JPH0523838A - 注湯装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 遠隔操作により取鍋の傾動及び位置を自在に
調節することができる注湯装置を提供することを目的と
するものである。 【構成】 移動体１上に左右動可能な基台２を設け、こ
の基台２に昇降可能な昇降体３を設け、この昇降体３に
前後動可能な取鍋取付体４を設け、この取鍋取付体４に
傾動可能な取鍋５を着脱自在に設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は鋳造作業における注湯装
置に係るものである。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
鋳造作業における注湯作業は、一般に炉から出た融湯を
取鍋に受け、この取鍋をクレーン等で懸垂して作業員が
クレーンの走行,上昇,下降の調節を取りながら、取鍋の
注湯口を鋳型の湯口に合わせて傾動しながら注湯してい
たが、この作業は作業員が取鍋に近接しての作業の為周
囲温度が熱く、注湯時の発生ガスを吸引したり、湯口か
ら飛散した溶湯等で火傷等を受けるなど、極めて危険性
が高い上に鋳型の湯口に合わせての注湯の為熟練を要す
る作業であった。

【０００３】本発明は、これらの欠点を解決し、遠隔操
作により取鍋の注湯口の傾動と傾動位置を自在に調節し
ながら遂次注湯作業を行うことにより、作業環境の改善
と生産性の増強を実現する注湯装置を提供することが技
術的課題である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発
明の要旨を説明する。

【０００５】移動体１上に左右動可能な基台２を設け、
この基台２に昇降可能な昇降体３を設け、この昇降体３
に前後動可能な取鍋取付体４を設け、この取鍋取付体４
に傾動可能な取鍋５を着脱自在に設けたことを特徴とす
る注湯装置に係るものである。

【０００６】移動体１上に左右動可能な機台６を設け、
この機台６の左右に支柱７・７を立設し、この左右の支
柱７・７に支承腕体８の基部８'を架け渡して昇降可能
に付設し、この支承腕体８の他端部８"を前方に突設状
態に設け、この左右の支承腕体８の他端部８"上に前後
動可能な支承基盤９・９を設け、この左右の支承基盤９
・９上に取鍋５の支承軸５'・５'を支承する支承軸受10
・10を設け、この支承軸受10・10に配される取鍋５の支
承軸５'を挾持するとともに支承軸５'を回動せしめるこ
とで取鍋５を傾動せしめ得る傾動機構38を支承基盤10に
設けたことを特徴とする注湯装置に係るものである。

【０００７】

【作用】請求項１記載の発明の作用について説明する。

【０００８】溶解炉から出湯された融湯を一旦取鍋５に
受け入れ、この取鍋５をクレーン等で吊下げし、溶解炉
近傍で待機している本装置まで搬送し、取鍋５を取鍋取
付体４に載置する。移動体１の移動により、本装置を鋳
型位置まで移動させ基台２の左右動,昇降体３の昇降,取
鍋取付体４の前後動,取鍋５の傾動により適宜調整して
取鍋５から鋳型に注湯する。

【０００９】請求項２記載の発明の作用について説明す
る。

【００１０】溶解炉から出湯された融湯を一旦取鍋５に
受け入れ、この取鍋５をクレーン等で吊下げし、溶解炉
近傍で待機している本装置まで搬送し、取鍋５の支承軸
５'・５'を支承基盤９・９に設けた支承軸受10・10に支
承して、支承腕体８の他端部８"・８"間に取鍋５を位置
せしめる。移動体１の移動により本装置を鋳型位置まで
移動させ、更に機台６の左右動により取鍋５を所望の鋳
型手前位置に合わせ、且つ支承腕体８・８の昇降により
取鍋５を所望の高さに合わせる。

【００１１】支承基盤９に設けた傾動機構38により取鍋
５の支承軸５'端を挾持し、次いで、支承軸５'を回動さ
せることにより取鍋５を傾動させながら取鍋５内の融湯
を湯口に注ぎ込み鋳込む。

【００１２】取鍋５の注湯口が鋳型に当接し、取鍋５の
傾動が不能となったら昇降体３・３を昇降せしめて取鍋
５の傾動を可能とする。

【００１３】

【実施例】図面は本発明の一実施例を示すものである。

【００１４】造形機の鋳型搬送システムに平行に敷設さ
れたレール11上に移動体１を架設し、この移動体１の下
部に左右前後に四個の車輪12を垂設し、この車輪12の左
後の車輪12をチェーン13により駆動せしめる減速モータ
14を付設する。

【００１５】移動体１上に機台６を設け、この移動体１
上面と機台６下面間を、前記レール11に平行にガイドレ
ール15を移動体１の上面部に付設し、このガイドレール
15をガイドとして左右動自在にスライドするガイドシュ
ー16を機台６の下面に付設し、左右動シリンダ17の基部
を移動体１の上部に係止し、この左右動シリンダ17のピ
ストンロッドの先端を機台６の下部に枢着して機台６を
移動体１左右に摺動自在ならしめる。

【００１６】機台６上のやや前寄りに二個の支柱７・７
を左右に相対して立設し、この支柱７・７の相対する左
右位置間に上下方向に摺動ガイド面を形成し、この摺動
ガイド面に支承腕体８の基部８'を架け渡し上下方向摺
動自在に係止し、他端部８"の左右を前方に突設状態に
設け、この支承腕体８の基部８'の中央下面と機台６の
上面間に上下動シリンダ18を立設する。

【００１７】支承腕体８の他端部８"の上面を蟻溝型形
状に形成し、この蟻溝型状に係合して前後方向に自在に
摺動し得る支承基盤９・９を支承腕体８の他端部８"・
８"に冠設し、この支承基盤９・９上に取鍋５の支承軸
５'・５'を自在に支承し得る支承軸受10・10を設ける。

【００１８】支承腕体８の基部８'の後端部の左右に断
面 「コ」 の字型に形成せるブラケット19・19を 「コ」 字
型形状の開口部を外側にして突設し、この 「コ」 の字型
のブラケット19・19の夫々の上下のフランジ内面をガイ
ドとして自在に転動し得る車輪20・20を垂設せる横腕杆
21を上記ブラケット19・19の上方の左右に横設し、この
横腕杆21の中央部と支承腕体８の基部８'上面に設けた
前後動シリンダ22を連結し、横腕杆21の左右端を連結杆
23・23にて左右の支承軸受10・10の前端部に連結する。

【００１９】移動体１を減速モータ14,チェーン13,車輪
12によりレール11上を走行せしめ、取鍋５の注湯口５"
の位置を鋳型の湯口の位置に概略合わせる。

【００２０】次いで移動体１の上部に基部を係止した左
右動シリンダ17を作動させると、左右動シリンダ17のピ
ストンロッドが伸縮し、これによりピストンロッドの端
部を枢着している機台６が移動体１のガイドレール15上
を左右に移動し取鍋５の注湯口５"の左右方向の位置を
調節する。

【００２１】機台６の上面と支承腕体８の基部８'の中
央下面の間に立設した上下動シリンダ18を作動させる
と、上下動シリンダ18のピストンロッドの端部が上下動
し、これに連結されている支承腕体８が左右の支柱７の
摺動ガイド面上を上下方向に摺動するので、取鍋５の注
湯口５"の上下方向の位置が調節される。

【００２２】支承腕体８の基部８'上面に設けた前後動
シリンダ22を作動すると、シリンダ22のピストンロッド
の端部に連結した車輪20・20を垂設せる横腕杆21は車輪
20・20が左右のブラケット19・19内面のフランジをガイ
ドとして前後方向に平行移動し、この横腕杆21の左右端
と支承軸受10・10とを連結している連結杆23・23が同位
相で前後方向に移動し、その結果取鍋５の支承軸５'・
５'を支承する支承軸受10・10を係止している支承基盤
９・９は支承腕体８の他端部８"の蟻溝型形状の上面を
ガイドとして前後方向に摺動するので、取鍋５の注湯口
５"の前後方向の位置を調節する。

【００２３】上述のように、取鍋５の注湯口５"の位置
は左右動シリンダ17,上下動シリンダ18,前後動シリンダ
22を作動することにより、三方向の位置を自在に調節で
きる。

【００２４】傾動機構38について説明する。

【００２５】取鍋５の支承軸５'・５'の左側(図４)の支
承軸５'に挾持受盤25を嵌入してキー及びボルトで止着
し、この支承軸５'を支承する支承軸受10を保持する支
承基盤９上に連結筐体26の基部を止着しこの連結筐体26
の他端にロータリアクチエータ27を係止し、このロータ
リアクチエータ27の出力軸に連結腕体29の基部を軸着固
定し、他端の二股形状の突出腕部にピン孔30・30を設け
る。

【００２６】連結腕体29の中央部の上下方向の対向位置
に挾持シリンダ31・31の底部を止着し、連結腕体29の基
部の外周の対向位置に抗張発条32・32の一端を止着する
係止片33・33を設ける。

【００２７】ピン孔34・34を有する挾持レバー35・35の
基部を上記連結腕体29の二股形状の突出腕部に嵌挿して
ピン孔30・34を連結ピン36・36で枢着し、挾持レバー35
・35の両端に夫々抗張発条32・32とリンクボール37・37
を付設し、抗張発条32・32の他端を連結腕体29の係止片
33・33に連結し、リンクボール37・37の先端を挾持受盤
25の外面に適当な間隙を有するよう調節して付設する。

【００２８】溶解炉からの融湯を受け入れた取鍋５を、
支承軸５'・５'により支承軸受10・10に支承し、挾持シ
リンダ31・31を作動すると挾持シリンダ31・31のピスト
ンロッドが伸びて挾持レバー35・35の当接面35'・35'に
当接し、連結腕体29に枢着されている連結ピン36・36を
支点として、抗張発条32・32の抗張力に抗してリンクボ
ール37・37の先端が取鍋５の支承軸５'に止着されてい
る挾持受盤25の外周をしっかりと挾持するように作動す
るので、取鍋５は安定した状態で支承軸受10に保持され
る。

【００２９】上記の状態でロータリアクチエータ27を作
動すると、ロータリアクチエータ27の出力軸が回動し、
これに軸着固定されている連結腕体29は、挾持シリンダ
31・31により挾持レバー35・35のリンクボール37・37の
先端が挾持受盤25を挾持した状態で回動するので、取鍋
５の注湯口５"が支承軸受10・10の軸芯を回動中心とし
て傾動し、取鍋５内の融湯を鋳型の湯口に注ぎ込む。

【００３０】また、この際取鍋５の傾動速さは、ロータ
リアクチエータ27への圧力媒体の流量を絞り弁等で調節
して自在に傾動速度を変えることができる。

【００３１】挾持シリンダ31・31のピストンロッドを操
作弁等の操作により戻すと、挾持レバー35・35は端部の
抗張発条32・32の張力により連結ピン36・36を支点とし
てリンクボール37・37の先端が開き挾持受盤25の外面と
適当な間隙を保持するので、取鍋５の支承軸５'・５'は
容易に支承軸受10・10より吊り上げることができる。
尚、符号39はケージ、40は操作盤、41は圧力ユニット、
42は鋳型、43は補助車輪である。

【００３２】

【発明の効果】本発明は上述のように構成したから、取
鍋を自在に前後,左右,昇降及び傾動させることができ、
従って、鋳型の湯口が小さくてすみ、注湯時の所謂 「高
注ぎ」がなくなり、鋳型の湯流れの無理が排除されるこ
とにより歩留りが向上し、注湯による不良率が著しく低
下する。

【００３３】しかも、取鍋周辺湿度が２００℃近い苛酷
な環境下であっても遠隔操作による取鍋の前後,左右,昇
降及び傾動が確実に実施される為作業員の作業環境も改
善され、品質の安定化と作業能率向上を実現する秀れた
注湯装置となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す側面図である。

【図２】本発明の一実施例を示す背面図である。

【図３】本発明の一実施例の要部を示す一部を切欠ける
側断面図である。

【図４】本発明の一実施例の要部を示す一部を切欠ける
平面図である。

【図５】本発明の一実施例の傾動機構を示す一部を切欠
ける平面図である。

【符号の説明】

１ 移動体 ２ 基台 ３ 昇降体 ４ 取鍋取付体 ５ 取鍋 ５' 支承軸 ６ 機台 ７ 支柱 ８ 支承腕体 ８' 基部 ８" 他端部 ９ 支承基盤 10 支承軸受 38 傾動機構

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 移動体上に左右動可能な基台を設け、こ
   の基台に昇降可能な昇降体を設け、この昇降体に前後動
   可能な取鍋取付体を設け、この取鍋取付体に傾動可能な
   取鍋を着脱自在に設けたことを特徴とする注湯装置。
2. 【請求項２】 移動体上に左右動可能な機台を設け、こ
   の機台の左右に支柱を立設し、この左右の支柱に支承腕
   体の基部を架け渡して昇降可能に付設し、この支承腕体
   の他端部を前方に突設状態に設け、この左右の支承腕体
   の他端部上に前後動可能な支承基盤を設け、この左右の
   支承基盤上に取鍋の支承軸を支承する支承軸受を設け、
   この支承軸受に配される取鍋の支承軸を挾持するととも
   に支承軸を回動せしめることで取鍋を傾動せしめ得る傾
   動機構を支承基盤に設けたことを特徴とする注湯装置。