JPH05230692A - 遠赤外線放射体 - Google Patents

遠赤外線放射体

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JPH05230692A
JPH05230692A JP3108992A JP3108992A JPH05230692A JP H05230692 A JPH05230692 A JP H05230692A JP 3108992 A JP3108992 A JP 3108992A JP 3108992 A JP3108992 A JP 3108992A JP H05230692 A JPH05230692 A JP H05230692A
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光一 猿渡
Seiju Maejima
正受 前嶋
Sadayoshi Nishiyama
貞義 西山
Shuichi Matsumoto
秀一 松本
Noriyasu Baba
規泰 馬場
Mamoru Matsuo
守 松尾
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、特殊な合金を用いなくとも、3〜
7μmの波長領域における分光放射率が高く、全体とし
ての遠赤外線放射特性に優れ、加熱による変形に強くク
ラックなどを生じることがない目的用途に応じた材料選
択が可能な遠赤外線放射体を提供することを目的とす
る。 【構成】 本発明は、AlまたはAl合金材の表面に、
微細な凹凸を有する陽極酸化皮膜が、厚さ4μm以上に
形成されてなるものである。 【効果】 本発明に係る遠赤外線放射体は、純Alのよ
うな耐熱性に乏しい通常のAl材を基材として用いた場
合にも、優れた耐熱性が得られるともに、実用上有効と
される3〜30μmの波長領域における全放射率におい
ても、従来特殊な合金を用いなくては達成が困難であっ
た70%以上の安定した放射率が極めて薄い皮膜のもの
で得られる。このため加工性、強度など使用目的に適し
た種々の材料を用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、暖房、調理などのよう
に輻射加熱を利用する分野において、赤外線、遠赤外線
を有効に利用し得る遠赤外線放射体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、赤外線を利用したヒータ類におい
ては、放射体の放射率が高く、100℃以上の比較的低
い表面温度で可視領域の放射が少なく、遠赤外線領域の
放射が多いものが要求されているため、放射体としてこ
のような要求特性を比較的良く満たしているアルミナ、
コージライト、ジルコニア等の各種セラミック材料でヒ
ータを形成することがなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
セラミック材料は、機械的に脆い特性を有するために、
複雑な形状のもの、あるいは薄いものを作成することが
困難であり、大重量のものを作ることも困難であるため
に、用途は自ずと限られてしまう問題があった。また、
金属基材の表面にセラミックを溶射した放射体も実用化
されているが、この放射体は製造コストが高くなり、ま
た薄板や複雑形状の放射体を得ることが困難な問題があ
る。
【0004】他方、Alの加工性が良好であること、軽
量であることを活かし、AlまたはAl合金の表面に陽
極酸化処理によりアルマイト皮膜を形成して遠赤外線放
射体として利用しようとする試みがなされている。しか
しながら、従来の方法では、以下に説明する問題があっ
た。 Al製の遠赤外線放射体は、加熱により変形し易く、
変形に伴う応力集中によりアルマイト皮膜にクラックを
生じてしまう問題があった。 Al製の遠赤外線放射体は、波長3〜7μmの波長域
における分光放射率が低いために、遠赤外線領域におけ
るトータルとしての放射率が低い問題がある。 なお、前記問題点において、アルマイト皮膜を有機染料
で着色することにより、特定の波長領域における放射率
を改善することができるが、この方法では、アルマイト
皮膜を200℃以上に加熱すると、有機染料が分解して
退色してしまうという基本的な欠点があり、耐熱性に劣
る問題があった。
【0005】そこで、こうした欠点を除いた遠赤外線放
射体について種々検討した結果、本発明者らはMnなど
を含む特殊なAl合金の表面に、陽極酸化処理によるア
ルマイト皮膜を形成させてなる遠赤外線放射体を開発
し、先に特許出願(特願平3-15229号、特願平3
ー301018号)した。これらの方法によれば、加熱
による変形や高温でのクラック発生を防止できるととも
に、3〜7μmの波長域での分光放射率をかなり大幅に
向上させることができるために、全体としての遠赤外線
放射特性に優れた放射体を得ることができた。
【0006】そしてこの場合、基材がAl合金であるた
めに、熱伝導性にも優れるから、これらの特徴を活かし
た種々の応用用途が期待されている。しかしながら、前
記特許出願の遠赤外線放射体においても材料などの設計
条件や要求特性がより一層厳しい場合には、特性的にま
だ不充分な点があることが分かった。さらにまた、前記
の遠赤外線放射体においては、特殊な合金を用いなけれ
ばならないという難点があるため、材料選択の自由度に
乏しいという問題があった。
【0007】本願発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、特殊な合金を用いなくとも、3〜7μmの波長領域
における分光放射率が高く、全体としての遠赤外線放射
特性に優れ、加熱による変形に強くクラックなどを生じ
ることがない目的用途に応じた材料選択が可能な遠赤外
線放射体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは前記の課
題を解決するために、前記陽極酸化処理を施したAlあ
るいはAl合金を基材とする遠赤外線放射体について鋭
意研究と実験を重ねた結果、AlまたはAl合金材の表
面に微細な凹凸を有する陽極酸化皮膜を特定厚さ以上に
形成した放射体とすることにより、単に陽極酸化処理を
施したものよりも著しく諸特性が向上することを知見
し、本願発明に到達した。
【0009】請求項1記載の発明は前記課題を解決する
ために、AlまたはAl合金材の表面に、微細な凹凸を
有する陽極酸化皮膜を厚さ4μm以上に形成してなるも
のである。
【0010】請求項2記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項1記載の遠赤外線放射体において、Al
合金として、Mnを0.3〜4.3重量%含有し、残部が
Alおよび不可避不純物からなり、かつ粒径0.01〜
3μmのAl-Mn系金属間化合物析出物が分散してい
るAl合金を用いるものである。
【0011】請求項3記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項1記載の遠赤外線放射体において、Al
合金として、Mnを0.3〜4.3重量%およびMgを
0.05〜6.0重量%含有し、残部がAlおよび不可避
不純物とからなり、かつ粒径0.01〜3μmのAl-M
n系金属間化合物析出物が分散しているAl合金を用い
るものである。
【0012】請求項4記載の発明は前記課題を解決する
ために、 請求項1記載の遠赤外線放射体において、A
l合金として、Siを3〜15重量%含有し、残部がA
lおよび不可避不純物からなり、かつ初晶Si、共晶S
iもしくは析出Siからなる金属Si粒子のうち、粒径
0.05μm以上の金属Si粒子が存在しない領域に描
ける円の最大直径が30μm以下であり、しかも粒径
0.05μm以上の金属Si粒子が存在しない領域のう
ち、直径15μmの円を描ける領域の合計面積が、全体
の面積に対し面積率30%以下であるAl合金を用いる
ものである。
【0013】請求項5記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項1記載の遠赤外線放射体において、Al
合金として、Siを3〜15重量%含有し、かつFeを
0.05〜2.0重量%、Mgを0.05〜2.0重量%、
Cuを0.05〜6.0重量%、Mnを0.05〜2.0重
量%、Niを0.05〜3.0重量%、Crを0.05〜
0.5重量%、Vを0.05〜0.5重量%、Zrを0.0
5〜0.5重量%、Znを1.0重量%を越えて7.0重
量%以下、のうちの1種または2種以上を含有し、残部
がAlおよび不可避的不純物からなり、かつ初晶Si、
共晶Siもしくは析出Siからなる金属Si粒子のう
ち、粒径0.05μm以上の金属Si粒子が存在しない
領域に描ける円の最大直径が30μm以下であり、しか
も粒径0.05μm以上の金属Si粒子が存在しない領
域のうち、直径15μmの円を描ける領域の合計面積
が、全体の面積に対し面積率30%以下であるAl合金
を用いるものである。
【0014】請求項6記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項1記載の遠赤外線放射体において、Al
合金として、Siを3〜15重量%含有し、かつTiを
0.005〜0.2重量%含有するとともに、Pを0.0
05〜0.1重量%、Naを0.005〜0.1重量%、
Sbを0.005〜0.3重量%、Srを0.005〜0.
1重量%のうちの1種または2種以上を含有し、残部が
Alおよび不可避的不純物からなり、かつ初晶Si、共
晶Siもしくは析出Siからなる金属Si粒子のうち、
粒径0.05μm以上の金属Si粒子が存在しない領域
に描ける円の最大直径が30μm以下であり、しかも粒
径0.05μm以上の金属Si粒子が存在しない領域の
うち、直径15μmの円を描ける領域の合計面積が、全
体の面積に対し面積率30%以下であるAl合金を用い
るものである。
【0015】請求項7記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項1、2、3、4、5、6のいずれかに記
載の遠赤外線放射体において、多孔質酸化皮膜の表面粗
さを平均粗さで0.5〜5μm、最大粗さで5〜50μ
mの範囲としたものである。
【0016】
【作用】この発明に係わる遠赤外線放射体は、純Alや
JIS5052系、5056系、6063系などの一般
に知られているものを基材として用いた場合でも高い特
性が得られる。しかし、より高い耐熱性と遠赤外線放射
特性を必要とする場合は、Al-Si系、あるいは、M
nを含有するAl-Mn系の合金であって、後述するS
i粒子、あるいは、Al-Mn系金属間化合物が分散析
出しているものが用いられる。また、これらの基材表面
に形成される微細な凹凸を有する陽極酸化皮膜は一例と
して、その基材の表面をブラスト処理や液体ホーニング
処理などの機械的粗面化方法で所定範囲の粗さに粗面化
した後、この基材を陽極酸化処理することにより得られ
る。
【0017】そして、このような微細な凹凸を有する陽
極酸化皮膜が形成された本発明の遠赤外線放射体は、純
Alのような通常のAlを基材として用いた場合でも、
実用上有効とされる3〜30μmの波長領域における遠
赤外線の全放射特性は、70%以上と高い特性が得られ
るとともに、耐熱性においても、従来の純Alでは20
0℃が限度とされていたものが、500℃までの熱ヒー
トサイクルに対しても反りや変形を生じないとともに、
肉眼で観察できるようなクラックも生じない優れた特性
が得られる。
【0018】このような予期しえない優れた特性が得ら
れる理由については明らかではないが、その理由として
遠赤外線の放射特性に関しては、表面が微細な凹凸を有
するために見かけ状の表面積が増大することや、粗面化
により皮膜成長が不均一になり、複雑な凹凸と複雑に枝
別れしたポアとが形成され、入射光に対する散乱乱吸収
率が増大することなどが考えられる。また、耐熱性に関
しても、複雑に枝別れしたポアが熱サイクルによる応力
を緩和し、クラックなどの発生を阻止するためと考えら
れる。
【0019】また、この場合、後述のようなSi粒子や
Al-Mn系金属間化合物粒子が分散析出されたAl-S
i系合金やAl-Mn系合金のような耐熱性の合金を基
材に用いると、陽極酸化の過程でSi粒子やAl-Mn
系金属間化合物粒子が陽極酸化皮膜中に取り込まれると
ともに、陽極酸化皮膜がこれらの粒子を避けるようにし
て成長するために、陽極酸化皮膜中のポアは一層複雑に
枝別れした構造となり、熱応力に対する抵抗力が増大
し、より耐熱性に優れたものが得られる。
【0020】さらにまた、陽極酸化皮膜中にSi粒子や
Al-Mn系金属間化合物粒子が分散して存在している
ために、これらの存在によって入射光の散乱吸収率もよ
り一層増大し、遠赤外線の放射特性においてもより優れ
た特性が得られる。
【0021】以下、更に本発明を詳しく説明する。前記
基材または陽極酸化皮膜の表面を粗面化する場合の方法
としては、アルミナや炭化けい素、ケイ砂などのように
研削作用のある粉末を研削材としたブラスト処理や液体
ホーニング処理、あるいは、コランダムを含有したナイ
ロン繊維あるいは0.1〜1.0mm程度の直径のピアノ
線を植え込んだ研摩輪を高速回転させて削る方法、ある
いはエメリー紙(布)により削る方法などのように、機
械的に粗面化する方法や、電解エッチングなどの化学的
方法により粗面化する方法などであるが、本発明の場合
においては、機械的な方法を用いてその表面を平均粗さ
0.5〜5.0μm、最大粗さ5〜50μmの範囲に調整
することにより、より優れた特性が得られる。
【0022】この機械的方法が優れる理由は定かではな
いが、機械的な粗面化方法では、局部的に大きな力が付
加されることによってアルミ地金の塑性流動や加工硬化
による金属組織の不均質化が起こるとともに、無理矢理
地金が削り取られるための凹凸形状の複雑化が起きるこ
とによるものと推定され、更にこの状態で陽極酸化処理
されると、金属組織の差異により、部分的に陽極酸化皮
膜の質や成長速度が異なり、また、複雑な凹凸形状によ
るランダムな方向への陽極酸化皮膜の成長などが原因と
なって、非常に不均質な凹凸と枝別れした複雑なポア構
造を有する陽極酸化皮膜が形成され、これによって入射
光の散乱の吸収率が増大し、遠赤外線の放射特性が向上
するとともに、熱サイクルによる緩和作用も大きくな
り、耐熱性においても優れたものになるものと思われ
る。
【0023】また、陽極酸化処理により形成される皮膜
厚さとしては、4μm以上とすることが好ましく、これ
より薄い場合には充分な遠赤外線放射率が得られない。
陽極酸化処理方法としては、通常に良く用いられる方法
の多種類のものを用いることができる。また、電解浴と
しては、酸性浴のみならず、アルカリ浴、あるいはホル
ムアミド系とホウ酸系などの非水浴をも用いることがで
きる。
【0024】例えば、酸性電化浴としては、硫酸、リン
酸、クロム酸、しゅう酸、スルホサリチル酸、ピロリン
酸、スルファミン酸、リンモリブデン酸、ホウ酸、マロ
ン酸、コハク酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、フタ
ル酸、イタコン酸、リンゴ酸、グリコール酸などを1種
または2種以上溶解した水溶液を用いることができる。
【0025】また、アルカリ性電界浴としては、カセイ
ソーダ、カセイカリ、炭酸ナトリウム、リン酸カリウ
ム、アンモニア水などを1種または2種以上溶解した水
溶液を用いることができる。
【0026】電解時の電流波形については、直流、交
流、交直重畳、交直併用、不完全整流波形、パルス波
形、矩形波などが用いられる。電解方法としては、定電
流、定電圧、定電力法および連続、断続あるいは電流回
復を応用した高速アルマイト法などで行なうことができ
る。以上の中でパルス波形や不完全整流波形を用いて不
均質な陽極酸化皮膜を生成させたり、断続電解や電流回
復法により多層構造の陽極酸化皮膜を形成させて、より
高い放射率のものとすることもできる。
【0027】陽極酸化処理により皮膜を形成させた後の
後処理としては、耐食性向上のために、沸騰水浸積や、
金属塩含有熱水浸積法などの通常の方法で封孔処理を行
なっても良い。なお、調理器具のように非粘着性を要求
される場合は、表面ポリ4フッ化エチレンなどのフッ素
樹脂をコーティングすれば良く、この場合、陽極酸化処
理後の表面は粗面なのでプライマー処理などをしなくと
も優れた密着性が得られる。また、電解着色法により陽
極酸化皮膜の微細孔中にNi、Cu、Co、Sn、P
b、Cdなどの金属を析出させてから、酸化雰囲気中で
析出金属を酸化させたり、あるいは、ケイ酸塩水溶液や
ジルコニウム塩水浴などと酸やアルカリと交互に浸積し
て微細孔中にケイ酸塩やジルコニウムの水酸化物を沈積
させても良い。これら方法により陽極酸化皮膜の微細孔
に遠赤外線放射特性の優れた金属酸化物を含有させるこ
とにより、より放射率の高い遠赤外線放射体とすること
ができる。
【0028】次に本発明で用いるAl-Mn系合金につ
いて説明する。適当量のMnを含有するAl-Mn系合
金では、Al-Mn系金属間化合物が生成され、そのA
l-Mn系金属間化合物の析出状態が適切であれば、遠
赤外線放射特性に寄与するとともに、耐ヒートクラック
性の向上にも寄与する。このAl-Mn系金属間化合物
としては、Al6Mn、Al6(MnFe)、αAlMn
(Fe)Si、およびそれらにCr、Ti等が少量固溶
されたものなどがあるが、このようなAl-Mn系金属
間化合物が分散して析出しているアルミニウム合金の表
面に陽極酸化処理を施すと、そのAl-Mn系金属間化
合物の粒子は分散された状態で陽極酸化皮膜中に含有さ
れる。
【0029】このような陽極酸化皮膜に分散されている
金属間化合物粒子によって入射光が散乱吸収されやすく
なり、遠赤外線の放射物特性が向上する。また、可視光
線も吸収されるため、目視の色調も黒くなる。更に、陽
極酸化処理時において陽極酸化皮膜が成長する過程で、
ポアは枝別れした構造となり、このような枝別れポア構
造によって入射光に対する陽極酸化皮膜内での散乱吸収
が助長され、遠赤外線放射特性が一層向上する。
【0030】更に、陽極酸化皮膜中に分散して存在する
Al-Mn系金属間化合物粒子は応力の緩和点としても
機能し、また前述のようなポアの枝別れした構造は歪の
吸収能力が高く、そのためクラックが生じにくいととも
に、仮にクラックが発生してもその伝播が阻止される。
【0031】ここで、Al-Mn系金属間化合物析出物
の径が0.01μm未満では、前述のようなAl-Mn系
金属間化合物析出物分散による効果が得られず、一方、
3μmを越える粗大なAl-Mn系金属間化合物析出物
は成形性を悪化させるから、粒径が0.01〜3μmの
ものが分散していることが好ましい。また、粒径が0.
01〜3μmのAl-Mn系金属間化合物析出物は、1
×105個/mm3以上の密度で分散していることが好ま
しい。
【0032】次に上述のようなAl-Mn系合金におけ
る成分組成の限定理由を述べる。
【0033】Mn:Mnは、Al-Mn系金属間化合物
析出物を生成し、前述のように遠赤外線特性の向上およ
び耐ヒートクラック性の向上に寄与する。ここでMn量
が、0.3重量%未満では、良好な遠赤外線放射特性が
得られなくなる。一方、4.3重量%を越えた場合に
は、合金から薄板などへの連続鋳造が困難になり、実用
的でない。 即ち、前述のようなAl-Mn系金属間化
合物析出物の析出状態を得るためには、鋳造時の冷却速
度を5℃/秒以上としてMnを充分に固溶させておき、
その後、前記金属間化合物析出のための熱処理を施すこ
とが好ましいが、5℃/秒以上の冷却速度で鋳造するた
めには、実用上は薄板連続鋳造法(連続鋳造圧延)を適
用することが最適である。しかしながら、Mn量が4.
3重量%を越えれば薄板連続鋳造が困難になってしま
う。従ってMn量は0.3〜4.3重量%の範囲が好まし
い。
【0034】Mg:Mgは必ずしも必須の元素ではない
が、Al-Mn系金属間化合物析出物の析出を促進し、
前述のような析出状態を達成するに寄与する。特にMn
量が比較的少ない範囲においては、Mgの添加量を多く
することが、Al-Mn系金属間化合物析出物の析出を
促進して遠赤外線放射特性の向上のために有効である。
但し、Mg量が6.0重量%を越えれば、薄板連続鋳造
が困難となり、実用的でなくなる。一方、Mn量が0.
05重量%未満ではMg添加による上述の効果が得られ
ない。よってMgの添加量は0.05〜6.0重量%の範
囲が好ましい。
【0035】Fe:FeはAl-Mn系金属間化合物析
出物の析出にある程度の影響を与えるが、遠赤外線放射
特性には本質的には影響はない。鋳造性の点から考慮す
るとFe量は少ないほうが好ましく、0.5重量%を越
えれば連続鋳造が困難となるおそれがある。
【0036】SiはAl-Mn系金属間化合物析出物の
析出にある程度影響を与えるが、遠赤外線放射特性には
本質的に影響はない。鋳造性の点からはSi量は少ない
ことが好ましく、2.0重量%を越えれば連続鋳造が困
難となるおそれがある。
【0037】更に、通常のAl合金においては、鋳塊の
結晶粒微細化のために、少量のTiを単独であるいは微
量のBと組み合わせて添加することがあるが、Al-M
n系合金にも0.003〜0.15重量%の範囲でTiを
単独で、もしくは1〜100ppmのBと組み合わせて
添加しても良い。
【0038】即ち、Tiは鋳塊の結晶粒を微細化して圧
延板のストリークス、キメを防止する効果があるが、T
iが0.003重量%未満ではその効果が得られず、T
iが0.15重量%を越えればTiAl3系粗大金属間化
合物が生成されてしまう。また、BはTiと共存して結
晶粒微細化を促進する元素であるが、B量が1ppm未
満ではその効果が得られず、一方100ppmを越えれ
ばその効果が飽和し、また粗大TiB2粒子が生成され
て線状欠陥が発生する。
【0039】このほか、Mgを含有する系のアルミニウ
ム合金においては、溶湯の酸化を防止するために微量の
Beを添加することが従来から行なわれているが、50
0ppm程度以下のBeを添加することに特に支障はな
い。
【0040】Al-Mn系合金においては、Ni、Z
r、V、Cu、Zn等が含まれることがある。これらの
うち、Ni、Zr、Vは遠赤外線放射特性に本質的に影
響しないが、Niを1.0重量%以上、Zrを0.3重量
%以上、Vを0.3重量%以上では薄板連続鋳造が困難
となるから、Niを1.0重量%未満、Zrを0.3重量
%未満、Vを0.3重量%未満に抑制することが望まし
い。また、Cu、Znは陽極酸化皮膜の色調に若干の変
化を与えるものの、遠赤外線放射特性に本質的な影響は
与えないが、Cuを1.0重量%以上、Znを2.0重量
%以上では薄板連続鋳造が困難となるから、Cuを1.
0重量%未満、Znを2.0重量%未満に抑えることが
好ましい。
【0041】次に上述のようなAl-Mn系合金からな
る圧延板を製造するプロセス条件について説明する。前
述のように、Al-Mn系金属間化合物の適切な析出状
態を得ることで得られる遠赤外線放射特性を達成するた
めには、鋳造速度と、析出のための加熱処理が重要であ
る。鋳造については、鋳造速度を高めてMnを充分に固
溶することにより、その後の析出処理でAl-Mn系金
属間化合物を適切な析出状態で析出させることが可能で
あり、そのためには、5℃/秒以上の鋳造速度が好まし
い。特に大きな板を製造する場合に、5℃/秒以上の冷
却速度を得るためには、直接5〜10mm厚程度の薄板
を得ることが容易にできる薄板連続鋳造法(連続鋳造圧
延法)を適用することが好ましい。
【0042】一方、析出のための加熱は、300℃以
上、600℃以下の温度で0.5時間以上行なうことが
好ましい。温度が300℃未満では析出物が小さ過ぎて
優れた遠赤外線放射特性が得られず、一方600℃を越
えれば、陽極酸化処理後の色調が悪くなり、また結晶粒
の粗大化が生じる。また時間は、昇温過程から保持し、
冷却過程を通じて300℃以上となっている時間が0.
5時間以上あれば良く、300℃以上の温度となってい
る時間が0.5時間未満では陽極酸化処理後に良好な遠
赤外線特性が得られない。
【0043】なお、この析出のための加熱は、鋳塊のま
ま行なっても、また圧延の途中で、更には圧延後に行な
っても良い。従ってこの析出処理は、鋳塊に対する均質
化処理、あるいは熱間圧延のための加熱処理、更には熱
間圧延後もしくは冷間圧延の中途で必要に応じて行なわ
れる中間焼鈍、更には冷間圧延後に必要に応じて施され
る最終焼鈍などと兼ねて行なうことができる。そしてま
た、熱間圧延と圧接のための加熱や焼鈍と兼ねて行なっ
ても良い。このほか、熱間圧延や冷間圧延、更には、必
要に応じて行なわれる中間焼鈍や最終焼鈍は常法に従っ
て行なえば良い。
【0044】次にAl-Si系合金における成分組成の
限定理由について説明する。 Si:Siは鋳造時にその添加量に応じて初晶Si、共
晶Siとして晶出し、またこれらの晶出Siは必要に応
じて行なわれた熱処理や組成加工によりその形状が変化
する。また、必要に応じて熱処理された場合、Alのマ
トリックス中からも金属Siが析出する。これらの初晶
Si、共晶Si、析出Siは、前述のように陽極酸化処
理時に金属Si粒子として陽極酸化皮膜中に取り込ま
れ、入射光に対する散乱、吸収を通じて遠赤外線放射特
性の向上に寄与するとともに、クラックの発生防止に寄
与する。更に金属Si粒子は前述のように陽極酸化皮膜
内のポアを枝別れ構造とすることに寄与し、これによっ
ても遠赤外線放射特性の向上とクラック発生防止に寄与
する。基材アルミニウム合金のSi量が、3重量%未満
では金属Si粒子の数が少なく、遠赤外線の放射が不十
分となる。一方、Si量が15重量%を越えれば、陽極
酸化皮膜中の金属Si粒子の体積率が大き過ぎて陽極酸
化皮膜の強度、耐食性が低下してしまい、また圧延性も
低下する。従ってSi量は、3〜15重量%の範囲が好
ましい。
【0045】Al-Si合金としては、上記Siの他
は、基本的にはAlおよび不可避不純物とすれば良い
が、Siの他に、強度向上のために、Fe、Mg、C
u、Mn、Ni、Cr、V、Zn、Zrのうちの1種ま
たは2種以上を含有しても良い。これらの添加量は以下
の通りである。
【0046】Fe:Feは強度向上および結晶粒微細化
のために有効である。Fe量が、0.05重量%未満で
はその効果が得られず、2.0重量%を越えれば陽極酸
化皮膜の強度と耐食性が低下する。またFe量が、2.
0重量%を越えれば、SiがFeと化合してAl-Fe-
Si系の金属間化合物の量が増加し、遠赤外線放射特性
が低下する。従ってFeを添加する場合のFe量は、
0.05〜2.0重量%の範囲が好ましい。
【0047】Mg:Mgも強度向上に寄与する。Mg量
が0.05重量%未満ではその効果が得られず、一方、
2.0重量%を越えればMgとSiが結合してMg2Si
の生成量が増加し、遠赤外線放射特性が低下する。また
Mg量が2.0重量%を越えれば、鋳造性、塑性加工性
も低下する。従ってMgを添加する場合のMg量は0.
05〜2.0重量%の範囲内が好ましい。
【0048】Cu:Cuの添加も強度向上に寄与する。
Cu量が0.05重量%未満ではその効果が得られず、
6.0重量%を越えれば鋳造性、塑性加工性、耐食性が
低下する。従ってCuを添加する場合のCu量は0.0
5〜6.0重量%の範囲が好ましい。
【0049】Mn:Mnは強度向上に寄与するととも
に、結晶粒微細化、耐熱性向上に寄与する。Mn量が
0.05重量%未満ではこれらの効果が得られず、一
方、2.0重量%を越えればMnがSiと結合してAl-
Mn-Si系の金属間化合物の生成量が増加し、遠赤外
線放射特性が向上する。また、Mn量が2.0重量%を
越えれば、鋳造も困難となる。従ってMnを添加する場
合のMn量は0.05〜2.0重量%の範囲が好ましい。
【0050】Ni:Niも強度向上に寄与するととも
に、耐熱性向上に寄与する。Ni量が0.05重量%未
満ではこれらの効果が得られず、一方、3.0重量%を
越えれば鋳造が困難になる。従ってNiを添加する場合
のNi量は0.05〜3.0重量%の範囲が好ましい。
【0051】Cr、Zr、V:これらの元素は、強度向
上に寄与するとともに、結晶粒微細化に寄与する。いず
れも0.05重量%未満ではその効果が得られず、一方
0.5重量%を越えれば粗大な金属間化合物が生成され
てかえって強度を低下させる。従ってCr、Zr、Vの
1種または2種以上を添加する場合の添加量は、いずれ
も単独量で0.05〜0.5重量%の範囲が好ましい。な
お、スラブ、ビレットなどの圧延や押出、あるいは鋳造
を適用する場合は、これらの元素の単独添加量が0.3
重量%を越えれば塑性加工性が低下して鋳造が困難とな
るから、単独添加量で0.3重量%以下とすることが好
ましい。
【0052】Zn:Znは、溶解原材料にスクラップを
使用した場合に必然的に混入する元素であるが、1重量
%を越えて積極的に含有させた場合に強度向上に寄与す
る。Znが1.0重量%以下ではその効果が得られず、
一方7.0重量%を越えれば鋳造性が悪化する。従って
Znを積極的に添加する場合のZn量は1.0重量%を
越え、7.0重量%以下とした。更に、Al-Si系合金
の場合は、組織微細化のために、Tiと、P,Na,S
b,Srのうちの1種または2種以上が含有される。こ
れらの成分限定理由は次の通りである。
【0053】Ti:Tiは鋳塊結晶粒の微細化を通じて
組織の微細化に寄与する。Tiの添加量が0.005重
量%未満ではその効果が得られず、0.2重量%を越え
ると粗大な金属間化合物が生成されて好ましくない。従
って、Tiを添加する場合の添加量は、0.005〜0.
2重量%が好ましい。なお、鋳塊結晶粒微細化のために
は、TiとともにBを共存させることが効果的である。
この場合Bの添加量は1ppm未満ではその効果が得ら
れず、100ppmを越えるとその効果が飽和するから
TiとあわせてBを添加する場合の添加量は、1〜10
0ppmの範囲が好ましい。
【0054】P:Pは初晶Siの微細化に寄与する。こ
の為、Pの添加量は初晶Siが初出するような約10重
量%以上のSiを含有する合金の場合に効果的である。
Pの添加量は0.005重量%未満では初晶Siの微細
化の効果が得られず、0.1重量%を越えるとその効果
が飽和する。従って、Pを添加する場合の添加量は、
0.005〜0.1重量%が好ましい。
【0055】Na、Sb、Sr Na、Sb、Srの元素は共晶Siの微細化に寄与す
る。いずれも0.005重量%未満ではその効果が得ら
れない。Na、Srは0.1重量%を越えるとその効果
が飽和し、Sbは0.3重量%を越えるとその効果が飽
和する。従って、Naを添加する場合の添加量は0.0
05〜0.1重量%、Sbを添加する場合の添加量は0.
005〜0.3重量%、Srを添加する場合の添加量は
0.005から0.1重量%が好ましい。なお、Nb、S
b、SrがPと共存する場合には、Pによる初晶Siの
微細化効果が失われてしまうから、Pとは共存させない
ことが望ましい。
【0056】以上の各元素の他、溶解時の酸化防止のた
めにBeを1〜100ppm程度添加することに特に支
障はない。またその他の元素も、合計で1重量%以下程
度の微量であれば、特に遠赤外線放射特性に悪影響を及
ぼすことはない。
【0057】次に、上述のようなAl-Si系合金を用
いた圧延板における組織状態、特に金属Si粒子の分散
状態について説明する。
【0058】既に述べたように、相当量のSiを含有す
る系のAl合金では、鋳造時にその添加量に応じて初晶
Si、共晶Siとして晶出する。そして鋳造後に熱処理
された場合、Alのマトリックス中からも金属Siが析
出する。これらの晶出Si(初晶Si、共晶Si)や析
出Siは陽極酸化処理後においてもそのまま金属Si粒
子として陽極酸化皮膜中に残存する。そしてこの陽極酸
化皮膜中の金属Si粒子は、遠赤外線放射特性や陽極酸
化皮膜の耐クラック性に大きな影響を与える。
【0059】ここで、良好な遠赤外線の放射特性を得る
ためには、金属Si粒子のサイズ(粒径)と分布が重要
である。つまり、金属Si粒子の径が0.05μm未満
の場合には、可視光線、遠赤外線の散乱吸収が不十分で
あって、良好な放射特性が得られない。従って、粒径が
0.05μm以上の金属Si粒子が存在することが必須
である。このため、0.05μm以上の金属Si粒子の
分布状態を滴切に制御する必要がある。
【0060】金属Si粒子が全く存在しないか、または
存在しても粒径が0.05μm未満の金属Si粒子しか
存在しない領域は、可視光線、遠赤外線の吸収が劣る。
従ってそのような領域がある程度以上存在すると、遠赤
外線放射特性が悪くなる。また、前記領域は、応力を緩
和するポイントが皆無であるか、または極めて少ないた
め、その領域の陽極酸化皮膜はクラックが生じ易くな
る。従って、金属Si粒子が存在しないか、または存在
しても0.05μm未満の粒子のみであるような領域
(以下、無粒子領域と略称する。)を次の2つの条件に
よって規制する。 (A)無粒子領域に描ける円の最大直径が30μm以下
であること。 (B)無粒子領域のうち、直径15μmの円を描ける領
域の合計面積が全体の面積に対し面積率で30%以下で
あること。
【0061】ここで(A)の条件は個々の無粒子領域の
広さが小さいことを意味し、(B)の条件は、ある程度
以上の広さの無粒子領域の合計面積が少ないことを意味
するが、更に(A)、(B)の条件を図面を参照して具
体的に説明する。
【0062】Al合金の鋳塊組織は、一般に図1に示す
ようにデンドライト構造(樹枝状構造)でありデンドラ
イト部分(樹枝状部分)はα固用体1となっている。そ
してα固溶体1からなるデンドライト部分の周囲は、共
晶領域2、即ち、α相と金属Siとが交互に共存する領
域となっている。従って、この場合はデンドライト部分
のα固溶体1の領域が無粒子領域であるといえる。
【0063】また、一般に過共晶のAl−Si合金で
は、初晶Siが晶出し、鋳塊組織では図2に示すように
初晶Si3の周辺がα固溶体1となることが多い。この
場合、初晶Si3の周辺のα固溶体1の部分を無粒子領
域ということができる。
【0064】さらに、鋳造時の冷却速度が遅い除冷組織
の場合には、図3に示すように共晶組織中のSi4が粗
大で不規則針状となり、デンドライトの境界が不鮮明と
なることがある。この場合、共晶組織中のSi4の相互
間の部分全てを無粒子領域とみなければならないことも
ある。
【0065】一方、鋳造後に熱処理を行う場合、例えば
図4に示すようにデントライト部分のα固溶体中に金属
Si粒子が析出し、従って、元のデンドライト部分1’
も無粒子領域ではなくなることが多い。そして、鋳塊に
対して押山や鋳造、圧延等の塑性加工を行った場合に
は、例えば図5に示すように、鋳塊段階でデンドライト
の無粒子領域であった部分1の無粒子領域の形状、寸法
が変化する。この発明では、以上のような全ての場合に
共通して無粒子領域の広さや面積率を規定できるように
前記(A)、(B)の条件を適用している。
【0066】ここで前記(A)の条件に関して、図1、
図3、図5の各組織に対し、その無粒子領域に最も大径
の円5を描いてみた様子を、図6、図7、図8に示す。
前記(A)の条件は、要はこれらの最大の円5が30μ
m以下であれば良いことを意味する。また、前記(B)
の条件に関して、同じく図1、図3、図5(但し図5の
右側の組織)の各組織に対し、その無粒子領域に直径1
5μmの円6を描いた様子を図9、図10、図11に示
す。これらの図において、太い実線7は、直径15μm
の円が描ける領域の外周線を示す。前記(B)の条件
は、この外周線(7)に囲まれる領域の面積が、全体の
面積の30%以下であれば良いことを意味する。
【0067】前記(A)の条件を満たさない場合、即
ち、直径30μmより大きい無粒子領域がある場合に
は、陽極酸化皮膜にクラックが生じやすくなり、遠赤外
線放射特性も悪くなる。一方、前記(B)の条件を満た
さない場合、即ち、直径15μm以上の無粒子領域の総
和が全面積に対し30%を越える場合は、皮膜中の遠赤
外線吸収領域が減少し、遠赤外線放射特性が悪くなる。
なお、直径15μm未満の小さな円しか描けないような
領域であれば、その面積の総和が全体の30%を越えて
も陽極酸化皮膜の耐クラック性が特に阻害されず、良好
な遠赤外線放射特性が得られる。
【0068】次に、以上のような(A)、(B)の条件
についてAl-Si径合金圧延板の製造工程と関連して
更に詳細に述べる。
【0069】前記組成のAl-Si系合金を鋳造すれ
ば、鋳造のままで一般に共晶のSiおよび初晶のSi
が、初晶のAl-αデンドライトとともに晶出する。こ
のデンドライトの枝は、鋳造のままでは固溶体になって
おり、この部分には金属Siは存在しない。
【0070】αデンドライトの太さは、鋳造時の冷却速
度に影響され、冷却速度が遅ければ、枝と枝の間隔が拡
大し、枝の太さも太くなる。冷却速度が速ければデンド
ライトの間隔は狭くなり、枝の太さも小さくなる。従っ
て砂型鋳造のように比較的鋳造速度が遅い場合には、デ
ンドライトの幹の太さが30μm以上になりやすく、ま
た直径15μm以上の円の描ける領域の面積も増加する
ために、鋳造のままでは金属Siの分布が前記(A)、
(B)の条件を満たさない場合が多い。逆にダイカスト
鋳造やロールキャスターの如く冷却速度の速い場合に
は、デンドライトの間隔も密となり、デンドライトの幹
の太さも小さくなる。このため、前述の(A)、(B)
の条件を鋳造のままで満たすことが多く、この場合に
は、鋳造のままでも良好な遠赤外線放射特性を得ること
ができる。
【0071】前述のように鋳造段階ではデンドライトが
粗く、(A)、(B)の条件を満たす組織が得られない
場合には、鋳塊を加熱して、デンドライト中に金属Si
を析出させれば良い。析出Si粒子は、鋳造の際の晶出
Si粒子のサイズと比べれば小さいのが一般的である
が、温度条件を適切に選択すれば、0.05μm以上の
Si粒子がデンドライトのα相中に析出する。このよう
に、鋳造段階ではデンドライト組織が粗く、無粒子領域
が広い場合であっても、析出処理を施すことにより前記
(A)、(B)の条件を満たす組織とし、それによって
遠赤外線放射特性を向上させることが可能である。
【0072】なお、この場合の析出処理の温度は、合金
の成分によっても異なるが、300〜550℃程度が通
常であり、時間も0.5時間から24時間程度が通常で
ある。300℃未満では、析出Si粒子のサイズが小さ
く、0.05μm未満になり易い。また、550℃を越
えれば、局部溶融が生じたり、Siの析出量が少なくな
って、鋳塊の組織にとっては直径15μm以上の円の描
ける領域の面積の比率が30%を越えてしまうことがあ
る。析出処理の時間は0.5時間未満では効果がなく、
24時間を越えると経済的に無駄である。
【0073】熱間圧延等の熱間加工を行なう場合には、
デンドライトの組織の如何にかかわらず、熱間加工前に
鋳塊の加熱を行なう必要があり、そこで熱間加工前の加
熱処理を前述の析出処理と兼ねさせることができる。勿
論、熱間加工前の熱処理の前、あるいは熱間加工後、更
にはその後の冷間加工の中途あるいは熱間加工後などの
いずれの時点においても、前述のような大きさのSiが
析出されるような加熱処理を、単独で、あるいは焼鈍と
兼ねて施すことができる。更には、製造過程の圧接のた
めの熱間圧延の前の加熱や焼鈍と兼ねて行なうこともで
きる。なお、熱間圧延を行なう場合は、熱間圧延中に割
れが生じないように注意する必要がある。Si量が15
重量%を越える場合には熱間圧延時に割れが生じ易くな
る。
【0074】鋳造材に対しては冷間圧延を直接行なうこ
ともある。即ち、薄板を連続鋳造する方法では、冷間ロ
ール間で連続的に5〜20mmの薄板が製造されるが、
この場合その鋳造板に対し、直接冷間圧延を施す場合が
多い。このような連続鋳造圧延の場合は、冷却速度が著
しく高いために、組織が微細となるから、特に析出処理
を行なわなくとも、そのままで前記(A)、(B)の条
件を満たすことが多い。即ち、連続鋳造圧延のまま、も
しくは冷間圧延のままで優れた遠赤外線特性を示す。た
だし、前述のような冷間圧延を行なう場合であっても、
鋳造段階では組織条件として前記(A)、(B)の条件
を満たしていなければ、必要に応じて加熱析出処理を施
し、0.05μm以上の金属Si粒子を無粒子領域に析
出させて前記(A)、(B)の条件を満足させるように
すれば良い。
【0075】なお、熱間圧延や冷間圧延などの鍛練工程
が施された場合は、デンドライトなどの無粒子領域はそ
の加工により均一化が進行する。そして、総加工率が7
0%を越えれば、もとのデンドライトの痕跡はほとんど
消滅し、金属Si粒子の分布が均一化される。従って高
加工度の熱間圧延や冷間圧延を施す場合は、鋳造段階で
は前記(A)、(B)の条件を満たしていなくてもその
後の加工により容易にその条件を満たすようにすること
ができる。
【0076】次に、前述のようなAl-Mn系あるいは
Al-Si系のAl合金の基材の表面に陽極酸化処理を
施せば、その陽極酸化皮膜は優れた遠赤外線特性を発揮
するとともに、優れた耐ヒートクラック性を示す。即
ち、陽極酸化処理時には、Al-Mn系Al合金の基材
の場合はAl-Mn系金属間化合物の析出粒子が、ま
た、Al-Si系Al合金の場合は金属Si粒子がいず
れも皮膜中にそのまま残存した状態で陽極酸化皮膜が成
長する。そのため、皮膜中のポアの成長がAl-Mn系
金属間化合物粒子もしくは金属Si粒子に妨げられ、枝
別れした微細なポアを有する多孔質の皮膜が生成され
る。更に、陽極酸化皮膜中にそのまま残存して分散して
いる微細なポアが入射光を散乱吸収し、遠赤外線の放射
特性も良好となる。そしてまた前述の枝別れした微細な
ポア構造と皮膜中に分散したAl-Mn系金属間化合物
粒子もしくは金属Si粒子が熱応力の緩和点として機能
し、そのため皮膜中にクラックが生じにくくなり、50
0℃程度の高温に至るまでクラックが生じることなく使
用可能となる。
【0077】ところで、前述したAlあるいはAl合金
からなる基材に機械的粗面化処理を施した後に陽極酸化
処理を施すと、基材表面の表面粗さの値がそのまま陽極
酸化皮膜の表面粗さに表われることとなる。よって、基
材表面を平均粗さ0.5〜5μm、最大粗さ5〜50μ
mに粗面化することにより、得られた陽極酸化皮膜の表
面粗さも平均粗さ0.5〜5μm、最大粗さ5〜50μ
mに粗面化されることになる。
【0078】また、本発明者らが特願平3ー15522
9号明細書において特許出願している遠赤外線放射体に
おいては、陽極酸化皮膜の厚さを10μm以上としたも
のにおいて特に有効な遠赤外線放射特性と耐ヒートクラ
ック特性を得ているが、本発明の機械的粗面化処理を施
したものにあっては、4μm以上の厚さの陽極酸化皮膜
であっても優れた放射特性と耐ヒートクラック特性を得
ることができる。このように薄い陽極酸化皮膜でも良好
な特性を発揮できることにより、製造時に必要な陽極酸
化皮膜の厚さを小さくできるので、製造条件の選択幅が
広がるとともに、薄板への塑性加工なども容易にできる
ようになる。
【0079】
【実施例】
(実施例1)JIS規定1050材(純アルミニウム)
からなる50×100×1mmの板材を試料板としてこ
れの表面に#100、#180のアルミナ粒子を用いて
空気圧4kg/cm2 でブラスト処理を行なった。次
いで20℃、20重量%の硫酸浴中において、電流密度
3A/dm2で5分間、10分間、30分間、それぞれ
陽極酸化処理を行なった。この試料をマッフル炉に収納
し、室温から昇温して500℃で30分間加熱し、その
後室温に戻すヒートサイクルを10サイクル加えるヒー
トサイクル試験を行なった。その後、試料温度を250
℃、500℃に設定して3〜30μmの波長領域におけ
る遠赤外線の全放射率を測定する試験を行なった。その
結果を表1に示す。また、前記試験において、ブラスト
処理のみを施していない試料も用意し、これについても
前記と同様の試験を行なった。その結果を表2に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】表1と表2に示す結果から明らかなよう
に、純アルミニウム材に粗面化処理を施し、微細な凹凸
を有する陽極酸化皮膜が形成された本発明の試料は、粗
面化処理を施していない試料に比較して著しく放射率が
向上することが判明した。そして、特に、波長3〜7μ
mの帯域における分光放射率の低下の大きい500℃に
おける全放射率は、ブラスト処理の有無で大きな差が生
じている。また、クラックの発生状況、反りの発生状況
などの耐熱特性でも大きな差異が見られ、表1に示す本
発明に係る試料がいずれも良好な値を示した。
【0083】(実施例2)Al合金として、JIS規定
5052材と6063材を用いて実施例1と同等の試験
を行なった。その結果を表3に示す。
【0084】
【表3】
【0085】表3に示す結果から明らかなように、いず
れの材質においてもブラスト処理を施したものは良好な
特性を発揮した。 (実施例3)Al合金として、表4に示すような請求項
2〜請求項6に記載した組成範囲のものを用い、それぞ
れ実施例1と同様の試験を行なった。試験結果を表5と
表6と表7に示す。
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】
【表6】
【0089】
【表7】
【0090】表5〜表7に示したように、本発明に係る
合金を用いて本発明方法を実施したものは、表1と表3
に示した1050材、5052材、6063材などの通
常のAl材を用いた実施例よりも更に高い放射率を得る
ことができた。特に高温での特性低下の大きい3〜7μ
mの分光放射率に優れるために、500℃での全放射率
においても、250℃での全放射率に近い優れた特性が
得られた。また、この実施例において、陽極酸化皮膜と
して膜厚5μmと10μmのいずれも薄い膜の例の結果
を示しているが、膜厚を厚くすれば更に高い放射率が得
られることは明らかである。陽極酸化処理後に曲げ加工
などの加工を施す場合は、膜厚が薄いほど加工性が良い
ので、薄くても高い放射率が得られることは加工上の利
点が大きい。なお、より高い放射率が要求され、耐摩耗
性に優れるなど、機械的特性が要求されるときは、厚膜
にすれば良いし、必要に応じて更に硬質アルマイト処理
を行なっても良い。
【0091】
【発明の効果】以上説明したように本発明によるAlあ
るいはAl合金の基材に、微細な凹凸を有する厚さ4μ
m以上の陽極酸化皮膜が形成された遠赤外線放射体は、
純Alのような耐熱性に乏しい通常のAl材を基材とし
て用いた場合にも、優れた耐熱性が得られるともに、実
用上有効とされる3〜30μmの波長領域における全放
射率においても、従来特殊な合金を用いなくては達成が
困難であった70%以上の安定した放射率が極めて薄い
皮膜のもので得られる。このため加工性、強度など使用
目的に適した種々の材料を用いることができる。
【0092】また、Al-Mn系あるいはAl-Si系の
Al合金の基材の表面に微細な凹凸を有する陽極酸化皮
膜が形成されたものにあっては、極めて優れた遠赤外線
特性を発揮するとともに、ヒートショックなどの耐熱性
においても優れた特性を示す。 即ち、陽極酸化処理時
には、Al-Mn系Al合金の基材の場合はAl-Mn系
金属間化合物の析出粒子が、また、Al-Si系Al合
金の場合は金属Si粒子がいずれも皮膜中にそのまま残
存した状態で陽極酸化皮膜が形成される。そのため、陽
極酸化皮膜中のポアの成長がAl-Mn系金属間化合物
粒子もしくは金属Si粒子に妨げられ、枝別れした微細
なポアを有する多孔質の陽極酸化皮膜が形成される。そ
の結果、陽極酸化皮膜中に複雑に枝別れして形成された
微細なポアによって入射光の散乱吸収率が一段と向上
し、遠赤外線の放射特性も良好となる。
【0093】そしてまた、前述の枝別れした微細なポア
構造と皮膜中に分散したAl-Mn系金属間化合物粒
子、もしくは金属Si粒子は熱応力の緩和点としても機
能し、そのため皮膜中にクラックが生じにくくなり、5
00℃程度の高温に至るまでクラックが生じることなく
使用可能となる。従って、本発明に係る遠赤外線放射体
は、精密な機器などに組み込んで使用する場合のように
厳しい寸法制限と高い特性が要求されるような用途に対
しても用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム合金の鋳塊組織の第1の例を示す
模式図である。
【図2】アルミニウム合金の鋳塊組織の第2の例を示す
模式図である。
【図3】アルミニウム合金の鋳塊組織の第3の例を示す
模式図である。
【図4】アルミニウム合金の鋳塊に熱処理を施した場合
の組織変化の一例を示す模式図である。
【図5】アルミニウム合金の鋳塊に圧延加工を施した場
合の組織変化の一例を示す模式図である。
【図6】この発明の組織条件のうち、粒径0.05μm
以上の金属Si粒子が存在しない領域に描ける円の最大
径について説明するための図で、図1に示される組織に
対応して示す模式図である。
【図7】同じく最大径について説明するための図で、図
3に示される組織に対して示す模式図である。
【図8】同じく最大径について説明するための図で、図
5の右側に示される組織に対して示す模式図である。
【図9】この発明の組織条件のうち、粒径0.05μm
以上の金属Si粒子が存在しない領域における直径15
μmの円を描ける領域について説明するための図で、図
1に示される組織に対応して示す模式図である。
【図10】同じく直径15μmの円を描くことができる
領域を説明するための図で、図3に示される組織に対応
して示す模式図である。
【図11】同じく直径15μmの円を描くことができる
領域を説明するための図で、図5に示される組織に対応
して示す模式図である。
【符号の説明】
1 α固溶体(デンドライト)、 2 共晶領域、 3 初晶Si、 4、 Si、 5、6 円、 7、 実線(外周線)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西山 貞義 東京都江東区木場一丁目5番1号 藤倉電 線株式会社内 (72)発明者 松本 秀一 東京都江東区木場一丁目5番1号 藤倉電 線株式会社内 (72)発明者 馬場 規泰 東京都江東区木場一丁目5番1号 藤倉電 線株式会社内 (72)発明者 松尾 守 東京都中央区日本橋室町4丁目3番18号 スカイアルミニウム株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 AlまたはAl合金材の表面に、微細な
    凹凸を有する陽極酸化皮膜が、厚さ4μm以上に形成さ
    れてなることを特徴とする遠赤外線放射体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の遠赤外線放射体におい
    て、Al合金材として、 Mnを0.3〜4.3重量%含
    有し、残部がAlおよび不可避不純物とからなり、かつ
    粒径0.01〜3μmのAl-Mn系金属間化合物析出物
    が分散しているAl合金を用いることを特徴とする遠赤
    外線放射体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の遠赤外線放射体におい
    て、Al合金として、Mnを0.3〜4.3重量%および
    Mgを0.05〜6.0重量%含有し、残部がAlおよび
    不可避不純物からなり、かつ粒径0.01〜3μmのA
    l-Mn系金属間化合物析出物が分散しているAl合金
    を用いることを特徴とする遠赤外線放射体。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の遠赤外線放射体におい
    て、Al合金として、Siを3〜15重量%含有し、残
    部がAlおよび不可避不純物からなり、 かつ初晶Si、共晶Siもしくは析出Siからなる金属
    Si粒子のうち、粒径0.05μm以上の金属Si粒子
    が存在しない領域に描ける円の最大直径が30μm以下
    であり、しかも粒径0.05μm以上の金属Si粒子が
    存在しない領域のうち、直径15μmの円を描ける領域
    の合計面積が、全体の面積に対し面積率30%以下であ
    るAl合金を用いることを特徴とする遠赤外線放射体。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の遠赤外線放射体におい
    て、Al合金として、Siを3〜15重量%含有し、か
    つFeを0.05〜2.0重量%、Mgを0.05〜2.0
    重量%、Cuを0.05〜6.0重量%、Mnを0.05
    〜2.0重量%、Niを0.05〜3.0重量%、Crを
    0.05〜0.5重量%、Vを0.05〜0.5重量%、Z
    rを0.05〜0.5重量%、Znを1.0重量%を越え
    て7.0重量%以下、のうちの1種または2種以上を含
    有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、 かつ初晶Si、共晶Siもしくは析出Siからなる金属
    Si粒子のうち、粒径0.05μm以上の金属Si粒子
    が存在しない領域に描ける円の最大直径が30μm以下
    であり、しかも粒径0.05μm以上の金属Si粒子が
    存在しない領域のうち、直径15μmの円を描ける領域
    の合計面積が、全体の面積に対し面積率30%以下であ
    るAl合金を用いることを特徴とする遠赤外線放射体。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の遠赤外線放射体におい
    て、Al合金として、Siを3〜15重量%含有し、か
    つTiを0.005〜0.2重量%含有するとともに、P
    を0.005〜0.1重量%、Naを0.005〜0.1重
    量%、Sbを0.005〜0.3重量%、Srを0.00
    5〜0.1重量%、のうちの1種または2種以上を含有
    し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、 かつ初晶Si、共晶Siもしくは析出Siからなる金属
    Si粒子のうち、粒径0.05μm以上の金属Si粒子
    が存在しない領域に描ける円の最大直径が30μm以下
    であり、しかも粒径0.05μm以上の金属Si粒子が
    存在しない領域のうち、直径15μmの円を描ける領域
    の合計面積が、全体の面積に対し面積率30%以下であ
    るAl合金を用いることを特徴とする遠赤外線放射体。
  7. 【請求項7】請求項1、2、3、4、5、6のいずれか
    に記載の遠赤外線放射体において、陽極酸化皮膜の表面
    粗さが、平均粗さで0.5〜5μm、最大粗さで5〜5
    0μmの範囲であることを特徴とする遠赤外線放射体。
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