JPH05220441A - ロールコータによる帯状体の塗装膜厚制御方法 - Google Patents

ロールコータによる帯状体の塗装膜厚制御方法

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JPH05220441A
JPH05220441A JP4281323A JP28132392A JPH05220441A JP H05220441 A JPH05220441 A JP H05220441A JP 4281323 A JP4281323 A JP 4281323A JP 28132392 A JP28132392 A JP 28132392A JP H05220441 A JPH05220441 A JP H05220441A
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roll coater
strip
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Ichirou Tanoguchi
一郎 田野口
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孝雄 池永
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ロールコータで鋼板等の帯状体を塗装する際
に、広い範囲の塗装条件の下で塗装膜厚を高精度に制御
することを可能とし、アプリケータロールのゴムの膨潤
の程度が変化する場合でも安定した膜厚制御を可能とす
る。 【構成】 塗料パン12内の塗料Pがピックアップロー
ル14とアプリケータロール16の間の間隙 hPAを通し
て引き上げられ、その一部がアプリケータロール16に
付着して供給流量 qA として鋼板Sの方向へ送られる。
この供給流量 qAと、鋼板Sに転写されずにアプリケー
タロール16上に残ったまま間隙 hASから抜け出るリー
ク流量 qL との差を評価したモデル式:M={( qA
qL )・γ・C}/LSに基づいて鋼板Sに塗装される
膜厚を制御する。γは塗料の比重、Cは塗料の固形分濃
度、LSは鋼板Sの移動速度である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ロールコータによる帯
状体の塗装膜厚制御方法、特にロールコータにより冷延
鋼板等の帯状体にコーティングを連続的に行う際に、膜
厚を高精度に制御することができるロールコータによる
帯状体の塗装膜厚制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板では、その耐蝕性等の性能向上を図
るために、例えば亜鉛めっき鋼板上にクロムや樹脂等を
コーティングすることが一般に行われている。
【0003】上記鋼板に対するコーティングは、入側設
備にあるペイオフリールから払い出された鋼板を、連続
的に搬送しながら、脱脂、ロールコータによるコーティ
ング、オーブンによる乾燥の各工程を通過させることに
より行われる(必要に応じて同工程を繰り返すこともあ
る)。そして、コーティング後の鋼板は、出側設備にお
いて巻き取り装置に巻き取られるようになっている。
【0004】一般に、鋼板の連続塗装に使用されるロー
ルコータは、塗料パン内の塗料を引き上げる鋼製のピッ
クアップロールと、ピックアップロールから塗料を受け
取り鋼板の表面に該塗料を転写して塗装するためのゴム
ライニングされたアプリケータロールを備えている。こ
のロールコータで塗装する場合、塗装膜厚の制御は鋼板
の搬送速度に対し、ロールの周速、ピックアップロール
とアプリケータロール間の押付力、鋼板とアプリケータ
ロール間の押付力を適宜制御することにより行われてい
る。
【0005】ところが、近年、家電製品、自動車、建材
等の広い用途に塗装鋼板が使用されるようになり、防錆
能力向上等の要請から要求される品質が高くなると共
に、塗装膜厚の精度も非常に厳しいものとなってきてい
る。
【0006】従来、ロールコータでコーティングする場
合の塗装膜厚の制御方法としては、例えば、特開昭58
−6268、特公昭60−56553、特公昭62−4
1077に開示されているような、ピックアップロール
とアプリケータロール間の押付力、鋼板とアプリケータ
ロール間の押付力を常時一定値に制御する方法や、特開
昭58−166959、特公平3−23225に開示さ
れているような、ピックアップロールとアプリケータロ
ール間の押付力を、過去に塗装した押付力と塗装膜厚の
関係に関するデータに基づいて制御する方法が知られて
いる。但し、特公平3−23225には、具体的な制御
方法やモデル式に関しては、一切記載されていない。
【0007】又、他の塗装膜厚制御方法としては、ロー
ル周速と鋼板の移動速度のみに着目して実験的に回帰に
より求めた制御モデル式を用いる方法も採用されてい
る。
【0008】次に、帯状体に対して両面塗装を行う場合
のように、該帯状体の裏面を連続塗装する場合について
説明する。
【0009】一般に、帯状体、例えば鋼板に対する連続
両面塗装工程では、図43に示すように、まず鋼板Sを
前段の第1ロールコータ10で表面側を塗装し、次いで
第2ロールコータ20で裏面側を塗装した後、加熱炉2
2を通過させて乾燥し、冷却炉24を通過させて冷却し
た後に、次の工程へ送り出すことが行われている。な
お、図中26はリフトロール、28は出側支点ロールで
ある。
【0010】上記第1ロールコータ10は、塗料パン
(塗料溜め)12内の塗料Pを引き上げるピックアップ
ロール14と、該ピックアップロール14が引上げた塗
料Pの一部を鋼板Sの方向に送ると共に、該鋼板Sに塗
料を転写するアプリケータロール16と、該アプリケー
タロール16により塗料を転写する場合に、該鋼板Sを
アプリケータロール16に押し付けるバックアップロー
ル18とで構成されている。又、上記第2ロールコータ
20は、バックアップロールがない以外は上記第1ロー
ルコータ10と実質的に同一の構成からなる。
【0011】鋼板Sを両面塗装する場合には、該鋼板S
を上記ロールコータ10のバックアップロール18に巻
き付けた状態でアプリケータロール16と該バックアッ
プロール18との間を通過させて表面側を塗装し、次い
でカテナリ状(懸垂状態)で連続的に移送される鋼板S
を下側から第2ロールコータ20のアプリケータロール
16で押し上げた状態で該第2ロールコータ20上を通
過させることにより、裏面側を塗装している。
【0012】このとき、鋼板Sに塗装される膜厚は、該
鋼板Sとアプリケータロール16との間の押付力に大き
く影響されるため、該押付力を目標値に制御することが
重要となる。ところが、上記第1ロールコータ10で表
面側を塗装する場合には、鋼板Sとアプリケータロール
16との間の押付力をバックアップロール18により積
極的に制御することができるのに対し、第2ロールコー
タ20で裏面側を塗装する場合には、鋼板Sとアプリケ
ータロール16の間の押付力は鋼板Sに作用する張力に
よって決定されるため、該押付力を積極的に制御するこ
とができない。
【0013】そこで、鋼板Sの裏面を上記第2ロールコ
ータ20で塗装する場合には、塗装時におけるカテナリ
形状を一定に保持しながら塗装することが考えられる。
このようにカテナリ形状を一定に保持するためには、同
一の鋼板Sを連続的に塗装する定常時ではユニット張力
(張力/鋼板の断面積)を一定に制御すればよい。とこ
ろが、例えば、寸法が異なる先行鋼板と後続鋼板が継接
され、断面積に差がある板継点(継接点)を有する鋼板
を塗装する際に、該板継点がカテナリ中を通過する非定
常時ではカテナリ形状の変動を最小限に止どめるために
張力を時々刻々変化させる必要がある。
【0014】上記板継点がカテナリ中を通過する際に張
力を経時的に変化させる方法としては、例えば、特開平
2−305750に開示されている方法がある。これ
は、カテナリ中に存在する寸法又は材質が異なる長尺材
料の接続位置のトラッキング情報と、該接続位置の前後
にある先行材料と後続材料それぞれの寸法及び材質の情
報とからカテナリ内の張力を演算し、上記トラッキング
情報と寸法及び材質の情報と、算出されたカテナリ張力
とによりカテナリ高さを接続位置に応じて順次演算し、
カテナリ張力を監視すると共に、カテナリ高さと、カテ
ナリ中に前記接続位置が進入する以前のカテナリ高さと
の偏差に対応して、又はカテナリ張力が所定値を超過し
たとき、長尺材料の送り速度を加減してカテナリの過大
張力、又はカテナリ最低点の高さの変動を抑制させる方
法である。
【0015】上述の如く、カテナリ形状を一定に保持す
る場合には、断面積が異なる鋼板の板継点がカテナリ部
を通過しているときに、該板継点の通過位置に応じて張
力を変化させる必要があるため、鋼板Sとアプリケータ
ロール16の間の押付力は時々刻々変化することにな
る。
【0016】このように、アプリケータロール16に対
する上記押付力が変化する場合には、図44に塗装状態
を模式的に示すように、押付力NA が目標値より小さく
なるときには、塗料Pが鋼板Sに転写されずに摺り抜け
てしまうリーク流量 qL が大きくなるため鋼板Sへの付
着量は定常時より少なくなり、逆に押付力NA が目標値
より大きくなると、リーク流量 qL が少なくなり、鋼板
Sへの付着量は大きくなる。
【0017】上記押付力NA が時々刻々変化するため
に、鋼板Sへの塗料Pの付着量が変化する場合には、必
然的に塗装膜厚が増減変化することになるため、品質上
の欠陥となってしまう。
【0018】これを具体的に説明すると、板継点がカテ
ナリ部を通過しつつあるときには、カテナリ部に作用す
る張力が先行鋼板の張力(先行鋼板のカテナリ形状を保
持するに要する張力)から後続鋼板の張力(後続鋼板の
カテナリ形状を保持するに要する張力)に変わるべく時
々刻々と変化しているにも拘らず、従来は該板継点がア
プリケータロール16上を通過すると直ちに後続鋼板の
張力になったものとしてニップ圧(押付力)NP を設定
しているため、図45に示すように先行鋼板(図には先
行材と表記)が後続鋼板(図には後行材と表記)より断
面積が大きい場合には、例えば50mg/ m2 が目標膜厚
のクロメート塗装を行っているにも拘らず、付着量が大
きく変化してしまうという問題があった。
【0019】そこで、従来は上記のような板継点がアプ
リケータロール16上を通過するに伴う付着量変化を防
止するために、断面積が大きく異なる鋼板を連続して塗
装する場合には、これら両者間の断面積比の差を補うた
めに、これら両者の断面積の間の値の断面積を有する接
続用の鋼板を所定の断面積比以内に収まるように順次接
続することにより、先行鋼板と後続鋼板の板継ぎ点にお
ける断面積比を小さく制限し、付着量が大きく変化しな
いようにしていた。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た特開昭58−6268等に開示されている、ロール間
の押付力を一定値に制御する方法では、塗装膜厚は塗料
の種類、アプリケータロール等のロールの周速、鋼板の
移動速度等の塗装条件により大きく異なるため、塗装条
件の広い範囲に亘って塗装膜厚を一定に制御することは
困難である。
【0021】又、アプリケータロールにライニングされ
ているゴムは塗料中のシンナー等により膨潤し、弾性率
(硬度の関数である)が経時的に変化する。従って、ピ
ックアップロールとアプリケータロール間の押付力を一
定値としている場合は、ゴムの膨潤が進行し、その程度
が大きくなるに従って、該ロール間の面圧が減少するた
め、該ロール間を通過する塗料が増大し、塗装膜厚が増
加することになる。
【0022】又、ゴムの膨潤による影響を排除しようと
すると、膨潤が安定するまでに1〜2時間の膨潤作業
(塗装を行わずにコータのみ運転する作業)を行う必要
が生じ、この場合には生産効率が非常に悪化してしまう
ことになる。
【0023】又、前述した特開昭58−166959等
に開示されている、ピックアップロールとアプリケータ
ロール間の押付力を過去のデータに基づいて制御する方
法では、塗料の種類、その希釈率、鋼板の移送速度、ロ
ール周速、目標塗装膜厚等の全ての条件に対応して塗装
膜厚を一定にするための条件を実験的に予め求めておく
必要があるため、多大な時間と手間を要することにな
る。又、この方法の場合では、膨潤によるアプリケータ
ロールのゴムの弾性率の経時変化は常に一定である保証
はないため、膜厚精度の厳格化が要求される自動車用鋼
板等に対しては、膜厚の保証ができないことになる。
【0024】又、前記ピックアップロールの周速とアプ
リケータロールの周速及び鋼板の移動速度のみを評価
し、実験的に回帰により係数を決定して制御する方法
は、安定した制御が可能になるまでに長期間(例えば1
年)を要する上に、又、適用できる制御範囲が狭いとい
う問題もある。
【0025】更に、例えば、前記図43に示した第2ロ
ールコータで鋼板の裏面を連続的に塗装する際に、先行
鋼板と後続鋼板の断面積比を小さく制限する方法を採用
する場合には、断面積差が大きいと大量の接続用鋼板を
準備する必要が生じると共に、中間に介在させる該接続
用鋼板を通板させるために要する時間が多大となり、生
産性を向上させる際のネックとなっていた。
【0026】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
くなされたもので、ロールコータで鋼板等の帯状体を塗
装する際に、塗装条件の広い範囲に亘って塗装膜厚を高
精度に制御することができるロールコータによる帯状体
の塗装膜厚制御方法を提供することを第1の課題とす
る。
【0027】又、本発明は、ロールコータで鋼板等の帯
状体を塗装する際に、アプリケータロールにおけるゴム
等の弾性材の膨潤の程度が経時的に変化する場合でも、
常に安定した膜厚制御を行うことができるロールコータ
による帯状体の塗装膜厚制御方法を提供することを第2
の課題とする。
【0028】更に、本発明は、帯状体を裏面塗装する場
合、断面積が大きく異なる先行する第1帯状体と、後続
の第2帯状体とが継接された帯状体であっても、該帯状
体を懸垂状態で連続的に移送すると共に、その懸垂部
(カテナリ部)をロールコータのアプリケータロールで
支持しながら塗装する際に、第1帯状体と第2帯状体と
の断面積比の差を補うための接続用の帯状体を使用する
ことなく、第1及び第2帯状体に対して均一な膜厚で塗
装することができる、ロールコータによる帯状体の塗装
膜厚制御方法を提供することを第3の課題とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも表
面が弾性材で形成されたアプリケータロールを備えたロ
ールコータにより、連続的に移動する帯状体に塗料を転
写・塗装する際のロールコータによる帯状体の塗装膜厚
制御方法において、アプリケータロールの回転により帯
状体側へ送られる塗料の供給流量 qA と、帯状体に転写
されずにアプリケータロールに残るリーク流量 qL との
差を評価したモデル式に基づいて帯状体に塗装される膜
厚を制御することにより、前記第1の課題を達成したも
のである。
【0030】本発明は、又、前記ロールコータによる帯
状体の塗装膜厚制御方法において、アプリケータロール
と該アプリケータロールの前段に連接する前ロールとの
間隙を弾性流体潤滑理論を適用して求め、該間隙を用い
て前記供給流量 qA を与える式を導き、且つ、アプリケ
ータロールと帯状体との間隙を同じく弾性流体潤滑理論
を適用して求め、該間隙を用いて前記リーク流量 qL
与える式を導き、供給流量 qA を与える式とリーク流量
qL を与える式とを、前記モデル式に適用することによ
り、塗装膜厚が薄い場合でも、更に確実に前記第1の課
題を達成したものである。
【0031】本発明は、又、前記ロールコータによる帯
状体の塗装膜厚制御方法において、モデル式に含まれる
アプリケータロールの弾性係数を経時的に求め、その経
時的変化を膜厚制御に反映させることにより、前記第2
の課題を達成したものである。
【0032】本発明は、更に、帯状体を懸垂状態で連続
的に移送すると共に、該帯状体をロールコータのアプリ
ケータロールで支持しながら塗装する際のロールコータ
による帯状体の塗装膜厚制御方法において、寸法の異な
る第1帯状体と第2帯状体の継接部を該ロールコータ上
を通過させるに際し、経時的に変化する上記帯状体の張
力をロールコータにおける膜厚制御因子に反映させるこ
とにより、前記第3の課題を達成したものである。
【0033】本発明は、又、前記ロールコータによる帯
状体の塗装膜厚制御方法において、アプリケータロール
が、少なくとも表面が弾性材で形成されており、アプリ
ケータロールの回転により帯状体側へ送られる塗料の供
給流量 qA と、帯状体に転写されずにアプリケータロー
ルに残るリーク流量 qL との差を評価した基本式を設定
し、アプリケータロールと該アプリケータロールの前段
に連接する前ロールとの間隙を弾性流体潤滑理論を適用
して求め、該間隙を用いて前記供給流量 qA を与える式
を導き、且つ、アプリケータロールと帯状体との間隙を
同じく弾性流体潤滑理論を適用して求め、該間隙を用い
て前記リーク流量 qL を与える式を導き、供給流量 qA
を与える式とリーク流量 qL を与える式とを、前記基本
式に適用して膜厚制御式を作成し、該膜厚制御式に含ま
れる膜厚制御因子に前記帯状体の張力を反映させること
により、同様に前記第3の課題を達成したものである。
【0034】
【作用】本発明においては、連続的に移動する帯状体に
塗装される膜厚を、アプリケータロールの回転により帯
状体側へ送られる塗料の供給流量 qA と、該塗料が帯状
体に転写された後に該アプリケータロール上に残存する
リーク流量 qL との差を評価した膜厚制御モデル式を用
いて膜厚を制御するようにしたので、膜厚制御を論理的
に行うことが可能となり、それ故に塗装条件の広い範囲
に亘ってロールコータによる塗装膜の厚さを高精度に且
つ安定して制御することが可能となる。
【0035】又、アプリケータロールと、該アプリケー
タロールの前段に位置する前ロール(二連ロールのロー
ルコータではピックアップロールに相当する)との間の
間隙を、アプリケータロールが有する弾性材の弾性係数
を考慮する弾性流体潤滑理論を適用して求め、該間隙を
用いて上記供給流量 qA を求めると共に、アプリケータ
ロールと帯状体との間隙を同様に弾性流体潤滑理論を適
用して求め、該間隙を用いてリーク流量 qL を求め、こ
れら両流量 qA 及び qL を上記制御モデル式に適用する
場合は、ロール間隙が負の状態で行う極めて薄い膜厚の
コーティングについても高精度で且つ安定した膜厚制御
を行うことが可能となる。
【0036】更に、上記供給流量 qA 及びリーク流量 q
L の算出に弾性流体潤滑理論を適用して作成した膜厚制
御のモデル式に含まれる弾性係数を経時的に求め、その
経時的変化を膜厚制御に反映させる場合には、上記弾性
係数を実測値に基づいて逐次修正することにより、アプ
リケータロールが有する弾性材の膨潤の程度が経時的に
変化する場合でも、常に正確に膜厚を制御することが可
能となる。
【0037】本発明においては、又、懸垂状態で連続的
に移送する帯状体をロールコータのアプリケータロール
により下側から押上げて支持した状態で裏面塗装する際
に、断面積差のある先行帯状体と後続帯状体との継接点
がカテナリ部を通過中に時々刻々変化するカテナリ部の
張力を実測し、その張力値をロールコータにおける膜厚
制御因子に反映させるようにしたので、該継接点で断面
積差が大きな場合でも、先行及び後続の両帯状体に対し
て均一な膜厚で塗装することが可能となる。
【0038】具体的には、例えば、ピックアップロール
とアプリケータロール間の押付力(ニップ圧)を実測張
力値に対応させて制御することにより、上記板継ぎ点が
カテナリ部を通過する際に、塗料の付着量を一定に保つ
ことを可能とした。
【0039】又、その際に、ロールコータによる膜厚制
御に、ピックアップロールとアプリケータロールとの間
の間隙及びアプリケータと帯状体との間の間隙を弾性流
体潤滑理論で評価した膜厚制御式を適用することによ
り、薄膜塗装の場合であっても均一な厚さで塗装するこ
とを可能とした。
【0040】又、カテナリ部の張力を実測する代わり
に、継接点をトラッキングし、カテナリ形状の変動を抑
制するために設定する張力を使用し、例えばピックアッ
プロールとアプリケータロール間の押付力を制御するこ
とにより、塗料の付着量を一定に保つ塗膜制御を行うこ
ともできる。
【0041】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳
細に説明する。なお、以下の説明では、前記従来技術に
示したものと同一部分については原則として同一の符号
を使用する。
【0042】図1は、本発明に係る第1実施例に適用さ
れるロールコータを、その作用と共に示す概略構成図で
あり、図2は、ロールコータが適用可能な塗装設備の一
例を簡単に示した概略説明図であり、この塗装設備は、
前記図43に示した設備が2つ前段と後段に連設されて
いるものに相当する。
【0043】一般に、鋼板(帯状体)に対するコーティ
ングは、図2に示すような流れに従って行われている。
即ち、入側設備のペイオフリール(図示せず)から払い
出され、脱脂工程を経た鋼板Sは、前段設備の第1ロー
ルコータ10、第2ロールコータ20へ搬送され下地塗
装された後、第1オーブンで乾燥され、第1クーラーで
冷却された後、第1付着量計で塗料の付着量が計測され
る。
【0044】前記設備で下地塗装が終了した上記鋼板S
は、次の後段設備で同じく第1ロールコータ10A、第
2ロールコータ20Aで上層塗装された後、第2オーブ
ン及び第2クーラーでそれぞれ乾燥及び冷却された後、
第2付着量計で付着量が計測され、その後、例えば出側
設備の巻き取りリール(図示せず)へ送られ、巻き取ら
れる。なお、製品により、片面のみの塗装の場合、下地
塗装が省略される場合等に応じて符号10、10A、2
0、20Aのコータは使い分けられる。
【0045】本実施例は、上記塗装設備等に用いられる
ロールコータ(図2では前段及び後段設備における第1
ロールコータ10、10Aに相当)により鋼板Sの表面
を塗装する場合に、その膜厚を高精度に制御することを
可能とするものである。
【0046】本実施例の膜厚制御方法を、図1に示すロ
ールコータ10でコーティングする場合を例にして詳細
に説明する。
【0047】上記ロールコータ10は、塗料パン(塗料
溜め)12内の塗料Pを引き上げるピックアップロール
14と、前記ピックアップロール14と共に塗料を引き
上げ、その一部を鋼板Sの方向に移送すると共に、該鋼
板Sに塗料を転写するアプリケータロール16と、該ア
プリケータロール16によりその塗料を転写する際に該
鋼板Sをアプリケータロール16に押え付けるバックア
ップロール18とで構成されている。
【0048】上記ピックアップロール14は、半径RP
の鋼製ロールであり、周速VP で回転しており、上記ア
プリケータロール16は、表面にゴムがライニングされ
た半径RA のロールであり、上記ピックアッロール14
に対して順方向に周速VA で回転している。これに対
し、上記バックアップロール18は、半径RS の鋼製ロ
ールであり、上記アプリケータロール16に対して逆方
向に周速LSで上記鋼板Sと共に回転するようになって
いる。
【0049】上記ロールコータ10では、ピックアップ
ロール14とアプリケータロール16との間隙を hPA
すると、この間隙 hPAの間を通過する塗料の総流量 qPA
が、ピックアップロール14側とアプリケータロール1
6側に分離される。ピックアップロール14上に付着し
た塗料は塗料パン12へ戻される戻り流量 qP 、アプリ
ケータロール16上に付着した塗料は鋼板S側へ送られ
る供給流量 qA となる。
【0050】供給流量 qA は、鋼板Sへ送られるとその
一部(ストリップ流量という) qSが該鋼板S上に転写
されると同時に残部がアプリケータロール16とバック
アップロール18の間の間隙 hASを抜けるリーク流量 q
L となる。
【0051】従って、乾燥後の塗料付着量(単位面積当
りの固形分付着量であり、塗装膜厚に相当する)をMと
すると、ストリップ流量 qS の下で塗装された鋼板Sの
塗料付着量Mは、次式(1)で与えられる。なお、塗料
付着量Mの単位は[g / m2]で、γは塗料の比重、C
は塗料の固形分濃度である。
【0052】 M= qS ・γ・C/LS …(1)
【0053】上記ストリップ流量 qS は供給流量 qA
リーク流量 qL の差に等しいので、上記(1)式は次の
(2)式とすることができる。
【0054】 M=( qA − qL )・γ・C/LS …(2)
【0055】本実施例は、上記(2)式を膜厚制御の基
本モデル式として、上記ロールコータ10により膜厚の
制御を行うものである。実際のモデル式は、上記(2)
式のqA 、 qL として制御可能な具体的な式を代入する
ことにより作成する。この供給流量 qA 、リーク流量 q
L は以下のようにして求めることができる。
【0056】上記ロールコータ10においては、次の
(3)〜(5)式の関係がある。即ち、(3)式は総流
量 qPAが、ピックアップロール14とアプリケータロー
ル16との間隙と該両ロール14、16の平均速度との
積で与えられ、(4)式は戻り流量 qP と供給流量 qA
の和が総流量 qPAであり、(5)式は総流量 qPAの分配
比率( qA と qP の比)が上記両ロールの周速の比
(α、βは定数)から与えられることを、それぞれ示し
ている。
【0057】
【数1】
【0058】上記(3)〜(5)式の関係から、供給流
量 qA は次の(6)式で与えられる。
【0059】
【数2】
【0060】一方、リーク流量 qL は、次の(7)式で
与えられる。なお、λは定数である。
【0061】 qL =λ hAS(VA −LS) …(7)
【0062】(6)式の供給流量 qA と(7)式のリー
ク流量 qL をそれぞれ前記(2)式の基本モデル式に代
入し、次の(8)式の具体的なモデル式を得る。
【0063】
【数3】
【0064】上記モデル式(8)は、ピックアップロー
ル14とアプリケータロール16との間、及びアプリケ
ータロール16と鋼板Sとの間にそれぞれ間隙 hPA及び
hASを所定の値として積極的に設ける場合、即ちピック
アップロール14及びアプリケータロール16それぞれ
のロール半径の和より該両ロールの軸心間距離が大きく
該両ロール間に正のギャップがあり、同じくアプリケー
タロールと鋼板Sとの間に正のギャップがある場合に有
効である。
【0065】従って、上記モデル式(8)は、塗装膜厚
が比較的厚い場合の膜厚制御に適用される。
【0066】次に、ピックアップロール14及びアプリ
ケータロール16それぞれのロール半径の和より該両ロ
ールの軸心間距離が小さい場合に、即ちピックアップロ
ール14とアプリケータロール16との間の間隙が見掛
け上負となる場合に適用可能なモデル式について説明す
る。このように、見掛け上のロール間の間隙が負のギャ
ップとなる現象は、薄い塗装膜厚を得るためロール間の
押付力を強くする場合に、アプリケータロール16にラ
イニングされているゴムがロール半径方向に縮む変形を
起こすことによって生じる。この現象は、アプリケータ
ロール16とバックアップロール18、即ち鋼板Sとの
間でも同様に生じる。
【0067】上記のように薄い塗装膜を得るために、ロ
ール同士を強く押え付ける場合には、ロール間又はロー
ルと鋼板Sとの間が負のギャップとなるため、見掛け上
のロール間隙は存在しないことになる。そこで、前記モ
デル式(8)に含まれるロール間隙 hPA及び hASを弾性
流体潤滑理論に基づいて評価し、その値を前記(8)式
に代入し、ピックアップロール14とアプリケータロー
ル16との間又はアプリケータロール16と鋼板Sとの
間が見掛け上負のギャップの場合にも適用可能な新たな
モデル式を作成する。
【0068】上記間隙 hPAは、弾性流体潤滑理論を適用
した一実施例によると次の(9)式で与えられる。
【0069】
【数4】
【0070】ここで、 2/EPA=(1−νP 2 )/EP +(1−νA 2 )/EA …(10) RPA=(RP ・RA )/(RP +RA ) 但し、NP :ロール間のニップ圧(total ) l :ロール面長 EP :ピックアップロールヤング率 νP :ピックアップロールポアソン比 EA :アプリケータロールヤング率 νA :アプリケータロールポアソン比
【0071】又、上記間隙 hASは、同様に弾性流体潤滑
理論を適用した一実施例によると次の(11)式で与え
られる。
【0072】
【数5】
【0073】ここで、 2/EAS=(1−νA 2 )/EA +(1−νS 2 )/ES …(12) RAS=RA ・RS /(RA +RS ) 但し、NA :押付力(total ) B :板幅 ES :ストリップヤング率 νS :ストリップポアソン比 EA :アプリケータロールヤング率 νA :アプリケータロールポアソン比
【0074】上記(9)式、(11)式を前記(8)式
に代入して整理すると、次の(13)式のモデル式が得
られる。
【0075】
【数6】
【0076】上記モデル式を用いて前記ロールコータ1
0による塗装を制御することにより、ピックアップロー
ル14とアプリケータロール16との間の間隙及びアプ
リケータロール16と鋼板Sとの間隙が見掛け上負の場
合でも正確に塗装膜厚を制御することが可能となる。こ
の制御結果の具体例については、他の実施例の場合と共
に後に詳細に説明する。
【0077】本実施例によれば、前述した如く、膜厚を
制御するためのモデル式を理論的に導き出したので、広
い範囲の塗装条件の下で膜厚を正確に制御することが可
能となる。従って、塗装条件を変更する場合、例えば使
用する塗料の種類を変更する場合でも容易に所望の膜厚
に制御することが可能となる。
【0078】又、本実施例においては、蒸発、温度変化
等により塗料の粘度、濃度が経時的に変化する場合であ
っても、以下のようにして鋼板Sに対する塗料付着量を
一定に制御することができる。
【0079】即ち、例えば、図3に示すように、前記ロ
ールコータ10の塗料パン12に塗料を供給するための
循環タンクTにオンラインで測定可能な粘度計Vと濃度
計Cとを設置し、該タンクT中の塗料を循環させながら
その粘度と濃度を逐時検出する。次いで、これら検出値
を演算装置Aに入力し、該演算装置Aで次に示す演算を
実行して求めた所定のニップ圧及びロール周速の少なく
とも一方の指令信号を上記ロールコータ10の駆動装置
に送り、該ロールコータ10をフィードフォワード制御
する。
【0080】上記演算装置Aでは、塗料の粘度μ及び濃
度Cと付着量Mとの関係を表わす次の(14)式を変形
して得られる下記(15)式及び(16)式に、実測し
た粘度μと濃度Cを代入してそれぞれニップ圧NP 及び
ロール周速VA を算出する。 M=C・μ0.6 ・f (VA ,VP ,NA ,NP ,LS,E,R,γ)…(14)
【0081】なお、式中、VP はピックアップロール周
速、NA は押付圧、LSはライン速度、Eは等価弾性係
数(前記(11)式のEASに当る)、Rは等価ロール径
(前記(11)式のRASに当る)、γは比重である。
【0082】 NP ={1/(C・μ0.6 )} × f-1(M,VA ,VP ,NA ,LS,E,R,γ) …(15) VA ={1/(C・μ0.6 )} × f-1(M,Vp ,NA ,NP ,LS,E,R,γ) …(16)
【0083】なお、粘度計V又は濃度計Cの一方しかな
い場合でも、予め測定してある、図4に示すような粘度
−濃度−温度曲線を、関数形又はテーブルとして演算装
置Aに入力しておき、粘度を実測した場合は濃度を、
又、濃度を実測した場合は粘度を算出し、その結果を同
様に上記(15)式又は(16)式に代入してフィード
フォワード制御を行ってもよい。
【0084】経時的に塗料の粘度と濃度が変化していく
場合に、上述したフィードフォワード制御を、初期濃度
10%、初期粘度20cP、比重0.92の有機溶剤系塗
料を約48時間連続塗装した場合に適用した結果を図5
〜図7に示す。目標付着量は1.2±0.2 g/ m2
ある。
【0085】塗装条件は、LS=30mpm 、VA =80
mpm 、VP =40mpm 、NA =100kg/片側、NP
334kg/片側であり、ロール径はピックアップロール
φ300、アプリケータロールφ300、バックアップ
ロールφ900、アプリケータロールゴム硬度は52°
である。
【0086】図5に示すように、塗料性状は経時的に変
化し、48時間後には濃度11%、粘度24cP、比重
0.92になったが、上記フィードフォワード制御を適
用し、ニップ圧NP を図6のように制御した結果、図7
に示すように塗料付着量が略一定に制御することができ
た。
【0087】又、前記(13)式のモデル式を用いる場
合は、アプリケータロール16にライニングされている
ゴムの膨潤の程度が時間的に変化し、その弾性係数(ヤ
ング率)が経時的に変化する場合でも、その変化に追随
して一定の膜厚で制御するも可能である。即ち、前記モ
デル式(13)に含まれる、ピックアップロール14と
アプリケータロール16の等価弾性係数EPAと、アプリ
ケータロール16と鋼板Sの等価弾性係数EASを、それ
ぞれ前記(10)式、(12)式を用いて、ゴムの膨潤
により逐次変化する弾性係数EA (アプリケータロール
のヤング率)を計測して修正することにより、上記両等
価弾性係数EPA、EASの経時的な変化を評価しながら前
記モデル式(13)を補正することが可能となる。
【0088】EA の具体的な計測方法の一例としては、
ピックアップロール14とアプリケータロール16間の
押圧力(ニップ圧)Np と該ロール間の軸芯間距離を検
出し、両検出値からEA を算出する等の方法がある。
【0089】従って、本実施例によれば、ロールコータ
10のアプリケータロールを交換した場合等のように、
アプリケータロール16にライニングされているゴムの
膨潤の程度が時々刻々と変化する場合でも、所望の膜厚
に正確に制御することが可能となる。この制御結果の具
体例については後に詳述する。
【0090】次に、本発明に係る第2実施例について説
明する。
【0091】本実施例は、図8に示すように、前記第1
実施例で用いたロールコータ10の後方に更に1つのロ
ールコータ20が配設されている設備を用い、鋼板Sの
表裏両面を順次塗装する場合の塗装膜厚制御方法であ
る。なお、図中26は、前記図43の場合と同様に、鋼
板Sのアプリケータロール16に対する巻付角を修正す
るためのリフトロールである。
【0092】前段のロールコータ(以下、第1ロールコ
ータともいう)10で鋼板Sの表面を塗装する場合に
は、前記第1実施例の場合と同様に塗装膜厚の制御を行
うことができるが、後段のロールコータ(以下、第2ロ
ールコータともいう)20でその裏面を塗装する場合に
も、前記第1実施例と同様に、前記モデル式(8)又は
(13)を適用して膜厚制御をすることができる。
【0093】但し、鋼板Sがアプリケータロール16
に、第1ロールコータ10では外接しているのに対し、
ロールコータ20では内接しているため、前記(13)
式におけるアプリケータロール16と鋼板Sとの等価ロ
ール半径RASを次の(17)式とする。又、この場合、
バックアップロールの半径RS は鋼板Sの曲率半径と
し、押付圧NA は、鋼板Sの張力から求められる。
【0094】 RAS=RA ・RS /(RS −RA ) …(17)
【0095】図9は、本発明に係る第3実施例に適用さ
れるロールコータを示す概略構成図である。
【0096】上記ロールコータ10は、ピックアップロ
ール14とアプリケータロール16の間に更にトランス
ファロール30が介設され、塗料供給側が三連のロール
で構成されている。このように、三連ロールからなるロ
ールコータ10の場合でも、塗装膜厚の制御には、前記
(8)又は(13)式と実質的に同一のモデル式を適用
することができる。
【0097】その際、トランスファロール30における
リーク流量を qT とすると、前記(1)式における qS
は、 qA − qL − qT となるので、前記(2)式に相当
する基本モデル式は次の(18)式で与えられる。
【0098】 M=( qA − qL − qT )・γ・C/LS …(18)
【0099】なお、図示はしないが塗料供給側ロールが
四連以上であっても同様に前記モデル式を適用すること
ができる。その際、次の原理を適用する。
【0100】連接する前ロール1と後ロール2の2つの
ロールが存在する場合、前ロール1から後ロール2へ送
られる塗料の流量 q2 を次のようにして算出する(流量
q2は、後ロール2がアプリケータロールである場合の
供給流量 qA に相当する)。
【0101】図10(A)に示すように、前ロール1と
後ロール2とが順方向に回転している場合は、前記
(3)〜(5)式に示したと同一の関係が成り立ってい
るので、前記(6)式に相当する次の(19)式で上記
流量 q2 が与えられる。
【0102】
【数7】
【0103】逆に図10(B)に示すように、前ロール
1と後ロール2とが逆方向に回転している場合は、前記
(7)式の関係が成り立っているので、次の(20)式
で上記流量 q2 が与えられる。
【0104】 q2 = q1 −λ h12(V1 −V2 ) …(20)
【0105】前記モデル式(8)、(13)を、上記
(19)、(20)式の関係を考慮して作成することに
より、連接されているロールの数に制限なく、しかもそ
れぞれの回転が順方向、逆方向のいずれであっても、前
記モデル式を適用することが可能となる。
【0106】上記(19)、(20)式の関係は、アプ
リケータロールと鋼板Sとの間にも成り立つため、アプ
リケータロールが鋼板Sの移動方向に対して順方向に回
転する場合にも、前記モデル式が同様に適用可能であ
る。具体的には、例えば図11〜図20に示す回転方向
の組合せで操作するロールコータにも上記モデル式
(8)、(13)を適用することが可能である。
【0107】前記(13)式を用いて実際に膜厚制御を
行った結果を図21〜図29に示す。これら図21〜図
29の制御結果は、それぞれ塗装条件を変えて実際に塗
装して得られたものであり、その塗装条件を下記表1に
示す。
【0108】
【表1】
【0109】上記表1のロールコータ・タイプの欄でA
は、前記図1に示したロールコータ(前記図8に示した
前段の第1ロールコータも同じ)を、Bは前記図8に示
した後段の第2ロールコータを、Cは前記図13に示し
たロールコータを、それぞれ使用したことを表わしてい
る。
【0110】上記表1に記載した制御結果とその条件の
一部について具体的に説明すると、図21は、タイプA
のロールコータを使用し、鋼板Sに濃度3%、粘度1c
P、比重1.0の塗料を塗装した結果であり、又、図2
2は、同じくタイプAのロールコータを使用し、濃度1
0.5%、粘度8cP、比重1.0の塗料を塗装した結果
である。又、図24は、タイプBのロールコータを使用
し、濃度14%、粘度3.1cP、比重1.0の塗料を塗
装した結果である。
【0111】上記図21〜図29より、乾燥後付着量
(膜厚)が、いずれも計算値(横軸)と実測値(縦軸)
とがよく一致していることが明らかであり、これより塗
装条件の広い範囲に亘って、本発明が有効であることが
分かる。
【0112】次に、ライン速度を変化させた場合の本発
明による塗装膜厚の制御例について説明する。
【0113】この制御例では、前記第2実施例におい
て、前記図8に示したと同様に配置された第1ロールコ
ータ(タイプA)と第2ロールコータ(タイプB)の2
連のロールコータを使用した。塗装対象は、厚さ0.5
mm、幅1220mmの鋼板であり、塗料としては、濃度1
4%、粘度3.1cP、比重1.0の水溶性塗料を使用し
た。
【0114】図30(A)は、同図(B)のようにライ
ン速度(mpm )を、60→80→60→40→60の順
に変化させた場合に、本発明を適用して塗装膜厚を制御
した結果である。図中、二点鎖線は、第1ロールコータ
で塗装した表側の塗料付着量(膜厚)の、又、実線は第
2ロールコータによる裏側の塗料付着量の経時変化をそ
れぞれ表わしている。
【0115】上記図30(A)の膜厚制御結果は、押付
力NA とピックアップロール周速V P とを一定とし、ア
プリケータロールの周速VA を図31(A)の様に、上
記図30(B)に示したライン速度LSに対応させて変
更し、ニップ圧NP を前記モデル式(13)に基づいて
図31(B)の様に制御することにより得られたもので
ある。
【0116】上記周速VA は、第1ロールコータ(表面
塗装)ではLS+40(mpm )とし、モデルBのロール
コータ(裏面塗装)ではLS+30(mpm )とした。
【0117】又、上記ニップ圧NP は、前記(13)を
変形して求めた次の(21)式に、既知の各値と共に上
記ライン速度LS及び周速VA を適用し、これらの変化
に対応する値として求めた。
【0118】
【数8】
【0119】上述の如くして塗装膜厚を制御した結果
が、前記図30(A)であり、この図から明らかなよう
に、本発明によれば、ライン速度LSが変化する場合で
も、表裏両面について極めて高精度の膜厚制御が可能で
あることが分る。
【0120】次に、アプリケータロールにライニングさ
れているゴムが膨潤し、経時的にその程度が変化してい
く場合に、本発明を適用して塗装膜厚を制御する具体例
について図32〜図35を用いて説明する。
【0121】この制御例は、前記図1に示したロールコ
ータ(タイプA)において、前記(13)式のモデル式
を適用するに際し、前述した如く、該モデル式(13)
式に含まれる、ピックアップロール14とアプリケータ
ロール16の等価弾性係数E PAと、アプリケータロール
16と鋼板Sの等価弾性係数EASを、それぞれ前記(1
0)式、(12)式を用いて、ゴムの膨潤により逐次変
化する弾性係数EA (アプリケータロールのヤング率)
を計測して修正することにより、上記両等価弾性係数E
PA、EASの経時的な変化を評価しながら前記モデル式
(13)を補正することにより、塗装膜厚を制御したも
のである。
【0122】塗装対象は、厚さ0.7mm、幅1200mm
の鋼板であり、該鋼板に対して、濃度14%、粘度8c
P、比重1.0の塗料を36時間に亘って連続塗装を行
ったところ以下の結果が得られた。
【0123】図32は、ゴムヤング率(弾性係数EA
当たる)の経時変化を測定した結果である。
【0124】図33は、上記の如く、ゴムヤング率が変
化していく状態の下で、ロールコータに対する設定条件
を一定として塗装した際の塗料付着量の変化を示したも
のである。ロールコータに対する設定条件は、LS=6
0mpm 、VA =90mpm 、V P =30mpm 、NP =32
0kg、NA =200kgであり、又、目標付着量は1.0
±0.2g / m2 である。
【0125】図34は、前記(13)式のモデル式によ
り膜厚制御するに際し、前述した方法により、上記図3
0に示したゴムヤング率の変化に対応させて変化させた
ニップ圧NP を示したものであり、図35は、このよう
に経時的に変化させたニップ圧NP を用いてモデル式
(13)を修正しつつ、本発明方法に従って制御した結
果を示したものである。
【0126】上記図35より明らかなように、本発明に
よれば、ピックアップロール16にライニングされてい
るゴムが、塗装作業を継続するに伴なって膨潤していく
場合でも、極めて高精度に塗装膜厚を制御できることが
分る。
【0127】次に、前記図2に示した塗料設備におい
て、アプリケータロール16のライニングゴムが経時的
に膨潤する場合に、例えば、第1付着量計で実測した付
着量を前記(13)式に適用する塗装膜厚のフィードバ
ック制御について説明する。
【0128】上記付着量計で塗装膜厚の実績値MR を測
定し、(13)式からM=MR を満足するアプリケータ
ロール16の弾性率EA を逆算すると共に、求めた該弾
性率EA と、他の必要な値とを(13)式に適用して第
1ロールコータ10及び第2ロールコータ20をオンラ
インでフィードバック制御する。
【0129】この操作を継続して実行することにより、
アプリケータロール16のゴムの膨潤による塗装膜厚の
変動を補正できるため、常に均一な厚さで塗装すること
ができる。なお、(13)式に含まれる他の要因(例え
ば、VA 、VP 、NA 、NP、C、γ、μ等)をも同時
に実測し、その実績値を上記MR と共に(13)式に適
用して、弾性率EA を逆算してもよい。
【0130】厚さ0.8mm、幅1220mmの亜鉛めっき
鋼板Sを、速度LS=100mpm 、アプリケータロール
周速VA =130mpm 、ピックアップロール周速VP
30mpm 、塗料の粘度μ=30cP、アプリケータロール
弾性率(膨潤前)=0.32kg/mm2 の条件の下で、塗
装膜厚の実績値MR を用いて行った上記フィードバック
制御の結果を、図36に示す。なお、この図の結果は、
本発明及び従来の何れも膨潤作業を行わない場合のもの
である。
【0131】図37は、本発明に係る第4実施例に適用
するロールコータの配置を示す概略説明図である。
【0132】図37は、前記図43の第1ロールコータ
10と第2ロールコータ20を拡大して示したもので、
前記第2実施例で使用した図8に示したものと実質的に
同一である。本実施例は、図示するように、第1ロール
コータ10で表面側を塗装した鋼板Sを、懸垂状態で移
送すると共に下から第2ロールコータ20で支持しなが
ら塗装する工程において、寸法の異なる第1鋼板と第2
鋼板の板継点を上記第2ロールコータ20の上を通過さ
せて塗装するに際し、弾性流体潤滑理論を適用して作成
した膜厚制御式を用いて膜厚の制御を行うものである。
【0133】本実施例においては、第1ロールコータ1
0で鋼板Sの表面を塗装する場合は、前記第2実施例の
場合と同様に、前記(8)式又は(13)式を適用して
塗装膜厚の制御を行うが、第2ロールコータ20による
裏面塗装は以下のようにして行う。
【0134】第2ロールコータ20で鋼板Sの裏面を塗
装する場合も、前記第2実施例の場合と同様に、第1ロ
ールコータ10に適用した前記膜厚制御式(8)又は
(13)を適用することができるが、この(13)式を
適用する場合には、アプリケータロール16と鋼板Sと
の等価ロール半径RASを前記(17)式で設定する。
【0135】又、前記(13)式を適用する場合は、第
1ロールコータ10による表面塗装では、鋼板Sとアプ
リケータロール16との間の押付力NA を、積極的に制
御可能であるのに対し、第2ロールコータ20による裏
面側塗装で、押付力NA は鋼板Sのカテナリ部に作用す
る張力Hにより決定されるため、次の(22)式で設定
する必要がある。
【0136】 NA =2H sin(θ/2) …(22) (θ:巻付角)
【0137】上記(22)式を前記(13)式に代入し
て、ピックアップロール14とアプリケータロール16
との間のニップ圧NP について解くと、前記(21)式
に対応する次の(23)式となる。
【0138】
【数9】
【0139】本実施例は、張力測定装置(図示せず)で
張力Hを実測し、上記(23)式における張力Hの項に
カテナリ部の実測張力値を適用することにより、経時的
に変化する張力値Hに応じてニップ圧NP を制御するも
のである。従って本実施例によれば、断面積差が大きい
板継点がカテナリ部を通過するに従って該カテナリ部に
作用する張力が経時的に変化する場合でも、先行及び後
続の両鋼板に均一な膜厚で塗装することが可能となる。
【0140】次に、本発明に係る第5実施例について説
明する。
【0141】本実施例は、板継点をトラッキングすると
共に、カテナリ形状の変動を抑制するための張力Hを、
以下に詳述する方法で算出し、該張力Hを前記(23)
式の膜厚制御式に適用し、ニップ圧NP を制御する以外
は、前記第4実施例と実質的に同一である。
【0142】本実施例では、入側ロールと出側ロールの
間に懸垂された鋼板Sを連続移送しながら第2ロールコ
ータ20で裏面塗装する工程において、寸法の異なる第
1鋼板と第2鋼板の継接部(板継点)をカテナリ部を通
過させるに際し、鋼板Sの張力H(Xs )を、上記継接
部の入側ロールからの進入度(Xs /L)のみを変数と
する補正関数f (Xs /L)を含む次式(24)で設定
し、該張力H(Xs )でカテナリ形状を制御すると共
に、鋼板Sの塗装を行う。なお、ここで、入側ロールは
前記図43に示した第2ロールコーター20のアプリケ
ーターロール16であり、出側ロールは出側に位置する
支点ロール28である。
【0143】 H(Xs )=H2 −(H2 −H1 )f (Xs /L) …(24) ここで、H2 :第1鋼板の張力 H1 :第2鋼板の張力 Xs :継接部の入側ロールからの進入位置 L :カテナリーの全長
【0144】以下、上記(24)式の導出方法について
詳述する。
【0145】図38は、入側支点ロール(前記図43に
おける第2ロールコーター20のアプリケーターロール
16に相当する)32と、出側支点ロール(前記図43
における支点ロール28に相当する)34との間で、カ
テナリー形状に懸垂され、連続的に矢印方向に移送され
ている鋼板(帯状体)Sを模式的に示した概略説明図で
ある。
【0146】上記鋼板Sの懸垂状態の形状、即ちカテナ
リー形状の曲線(以下、カテナリー曲線ともいう)を表
わすカテナリー方程式は、入側支点ロール32を原点と
するXY座標系で、一般的に次の(25)式で与えられ
る。
【0147】 Y=a cosh{(X−C1 )/a }+C2 …(25)
【0148】しかし、上記(25)式は、高次関数であ
るため制御モデルとして組み込むには複雑であるので、
次の(26)式の関係を使って二次関数で近似する。
【0149】
【数10】
【0150】今、継接部の無い鋼板Sの場合のカテナリ
ー方程式をY0 とすると、次の(27)式のように変形
できる。
【0151】
【数11】
【0152】ここで、a =H/W H:張力〔kg〕 W:鋼板の単位長さ当りの重量〔kg/mm〕 L:カテナリー全長(スパン)〔mm〕
【0153】上記(27)式における境界条件は、次の
通りである。
【0154】X=0のとき、Y0 =0であるから、 C1 2 /2a +C2 =0 …(28) X=Lのとき、Y0 =h0であるから、 (L−C1 )2 /2a +C2 =h0 …(29) ここで、h0:支点高低差〔mm〕
【0155】上記(29)式−(28)式より、C1 、
C2 は次のように求まる。
【0156】 (L−C1 )2 /2a −C1 2 /2a =h0 L2 /2a −LC1 /a =h0 ∴C1 =L/2−aho /L,C2 =−C1 2 /2a …(30)
【0157】以上より、鋼板Sに継接点がない定常時に
おけるカテナリー基本式は、前記(26)式と上記(3
0)式とで表わすことができる。
【0158】一方、前記図38に相当する図39に示す
ように、細線で示す先行の第1鋼板と、太線で示す後行
の第2鋼板とが溶接されている場合は、前述と同様の計
算により、先行鋼板のカテナリー曲線Y2 は(32)式
で、後行鋼板のカテナリー曲線Y1 は(31)式で、そ
れぞれ与えられる。なお、図中Xs は、上記先行鋼板と
後行鋼板との溶接部(継接部)の進入位置を示してい
る。
【0159】
【数12】
【0160】ここで、a1 :H/W1 〔mm〕 a2 :H/W2 〔mm〕 W1 :後行鋼板の単位長さ当りの重量〔kg/mm〕 W2 :先行鋼板の単位長さ当りの重量〔kg/mm〕
【0161】境界条件は次の通りである。
【0162】X=0とき、Y1 =0であるから、 C1 2 /2a1+C2 =0 …(33) X=Lのとき、Y2 =h0であるから、 (L−C3 )2 /2a2+C4 =h0 …(34) X=Xs のとき、Y1 =Y2 であるから、 (Xs −C1 )2 /2a1+C2 =(Xs −C3 )2 /2a2+C4 …(35) X=Xs のとは、 dY1 / dX= dY2 / dXであるか
ら、 (Xs −C1 )/a1=(Xs −C3 )/a2 …(36)
【0163】上記(33)式〜(36)式を解くことに
より、溶接部(板継点)がカテナリ部を通過するときの
カテナリー方程式は次のようになる。
【0164】0≦X≦Xs のときの後行鋼板 Y1 =1/2a1・(X−C1 )2 +C2 …(31) Xs ≦X≦Lのときの先行鋼板 Y2 =1/2a2・(X−C3 )2 +C4 …(32) ここで、C1 =Xs +a1(L−Xs )2 /2a2L−Xs
2 /2L−a1h0/L C2 =−C1 2 /2a1 C3 =Xs −a2/a1・(Xs −C1 ) C4 =Xs 2 /2a1−Xs C1 /a1−a2 /2a12 (Xs −C1 )2
【0165】上記(31)式、(32)式で与えられる
カテナリー方程式について、カテナリーの変動量(定常
時との差)は、次式により評価する。
【0166】 δ(X)={Y1 −Y0 (0≦X≦Xs ) {Y2 −Y0 (Xs ≦X≦L) …(37)
【0167】本発明者らは、上記(37)式で与えられ
るカテナリー変動量を最小とするべく、張力の変更パタ
ーンを種々検討した結果、先行の第1鋼板(第1帯状
体)のみのときの張力H2 から、後行の第2鋼板(第2
帯状体)のみのときの張力H1に移行する間の張力H
(Xs )を、継接部(板継点)のカテナリ内進入度(X
s/L)のみを変数とする補正関数f (Xs /L)を適
用することにより、前後の鋼板の寸法差によらず、一義
的に前記(24)式で与えることができることを知見し
た。この(24)式を再度ここに掲載する。
【0168】 H(Xs )=H2 −(H2 −H1 )f (Xs /L) …(24) H(Xs ):板継点がXs にあるときの張力 H2 :第1鋼板単独のときの張力U.T×t1×B1 H1 :第2鋼板単独のときの張力U.T×t2×B2 U.T :基準ユニットテンション t2,t1 :それぞれ第1鋼板、第2鋼板の板厚 B2 ,B1 :それぞれ第1鋼板、第2鋼板の板幅 Xs :板継点の位置
【0169】そして、上記補正関数f (Xs /L)を、
次の(38)式とすることにより、変動量δ(X)を極
めて小さくすることができる。
【0170】 f (Xs /L)=α(Xs /L)+β(Xs /L)2 −γ(Xs /L)3 +δ(Xs /L)4 −ε(Xs /L)5 …(38) (αは0.05前後、βは4前後、γは7前後、δは6前後、εは2.5前後)
【0171】又、上記(38)式は、高次関数であるの
で、これを折れ線近似した次の(39)式とすることに
より、簡単で、しかも十分な精度で張力を制御すること
ができる。この(38)式と(39)式の関係を示した
のが図40である。
【0172】 f (Xs /L)=α′(Xs /L) (0≦Xs /L≦0.25) =β′(Xs /L)−γ′ (0.25≦Xs /L≦0.75) =δ′(Xs /L)+ε′ (0.75≦Xs /L≦1.0) …(39) (α′は0.7前後、β′は1.3前後、γ′は0.1前後、δ′は0.7前後 、ε′は0.3前後)
【0173】以上詳述した如く、継接部のトラッキング
(追跡)情報に基づき、前記(24)式に(38)式又
は(39)式を適用して計算される張力となるように制
御することにより、カテナリ形状を略一定に保持するこ
とができる。
【0174】従って、断面積差のある第1鋼板と第2鋼
板との継接部を第2ロールコータ20上を通過させて塗
装する場合には、上記(24)式に(38)式又は(3
9)式を適用して得られる張力を前記(23)式に適用
してニップ圧NP を求め、該ニップ圧NP を膜厚制御に
利用することが可能となる。
【0175】以上詳述した本実施例によれば、カテナリ
形状を一定に制御する際の張力設定値を制御式に取り込
むようにしたため、断面積差のある板継ぎ点がカテナリ
部を通過している最中に鋼板によるアプリケータロール
16への押付力NA が時々刻々変化する場合でも、該押
付力NA の変化分をニップ圧NP により補正することが
可能となる。その結果、鋼板に対する塗料の付着量が変
化することを防止することが可能となり、均一な膜厚で
塗装することが可能となることから、品質を安定させる
ことが可能となる。
【0176】次に、本実施例を適用して塗装を行った場
合の具体例について説明する。
【0177】鋼板としては、先行する厚さ0.5mm、幅
1220mmの第1鋼板に、幅が同一で厚さが1.0mmの
第2鋼板が接続されたものを使用した。従来は、第1鋼
板と第2鋼板の間に厚さ0.7〜0.8mmの接続用鋼板
を介在させていた。
【0178】塗装条件は、次の通りである。
【0179】塗料:クロメート(濃度1.3%、粘度
1.7cP、比重1.06) ライン速度:LS=30mpm アプリケータロール周速:VA =75mpm ピックアップロール周速:VP =40mpm アプリケータロールゴム硬度:52°
【0180】前記(23)式に適用する張力Hとして
は、前述した方法でカテナリ形状を一定に制御するため
に要する計算張力を使用した。即ち、板継点位置Xs を
トラッキングすると共に、前記(38)式に相当する次
式(40)の関数f を前記(24)式に適用して設定張
力H(Xs )を算出した。
【0181】 f =0.05(Xs /L)+4.1(Xs /L)2 −6.9(Xs /L)3 +6.3(Xs /L)4 −2.5(Xs /L)5 …(40) (H2 =1678kg、H1 =3355kg、L=60m )
【0182】算出した上記張力H(Xs )を前記(2
3)式に適用してニップ圧NP を制御した。その結果を
図41に示す。又、このときの塗料の付着量変化を図4
2に示す。なお、比較のために、従来の段階的制御を行
った場合の結果を、同一図面に併記した。
【0183】上記図41、42から明らかなように、本
実施例によれば、板継点がカテナリ部を通過する際に従
来発生していた塗料の付着量変化を防止することが可能
となり、第1、第2両鋼板に対して均一な膜厚で塗装す
ることが判る。
【0184】以上、本発明について具体的に説明した
が、本発明は、前記実施例に示したものに限られるもの
でない。
【0185】例えば、本発明による裏面塗装に適用され
る膜厚制御式は、前記実施例に示した弾性流体潤滑理論
を適用した(23)式に限定されるものでなく、前記
(8)式であっても、更には他の制御式であってもよ
い。
【0186】又、経時的に変化する張力Hを反映させる
膜厚制御因子は、ピックアップロールとアプリケータロ
ール間の押付力(ニップ圧)NP に限定されるものでは
なく、例えば、アプリケータロールの周速、ピックアッ
プロールの周速等であってもよい。
【0187】又、張力Hを求める方法も、前記実施例に
示したものに限られるものではなく、例えば前述した特
開平2−305750に開示されている方法を用いても
よい。
【0188】更に、ロールコータの種類、ロールの数及
びロールの回転方向も任意に変更可能である。従って、
前ロールはピックアップロールに限定されない。
【0189】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、ロ
ールコータで鋼板等の帯状体を塗装する際に、塗装条件
の広い範囲に亘って塗装膜厚を高精度に制御することが
できる。又、その際に、アプリケータロールの有するゴ
ムの膨潤の程度が経時的に変化する場合でも、常に安定
した膜厚制御を行うことができる。
【0190】又、本発明によれば、寸法の異なる第1帯
状体と第2帯状体とが継接された帯状体を懸垂状態で連
続的に移送すると共に、該帯状体の懸垂部をロールコー
タのアプリケータロールで支持しながら裏面塗装する際
に、第1及び第2の両帯状体に対して均一な膜厚で正確
に塗装することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例に適用されるロールコ
ータを示す概略構成図
【図2】上記ロールコータが適用される塗装設備を簡単
に示す概略説明図
【図3】塗料性状の変化による塗装制御の説明図
【図4】温度と粘度及び濃度との関係を示す線図
【図5】塗料性状の経時変化を示す線図
【図6】本発明により制御するニップ圧の経時変化を示
す線図
【図7】本発明の効果を示す線図
【図8】本発明に係る第2実施例に適用されるロールコ
ータの配置を示す概略説明図
【図9】本発明に係る第3実施例に適用されるロールコ
ータを示す概略構成図
【図10】アプリケータロールを構成するロールの回転
方向と塗料の流量の関係を説明するための説明図
【図11】ロールコータを構成する各ロールの回転方向
の組合せの例を示す説明図
【図12】ロールコータを構成する各ロールの回転方向
の組合せの他の例を示す説明図
【図13】ロールコータを構成する各ロールの回転方向
の組合せの更に他の例を示す説明図
【図14】ロールコータを構成する各ロールの回転方向
の組合せの更に他の例を示す説明図
【図15】ロールコータを構成する各ロールの回転方向
の組合せの更に他の例を示す説明図
【図16】ロールコータを構成する各ロールの回転方向
の組合せの更に他の例を示す説明図
【図17】ロールコータを構成する各ロールの回転方向
の組合せの更に他の例を示す説明図
【図18】ロールコータを構成する各ロールの回転方向
の組合せの更に他の例を示す説明図
【図19】ロールコータを構成する各ロールの回転方向
の組合せの更に他の例を示す説明図
【図20】ロールコータを構成する各ロールの回転方向
の組合せの更に他の例を示す説明図
【図21】本発明の効果を示す線図
【図22】本発明の効果を示す他の線図
【図23】本発明の効果を示す更に他の線図
【図24】本発明の効果を示す更に他の線図
【図25】本発明の効果を示す更に他の線図
【図26】本発明の効果を示す更に他の線図
【図27】本発明の効果を示す更に他の線図
【図28】本発明の効果を示す更に他の線図
【図29】本発明の効果を示す更に他の線図
【図30】ライン速度を変化させた場合の塗料付着量と
ライン速度を示す線図
【図31】ライン速度の変化に対応させて制御するアプ
リケータロール周速とニップ圧を示す線図
【図32】アプリケータロールのライニングゴムの膨潤
によるゴムヤング率の変化を示す線図
【図33】アプリケータロールのライニングゴムの膨潤
に起因する付着量変化を示す線図
【図34】本発明のモデル式に対して適用するニップ圧
の変化を示す線図
【図35】アプリケータロールのライニングゴムが膨潤
する下における本発明の結果を示す線図
【図36】本発明の効果を示す線図
【図37】本発明に係る4実施例に適用するロールコー
タの配置を示す概略説明図
【図38】定常時のカテナリ形状を示す線図
【図39】非定常時のカテナリ形状を示す線図
【図40】カテナリ制御に使用する補正関数の特徴を示
す線図
【図41】本発明の一実施例を適用した際のニップ圧と
経過時間との関係を示す線図
【図42】上記実施例を適用した場合の塗料付着量と経
過時間の関係を示す線図
【図43】塗装ラインの一例を模式的に示した線図
【図44】鋼板Sの裏面塗装の様子を示す概略説明図
【図45】従来方法による張力、ニップ圧、付着量の継
時的変化を示す線図
【符号の説明】
10、20…ロールコータ 12…塗料パン 14…ピックアップロール 16…アプリケータロール 18…バックアップロール 30…トランスファロール S…鋼板 qA …供給流量 qL …リーク流量 qPA…総流量 qP …戻り流量

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも表面が弾性材で形成されたアプ
    リケータロールを備えたロールコータにより、連続的に
    移動する帯状体に塗料を転写・塗装する際のロールコー
    タによる帯状体の塗装膜厚制御方法において、 アプリケータロールの回転により帯状体側へ送られる塗
    料の供給流量 qA と、帯状体に転写されずにアプリケー
    タロールに残るリーク流量 qL との差を評価したモデル
    式に基づいて帯状体に塗装される膜厚を制御することを
    特徴とするロールコータによる帯状体の塗装膜厚制御方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1において、 アプリケータロールと該アプリケータロールの前段に連
    接する前ロールとの間隙を弾性流体潤滑理論を適用して
    求め、該間隙を用いて前記供給流量 qA を与える式を導
    き、且つ、 アプリケータロールと帯状体との間隙を同じく弾性流体
    潤滑理論を適用して求め、該間隙を用いて前記リーク流
    量 qL を与える式を導き、 供給流量 qA を与える式とリーク流量 qL を与える式と
    を、前記モデル式に適用することを特徴とするロールコ
    ータによる帯状体の塗装膜厚制御方法。
  3. 【請求項3】請求項2において、 モデル式に含まれるアプリケータロールの弾性係数を経
    時的に求め、その経時的変化を膜厚制御に反映させるこ
    とを特徴とするロールコータによる帯状体の塗装膜厚制
    御方法。
  4. 【請求項4】帯状体を懸垂状態で連続的に移送すると共
    に、該帯状体をロールコータのアプリケータロールで支
    持しながら塗装する際のロールコータによる帯状体の塗
    装膜厚制御方法において、 寸法の異なる第1帯状体と第2帯状体の継接部を該ロー
    ルコータ上を通過させるに際し、 経時的に変化する上記帯状体の張力をロールコータにお
    ける膜厚制御因子に反映させることを特徴とするロール
    コータによる帯状体の塗装膜厚制御方法。
  5. 【請求項5】請求項4において、 前記ロールコータが備えたアプリケータロールが、少な
    くとも表面が弾性材で形成されており、 アプリケータロールの回転により帯状体側へ送られる塗
    料の供給流量 qA と、帯状体に転写されずにアプリケー
    タロールに残るリーク流量 qL との差を評価した基本式
    を設定し、 アプリケータロールと該アプリケータロールの前段に連
    接する前ロールとの間隙を弾性流体潤滑理論を適用して
    求め、該間隙を用いて前記供給流量 qA を与える式を導
    き、且つ、 アプリケータロールと帯状体との間隙を同じく弾性流体
    潤滑理論を適用して求め、該間隙を用いて前記リーク流
    量 qL を与える式を導き、 供給流量 qA を与える式とリーク流量 qL を与える式と
    を、前記基本式に適用して膜厚制御式を作成し、 該膜厚制御式に含まれる膜厚制御因子に前記帯状体の張
    力を反映させることを特徴とするロールコータによる帯
    状体の塗装膜厚制御方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかにおいて、 前記ロールコータが、塗料溜めから塗料を引上げるピッ
    クアップロールと、該ピックアップロールに連接された
    アプリケータロールとを備えていることを特徴とするロ
    ールコータによる帯状体の塗装膜厚制御方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜5のいずれかにおいて、 前記ロールコータが、塗料溜めから塗料を引上げるピッ
    クアップロールと、該ピックアップロールに連接された
    トランスファロールと、該トランスファロールに連接さ
    れたアプリケータロールとを備えていることを特徴とす
    るロールコータによる帯状体の塗装膜厚制御方法。
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