においては、厚み方向に不純物の含有量が異なる。
母材固定設置面5の方が不純物含有量が大きく、すくい
面4の方が不純物含有量が小さい。ダイヤモンドのすく
い面側は、炭素成分以外の不純物を極力抑え、母材固定
設置面側は積極的に不純物元素を導入し不純物含有量を
高める。すくい面4側は低欠陥高品質膜、母材固定設置
面5側はそれより欠陥密度が大きい。これによりすくい
面4側にかかる応力を緩和することが可能になる。つま
り母材固定設置面側が応力緩和層として機能する。この
ためダイヤモンド膜の耐摩耗性を損なうことなく耐欠損
性を向上させることができる。より厳格に規定するた
め、すくい面4をd=0とし、面に直角方向にz軸をと
る。面に平行な方向にx、y軸を取る。不純物含有量を
W(x,y,z)で表現することができる。ダイヤモン
ドの膜厚をTとすると、d=Tが母材固定設置面に当た
る。
【0009】第1の定義は、 X0 =∫W(x,y,0)dxdy/S (1) Y0 =∫W(x,y,T)dxdy/S (2) S=∫dxdy (3) として、 T>40μm (4) X0 <Y0 (5) というように表現できる。ダイヤモンドの膜厚Tが40
μm以上である理由は、ひとつはそれ以下であると強度
が低下して破損し易くなるためである。今一つの理由
は,切削工具としたときの寿命時の逃げ面摩耗幅が40
μm以上となる場合が多いためである。さらに高度の耐
摩耗性を要求する場合には、膜厚Tを0.07〜3.0
mmにすることが望ましい。3mm以上ではコストが掛
かるためである。低コストで成膜可能であれば3mm以
上の厚さでも構わない。ダイヤモンドは熱伝導率が高
く、膜厚を大きくすると放熱特性が良好になる。すると
刃先温度の上昇が抑えられるので摩耗しにくくなるので
ある。
【0010】本発明で最も特徴的なのはX0 <Y0 とい
う関係にある。もしもX0 ≧Y0 であれば母材固定設置
面側は応力緩和層とならず、靱性が乏しくダイヤモンド
膜にクラックが入り易く、脱離の惧れもあるし、耐摩耗
性も劣る。母材固定設置面5もすくい面4も外部に露出
した面であって不純物含有量を測定し易い。ダイヤモン
ド膜の不純物含有状態や含有量は、 TEM(Transmission Electron Microscopy) TED(Transmission Electron Diffraction) SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy) XPS(X-ray Photoelectron Spectrometry ) IMA(Ion Microanalyzer) EDX(Energy Dispersive X-ray Spectrometry) WDX(Wave Dispersive X-ray Spectrometry) EPMA(Electron Probe X-ray Microanalyzer) 密度測定 等によって求めることができる。、は微細構造を観
察できる。不純物元素のダイヤモンド中での構造につい
ての情報が得られる。〜は不純物含有量の定量的な
測定ができる。これらはそのままでは表面の値しか測定
できない。しかしスパッタリングや、膜の断面観察を併
用すれば深さ方向の情報も得ることができる。
【0011】本発明はそれで深さ方向に有限の厚みをも
つ部分領域での不純物含有量によっても定義できる。
【0012】
【数6】
【0013】U=0.3 TS (7) つまりX1 はすくい面4から厚みTの30%の部分領域
での不純物含有量の平均値である。
【0014】
【数8】
【0015】Y1 は母材固定設置面5から厚みTの30
%の部分領域での不純物含有量の平均値である。そして
本発明はX1 <Y1 、T>40μmによっても定義でき
る。さらに不純物含有量が余りに大き過ぎてもいけな
い。もしも不純物含有量が多いとダイヤモンド刃先の硬
度が不足し耐摩耗性が低下してしまう。そこですくい面
から膜厚の30%の部分領域における不純物含有量X1
が5%以下であることが望ましい。 X1 ≦5% (原子%) (9) ここでX1 における不純物は、耐摩耗性等の点から少な
い方が好ましく、好ましくは1%以下、さらに好ましく
は1000ppm以下が良い。
【0016】つぎに本発明のダイヤモンドの製造方法を
図2によって説明する。気相合成法によってダイヤモン
ド膜を基材上に析出させるのであるから上記のような不
純物含有量の厚み方向の変化をもたらすには原料ガス中
の不純物濃度を連続的あるいは階段的に単調変化(単調
減少あるいは単調増加)させればよい。CVD装置(後
に説明する)の中で基材6を加熱し、原料ガスを流しこ
れを励起し分解して基材の上にダイヤモンドを成長させ
る(図2(b))。原料ガス中の不純物濃度は連続的あ
るいは階段的に単調変化している。このようなCVD法
でダイヤモンド膜7を成長させた後、弗硝酸などにより
基材を、エッチング除去する(図2(c))。次にダイ
ヤモンド膜の一面をメタライズする(図2(d))。ダ
イヤモンド層とメタライズ層8の平板構造になる。この
後YAGレ−ザなどにより所定の大きさ寸法に切断する
(図2(e))。そしてメタライズ層の面を工具の母材
面に固定設置する(図2f(f))。
【0017】図3はダイヤモンド膜を取り付けた工具の
断面図を示す。超硬合金の母材にダイヤモンド膜の取付
座がありここにメタライズ層を介してダイヤモンド層が
接着されている。接着方法としては蝋付けが好ましい。
図4によって本発明を定義するための幾何学的関係を示
す。母材に遠いほうの面がすくい面である。すくい面に
含まれる線を基準線とし厚み方向にz軸を取っている。
すくい面はz=0で示すことができる。母材固定設置面
は反対側の面でz=Tによって表わせる。破線で示すの
がz=0.3T、0.7Tである。この部分領域での平
均不純物含有量X1 、Y1 を問題にしているのである。
CVD法によりダイヤモンドを成長させる際不純物含有
量を変化させるが、不純物含有量を単調増加させるほう
が良い。その理由は次のとおりである。ダイヤモンドを
コ−テイングする基材に接していた面は平坦であるが、
成長の終期に形成された方の面はそのままでは凹凸が大
きい。これがすくい面となると被切削材の切削面の面に
凹凸ができてしまう。これを避けるために成長の終期に
形成された面(基材から遠い面)はメタライズして母材
に固定した方が良い。本発明では母材固定設置面のほう
が不純物含有量が高いようにしているので、CVD法で
ダイヤモンドを成長させるとき不純物濃度を最初は低く
し最後に高くしたほうが良いのである。母材面側のダイ
ヤモンド中に不純物が混入するのは、母材面側でのダイ
ヤモンドの熱伝導率を下げ、切削時、高温になった刃先
の熱が母材との接着層に伝導するのを低下させ、刃先が
脱落するのを防ぐ意味でも重要である。
【0018】勿論これは必須の条件というわけではな
い。CVD法でダイヤモンド膜を成長させた後に成長の
終期に出来たほうの面を研磨して平坦にすればこれをす
くい面にすることもできるのでこの場合はCVD法でダ
イヤモンドを成長させるとき不純物濃度を最初は大きく
後に小さくするようにしても良い。又、成長途中で多少
の濃度の変動があっても、すくい面側と母材面側が工具
になった場合、前述の関係にあれば良い。 CVD法でダイヤモンドを気相合成するときの原料ガス
は、通常 水素ガス 炭素原子含有ガス・・メタン、エタン、アセチレン、
エチルアルコ−ル、アセトン が一般的である。は炭素を含み気体状になるものであ
れば何でも良い。アルコ−ル、アセトンのように常温で
液体のものでも加熱すれば気体になる。また液体を水素
ガスでバブリングすれば気体とすることができる。但し
水素ガスは必須のものではない。例えば、水素ガスの替
わりに、水や、過酸化水素水、CF4 、C26 、C3
8 、C−C48 、C512、 CHF3 、CBrF
3 、CCl4 、CCl3 F、CCl22 、CClF
3 、SF6 、NF3 、BCl3 、F2、Cl2 、Br2
等のガスも用いる事ができる。これは1種もしくは2種
以上の混合ガスでも良い。また不活性ガス(ヘリウム、
ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン)は
ダイヤモンド合成中の活性種の寿命を延ばし、均一なダ
イヤモンドを合成するのに効果があるため上記ガス中に
混入させても良い。CVD成長の基材としては次のよう
な材料を用いることができる。 W、Mo、Ta、Nb、Si、SiC、WC、Mo2
C、TaC、Si34 、AlN、ダイヤモンド、Al
23 、SiO2 、B、BN、TiC、TiN、Ti さらに条件を選ぶことによってCu、Alなども基材と
することができる。
【0019】基材は単に平坦なものとは限らない。基材
が適当な曲率をもつものとすれば、曲率を持つ刃面を有
する工具へ適用することもできる。例えば、ねじれ刃、
エンドミル等の工具に適用できる。原則的に不純物とい
うのは、結晶質ダイヤモンド以外の成分の事を指すが、
大きく分けて2種類ある。第1は、結晶質ダイヤモンド
以外の炭素成分であり、結晶質のグラファイトや、非晶
質の炭素等である。第2は、炭素以外の金属や非金属及
びそれらの化合物等である。例えば、Si、B、Al、
W、Mo、Co、Fe、Nb、Ta、及びそれらの炭化
物、酸化物、窒化物であり、細かく結晶質ダイヤモンド
中に分散していたり、0.5〜2μm程度の粉体の形で
分散していたりする事もある。前者は故意に不純物を添
加しなくても作成可能であるが、故意にグラファイトの
粉末等を混入させる事によっても作成できる。後者は故
意に不純物を添加するものであり、一般的には、添加し
たい不純物のハロゲン化物の形で導入する。例えば、H
2 ガス、CH4 ガスと同時にWF6 、WCl6 、MoF
6 、MoCl6 、SiF4 、Si26 、BCl3 、R
eF4、AlF3 、FeCl3 、SiCl4 等がある。
但し例外としてSiH4 、B26 等も適用できる。
又、水酸化物としての導入も可能である。これらハロゲ
ン化物をダイヤモンドの中に導入してしまうと、3つの
形態で存在する。ひとつは、W、Mo、Siなどの金属
多結晶粒として分散して存在する、いまひとつは、炭素
との化合物として、WC、MoC、SiC等の炭化物と
し存在する。反応が不十分な場合には、元のハロゲン化
物として存在する。不純物を故意に導入するもう一方の
方法としては、粉末状のセラミックス等を、ダイヤモン
ドを析出させている基材上に断続的に落下させながら添
加させたり、ガス流にのせてふきつける方法もある。さ
て気相合成法であるが、不純物濃度を連続的に増加する
ということが最も望ましいがそれは難しいので、3段階
または2段階程度に原料ガス中の不純物濃度を変化させ
る。最も簡単なのは、全く不純物を加えない段階と不純
物を一定量加える段階の2段階によるCVD成長であ
る。例えば、ダイヤモンド合成の前期は、水素−メタン
(メタン/水素=約1%)系で合成し、後期はそれに、
WF6 、BCl3 などのハロゲン化ガスを微量添加す
る。又この後期では前期に比べてややメタン/水素濃度
を増加させてやるとなお好ましい。不純物ガスの最適の
濃度は他の条件によって多少影響を受ける。酸素原子含
有ガスを添加した場合は炭素濃度や不純物濃度を添加し
ない場合より高濃度にすることができる。CVD法につ
いてはダイヤモンドが合成できるどの方法においても本
発明を実施することができる。
【0020】
【実施例】本発明は、 フィラメントCVD法(図5) マイクロ波プラズマCVD法(図6) 熱CVD法(図7) 熱プラズマCVD法(図8) によって実施した。基材は、全ての方法について共通
で、14mm×14mm×2.5mmの多結晶Siの片面を、
粒径0.5〜5μmの砥粒を含む研磨材でラッピング処
理し、RMAX<0.8μm、平坦度<1μmになるよう
にしたものを用いた。以下それぞれの手法に用いる装置
を説明し、それぞれの手法に本発明を適用した結果を述
べる。
【0021】[実施例] フィラメントCVD法 図5にフィラメントCVD装置を示す。真空チャンバ1
1の中に基材支持台12が設けられる。この上に基材1
3が戴置される。真空チャンバ11には真空排気口14
があり真空排気装置(図示せず)に接続されている。真
空チャンバ11の中には電極15が2本設けられる。こ
れはガイシ16を通ってフィラメント電源21に接続さ
れている。2本の電極15の間にフィラメント17が張
られている。真空チャンバ11には原料ガス入口18か
ら原料ガスが導入される。圧力計19が真空チャンバ内
の真空度を計測している。冷却水20が基材支持台12
の内部に導入されこれを冷却している。フィラメントは
φ0.2 mm の4N(純度99.99 %)−W、4N−T
a、4N−Reを用いた。このフィラメントを4mm間隔
で平行に張って使用した。フィラメントの温度は光学式
光高温計によって測定した。フィラメントと基材との間
隔は5mmとした。基材の表面温度は、基材と同一形状の
Mo板の表面にクロメル−アルメル熱電対の先端をスポ
ット溶接したものを基材近傍に置いてこれによってモニ
タした。
【0022】表1にフィラメントCVD法によるダイヤ
モン合成条件を示す。フィラメントの温度は1500〜
2400℃、基材の温度は80〜950℃とする。A〜
Hはサンプルに付けた記号である。本発明はダイヤモン
ドの不純物含有量を膜厚方向に変化させたところに特徴
があるが、ここに示す実施例では2段階、或は4段階に
原料ガス中の不純物濃度を変化させた(A〜D)。比較
のため不純物含有量を変化させないで成長させた比較例
(E〜G)と不純物含有量の変化を逆にした比較例Hを
示す。原料ガスの内で常温で液体のものは水素ガスの一
部を、液体を入れたバブラに通しバブリングすることに
よって導入する。恒温槽の温度管理による蒸気圧制御で
流量を制御する。
【0023】
【表1】
【0024】本発明の実施例A〜Dと比較例Hは原料ガ
ス組成および組成比を時間によって変化させている。例
えば実施例Aは、始めの50時間は段階1のH2 600
SCCM 、CH4 5SCCMの原料ガスで基材をコ−
テイングし、次の20時間は段階2のH2 600SCC
M 、CH4 12SCCM 、WF6 2.0SCCMの
原料ガスによってコ−テイングするということである。
B、Dも2段階に、Cは4段階に原料ガスを変えてい
る。こうして製作したダイヤモンドのサンプルA〜Hを
図2の工程によって超硬合金の台金に設置固定し切削チ
ップを作製した。ただし成長の際基材に接触していた面
を切削チップのすくい面とし、成長の終期に出来たほう
の面を切削チップの母材面に設置固定した。
【0025】不純物分析測定用比較材として天然IIa 型
ダイヤモンド単結晶を同じように台金に設置固定し切削
チップを作製した(サンプルIとする)。このようにし
て作製した切削チップダイヤモンドの厚み方向の不純物
含有量を測定し表2に示す。不純物含有量の測定はSI
MS(Secondary Ion Mass Spectroscopy )もしくはI
MA(Ion Microanalyzer))で行った。また、表2中の
「検出不能」とは、炭素成分をマトリックスとして分析
して、不純物濃度が3ppm以下であって、検出できな
い事を意味する。
【0026】
【表2】
【0027】ここで、不純物含有量の測定点は、図4に
示すようにすくい面を基準として厚み方向内部に向かう
距離z(単位ミクロン)で示している。第1層、第2層
というのは表1の原料ガスの成分を切り替えたことによ
って生ずるダイヤモンドの部分層である。成長の始期に
出来た方の面をすくい面とするから、表1で上にあるも
のから順に表2の第1層、第2層と対応する。サンプル
Jは、これらとは別の比較例である。これは結合材とし
てCoを10容量%含む平均粒径10μmのダイヤモン
ド材料を高圧焼結して作った焼結ダイヤモンドを工具に
取付け切削チップとしたものである。CVD成長ではな
い。比較例Hは原料ガス中の不純物濃度を本発明とは逆
にしているが実際にできたものも不純物含有量は本発明
とは逆になっている。その他の比較例は積極的に不純物
を添加していないが実際に成長したものも不純物が検出
できない。原料ガスによって不純物含有量が制御されて
いるのがわかる。本発明の実施例は全て成長とともに原
料ガス中の不純物濃度を高めているが実際に成長したダ
イヤモンドも原料ガスにほぼ比例して不純物含有量が内
部側(成長の方向)に向けて増大していることが分か
る。
【0028】こうしてできたダイヤモンド切削工具の性
能を次の条件によって評価した。被切削材として外周面
に軸方向に伸びる4本の溝が形成されたA390 合金(A
l−17%Si)丸棒を選んだ。これを前述の方法で作ら
れた切削工具によって、 切削速度 800 m/min 切り込み 0.2mm 送り 0.1mm/rev. の条件で乾式切削し工具性能を評価した。摩耗量が重要
な評価のパラメ−タであるから90分或は30分切削し
た時の平均摩耗幅を測定している。結果を表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】比較例として挙げた、気相合成するが不純
物含有量の小さいものは短時間で欠損してしまう(比較
例F、G)。あるいは短時間で摩耗して使い物にならな
い(E)。不純物を故意に含めても不純物が入らないか
或は入ってもX1 >Y1 になるHは短時間で摩耗する。
天然IIa型単結晶ダイヤモンドのチップもチッピングに
よって欠損した(I)。これらはいずれも使い物になら
ない。超高圧焼結ダイヤモンドを使うJも摩耗が無視で
きない。90分切削時平均摩耗幅が95μmであった。
焼結で形成するためバインダ−が含まれ、これが耐摩耗
性を低下させているのであろう。本発明の実施例に係る
切削工具A〜Dは90分の切削による摩耗が少なくチッ
ピング欠損も起こさない。これは気相合成法で不純物含
有量を厚み方向に変化させ、X1 <Y1 あるいはX0
0 としたものである。ここでX0 はダイヤモンドのす
くい面側の不純物含有量、Y0 は母材設置面側の不純物
含有量である。X1 はすくい面から厚みの30%以内の
部分領域の平均不純物含有量、Y1 は母材設置面から厚
みの30%以内の部分領域の不純物含有量である。勿論
これらは20%、40%としても定義することができ
る。不純物はハロゲン元素或はハロゲン化物が導入法も
簡単で良い。含有量が余り大きくてもいけない。すくい
面側で5%以下であることが要求される。5%以上とす
ると耐摩耗性が極度に劣化するためである。すくい面側
の不純物は好ましくは1000ppm以下である。不純
物が少ない方がダイヤモンドの耐摩耗性が高く良好であ
る。ダイヤモンドの厚みは40μm以上とする。その理
由は、ひとつには40μmより薄いと強度が低下して破
損し易くなる為である。さらに切削工具としたときの寿
命時の逃げ面摩耗幅が40μm以上となる場合が多いか
らである。さらに耐摩耗性が要求されるときはダイヤモ
ンドの厚みを0.07〜3.0mmとすることが望まし
い。刃を厚くすることで放熱特性が良好となり工具使用
時の刃先温度の上昇が抑えられるから耐摩耗性が増す。
【0031】[実施例] マイクロ波プラズマCVD
法 次にマイクロ波(プラズマ)CVD法によって本発明を
実施した。図6にマイクロ波CVD装置の概略を示す。
石英管22の中に、石英棒23によって基材24が支持
されている。上方のガス導入口25から原料ガス26が
石英管22に導入される。これは石英管22下方の真空
排気口27から排出される。石英管の反応が行われる部
分の近傍外周には水冷ジャケット28が設けられる。マ
グネトロン29でマイクロ波が発振され導波管30を通
って基材24の近傍に導かれる。導波管30が石英管2
2に直交し石英管22の軸方向と直角にプラズマが進行
するようになっている。原料ガスをマイクロ波によって
励起し、基材の近傍に高密度のプラズマ31が発生す
る。導波管30の形状寸法と長さがマイクロ波のモ−ド
を決定するが、導波管30内を動くプランジャ32によ
ってマイクロ波の定在波モ−ドを規定出来るようになっ
ている。このようなマイクロ波プラズマCVDは公知で
ある。またマイクロ波の進行方向を基材面と直交させて
も良い。原料ガスは先の例と同じように、炭素を含むガ
ス、水素ガス、不純物ガスなどよりなる。プラズマの閉
じ込めのために石英管の周囲に磁石を配してカスプ磁
場、或は軸方向磁場を形成することもある。此れも良く
知られたことである。表4にマイクロ波CVDによる合
成条件を示す。
【0032】
【表4】
【0033】基材は実施例Iと同じく14mm×14m
m×2.5mmのの多結晶Siを粒径0.5〜5μmの
砥粒を用いてラップし、RMAX <0.8μm、平坦度<
1μmになるように処理したものである。基材温度はコ
−テイング中は光学式光高温計でモニタした。そしてサ
−モクレヨンによって予め測定しておいたデ−タで較正
している。基材温度は400〜950の間で様々の値を
選んでいる。K〜Nが本発明の実施例である。これは2
段階、4段階に原料ガスを切り替えており成長の後期に
不純物濃度を多くしている。不純物としては前例と同じ
くWF6 、BCl3 、F2 、FeCl3 等を用いてい
る。Ar等の不活性ガスはマイクロ波プラズマを安定に励
起し易くさせ、Hα、C2 等の活性種濃度を増加させる
ために入れている。O〜Qは比較例である。OとPは原
料ガスに不純物を入れない。Qは不純物を入れるが順序
が逆で1層目(すくい面側)に不純物を含ませる。こう
して作ったダイヤモンドサンプルの層毎の不純物含有量
を測定し、結果を表5に示す。
【0034】
【表5】
【0035】ここで不純物含有量の測定点は前例と同じ
ようにすくい面を基準として此処からの深さzで(μ
m)表している。成長の始期にできた方を母材に設置
し、成長の終期に出来た方をすくい面としてこれを超硬
合金に設置しているから表4の原料ガスを変えて膜形成
した第1、第2の段階が表5の第1層、第2層に対応し
ている。これは工具としたもののダイヤモンドの不純物
含有量であるが工具にする前のダイヤモンドも同様の含
有量である。次に工具性能を評価するために多結晶ダイ
ヤモンドを超硬合金の台金にろうづけし切削チップを作
製した。これによって切削試験をした。被削材として外
周面に軸方向に伸びる4本の溝が形成されたA390合
金(Alー17%Si)丸棒を用いた。切削条件を 切削速度 800m/min 切り込み 0.2mm 送り 0.1mm/rev. として乾式切削した。結果を表6に示す。
【0036】
【表6】
【0037】マイクロ波プラズマCVDで形成した本発
明のダイヤモンドは優れた耐摩耗性を持っていることが
分かる。本発明のダイヤモンドは前例のフィラメントC
VDで成長した本発明のダイヤモンドと同じように不純
物の含有量が厚み方向に異なっている。本発明のダイヤ
モンドはすくい面側の不純物含有量X0 が母材設置面側
の不純物含有量Y0 より小さい(X0 <Y0 )。あるい
はすくい面側の厚みの30%の部分領域の不純物含有量
1 は母材設置面側の厚みの30%の部分領域の不純物
含有量Y1 よりも小さい(X1 <Y1 )。従来例として
示したO、Pは不純物を故意に導入していないので、炭
素以外の不純物は検出できなかった。だから、これらは
耐欠損性、耐摩耗性が不足している。しかし、Pサンプ
ルの密度はすくい面から10μmまででは、2.7g/
cm3 であり、すくい面から90μmから100μmま
ででは、2.7g/cm3であり、結晶質ダイヤモンド
の密度よりも低いので、結晶質ダイヤモンド以外の炭素
成分が一様に混入していると考えられる。つまり、すく
い面側も母材面側も両方ともに同等量の不純物が混入し
ており、耐摩耗性が完全に不足していると考えられる。
wt%で推定するとダイヤモンド以外の不純物含有量は
約36%である。Qは不純物含有量の分布が本発明と反
対になっているがこれも強度が不十分である。本発明の
ダイヤモンドの90分切削時平均摩耗幅は10〜20μ
mで極めて小さいので実用に耐えるものである。
【0038】[実施例] 熱CVD法 熱CVD法によって本発明の多結晶ダイヤモンド膜を作
製した。図7に熱CVD装置の概略を示す。真空に引く
ことのできる石英管35の中に支持台36があり、ここ
に基材37が支持されている。石英管35の周囲にはヒ
−タ38が設けられる。石英管35には原料ガス入口3
9から原料ガスが導入される。廃ガスが真空排気口40
から排出される。原料ガスはヒ−タによって加熱される
ことによって励起され気相反応によって基材の上に多結
晶ダイヤモンドが成長する。本発明を適用するには不純
物含有量を少なくとも2段階に変化させなければならな
い。ここでは2段階に変化させてダイヤモンド膜を作っ
た例を説明する。基材は14mm×14mm×2.5 mm の
多結晶Siである。
【0039】 (1段階)合成条件 原料ガス H2 1000 SCCM CH4 20 SCCM F2 2 SCCM He 50 SCCM 圧力 100 Torr 基材温度 100 ℃ 成長膜厚 80 μm (2段階)合成条件(1段階に続けて) 原料ガス H2 1000 SCCM CH3 Br 18 SCCM F2 18 SCCM He 150 SCCM WF6 2.5 SCCM 圧力 100 Torr 基材温度 100 ℃ 成長膜厚 100 μm これらを続けて成長を行った。全膜厚が180μmであ
る。これを前例と同じように図2に示す工程により超硬
合金の台金にろうづけし工具とした。不純物含有量は 第1層・・(すくい面から10μmの深さで) F 0.02% 第2層・・(すくい面から165μmの深さ) W 1.6% Br 0.1% F 0.12% であった。原料ガスの不純物濃度が高い2層でやはり不
純物含有量が多くなっている。これの工具特性を評価す
るために、外周面に軸方向に伸びる4本の溝が形成され
たA390合金(Al−17%Si)丸棒を被削材とし
て切削した。切削条件は前例と同じく 切削速度 800m/min 切り込み 0.2mm 送り 0.1mm/rev. で乾式切削した。120分後のVb摩耗量は15μmで
あった。極めて小さい値である。第1層が高純度のダイ
ヤモンドであるから硬度に優れるので耐摩耗性が高いの
である。熱CVDに本発明を適用しても有効であるとい
うことである。また第2層の靱性(弾性)を増加するた
めの不純物が、Wや、Br、Fなどのハロゲンでも効果
があるということを示す。
【0040】[実施例] 熱プラズマCVD法 図8に熱プラズマCVD装置を示す。真空チャンバ42
の上方に同心状の電極43が設けられる。下方に冷却支
持台44がありこの上に基材45が戴置される。真空チ
ャンバ42の外部には基材を加熱するためのヒ−タ(図
示せず)がある。正負の電極間には直流電源46によっ
て電圧が印加されている。中心が陰極、周縁が陽極とな
っている。原料ガス47は電極間の隙間からノズル51
を通って真空チャンバ42の中に導入される。ここで原
料ガスはイオン化されプラズマガス流52となって基材
45の方へ流れる。廃ガスは真空排気口49から排出さ
れる。冷却支持台42の内部には冷却水50が流され
る。プラズマ化した原料ガスは基材近傍で気相反応し基
材の上にダイヤモンドとして堆積される。基材は前例と
同じように14mm×14mm×2.5 mm の多結晶Siで
ある。ダイヤモンド中の不純物含有量を変えるために2
段階の成長工程を引き続き行った。
【0041】 (第1段階)合成条件 原料ガス H2 10 SLM CH4 1.5 SLM F2 0.05SLM Ar 30 SLM 圧力 200 Torr 基材温度 500 ℃ 成長膜厚 200 μm (第2段階)合成条件(第1段階に続けて) 原料ガス H2 10 SLM CH4 2.8 SLM F2 0.1 SLM He 20 SLM WF6 0.2 SLM 圧力 200 Torr 基材温度 500 ℃ 成長膜厚 300 μm (SLM:standard litter per minute) である。これらの成長を引き続き行った。全膜厚が50
0μmになる。図2の工程に従って多結晶ダイヤモンド
を超硬合金の台金の上にろうづけし工具を作製した。第
1層、第2層の不純物含有量は、 (第1層)すくい面から40μm F 0.12 % (第2層)すくい面から455μm W 3.8 % Br 1.2 % F 0.22 % であった。この工具の性能を評価するため、外周面に軸
方向に伸びる4本の溝が形成されたA390合金(Al
−17%Si)丸棒を被削財として、 切削速度 800 m/min 切り込み 0.2 mm 送り 0.1 mm/rev. の切削条件で乾式切削した。120分後のVb摩耗量は
30μmと十分に小さかった。熱CVD法によるダイヤ
モンドの成長にも本発明が有効に適用できるということ
である。また第2層に靱性を与えるための不純物がW
や、Br、Fなどのハロゲンでも効果があるということ
である。この手法の場合には、SiC、Si34 、B
N等のセラミック粉末によって不純物を混入させること
も可能である。
【0042】[実施例] 熱プラズマCVD
法 実施例と同様に基材を設置し、ダイヤモンド中の不純
物含有量を変化させるために、2段階の成長工程を行っ
た。今回は第2段階目の不純物として、平均粒径2〜5
μmのSiC粉末を水素ガス、エチレンガスと同時に添
加導入した。 (第1段階) 合成条件 原料ガス H2 10 SLM C22 0.5SLM 圧力 50 Torr 基材温度 850 ℃ 成長膜厚 300 μm (第2段階) 合成条件 原料ガス H2 10 SLM C22 5 SLM 不純物 SiC粉末 0.2グラム/min 圧力 400 Torr 基材温度 980 ℃ 成長膜厚 1000 μm である。図2の工程に従って、多結晶ダイヤモンドを超
硬合金の台金の上に蝋付けし工具を作製した。第1層、
第2層の不純物含有量は、 (第1層)すくい面から60μmでは・・・・・・検出
されず(3ppm以下) (第2層)すくい面から900μm(固定面から100
μm)・・Si 9%であった。実施例と同様の切削
試験を行ったところ、90分後のVb摩耗量は16μm
と非常に小さかった。
【0043】[実施例] フィラメントCVD法 実施例と同様に基材を設置し、フィラメントCVD法
で実験を行った。ダイヤモンド中の不純物含有量を変化
させるために、2段階の成長工程を行った。今回は第2
段階目の不純物として、結晶質ダイヤモンドでない炭素
成分を多く含むように成膜を行った。この実施例では炭
素以外の不純物は加えない。 (第1段階) 合成条件 原料ガス H2 1000 SCCM CH4 8 SCCM 圧力 120 Torr Wフィラメント温度 2150 ℃ 基材温度 800 ℃ 成長膜厚 150 μm (第2段階) 合成条件 原料ガス H2 1000 SCCM C22 50 SLM 圧力 80 Torr Wフィラメント温度 2450 ℃ 基材温度 980 ℃ 成長膜厚 800 μm である。図2の工程に従って、多結晶ダイヤモンドを超
硬合金の台金の上にろうづけし工具を作製した。結晶質
ダイヤモンドの密度を3.52g/cm3 として、密度
から第1層と第2層の不純物濃度を算出した。 [第1層]すくい面から30μmで・・・非ダイヤモン
ド成分が0.05%以下 [第2層]すくい面から750μm(固定面から50μ
m)で・・非ダイヤモンド成分(密度の低い炭素成分)
が約2〜6%であった。炭素成分以外の金属不純物とし
ては、Wが0.1%検出された。実施例と同様の切削
試験を行ったところ、80分後のVb摩耗量は18μm
であった。非常に小さい値である。表面が不純物の少な
い硬度の高いダイヤモンドであるので摩耗が少ないので
ある。またチッピングなどが起こらないのは固定面の近
くで非ダイヤモンド成分が多くて靱性に富むからであ
る。
【0044】[実施例] すくい面に於ける不純物濃
度 すくい面に於ける不純物濃度の最適値を調べるため、異
なった不純物濃度のすくい面を持つサンプルをフィラメ
ントCVD法、或はマイクロ波プラズマCVD法によっ
て作製した。不純物濃度の量は、表7に示すように4つ
に区分した。これらの工具特性を評価するために、外周
面に軸方向に伸びる4本の溝が形成された(Al−4%
Si)丸棒及び(Al−25%Si:難削材)丸棒を、
被削材として切削した。その結果を表7に示す。
【0045】
【表7】
【0046】この結果から、すくい面の不純物濃度が5
原子%以下であるのが望ましい事がわかる。即ち、すく
い面の不純物濃度が5%以下であるダイヤモンド工具は
(25%Si−Al難削材)丸棒を切削する事ができ
る。さらに望ましくは、すくい面の不純物濃度が1%以
下であるようにすれば良い。すくい面の不純物濃度が1
000ppm以下ならばさらにもっと良い結果が得られ
る事が分かる。
【0047】
【発明の効果】本発明は、不純物含有量を厚み方向に変
化させるCVD法によってダイヤモンド膜を形成する。
これによって強度、耐摩耗性、耐溶着性、耐熱性に優れ
たダイヤモンド膜を得ることができる。それでは何故本
発明によってこのようなダイヤモンド膜ができるのかと
いうことを説明する。従来は不純物の少ないダイヤモン
ド膜がCVD法によって作られた。純度の高いダイヤモ
ンドは剛性が高くて衝撃によって簡単に欠損する。つま
り結晶性の完全なダイヤモンドは耐欠損性に欠ける。従
来例として挙げたもののいずれかは短時間で欠損してい
るがそれは完全結晶であるために剛性が高すぎることに
起因すると考えられる。それでは不純物濃度を高めれば
高める程良いかというとそうでもない。不純物が多いと
剛性が低下し摩耗しやすくなる。耐欠損性と耐摩耗性の
両者が工具には必要である。不純物含有量を適当な範囲
に限定するということでは最適の特性が得られない。被
削物に接触する面では耐摩耗性が必須である。また全体
の靱性を高めなければならない。
【0048】そこで本発明では被削物に接触するすくい
面は不純物含有量を少なくして高い剛性を与えることと
し、母材面側は不純物含有量を多くして結晶欠陥を増や
し剛性を下げ靱性を高めている。内部(母材面側)のほ
うが靱性が高いので衝撃をうけても内部の緩衝作用でダ
イヤモンドが欠損しない。これが本発明のダイヤモンド
に高性能を与えている。耐摩耗性はすくい面の性質によ
るがこれは不純物含有量が低く剛性が高いので十分な耐
摩耗性が得られる。焼結ダイヤモンドはバインダ−があ
るのでどうしても耐摩耗性、耐熱性は低下するが本発明
はそういうこともない。固定面近傍のダイヤモンドに添
加すべき不純物元素はハロゲンの他に金属元素やセラミ
ックなどでも良い。つまり不純物元素とは炭素成分以外
のものを言う。ハロゲンを添加するとダイヤモンドを比
較的低温で合成できる可能性があり、膜組成が緻密にな
る。またハロゲン化合物の気体が得易いので添加不純物
として最適である。耐摩耗性、耐欠損性、強度などの特
性が強く要求される分野、特に切削工具、旋削工具、掘
削工具、ドレッサ−等の工具用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】多結晶ダイヤモンド工具の一例を示す概略斜視
図。
【図2】多結晶ダイヤモンド工具の製作工程を示す概略
斜視図。
【図3】多結晶ダイヤモンド工具刃先部分の断面図。
【図4】多結晶ダイヤモンド工具刃先の不純物含有量測
定箇所を説明する為の断面図。
【図5】フィラメントCVD装置概略断面図。
【図6】マイクロ波プラズマCVD装置の概略断面図。
【図7】熱CVD装置の概略断面図。
【図8】熱プラズマCVD装置概略断面図。
【符号の説明】
1 工具母材 2 ダイヤモンド膜 3 設置固定層 4 すくい面 5 母材設置固定面 6 基材 7 ダイヤモンド膜 8 メタライズ層 11 真空チャンバ 12 基材支持台 13 基材 14 真空排気口 15 電極 16 ガイシ 17 フィラメント 18 原料ガス入口 19 圧力計 20 冷却水 22 石英管 23 石英棒 24 基材 25 ガス導入口 26 原料ガス 27 真空排気口 28 水冷ジャケット 29 マグネトロン 30 導波管 31 プラズマ 32 プランジャ 35 石英管 36 支持台 37 基材 38 ヒ−タ 39 原料ガス入口 40 真空排気口 42 真空チャンバ 43 電極 44 冷却支持台 45 基材 46 直流電源 47 原料ガス 48 電極ギャップ 49 真空排気口 50 冷却水

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工具母材と多結晶ダイヤモンドとよりな
    り、工具刃先の母材面に多結晶ダイヤモンドの一面を当
    接して固定し、ダイヤモンドを刃先とする構造の工具で
    あって、ダイヤモンドの厚さが40μm以上であり、ダ
    イヤモンドの厚み方向に不純物含有量が変化しており、
    ダイヤモンドのすくい面側の不純物含有量X0 (%)
    が、ダイヤモンドの母材設置固定面側の不純物含有量Y
    0 (%)よりも小さい(X0 <Y0 )事を特徴とする多
    結晶ダイヤモンド工具。
  2. 【請求項2】 工具母材と多結晶ダイヤモンドとよりな
    り、工具刃先の母材面に多結晶ダイヤモンドの一面を当
    接して固定し、ダイヤモンドを刃先とする構造の工具で
    あって、ダイヤモンドの厚さが40μm以上であり、ダ
    イヤモンドの厚み方向に不純物含有量が変化しており、
    ダイヤモンドのすくい面側から平均膜厚の30%の厚み
    迄の領域の平均不純物含有量X1 (%)が、ダイヤモン
    ドの母材設置固定面側から平均膜厚の30%の厚み迄の
    領域の平均不純物含有量Y1 (%)よりも小さい(X1
    <Y1 )事を特徴とする多結晶ダイヤモンド工具。
  3. 【請求項3】 ダイヤモンドのすくい面側から平均膜厚
    の30%の厚み迄の領域の不純物含有量X1 が5%以下
    である事を特徴とする請求項1又は2に記載の多結晶ダ
    イヤモンド工具。
  4. 【請求項4】 ダイヤモンドのすくい面側から平均膜厚
    の30%の厚み迄の領域の不純物含有量X1 が1%以下
    である事を特徴とする請求項1、2又は3に記載の多結
    晶ダイヤモンド工具。
  5. 【請求項5】 不純物元素として、少なくとも結晶質ダ
    イヤモンド以外の炭素成分(結晶質グラファイト、非晶
    質炭素等)を含む事を特徴とする請求項1、2、3又は
    4の何れかに記載の多結晶ダイヤモンド工具。
  6. 【請求項6】 不純物元素として、Si、B、Al、
    W、Mo、Co、Fe、Nb、Ta、及びそれらの炭化
    物、酸化物、窒化物を含むことを特徴とする請求項1、
    2、3、4又は5の何れかに記載の多結晶ダイヤモンド
    工具。
  7. 【請求項7】 不純物元素としてハロゲンまたはハロゲ
    ン化物を含む事を特徴とする請求項1、2、3、4、5
    又は6の何れかに記載の多結晶ダイヤモンド工具。
  8. 【請求項8】 不純物元素として、周期律表の、金属、
    半金属、非金属、及びそれらの、炭化物、窒化物、酸化
    物の何れか1種もしくは2種以上の粉体を含む事を特徴
    とする請求項1、2、3、4、5、6又は7の何れかに
    記載の多結晶ダイヤモンド工具。
  9. 【請求項9】 少なくとも炭素を含むガスを原料ガスと
    し、不純物として、ハロゲン又はハロゲン化物、SiH
    4 、Si26 、PH3 、B26 、N2 の少なくとも
    1つを添加し、不純物添加量を変化させながら化学的気
    相堆積法によってダイヤモンド膜を基材上に形成し、基
    材を除去後、このダイヤモンド膜の不純物含有量の多い
    方を工具母材面に設置固定し、不純物含有量の少ない方
    をすくい面とする事を特徴とする多結晶ダイヤモンド工
    具の製造方法。
  10. 【請求項10】 少なくとも炭素を含むガスを原料ガス
    とし、不純物として、周期律表の金属、半金属、及びそ
    れらの炭化物、窒化物、酸化物のいずれか1種もしくは
    2種以上の粉体を、この添加量を変化させながら、化学
    的気相堆積法によってダイヤモンド膜を基材上に形成
    し、基材を除去後このダイヤモンド膜の不純物含有量の
    多い方を、工具母材面に設置固定し、不純物含有量の少
    ない方をすくい面とする事を特徴とする多結晶ダイヤモ
    ンド工具の製造方法。
  11. 【請求項11】 ダイヤモンド膜を成長させるべき基材
    がW、Mo、Ta、Nb、Si、SiC、WC、W2
    C、Mo2 C、TaC、Si34 、AlN、Ti、T
    iC、TiN、B、BN、B4 C、ダイヤモンド、Al
    23 、SiO2 のいずれかであることを特徴とする請
    求項8又は9に記載の多結晶ダイヤモンド工具の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 原料ガスが稀ガスを含むことを特徴と
    する請求項8又は9に記載の多結晶ダイヤモンド工具の
    製造方法。
JP33134591A 1990-11-22 1991-11-19 多結晶ダイヤモンド工具及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2675218B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33134591A JP2675218B2 (ja) 1990-11-22 1991-11-19 多結晶ダイヤモンド工具及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31921090 1990-11-22
JP2-319210 1990-11-22
JP33134591A JP2675218B2 (ja) 1990-11-22 1991-11-19 多結晶ダイヤモンド工具及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0523904A true JPH0523904A (ja) 1993-02-02
JP2675218B2 JP2675218B2 (ja) 1997-11-12

Family

ID=26569644

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33134591A Expired - Fee Related JP2675218B2 (ja) 1990-11-22 1991-11-19 多結晶ダイヤモンド工具及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2675218B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08215960A (ja) * 1994-11-19 1996-08-27 Maschinenfabrik Berthold Hermle Ag 穴あけ及びフライス削りのための工作機械
JPH08215961A (ja) * 1994-11-19 1996-08-27 Maschinenfabrik Berthold Hermle Ag 穴あけ及びフライス削りのための工作機械
JP2001098358A (ja) * 1999-09-28 2001-04-10 Ulvac Japan Ltd カーボン薄膜の成膜装置、及びカーボン薄膜製造方法
WO2020179572A1 (ja) * 2019-03-06 2020-09-10 国立大学法人東海国立大学機構 ダイヤモンドコーティング工具
CN113005516A (zh) * 2015-10-19 2021-06-22 住友电气工业株式会社 单晶金刚石、使用单晶金刚石的工具以及单晶金刚石的制造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08215960A (ja) * 1994-11-19 1996-08-27 Maschinenfabrik Berthold Hermle Ag 穴あけ及びフライス削りのための工作機械
JPH08215961A (ja) * 1994-11-19 1996-08-27 Maschinenfabrik Berthold Hermle Ag 穴あけ及びフライス削りのための工作機械
JP2001098358A (ja) * 1999-09-28 2001-04-10 Ulvac Japan Ltd カーボン薄膜の成膜装置、及びカーボン薄膜製造方法
CN113005516A (zh) * 2015-10-19 2021-06-22 住友电气工业株式会社 单晶金刚石、使用单晶金刚石的工具以及单晶金刚石的制造方法
WO2020179572A1 (ja) * 2019-03-06 2020-09-10 国立大学法人東海国立大学機構 ダイヤモンドコーティング工具

Also Published As

Publication number Publication date
JP2675218B2 (ja) 1997-11-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR940004903B1 (ko) 다결정 다이아몬드 공구 및 그 제조방법
KR940009659B1 (ko) 다결정 다이어몬드 공구 및 그 제조방법
US4919974A (en) Making diamond composite coated cutting tools
US5112643A (en) Gaseous phase synthesized diamond and method for synthesizing same
US5173089A (en) Method for producing the polycrystalline diamond tool
JPH07315989A (ja) ダイヤモンド被覆部材の製造方法
JPH03197677A (ja) ダイヤモンドコーティング工具及びその製造法
US6447843B1 (en) Synthetic diamond wear component and method
US5626908A (en) Method for producing silicon nitride based member coated with film of diamond
JP2675218B2 (ja) 多結晶ダイヤモンド工具及びその製造方法
JP2591865B2 (ja) 多結晶ダイヤモンド工具及びその製造方法
JP3469310B2 (ja) ダイヤモンド被覆用セラミック基基材及び被覆用基材の製造方法
JP3353239B2 (ja) ダイヤモンド類被覆部材の製造方法
JP2557560B2 (ja) 多結晶ダイヤモンド切削工具およびその製造方法
JP2797612B2 (ja) 高い付着強度を有する人工ダイヤモンド被覆硬質焼結工具部材
EP0807693B1 (en) Synthetic diamond wear component and method
JPH01317112A (ja) 高強度多結晶ダイヤモンド及びその製造方法
JP2571821B2 (ja) 粒状多結晶ダイヤモンド膜の製造方法
JPH06248422A (ja) 被覆焼結体およびその製造方法
JPH08151297A (ja) ダイヤモンドの製造方法
JP3235206B2 (ja) ダイヤモンド切削工具およびその製造方法
JPH1053871A (ja) ダイヤモンド被覆炭素部材
JPH04261703A (ja) 多結晶ダイヤモンド切削工具
Ali et al. Combined substrate polishing and biasing during hot-filament chemical vapor deposition of diamond on copper
JPH0657426A (ja) ダイヤモンド切削工具およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees