JPH0523871A - チタンまたはチタン合金と金合金の接合体と接合方法 - Google Patents

チタンまたはチタン合金と金合金の接合体と接合方法

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JPH0523871A
JPH0523871A JP18124891A JP18124891A JPH0523871A JP H0523871 A JPH0523871 A JP H0523871A JP 18124891 A JP18124891 A JP 18124891A JP 18124891 A JP18124891 A JP 18124891A JP H0523871 A JPH0523871 A JP H0523871A
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功 久保木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 チタンまたはチタン合金と金合金の強度の高
い、高耐食の美観のよい接合体を提供する。 【構成】 チタンまたはチタン合金と金合金とを、金合
金の融点より50℃〜300℃低い温度で加熱加圧した
り、10μm以下の結晶粒径を有するチタン合金と金合
金とをチタン合金の融点より300℃低い温度以上、該
チタン合金のβ変態温度未満の温度で加熱加圧したりし
て、拡散接合することによりチタンまたはチタン合金と
金合金の接合体を得る。また、チタンまたはチタン合金
の接合面に、パラジウムメッキをしたり、チタン粉末を
挿入することにより接合する。 【効果】 チタンまたはチタン合金と金合金の接合面の
溶融がなく美観を損ねることなく、強度の高い耐食性の
よい接合体を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チタンまたはチタン合
金に金合金を接合する接合方法および、この方法により
得られた接合体、特に腕時計用外装部品または装飾品に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、耐食性、強度、軽さ、生体適合性
の面でステンレス鋼を凌ぐ優れた特徴を有するチタンま
たはチタン合金が腕時計用外装部品または装飾品に使用
されつつあるが、その場合、金合金の加飾は、ろう材を
介して接合されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、チタンやチタ
ン合金に金合金をろう材を介して接合した場合、ろう材
を溶融する温度まで加熱するため溶融したろう材が加熱
中にチタンまたはチタン合金と金合金に激しく反応して
接合界面が軟化あるいは溶融し、図6に示すように形状
変化や変色を起こし、装飾品として重要な美観を損ねて
しまう。また、ろう材によっては耐食性に問題があり、
強度劣化あるいは変色することがしばしばある。耐食性
を考えてチタンまたはチタン合金と金合金を直接接合し
た場合、表面に凹凸やうねりがあるとチタンまたはチタ
ン合金と金合金とが接触する面が小さく、拡散接合する
面が少なく接合強度が低くなってしまう。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、上記課
題を解決するために、ろう材を用いずにチタンまたはチ
タン合金と金合金を固相状態で金合金の融点より50〜
300℃低い温度で0.1kgf/mm2 以上の圧力を
加圧し、拡散接合を行ったり、10μm以下の微細な結
晶粒径を有するチタン合金と金合金を金合金の融点より
300℃低い温度以上、該チタン合金のβ変態温度未満
で0.1kgf/mm2 以上の圧力を負荷し拡散接合を
行ったりする。また、チタン合金にパラジウム膜を被覆
したりチタン粉末を両合金の間に挿入した。
【0005】接合温度を金合金の融点より300℃低い
温度以上にするのは、金合金の拡散が活発になる温度で
あり、これ以上の温度で接合が容易になる。接合温度を
金合金の融点より50℃低い温度未満にするのは、それ
以上の温度になると金合金が軟化し接合界面において金
合金が変形するためであり、またチタン合金のβ変態温
度未満にするのは、それ以上の温度に加熱するとチタン
合金の結晶粒径が粗大化し、好ましくないからである。
温度を限定し、さらに0.1kgf/mm2 以上の圧力
を加圧することにより拡散接合が促進される。
【0006】固体内での原子拡散は結晶粒内より結晶粒
界の方が活発であるため、できるだけ結晶粒径が微細な
方がよく、またチタン合金の結晶粒径を10μm以下に
することにより超塑性特性が良好になり、原子拡散が活
発になるため、チタン合金の結晶粒径を10μm以下に
することが好ましい。
【0007】
【作用】上記のような方法によれば、チタンまたはチタ
ン合金と金合金を固相状態で接合するため、接合界面が
溶融せず形状変化や変色が起こらない。チタン合金の結
晶粒径が微細なほど加圧力を小さくでき、10μm以下
の結晶粒径の場合は超塑性を利用してより低圧力で接合
することができる。また、パラジウム、チタン粉末の使
用により接合強度が高くなる。
【0008】
【実施例】以下に、本発明の実施例を具体的に説明す
る。実施例としてチタン合金として、 Ti−9.5V−2.5Mo−3Al Ti−6A1−4V Ti−15V−3Cr−3Sn−3Al 純チタン(JIS2種) の4種類と、金合金としてAu−15Ag−10Cuの
拡散接合を試みた。 (実施例1)チタン合金と金合金を真空雰囲気中で接合
温度600、725、825、850℃、加圧力0.0
5kgf/mm2 、0.1kgf/mm2 を与えた状態
で30分保持後冷却し接合した。接合後、剪断強度、人
工汗による耐食試験、塩水噴霧による耐食試験、外観評
価を行った。耐食試験の結果、どの接合温度においても
完全な耐食性を有した。外観は、接合温度が600、7
25、825℃では接合界面がシャープであり、溶融は
見られなかったが、850℃においては図2に見られる
ような金合金(Au−15Ag−10Cu)3の接合界
面にわずかの溶融部1が存在した。
【0009】したがって、この温度が溶融の始まる限度
となる。剪断強度は加圧力0.1kgf/mm2 では各
温度において6kgf/mm2 以上が得られ十分な接合
強度が得られた。実施例のAu−15Ag−10Cuの
融点が約900℃なので金合金の高温強度の限界として
接合温度の最高を850℃に最低を600℃に設定し
た。 (実施例2)チタン合金にTi−9.5V−2.5Mo
−3Alを、金合金にAu−12.5Ag−12.5C
uを用いて接合を試みた。該チタン合金の結晶粒径とし
て2μm、10μm、100μmの3種類で行った。接
合温度は該チタン合金のβ変態温度が約780℃なので
それ以下の725℃で、加圧力は0.1kgf/mm 2
加圧し30分保持した。剪断強度は結晶粒径が2μmで
は8.3kgf/mm 2 、10μmでは7.4kgf/
mm2 と十分な強度が得られたが、100μmでは1.
5kgf/mm2 と小さかった。
【0010】図1は本発明によりチタン合金製腕時計ケ
ースに金合金を直接接合した実施例である。チタン合金
製腕時計ケース5を成形後研磨し金合金(18K)3を
接合面に合わせ、真空雰囲気中、接合温度725℃、加
圧力1kgf/mm2 で30分保持し拡散接合を行っ
た。その結果、チタン合金と金合金は完全に接合され接
合面の溶融はなく、変色もしなかった。また、人工汗、
塩水噴霧による耐食試験によっても完全な耐食性が得ら
れた。 (実施例3)純チタン、チタン合金の接合面には2μm
のパラジウムメッキを施し酸化防止を図った。真空雰囲
気中で接合温度600、725、825、850℃、加
圧力1kgf/mm2 を与えた状態で30分保持後冷却
した。接合後、剪断強度、人工汗による耐食試験、塩水
噴霧による耐食試験、外観評価を行った。耐食試験の結
果、どの接合温度においても完全な耐食性を有した。外
観は、接合温度が600、725、825℃では接合界
面がシャープであり、溶融は見られなかったが、850
℃においては図2に見られるような金合金(Au−15
Ag−10Cu)3の接合界面にわずかの溶融部1が存
在した。したがって、この温度が溶融の始まる限度とな
る。剪断強度は各温度においては10kgf/mm2
上が得られ十分な接合強度が得られた。実施例のAu−
15Ag−10Cuの融点が約900℃なので金合金の
高温強度の限界として接合温度の最高を850℃に最低
を600℃に設定した。
【0011】図3は、本発明により接合面にパラジウム
をメッキして接合した実施例である。チタン合金製腕時
計ケース5を成形後研磨し接合面にパラジウム6を2μ
mの厚さでメッキした。次に金合金(18K)3を接合
面に合わせ、真空雰囲気中、接合温度725℃、加圧力
1kgf/mm2 で30分保持し拡散接合を行った。そ
の結果、チタン合金と金合金は完全に接合され、接合面
の溶融はなく、変色もしなかった。また、人工汗、塩水
噴霧による耐食試験によっても完全な耐食性が得られ
た。 (実施例4)チタン、チタン合金の接合面の間には約3
0μmのチタン粉末を挿入した。真空雰囲気中で接合温
度600、725、825、850℃、加圧力0.1k
gf/mm2 を与えた状態で10分保持後冷却した。接
合面の表面仕上げは、バフ仕上げ、400番のエメリー
紙での仕上げの2種類とした。
【0012】図4はチタンまたはチタン合金2と金合金
3の間にチタン粉末7を挿入して接合した実施例であ
り、接合面の凹凸の隙間にチタン粉末7が入り込み接合
面積が大きくなったところを表している。接合後、剪断
強度、人工汗による耐食試験、塩水噴霧による耐食試
験、外観評価を行った。耐食試験の結果、どの接合温
度、表面仕上げにおいても完全な耐食性を有した。外観
は、接合温度が600、725、825℃では接合界面
がシャープであり、溶融は見られなかったが、850℃
においては図2に見られるような金合金(Au−15A
g−10Cu)3の接合界面にわずかの溶融部1が存在
した。剪断強度は各温度、表面仕上げにおいて10kg
f/mm2 以上が得られ十分な接合強度が得られた。
【0013】図5は本発明により、接合面にチタン粉末
を挿入して接合した実施例である。チタン合金製腕時計
ケース5と金合金3との間に約30μmのチタン粉末7
を挿入して真空雰囲気中、接合温度725℃、加圧力
0.1kgf/mm2 で 10分保持し拡散接合を行っ
た。その結果、チタン合金と金合金の接合強度が高く接
合面の溶融はなく、変色もしなかった。また、人工汗、
塩水噴霧による耐食試験によっても完全な耐食性が得ら
れた。
【0014】チタン合金と金合金の拡散接合は、接合界
面におけるチタンと金の相互拡散によるところが大き
く、実施例以外のチタン合金や金合金においても同様な
ことが言える。以上のように、チタンまたはチタン合金
と金合金の接合面に前記各実施例のような接合、すなわ
ち金合金の融点より50〜300℃低い温度で拡散接合
することにより、美観に優れ、強度の高い、耐食性の優
れたチタンまたはチタン合金と金合金の接合体を得るこ
とができる。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればチ
タンまたはチタン合金と金合金の接合界面の溶融がなく
美観を損なうことなく、強度の高い耐食性のよい接合体
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によりチタン合金製腕時計ケースに金合
金を直接接合した実施例である。
【図2】本発明により拡散接合した断面図である。
【図3】本発明により腕時計ケースの接合面にパラジウ
ムをメッキして接合した実施例である。
【図4】本発明によりチタン粉末を挿入して接合した実
施例である。
【図5】本発明により腕時計ケースの接合面にチタン粉
末を挿入して接合した実施例である。
【図6】従来例のろう材を用いて接合した断面図であ
る。
【符号の説明】
1 溶融部 2 チタンあるいはチタン合金 3 金合金 4 ろう材 5 チタン合金製腕時計ケース 6 パラジウム 7 チタン粉末

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンまたはチタン合金と金合金を直接
    接合したことを特徴とするチタンまたはチタン合金と金
    合金の接合体。
  2. 【請求項2】 チタンまたはチタン合金と金合金を、パ
    ラジウムまたはチタン粉末を中間材として接合したこと
    を特徴とするチタンまたはチタン合金と金合金の接合
    体。
  3. 【請求項3】 チタンまたはチタン合金の接合面にパラ
    ジウム膜を被覆し、その上に金合金を重ね合わせ、金合
    金の融点より50〜300℃低い温度で拡散接合するこ
    とを特徴とするチタンまたはチタン合金と金合金の接合
    方法。
  4. 【請求項4】 チタンまたはチタン合金の接合面と金合
    金の接合面の間に、チタン粉末を挿入し、金合金の融点
    より50〜300℃低い温度で拡散接合することを特徴
    とするチタンまたはチタン合金と金合金の接合方法。
  5. 【請求項5】 チタンまたはチタン合金と金合金を、金
    合金の融点より50〜300℃低い温度で0.1kgf
    /mm2 以上の圧力を加圧し拡散接合することを特徴と
    するチタンまたはチタン合金と金合金の接合方法。
  6. 【請求項6】 チタンまたはチタン合金と金合金におい
    て、該チタン合金の結晶粒径を10μm以下にし、金合
    金の融点より300℃低い温度以上、チタン合金のβ変
    態温度未満の温度で0.1kgf/mm2 以上の圧力を
    加圧し拡散接合することを特徴とするチタンまたはチタ
    ン合金と金合金の接合方法。
  7. 【請求項7】 腕時計用外装部品であることを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載の接合体。
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