JPH0523895Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ボール弁における弁座保持環を、ボ
ール弁体（以下ボールという）に向かつて押圧す
ることにより、弁座をボールに圧接させるように
した押圧装置の改良に関するものである。

〔従来の技術〕

第５図及び第６図は、ボール弁の弁座保持環
を、ボールに向かつて押圧するため、弁箱と保持
環の間に、液体の流路と平行に設けた多数のコイ
ルばねをもつて、保持環の外側面を押圧するよう
にした、従来の代表的な装置の例を示すものであ
る。

１は弁箱で、本体２と蓋体３とにより形成さ
れ、弁箱１の両端には、液体の流路４，４が設け
られている。５はボール、６は弁軸である。

蓋体３における流路４の内端には、拡径する環
状段孔７が刻設され、この段孔７には、弁座保持
環８が摺動自在に嵌合されている。

弁座保持環８の外端に連設した縮径筒部８ａ
は、蓋体３における流路４と段孔７との間に設け
られた中間段孔７ａに、流路の軸線方向に摺動可
能として嵌合されている。

９は環状弁座、１０はＯリングである。

段孔７の垂直面と保持環８の外側面には、それ
ぞれ互に対向する多数の有底孔１１，１２が、円
周方向に等間隔をもつて穿設されている。

対向する有底孔１１，１２には、圧縮コイルば
ね１３が穿設され、この圧縮ばね１３により、保
持環８が押圧されて、弁座９のボール５に圧接し
てる。

図示を省略したが、本体２の流体流路の内端に
も、上述と同様の装置が、左右対称的に設けられ
ている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上述の装置は、使用する圧縮コイルばね１３の
種類を変えたり、その数を増減するだけで、大き
さの異なるボール弁を製作したり、あるいは同じ
大きさのボール弁を、高圧用や低圧用としたりし
うるので、多種のボール弁を製作する際、部品の
種類が減少して便利である。

しかし、本体２と蓋体３の内面および保持環８
に、多数の有底孔１１，１２を穿設しなければな
らないため、加工が面倒であり、また時として困
難である。

また組立て時、対向する有底孔１１，１２に、
圧縮コイルばね１３をはめ込む際、すなわち、蓋
体３を組み付けるため、保持環８の有底孔１２に
一端を嵌入させた圧縮コイルばね１３の突出端
に、蓋体３の有底孔１１を嵌合する際、一部の圧
縮コイルばね１３が脱落するおそれがあり、作業
が甚だ面倒であるとともに、時間を要する。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、保持環の押圧手段を、ボール弁の弁
箱を形成する本体と蓋体の流体通路の内端に、拡
径する環状段孔を形成するとともに、この段孔
に、帯状ばね板を連続する波状に屈曲してなるホ
ルダを、環状に丸めて挿入し、かつ環状段孔の内
周面とホルダの間に形成された支持孔に、圧縮コ
イルばねを挿入することにより、弁座保持環の外
側面を押圧するように構成することにより、上述
の課題の解決を図つたものである。

〔作用〕

本考案の装置においては、環状に丸められたホ
ルダと環状段孔の間に形成された支持孔に、圧縮
コイルばねがほぼ全長にわたつて支持されている
ので、上述の従来装置のような穿設作業の面倒な
有底孔１１，１２を穿設する必要がなく、またボ
ール弁組立てに際して、圧縮コイルばねが脱落す
る恐れもない。

〔実施例〕

第１図ないし第３図は、本考案の一実施例を示
すもので、上述の従来例と同一の部材には、同一
の符号を付して、説明を省略する。

本考案においては、蓋体３の段孔７と保持環８
には、従来のような有底孔１１，１２は設けられ
ていない。

その代わり、第３図に示すようなばねホルダ２
１が使用される。

ばねホルダ２１は、圧縮コイルばね１３の長さ
よりやや小幅の帯状のばね板を、長さ方向に連続
する波状に屈曲させて、段孔７の円周長より若干
短寸に切断したもので、個々の波は、圧縮コイル
ばね１３が嵌入しうる大きさとなつている。

第２図に示すように、このホルダ２１を丸めて
段孔７にはめ込めば、弾性により拡径して、自動
的に段孔７に固定され、かつ段孔７の内周面との
間に、流路４と平行をなす多数の支持孔２２が形
成される。

第１図と第２図に示すように、この支持孔２２
に、圧縮コイルばね１３を遊挿し、かつ縮径筒部
８ａが中間段孔７ａに嵌合するようにして、保持
環８を段孔７に嵌合することにより、保持環８は
圧縮コイルばね１３により押圧されて、弁座９を
ボール５に圧接させる。

図示を省略したが、本体２の流体流路の内端に
も、上述と同様の装置が、左右対称的に設けられ
ている。

ホルダ２１の形状は、第３図に示すものとは限
らず、段孔７との間に、圧縮コイルばね１３の支
持孔２２を形成しうるものであればよい。たとえ
ば第４図に示すホルダ２３のように、半円部とＵ
字溝部が交互に連続するもの等、各種の形状のも
のを使用することができる。

またホルダ２１は、予め所定の形状に屈曲させ
た長尺の帯板を準備しておき、段孔７の直径に対
応して、適宜切断して使用すればよい。

〔考案の効果〕

本考案の装置においては、環状に丸められて、
弾性により固定されたホルダと、環状段孔の間に
形成された支持孔に、圧縮コイルばねがほぼ全長
にわたつて支持されるので、従来装置のような、
面倒な有底孔の穿設作業が不要であり、しかも、
ボール弁組立てに際して、圧縮コイルばねが脱落
する恐れもない。

ホルダは、予め所定の形状に屈曲させた長尺の
帯板を、段孔の直径に対応して適宜切断すればよ
いので、１種の帯板で、多種のボール弁に対処す
ることができる。

しかも、従来の装置と同様、圧縮コイルばねの
使用個数を加減するだけで、大きさの異なるボー
ル弁を製作したり、同じ大きさのボール弁を、高
圧用や低圧用とすることができる。

従つて、ボール弁の組立作業が著しく迅速かつ
容易となるとともに、多種類のボール弁を製作す
る際、準備する部品点数が少くなり、ボール弁の
製作費が低減する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案を適用したボール弁の要部縦
断正面図、第２図は、第１図のＡ−Ａ線断面図、
第３図は、本考案の装置におけるホルダの正面
図、第４図は、ホルダの他の例を示す正面図、第
５図は、ボール弁の正面図、第６図は、従来のボ
ール弁の要部縦断正面図である。 １……弁箱、２……本体、３……蓋体、４……
流路、５……ボール、６……弁軸、７……段孔、
７ａ……中間段孔、８……保持環、８ａ……縮径
筒部、９……弁座、１０……Ｏリング、１１，１
２……有底孔、１３……コイルばね、２１……ホ
ルダ、２２……支持孔、２３……ホルダ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボール弁の弁箱を形成する本体と蓋体の流体通
   路の内端に、拡径する環状段孔を形成するととも
   に、この段孔に、帯状ばね板を連続する波状に屈
   曲してなるホルダを、環状に丸めて挿入し、かつ
   環状段孔の内周面とホルダの間に形成された支持
   孔に、圧縮コイルばねを挿入することにより、弁
   座保持環の外側面を押圧させてなるボール弁にお
   ける弁座保持環の押圧装置。