JPH05222901A - タービンの静翼構造 - Google Patents

タービンの静翼構造

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JPH05222901A
JPH05222901A JP2353892A JP2353892A JPH05222901A JP H05222901 A JPH05222901 A JP H05222901A JP 2353892 A JP2353892 A JP 2353892A JP 2353892 A JP2353892 A JP 2353892A JP H05222901 A JPH05222901 A JP H05222901A
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Norio Yasugadaira
紀雄 安ケ平
Yoshiaki Arima
義明 有馬
Takeshi Sato
武 佐藤
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】低アスペクト段落に発生する二次流れ損失の低
減を図り、軸流タービンの段落効率の改善を図りうる静
翼構造の提供。 【構成】静翼の前縁線18は外周ダイアコラムの内壁面
14と内周ダイアコラムの外壁面15にほぼ直交する。
静翼の弦長をその翼長の中央部で最大とし、中央部から
翼先端及び根元に向って漸次縮小するようにする静翼の
後縁線31は次のようにきめられる。翼長の中心及び翼
中央部の翼弦長の中心を夫々通る軸線26と25の交点
0を原点とし、静翼の翼長を長径、翼中央部の翼弦長を
短径とした楕円曲線32の焦点f,−fを通り軸線25
に直交する線分が楕円曲線32を切って出来る曲線24
(APB)を、翼長方向の座標を静翼の翼長と焦点長さ
ofの比率分だけ拡大修正し、翼先端と根元の後縁点C
とDは楕円曲線32上の点AとBを結ぶ線上にあるよう
にする。また、翼出口角の翼長方向の変化をアスペクト
比に応じて変化するよう定式化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蒸気タービン,ガスタ
ービン等の各種流体機械に応用できる軸流タービンに関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、蒸気タービンやガスタービン等
の軸流流体機械の一段落は、図2にその典型的な構造を
示すように、外周ダイヤフラム3と内周ダイヤフラム4
に固定保持された複数の静翼1とディスク5及びシュラ
ウドリング6で固定された複数の動翼2からなり、この
一つの段落を複数段もついわゆる多段落から構成されて
いる。蒸気タービンの高中圧段落やガスタービンの段落
は、翼長と翼弦長の比で表わされるアスペクト比が小さ
く、そのために外周ダイヤフラム3と内周ダイヤフラム
4の側壁に発達した境界層や静翼1の翼面境界層の相互
干渉によって生じる二次流れに起因した流動損失が大幅
に増加する。このようなタービン翼列側壁部に発達する
二次流れのメカニズムについて図3 出典:オー.ピ
ー,シャーマアンド ティ エル バトラー;プリディ
クション オブ エンドウォール ロス エンド セカ
ンダアリイ フロー イン アクシャル フロータービ
ン カスケード,トランズアクション エーエスエムイ
ー,ジャーナル オブ ターボマシナリィ,Vol.109
(1987−4)を用いて説明する。側壁面7の近傍に
おいて静翼1a,1b,1cに流入する流れ9a,9
b,9cは、低エネルギ流体である入口境界層8a,8
b,8cが側壁面7上で発達し、静翼1a,1b,1c
の前縁に衝突して二つの馬蹄形渦を形成する。
【0003】この二つの渦は、背面側馬蹄形渦10a,
10b,10cと腹面側馬蹄形渦11a,11b,11
cに分かれる。これらの渦が静翼1a,1b,1cの翼
列流路内に入ると、背面側馬蹄形渦10a,10b,1
0cは静翼背面と側壁の境界層の発達によって次第に成
長しながら下流へ移行する。一方、腹面側馬蹄形渦11
a,11b,11cは、静翼腹面と背面との圧力差によ
って誘起される流路渦12a,12b,12cが作用
し、下流側に移行するほど静翼背面側に偏向しながら大
きな二次流れ渦13a,13b,13cのように発達,
成長する。このような二次流れ渦13a,13b,13
cは、静翼の翼長と翼弦長の比で表わされるアスペクト
比が小さいほど翼列流路を占める割合が大きくなり、そ
れに伴って静翼の損失も増加することになる。また、静
翼の翼列流路内で発生する二次流れ損失は、静翼流出角
に大きな偏向をもたらし、これによって後続する動翼へ
の流入角を適正な状態から変化させ動翼の迎え角損失も
増加させるといった付加的な損失を生じさせることにな
る。
【0004】このような低アスペクト比段落特有の二次
流れ損失の低減策として、我々は先に特公昭61−47285
号公報に開示した内容の提案をした。この発明は、静翼
の翼弦長をその翼長の中央部で最大となし、翼長の中央
部から翼先端及び翼根元の側壁に近づくにつれて漸次縮
小するような構成にし、かつ、静翼出口端から動翼入口
端までの距離が前記翼長の中央部で最小となり、翼中央
部から翼先端及び翼根元の側壁に近づくにしたがって漸
次増大するように構成することを特徴としたものである
(図4,図5,図6及び図7参照)。しかし、先の提案
は前述したように静翼構成が非常に抽象的であり、具体
的な設計に適用する場合には多くの課題がある。すなわ
ち、静翼のアスペクト比の大きさに対応して翼長方向に
関する翼弦長の変化や静翼出口角の変化を、規定するこ
とが重要であり、これに関する提案が欠けていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特公昭61−47285 号公
報に開示した従来技術では、蒸気タービンやガスタービ
ン等の軸流タービンの低アスペクト比段落に発生する二
次流れ損失低減に関する抜本的な解決法にならない。何
故ならば、上記のような軸流タービンの段落に発生する
二次流れ損失の大きさは、翼長と翼弦長の比で表わされ
るアスペクト比の大小によって大きく異なり、段落効率
に及ぼす影響も必然的にアスペクト比によって変化する
ことになる。したがって、特公昭61−47285 号公報に開
示した従来技術の内容をさらに具体的した提案が実質的
には必要であることはいうまでもない。
【0006】本発明の目的は、低アスペクト比段落に発
生する二次流れ損失の低減をはかり、蒸気タービンやガ
スタービン等の軸流タービンの段落効率の改善を図るこ
とによって、発電プラントの省エネルギ化を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、先に提案した
特公昭61−47285 号にみられる欠点を解消するために、
蒸気タービンやガスタービン等の軸流流体機械の段落を
構成する複数の静翼と動翼のうち、静翼の弦長をその翼
長の中央部で最大とし、かつ翼長の中央部から翼先端及
び翼根元の側壁に近づくにつれて漸次縮小するようにス
タッキングした静翼において、静翼の翼長方向に関する
翼弦長の変化が、静翼の翼長と翼弦長をパラメータとす
る楕円曲線に従って変化するように静翼後縁の周方向座
標と翼長方向座標を決定することを特徴とし、かつ、静
翼中央部、先端側壁部及び根元側壁部の静翼出口角((s
in1(s/t) s:スロート長,t:静翼ピッチ)が静
翼の翼長と翼弦長をパラメータとする定式によって決
め、さらに、静翼出口角の翼長方向の変化が上記の三点
を結んだ任意の二次曲線にしたがって変化することを特
徴としたタービンの静翼構造を提案するものである。
【0008】
【作用】本発明は前記のような手段を講じることによっ
て、先に提案した特公昭61−47285 号公報にみられる従
来技術の不具合を解消しようとするものであるが、以
下、その作用について説明する。低アスペクト比段落の
翼先端や翼根元の側壁に発達した二次流れ損失を抑制す
るために、特公昭61−47285 号公報では静翼の弦長をそ
の翼長の中央部で最大とし、かつ翼長の中央部から翼先
端及び翼根元の側壁に近づくにつれて漸次縮小するよう
にスタッキングし、さらに静翼の出口角を翼中央部で最
小に、翼先端部と翼根元部の静翼出口角を翼中央部より
も大きく設定する静翼構造を提案した。しかし、二次流
れ損失はアスペクト比の大きさに著しく依存し、アスペ
クト比が小さくなると二次流れ損失が大幅に増加するの
が一般的である。従って、特公昭61−47285 号公報で提
案したように単に翼長方向の翼弦長や静翼出口角を大小
関係を規定するだけでは不十分であり、実際に設計問題
に適用することはできず、アスペクト比の大きさに応じ
て翼長方向の翼弦長や静翼出口角の変化を設定すること
が肝要である。そこで、本発明では静翼の翼長方向に関
する翼弦長の変化が、静翼の翼長と翼弦長をパラメータ
とする楕円曲線に従って変化するように静翼後縁の周方
向座標と翼長方向座標を決定することを提案する。か
つ、静翼中央部,先端側壁部及び根元側壁部の静翼出口
角((sin1(s/t) s:スロート長,t:静翼ピッ
チ)が静翼の翼長と翼弦長をパラメータとする定式によ
って決め、さらに、静翼出口角の翼長方向の変化が上記
の三点を結んだ任意の二次曲線にしたがって変化するこ
とを特徴としたタービンの静翼構造を提案する。この提
案によって、アスペクト比の異なる静翼に対応して、静
翼の側壁近くに発生する二次流れを抑制することがで
き、蒸気タービンやガスタービンなどの軸流タービンの
段落効率の改善に寄与できる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例及び変形実施例の詳細
を図1及び図8から図15を用いで説明する。
【0010】図1は、本発明を適用した典型的なタービ
ン段落の静翼構造を示す。静翼構造は、本発明による複
数の静翼20a,20b…を固定保持する外周ダイヤフ
ラム3と内周ダイヤフラム4によって構成される。該静
翼20a,20b…の先端部翼形21a,21b…は、
外周ダイヤフラム3の内壁面14に接続し、前記の静翼
20a,20b…の根元部翼形22a,22b…は、内
周ダイヤフラム4の外壁面15と接続している。これら
の静翼20a,20b…の翼形状は、背面形状16aと
腹面形状16bによって形成され、静翼高さは外周ダイ
ヤフラム3の内壁面14と内周ダイヤフラム4の外壁面
15の流路幅Hnによって規定される長さとなる。この
場合、静翼20a,20b…の先端部翼形21a,21
b…と流路幅Hnの中央部(PCD断面と称する)の翼
形23a,23b…及び根元部翼形22a,22b…の
翼形は、お互いに相似な形状を保有しており、PCD断
面の翼形23は、先端部翼形21と根元部翼形22より
も大きな翼形状をもつ。すなわち、PCD断面の翼形2
3の翼弦長Cpは、先端部翼形21の翼弦長Ctと根元
部翼形22の翼弦長Crよりも大きな翼形で形成され
る。先に提案した特公昭61−47285 号公報は、前述した
ように静翼の高さ方向の翼弦長を規定した内容に留まっ
ていたが、この提案のみでは、静翼の高さHnと静翼の
翼弦長Cnとの比で表わされるアスペクト比が種々変化
した場合に、翼中央部の翼弦長Cpに対する翼先端部の
翼弦長Ct及び翼根元部の翼弦長Crの大きさを定量的
に規定することが難しいことになる。
【0011】本発明の特徴は、このように静翼の高さ方
向に翼弦長を変化させる場合に、静翼アスペクト比に応
じて適正な手段を提供することにある。図8は、図1に
示したタービン静翼構造のVIII−VIII矢視図である。静
翼20の前縁線18は、外周ダイヤフラムの内壁面14
および内周ダイヤフラムの外壁面15に対してほぼ直角
に交わる。一方、静翼20の後縁線31は、外周ダイヤ
フラムの内壁面14および内周ダイヤフラムの外壁面1
5に対してある傾きをもった曲線で交差する。つぎに、
この静翼20の後縁線31の決め方について説明する。
図中の曲線32は、Hn(Hn:静翼の翼長)を長径と
し、Cn(Cn:翼中央部の翼弦長)を短径とする次式
で表わされる楕円曲線である。
【0012】
【数2】
【0013】したがって、楕円曲線32の原点は、静翼
の翼長の1/2を通る軸線26と翼中央部の翼弦長の1
/2を通る軸線25の交点である。そして、静翼20の
後縁線31の基本形状となる線分24は、楕円曲線32
の焦点座標fおよび−fを通って軸線25に直交する線
分と楕円曲線32とが交差する点Aと点Bおよび静翼2
0の翼長方向の中心軸での後縁点Pを結ぶ楕円曲線32
の一部である。なお、前述の焦点座標fおよび−fと原
点Oとの長さOFは、次式により決められる。
【0014】
【数3】
【0015】さらに、最終的に静翼20の後縁線となる
曲線31は、焦点長さOFと静翼の翼長Hnとの偏差を
修正するために楕円曲線32の線分24(APB)の翼
長方向の座標を静翼の翼長Hnと焦点長さOFとの比率
分だけ拡大修正し、静翼先端部の後縁点Cが外周ダイヤ
フラムの内壁面14上に、かつ、静翼根元部の後縁点D
が内周ダイヤフラムの外壁面15上にする。なお、静翼
先端部の後縁点Cと静翼根元部の後縁点Dと楕円曲線3
2上の点Aおよび点Bとは軸線25に平行な同一軸線上
にある。図9から図12は、静翼の翼長と翼弦長の比を
表わされるアスペクト比が異なる場合の静翼20の後縁
を表わす曲線を図示した例である。図9と図10及び図
11は、静翼の翼弦長が一定でアスペクト比が1以上の
静翼の後縁曲線を示した例であり、この場合には楕円曲
線が縦長の曲線となり、アスペクト比の増加とともに静
翼先端部及び根元部の翼弦長と翼中央部の翼弦長の差δ
を小さくすることができ、しかも、アスペクト比の大き
さに応じて翼先端と根元部の翼弦長が変化することにな
る。また、図12はアスペクト比が1以下の横長の楕円
曲線で表わされる静翼20の後縁曲線を図示した例であ
る。この場合の静翼後縁部36の基本形状となる楕円曲
線は37であり、アスペクト比が1以上の前述の例に比
べて、さらに静翼先端と根元の翼弦長は翼中央部よりも
小さくなる。また、図13は、静翼のアスペクト比の大
きさに応じて本発明を適用した具体的な静翼構造を示
す。これらの図から明らかなように、それぞれ静翼のア
スペクト比に応じて静翼37,38及び39の後縁線4
0,41及び42を表わす曲線は、縦横比の小さな曲線
へと変化する。
【0016】図8から図13に示した実施例は、静翼2
0の後縁線を基本の楕円曲線を拡大修正する手段によっ
て規定するために、最終的には二段階になる。この方式
を避けるためには、図14あるいは図15の手段を採用
すれば可能となる。すなわち、図14はアスペクト比が
1以上の縦長の楕円曲線の一部の線分を静翼の後縁線に
適用し、図15はアスペクト比が1以下の横長の楕円曲
線の一部を静翼の後縁線に適用した実施例である。これ
らの実施例は、静翼の翼長の1/2を通る軸線26と静
翼の翼弦長の1/2を通る軸線25との交点を原点と
し、かつ、原点から焦点座標の長さOFが静翼の翼長に
なるように設定した下記の式で表わされる楕円曲線41
の一部の線分を静翼の後縁線40(EPF)に適用する
ものである。
【0017】
【数4】
【0018】以上のように、静翼の翼弦長の翼長の中央
部で最大とし、かつ翼長の中央部から翼先端及び翼根元
部の側壁に向かって漸次縮小するようにスタッキングし
た静翼において、静翼の先端部から根元部への翼後縁線
の変化を静翼の翼弦長と静翼の高さをパラメータとする
楕円曲線で規定することによって、静翼のアスペクト比
の大きさに対応させて、静翼の翼長方向の翼弦長の変化
を決めることができる。もちろん、静翼の後縁線の形状
は、任意の高次関数で近似できるが今回対象としたター
ビン翼列の場合には、静翼のアスペクト比を表わす静翼
の翼長と翼弦長の二つのパラメータだけを含む楕円曲線
が最も好適と考えたからである。
【0019】一般に、タービン翼列に発生する二次流れ
損失は図16に示したように静翼アスペクト比の増加と
ともに単調に減少するが、この場合は従来の静翼のよう
に静翼アスペクト比が変化しても翼弦長が翼長方向に一
定の場合である(図17の実線を参照)。しかし、本発
明のように静翼の後縁線として上記の楕円曲線の一部を
適用すれば、翼先端部及び根元部の翼弦長と翼中央部の
翼弦長との比Ct/Cnが静翼アスペクト比の増加とと
もに単調に増加させることが可能となり、静翼の二次流
れ損失を図16に示すように低減することができる。
【0020】このように、アスペクト比が小さいほど静
翼の先端と根元部の翼弦長を翼中央部の翼弦長よりも小
さくできることは、静翼翼面及び側壁と作動流体との接
触長さが減少することから側壁近くに発達する二次流れ
の抑制に効果的である。
【0021】また、このような静翼構造を提供すること
は、上述した二次流れの抑制効果に加えて、静翼のアス
ペクト比が小さいほど静翼先端部及び根元部の後縁端と
後続する動翼前縁との翼間距離を増加させることにな
る。このことは、静翼の後縁の存在によって発生する静
翼後流の速度欠損の大きな流れが、動翼に流入する割合
を減少させる作用として働き、動翼の付加的な損失を減
じる効果となる。
【0022】また、本発明のように静翼の翼弦長を翼長
の中央部で最大とし、かつ翼長の中央部から翼先端及び
翼根元部の側壁に向かって漸次縮小するようにスタッキ
ングした静翼構造では、必然的に、静翼中央部の静翼出
口角(α)pcdが、静翼先端部の静翼出口角(α)tipと静
翼根元部の静翼出口角(α)rootよりも小さく設定され
る。しかし、先に提案した特公昭61−47285 号公報は、
前述の静翼の翼長方向に関する静翼出口角の変化に対す
る規定がなされておらず、しかも、静翼のアスペクト比
に対応して選択できるような提案がなされていない。本
発明では、この静翼出口角の翼長方向の変化を静翼のア
スペクト比の大きさに応じて変化させることを提案す
る。すなわち、静翼中央部,先端側壁部及び根元側壁部
の静翼出口角(sin1(s/t),s:スロート長,t:静
翼ピッチ)を下記の式で定式化する。
【0023】
【数5】
【0024】但し、(αpcd)fv :フリーボルテックス
設計の静翼中央部の出口角 (αtip)fv :フリーボルテックス設計の静翼先端部の
出口角 (αroot)fv:フリーボルテックス設計の静翼根元部の
出口角 上述の静翼出口角の定義は、図14を参照していただき
たい。また、フリーボルテックス設計について若干の補
足説明を加える。通常、今回対象としたように比較的ア
スペクト比が小さい静翼の設計では、翼長方向の圧力
が、次式で表わされる遠心力との釣合いの条件とベルヌ
ーイの式との関係から求められ、これに基づいて翼長方
向の軸流速度や円周方向分速度がきめられる。
【0025】
【数6】
【0026】ここで p:静翼出口静圧 r:静翼の翼
長方向半径位置 Cu:円周方向分速度 γ:流体の比
重量 g:重力の加速度 c:絶対流出速度 上述の関係の中で、静翼の翼長方向に循環一定(フリー
ボルテックス)の段落では、静翼出口の翼長方向の軸流
速度Caが一定という条件が基本であり、この場合、円
周方向の分速度Cuと半径rとの積が翼長方向に一定と
いう条件が導かれ、静翼出口角αと半径rとの関係は次
式のようになる。
【0027】
【数7】
【0028】このように、フリーボルテックス設計で
は、静翼の根元径と出口角が定まれば任意の半径位置の
静翼出口角も決められることになる。そこで、本発明の
静翼出口角の規定の方法は、前述の式からわかるように
従来の静翼設計法として一般に適用されているフリーボ
ルテックス設計法による静翼出口角を基準として、さら
に、静翼のアスペクト比の影響を考慮してこの大きさに
応じて静翼出口角を修正する方法が提案するものであ
る。
【0029】したがって、本発明の提案によれば基準の
静翼出口角が、従来のフリーボルテックス設計から大幅
にづれること無く設定でき、しかも、静翼のアスペクト
比の大きさに対応して決めることができる。すなわち、
静翼中央部の出口角(α)pcdは、翼中央部の翼弦長を基
準としたアスペクト比が小さいほどフリーボルテックス
設計の出口角よりも小さくなり、さらに、静翼先端部及
び根元部の出口角(α)tip と(α)rootは、アスペクト比
が小さいほどフリーボルテックス設計の出口角よりも大
きくなる。また、図14の静翼出口角の翼長方向分布か
らわかるように、上記の静翼の翼中央部と翼先端部及び
根元部の3点の静翼出口角を任意の二次曲線にしたがっ
て変化させ、さらに翼先端側と翼根元側で従来のフリー
ボルテックス設計の静翼出口角と交差する点は、静翼の
アスペクト比に依存する二次流れ領域にマッチさせるこ
とが望ましい。
【0030】本実施例によれば、先に提案した特公昭61
−47285 号公報の内容では実現できなかった、静翼の翼
弦長をその翼長の中央部で最大とし、かつ翼長の中央部
から翼先端及び翼根元の側壁に近づくにつれて漸次縮小
するようにスタッキングした静翼構造において、静翼の
翼長方向の翼弦長の変化と静翼出口角の変化を具体的に
規定することが可能となり、低アスペクト比段落におい
て顕著に発生する二次流れを効果的に抑制できる静翼構
造を提案することができる。
【0031】図15は、発明者らが空気タービン実験に
よって検証した本発明による段落効率改善の効果を示す
ものである。これは、静翼のアスペクト比に対応して上
記の実施例に示した手段によって、翼長方向の翼弦長及
び静翼出口角の分布を与えた静翼を供試した本発明のス
タッキング静翼と従来の静翼との段落効率差と静翼アス
ペクト比との関係を表わしたものである。その結果は、
いずれの静翼アスペクト比のスタッキング翼も従来翼よ
りも段落効率が向上し、特に、静翼アスペクト比が増加
するとその効果が大きいことがわかる。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、先に提案した特公昭61
−47285 号公報の従来技術にみられる欠点を解消するた
めに、低アスペクト比段落の二次流れ損失減少策として
実質的効果の上がる具体的手段を提案することによっ
て、蒸気タービンやガスタービンなどの軸流タービンの
段落性能の向上を図ることが可能となり、発電プラント
の高効率化並びに省エネルギ化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した典型的なタービン静翼構造の
説明図。
【図2】従来の典型的なタービン段落構造の説明図。
【図3】タービン翼列の二次流れ説明図。
【図4】従来の段落構造と静翼の翼列構造と静翼出口角
の翼長方向分布図。
【図5】従来の段落構造と静翼の翼列構造と静翼出口角
の翼長方向分布図。
【図6】従来の段落構造と静翼の翼列構造と静翼出口角
の翼長方向分布図。
【図7】従来の段落構造と静翼の翼列構造と静翼出口角
の翼長方向分布図。
【図8】図2のVIII−VIII矢視図。
【図9】静翼アスペクト比が変化した場合の静翼後縁曲
線図。
【図10】静翼アスペクト比が変化した場合の静翼後縁
曲線図。
【図11】静翼アスペクト比が変化した場合の静翼後縁
曲線図。
【図12】静翼アスペクト比が変化した場合の静翼後縁
曲線図。
【図13】本発明の具体的な静翼構造の説明図。
【図14】本発明の変形実施例を示す静翼後縁曲線の説
明図。
【図15】本発明の変形実施例を示す静翼後縁曲線の説
明図。
【図16】静翼アスペクト比による二次流れ損失の変化
の説明図。
【図17】静翼アスペクト比による翼弦長の変化の説明
図。
【図18】本発明を適用した静翼出口角の翼長方向分布
図。
【図19】本発明による段落効率改善の効果を示す説明
図。
【符号の説明】
17…静翼の後縁部、18…静翼の前縁線、20…静翼
構造、21…静翼先端部の翼形状、22…静翼根元部の
翼形状、23…静翼中央部の翼形状。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蒸気タービンやガスタービン等の軸流流体
    機械の段落を構成する複数の静翼と動翼のうち、前記静
    翼の弦長をその翼長の中央部で最大とし、かつ、翼長の
    中央部から翼先端及び翼根元の側壁に近づくにつれて漸
    次縮小するようにスタッキングした静翼において、前記
    静翼の翼長方向に関する翼弦長の変化が、前記静翼の翼
    長の1/2を通る軸線と前記静翼の翼弦長の1/2を通
    る軸線の交点を原点とし、かつ静翼の翼長の1/2を長
    径に、静翼の翼弦長の1/2を短径とする次式で表わさ
    れる楕円曲線の焦点座標を通る線分を基本形状とし、か
    つ、翼長方向の静翼後縁座標は、前記楕円曲線を翼長/
    原点から焦点までの長さの比率分だけ拡大修正した曲線
    に従って変化することを特徴とするタービンの静翼構
    造。
  2. 【請求項2】蒸気タービンやガスタービン等の軸流流体
    機械の段落を構成する複数の静翼と動翼のうち、前記静
    翼の弦長をその翼長の中央部で最大とし、かつ翼長の中
    央部から翼先端及び翼根元の側壁に近づくにつれて漸次
    縮小するようにスタッキングした静翼において、前記静
    翼の翼長方向に関する翼弦長の変化が、前記静翼の翼長
    の1/2を通る軸線と前記静翼の翼弦長の1/2を通る
    軸線の交点を原点とし、かつ焦点座標が静翼の翼長の1
    /2になる楕円曲線に従って変化することを特徴とする
    タービンの静翼構造。
  3. 【請求項3】請求項1において、静翼中央部,先端側壁
    部及び根元側壁部の静翼出口角((sin1(s/t) s:ス
    ロート長,t:静翼ピッチ)が下記の式で定義され、か
    つ静翼出口角の翼長方向の変化が上記の三点を結んだ任
    意の三次曲線にしたがって変化するタービンの静翼構
    造。 【数1】 但し、(αpcd)fv :フリーボルテックス設計の静翼中
    央部の出口角 (αtip)fv :フリーボルテックス設計の静翼先端部の
    出口角 (αroot)fv:フリーボルテックス設計の静翼根元部の
    出口角
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