JPH05227945A - ベシキュラー・アービュスキュラー菌根菌の製造方法 - Google Patents

ベシキュラー・アービュスキュラー菌根菌の製造方法

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JPH05227945A
JPH05227945A JP7282992A JP7282992A JPH05227945A JP H05227945 A JPH05227945 A JP H05227945A JP 7282992 A JP7282992 A JP 7282992A JP 7282992 A JP7282992 A JP 7282992A JP H05227945 A JPH05227945 A JP H05227945A
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mycorrhizal
plant
spores
culture
culturing
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JP7282992A
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Haruo Sumiya
治夫 角谷
Hidehiko Ishimaru
英彦 石丸
Akihiro Udagawa
昭洋 宇田川
Sonoko Miyamoto
園子 宮本
Rika Matsuno
里香 松野
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Lion Corp
Original Assignee
Lion Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ベシキュラー・アービュスキュラー菌根菌
(VA菌根菌)と植物とを共生培養するに際して、根の
生育可能な空間の水平方向の平均断面積が0.5〜10
0cm2の構造を有する容器を三次元的に配置し、温
室、恒温室、人工気象器等の人工的に制御した培養環境
下で培養し、VA菌根菌を製造し、植物を培養する。製
造されたVA菌根菌を組織培養植物に接種することによ
り苗を製造する。製造されたVA菌根菌は、VA菌根菌
組成物として利用する。 【効果】 生産効率の向上、省スペース化、年に複数回
の生産が可能となり、VA菌根菌が工業的に大量に得ら
れ、工業的な植物の大量培養ができる。組織培養によ
り、高い生存率で苗が得られ歩留りが向上する。安価な
製造コストで工業的に大量にVA菌根菌組成物が得ら
れ、施肥量軽減、悪い栽培環境に対する抵抗性の向上、
農産物の品質向上が実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、VA菌根菌を製造する
方法、植物を培養する方法、苗を生産する方法、VA菌
根菌組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】VA菌根菌は、植物と共生することによ
って、その共生植物の養分吸収(特にリン)を促した
り、共生植物を土壌の病原菌から保護する等、好ましい
影響を与えることが現在までに多数報告されている。そ
こで、工業的にVA菌根菌を生産し共生させることがで
きれば、作物への施肥量軽減、悪い栽培環境に対する抵
抗性の向上、農産物の品質の向上が期待できる。
【0003】しかし、VA菌根菌は植物と共生していな
ければ増殖しない絶対共生菌で純粋培養できないことか
ら、効率良く大量に生産する技術の開発が大変困難とな
っている。
【0004】現在までに提案されたVA菌根菌の培養方
法は、以下のような方法がある。 鉢培養において、培養基体として多孔性構造を有す
る物質などを用い植物体を栽培し、VA菌根菌を共生さ
せ増殖させる方法(特開昭60−237987号公
報)。
【0005】 水耕栽培において、培養液を薄膜状に
し常時培地の供給を行なって植物体の栽培を行ない、V
A菌根菌を増殖させる方法(特開昭55−118390
号公報)。 ポットカルチャー法を用いた様々な条件におけるV
A菌根菌の培養(曽田ら、木炭と木酢液の新用途開発研
究成果集(1990))。
【0006】 短日植物に短日処理を行なうことによ
りVA菌根菌の増殖を促進する方法(特開平2−227
068号公報)。 粒径の異なる培土を深さ方向の界面において接触せ
しめて充填し植物を栽培してVA菌根菌を共生させ増殖
させる方法(特開平3−76572号公報)。
【0007】 根の器官培養物とVA菌根菌を共生さ
せ増殖させる方法(特開昭62−19028号公報)。 毛状根とVA菌根菌を共生させ増殖させる方法(特
公昭62−49037号公報)。
【0008】 毛状根とVA菌根菌を共生させ増殖さ
せる方法(G. Becard ら、New Phyto
l. 108,211 (1988))。 VA菌根菌をゼオライトを含む培土で特定の植物と
共に培養しVA菌根菌を増殖させる方法(特開平3−2
47270号公報)。
【0009】しかしいずれの方法でも、VA菌根菌の増
殖培率、生産量、生産密度、培養期間、管理の手間など
を総合的に考えた生産効率が未だ十分でなかった。すな
わち、上記〜の中では増殖倍率、生産
量などの点でかなり生産効率が低く、一方、比較的生産
効率の高いについても以下のような問題があっ
た。
【0010】においてはギガスポラ・マルガリータの
胞子生産のための条件として、ポットサイズを100m
l程度にするのが生産密度、培養期間の点で最も好まし
いとしているが、このように、小容器を多数配置し培養
を行なうと手間がかかるし、2次元的に配置するのは工
業的に不利であり、VA菌根菌の大量生産法として未だ
確立されたものではなかった。
【0011】また、においては、大量に生産する方法
として250mlのポットで栽培した後、3000ml
のポットに移植しているが、このような手間をかけなけ
れば高い生産効率でスケールアップできなかった。さら
に、VA菌根菌と共生させる植物が短日植物で、栽培途
中に短日条件で栽培する必要があり栽培環境を変えなけ
ればならない煩雑な操作が必要であった。
【0012】また、については粒径の異なる2種類の
培土を用意する必要があるし、粒径の小さい方に大量に
胞子生産がみられても粒径の大きい培土のスペースが無
駄になり、結局単位体積あたりの胞子生産量は小さくな
ってしまう問題がある。また、VA菌根菌を年間複数回
工業的に生産する具体的な方法は未だ開発されていな
い。
【0013】VA菌根菌の優れた性質を利用するため
に、植物にVA菌根菌を共生させ培養する方法はいくつ
か知られているが、いずれも工業的に効率よく植物を培
養する具体的な方法は未だ開発されていない。
【0014】組織培養により苗を生産する方法は、ウイ
ルスなどの病原菌に汚染されていない苗を生産したり、
新品種、優良品種、種子繁殖の不可能な品種、細胞融合
などにより得られた細胞などを均一で大量に増殖させる
場合などに有効な技術である。しかし、これらの増殖方
法はどれも無菌で、照明・温度などが制御された環境で
行なわれており、ここで得られた植物体を利用するに
は、このような完全に制御された環境から、例えば温室
のような完全には制御されていない環境、望ましくは自
然環境下へ解放する必要がある。
【0015】このように制御された環境で育てた植物
を、自然環境に慣らすまでの過渡的な工程である順化工
程において、良好な活着、生長が得られないことや、商
品価値のある苗を生産するまでに長期間必要で人件費が
かかり、さらに歩留りが低いことは大きな問題であっ
た。そのため従来その応用はラン、カーネーション、イ
チゴなどの高級施設園芸作物に限定されていた。
【0016】また、現行の方法の場合は容器内の植物に
何も処理をせずに順化工程に移行するために、この工程
はより困難なものになっていた。すなわち、植物にとっ
て急激な湿度の低下は特に地上部を最初に枯死に至らし
めてしまう。そして、完全な無菌状態ではなく、かつ外
気よりは湿度の高い順化工程においてはこの枯死した地
上部を中心に雑菌による汚染が広がり、その株の地下部
までやがては枯死させてしまう。さらに、雑菌による汚
染が他の株にまで広がり、ある程度順化できかけていた
株まで汚染してしまうこともある。最悪の場合には、一
つの独立した順化用容器内の全てが失われてしまうこと
さえ有り得る。
【0017】この問題を解決するために、ジベレリン生
合成阻害剤やエチレン生合成阻害剤等の化学的物質を用
いる方法、特殊な培地・培養支持体を用いる方法、湿度
・二酸化炭素濃度などの環境を物理的に制御する方法な
どが試みられた。しかし、これらの方法は高度な知識と
経験を要し、植え替えの回数の増加にともない多大な労
力も必要となり、その度ごとに植物体が機械的損傷を受
けてしまう。さらに特殊な環境を整えるために新たな設
備投資が要求される可能性も大きい。
【0018】一方、土壌微生物であるVA菌根菌は植物
と共生することによって、好ましい影響を与えるので、
培養苗に接種する検討が下記のように行われている。 (1) メリクローン培養によって得られたイチゴの苗
にVA菌根菌を接種することによって、植物の乾燥重や
リン含量が増加するという報告(Hrselova
H.ら、interrlat.Microorg.Pl
ants Soil 109−114(1989))。
【0019】(2) 組織培養によって得られたアスパ
ラガス苗にVA菌根菌を接種することによって、植物の
乾燥重やリン含量が増加し、圃場への活着率が高くなる
という報告(C.T.Pedersenら、Plant
and Soil 135,75−82(198
8))。
【0020】しかし、(1)の報告は植物の順化や生存
率については検討していない。さらに(1)、(2)の
報告はともにVA菌根菌胞子を安定的に大量に得る方法
を示していない。すなわち、VA菌根菌の確保を野外採
取に頼った場合、VA菌根菌は大量の肥料が施用され、
特に殺菌剤などの農薬が大量に散布されるような現代的
農業の行なわれている土壌には生存してないので、土壌
中から得ることは非常に難しく、また、もしVA菌根菌
の生存している所を発見し、取扱いのしやすい胞子が得
られたとしても、それらはできた時期が不揃いで、休眠
している可能性もあり発芽率は低く、工業的苗生産に使
用するには問題がある。
【0021】そこで、人工的にVA菌根菌を生産し、苗
生産に利用することが考えられる。しかし、前述のよう
にVA菌根菌は植物と共生していなければ増殖しない絶
対共生菌で、純粋培養できないことから効率よく大量に
生産する技術の開発が大変困難となっている。
【0022】以上のように、組織培養によって苗を生産
する方法において、効率よく大量に安定した苗生産を可
能にする方法は、未だに開発されていない。また、現在
までにいくつかのVA菌根菌組成物は提案されている
が、原料となるVA菌根菌の生産効率が前述のように未
だ十分でなく、組成物の生産コスト、安定供給などに問
題があった。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、効率が高く
製造コストの安価なVA菌根菌を大量に製造する方法を
提供することを目的とする。また、本発明は、工業的に
効率よく植物を培養する方法を提供することを目的とす
る。
【0024】また本発明は、植物の組識培養により苗を
生産する方法において、苗の効率的で安定な苗生産方法
を提供することを目的とする。また本発明は、製造コス
トが安価で、しかも植物とVA菌根菌とを効率よく共生
させることができるVA菌根菌組成物を提供することを
目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
種々のVA菌根菌培養方法を検討した結果、VA菌根菌
と植物の培養において、根の生育可能な空間の水平方向
の平均断面積が、0.5〜100cm2 の構造を有する
容器を、人工的に制御した培養環境下で三次元的に配置
し培養することにより、生産効率の向上、省スペース
化、年に複数回の生産が可能となり、VA菌根菌が大量
に効率良く得られることが認められた。
【0026】本発明は、この知見に基づき、検討をさら
に重ねた結果なされたものである。すなわち、本発明の
VA菌根菌の製造方法は、VA菌根菌と植物の培養にお
いて、根の生育可能な空間の水平方向の平均断面積が、
0.5〜100cm2 の構造を有する容器を、人工的に
制御した培養環境下で三次元的に配置し培養することを
特徴とする。
【0027】また、本発明の植物の培養方法は、VA菌
根菌と植物の培養において、根の生育可能な空間の水平
方向の平均断面積が、0.5〜100cm2 の構造を有
する容器を、人工的に制御した培養環境下で三次元的に
配置し培養することを特徴とする。
【0028】また、本発明の苗の生産方法は、植物の組
織培養によって苗を生産する方法において、上記の方法
によって製造されたVA菌根菌を、植物に接種すること
を特徴とする。
【0029】また、本発明のVA菌根菌組成物は、VA
菌根菌と植物の培養において、根の生育可能な空間の水
平方向の平均断面積が0.5〜100cm2 の構造を有
する容器を、人工的に制御した培養環境下で三次元的に
配置し培養したVA菌根菌を含有することを特徴とす
る。
【0030】
【発明の実施態様】本発明において用いられるVA菌根
菌としては、ギガスポラ属(Gigaspora)、グ
ロマス属(Glomus)、スクレロシスチス属(Sc
lerocystis)、アカウロスポラ属(Acca
ulospora)、エントロホスポラ属(Entro
phospora)、スクテリスポラ属(Scutel
lispora)などが挙げられる。
【0031】VA菌根菌の胞子は、野生の植物や栽培植
物の根の付近の土壌、水耕栽培物の根、毛状根などの容
器内培養物より採集することができる。これらのうち、
土壌からギガスポラ・マルガリータの胞子を分離する方
法を以下に示す。
【0032】まず圃場または植物の鉢植えの土壌を採取
し、水に懸濁する。これを1〜2mmメッシュの篩で大
きなごみ、石等を除き、さらに通過液を0.1mmメッ
シュの篩に通す。0.1mmメッシュの篩に残ったもの
を流水で洗浄後集め、少量の水に懸濁しシャーレに移
す。これを実体顕微鏡下でごみと胞子とに選別し、胞子
のみをピペットで吸い取り別のシャーレに移す。この操
作を3回繰り返し、遠沈管に移した後、水を加えて超音
波を数秒当ててごみを分散させ、水を捨てることにより
胞子を洗浄する。これを数回繰り返す。洗浄した胞子の
無菌化は、滅菌水で20〜30回洗浄するか、ストレプ
トマイシン等の抗生物質、種々の殺菌剤等を用いること
によって行なう。無菌培養下で得られた胞子については
もちろんその必要は無い。
【0033】以上のようにして単離した胞子を、無菌化
の確認や予備発芽のために、植物に接種する前に適当な
固体培地上で培養してもよい。このVA菌根菌と植物と
を共生させ、増殖を行なう。共生させる接種源としての
VA菌根菌は、上記の方法で得た胞子または予備発芽し
た胞子が通常用いられるが、他の物質との混合物の状態
や、根または毛状根と共生しているものをそのまま分離
せずに接種源として用いることも可能である。
【0034】VA菌根菌の接種は、VA菌根菌接種源を
水、緩衝液等の液体、またはケイソウ土、有機肥料等の
粉体、粒状体、カラギーナン等のゲル状体に混合、懸濁
し、植物体と接触させることにより、あるいは植物の付
近に置くことにより行なうことができる。
【0035】本発明に用いられる宿主植物はVA菌根菌
が共生する植物であれば何でもよいが、アスパラガス、
タマネギ等のユリ科、トウモロコシ、バヒアグラス等の
イネ科、クローバー、アルファルファ、ダイズ等のマメ
科、キュウリ、スイカ等のウリ科、ナス、トマト、ピー
マン、ジャガイモ等のナス科、イチゴ等のバラ科、その
他キク科、シソ科、セリ科、クマツヅラ科等が挙げられ
る。これらのうちマメ科のシャジクソウ属、ユリ科のネ
ギ属、イネ科のスズメノヒエ属、ナス科のナス属、トマ
ト属が好ましい。宿主植物はVA菌根菌を生産するため
に三次元的に配置するので、地上部が大きくなり過ぎな
いものが好ましく、また、年に複数回培養するので、発
芽発根が比較的早いものが好ましい。これらの植物を容
器に播種または移植し、VA菌根菌を接種した後人工的
に制御した栽培条件下で三次元的に配置して培養を行な
うことができる。
【0036】本発明において、VA菌根菌と植物との共
生培養を行なう培地は固体でも液体でもよく、固体培地
としては土、砂、腐葉土、ピートモス、赤玉土、バーミ
キュライト、パーライト等の無機物、有機物、それらの
混合物が用いられる。また、寒天、ゲランガム等の固化
剤によって調製した固体培地や、多孔性物質、人工土壌
などに液体培地を含浸させたものも用いることができ
る。液体培地としては、通常水耕栽培や組織培養に用い
られるものを、そのまままたは改変して用いることがで
きる。また時々液体培地でリンスし、養分を補給する方
法を用いることによって、通常は培地が無い状態で培養
を行なうこともできる。
【0037】本発明において、三次元的に培養する方法
は多段型の棚や斜向式の棚に容器を置いて行なう方法、
懸垂式培養法等が挙げられる。また、ベルトコンベアー
方式を利用し、容器を棚へ自動収集することも可能であ
る。さらに、培養棚が可動式で、培地の充填、植物播
種、移植、VA菌根菌の接種、灌水、施肥等が自動で工
業的に行なえる施設の構築も可能である。
【0038】本発明において、培養に使用される容器と
しては、培養可能な形状のものなら何でもよいが、根の
生育可能な空間の水平方向の平均断面積が0.5〜10
0cm2 の構造を有する容器が用いられる。好ましくは
1〜50cm2 の構造を有する容器が用いられる。
【0039】従来大容量の容器を用いると生産効率が下
がることは知られていたが、本発明者らが詳細に検討し
た結果、根の生育可能な空間の水平方向の平均断面積が
0.5〜100cm2 の場合に、植物根とVA菌根菌の
生育を規定制限する容器の壁面、仕切りなどの遮蔽物の
効果が最適となり、生産効率を非常に高めることが判っ
た。
【0040】例えば、大型のプランターに仕切りを入れ
て、水平方向の平均断面積が、0.5〜100cm2
なる区画を作製したものや、水平方向の断面積が、0.
5〜100cm2 の試験管、また容器の上部下部によっ
て水平方向の断面積が異なる容器でも平均断面積が0.
5〜100cm2 であればよい。
【0041】但し、容器のコスト、管理の手間を考える
と、水平方向の平均断面積が、0.5〜100cm2
区画が多数連結した構造を有する容器が工業的に有利で
ある。根の生育可能な空間の水平方向の平均断面積が
0.5cm2 未満であると植物が十分に根を伸長させる
ことができなくなりVA菌根菌の胞子の生産効率が著し
く低下する。また、100cm2 を超えるとVA菌根菌
の植物への感染機会が減ることによって感染が遅くなり
短期間におけるVA菌根菌の胞子の生産効率が著しく低
下する。
【0042】本発明において、培養に使用される容器と
しては、根の生育可能な空間の水平方向の平均断面積
が、0.5〜100cm2 であれば、通常植物栽培に用
いられている素焼の鉢、ワグネルポット、ビニールポッ
ト、プランター、育苗トレイ、プラスチック製のコンテ
ナ等の他、ガラス製の試験管、プラスチック製のチュー
ブ等または、それらに仕切り等を有するものも使用する
ことができる。材質は、陶器類やガラス製、プラスチッ
ク製、金属製、木製、紙製等培養可能と思われるものな
ら何でもよい。
【0043】本発明において、人工的に培養環境を制御
する培養施設としては具体的に温室、好ましくは照明、
温度の調整可能な温室、照明設備を備えた恒温室や恒温
槽、植物工場、温度、照明を制御できるクリーンルー
ム、人工気象器等を用いることができる。施設での培養
環境条件のうち温度としては、植物生長可能である5〜
40℃で、このうち15〜30℃が好ましい。5℃未満
であると、VA菌根菌が植物に共生しにくくなり短期間
での大量の胞子生産ができない。40℃を超えると植物
が枯死または生育悪化し、VA菌根菌との共生がスムー
ズに成立せず、VA菌根菌の生産効率は著しく低下す
る。
【0044】また、培養環境のうち、照度については5
00ルックス以上であればよく、好ましくは2000ル
ックス以上、20000ルックス以下がよい。光源とし
ては太陽光でもよいが人工光も用いることができる。本
発明において、VA菌根菌の培養に必要な照度は、通常
の人工光による植物栽培より比較的低照度でよいので、
大幅な省電力化を図ることができる。
【0045】以上のように本発明の方法に従えば、VA
菌根菌を年間複数回生産することができる。VA菌根菌
を植物の播種と同時に接種すると約2〜4週間で感染が
成立し、接種後約6〜8週間で胞子生産が見られてく
る。約3ケ月で胞子生産はほぼ定常状態になるので生産
方法として3ケ月でVA菌根菌の胞子生産を終わらせた
場合、年間4回の工業生産が可能になり、4ケ月でVA
菌根菌の胞子生産を終わらせると年間3回の工業生産を
行なうことができる。本法によれば、季節、天候に左右
されることになくVA菌根菌の培養を行なうことがで
き、年間を通じて安定的に大量のVA菌根菌を効率良く
生産することができる。
【0046】またVA菌根菌の胞子はほぼ同時に生産さ
れるため、その後の発芽等はばらつくことなく同調的で
あり、常に一定以上の有効なVA菌根菌の胞子を大量に
得ることができる。
【0047】また高密度生産が可能であるため、低コス
トでエアフィルター、殺菌灯等を用いた微生物汚染の防
除を行なうこともでき、従来大きな問題であった有害な
微生物の混入を防ぐことも比較的容易である。以上のよ
うな方法でVA菌根菌と植物を培養すると、植物の培養
方法としても非常に好適である。
【0048】本発明においてはVA菌根菌が高密度で生
産されるため、植物への感染率が非常に高く、VA菌根
菌の好ましい効果が強く付与された植物を得ることがで
きる。また、効率的に大量の植物を生育する方法として
適している。特に苗の生産に好適である。
【0049】培養環境は、培養する植物に適当なものが
好ましい。本発明で、組織培養により苗を生産する方法
における出発材料としては以下のものが挙げられる。
【0050】幼植物、植物の器官、すなわち茎頂、茎、
葉、根、花、胚などの全部または一部、植物ホルモンな
どを用いることによって脱分化したカルス組織、単細胞
化し細胞壁を除いたプロトプラスト、または以上のもの
に遺伝子組換えや細胞融合を行なったものなどである。
【0051】また本発明における組織培養法として以下
のものが挙げられる。近年、栄養繁殖性の花きや作物を
増殖させる方法として注目されているマイクロプロパゲ
ーションは特に本発明に好適である。
【0052】具体的には、微生物はもちろんウイルスに
も汚染されていない無病の苗生産に重要な手段である茎
頂培養、茎頂培養よりも増殖のよい苗条原基、多数の苗
条の生産が可能なマルシプルシュート、一度で大量増殖
の可能な不定胚、ジャガイモの茎の培養でえき芽から小
型のイモを作出するマイクロチューバー、植物の組織・
カルス・液体培養細胞などを材料とし、分化の誘導を行
なう不定芽などの培養である。これ以外にも、ユリ科の
植物などで鱗片を培養し小型の鱗茎を得る方法にも好適
である。
【0053】これらのうち、不定胚を経由する方法は以
下のような利点を持っているので特に好ましい。 (1) 不定胚を作出するカルス(embryogen
ic callus)を液体培地で培養することによっ
て増殖のスピードを飛躍的に上げることができる。
【0054】(2) 不定胚は独立した器官として他の
組織と容易に分離でき、扱いやすい。 (3) 胚としての機能を保持しており、種子と同様、
発芽、発根、その後の生長が容易に行なえる。 (4) 不定胚の成育ステージを揃える同調培養を行な
うことによって、バラツキの少ない苗を生産することが
できる。
【0055】本発明で、例えば従来から植物の組織培養
に用いられている培地、つまり、無機成分および炭素源
を必須成分とし、これに植物ホルモン類、ビタミン類お
よびアミノ酸類から選ばれる少なくとも1種以上の成分
を添加し、必要に応じてその他の成分も添加されている
培地を用いることができる。
【0056】上記培地中の無機成分としては、窒素、亜
鉛、鉄、銅、モリブデン、ホウ素、リン、コバルト、カ
リウム、カルシウム、マグネシウム、イオウ、マンガ
ン、塩素、ナトリウム、ヨウ素等があり、具体的には、
硝酸アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム、硫酸ア
ンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸
カルシウム、硝酸カリウム、硫酸亜鉛、硫酸第1鉄、硫
酸第2鉄、エチレンジアミン4酢酸鉄、硫酸銅、モリブ
デン酸、モリブデン酸ナトリウム、ホウ酸、リン酸、リ
ン酸1ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸2ナトリウ
ム、リン酸3ナトリウム、塩化コバルト、塩化カリウ
ム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウ
ム、硫酸マンガン、ヨウ化カリウム等が例示される。
【0057】また炭素源には、ショ糖および他の炭水化
物、その誘導体、脂肪酸等の有機酸、エタノール等の1
級アルコール等が例示される。植物ホルモン類には、イ
ンドール酢酸、ナフタレン酢酸、2,4−ジクロロフェ
ノキシ酢酸等のオーキシン類、ベンジルアデニン、ゼア
チン等のサイトカイニン類が例示される。
【0058】ビタミン類には、ビオチン、チアミン(ビ
タミンB1) 、ピリドキシン(ビタミンB6) 、パント
テン酸、アスコルビン酸(ビタミンC)、イノシトー
ル、ニコチン酸等が例示される。アミノ酸類には、グリ
シン、アラニン、グルタミン、システイン等が例示され
る。
【0059】この他に、ビタミン、ホルモン等が含まれ
ると言われている天然物、例えばココナッツミルク、酵
母エキス等も用いることができる。本発明で培地中の成
分の濃度は、広い範囲で変えることができる。通常は、
無機成分を約0.1μM〜約100mM程度、炭素源を
約1g/リッター〜120g/リッター程度、さらに植
物ホルモン類を約0.01μM〜約10μM程度、ビタ
ミン類およびアミノ酸類を、それぞれ約0.1mg/リ
ッター〜約100mg/リッター程度とすることができ
る。
【0060】ゲル状物質である固体培地を用いる場合の
培地固化剤としては、寒天、ゲランガムなどが例示され
る。また固体に液体培地を浸透させて固体培地として用
いる場合の固体としては、バーミキュライト、ロックウ
ール、ピートモス、川砂、鹿沼土、その他の園芸土壌、
培養土が例示される。
【0061】本発明においては、VA菌根菌と植物の培
養において、根の生育可能な空間の水平方向の平均断面
積が、0.5〜100cm2 の構造を有する容器を、人
工的に制御した培養環境下で三次元的に配置し培養する
ことを特徴とする、VA菌根菌の製造方法によって生産
されたVA菌根菌を、植物の組織培養によって苗を生産
する際に植物に接種する。
【0062】本発明において、接種の方法は、植物根の
近傍または発根の期待できる箇所にVA菌根菌を置くか
または培地中に埋めるだけでよい。接種するものはVA
菌根菌の胞子、菌糸、などいずれでも可能であるが、有
効性が高く扱いやすい胞子であることが好ましい。また
VA菌根菌を含有する組成物でもよい。植物に接種する
前に、予備発芽のために胞子を適当な培地で培養するこ
ともできる。
【0063】本発明においては順化工程においてVA菌
根菌が接種されるか、またはすでに接種されていること
が好ましい。VA菌根菌には養分吸収の補助、耐干性の
向上、病原菌からの保護などの効果が期待できるので、
特に幼植物の初期生育の向上に効果を発揮するからであ
る。順化工程で用いられる方法のうち、最もよく用いら
れる方法としては以下のものが挙げられる。
【0064】無菌状態で幼植物に生長した植物を容器か
ら取り出し、無菌培養用の培地を滅菌水などで洗い流し
て、予め滅菌しておいたバーミキュライト、ロックウー
ル、ピートモス、水ゴケ、川砂、鹿沼土などに植え付
け、小さな穴の開いた覆いをして、雑菌汚染の少ない培
養室などに置いて管理する。特に順化初期には、ほぼ1
00%に近い高湿度に保つことが必要である。人工環境
と自然環境の中間のこのような環境で、薄い液肥を与え
て育成し、1〜2週間後に覆いを取り除く。以上のよう
な方法により順化された苗が得られる。
【0065】本発明によって生産された苗は、圃場や栽
培ポット等の土壌栽培、バーミキュライトやロックウー
ル等による人工土壌栽培、水耕栽培等の養液栽培などに
応用可能である。本発明のVA菌根菌組成物は、VA菌
根菌と植物の培養において、根の生育可能な空間の水平
方向の平均断面積が、0.5〜100cm2 の構造を有
する容器を、人工的に制御した培養環境下で三次元的に
配置し培養したVA菌根菌を含有することを特徴とす
る。
【0066】本発明においては、非常に高密度でVA菌
根菌と植物との共生培養を行なう培地中にVA菌根菌が
生産されるので、そのまま、またはさらに種々の添加剤
を加えても微生物製剤として用いることができる。また
必要に応じて、ふるい分け等の簡単な操作で培地中のV
A菌根菌密度を高めても良い。
【0067】また、湿式篩別法、比重液浮遊法、浮遊吸
着法などを用いて、培地からVA菌根菌を分離し製剤化
してもよい。さらに、前述のように低コストで微生物汚
染の防除を行なうこともできるので、従来大きな問題で
あった微生物製剤への有害な微生物の混入を防ぐことも
比較的容易である。
【0068】本発明において用いられる添加剤の例とし
ては、VA菌根菌生長を抑制する物質である、有機酸、
有機酸塩が挙げられる。有機酸またはその塩が存在する
組成物中では、VA菌根菌はほとんど生長しない。例え
ば、VA菌根菌胞子の場合は、全く発芽しないか、また
は発芽しても菌糸の生長は短いまま停止する。
【0069】有機酸としては、クエン酸、オキザロ酢
酸、酒石酸、ピルビン酸などが挙げられる。また有機酸
塩としてはこれらのナトリウム塩、カリウム塩などが挙
げられる。これらのうち有機酸としてはクエン酸が、有
機酸塩としてはクエン酸塩が好ましい。
【0070】本発明において用いられる有機酸またはそ
の塩の組成物中の濃度は、広い範囲で変えることができ
る。液型組成物中の濃度は1mg/リッター以上、10
g/リッター以下が好ましい。
【0071】この抑制効果は容易に解除でき、非常に好
適である。抑制解除は、有機酸またはその塩の濃度を低
下させることによって行なうことができる。また、有機
酸またはその塩の濃度がほとんど低下しなくても、pH
を上昇させることによって抑制解除を行なうことができ
る。他に、植物根が近傍に存在することによって抑制解
除されるという知見が、本発明者らによって得られてい
る。
【0072】具体的には、大量の水で組成物を希釈した
り、塩基性溶液を加えたり、土壌に施用したあと潅水を
行なうことにより、あるいは植物を植え付けて根が生長
すれば、VA菌根菌は生長抑制が解除され、活発に生長
し植物と共生することができる。
【0073】有機酸またはその塩は、常温で効果の高い
VA菌根菌生長抑制物質であり、これを用いることによ
り、非常に有用なVA菌根菌含有組成物、例えば肥料な
どを開発することができる。実際には、VA菌根菌含有
組成物が保存、輸送されている間は有機酸またはその塩
が含有されていればよい。低温を維持したり、水分条件
を厳密に管理するというような手間がかかりしかもVA
菌根菌が死滅する危険性のある方法を用いる必要は無
い。
【0074】本発明において有機酸またはその塩を用い
る場合においては、組成物に酸性物質を加えることによ
って、VA菌根菌周囲のpHが酸性となるようにするの
が好ましい。具体的にはpH2以上、6以下が好まし
い。pHが2未満の場合はVA菌根菌が強い酸性によっ
て悪影響を受け、6を超える場合は生長抑制効果が低下
するからである。
【0075】生長抑制効果は有機酸および/または有機
酸塩を用いずに、pHを2〜6にしただけでは得ること
ができない。本発明において用いられる酸性物質として
は、酸性土壌など水素イオン交換能を持つ固体を含め、
組成物のpHを酸性に保つ物質が幅広く用いられる。本
発明において、VA菌根菌組成物に使用できる担体とし
ては、以下の物が挙げられる。
【0076】固体担体としては、鉱物質粉末であるカオ
リン、珪藻土、酸性白土など;植物質粉末であるデンプ
ン、セルロースなど;高分子化合物であるポリアクリル
酸架橋重合体塩、ポリビニルアルコールなどが挙げられ
る。液体担体としては、水、アルコール類、炭化水素類
などが挙げられる。また、水和剤とする場合には、基剤
としてラノリンなど、乳化剤として石けんなどが用いら
れる。
【0077】また、本発明の組成物中には、種々の肥料
成分、農薬成分などを添加することができる。肥料成分
としては硫安、過リン酸石灰等の無機肥料や油かす等の
有機肥料を用いることができる。農薬成分としては、種
々の殺菌剤、殺虫剤、除草剤等を用いることができる。
ただし以上の各成分は、VA菌根菌および植物に対し
て、害作用の低いものを用いなければならない。
【0078】本発明のVA菌根菌組成物は散剤、顆粒
剤、丸剤、錠剤、液剤、水和剤、乳剤、ゲル状剤、スラ
リー状剤などの剤形にすることができる。本発明のVA
菌根菌含有組成物は、圃場や栽培ポット等の土壌栽培
や、バーミキュライトやロックウール等による人工土壌
栽培、水耕栽培等の養液栽培、無菌容器内における寒天
培地等の固形培地栽培等の様々な栽培方法における植物
に応用可能である。
【0079】使用方法に関しては、VA菌根菌含有組成
物を土壌に混合するか、根の近傍に置くだけでよく、そ
の前後または同時に肥料や農薬を与えてもよい。ただし
農薬によっては、VA菌根菌の生育に害作用を有するも
のがあるので、使用前に調査が必要である。
【0080】
【発明の効果】本発明のVA菌根菌の製造方法を用いれ
ば、生産効率の向上、省スペース化、年に複数回の生産
が可能となり、VA菌根菌を大量に得られるので、VA
菌根菌の製造方法として極めて有用である。
【0081】また本発明の植物の培養方法を用いれば、
工業的に効率良く植物を培養できるので、植物の培養方
法として極めて有用である。また本発明の苗の生産方法
を用いれば、植物の組織培養によって苗を生産する方法
において、苗の良好な活着(生存率の向上)、生長が得
られ、商品価値のある苗の歩留りが非常に向上し、苗の
実用的な生産方法として極めて有用である。
【0082】また本発明のVA菌根菌組成物によれば、
製造コストが安価で、植物とVA菌根菌とを効率的に共
生させることができ、植物への施肥量軽減、悪い栽培環
境に対する抵抗性の向上、農産物の品質の向上などが可
能となるので、VA菌根菌の実用的な製剤として極めて
有用である。
【0083】
【実施例】
実施例1および比較例1 2.5mmメッシュ篩を通過し、1.0mmメッシュ篩
を通過しなかった赤玉土を底に穴を開けたコンテナに1
0リッター入れた。アルファルファの栽培プランターに
VA菌根菌であるギガスポラ・マルガリータの胞子を接
種し、数ヶ月栽培した後、土壌から胞子を得た。
【0084】占有面積850cm2 のコンテナに仕切り
板を設置し、20区画に分割し1区画における根の生育
可能な空間の水平方向の平均断面積が42.5cm2
なるようにした。上記の胞子を水に懸濁してコンテナの
1区画当り15個植え付け穴に接種した後、そこに草丈
5cmのバヒアグラス(Paspalumnotatu
)の苗をコンテナ1区画に1本づつ計20本植え付け
た。このコンテナを3段の棚に3個づつ、計9個配置し
温室で培養したものを実施例1とした。
【0085】比較例1として圃場に1苗当り30個のV
A菌根菌を接種したバヒアグラスを移植して培養を行な
った。VA菌根菌を接種してから4ヶ月後に培養を終了
し、地上部を刈り取った後、培土を3日間乾燥させよく
撹拌して各プランターから100mlをサンプリング
し、胞子を計数した。比較例2についてはコンテナ9個
に相当する容積の土を圃場から採取し、そこから100
mlサンプリングすることを9回繰り返し胞子を計数し
た。さらに、実施例1、比較例1、共にこれを繰り返
し、1年間に3回VA菌根菌の培養を行なった。サンプ
リング時の胞子数を基にコンテナ全体の総胞子数を推定
し、単位面積当りの生産胞子数を求めたところ、下記表
1のようになった。
【0086】比較例1に比べて実施例1では新たに非常
に多くの胞子が生産され、総生産数で約18倍、単位面
積当りで約54倍の胞子が生産されることがわかった。
【0087】
【表1】 培養期間 総生産胞子数 単位面積当りの胞子数 (ヶ月) (個) (個/cm2 1回目 実施例1 4 597600 234.4 比較例1 4 30600 4.0 2回目 実施例1 4 802800 314.8 比較例1 4 70200 9.2 3回目 実施例1 4 405900 159.2 比較例1*1 4 − − 年間合計 実施例1 12 1806300 708.4 比較例1 12 100800 13.2 *1)冬期、植物体地上部枯死の為、サンプリング不能
【0088】実施例2および比較例2 2.5mmメッシュ篩を通過し、1.0mmメッシュ篩
を通過しなかった赤玉土を根の生育可能な空間の水平方
向の平均断面積が10cm2 であるガラス製底穴付き棒
びんに100ml充填した。アルファルファの栽培プラ
ンターにVA菌根菌であるギガスポラ・マルガリータの
胞子を接種し、2年間栽培した後、土壌から胞子を得
た。
【0089】実施例2として、上記胞子を水に懸濁して
棒びん1本当り20個植え付け穴に接種した後、そこに
白クローバー(Trifolium repens)の
種子を3個播種した。播種後、25℃±2℃、1000
0ルックス、日長時間16時間の人工気象器中棒びんを
1段に100本計3段に渡って300本を積載し培養を
行なった。比較例2として、実施例と同じ棒びんを用
い、温室中2次元的に棒びんを300本並べ培養を行な
った。
【0090】実施例2、比較例2共に、VA菌根菌を接
種してから3ヶ月後に培養を終了させ、棒びん中の土を
合わせて乾燥させよく撹拌した後、その一部をサンプリ
ングし、胞子数を計数した。さらに、実施例2、比較例
2共にこれを繰り返し、1年間に4回VA菌根菌の培養
を行なった。サンプリング時の胞子数を基に全棒びん中
の胞子数を推定し、単位面積当りの生産胞子数を求めた
ところ、下記表2のようになった。
【0091】比較例2に比べて実施例2では、安定して
新たに非常に多くの胞子が生産され、総胞子数で約2.
2倍、単位面積当りで約6.6倍の胞子が生産された。
【0092】
【表2】 培養期間 総生産胞子数 単位面積当りの胞子数 (ヶ月) (個) (個/cm2 1回目 実施例2 3 399600 249.8 比較例2 3 145800 30.4 2回目 実施例2 3 325500 203.4 比較例2 3 210900 43.9 3回目 実施例2 3 328200 205.1 比較例2 3 169500 35.3 4回目 実施例2 3 309600 193.5 比較例2 3 95700 19.9 年間合計 実施例2 12 1362900 851.8 比較例2 12 621900 129.6
【0093】実施例3および比較例3,4 2.5mmメッシュ篩を通過し、1.0mmメッシュ篩
を通過しなかった赤玉土を縦37.4cm、横27.4
cm、高さ6.2cmのプラスチック製バットに460
0ml充填した。アルファルファの栽培プランターにV
A菌根菌であるギガスポラ・マルガリータの胞子を接種
し、数ヶ月栽培した後、土壌から胞子を得た。
【0094】実施例3として、上記バットに仕切りを入
れ、35区画に分割し1区画における根の生育可能な空
間の水平方向の平均断面積が30cm2 になるようにし
た。上記胞子を水に懸濁して1区画当り13個接種し
た。1区画毎にトマト(Lycopersicum
sculentum)の種子を3個播種し、発芽後間引
きをして1区画当り1個体になるようにし、1バットに
35個体を培養した。人工気象器中の4段の棚に各段2
バット、計8バットを配置して、25℃±2℃、100
00ルックス、日長時間16時間で培養を行なった。
【0095】比較例3として、バットに仕切りを入れず
に上記胞子を植物1個体当り13個接種し、1バットに
35個体のトマトを培養し、その他は実施例と同様の条
件で培養を行なった。
【0096】比較例4として根の生育可能な空間の水平
方向の平均断面積が243cm2 である1/5000a
ワグネルポットに実施例と同様の赤玉土を3リッター充
填し、ギガスポラ・マルガリータの胞子を1ポット当り
300個接種した。そこにトマトを播種し、ポット当り
1個体を培養した。ポットは温室中に2次元的に並べ、
日中20〜30℃、夜間15℃±3℃、日長条件のコン
トロールはせずに培養を行なった。
【0097】実施例3、比較例3、4共に、VA菌根菌
を接種してから3ヶ月後に培養を終了し、培土を乾燥さ
せよく撹拌して、実施例3および比較例3では各バット
から、また比較例4では各ポットから100mlをサン
プリングし、胞子数を計数した。サンプリング時の胞子
数を基に全容器中の胞子数を推定し、単位面積当りの生
産胞子数を求めたところ、下記表3のようになった。
【0098】比較例3、4に比べて、植物1個体当りの
培土容量の少ない実施例3では、非常に多くの胞子が効
率よく生産され、その量は単位面積当りで比較例3の約
3.4倍、比較例3の約16.3倍となった。
【0099】
【表3】 培養期間 総生産胞子数 単位面積当りの胞子数 (ヶ月) (個) (個/cm2 実施例3 3 366758 178.9 比較例3 3 108100 52.7 比較例4 3 41220 11.1
【0100】実施例4および比較例5 2.5mmメッシュ篩を通過し、1.0mmメッシュ篩
を通過しなかった赤玉土を縦37.4cm、横27.4
cm、高さ6.2cmのプラスチック製バットに460
0ml充填した。アルファルファの栽培プランターにV
A菌根菌であるギガスポラ・マルガリータの胞子を接種
し、数ヶ月栽培した後、土壌から胞子を得た。
【0101】実施例4として、上記バットに仕切りを入
れ、35区画に分割し1区画における根の生育可能な空
間の水平方向の平均断面積が30cm2 になるようにし
た。上記胞子を水に懸濁して1区画当り13個接種し
た。1区画毎にトマト(Lycopersicum
sculentum)の種子を3個播種し、発芽後間引
きをして1区画当り1個体になるようにし、1バットに
35個体を培養した。人工気象器中の5段の棚に各段4
バット、計20を配置して、25℃±2℃、10000
ルックス、日長時間16時間で培養を行いトマトの苗を
生産した。
【0102】また、比較例5として、上記胞子を接種し
ないこと以外は実施例4と同様の方法でトマトの栽培を
行なった。実施例4のトマトの苗を圃場に移植し栽培を
行なったところ、比較例5のトマトの苗に比べて初期生
長が非常に早く、多くの収穫が得られた。
【0103】実施例5および比較例6 <VA菌根菌胞子生産>2.5mmメッシュ篩を通過
し、1.0mmメッシュ篩を通過しなかった赤玉土を水
平方向の断面積が10cm2 、高さ130mmのガラス
製底穴付き棒びんに100ml充填した。アルファルフ
ァの栽培プランターにVA菌根菌であるギガスポラ・マ
ルガリータの胞子を接種し、2年間栽培した後、土壌か
ら胞子を得た。
【0104】上記胞子を水に懸濁して棒びん1本当り2
0個植え付け穴に接種した後、そこに白クローバー(
rifolium repens)の種子を3個播種し
た。播種後、25℃±2℃、10000ルックス、日長
時間16時間の人工気象器中で培養を行ない、VA菌根
菌を接種してから3ヶ月後に培養を終了した。これによ
って、棒びん1本当り1332個の胞子が得られ、この
胞子を実験に供与した。
【0105】<in vitro植物の生産>圃場で栽
培しているアスパラガス雄株(品種:メリーワシントン
500W)の若い茎部を採取した。表面を洗剤でよく洗
い、70%エタノールで20秒、有効塩素濃度1%の次
亜塩素酸ナトリウム溶液で20分表面殺菌した後、滅菌
水で2回良く洗浄し、茎を5mmの長さに輪切りにし
た。
【0106】ショ糖を3%、ナフタレン酢酸を3mg/
リッター、カイネチンを1mg/リッター含有したムラ
シゲ・スクーグの液体培地50mlを入れた三角フラス
コに植え付けた。その後培養温度25℃、2000ルッ
クスの光を16時間照射、8時間暗黒で、30日間、毎
分100回転の旋回培養を行なったところカルスが形成
した。
【0107】次いで、孔径250μmと2.8mmのス
テンレス篩を用いて、その間の大きさのカルスを選別
し、ホルモンを含まない上記培地に植え継いで、さらに
30日間培養したところ、不定胚が形成された。次いで
不定胚を充実させるために、水で希釈し、さらに2日間
培養を行なった後、ショ糖を3%、ゲランガムを0.2
%含む、ムラシゲ・スクーグの固体培地上に置床した。
その後、ホルモンを含まない培地上で培養を行ない、不
定胚由来の小植物が得られ、これを実験に供与した。
【0108】<順化>実施例5は、無菌容器内で得られ
た小植物を容器から取り出し、特に根に付着している無
菌培養用の培地を滅菌水で洗い流して培養土に植え付
け、その時同時にギガスポラ・マルガリータの胞子を1
植物当り50個接種した。その後小さな穴の開いた覆い
をして25℃、16時間照明下(4000ルックス)で
管理した。特に順化初期には、ほぼ100%に近い高湿
度に保ち、2週間後に覆いを取り除き、温室で培養を続
けた。
【0109】比較例6は、胞子接種の工程を除き実施例
5と同様の操作を行なった。なお使用した培養土は、滅
菌した田土、たい肥、モミガラ薫炭を4:2:1で配合
したもので、栽培容器は直径9cmのビニールポットで
ある。実施例5、比較例6ともに植え付け後9週目まで
の植物の生存率と生長量を測定した結果を下記表4と表
5に示す。実施例5は、比較例6と比較すると優良な苗
を生産することができることがわかった。
【0110】
【表4】表4:生存率(%) (繰り返し数) 1W 2W 4W 6W 9W 実施例5 28 100.0 89.3 71.4 64.3 53.6 比較例6 34 44.1 14.7 5.9 5.9 5.9
【0111】
【表5】表5:生長量(cm) (繰り返し数) 1W 2W 4W 6W 9W 実施例5 28 5.0 10.1 15.7 19.2 20.5 比較例6 34 4.8 9.5 11.9 12.7 13.1
【0112】実施例6および比較例7 ニンジンの苗の生産方法については以下に説明する。 <胞子増殖>実施例5と同様に行なった。
【0113】<in vitro植物の生産>ニンジン
種子(品種:時なし五寸)を希釈した次亜塩素酸ナトリ
ウム液(有効塩素量0.5%以上)で超音波をかけなが
ら殺菌処理を行なう。これを滅菌水でよくすすいだもの
を寒天0.5%としょ糖0.5%を含む培地に置床し、
16時間4000ルックスの光照射下で25度で培養
し、1週間後にその下胚軸を外植片とする。培地はしょ
糖3%、2,4−D 1mg/リッター、ゲランガム
0.2%を含むMS培地で、同条件で培養した。1ヶ月
の培養の後、得られたカルスをホルモンを含んでいない
同様の培地に移植したところ、移植後2週目から不定胚
の形成がみられた。この不定胚により再分化した植物を
実験に供与した。
【0114】<順化>実施例6は無菌容器内で得られた
小植物を容器から取り出し、特に根に付着している無菌
培養用の培地を滅菌水で洗い流して培養土に植え付け、
その時同時にギガスポラ・マルガリータの胞子を1植物
当り50個接種した。その後小さな穴の開いた覆いをし
て、25℃、16時間照明下(4000ルックス)で管
理した。特に順化初期には、ほぼ100%に近い高湿度
に保ち、2週間後に覆いを取り除き、温室で培養を続け
た。
【0115】比較例7は、胞子接種の工程を除き実施例
6と同様の操作を行なった。なお使用した培養土は、滅
菌したバーミキュライトで、栽培容器は直径9cmのビ
ニールポットである。実施例6、比較例7ともに植え付
け後9週目までの植物の生存率を測定した。実施例6
は、比較例7と比較すると苗を大量に生産することがで
きることがわかった。
【0116】
【表6】表6:生存率(%) (繰り返し数) 1W 2W 4W 6W 9W 実施例6 36 97.2 83.3 75.0 75.0 75.0 比較例7 36 47.2 33.3 13.9 13.9 13.9
【0117】実施例7および比較例8 実施例2において得られたVA菌根菌含有赤玉土を、密
封容器に入れ6ケ月間室温で保存した。これを7号の植
木鉢1つにつき1.5ml(VA菌根菌胞子を約20個
含有する)用意し、あらかじめ120℃、60分間高圧
蒸気滅菌した土壌に混合し、そこに草丈10cmのナス
の苗を植え付けた。このような鉢を10鉢作り栽培を行
なった。
【0118】5本の苗について、栽培40日後にVA菌
根菌の感染率の調査を行なった。調査は、1cm以上の
分枝した根をランダムに50本採取し、トリパンブルー
によって染色し、顕微鏡下で観察して感染したものの割
合を調べることによって行なった。比較例8として、V
A菌根菌を含まない赤玉土のみの試験を行なった。結果
を表7を示す。
【0119】
【表7】
【0120】また残りの苗について、感染率調査を行な
わずに栽培を続けたところ、実施例ではナスは非常に良
く生長し、多くの収穫を得ることができた。
【0121】実施例8および比較例9,10 実施例3において得られた胞子を含有する培地約10m
lを200mg/リッターのクエン酸水溶液20mlと
混合し、さらに乾熱滅菌した酸性白土10gを混合する
ことによってスラリー状のVA菌根菌組成物を得た。こ
の組成物を3ヶ月間室温で保存した。
【0122】これを7号の植木鉢1つにつき5.5g
(VA菌根菌胞子を約30個含有する)用意し、あらか
じめ120℃、60分間高圧蒸気滅菌した土壌を混合
し、そこに草丈10cmのダイズ(Glycine
ax)の苗を植え付けた。このような鉢を10鉢作り栽
培を行なった。5本の苗について、栽培40日後にVA
菌根菌の感染率の調査を行なった。
【0123】調査は、1cm以上の分枝した根をランダ
ムに50本採取し、トリパンブルーによって染色し、顕
微鏡下で観察して感染したものの割合を調べることによ
って行なった。比較例として土壌から単離したVA菌根
菌胞子のみ(比較例9)、VA菌根菌を含まない乾熱滅
菌した酸性白土(比較例10)の試験を行なった。結果
を表8に示す。
【0124】
【表8】 感染率 実施例8 VA菌根菌含有組成物 68% 比較例9 VA菌根菌胞子のみ 12% 比較例10 VA菌根菌を含まない乾熱滅菌した酸性白土 0%
【0125】また残りの苗について、感染率調査を行な
わずに栽培を続けたところ、実施例ではダイズは非常に
良く生長し、多くの収穫を得ることができた。
【0126】実施例9 縦56cm、横32cm、高さ8cmのプラスチック製
育苗箱にプラスチック製の仕切り板を設置し、1区画に
おける根の生育可能な空間の水平方向の平均断面積が1
6cm2 になるように112区画に分割した。この育苗
箱に2.5mmメッシュ篩を通過し、1.0mmメッシ
ュ篩を通過しなかった赤玉土を14リッター充填した。
【0127】アルファルファの栽培プランターにVA菌
根菌であるギガスポラ・マルガリータの胞子を接種し数
ヶ月栽培した後土壌から胞子を得た。上記胞子を水に懸
濁して1区画当り10個接種した。1区画毎にアスパラ
ガス(Asparagus officinalis
の種子を3個播種し、発芽後間引きをして1区画当り1
個体になるようにし、1箱に112個体を培養した。人
工気象器中の3段の棚に各段4箱、計12箱を配置し
て、25℃±2℃、7000ルックス、日長時間16時
間、適宜灌水、施肥を行ない培養した。
【0128】VA菌根菌を接種してから10週間後に培
養を終了し、培土を乾燥させよく撹拌して、100ml
をサンプリングし、胞子数を計数した。サンプリング時
の胞子数を基に全容器中の胞子数を推定し、総生産胞子
数を求めたところ、下記表9のようになった。
【0129】
【表9】 培養期間(週間) 総生産胞子数(個) 実施例9 10 2293872
【0130】またアスパラガスの苗を圃場に移植し栽培
を行なったところ、通常の苗に比べて初期生長が非常に
早く、優良な植物体を得ることができ、その後多くの収
穫を得ることができた。一方、下記のようにして組織培
養することにより植物を得た。
【0131】温室で培養しているカーネーションの側芽
を採取し、表面を洗剤でよく洗い、有効塩素濃度0.5
%の次亜塩素酸ナトリウム溶液で10分間表面を殺菌
し、滅菌水で3回良く洗浄した。この側芽より、実体顕
微鏡下で茎頂を摘出した。この茎頂を、ショ糖を3%、
ナフタレン酢酸を0.02mg/リッター、ベンジルア
デニンを1mg/リッター、寒天を6g/リッター含有
したムラシゲ・スクーグの固体培地に植え付けた。
【0132】置床後3日は25℃で暗所培養し、その後
25℃、2000ルックスの光を16時間照射、8時間
暗黒で10週間の培養を行なったところ幼苗が得られ
た。以上のようにして得た組織培養苗に、上記で得られ
たVA菌根菌を下記のようにして接種した。
【0133】無菌容器内で得られた小植物を容器から取
り出し、特に根に付着している無菌培養用の培地を滅菌
水で洗い流して培養土に植え付け、その時同時にギガス
ポラ・マルガリータの胞子を1植物当り50個接種し
た。その後ビニール袋で覆いをして25℃、16時間照
明下(2000ルックス)で管理した。3日後から植物
の様子を観察しながらビニール袋に少しづつ小さな穴を
空け、11日かけて自然の環境に慣らした。2週間後に
ビニール袋の覆いを完全に取り除き、温室で培養を続け
【0134】なお使用した培養土は、滅菌した川砂で、
栽培容器は直径9cmのビニールポットである。植え付
け後9週目までの植物の生存率と生長量を測定した結果
を下記の表10および表11に示す。優良な苗を大量に
生産することができることがわかった。
【0135】
【表10】表10:生存率(%) (繰り返し数) 1W 2W 4W 6W 9W 実施例9 17 100.0 88.2 76.5 70.6 70.6
【0136】
【表11】表11:生長量(cm) (繰り返し数) 1W 2W 4W 6W 9W 実施例9 12 3.2 5.8 8.8 12.3 16.4
【0137】上記で得られたVA菌根菌を含む培土を篩
分して、胞子を含まない画分を除くことにより、胞子密
度を5倍に高めたVA菌根菌含有培土を得た。100m
g/リッターのクエン酸を含有する40mlの2%アル
ギン酸ナトリウム水溶液にギガスポラ・マルガリータ胞
子約200個含むVA菌根菌含有培土3mlを入れ、溶
液中に均一に分散させた。上記溶液を20%塩化カルシ
ウム水溶液に滴下させることによってゲル状のVA菌根
菌含有組成物を得た。この組成物を密封容器に入れ6ヶ
月間室温で保存した。
【0138】これを7号の植木鉢1つにつき4g(VA
菌根菌胞子を約20個含有する)用意し、あらかじめ1
20℃、60分間高圧蒸気滅菌した土壌に深さ10cm
の穴を開けて入れ、そのうえに草丈12−14cmのト
マトの苗を植え付けた。このような鉢を10鉢作り栽培
を行なった。
【0139】5本の苗について、栽培40日後にVA菌
根菌の感染率の調査を行なった。調査は、1cm以上の
分枝した根をランダムに50本採取し、トリパンブルー
によって染色し、顕微鏡下で観察して感染したものの割
合を調べることによって行なった。結果を下記表12に
示す。
【0140】
【表12】
【0141】また残りの苗について、感染率調査を行な
わずに栽培を続けたところ、実施例ではトマトは非常に
良く生長し、多くの収穫を得ることができた。
フロントページの続き (72)発明者 宮本 園子 東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオ ン株式会社内 (72)発明者 松野 里香 東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオ ン株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベシキュラー・アービュスキュラー菌根
    菌(のう状体と樹枝状体を有する内生菌根菌類:以下V
    A菌根菌と称す)と植物の培養において、根の生育可能
    な空間の水平方向の平均断面積が、0.5〜100cm
    2 の構造を有する容器を、人工的に制御した培養環境下
    で三次元的に配置し培養することを特徴とする、VA菌
    根菌の製造方法。
  2. 【請求項2】 VA菌根菌と植物の培養において、根の
    生育可能な空間の水平方向の平均断面積が、0.5〜1
    00cm2 の構造を有する容器を、人工的に制御した培
    養環境下で三次元的に配置し培養することを特徴とする
    植物の培養方法。
  3. 【請求項3】 植物の組織培養によって苗を生産する方
    法において、請求項1の方法によって製造されたVA菌
    根菌を植物に接種することを特徴とする苗の生産方法。
  4. 【請求項4】 VA菌根菌と植物の培養において、根の
    生育可能な空間の水平方向の平均断面積が、0.5〜1
    00cm2 の構造を有する容器を、人工的に制御した培
    養環境下で三次元的に配置し培養したVA菌根菌を含有
    することを特徴とするVA菌根菌組成物。
JP7282992A 1992-02-24 1992-02-24 ベシキュラー・アービュスキュラー菌根菌の製造方法 Pending JPH05227945A (ja)

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