JPH0523176A - 油脂のエステル交換のための乾燥菌体 - Google Patents

油脂のエステル交換のための乾燥菌体

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JPH0523176A
JPH0523176A JP3347267A JP34726791A JPH0523176A JP H0523176 A JPH0523176 A JP H0523176A JP 3347267 A JP3347267 A JP 3347267A JP 34726791 A JP34726791 A JP 34726791A JP H0523176 A JPH0523176 A JP H0523176A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 リパーゼを含有する微生物を培養するに際
し、培養液中にリパーゼの誘導物質としてグリセライド
または脂肪酸を培養液中の濃度が1〜80重量%となるよ
うに培養初期もしくは培養中に添加し、えられた微生物
を水溶性溶媒で洗浄したのち水分含量が1〜20重量%に
なるように乾燥してえられる乾燥菌体である。 【効果】 本発明の乾燥菌体により、反応速度がより速
くかつ反応を長時間安定に持続させた効率的な油脂のエ
ステル交換が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は油脂のエステル交換のた
めに使用する乾燥菌体に関する。さらに詳しくは、油脂
のエステル交換を行なうに際し、反応速度を高めかつ反
応を長時間安定的に持続させるために使用する乾燥菌体
に関する。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従
来、油脂のエステル交換反応はアルカリ金属、アルカリ
金属アルコキシラート、アルカリ金属水酸化物などを触
媒としていたがこの方法では交換位置に特異性がないた
め、最近になってリパーゼ酵素を用いる方法が採用され
ている。すなわち、油脂と脂肪酸の混合物にリパーゼを
作用させると酵素と基質との特異性に応じて特定の位置
でエステル交換が行なわれるので目的に応じて種々の脂
肪酸が交換されている(特開昭52-104506 号、特公昭57
-6480 号、同57-27159号、同57-28519号)。しかしなが
ら、油脂や脂肪酸のごとき水と混り合わない基質(反応
物質)に、水に溶解してあるいは水が存在して始めて活
性を発現する酵素を触媒として作用させるばあいいくつ
かの問題点がある。 【0003】(1) 基質と酵素との接触機会を増やすに
は、基質中に直接酵素を添加するのが望ましいが、油脂
や有機溶媒中では酵素を何らかの形で保護しない限り急
激に失活する。前述の特許明細書では吸着剤のような担
体に酵素を吸着させることによりこれを防ごうとしてい
るが、脱着してしまうと失活しやすい。 【0004】(2) 酵素近傍の水分量が多すぎると、反応
は加水分解が支配的になりエステル化が進まない。逆に
水分量を減らすと確かにエステル交換は進むが反応速度
は非常に小さく、酵素も失活しやすい。特開昭52-10450
6 号明細書では反応系の水分量が0.2 〜1.0 %(重量
%、以下同様)、特公昭57-27159号明細書では0.005 〜
0.18%、特公昭57-28519号明細書では0.01〜0.20%がエ
ステル交換に適した水分量であると述べている。また特
公昭57-6480 号明細書では水のかわりに2〜3価の低級
アルコールを用いると加水分解をおこさずにエステル交
換できることが示されているが、本発明者らの経験によ
ると反応速度が小さく、実用性に乏しい。 【0005】(3) 吸着担体に酵素を吸着させると反応物
質が担体上の酵素まで拡散しにくく、とくに担体の細孔
内に吸着された酵素は実質的に反応に関与しえず、有効
に働く酵素が減少する。とくにこの傾向は親水性の担体
を用いるほど強くなる。 【0006】叙上のごとく、油系の反応物質に対し、水
相系で活性を発現するリパーゼ酵素を触媒とするエステ
ル交換反応を行なうに際しては、酵素を失活させてはな
らず、酵素近傍の水分量が多すぎても少なすぎてもいけ
なく、しかも酵素と反応物質との接触する機会を低下さ
せてもいけないといった条件を満足しなければならない
が、叙上のごとき文献は主に前記(2) に留意しているだ
けで(1) や(3) に関する考慮はほとんどなされていな
い。しかしながら、エステル交換反応系のごとく酵素が
失活しやすい環境におかれ反応物質と触媒(酵素)が異
相系を形成している系では前記(1) 、(3) の問題点が非
常に重要な課題となる。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は叙上のごとき課
題を解決し、長期間酵素を失活させずかつ速くエステル
交換させることを目的とする。すなわち本発明は油脂の
エステル交換、とくにリパーゼを含有する水分含量が1
〜20%の乾燥菌体をグリセライド油脂と脂肪酸の混合物
に懸濁させて反応させることを特徴とするグリセライド
油脂の脂肪酸を他の脂肪酸に置き換えるエステル交換に
使用する乾燥菌体に関するものであり、リパーゼを含有
する微生物を培養するに際し、培養液中にリパーゼの誘
導物質としてグリセライドまたは脂肪酸を培養液中の濃
度が1〜80%となるように培養初期もしくは培養中に添
加し、えられた微生物を水溶性溶媒で洗浄したのち、水
分含量が1〜20%になるまで乾燥してえられる乾燥菌体
に関する。 【0008】 【実施例】乾燥菌体中の水分含量は少ない方が加水分解
反応を防ぐ点から好ましいので20%以下になるように乾
燥すべきである。20%を超えるとエステル交換よりも加
水分解が優先し、生成物はジグリセライド、モノグリセ
ライド、グリセリンなどの加水分解物が大半を占めるこ
とになる。また下限については、できる限り低い方がよ
いので規定する意味がないのであるが一般的な乾燥法で
は乾燥材料に特有な含水率以下にならない点があり(平
衡含水率)、微生物を常温で真空乾燥したときの水分含
量を1%よりも低くするのは困難である。 【0009】本発明に用いる微生物としてはリパーゼを
生成するものであればすべて用いることができるが、リ
ゾプス(Rhizopus)属、ムコール(Mucor) 属、アスペルギ
ルス(Aspergillus) 属、キャンディダ(Candida) 属、ジ
ョートリクム(Geotrichum)属などの微生物が適当であ
り、たとえばリゾプス・デレマー(Rhizopus delemar)、
リゾプス・キネンシス(Rhizopus chinensis)、リゾプス
・シュードキネンシス(Rhizopus pseudochinensis)、ム
コール・ジャバニカス(Mucor javanicus) 、ムコール・
ヒーマリス(Mucor hiemalis)、アスペルギルス・ニガー
(Aspergillusniger)、キャンディダ・ルゴーサ(Candid
a rugosa)、ジョートリクム・キャンディダム(Geotrich
um candidum) などがあげられる。 【0010】叙上のごとき微生物を反応の触媒として効
率よく働かせるには体内にリパーゼを多量に含有させる
培養方法および菌体内リパーゼを油脂や脂肪酸と接触し
やすくさせる乾燥条件が重要となる。 【0011】本発明ではリパーゼを含有する微生物を培
養するに際し、培養液中にリパーゼの誘導物質としてグ
リセライドまたは脂肪酸を培養液中の濃度が1〜80%と
なるように培養初期もしくは培養中に添加し、えられた
微生物を水溶性溶媒で洗浄後水分含量が1〜20%になる
ように乾燥することにより、エステル交換反応を速くか
つ安定的に長期間持続させる作用を有する乾燥菌体がえ
られる。 【0012】かかる培養において、リパーゼの誘導物質
としてはモノ、ジ、およびトリグリセライドや炭素数8
〜20の脂肪酸およびそのエステルが用いられるが、その
中でも通常の培養温度(20〜40℃)で液状となるトリオ
レイン(オリーブ油)、ジオレイン、モノオレイン、オ
レイン酸、リノール酸が好ましい。添加する量として
は、培養液中の濃度が1〜80%とするのが適している。
誘導物質量が1%より少ないと体内に含有されるリパー
ゼ量が少なく、このような菌体を用いたエステル交換速
度は非常に遅い。1%以上になると菌体内リパーゼ含有
量は急激に増加し始め、5〜10%で最大含有量となる。
さらに誘導物質量を増やしてやると40〜50%以上では培
養系はW/Oエマルジョンを形成し、微生物は水滴中で
増殖して体内にリパーゼを蓄積する。このようなW/O
エマルジョン系で培養してえられる菌体内リパーゼ活性
は依然高く、エステル交換反応に充分使用することがで
きる。しかしながら、80%を超えると培養液量が少なく
なり、菌体収率も低下するので実用的ではない。 【0013】叙上のごとくしてえられた菌体から水分を
除去する方法としては、原則的には酵素が失活しない温
度(40〜60℃以下)で乾燥すればよいが、単に水を蒸発
させると細胞組織の収縮がおこって非常に堅くなり、組
織内のリパーゼと外界との接触が断たれて活性を発現す
ることができない。したがって菌体を乾燥するには細胞
組織の収縮を伴わない方法を採用しなければならない。
この目的のためには水溶性溶媒、たとえばアセトン、ま
たはメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの
低級アルコール中に菌体を浸して組織内を溶媒に置換し
たのち溶媒を蒸発させる方法により、細胞組織の収縮を
抑えて乾燥菌体をえることができる。このばあい、乾燥
方法としては真空乾燥がよい。また溶媒の使用を好まな
いならば凍結乾燥でもよい。 【0014】さらに、菌体を溶媒に浸す前に5%以下の
グルタルアルデヒド水溶液に浸して細胞組織を固定化す
ることにより、細胞組織の収縮をさらに抑えることがで
き、より好ましい乾燥菌体を調整することが可能であ
る。グルタルアルデヒド水溶液の濃度が5%より高いと
架橋度が高すぎてかえってエステル交換反応速度の低下
をきたすので5%以下がよい。 【0015】叙上のごとき方法によりえられた乾燥菌体
は通常1〜5%の水分を有しているが、エステル交換反
応に用いるためには、水分含量は先に述べたように1〜
20%がよい。水分含量の調整は乾燥時間を調節すること
により容易に行なうことができる。 【0016】このようにしてえられる本発明の乾燥菌体
を用いて、速い速度で長時間安定に油脂のエステル交換
反応を行なうことができる。 【0017】本発明の乾燥菌体を用いてエステル交換を
行なう際に用いうる油脂および脂肪酸は以下のとおりで
ある。 【0018】すなわち、油脂としては通常の動植物油脂
あるいは合成油脂であり、具体的にはオリーブ油、パー
ム油、シア脂、大豆油、綿実油、牛脂、ラード、魚脂な
どである。 【0019】また、脂肪酸としては炭素数8〜20の自然
界に存在するものを用いることができ、具体的にはステ
アリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸など
である。炭素数の多い飽和脂肪酸は融点が60〜80℃と高
く、このような脂肪酸を使用するばあいは、脂肪酸を溶
解するためにヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素、エチ
ルエーテル、プロピルエーテルなどのエーテル類、酢酸
メチル、酢酸エチルなどのエステル類のほか、ベンゼ
ン、アセトンなどの溶媒を用いることができるが、乾燥
菌体はこのような溶媒系でも失活することなく作用す
る。 【0020】本発明の乾燥菌体を反応物質(グリセライ
ド油脂と脂肪酸の混合物)中に懸濁させる量としては、
反応系(グリセライド油脂、脂肪酸、乾燥菌体の混合
物)の水分量が0.1 〜10%となるように乾燥菌体を添加
することが好ましい。0.1 %より少ないと、反応系内の
リパーゼ量は少なく反応速度が小さくなって実用的では
ない。10%を超える量を添加すると反応速度はその分速
くなるが反応系の粘度が上昇し、混合状態が悪くなって
添加量に比例した反応速度までえられないし、反応後乾
燥菌体を分離する操作も難かしくなるといった操作上の
点から乾燥菌体の添加量としては反応系の水分量が0.1
〜10%となる程度の量がよい。より好ましくは、1〜5
%となる使用量が反応速度や操作上の点で最適である。 【0021】酵素を担体に吸着させる従来法では反応系
の水分量を1%以下に抑えなければ加水分解を防止する
ことができなかったのに比べ、乾燥菌体を用いる方法で
は反応系の水分量が1%を超える条件でも加水分解をほ
とんど抑えて大きな反応速度のもとでエステル交換反応
を行ないうることが確認された。すなわち、乾燥菌体中
のリパーゼは見かけの水分含量が大きいにもかかわらず
反応に携わる水分量は見かけの水分量に比べ、かなり少
ないことが推測される。反応に携わっていない水分が乾
燥菌体内でいかなる形態で存在しているのかは明らかで
はないが、酵素の活性化とともに安定化にも貢献してい
ると見られる。なぜならば乾燥菌体を用いる方法は従来
に比べ失活速度がはるかに小さく、長時間の使用にも充
分耐えられるからである。元来、酵素は生体触媒であり
温和な環境でよく作用し過激な環境下では失活しやすい
性質を有している。かつ一旦失活すると再生は難かし
い。とくにエステル交換反応のごとく油- 水系異相反応
では酵素は常に油相と接する条件に置かれており、過激
な環境にあるとみられ、このような環境に置かれている
ばあいこそ酵素活性を長く持続させられるか否かが大切
な点であり、この点で本発明の乾燥菌体は満足のいくも
のである。 【0022】本発明の利点は以下のようにまとめられ
る。 【0023】(I) 乾燥菌体内リパーゼは細胞組織や組織
内水の保護下にあるため、失活速度が小さく、長時間反
応に供することができる。 【0024】(II)乾燥菌体内リパーゼもしくはその近傍
は油系の反応物質となじみやすいためか同じユニット数
の酵素量では担体吸着法に比べ2〜5倍の反応速度をも
っている。 【0025】(III) 反応をヘキサンのような溶媒中で行
なっても活性の低下は見受けられない。 【0026】(IV)pHや温度などの変化に対して強い耐
性を有する。 【0027】酵素自体は、その活性を発現させるにはp
Hや温度に制限がある。たとえば、リゾプス・デレマー
のリパーゼはpH4〜7、温度30〜40℃が好ましい環境
で、それ以外の環境では酵素は失活するかもしくは活性
が著しく低下する。しかし、乾燥菌体としてのリパーゼ
はこの環境ではもちろん安定した活性を示し、この環境
外でも活性はそれ程低下せずかつ持続性もある。この原
因はおそらく前記(I)によるものと考えられるが、この
ような利点は温度を上げて反応速度を高められる点にあ
る(50〜60℃まで上げられる)。 【0028】乾燥菌体内リパーゼは叙上のごとき利点を
有しているがさらにリパーゼ生産菌株として耐熱性(好
熱性)菌株を用いれば、反応温度を70℃まで上げること
ができる。このような耐熱性菌株として、リゾプス・キ
ネンシス、リゾプス・シュードキネンシスなどのリゾプ
ス属の菌株が用いられる。たとえばリゾプス・キネンシ
スの耐熱性菌株は50〜60℃まで生育可能であり、この菌
株を用いて本発明の乾燥菌体を調製したばあい70℃でエ
ステル交換反応を行なわせることが可能である。ステア
リン酸やパルミチン酸のような脂肪酸は融点が68〜72℃
であるが、このように70℃を超える温度で反応しうれば
脂肪酸を溶解させるための溶媒を使用しなくてもすむの
で都合がよい。 【0029】また1,3 位特異性のリパーゼを含有する微
生物を用いて本発明の乾燥菌体を調製すれば、グリセラ
イドの1,3 位のみを選択的にエステル交換することも可
能である。1,3 位特異性のリパーゼを生産する微生物と
しては、リゾプス・デレマー、リゾプス・キネンシスな
どのリゾプス属、ムコール・ジャバニカス、アスペルギ
ルス・ニガーなどがあげられる。 【0030】またリパーゼを含有する微生物を培養する
際に、培地中にあらかじめ50〜2000μm径の多孔質粒子
を培地量の5〜30%投入して培養すると微生物は粒子の
細孔内に入り込んで増殖し、粒子表面をおおうようにな
る。このようにしてえられた固定化微生物を本発明の乾
燥方法で処理することによりエステル交換反応に供しう
る固定化微生物がえられるが、固定化された酵素はより
一層安定であり、エステル交換の連続操作が可能とな
る。ちなみに固定化微生物によるエステル交換の連続操
作において、1〜2週間活性は安定しており、1ヵ月た
っても60%以上の活性を保持する。 【0031】つぎに実施例をあげて本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明はかかる実施例にのみ限定される
ものではない。 【0032】実施例1 リゾプス・デレマーIFO 4697を表1に示す成分を有する
培地(オリーブ油は誘導物質)を用いてpH5.6 、温度
30℃で50時間通気培養した。 【0033】 【表1】【0034】えられた菌体を純水で2回水洗し、ついで
50%アセトン水溶液中に10分間浸し、さらに100 %アセ
トン水溶液に5分浸したのち濾過し、ついで30℃で2時
間真空乾燥した。かくしてえられた乾燥菌体の水分含量
は約5%であった。酵素活性は20000 ユニット/g乾燥
細胞であった。 【0035】表2に示す反応系(反応系の水分量は1.2
%)を用いてエステル交換反応を行なった。 【0036】 【表2】 【0037】40℃で48時間撹拌しながら反応させたが反
応はすでに完結しており、表3に示す生成物がえられ
た。 【0038】 【表3】 【0039】リゾプス・デレマーのリパーゼは1,3 位特
異性なので1,3 位のオレイン酸がステアリン酸と置換し
た。オリーブ油の80%が1位、もしくは1,3 位でエステ
ル交換されており、5%はジグリセライドとなった。酵
素近傍の水分量が多いと加水分解が進んでジグリセライ
ドさらにはモノグリセライドまで分解するが、該実施例
では加水分解率は5%に抑えられた。 【0040】実施例2 リゾプス・キネンシスの耐熱性菌株リゾプス・キネンシ
スIFO 4768を実施例1と同様にして乾燥菌体とし、実施
例1と同様にエステル交換を行なった。ただし、反応温
度を40℃、50℃、60℃と変えて反応が完結するまでの時
間を比較した。その結果、反応時間はそれぞれ45、30、
24時間となり、反応温度を上げることにより、反応速度
は倍近くまで高められた。 【0041】実施例3 実施例1でえられた乾燥菌体を用いてエステル交換反応
を連続系(流通系)で行ない、酵素の失活速度を調べ
た。反応槽にはあらかじめ表2に示した反応物質および
乾燥菌体を仕込んでおき、ついで反応基質であるオリー
ブ油およびヘキサンで溶解したステアリン酸の表2に示
した組成の混合液を一定量反応槽に供給した。一方で、
供給量と等量の生成液を反応槽から抜き出した。このと
き抜き出し口にはフィルターを設置して乾燥菌体がもれ
ないようにしておいた。反応槽内の平均滞留時間が24時
間となるように供給量および抜き出し量を調整した。反
応温度は40℃とした。 【0042】このような方法で生成液の組成を測定して
反応収率(エステル交換率)の経時変化から酵素の失活
速度を調べた。図1にその結果を示すが反応が定常に達
してから定常状態は1週間持続し、その後反応率は徐々
に低下し始めて酵素活性は次第に失われていったが1ヵ
月たっても依然40%以上の活性を有していた。比較例と
して、市販のリゾプス・デレマー由来の酵素リゾプス・
リパーゼ(生化学工業(株)製)をセライトに吸着させ
た従来法のものを用いた。結果を図1に示すが、定常状
態は2〜3日しか続かず、1週間で酵素活性は20%まで
低下した。 【0043】実施例4 リゾプス・キネンシスIFO 4768を多孔質の市販のスポン
ジ粒子(1mm立方、孔径50〜100 μm、空隙率約80%)
を懸濁した表1の成分を有する培地で50時間培養した。
菌体は粒子内でも増殖して粒子の表面をおおった。えら
れた粒子を本発明の方法により乾燥すると、菌体が粒子
に密着して固定化微生物がえられた。かくしてえられた
固定化微生物を反応系の20%量加えて実施例3と同様に
して酵素の失活速度を調べた。結果を図1に示す。図1
に示されるように、定常状態はさらに持続し、2週間近
く続き、失活速度もゆっくりしていた。 【0044】実施例5 リゾプス・キネンシスIFO 4768を、実施例1と同様の方
法で培養し、同一の処理方法により乾燥菌体をえた。つ
ぎにシア脂低融点部10g、パルミチン酸20g、およびヘ
キサン60gを含む反応液に乾燥菌体2gを加え、マグネ
チックスターラーで撹拌しながら、2時間エステル交換
反応を行なった。つぎに、菌株をアスペルギルス・ニガ
ーIFO 4343、ムコール・ジャバニカスIFO 4569、ムコー
ル・ヒーマリスIFO 8448、キャンディダ・ルゴーサATCC
10571にかえて製造した乾燥菌体を用いて同一の反応条
件でエステル交換反応を実施した。 【0045】反応結果は、実施例1と同様の方法で分析
し、トリグリセライド中の1-ステアロイル-2,3- ジオレ
オイル- グリセライド(SOO) 、1-パルミトイル-2,3- ジ
オレオイル- グリセライド(POO) 、1,3-ジパルミトイル
-2- オレオイル- グリセライド(POP) 組成について、表
4に示した。 【0046】 【表4】 【0047】 【発明の効果】本発明の乾燥菌体により、反応速度がよ
り速くかつ反応を長時間安定に持続させた効率的な油脂
のエステル交換が可能となる。
【図面の簡単な説明】 【図1】エステル交換の反応率の経時変化を示すグラフ
である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:685) (C12P 7/64 C12R 1:785) (C12P 7/64 C12R 1:72)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 リパーゼを含有する微生物を培養するに際し、培養
    液中にリパーゼの誘導物質としてグリセライドまたは脂
    肪酸を培養液中の濃度が1〜80重量%となるように培養
    初期もしくは培養中に添加し、えられた微生物を水溶性
    溶媒で洗浄したのち水分含量が1〜20重量%になるよう
    に乾燥してえられる乾燥菌体。 2 リパーゼの誘導物質がトリオレイン、ジオレイン、
    モノオレイン、オレイン酸、リノール酸である特許請求
    の範囲第1項記載の乾燥菌体。 3 培養終了後、微生物を5%以下のグルタルアルデヒ
    ド水溶液に浸して細胞表面を処理したのち、水溶性溶媒
    で洗浄してえられる特許請求の範囲第1項記載の乾燥菌
    体。 4 培地中にあらかじめ50〜2000μm径の多孔質粒子を
    培地量の5〜30重量%仕込んで微生物を培養し、粒子内
    で微生物を増殖させ、微生物を粒子に固定化したのち乾
    燥してえられる特許請求の範囲第1項記載の乾燥菌体。
JP3347267A 1991-12-27 1991-12-27 油脂のエステル交換のための乾燥菌体 Granted JPH0523176A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003102493A (ja) * 2001-09-27 2003-04-08 Mitsubishi Rayon Co Ltd 光学活性2−メチル−1,3−プロパンジオールモノエステルの製造方法

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JP2003102493A (ja) * 2001-09-27 2003-04-08 Mitsubishi Rayon Co Ltd 光学活性2−メチル−1,3−プロパンジオールモノエステルの製造方法

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