JP2552967B2 - ロールボンドパネル - Google Patents

ロールボンドパネル

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JP2552967B2
JP2552967B2 JP3230984A JP23098491A JP2552967B2 JP 2552967 B2 JP2552967 B2 JP 2552967B2 JP 3230984 A JP3230984 A JP 3230984A JP 23098491 A JP23098491 A JP 23098491A JP 2552967 B2 JP2552967 B2 JP 2552967B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は各種の熱交換用部材に
使用されるロールボンドパネルに関するものであり、特
に暖房、調理、その他各種の加熱、あるいは冷凍、さら
には鮮度維持などの輻射熱を利用する分野において赤外
線、遠赤外線を有効に放射、吸収し得るロードハボンド
パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から冷蔵庫等の熱交換用部材にはロ
ールボンドパネルが用いられている。このロールボンド
パネルは、例えば図9に示すようにして製造される。す
なわち、2枚の金属板(通常はアルミニウム板)1,2
を、その間の予め定めた位置にコロイド状グラファイト
を主成分とするインキで代表される圧着防止剤3が所定
のパターンで介在されるようにして重ね合せ、所定の温
度に加熱してから熱間圧延ロール4によって圧延・圧接
させる。このとき、両金属板1,2の間のうち圧着防止
剤3が介在していない部分のみが圧接される。その後、
必要に応じて冷間圧延や焼鈍を行なった後、非圧接部、
すなわち圧着防止剤を介在させた部分に圧縮空気等の流
体圧を加え、その部分を膨張させる。すなわち非圧接部
の両側の金属板もしくは片側の金属板を膨出させる。こ
れによって圧着防止剤の形成パターンに沿った中空管路
5が形成される。したがってこのようにして作られたロ
ールボンドパネルの中空管路に熱媒体や冷却媒体を流通
させることにより熱交換体として使用することができ
る。
【0003】以上のようなロールボンドパネルは、熱交
換体に最適であるが、従来のロールボンドパネルを用い
た熱交換体は主として対流および熱伝導を利用した熱交
換についてのみ考慮が払われており、輻射による熱交換
については殆ど考慮されていなかったのが実情である。
【0004】一方輻射熱、特に遠赤外線の輻射熱を利用
したヒータ類においては、放射体の遠赤外線放射率が高
くしかも100℃以上の比較的低い表面温度で可視領域
の放射が少ない反面、遠赤外線領域の放射が多いものが
要求されるが、これらの要求をある程度満たす放射体と
して、従来からアルミナ、グラファイト、ジルコニア等
の各種のセラミック材料で構成したものが実用化されて
いる。そしてこれらのセラミック材料のうちでも、遠赤
外線放射特性の面ではアルミナが他のセラミック材料よ
り優れていることが知られている。そこで最近では、高
純度のアルミニウムの表面を陽極酸化処理して、アルミ
ナからなるアルマイト皮膜(陽極酸化皮膜)を生成さ
せ、基材アルミニウムによる良好な熱伝導性と表面のア
ルマイト皮膜による良好な遠赤外線放射特性とを兼ね備
えた遠赤外線放射体を提供する試みがなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】既に述べたように、従
来のロールボンドパネルを用いた熱交換体としては、輻
射による熱交換がほとんど考慮されておらず、そのため
ロールボンドパネルの使用分野も限られているのが実情
である。
【0006】そこで本発明者等は、前述のような高純度
のアルミニウム材料の表面に陽極酸化皮膜を生成した板
をロールボンドパネルに適用し、遠赤外線等による輻射
熱も積極利用した熱交換体を作ることを考えた。しかし
ながら、従来の高純度アルミニウム基材の表面に陽極酸
化処理を施した板においては、200℃以上では陽極酸
化皮膜にクラックが生じやすく、そのため赤外線放射率
が不安定となるとともに耐食性も悪くなる問題があり、
さらには、3〜7μmの波長域での放射率が低い等の問
題があった。
【0007】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、熱交換体として輻射熱を積極利用するに最適
なロールボンドパネル、すなわち遠赤外線放射特性に優
れかつ耐ヒートクラック性にも優れたロールボンドパネ
ルを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前述の課題
を解決するべく鋭意実験・検討を重ねた結果、ロールボ
ンドパネルに用いられる金属板として、特定の成分組成
を有しかつ析出物や晶出物の分散状態を特定の条件に制
御したアルミニウム合金板の表面に陽極酸化処理を施し
た板が最適であることを見出し、この発明をなすに至っ
た。
【0009】具体的には、請求項1、請求項2の各発明
のロールボンドパネルは、金属板として、基本的にAl
−Mn系の成分組成を有しかつAl−Mn系金属間化合
物析出物を制御したアルミニウム合金板に陽極酸化皮膜
を生成させた板を用いている。
【0010】すなわち、請求項1の発明は、2枚の金属
板を、その間の予め定めた位置に所定のパターンで圧着
防止剤を介在させた状態で相互に圧着させ、前記圧着防
止剤の介在により生じた非圧着部に流体圧を導入するこ
とによりその非圧着部の一方または双方の側の金属板を
膨出させてなるロールボンドパネルにおいて、前記2枚
の金属板のうち、いずれか一方もしくは双方の金属板と
して、Mn0.3〜4.3wt%を含有し、残部がAlお
よび不可避的不純物よりなり、かつ粒径0.01〜3μ
mのAl−Mn系金属間化合物析出物が分散しているA
l−Mn系アルミニウム合金圧延板が用いられており、
しかもそのアルミニウム合金圧延板の各面のうち、ロー
ルボンドパネルの表側となる面の少なくとも1つの面に
は、10μm以上の厚みの陽極酸化皮膜が生成されてい
ることを特徴とするものである。
【0011】また請求項2の発明は、2枚の金属板を、
その間の予め定めた位置に所定のパターンで圧着防止剤
を介在させた状態で相互に圧着させ、前記圧着防止剤の
介在により生じた非圧着部に流体圧を導入することによ
りその非圧着部の一方または双方の側の金属板を膨出さ
せてなるロールボンドパネルにおいて、前記2枚の金属
板のうち、いずれか一方もしくは双方の金属板として、
Mn0.3〜4.3wt%およびMg0.05〜6.0wt
%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりな
り、かつ粒径0.01〜3μmのAl−Mn系金属間化
合物析出物が分散しているAl−Mn系アルミニウム合
金圧延板が用いられており、しかもそのアルミニウム合
金圧延板の各面のうち、ロールボンドパネルの表側とな
る面の少なくとも1つの面には、10μm以上の厚みの
陽極酸化皮膜が生成されていることを特徴とするもので
ある。
【0012】一方請求項3〜請求項5の発明のロールボ
ンドパネルは、金属板として、基本的にAl−Si系の
成分組成を有しかつ金属Si粒子の分散状態を制御した
アルミニウム合金に陽極酸化皮膜を生成した板を用いて
いる。
【0013】すなわち、請求項3の発明は、2枚の金属
板を、その間の予め定めた位置に所定のパターンで圧着
防止剤を介在させた状態で相互に圧着させ、前記圧着防
止剤の介在により生じた非圧着部に流体圧を導入するこ
とによりその非圧着部の一方または双方の側の金属板を
膨出させてなるロールボンドパネルにおいて、前記2枚
の金属板のうち、いずれか一方もしくは双方の金属板と
して、Si3〜15wt%を含有し、残部がAlおよび不
可避的不純物よりなり、かつ初晶Si、共晶Siもしく
は析出Siからなる金属Si粒子のうち粒径0.05μ
m以上の金属Si粒子が存在しない領域に描ける円の最
大直径が30μm以下であり、しかも粒径0.05μm
以上の金属Si粒子が存在しない領域のうち、直径15
μmの円を描ける領域の合計面積が、全体の面積に対し
面積率30%以下であるAl−Si系アルミニウム合金
圧延板が用いられており、さらにそのアルミニウム合金
圧延板の各面のうち、ロールボンドパネルの表側となる
面の少なくとも1つの面には、10μm以上の厚みの陽
極酸化皮膜が生成されていることを特徴とするものであ
る。
【0014】また請求項4の発明は、2枚の金属板を、
その間の予め定めた位置に所定のパターンで圧着防止剤
を介在させた状態で相互に圧着させ、前記圧着防止剤の
介在により生じた非圧着部に流体圧を導入することによ
りその非圧着部の一方または双方の側の金属板を膨出さ
せてなるロールボンドパネルにおいて、前記2枚の金属
板のうち、いずれか一方もしくは双方の金属板として、
Si3〜15wt%を含有し、かつFe0.05〜2.0
wt%、Mg0.05〜2.0wt%、Cu0.05〜6.
0wt%、Mn0.05〜2.0wt%、Ni0.05〜
3.0wt%、Cr0.05〜0.5wt%、V0.05〜
0.5wt%、Zr0.05〜0.5wt%、Zn1.0%
を越え7.0wt%以下のうちの1種または2種以上を含
有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、かつ
初晶Si、共晶Siもしくは析出Siからなる金属Si
粒子のうち粒径0.05μm以上の金属Si粒子が存在
しない領域に描ける円の最大直径が30μm以下であ
り、しかも粒径0.05μm以上の金属Si粒子が存在
しない領域のうち、直径15μmの円を描ける領域の合
計面積が、全体の面積に対し面積率30%以下であるA
l−Si系アルミニウム合金圧延板が用いられており、
さらにそのアルミニウム合金圧延板の各面のうち、ロー
ルボンドパネルの表側となる面の少なくとも1つの面に
は、10μm以上の厚みの陽極酸化皮膜が生成されてい
ることを特徴とするものである。
【0015】さらに請求項5の発明は、2枚の金属板
を、その間の予め定めた位置に所定のパターンで圧着防
止剤を介在させた状態で相互に圧着させ、前記圧着防止
剤の介在により生じた非圧着部に流体圧を導入すること
によりその非圧着部の一方または双方の側の金属板を膨
出させてなるロールボンドパネルにおいて、前記2枚の
金属板のうち、いずれか一方もしくは双方の金属板とし
て、Si3〜15wt%を含有し、かつTi0.005〜
0.2wt%を含有するとともに、P0.005〜0.1
wt%、Na0.005〜0.1wt%、Sb0.005〜
0.3wt%、Sr0.005〜0.1wt%のうちの1種
または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不
純物よりなり、かつ初晶Si、共晶Siもしくは析出S
iからなる金属Si粒子のうち粒径0.05μm以上の
金属Si粒子が存在しない領域に描ける円の最大直径が
30μm以下であり、しかも粒径0.05μm以上の金
属Si粒子が存在しない領域のうち、直径15μmの円
を描ける領域の合計面積が、全体の面積に対し面積率3
0%以下であるAl−Si系アルミニウム合金圧延板が
用いられており、さらにそのアルミニウム合金圧延板の
各面のうち、ロールボンドパネルの表側となる面の少な
くとも1つの面には、10μm以上の厚みの陽極酸化皮
膜が生成されていることを特徴とするものである。
【0016】
【作用】アルミニウム合金板表面の陽極酸化皮膜におけ
る遠赤外線放射特性が良好であるための前提条件とし
て、その陽極酸化皮膜の色調が黒色もしくは黒色に近い
色調であることが必要である。本発明者等は、Al−M
n系合金においては、Al−Mn系金属間化合物析出物
が本質的に陽極酸化皮膜の黒色化および遠赤外線放射特
性に寄与し、また耐ヒートクラック性の向上にも寄与す
ることを見出し、請求項1、請求項2の発明をなした。
またAl−Si系合金においては、金属Si粒子の晶
出、析出状態が陽極酸化皮膜の黒色化および遠赤外線放
射特性に寄与し、また耐ヒートクラック性の向上にも寄
与することを見出し、請求項3〜請求項5の発明をなし
た。
【0017】そこで先ず請求項1、請求項2の発明にお
いて合金板として用いるAl−Mn系合金について説明
する。
【0018】ある程度の量のMnを含有するAl−Mn
系合金では、Al−Mn系金属間化合物が生成され、そ
のAl−Mn系金属間化合物の析出物の析出状態が適切
であれば、遠赤外線放射特性と陽極酸化処理後の色調の
黒色化に寄与するとともに、耐ヒートクラック性の向上
に寄与する。すなわち、Al−Mn系金属間化合物とし
てはAl6 Mn、Al6 (MnFe)、αAlMn(F
e)Si、およびそれらにCr,Ti等が少量固溶され
たものなどがあるが、このようなAl−Mn系金属間化
合物の析出物が分散しているアルミニウム合金板の表面
に陽極酸化処理を施せば、陽極酸化皮膜中にそのAl−
Mn系金属間析出物の分散粒子が残存する。このような
陽極酸化皮膜中の分散粒子によって入射光が散乱吸収さ
れて、遠赤外線の放射物特性が向上する。また可視光線
も吸収されるため、目視の色調も黒くなる。さらに、陽
極酸化処理時において陽極酸化皮膜(多孔質層)が成長
する過程で、ポアは枝分かれした構造となり、このよう
な枝分かれポア構造によって入射光に対する陽極酸化皮
膜内での散乱吸収が助長され、遠赤外線放射特性が一層
向上する。
【0019】さらに、陽極酸化皮膜中に分散して存在す
るAl−Mn系金属間化合物の析出物粒子は応力の緩和
点としても機能し、また前述のようなポアの枝分かれ構
造は歪の吸収能力が高く、そのためクラックが生じにく
いとともに、仮にクラックが発生してもその伝播が阻止
され、耐ヒートクラック性が良好となる。
【0020】ここで、Al−Mn系金属間化合物析出物
の径が0.01μm未満では前述のような析出物分散に
よる効果が得られず、一方3μmを越える粗大な金属間
化合物は成形性を悪化させるから、粒径が0.01〜3
μmの範囲内のものが分散している必要がある。さら
に、0.01〜3μmのAl−Mn系金属間化合物析出
物は、1×105 個/mm3 以上の密度で分散しているこ
とが好ましい。
【0021】次に上述のようなAl−Mn系合金におけ
る成分組成の限定理由を述べる。
【0022】Mn:MnはAl−Mn系金属間化合物を
生成し、前述のように遠赤外線特性の向上と陽極酸化処
理後の黒色の色調の確保、および耐ヒートクラック性の
向上に寄与する。ここで、Mn量が0.3wt%未満では
良好な遠赤外線放射特性が得られなくなるとともに、陽
極酸化皮膜の充分な黒色化が困難となり、一方4.3wt
%を越えた場合には薄板連続鋳造が困難となり、実用的
でない。すなわち、前述のようなAl−Mn系金属間化
合物の析出状態を得るためには、後に改めて説明するよ
うに鋳造時の冷却速度を5℃/sec 以上としてMnを充
分に固溶させておき、その後析出のための熱処理を施す
ことが好ましいが、5℃/sec 以上の冷却速度で鋳造す
るためには実用上は薄板連続鋳造法(連続鋳造圧延法)
を適用することが最適である。しかしながらMn量が
4.3wt%を越えれば薄板連続鋳造が困難となってしま
うのである。したがってMn量は0.3wt%以上4.3
wt%以下とした。
【0023】Mg:Mgは必ずしも必須の元素ではない
が、Al−Mn系金属間化合物の析出を促進し、前述の
ような析出状態を達成するに寄与する。特にMn量が比
較的少ない範囲においては、Mgの添加量を多くするこ
とがAl−Mn系金属間化合物の析出を促進して遠赤外
線放射特性の向上と陽極酸化皮膜の黒色化をより確実に
するために有効である。但しMg量が6.0wt%を越え
れば、薄板連続鋳造が困難となり、実用的でなくなる。
一方Mg量が0.05wt%未満ではMg添加による上述
の効果が得られない。したがってMgを添加する場合の
Mg量は0.05〜6.0wt%の範囲内とした。
【0024】以上の各成分の残部は、基本的にはAlお
よび不可避的不純物とすれば良い。ここでアルミニウム
合金における不可避的不純物の代表的なものとしてF
e,Siがあり、またFe,Siは合金の用途によって
は積極添加することもあるが、請求項1、請求項2の発
明のロールボンドパネルにおいて金属板として用いるA
l−Mn系合金では、Feを0.5wt%以下、Siを
2.0wt%以下に規制することが好ましい。
【0025】すなわちFeはAl−Mn系金属間化合物
の析出にある程度影響を与えるが、遠赤外線放射特性や
陽極酸化皮膜の黒色の色調には本質的な影響はない。鋳
造性の点からはFe量は少ない方が好ましく、0.5wt
%を越えれば薄板連続鋳造が困難となるおそれがある。
またSiもAl−Mn系金属間化合物の析出にある程度
影響を与えるが、遠赤外線放射特性や陽極酸化処理後の
黒色の色調には本質的な影響は与えない。鋳造性の点か
らはSi量は少ないことが好ましく、2.0wt%を越え
れば薄板連続鋳造が困難となるおそれがある。
【0026】さらに、通常のアルミニウム合金において
は、鋳塊の結晶粒微細化のために少量のTiを単独で、
あるいは微量のBと組合せて添加することがあるが、請
求項1、請求項2の発明のロールボンドパネルにおいて
金属板として用いるAl−Mn系合金にも、0.003
〜0.15wt%のTiを単独でもしくは1〜100ppm
のBと組合せて添加しても良い。
【0027】すなわち、Tiは鋳塊の結晶粒を微細化し
て、圧延板のストリークス、キメを防止する効果がある
が、Ti0.003wt%未満ではその効果が得られず、
一方Tiが0.15wt%を越えればTiAl3 系粗大金
属間化合物が生成されてしまう。またBはTiと共存し
て結晶粒微細化を促進する元素であるが、B量が1ppm
未満ではその効果が得られず、一方100ppm を越えれ
ばその効果が飽和し、また粗大TiB2 粒子が生成され
て線状欠陥が発生する。
【0028】このほか、Mgを含有する系のアルミニウ
ム合金においては、溶湯の酸化を防止するために微量の
Beを添加することが従来から行なわれているが、請求
項1、請求項2の発明のロールボンドパネルで使用され
るAl−Mn系合金の場合にも500ppm 程度以下のB
eを添加することは特に支障ない。
【0029】さらに請求項1、請求項2の発明のロール
ボンドパネルで使用されるAl−Mn系合金において
は、Ni,Zr,V,Cu,Zn等が含まれることがあ
る。これらのうちNi,Zr,Vは遠赤外線放射特性や
陽極酸化皮膜の色調に本質的に影響しないが、Ni1.
0wt%以上、Zr0.3wt%以上、V0.3wt%以上で
は薄板連続鋳造が困難となるから、Niは1.0wt%未
満、Zrは0.3wt%未満、Vは0.3wt%未満に抑制
することが望ましい。またCu,Znは陽極酸化皮膜の
色調に若干の変化を与えるものの、遠赤外線放射特性や
黒色化に本質的な影響は与えないが、Cu1.0wt%以
上、Zn2.0wt%以上では薄板連続鋳造が困難となる
から、Cuは1.0wt%未満、Znは2.0wt%未満に
抑えることが望ましい。
【0030】次に上述のようなAl−Mn系合金からな
る圧延板、すなわち請求項1、請求項2の発明のロール
ボンドパネルに用いられるAl−Mn系合金圧延板を製
造するプロセス条件について説明する。
【0031】前述のように、Al−Mn系金属間化合物
の適切な析出状態を得て優れた遠赤外線放射特性と陽極
酸化処理後の黒色の色調とを達成するためには、鋳造速
度と、析出のための加熱処理が重要である。
【0032】鋳造については、鋳造速度を高めてMnを
充分に固溶させることにより、その後の析出処理でAl
−Mn系金属間化合物を適切な析出状態で析出させるこ
とが可能であり、そのためには5℃/sec 以上の鋳造速
度が好ましい。特に大きな板を製造する場合に、5℃/
sec 以上の冷却速度を得るためには、直接5〜10mm厚
程度の薄板を得る薄板連続鋳造法(連続鋳造圧延法)を
適用することが適切である。
【0033】一方、析出のための加熱は、300℃以
上、600℃以下の温度で0.5時間以上行なうことが
望ましい。温度が300℃未満では析出物が小さ過ぎて
陽極酸化処理後の色調として黒色が得られないととも
に、優れた遠赤外線放射特性が得られず、一方600℃
を越えれば陽極酸化処理後の色調が薄くなり、また結晶
粒の粗大化が生じる。また時間は、昇温過程から保持、
冷却過程を通じて300℃以上となっている時間が0.
5時間以上であれば良く、300℃以上の温度となって
いる時間が0.5時間未満では陽極酸化処理後に黒色が
得られず、また良好な遠赤外線放射特性も得られない。
【0034】なおこの析出のための加熱は、鋳塊のまま
で行なっても、また圧延の途中で、さらには圧延の後に
行なっても良い。したがってこの析出処理は、鋳塊に対
する均質化処理、あるいは熱間圧延のための加熱、さら
には熱間圧延直後もしくは冷間圧延の中途で必要に応じ
て行なわれる中間焼鈍、さらには冷間圧延後に必要に応
じて施される最終焼鈍などと兼ねて行なうことができ
る。そしてまた、後に改めて説明するロールボンドパネ
ルの製造過程で行なわれる熱間圧延・圧接のための加熱
や焼鈍と兼ねて行なっても良い。
【0035】このほか、熱間圧延や冷間圧延、さらには
必要に応じて行なわれる中間焼鈍や最終焼鈍は常法にし
たがって行なえば良い。
【0036】次に請求項3〜請求項5の発明において金
属板として用いているAl−Si系合金について説明す
る。
【0037】相当量のSiを含有するAl−Si系合金
では、初晶Si、共晶Siあるいは析出Siとして、金
属Si粒子が組織中に分散しており、そのAl−Si系
合金の表面に陽極酸化処理を施せば、陽極酸化皮膜中に
金属Si粒子がそのまま残留する。そのためその金属S
i粒子は、分散状態が適切であれば、既に述べたAl−
Mn系合金におけるAl−Mn系金属間化合物析出物の
場合と同様に、陽極酸化処理後の色調の黒色化および遠
赤外線放射特性に寄与し、かつ耐ヒートクラック性の向
上に寄与する。
【0038】このAl−Si系合金における成分組成の
限定理由について説明する。
【0039】Si:Siは鋳造時にその添加量に応じて
初晶Si、共晶Siとして晶出し、またこれらの晶出S
iは必要に応じて行なわれる熱処理や塑性加工によって
その形状が変化する。また必要に応じて熱処理された場
合、Alマトリックス中からも金属Siが析出する。こ
れらの初晶Si、共晶Si、析出Siは、前述のように
陽極酸化処理時に金属Si粒子として陽極酸化皮膜中に
取込まれ、入射光に対する散乱、吸収を通じて遠赤外線
放射特性の向上に寄与するとともに、クラックの発生防
止に寄与する。さらに金属Si粒子は、前述のように皮
膜内のポアを枝分かれ構造とすることに寄与し、これに
よっても遠赤外線放射特性の向上とクラック発生防止に
寄与する。基材アルミニウム合金のSi量が3wt%未満
では、金属Si粒子の数が少なく、遠赤外線の放射が不
充分となる。一方Si量が15wt%を越えれれば、陽極
酸化皮膜中の金属Si粒子の体積率が大き過ぎて陽極酸
化皮膜の強度、耐食性が低下してしまい、また圧延性も
低下する。したがってSi量は3〜15wt%の範囲内と
した。
【0040】ロールボンドパネルの金属板に使用される
Al−Si合金としては、上記のSiのほかは、基本的
にはAlおよび不可避的不純物とすれば良いが、請求項
4の場合は、Siのほか、さらに強度向上のためにF
e,Mg,Cu,Mn,Ni,Cr,V,Zr,Znの
うちの1種または2種以上が含有される。これらの添加
理由は次の通りである。
【0041】Fe:Feは強度向上および結晶粒微細化
のために有効である。Fe量が0.05wt%未満ではそ
の効果が得られず、2.0wt%を越えれば陽極酸化皮膜
の強度と耐食性が低下する。またFe量が2.0wt%を
越えれば、SiがFeと化合してAl−Fe−Si系の
金属間化合物の量が増加し、遠赤外線放射特性が低下す
る。したがってFeを添加する場合のFe量は0.05
〜2.0wt%の範囲とする。
【0042】Mg:Mgも強度向上に寄与する。Mg量
が0.05wt%未満ではその効果が得られず、一方2.
0wt%を越えればMgとSiとが結合してMg2 Siの
生成量が増加し、遠赤外線放射特性が低下する。またM
g量が2.0wt%を越えれば鋳造性、塑性加工性も低下
する。したがってMgを添加する場合のMg量は0.0
5〜2.0wt%の範囲内とする。
【0043】Cu:Cuの添加も強度向上に寄与する。
Cu量が0.05wt%未満ではその効果が得られず、一
方6.0wt%を越えれば鋳造性、塑性加工性、耐食性が
低下する。したがってCuを添加する場合のCu量は
0.05〜6.0wt%の範囲内とした。
【0044】Mn:Mnは強度向上に寄与するととも
に、結晶粒微細化、耐熱性向上に寄与する。Mn量が
0.05wt%未満ではこれらの効果が得られず、一方
2.0wt%を越えればMnがSiと結合してAl−Mn
−Si系の金属間化合物の生成量が増加し、遠赤外線放
射特性が低下する。またMn量が2.0wt%を越えれば
鋳造も困難となる。したがってMnを添加する場合のM
n量は0.05〜2.0wt%の範囲内とした。
【0045】Ni:Niも強度向上に寄与するととも
に、耐熱性向上に寄与する。Ni量が0.05wt%未満
ではこれらの効果が得られず、一方3.0wt%を越えれ
ば鋳造が困難となる。したがってNiを添加する場合の
Ni量は0.05〜3.0wt%の範囲内とした。
【0046】Cr,Zr,V:これらの元素は、強度向
上に寄与するとともに、結晶粒微細化に寄与する。いず
れも0.05wt%未満ではその効果が得られず、一方
0.5wt%を越えれば粗大な金属間化合物が生成されて
かえって強度を低下させる。したがってCr,Zr,V
の1種または2種以上を添加する場合の添加量は、いず
れも単独量で0.05〜0.5wt%の範囲内とする。な
おスラブ、ビレットなどの圧延や押出、あるいは鍛造を
適用する場合は、これらの元素の単独添加量が0.3wt
%を越えれば塑性加工性が低下して製造が困難となるか
ら、単独添加量で0.3wt%以下とすることが好まし
い。
【0047】Zn:Znは溶解原材料にスクラップを使
用した場合に必然的に混入する元素であるが、1wt%を
越えて積極的に含有させた場合、強度向上に寄与する。
Znが1.0wt%以下ではその効果が得られず、一方
7.0wt%を越えれば鋳造性が低下する。したがってZ
nを積極的に含有させる場合のZn量は1.0wt%を越
え7.0wt%以下とした。
【0048】さらに、請求項5の発明のロールボンドパ
ネルの合金板に使用されるAl−Si系合金の場合は、
組織微細化のために、Tiと、P,Na,Sb,Srの
うちの1種または2種以上が含有される。これらの成分
限定理由は次の通りである。
【0049】Ti:Tiは鋳塊結晶粒の微細化を通じて
組織の微細化に寄与する。Ti量が0.005wt%未満
ではその効果が得られず、一方0.2wt%を越えれば粗
大な金属間化合物が生成されて好ましくない。したがっ
てTiを添加する場合のTi量は0.005〜0.2wt
%の範囲内とした。なお鋳塊結晶粒微細化のためには、
TiとともにBを共存させることが効果的である。この
場合B量が1ppm 未満ではその効果が得られず、一方1
00ppm を越えればその効果が飽和するから、Tiと併
せてBを添加する場合のB量は1〜100ppm の範囲内
とすることが好ましい。
【0050】P:Pは初晶Siの微細化に寄与する。し
たがってPの添加は初晶Siが晶出するような約10wt
%以上のSiを含有する合金の場合に効果的である。P
量が0.005wt%未満では初晶Siの微細化の効果が
得られず、一方P量が0.1wt%を越えればその効果が
飽和する。したがってPを添加する場合のP量は0.0
05〜0.1wt%の範囲内とした。
【0051】Na,Sb,Sr:これらの元素は共晶S
iの微細化に寄与する。いずれも0.005wt%未満で
はその効果が得られず、一方Na,Srは0.1wt%を
越えればその効果が飽和し、またSbは0.3wt%を越
えればその効果が飽和する。したがってNaを添加する
場合のNa量は0.005〜0.1wt%、Sbを添加す
る場合のSb量は0.005〜0.3wt%、Srを添加
する場合のSr量は0.005〜0.1wt%の範囲内と
した。なおNb,Sb,SrがPと共存した場合には、
Pによる初晶Siの微細化効果が失われてしまうから、
Pとは共存させないことが望ましい。
【0052】以上の各元素のほか、溶解時の酸化防止の
ためにBeを1〜100ppm 程度添加することは特に支
障はない。またその他の元素も、合計で1wt%以下程度
の微量であれば特に遠赤外線放射特性に悪影響を及ぼす
ことはない。
【0053】次に上述のようなAl−Si系合金を用い
た圧延板における組織状態、特に金属Si粒子の分散状
態について説明する。
【0054】既に述べたように、相当量のSiを含有す
る系のアルミニウム合金では、鋳造時にその添加量に応
じて初晶Si、共晶Siとして晶出する。そして鋳造後
に熱処理された場合には、Alマトリックス中からも金
属Siが析出する。これらの晶出Si(初晶Si、共晶
Si)や析出Siは、陽極酸化処理後においてもそのま
ま金属Si粒子として皮膜中に残存する。そしてこの陽
極酸化皮膜中の金属Si粒子は、赤外線放射特性や陽極
酸化皮膜の耐クラック性に大きな影響を与える。
【0055】ここで、良好な遠赤外線の放射特性を得る
ためには、金属Si粒子のサイズ(粒径)と分布が重要
である。すなわち、先ず金属Si粒子の径が0.05μ
m未満の場合には、可視光線、遠赤外線の散乱吸収が不
充分であって、良好な放射特性が得られず、また目視的
にも黄味が強くなって黒色とは言えなくなる。したがっ
て粒径が0.05μm以上の金属Si粒子が存在するこ
とが必須であり、その0.05μm以上の金属Si粒子
の分布状態を適切に制御する必要がある。
【0056】金属Si粒子が全く存在しないか、または
存在しても粒径が0.05μm未満の金属Si粒子しか
存在しない領域は、可視光線、遠赤外線の吸収が劣る領
域である。したがってそのような領域がある程度以上存
在すれば、全体に黒色とならず、かつ遠赤外線放射特性
が悪くなる。またこのような領域は、応力を緩和するポ
イントが皆無であるかまたは少ないため、その領域の陽
極酸化皮膜はクラックが生じやすくなる。そこでAl−
Si系合金を用いた請求項3〜請求項5の発明では、金
属Si粒子が存在しないかまたは存在しても0.05μ
m未満の粒子のみであるような領域(以下これを便宜
上、「無粒子領域」と記す)を、次の2条件によって規
制している。 (A)無粒子領域に描ける円の最大直径が30μm以下
であること。 (B)無粒子領域のうち、直径15μmの円を描ける領
域の合計面積が、全体に対し面積率で30%以下である
こと。
【0057】ここで(A)の条件は、個々の無粒子領域
の広さが小さいことを意味し、また(B)の条件はある
程度以上の広さの無粒子領域の合計面積が少ないことを
意味するが、さらに(A),(B)の条件を図面を参照
して具体的に説明する。
【0058】アルミニウム合金の鋳塊組織は、一般に図
1に示すようにデンドライト構造となっており、デンド
ライト部分(樹枝状部分)はα固溶体(1)となってい
る。そしてα固溶体(1)からなるデンドライト部分の
周囲は、共晶領域(2)、すなわちα相と金属Siとが
交互に共存する領域となっている。したがってこの場合
は、デンドライトのα固溶体(1)の領域が、無粒子領
域であると言える。
【0059】また一般に過共晶のAl−Si合金では、
初晶Siが晶出し、鋳塊組織では、図2に示すように初
晶Si(3)の周辺がα固溶体(1)となることが多
い。この場合は初晶Si(3)の周辺のα固溶体(1)
の部分が無粒子領域と言うことができる。
【0060】さらに、鋳造時の冷却速度が遅い徐冷組織
の場合には、図3に示すように共晶組織中のSi(4)
が粗大で不規則針状となり、デンドライトの境界が不鮮
明となることがある。この場合には共晶組織中のSi
(4)の相互間の部分すべてを無粒子領域と見なければ
ならないこともある。
【0061】一方、鋳造後に熱処理を行なう場合には、
例えば図4に示すようにデンドライトのα固溶体中に金
属Si粒子が析出し、したがってもとのデンドライトの
部分(1′)も無粒子領域ではなくなることが多い。
【0062】そして鋳塊に対して圧延を行なえば、例え
ば図5に示すように、鋳塊段階でデンドライトの無粒子
領域であった部分(1)の形状、寸法が変化する。
【0063】ここで、前記(A)の条件に関して、図5
の右側の圧延組織に対し、その無粒子領域に最も大径の
円(5)を描いてみた様子を、図6に示す。(A)の条
件は、要はこれらの最大円(5)が30μm以下であれ
ば良いことを意味する。
【0064】また前記(B)の条件に関して、同じく図
5の右側の圧延組織に対し、その無粒子領域に直径15
μmの円(6)を描ける限りに描いた様子を、図7に示
す。この図において、太い実線(7)は直径15μmの
円が描ける領域の外周線を示す。前記(B)の条件は、
この外周線(7)に囲まれる領域の面積が、全体の面積
の30%以下であれば良いことを意味する。
【0065】前記(A)の条件を満たさない場合、すな
わち直径30μmより大きい無粒子領域がある場合に
は、陽極酸化皮膜にクラックが生じやすくなり、遠赤外
線放射特性も悪くなる。一方、前記(B)の条件を満た
さない場合、すなわち直径15μm以上の無粒子領域の
総和が全面積に対し30%を越える場合には、皮膜中の
遠赤外線吸収領域が減少し、遠赤外線放射特性が悪くな
り、また目視でも黒色とならない。なお直径15μm未
満の小さな円しか描けないような領域であれば、その面
積の総和が全体の30%を越えても陽極酸化皮膜の耐ク
ラック性は特に阻害されず、また目視の色調が黒色で、
良好な遠赤外線放射特性が得られる。
【0066】以上のような(A),(B)の条件につい
て、Al−Si系合金圧延板の製造工程と関連してさら
に詳細に述べる。
【0067】請求項3〜請求項5の発明で規定する成分
範囲のAl−Si系合金を鋳造すれば、鋳造のままでは
一般に共晶のSi(および初晶のSi)が、初晶のAl
−αデンドライトとともに晶出する。このデンドライト
の枝は、鋳造のままでは固溶体になっており、この部分
には金属Siは存在しない。
【0068】αデンドライトの太さは、鋳造時の冷却速
度に影響され、冷却速度が遅ければ、枝と枝の間隔が拡
大し、枝の太さも太くなる。冷却速度が速ければデンド
ライトの間隔は狭くなり、枝の太さも小さくなる。した
がって砂型鋳造のように比較的鋳造速度が遅い場合に
は、デンドライトの幹の太さが30μm以上になりやす
く、また直径15μm以上の円の描ける領域の面積も増
加するため、鋳造のままでは、金属Siの分布が前記
(A),(B)の条件を満たさない場合が多い。逆にダ
イカスト鋳造やロールキャスターの如く冷却速度の速い
鋳造の場合には、デンドライト間隔も密となり、デンド
ライトの幹の太さも小さくなる。このため、前述の
(A),(B)の条件を鋳造のままで満たすことが多
く、この場合には、鋳造のままでも良好な遠赤外線放射
特性を得ることができる。
【0069】前述のように鋳造段階ではデンドライトが
粗く、(A),(B)の条件を満たす組織が得られない
場合には、鋳塊を加熱して、デンドライト中に金属Si
を析出させればよい。析出Si粒子は、鋳造の際の晶出
Si粒子のサイズと比べれば小さいのが一般的である
が、温度条件を適切に選択すれば、0.05μm以上の
Si粒子がデンドライトのα相中に析出する。このよう
に、鋳造段階ではデンドライト組織が粗く、無粒子領域
が広い場合であっても、析出処理を施すことにより前記
(A),(B)の条件を満たす組織とし、それによって
遠赤外線放射特性を向上させることが可能である。なお
この場合の析出処理の温度は、合金の成分によっても異
なるが、300℃から550℃程度が通常であり、時間
も0.5時間から24時間程度が通常である。300℃
未満では、析出Si粒子のサイズが小さく、0.05μ
m未満になりやすい。また550℃を越えれば、局部溶
融が生じたり、Siの析出量が少なくなって、鋳塊の組
織によっては直径15μm以上の円の描ける領域の面積
の比率が30%を越えてしまうことがある。析出処理の
時間は0.5時間未満では効果がなく、24時間を越え
ることは経済的に無駄である。
【0070】熱間圧延等の熱間加工を行なう場合には、
デンドライトの組織の如何にかかわらず、熱間加工前に
鋳塊の加熱を行なう必要があり、そこでこの熱間加工前
の加熱処理を前述の析出処理と兼ねさせることができ
る。もちろん熱間加工前の加熱処理の前、あるいは熱間
加工後、さらにはその後の冷間加工の中途あるいは熱間
加工後などのいずれの時点においても、前述のようなサ
イズのSiが析出されるような加熱処理を、単独で、あ
るいは焼鈍と兼ねて施すことができる。さらには、ロー
ルボンドパネルの製造過程における圧接のための熱間圧
延の前の加熱や焼鈍と兼ねて行なうこともできる。なお
熱間圧延を行なう場合は、熱間圧延中に割れが発生しな
いように注意する必要がある。Si量が15wt%を越え
る場合には熱間圧延時に割れが生じやすくなる。
【0071】鋳造材に対しては冷間圧延を直接行なうこ
ともある。すなわち、薄板連続鋳造法(連続鋳造圧延
法)では、冷却ロール間で連続的に5〜20mmの薄板が
鋳造されるが、この場合その鋳造板に対し直接冷間圧延
を施すことが多い。このような連続鋳造圧延の場合は、
冷却速度が著しく高いため、組織が微細となるから、特
に析出処理を行なわなくても、そのままで前記(A),
(B)の条件を満たすことが多い。すなわち連続鋳造圧
延のまま、もしくは冷間圧延のままで優れた遠赤外線放
射特性を示す。
【0072】但し、前述のような冷間圧延を行なう場合
であっても、鋳造段階では組織条件として前記(A),
(B)の条件を満たしていなければ、必要に応じて加熱
析出処理を施し、0.05μm以上の金属Si粒子を無
粒子領域に析出させて前記(A),(B)の条件を満足
させるようにすれば良い。
【0073】なお、熱間圧延や冷間圧延などの鍛練工程
が施された場合は、デンドライトなどの無粒子領域はそ
の加工により均一化が進行する。そして総加工率が70
%を越えれば、もとのデンドライトの痕跡はほとんど消
滅し、金属Si粒子の分布が均一化される。したがって
高加工度の熱間圧延や冷間圧延を施す場合には、鋳造段
階では前記(A),(B)の条件を満たしていなくても
その後の加工により容易にその条件を満たすようにする
ことができる。
【0074】この発明のロールボンドパネルにおいて
は、そのロールボンドパネルを構成する第1金属板、第
2金属板のうちいずれか一方または双方に既に述べたよ
うなAl−Mn系アルミニウム合金圧延板(請求項1、
請求項2の場合)、もしくはAl−Si系アルミニウム
合金圧延板(請求項3〜請求項5の場合)を用いる。
【0075】第1金属板と第2金属板を用いてロールボ
ンドパネルを製造するプロセス自体は従来と同様であれ
ば良い。すなわち両者の金属板の間の予め定めた位置に
所定のパターンで圧着防止剤を介在させて両金属板を重
ね合わせ、加熱してから熱間圧延によって両金属板を圧
接させる。その後、必要に応じて冷間圧延を施して所要
の板厚とし、さらに必要に応じて焼鈍を行なった後、非
圧着部すなわち前述のように圧着防止剤を介在させた部
分に流体圧を導入し、その非圧着部の片側または両側の
金属板を膨出させる。これによってその膨出部分が中空
管路となる。したがって所定のパターンに従った中空管
路が形成されることになる。
【0076】なお上述のロールボンドパネル製造過程に
おける熱間圧延前の加熱温度および圧延後の焼鈍温度
は、Al−Mn系アルミニウム合金板を用いた場合は2
00〜600℃が好ましく、Al−Si系アルミニウム
合金を用いた場合は200〜550℃が好ましい。
【0077】さらにこの発明のロールボンドパネルにお
いては、前述のようなAl−Mn系アルミニウム合金も
しくはAl−Si系アルミニウム合金からなる金属板の
各表面のうち、ロールボンドパネルの表側となる面のう
ちの少なくとも一つの面には、陽極酸化皮膜が形成され
る。ここで、前述のようなAl−Mn系アルミニウム合
金圧延板もしくはAl−Si系アルミニウム合金圧延板
に陽極酸化処理を施せば、黒色の色調を有する陽極酸化
皮膜が生成され、その陽極酸化皮膜は優れた遠赤外線放
射特性を示すとともに、良好な耐ヒートクラック性を示
す。すなわち、陽極酸化処理時には、Al−Mn系アル
ミニウム合金圧延板の場合にはAl−Mn系金属間化合
物の析出物粒子が、またAl−Si系アルミニウム合金
圧延板の場合には金属Si粒子が皮膜中にそのまま残存
した状態で陽極酸化皮膜が成長する。そのため、皮膜中
のポアの成長がAl−Mn系金属間化合物粒子もしくは
金属Si粒子により妨げられ、枝分かれした微細なポア
を有する多孔質の皮膜が生成される。さらに、陽極酸化
皮膜中にそのまま残存して分散しているAl−Mn系金
属間化合物粒子もしくは金属Si粒子と前述の枝分かれ
した微細なポアが入射光を散乱吸収し、その結果目視で
の色調が黒色となり、かつ遠赤外線の放射特性も良好と
なる。そしてまた前述の枝分かれした微細なポア構造と
皮膜中に分散したAl−Mn系金属間化合物粒子もしく
は金属Si粒子が熱応力の緩和点として機能し、そのた
め皮膜にクラックが生じにくくなり、500℃程度の高
温に至るまでクラックが生じることなく使用可能とな
る。
【0078】なお陽極酸化皮膜の膜厚は10μm以上が
必要である。すなわち黒色の色調としては、表面の明度
をあらわすマンセル値にして4.5以下の値が適当であ
り、また黒色の色調はハンターカラーシステムにおける
L値、a値、b値によっても評価でき、この場合 であることが適当であるが、膜厚が10μm以上であれ
ば上述のようなマンセル値あるいはハンターカラーシス
テムにおける各値で定義される黒色度を満たすことがで
き、また遠赤外線放射特性も良好となり、しかも500
℃まで加熱してもクラックの発生が防止される。
【0079】なお陽極酸化処理の条件は特に限定される
ものではなく、硫酸、シュウ酸などの無機酸、あるいは
有機酸、さらにはこれらの混合酸などの電解浴を用い、
直流、交流、あるいは交直併用、交直重畳波形など、任
意の波形を用いて陽極酸化処理を行なえば良い。但し、
経済性や作業効率の観点からは、硫酸浴で直流電流を用
いることが好ましい。また陽極酸化処理の前には脱脂、
苛性エッチング等の前処理を行なうのが一般的であり、
苛性エッチングを行なった場合には引続いて硝酸等の酸
でデスマット処理を施すのが一般的である。そのほか必
要に応じて、切削加工、酸洗浄、化学研磨処理、ヘアラ
イン加工、シヨットブラスト等の機械的前処理などを実
施しても良いことはもちろんである。
【0080】
【実施例】
実施例1 表1の合金符号Aで示す成分組成の合金を2ロール式の
薄板連続鋳造法(連続鋳造圧延法)によって鋳造し、板
厚7mmの鋳造板を得た。なお鋳造時の冷却速度は200
〜300℃/sec であった。次いで鋳造板を冷間圧延し
て厚さ3mmの圧延板とした。
【0081】得られた圧延板の2枚をロールボンドパネ
ル用の第1金属板、第2金属板とし、次のようにしてロ
ールボンドパネルを作成した。すなわち、第2金属板の
一方の面に所定のパターンで圧延防止剤を印刷し、次い
で両金属板を500℃で2時間加熱した後、直ちに圧下
率60%で熱間圧延して両金属板を圧接させた。その後
圧下率50%で冷間圧延して全厚み1.2mmとし、さら
に400℃×3時間の焼鈍を施した。このようにして得
られた合せ板を金型に入れ、金型圧55kg/mm2 Gを加
えつつ非圧着部へ圧力150kg/mm2 Gで流体圧を加
え、非圧着部を膨出させ、ロールボンドパネルを得た。
【0082】比較のため、純アルミニウム系のA105
0合金からなる板厚3mmの圧延板を用い、同様なプロセ
スでロールボンドパネルを作成した。
【0083】これらのロールボンドパネルについて、1
0%NaOHでエッチングし、水洗後、硝酸でデスマッ
トした。さらに、次のような条件で陽極酸化処理を行な
った。すなわち、硫酸濃度15 vol%の硫酸浴を用い、
20℃の浴温で電流密度1.5A/dm2 にて陽極酸化処
理を施し、膜厚35μmの陽極酸化皮膜を生成させた。
【0084】合金符号Aの合金を用いたロールボンドパ
ネルの陽極酸化処理後の表面の色調をスガ試験機製ハン
ターカラーメータ SM−3−MCHにより調べたとこ
ろ、ハンターカラーシステムのL値は28、a値は−
0.02、b値は−0.11で、前述のような黒色度の
条件を満たしていることが判明した。
【0085】また同じく陽極酸化処理後の表面の色調が
黒色となったロールボンドパネルの素材の圧延板につい
て表面の析出物の分布状態を透過電子顕微鏡により調べ
たところ、平均析出物サイズは0.02〜0.8μm、
析出物の密度は1×109 〜1×1011個/mm2 である
ことが判明した。
【0086】さらに前述の合金符号Aの合金を用いたロ
ールボンドパネルおよび比較のためのA1050合金を
用いたロールボンドパネルについて、それぞれ陽極酸化
処理後の分光放射率を300℃で調べたところ、図8に
示す結果が得られた。
【0087】図8から明らかなように、比較材を用いた
場合は7μm以下の波長で放射率が著しく低下したが、
合金符号Aの合金を用いた場合には、7μm以下の波長
でも放射率が低下することがなく、しかも全般的に高い
放射率が得られ、したがって遠赤外線放射特性が著しく
優れていることが判る。
【0088】実施例2 表1の合金符号Bの合金について、実施例1と同様に連
続鋳造および冷間圧延を行なって厚さ3mmの圧延板とし
た。さらにこの圧延板の2枚を第1金属板、第2金属板
とし、第2金属板の片面に所定のパターンで圧着防止剤
を印刷し、次いで両金属板を450℃×2時間加熱して
直ちに圧下率60%で熱間圧延し、両金属板を圧接させ
た。次いで50%の冷間圧延を行なって全厚み1.2mm
の合せ板とした。その後金型に入れて、金型圧45kg/
mm2 Gとして非圧着部に150kg/mm2 Gの流体圧を導
入し、非圧着部を膨出させてロールボンドパネルを得
た。
【0089】比較のため、純アルミニウム系のA105
0合金からなる板厚3mmの圧延板を用い、同様なプロセ
スでロールボンドパネルを作成した。
【0090】これらのロールボンドパネルについて、実
施例1と同様にエッチング、水洗、デスマットを行なっ
た後、陽極酸化処理を施して35μm厚の陽極酸化皮膜
を生成させた。陽極酸化処理の条件は実施例1の場合と
同じである。
【0091】各ロールボンドパネルの陽極酸化処理後の
表面について、マンセル明度を測定するとともに、30
0℃での分光放射率を測定した。なお分光放射率は、従
来の一般的な陽極酸化皮膜では波長3〜7μmにおいて
劣っているところから、ここではその範囲内の代表的な
波長6μmにおいて測定した。その結果、純アルミニウ
ム系の比較材を用いたロールボンドパネルの場合には、
マンセル明度が8.3、波長6μmでの分光放射率が
0.43であったのに対し、本発明材である合金符号B
の合金を用いたロールボンドパネルの場合には、マンセ
ル明度が2.2、波長6μmでの分光放射率が0.89
であって、充分な黒色の色調を有しかつ遠赤外線放射特
性に優れていることが判明した。
【0092】また、合金符号Bの合金の圧延板につい
て、その表面の金属組織を50〜100倍の顕微鏡で観
察し、0.05μm以上の析出物が存在しない領域を調
べた。但し、光学顕微鏡では判定し得た0.05μmに
近い微小な析出物が析出していると思われる場合には、
透過型電子顕微鏡を用いて調べた。その結果、径が0.
05μm以上の金属Si粒子が存在しない領域に描ける
円の最大径は3μmであり、また0.05μm以上の金
属Si粒子が存在しない領域のうち、直径15μmの円
を描ける領域の合計面積は零であり、したがってその面
積率も0%であることが判明した。このことは、金属S
i粒子の分布条件が請求項3〜請求項5で規定する要件
を満たしていることを意味する。
【0093】
【表1】
【0094】
【発明の効果】この発明のロールボンドパネルは、遠赤
外線放射特性が優れ、特に従来のアルミニウム材料の陽
極酸化皮膜で劣るとされていた3〜7μmの波長域にお
ける放射特性に優れており、しかも耐ヒートクラック性
に優れていて、500℃程度の高温まで熱歪によるクラ
ックが陽極酸化皮膜に発生するおそれがなく、さらには
陽極酸化皮膜中のAl−Mn系金属間化合物析出物粒子
もしくは金属Si粒子の分散状態によって優れた遠赤外
線放射特性を得ているため、経時的に遠赤外線放射特性
が低下するおそれもない。したがってこの発明のロール
ボンドパネルは、これを熱交換体として使用すれば、対
流、熱伝導のみならず、輻射熱を積極的に利用すること
ができ、そのため熱交換体として熱交換効率を高め得る
ばかりでなく、ロールボンドパネルを用いた熱交換体の
適用分野を従来よりも大幅に拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al−Si系アルミニウム合金の鋳塊組織の第
1の例を示す模式図である。
【図2】Al−Si系アルミニウム合金の鋳塊組織の第
2の例を示す模式図である。
【図3】Al−Si系アルミニウム合金の鋳塊組織の第
3の例を示す模式図である。
【図4】Al−Si系アルミニウム合金の鋳塊に熱処理
を施した場合の組織変化の一例を示す模式図である。
【図5】Al−Si系アルミニウム合金の鋳塊に圧延加
工を施した場合の組織変化の一例を示す模式図である。
【図6】この発明の請求項3〜請求項5で規定する組織
条件のうち、粒径0.05μm以上の金属Si粒子が存
在しない領域に描ける円の最大径について説明するため
の図で、図5の右側に示される組織に対応して示す模式
図である。
【図7】この発明の請求項3〜請求項5で規定する組織
条件のうち、粒径0.05μm以上の金属Si粒子が存
在しない領域における直径15μmの円を描くことがで
きる領域をについて説明するための図で、図5の右側に
示される組織に対応して示す模式図である。
【図8】実施例1における分光放射率曲線を示すグラフ
である。
【図9】ロールボンドパネルの製造プロセスを示す略解
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 21/00 C22C 21/00 L 21/02 21/02 // C25D 11/04 C25D 11/04 E

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2枚の金属板を、その間の予め定めた位
    置に所定のパターンで圧着防止剤を介在させた状態で相
    互に圧着させ、前記圧着防止剤の介在により生じた非圧
    着部に流体圧を導入することによりその非圧着部の一方
    または双方の側の金属板を膨出させてなるロールボンド
    パネルにおいて、 前記2枚の金属板のうち、いずれか一方もしくは双方の
    金属板として、Mn0.3〜4.3wt%を含有し、残部
    がAlおよび不可避的不純物よりなり、かつ粒径0.0
    1〜3μmのAl−Mn系金属間化合物析出物が分散し
    ているAl−Mn系アルミニウム合金圧延板が用いられ
    ており、しかもそのアルミニウム合金圧延板の各面のう
    ち、ロールボンドパネルの表側となる面の少なくとも1
    つの面には、10μm以上の厚みの陽極酸化皮膜が生成
    されていることを特徴とする、遠赤外線放射性の優れた
    ロールボンドパネル。
  2. 【請求項2】 2枚の金属板を、その間の予め定めた位
    置に所定のパターンで圧着防止剤を介在させた状態で相
    互に圧着させ、前記圧着防止剤の介在により生じた非圧
    着部に流体圧を導入することによりその非圧着部の一方
    または双方の側の金属板を膨出させてなるロールボンド
    パネルにおいて、 前記2枚の金属板のうち、いずれか一方もしくは双方の
    金属板として、Mn0.3〜4.3wt%およびMg0.
    05〜6.0wt%を含有し、残部がAlおよび不可避的
    不純物よりなり、かつ粒径0.01〜3μmのAl−M
    n系金属間化合物析出物が分散しているAl−Mn系ア
    ルミニウム合金圧延板が用いられており、しかもそのア
    ルミニウム合金圧延板の各面のうち、ロールボンドパネ
    ルの表側となる面の少なくとも1つの面には、10μm
    以上の厚みの陽極酸化皮膜が生成されていることを特徴
    とする、遠赤外線放射性の優れたロールボンドパネル。
  3. 【請求項3】 2枚の金属板を、その間の予め定めた位
    置に所定のパターンで圧着防止剤を介在させた状態で相
    互に圧着させ、前記圧着防止剤の介在により生じた非圧
    着部に流体圧を導入することによりその非圧着部の一方
    または双方の側の金属板を膨出させてなるロールボンド
    パネルにおいて、 前記2枚の金属板のうち、いずれか一方もしくは双方の
    金属板として、Si3〜15wt%を含有し、残部がAl
    および不可避的不純物よりなり、かつ初晶Si、共晶S
    iもしくは析出Siからなる金属Si粒子のうち粒径
    0.05μm以上の金属Si粒子が存在しない領域に描
    ける円の最大直径が30μm以下であり、しかも粒径
    0.05μm以上の金属Si粒子が存在しない領域のう
    ち、直径15μmの円を描ける領域の合計面積が、全体
    の面積に対し面積率30%以下であるAl−Si系アル
    ミニウム合金圧延板が用いられており、さらにそのアル
    ミニウム合金圧延板の各面のうち、ロールボンドパネル
    の表側となる面の少なくとも1つの面には、10μm以
    上の厚みの陽極酸化皮膜が生成されていることを特徴と
    する、遠赤外線放射性の優れたロールボンドパネル。
  4. 【請求項4】 2枚の金属板を、その間の予め定めた位
    置に所定のパターンで圧着防止剤を介在させた状態で相
    互に圧着させ、前記圧着防止剤の介在により生じた非圧
    着部に流体圧を導入することによりその非圧着部の一方
    または双方の側の金属板を膨出させてなるロールボンド
    パネルにおいて、 前記2枚の金属板のうち、いずれか一方もしくは双方の
    金属板として、Si3〜15wt%を含有し、かつFe
    0.05〜2.0wt%、Mg0.05〜2.0wt%、C
    u0.05〜6.0wt%、Mn0.05〜2.0wt%、
    Ni0.05〜3.0wt%、Cr0.05〜0.5wt
    %、V0.05〜0.5wt%、Zr0.05〜0.5wt
    %、Zn1.0%を越え7.0wt%以下のうちの1種ま
    たは2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純
    物よりなり、かつ初晶Si、共晶Siもしくは析出Si
    からなる金属Si粒子のうち粒径0.05μm以上の金
    属Si粒子が存在しない領域に描ける円の最大直径が3
    0μm以下であり、しかも粒径0.05μm以上の金属
    Si粒子が存在しない領域のうち、直径15μmの円を
    描ける領域の合計面積が、全体の面積に対し面積率30
    %以下であるAl−Si系アルミニウム合金圧延板が用
    いられており、さらにそのアルミニウム合金圧延板の各
    面のうち、ロールボンドパネルの表側となる面の少なく
    とも1つの面には、10μm以上の厚みの陽極酸化皮膜
    が生成されていることを特徴とする、遠赤外線放射性の
    優れたロールボンドパネル。
  5. 【請求項5】 2枚の金属板を、その間の予め定めた位
    置に所定のパターンで圧着防止剤を介在させた状態で相
    互に圧着させ、前記圧着防止剤の介在により生じた非圧
    着部に流体圧を導入することによりその非圧着部の一方
    または双方の側の金属板を膨出させてなるロールボンド
    パネルにおいて、 前記2枚の金属板のうち、いずれか一方もしくは双方の
    金属板として、Si3〜15wt%を含有し、かつTi
    0.005〜0.2wt%を含有するとともに、P0.0
    05〜0.1wt%、Na0.005〜0.1wt%、Sb
    0.005〜0.3wt%、Sr0.005〜0.1wt%
    のうちの1種または2種以上を含有し、残部がAlおよ
    び不可避的不純物よりなり、かつ初晶Si、共晶Siも
    しくは析出Siからなる金属Si粒子のうち粒径0.0
    5μm以上の金属Si粒子が存在しない領域に描ける円
    の最大直径が30μm以下であり、しかも粒径0.05
    μm以上の金属Si粒子が存在しない領域のうち、直径
    15μmの円を描ける領域の合計面積が、全体の面積に
    対し面積率30%以下であるAl−Si系アルミニウム
    合金圧延板が用いられており、さらにそのアルミニウム
    合金圧延板の各面のうち、ロールボンドパネルの表側と
    なる面の少なくとも1つの面には、10μm以上の厚み
    の陽極酸化皮膜が生成されていることを特徴とする、遠
    赤外線放射性の優れたロールボンドパネル。
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