JPH05216482A - 音響信号の位相予測方法 - Google Patents

音響信号の位相予測方法

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JPH05216482A
JPH05216482A JP4030076A JP3007692A JPH05216482A JP H05216482 A JPH05216482 A JP H05216482A JP 4030076 A JP4030076 A JP 4030076A JP 3007692 A JP3007692 A JP 3007692A JP H05216482 A JPH05216482 A JP H05216482A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高能率符号化して音響信号の記録,伝送を良
好に行なうことを容易にしたり、性能の良好な電子楽器
の音源を容易に提供できるようにする。 【構成】 予め定められた一定の時間長を有する音響信
号の順次のフーリエ変換フレームにおける第1,第2の
各フーリエ変換フレームに同じ窓関数を用いて離散的に
フーリエ変換して求めた同一な所定数の離散周波数毎の
データにより、前記した第1,第2の各フーリエ変換フ
レーム毎に、それぞれの離散周波数毎の位相情報を得
る。前記した第1,第2の各フーリエ変換フレームにお
ける互に対応している同一な離散周波数毎の位相情報の
変化の態様を求め、前記した個々の離散周波数毎の位相
情報の変化の態様が時間軸上で一定であるとして、前記
した第1の時間位置と第2の時間位置との時間差の整数
倍の時間位置に存在している第3の時間位置のフーリエ
変換フレーム内の所定数の離散周波数の個々の位相情報
を決定して、第3の時間位置のフーリエ変換フレームの
位相情報を予測する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は音響信号、その他のアナ
ログ信号をデジタル信号化して記録したり、伝送したり
する際に好適なデジタル信号の情報量の圧縮技術に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、アナログ信号をデジタル信号、例
えばPCM(パルスコードモジュレーション)信号とし
て記録,伝送することが多くなったが、前記のPCM信
号は情報量が多いために、PCM信号の記録や伝送のた
めには広い伝送帯域が必要とされる。それで、デジタル
信号の信号処理を行う記録再生機器,伝送機器、その他
の各種の機器においては、従来からデジタル信号を少な
い情報量で効率的に処理することが行なわれている。そ
して、信号をより少ない情報量で効率的に符号化できる
ようにした高能率符号化方式としては、信号の予測を行
なって予測値からのずれの成分(残差成分)だけを記
録,伝送するようにした各種の高能率符号化方式や、信
号に対してある種の変換(一般には直交変換)を施して
信号の特徴を抽出し、その信号の特徴部分、あるいは人
間の視覚や聴覚が信号の変化の少ない部分での変化に対
しては敏感であるが信号の変化の激しい部分においては
ある程度の誤差があっても検知し難いという性質を利用
するなどして、各サンプルあたりの情報量(ビット数)
を少なくするようにした各種の高能率符号化方式等が従
来から提案されて来ていることは周知のとおりである。
【0003】図9は、電話の音声信号の伝送に際して情
報量の圧縮を行なうために実用されている線形予測を適
用して構成されている周知の高能率符化方式のブロック
図であり、図9に例示されている高能率圧縮方式では予
測系の分子(零)と分母(極)とを予測するものである
が、その予測能力は余り良好ではなく、音楽信号の伝送
には殆ど効果がない。なお、線形予測を行なうものに
は、他に、例えばパーコ方式等が存在するが、これも性
能的に限界がある。
【0004】前記のように、音楽信号の記録,伝送に関
する情報量の圧縮に適した予測法が無かったこれまでの
間に、音楽信号の記録,伝送に関する情報量の圧縮のた
めに最も広く用いられてきたビット圧縮方法は、例えば
図10の(a)のブロック図に示されているように、直交
変換による近接周波数間のマスキング効果を利用してビ
ット圧縮を行なうものであった。すなわち、音響信号か
ら例えば1024点の標本点を有する期間を、図10の
(b)に例示するように窓関数を掛けて順次の各フレーム
の繋ぎ目を互に重複させて緩やかに繋がるような状態の
順次の1フレーム期間として切出し、各1フレーム毎に
高速フーリエ変換(FFT)により直交変換を行なう。
高速フーリエ変換によって得られたデータから、最も振
幅の大きな周波数値を求め、その周波数を中心にして図
10の(c)に例示されているようなマスキング曲線の演
算を行ない、マスキング曲線よりも大きな振幅を有する
スペクトラムは記録,伝送し、マスキング曲線よりも小
さな振幅を有するスペクトラムは記録,伝送しない、と
いうように、主スペクトラムによってマスクされて聞え
ないスペクトラムは、記録,伝送しないようにするもの
である。なお、直交変換としてはDFT,DCT、その
他が使用できる。
【0005】前記のようにしてデータを減少させること
ができる理由は、人間の聴覚の性質として、ある周波数
成分の音が強く放射されている場合には、その周波数成
分の近傍の周波数についての検知能力が低下するからで
あり、検知能力が低下している部分の周波数成分につい
ては少ないビット数を割当て、小振幅の信号成分は全く
伝送しない、等の手段によりデータ量の減少が実現でき
るのであり、前記のようなデータ量の減少により、信号
精度はかなり低下するが、聴感上においては聴覚のマス
キング効果によって、原信号を聴取した場合と区別がで
きないようにできることが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、従来は
高能率符号化を行なうのに、信号を予測したり、信号を
直交変換したりすることが行なわれて来たが、信号の予
測技術と直交変換技術との双方をうまく融合させて、直
交変換されたデータから次のフレームの直交変換された
信号の予測をできるようにすれば、一層の高能率符号化
が達成できるが、そのようなことは従来行なわれていな
かった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は予め定められた
一定の時間長を有するように音響信号から切出された順
次の各フーリエ変換フレームにおける第1の時間位置の
フーリエ変換フレームのフーリエ変換結果と、第2の時
間位置のフーリエ変換フレームのフーリエ変換結果とに
基づいて、前記した第1の時間位置と第2の時間位置と
の時間差の整数倍の時間位置に存在している第3の時間
位置のフーリエ変換フレームの位相情報を予測する方法
であって、前記した第1,第2の各フーリエ変換フレー
ムに同じ窓関数を用いて離散的にフーリエ変換する手段
と、前記した第1,第2の各フーリエ変換フレーム毎の
フーリエ変換の結果として求められた同一な所定数の離
散周波数毎のデータにより、前記した第1,第2の各フ
ーリエ変換フレーム毎に、それぞれの離散周波数毎の位
相情報を得る手段と、前記した第1,第2の各フーリエ
変換フレームにおいて互に対応している同一な離散周波
数毎の位相情報の変化の態様を求める手段と、前記した
個々の離散周波数毎の位相情報の変化の態様が時間軸上
で一定であるとして、前記した第3の時間位置のフーリ
エ変換フレーム内の所定数の離散周波数の個々の位相情
報を決定するようにした音響信号の位相予測方法を提供
する。
【0008】
【作用】予め定められた一定の時間長を有するように音
響信号から切出された順次の各フーリエ変換フレームに
おける第1,第2の各フーリエ変換フレームに同じ窓関
数を用いて離散的にフーリエ変換する。前記した第1,
第2の各フーリエ変換フレーム毎のフーリエ変換の結果
として求められた同一な所定数の離散周波数毎のデータ
により、前記した第1,第2の各フーリエ変換フレーム
毎に、それぞれの離散周波数毎の位相情報を得る。前記
した第1,第2の各フーリエ変換フレームにおいて互に
対応している同一な離散周波数毎の位相情報の変化の態
様を求め、前記した個々の離散周波数毎の位相情報の変
化の態様が時間軸上で一定であるとして、前記した第1
の時間位置と第2の時間位置との時間差の整数倍の時間
位置に存在している第3の時間位置のフーリエ変換フレ
ーム内の所定数の離散周波数の個々の位相情報を決定し
て、第3の時間位置のフーリエ変換フレームの位相情報
を予測する。
【0009】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の音響信号
の位相予測方法の具体的な内容を詳細に説明する。図1
は本発明の音響信号の位相予測方法の概略を説明するた
めに使用される図、図2は本発明の音響信号の位相予測
方法を適用して構成した高能率符号化方式の送信部側の
一部の構成を示すブロック図、図3は本発明の音響信号
の位相予測方法を適用して構成した高能率符号化方式の
受信部側の一部の構成を示すブロック図、図4は信号の
帯域分割を行なう場合の送信部側の一部の構成を示すブ
ロック図、図5及び図6は周波数スペクトル図、図7は
離散周波数と位相角との関係を示す図、図8はピアノの
音の波形図、図9は線形予測を適用して構成されている
周知の高能率符化方式のブロック図、図10は直交変換
による近接周波数間のマスキング効果を利用してビット
圧縮を行なう場合の説明に用いる図である。
【0010】本発明は、直交変換技術と予測技術とを一
体化することにより、トランスフォーム・コーディング
(直交変換符号化)の特徴を有するとともに、信号の予
測能力も極めて高く、高能率符号化にも良好に応用でき
る音響信号の位相予測方法であって、予め定められた一
定の時間長を有するように音響信号から切出された順次
の各フーリエ変換フレームにおける第1,第2の各フー
リエ変換フレームに同じ窓関数を用いて離散的にフーリ
エ変換し、前記した第1,第2の各フーリエ変換フレー
ム毎のフーリエ変換の結果として求められた同一な所定
数の離散周波数毎のデータにより、前記した第1,第2
の各フーリエ変換フレーム毎に、それぞれの離散周波数
毎の位相情報を得て、前記した第1,第2の各フーリエ
変換フレームにおいて互に対応している同一な離散周波
数毎の位相情報の変化の態様を求め、前記した個々の離
散周波数毎の位相情報の変化の態様が時間軸上で一定で
あるとして、前記した第1の時間位置と第2の時間位置
との時間差の整数倍の時間位置に存在している第3の時
間位置のフーリエ変換フレーム内の所定数の離散周波数
の個々の位相情報を決定して、第3の時間位置のフーリ
エ変換フレームの位相情報を予測するようにしたもので
ある。
【0011】図1の(a),(b)においてフレーム
1,フレーム2…は、音響信号から一定の時間長を有す
るように切出された順次のフーリエ変換フレームであ
り、前記した各フーリエ変換フレームは、音響信号から
それぞれ例えば1024点の標本点を有する期間となる
ように、窓関数を掛けて順次の各フレームの繋ぎ目を互
に重複させて緩やかに繋がるような状態の順次の1フレ
ーム期間として切出されたものである。前記した各1フ
レーム毎のフーリエ変換フレームは、例えば離散的有限
系列のフーリエ変換(DFT)または高速フーリエ変換
(FFT)により直交変換が行なわれる。以下の実施例
の説明においては、前記した直交変換が高速フーリエ変
換(FFT)によって行なわれるものとして記述されて
いる。
【0012】さて、各1フレーム毎のフーリエ変換フレ
ームについてFFT演算を行なった場合に、前記した各
1フレーム毎のフーリエ変換フレームにおけるデータ数
(標本数)をNとし、標本化周波数をfsとすると、f
=fs/N で示されるfの周波数間隔毎の離散的な各
周波数(合計N個の周波数)についてのFFT演算結果
が得られるが、前記したFFT演算結果は、離散的な各
周波数毎に実数部(Real)振幅と、虚数部(Ima
g)振幅とからなるものである。前記した離散的な各周
波数毎の実数部(Real)振幅と、虚数部(Imag)
振幅とを用いて、次の数1及び数2により、前記した離
散的な各周波数毎に、極座標変換により合成振幅項(A
mp)と位相項(Phase)とを求める。ここで、FF
Tの実数部にだけ入力を与え、虚数部には入力を与えな
いようにすると、有効な合成振幅項(Amp)の項数が総
数の1/2となり、また有効な位相項(Phase)の
項数も総数の1/2となるから、FFT出力データ数は
FFTの実数入力データ数と等しくなる。
【0013】
【数1】
【数2】
【0014】今、時間軸上で連続する順次のフレームに
ついて、それぞれの離散的な各周波数毎の実数部(Re
al)振幅と、虚数部(Imag)振幅とを用いて、数
1及び数2により、前記した離散的な各周波数毎に極座
標変換により合成振幅項(Amp)と位相項(Phase)
とを求めた場合に、最も常識的な考え方をとれば、時間
軸上で隣り合う2つのフレームでは、同じスペクトルに
なるであろう、と予測するのが自然である。図6は標本
化周波数が44.1KHzであり、フレーム長として1
024点の標本数を有するものとして、ピアノの音の信
号をFFT演算した場合に得られたFFT演算結果によ
るスペクトルを実際の例として示したものであるが、こ
の図6に例示されているある1つのフレームにおける5
12個のスペクトラムは、このフレームの次のフレーム
における512個のスペクトラムでも、また、前記の次
のフレームの次のフレームにおける512個のスペクト
ラムでも変化量が極めて少ない。すなわち、前記したフ
レーム長は約1/40秒であり、その間に音のスペクト
ラムが変化する量は極めて少ないのである。
【0015】一方、時間軸上で連続している順次のフレ
ームにおける位相の予測は困難であろうことは、順次の
フレームの繰返し時間と、信号の周波数との間は無関係
であり、信号の位相と無関係にフレームが始まり、終了
することから考えても明らかであり、このことから従来
は直交変換による信号予測が困難であるとされて来たの
である。図7は標本化周波数が44.1KHzであり、
フレーム長として1024点の標本数を有するものとし
て、ピアノの音の信号をFFT演算した場合に得られた
FFT演算結果による位相の分布を実際の例として示し
たものである。前記の図7に例示されているある1つの
フレームにおける512個の位相の分布は、ランダムで
あるために次のフレームにおける512個の位相の分布
を予測することはできないのである。
【0016】本発明者は、時間軸上の順次のフレームに
おける1つのフレームについての位相情報を用いても、
他のフレームの位相情報の予測を行なうことはできない
が、2つのフレームについて、それぞれのフーリエ変換
フレーム毎のフーリエ変換の結果として求められた同一
な所定数の離散周波数毎の位相情報間の位相情報の変化
態様が時間軸上で一定であるとすれば、その関係を用い
ることにより他のフレームの位相情報の予測も可能とな
る、ということに着目し、前記した「2つのフレームに
ついて、それぞれのフーリエ変換フレーム毎のフーリエ
変換の結果として求められた同一な所定数の離散周波数
毎の位相情報間の位相情報の変化態様は時間軸上で一定
である」という仮説を立て、実際に、単一の周波数の正
弦波信号、複数の周波数の正弦波信号の合成信号、楽器
(ピアノ)の音の信号、等の各種の信号を用いて実験を
行なってみたところ、前記の仮説に従って予測したフレ
ームの位相と実際のフレームの位相とが、実用的に一致
していると認められる程度に正しい予測結果が得られる
ことが判かった。
【0017】前記の点を図1及び他の図等を参照して説
明すると次のとおりである。すなわち、図1の(a),
(b)における音響信号から一定の時間長を有するよう
に切出された順次のフーリエ変換フレーム1,2…は、
それぞれが、例えばN点の標本点を有する期間となるよ
うに、窓関数を掛けて順次の各フレームの繋ぎ目を互に
重複させて緩やかに繋がるような状態の順次の1フレー
ム期間として切出されており、前記した各1フレーム毎
のフーリエ変換フレームは、高速フーリエ変換(FF
T)により直交変換が行なわれることにより、それぞれ
のフーリエ変換フレーム毎に、同一の一定な周波数間隔
f{ただし、各1フレーム毎のフーリエ変換フレームに
おけるデータ数標本数をNとし、標本化周波数をfsと
して、f=fs/N}を有するN個の離散的な周波数毎
に実数部(Real)振幅と、虚数部(Imag)振幅
とからなるFFT演算結果が得られる。
【0018】前記した離散的な各周波数毎の実数部(R
eal)振幅と、虚数部(Imag)振幅とを用いて、
前記の数1及び数2により、順次のフレームについて前
記した離散的な各周波数毎に、極座標変換により合成振
幅項(Amp)と位相項(Phase)とを求める。前記の
ようにして各フレーム毎に、離散的な各周波数毎に求め
た例えば図6に例示されているようなN/2個の合成振
幅項のデータと、例えば図7に例示されているようなN
/2個の位相項のデータとにおけるN/2個の合成振幅
項のデータは、隣接するフレームの振幅の予測に使用で
きるが、N/2個の位相項のデータは隣接するフレーム
の位相の予測には使用できないことは既述のとおりであ
る。
【0019】ところが、前述した本発明者の仮説によれ
ば、図1の(a)に示されている例えばフレーム1にお
ける離散的な各周波数毎に求めたN/2個の位相項のデ
ータと、図1の(a)に示されている例えばフレーム2
における離散的な各周波数毎に求めたN/2個の位相項
のデータと、図1の(a)に示されている例えばフレー
ム3における離散的な各周波数毎に求めたN/2個の位
相項のデータと、図1の(a)に示されている例えばフ
レーム4における離散的な各周波数毎に求めたN/2個
の位相項のデータとにおける、互に同一の周波数値にお
ける位相項のデータについて、図1の(c)に例示され
ているように、フレーム1における位相項のデータが例
えばθ1であり、またフレーム2における位相項のデー
タが例えばθ2であり、さらにフレーム3における位相
項のデータが例えばθ3であり、さらにまた、フレーム
4における位相項のデータが例えばθ4であったとした
場合に、θ2−θ1≒θ3−θ2≒θ4−θ3≒Δθaのよう
に各フレーム間における位相の変化量が略々同一とな
る、というものであるから、この仮説が成立つとするな
らば、2つのフレームについてそれぞれの離散的な各周
波数毎に求めたN/2個の位相項における互に対応して
いるすべての周波数値の位相項のデータ間の位相の差を
知れば、前記した2つのフレームとは異なる他のフレー
ムの位相の予測を行なうことができる。
【0020】具体的にいうと、前記した例のように、フ
レーム1におけるある特定な周波数値faの位相項のデ
ータがθ1で、フレーム2におけるある特定な周波数値
faの位相項のデータがθ2である場合には、前記した
フレーム2の次のフレームにおけるある特定な周波数値
faの位相項のデータθ3を、 θ3≒θ2+(θ2−θ1)=
2θ2−θ1 …(a)のように予測する、というように
して、前記のような位相の予測をフレーム1,2中の離
散的な各周波数のすべてについて個々に行なうことによ
り、フレーム3の信号の位相の予測が可能である、とし
ているのが本発明者の仮説である。
【0021】前記した本発明者の仮説に従うと図1の
(a),(b)中に示されているように、1つのフレームの
位相情報、例えばフレーム1だけの位相情報が判って
も、その位相情報を用いて他のフレームの位相情報を予
測することは不可能であるが、2つのフレームの位相情
報が判れば、図1の(a),(b)中に示されているよ
うに、他のフレームの位相情報を予測することが可能と
なるのである。すなわち、前記した図1の(a)には、
隣接している2つのフレーム、例えばフレーム1の位相
情報とフレーム2の位相情報とが判かれば、本発明者に
よる既述のような仮説によって、前記した2つのフレー
ム以外の他のフレームの位相情報の予測が可能であるこ
とを示しており、また図1の(b)には、1フレームの時
間長のK倍だけ離れている2つのフレーム、例えばフレ
ーム1の位相情報とフレーム4の位相情報とが判かれ
ば、本発明者による既述のような仮説によって、フレー
ム4から1フレームの時間長のK倍だけ離れている他の
フレーム、例えばフレーム7の位相情報の予測も可能で
あることを示している図である。
【0022】なお、2つのフレームの位相情報が既知の
場合に、前記した本発明者の仮説により、前記した2つ
のフレームとは別のフレームの位相情報の予測が可能な
状態は、図1の(a),(b)に例示したような場合に
限られるものでないことはいうまでもなく、前記した本
発明者の仮説は、それを一般的に表現すると、予め定め
られた一定の時間長を有するように音響信号から切出さ
れた順次の各フーリエ変換フレームにおける第1,第2
の各フーリエ変換フレームに同じ窓関数を用いて離散的
にフーリエ変換して、前記した第1,第2の各フーリエ
変換フレーム毎のフーリエ変換の結果として求められた
同一な所定数の離散周波数毎のデータにより、前記した
第1,第2の各フーリエ変換フレーム毎に、それぞれの
離散周波数毎の位相情報を得て、前記した第1,第2の
各フーリエ変換フレームにおいて互に対応している同一
な離散周波数毎の位相情報の変化の態様を求め、前記し
た個々の離散周波数毎の位相情報の変化の態様が時間軸
上で一定であるとして、前記した第1の時間位置と第2
の時間位置との時間差の整数倍の時間位置に存在してい
る第3の時間位置のフーリエ変換フレーム内の所定数の
離散周波数の個々の位相情報を決定して、第3の時間位
置のフーリエ変換フレームの位相情報を予測できる、と
することができる。そして、本発明の音響信号の位相予
測方法を適用して行なう音響信号の予測では、音響信号
の過去のデータを用いて現在や未来の音響信号の予測を
行なったり、音響信号の現在のデータを用いて過去や未
来の音響信号の予測を行なったりすることができるので
ある。
【0023】ところで、図6の(a)に例示されている
ようなスペクトラムを生じるような単一周波数の正弦波
の信号が、仮に、本発明による位相予測の対象にされた
場合であっても、その信号が窓関数に掛けられることに
より切断されることにより、図6の(b)に例示されて
いるようにサイドローブが発生するが、前記のようなサ
イドローブの周波数についてまでも前出の(a)式によ
って近似できるかどうかが数学的に証明する手段はない
上に、単一周波数の正弦波の信号に窓関数を掛けて切断
した場合を、コンピュータでシミュレーションした結果
では、フレーム毎にサイドローブの位相差(位相の変
化)が僅かではあるが変化しているということ、及び、
高速フーリエ変換(FFT)の原理原則に従えば、時間軸
上で連続する順次のフレームの内容は同一であると想定
していること、ならびに、フーリエ変換において各離散
周波数は完全に整数周期の存在であるから、前記した各
離散周波数の位相が同一でない場合には、当然のことな
がら各離散周波数の波形自身はフレーム間において不連
続な状態になってしまうこと、等を考え合わせると、前
記した本発明者の仮説は、かなり乱暴な説のように思わ
れるかも知れない。
【0024】しかしながら、前記した本発明者の仮説に
従って、実際に、単一の周波数の正弦波信号、複数の周
波数の正弦波信号の合成信号、楽器(ピアノ)の音の信
号、等の各種の信号を用いて実験を行なってみたとこ
ろ、単一の周波数の正弦波信号や、複数の周波数の正弦
波信号の合成信号等について良好に予測できたことは勿
論のこと、楽器(ピアノ)の音の信号についても図8に示
す実験結果のように、前記の仮説に従って予測したフレ
ームの位相(太線)と実際のフレームの位相(細線)と
が、実用的に一致していると認められる程度に正しい予
測結果が得られており、本発明者の仮説が実用上におい
て成立つものとすることができることが各種の実験結果
によって裏付けられた。すなわち、従来からの概念を変
えた本発明の音響信号の位相予測方法では、フレーム毎
に異なる振幅や位相であっても、それが本発明者の仮説
に従っていればたとえ離散周波数の個々のものについて
の波形が不連続になっていたとしても、FFT逆変換さ
れた信号(合成された信号)では逆に連続になっている
ことを利用しているのである。
【0025】さて、本発明者の仮説に従って構成してい
る本発明の音響信号の位相予測方法では、予め定められ
た一定の時間長を有するように音響信号から切出された
順次の各フーリエ変換フレームにおける第1,第2の各
フーリエ変換フレームに同じ窓関数を用いて離散的にフ
ーリエ変換して、前記した第1,第2の各フーリエ変換
フレーム毎のフーリエ変換の結果として求められた同一
な所定数の離散周波数毎の位相情報について、前記した
第1,第2の各フーリエ変換フレームにおいて互に対応
している同一な離散周波数毎の位相情報の変化の態様
は、それぞれの離散周波数毎に、それぞれ略々一定のも
のとみなすことができる、として位相の予測を行なうよ
うにしているのであるが、振幅の予測は、例えば1つ前
のフレームのスペクトラムをそのまま用いてもよい。図
8中に太線で示してあるピアノの音の信号の予測値の波
形は、位相の予測を各フレームについて前述のような本
発明の音響信号の位相予測方法により行ない、また振幅
に関しては1つ前のフレームのスペクトラムを予測値と
して用いた場合における予測結果をフーリエ逆変換して
得たものであり、また、図8中の細線は実際のピアノの
音の信号を示している。この図8に示されているピアノ
音の予測値の波形と実際のピアノ音の波形とを比較する
と、本発明者の仮説に従って構成している本発明の音響
信号の位相予測方法によれば、一般的な音響信号につい
ても極めて良好な予測結果が得られていることが判か
る。
【0026】前記したような本発明者の仮説に従って構
成されている本発明の音響信号の位相予測方法によれ
ば、前述のようにどのような一般的な音響信号について
も良好な予測結果が得られるので、本発明の音響信号の
位相予測方法を適用して行なわれる音響信号の予測技術
を応用して、例えば、従来よりも構成が簡単で特性の良
好な電子楽器の音源を構成したり、あるいは音響信号を
高能率符号化して記録,伝送したりすることができる。
なお、音響信号の予測を行なう場合には、音響信号の振
幅予測と位相予測との双方の予測値が必要とされるが、
以下の説明において、各離散周波数毎の振幅の予測は以
前のフレームの振幅と同一であるとして予測しているも
のとされている。
【0027】まず、本発明の音響信号の位相予測方法を
適用して行なわれる音響信号の予測技術を応用して、従
来よりも構成が簡単で特性の良好な電子楽器の音源を構
成する場合について説明する。電子楽器の音源としてア
コースチックな楽器から発音させた音をデジタル信号と
して記憶させて置き、電子楽器の演奏に際して、予め記
憶させておいた楽器の音を用いて楽器音を作り、それを
スピーカから放音させるようにした構成の電子楽器が実
用されているが、前記のような構成の従来の電子楽器で
は、多くのデジタルデータを記憶させるために大きな記
憶容量を有するメモリが必要とされていた。しかし、本
発明者の仮説に従って構成されている本発明の音響信号
の位相予測方法を適用して行なわれる音響信号の予測技
術を応用して、電子楽器の音源を構成させた場合には、
僅かなデータだけを記憶させておくだけで、従来よりも
良好な状態の再生音を得ることができる電子楽器を構成
できる。
【0028】次に本発明の音響信号の位相予測方法を適
用して行なわれる音響信号の予測技術を応用して、記
録,伝送の対象にされる信号の情報量の圧縮を行なって
記録,伝送を行なう場合には、各フレーム毎に振幅の残
差信号Un=An−An-1と、位相の残差信号Vn=θn−
(2θn-1 −θn-2)とを記録,伝送すればよい。前記
した各残差信号Un,Vnは予測が当っていれば零にな
るが、通常は予測値との僅かなずれが発生するから、前
記の残差信号が零になることは少ないが元の信号の情報
量に比べで残差信号の情報量は遥かに少ないものになっ
ている。図2は伝送系または記録再生系における送信側
または記録側の一例構成を示すブロック図であり、また
図3は伝送系または記録再生系における受信側または再
生側の一例構成を示すブロック図である。以下の記載に
おいては伝送系または記録再生系に共通な記載内容であ
っても、単に伝送系,送信側、受信側,伝送のように表
現し、記録再生系,記録側,再生側,記録再生という用
語の記載は省略している。
【0029】図2において、1は伝送の対象にされてい
るデジタル音響信号の入力端子であり、前記したデジタ
ル音響信号の入力端子1に供給されたデジタル音響信号
から予め定められた一定の時間長を有するように切出さ
れた順次のフーリエ変換フレームは、それぞれが、例え
ばN点の標本点を有する期間毎に窓関数を掛けて、順次
の各フレームの繋ぎ目を互に重複させて緩やかに繋がる
ような状態の順次の1フレーム期間となるように、ブロ
ック2において窓関数が乗算された後に、ブロック3に
おいて高速フーリエ変換演算(FFT演算)が行なわれ
る。FFT演算の結果としてそれぞれのフーリエ変換フ
レーム毎に、同一の一定な周波数間隔f{ただし、各1
フレーム毎のフーリエ変換フレームにおけるデータ数標
本数をNとし、標本化周波数をfsとして、f=fs/
N}を有するN個の離散的な周波数毎に実数部(Rea
l)振幅と、虚数部(Imag)振幅とからなるFFT
演算結果のデータが得られる。
【0030】前記のようにFFT演算の結果として得ら
れたN個の離散的な周波数毎のデータは、それぞれの離
散的な周波数のデータ毎に、それぞれ異なる信号処理装
置Aに供給される。図2において、ある特定な離散的な
周波数のデータについての信号処理を行なう1個の信号
処理装置Aだけは、一点鎖線枠A内に具体的な構成を示
しており、他の離散的な周波数のデータの信号処理を行
なう信号処理装置A,A…は図2中で単に実線枠のブロ
ックA,A…により示してある。各信号処理装置A,A
…において、実数部と虚数部とからなる特定な離散的な
周波数のデータは、ブロック4として示されている極座
標変換部4において極座標変換されて振幅項と位相項と
に分離される。すなわち前記した離散的な各周波数毎の
実数部(Real)振幅と、虚数部(Imag)振幅とが供
給された振幅計算部4aと位相計算部4bとにおいて、
振幅計算部4aでは既述の数1に従って振幅の計算を行
ない、また、位相計算部4bでは既述の数2に従って位
相の計算を行なって、順次のフレームについて前記した
離散的な各周波数毎に、極座標変換により合成振幅項
(Amp)と位相項(Phase)とを求める。
【0031】極座標変換部4の振幅計算部4aの計算結
果として得られる特定な離散的な周波数の振幅Anはラ
ッチ5と減算器6と切換スイッチ7の固定接点bとに供
給される。前記した切換スイッチ7の可動接点cは切換
制御信号の供給端子7tに供給される切換制御信号によ
って固定接点a,b間で切換えられる。この切換スイッ
チ7の可動接点cと後述されている切換スイッチ13の
可動接点cとは、連動した切換動作を行なうように、切
換スイッチ13の切換制御信号の供給端子13tに供給
される切換制御信号と、切換制御信号の供給端子7tに
供給される切換制御信号とは同一の信号とされている。
前記した切換スイッチ7,13の可動接点cを固定接点
b側に切換えた状態にする必要があるのは、本来、最初
のフレームの期間だけでよいのであるが、予測誤差の累
積による誤動作を防止する上からは、最初のフレームの
期間の他に、適当な時間々隔毎のフレーム期間に可動接
点cを固定接点b側に切換えるようにすることは望まし
い実施の態様である。
【0032】n番目のフレームにおける特定な離散的な
周波数(今、仮にfaとする)の振幅の計算結果として
極座標変換部4の振幅計算部4aから出力された振幅A
nのデータが被減数信号として供給された減算器6に
は、減数信号としてラッチ5からAn-1のデータ(n−1
番目のフレームにおける特定な離散的な周波数faの振
幅の計算結果のデータ)が供給されているから、減算器
6からはAn−An-1の振幅残差信号Unが出力され、
それが切換スイッチ7の固定接点aと可動接点cとを介
してマルチプレクサ15に供給される。そして前記した
ラッチ5には今度はn番目のフレームにおける特定な離
散的な周波数の振幅の計算結果として極座標変換部4の
振幅計算部4aから出力された振幅Anのデータが保持
される。
【0033】極座標変換部4の位相計算部4bの計算結
果として得られる特定な離散的な周波数の位相θnはラ
ッチ8と減算器12と切換スイッチ13の固定接点bと
に供給される。n番目のフレームにおける特定な離散的
な周波数(今、仮にfaとする)の位相の計算結果とし
て極座標変換部4の位相計算部4bから出力された位相
θnのデータがラッチ8に保持される以前にラッチ8に
保持されていた位相のデータ、すなわちn-1番目のフレ
ームにおける特定な離散的な周波数faの位相の計算結
果として極座標変換部4の位相計算部4bから出力され
ていた位相θn-1のデータは、ラッチ9と利得が2の増
幅器10と、減算器11とによって構成されている位相
予測部におけるラッチ9に保持される。前記した位相θ
n-1のデータがラッチ9に保持される以前にラッチ9に
保持されていた位相のデータ、すなわち、n-2番目のフ
レームにおける特定な離散的な周波数faの位相の計算
結果として極座標変換部4の位相計算部4bから出力さ
れていた位相θn-2のデータは、減算器11に対して減
数信号として供給されており、前記の減算器11に対し
て被減数信号として供給されているのは、前記した利得
が2の増幅器10からの出力であるから、前記の減算器
11から出力される予測位相のデータ、すなわち、位相
予測部から出力される予測位相のデータは2θn-1 −θ
n-2である。
【0034】前記した位相予測部から出力された予測位
相のデータ2θn-1 −θn-2が、減算器12において実
際の位相データθnから減算されることによって、前記
の減算器12からは位相残差信号Vn=θn−(2θn-1
−θn-2)が出力されて、それが切換スイッチ13の固
定接点aと可動接点cとを経てブロック14に供給さ
れ、そこで、周波数に従って量子化サイズが設定された
後に、マルチプレクサ15に供給される。前記したブロ
ック14は切換スイッチ12と減算器11との間に設け
てもよい。前記したマルチプレクサ15では、特定な離
散的な周波数(今、仮にfaとする)の振幅残差信号U
nと、特定な離散的な周波数faの位相残差信号Vnと
を合わせて、信号処理回装置Aからの出力データとして
マルチプレクサ16に供給する。前記したマルチプレク
サ16には、フーリエ変換フレーム内の所定数の離散周
波数毎の振幅残差信号Unと、位相残差信号Vnとを発
生させている他のすべての信号処理回路A,A…からの
出力データも供給されているから、マルチプレクサ16
からは、情報量が圧縮された状態の音響信号のデータが
出力されて、出力端子17を介して伝送路に送出され
る。
【0035】次に、図3を参照して伝送系の受信側の一
例構成について説明する。図3において、18は受信側
の入力端子であり、この入力端子18には、図2を参照
して既述した送信側から伝送路(図示していない)を介
して伝送されて来た情報量が圧縮された状態の音響信号
のデータが供給されている。前記した入力端子18に供
給された情報量が圧縮された状態の音響信号のデータ
は、デ・マルチプレクサ19によってフーリエ変換フレ
ーム内の所定数の離散周波数毎の振幅残差信号Unと、
位相残差信号Vnとに分離されて、それぞれ特定な離散
周波数毎の振幅残差信号Unと、位相残差信号Vnとの
信号処理を行なうために設けられている信号処理装置
B,B…に供給される。図3において、ある特定な離散
的な周波数のデータについての信号処理を行なう1個の
信号処理装置Bだけは、一点鎖線枠B内に具体的な構成
を示しており、他の離散的な周波数のデータの信号処理
を行なう信号処理装置B,B…は図3中で単に実線枠の
ブロックB,B…により示してある。
【0036】各信号処理装置B,B…には、前記したデ
・マルチプレクサ19から供給されたそれぞれ特定な離
散周波数毎の振幅残差信号Unと、位相残差信号Vnと
を分離するデ・マルチプレクサ20を備えている。デ・
マルチプレクサ20によって分離された特定な離散周波
数(今、仮にfaとする)の振幅残差信号Unと位相残
差信号Vnとにおける振幅残差信号Unは加算器21と
切換スイッチ23の固定接点bとに供給されている。前
記した切換スイッチ23の可動接点cは切換制御信号の
供給端子23tに供給される切換制御信号によって固定
接点a,b間で切換えられる。この切換スイッチ23の
可動接点cと後述されている切換スイッチ29の可動接
点cとは、連動した切換動作を行なうように、切換スイ
ッチ29の切換制御信号の供給端子29tに供給される
切換制御信号と、切換制御信号の供給端子23tに供給
される切換制御信号とは同一の信号とされている。前記
した切換スイッチ23,29の可動接点cを固定接点b
側に切換えた状態にする必要があるのは、本来、最初の
フレームの期間だけでよいのであるが、送信側において
予測誤差の累積による誤動作を防止する上から、最初の
フレームの期間の他に、適当な時間々隔毎のフレーム期
間に可動接点cを固定接点b側に切換えるようにしてい
る場合には、送信側における切換スイッチ7,13の切
換態様と同期させるようにする。
【0037】図3におけるラッチ22から加算器21に
与えられているデータは、前記したデ・マルチプレクサ
20から加算器21に与えられている振幅残差信号Un
が、n番目のフレームにおける振幅残差信号Unである
場合には、n-1番目のフレームの合成振幅項のデータA
n-1であるから、加算器21においてn-1番目のフレー
ムの合成振幅項のデータAn-1と、n番目のフレームに
おける振幅残差信号Unとが加算されて、加算器21か
らはn番目のフレームの合成振幅項(Amp)のデータA
nが出力され、それがラッチ22によって保持されると
ともに直角座標変換部30に供給される。
【0038】また、前記のようにデ・マルチプレクサ2
0によって分離された特定な離散周波数(今、仮にfa
とする)の振幅残差信号Unと位相残差信号Vnとにお
ける位相残差信号Vnは加算器28と切換スイッチ29
の固定接点bとに供給されている。前記した加算器28
から出力されるデータが、n番目のフレームにおける特
定な離散的な周波数の位相項(Phase)のデータθn
となることは、前記した加算器28で加算される2つの
データが、デ・マルチプレクサ20から加算器28に与
えられている位相残差信号Vnが、n番目のフレームに
おける位相残差信号Vnと、位相予測部から出力された
2θn-1 −θn-2とであるからである。前記した加算器
28から出力されたn番目のフレームにおける特定な離
散的な周波数の位相項(Phase)のデータθnは、切
換スイッチ29の固定接点aと可動接点cとを介して直
角座標変換部30に供給されるとともに、ラッチ24に
供給されている。
【0039】前記した加算器28から出力された位相θ
nのデータがラッチ24に保持される以前に、ラッチ2
4に保持されていた位相のデータ、すなわちn-1番目の
フレームにおける特定な離散的な周波数faの位相θn
-1のデータは、ラッチ25と利得が2の増幅器26と、
減算器27とによって構成されている位相予測部におけ
るラッチ25に保持される。前記した位相θn-1のデー
タがラッチ25に保持される以前にラッチ25に保持さ
れていた位相のデータ、すなわち、n-2番目のフレーム
における特定な離散的な周波数faの位相θn-2のデー
タは、減算器27に対して減数信号として供給されてお
り、前記の減算器27に対して被減数信号として供給さ
れているのは前記した利得が2の増幅器26からの出力
であるから、前記の減算器27から出力される予測位相
のデータ、すなわち、位相予測部から出力される予測位
相のデータは2θn-1 −θn-2である。それで、前記し
た位相予測部から出力された予測位相のデータ2θn-1
−θn-2と、n番目のフレームの位相残差信号Vn=θn
−(2θn-1 −θn-2)とが加算器28で加算される
と、加算器28からはn番目のフレームにおける特定な
離散的な周波数faの位相項(Phase)のデータθn
となる。
【0040】前記のように加算器21から出力されたn
番目のフレームの合成振幅項(Amp)のデータAnと、
加算器28から出力されたn番目のフレームにおける特
定な離散的な周波数の位相項(Phase)のデータθn
とが直角座標変換部30に供給されことにより、直角座
標変換部30では、前記したn番目のフレームの合成振
幅項(Amp)のデータAnと、加算器28から出力され
たn番目のフレームにおける特定な離散的な周波数の位
相項(Phase)のデータθnとによって、前記した特
定な離散的な周波数faにおける実数部(Real)振幅
と、虚数部(Imag)振幅とを計算により求めて出力
し、それを逆FFT演算部31に供給する。前記した逆
FFT演算部31には、フーリエ変換フレーム内の所定
数の離散周波数毎に設けられているすべての信号処理回
路B,B,Bからの出力データが供給されているから、
逆FFT演算部31からはもとの音響信号のデータが復
原されて出力されることになる。
【0041】前記した記載においては、n-2番目のフレ
ームの位相情報とn-1番目のフレームの位相情報とを用
いて、n番目のフレームの位相情報を予測する、という
ように、1フレームの差で位相情報の計算を行なってい
る場合について説明しているが、実施に当っては数フレ
ーム差で位相情報の計算が行なわれてもよいことは勿論
である。すなわち、本発明の音響信号の位相予測方法
は、どのフレームでも同一の波形が続くことを想定して
いるFFTの概念とは全く異なる概念に基づいて成立し
ているものであるから、予測に用いられる2つのフレー
ム間隔と、予測されるフレームとの時間関係が整数関係
になっていれば、どのような間隔で予測が行なわれるよ
うにしても構わないのである。また送信側と受信側の構
成が図2,図3に示されているものに限られるものでも
ない。装置の具体化に当っては、デジタル信号処理に際
しての誤差が少なく、かつ安価に構成できるように変形
されることが好ましいのであり、さらに、送信側と受信
側とにおける誤差が互に打消し合うように、通常は、ま
ず受信側の構成を安価な回路とし、送信側では前記の受
信側の回路を局部復号器として動作させるようにして残
差信号を得るような構成とするのが一般的である。な
お、本発明方法の実施がマイクロプロセッサ等でソフト
ウエアにより行なわれるようにされてもよい。
【0042】実際の伝送に適用する場合には、本発明に
よる予測を更に高めながら伝送量は逆に低下させるよう
にしてもよいのであり、次に、具体例を挙げて説明す
る。 1.フレーム長を周波数に見合ったものにする方法。 これまでに説明して来た構成例では、信号の周波数の高
低とは無関係に標本数が一定であるようにしてFFT演
算を行なっていたが、本発明の音響信号の位相予測方法
では、フーリエ変換フレーム内に2〜3波長しか入らな
いような低い周波数の信号においては予測誤差が大き
く、また、前記の場合とは逆に、フーリエ変換フレーム
内に30〜50もの波長が入るような高い周波数の信号
においても予測誤差が大きくなる。前記した低い周波数
での問題はFFTの数学的な理由によるが、前記した高
い周波数での問題は、自然界に存在する音響のコヒーレ
ンシー(位相連続性)が不充分なことに起因しているも
のと思われるが、何れにしても結果的には信号の周波数
に見合った大きさのフレーム長とすることが好ましいこ
とを示している。
【0043】それで、本発明の音響信号の位相予測方法
の実施に当っては、音響信号を例えば低域、中域、高域
のように複数の周波数帯域に分割し、前記したそれぞれ
の周波数帯域毎に異なるフレーム長として、どのフレー
ムで扱う波数も略々一定にすることが好ましい。図4は
前記のように音響信号の周波数帯域を複数に分割した場
合の説明図であり、図4の(a)はウインドウ長の概念
を示したものであり、低域になる程にウインドウ長が長
く、高域になる程にウインドウ長が短くなっている。ま
た、図4の(b)はフィルタによって周波数帯域を分割
し、分割された各周波数帯域の信号毎に、それぞれ異な
る窓関数を掛けるようにした場合の構成例を示してい
る。図4の(b)はフィルタとしてハイパスフィルタと
ローパスフィルタとを用いて周波数帯域を分割するよう
にした場合の構成例を例示したものであり、図中のHは
ハイパスフィルタからの出力を意味し、また図中のLは
ローパスフィルタからの出力を意味している。
【0044】図4の(a)には、ウインドウ長が、順次
に2倍、2倍の関係ものにされている例が示されている
が、ウインドウ長は任意に選定されてもよいのであり、
また周波数帯域の分割に当ってもフィルタを図示のよう
に縦続接続する必要はなく、バンドパスフィルタを用い
て帯域分割が行なわれてもよいのである。またQMF
(クォドラチャー・ミラー・フィルタ)のようなフィル
タを使用して、フィルタ動作と同時に標本数を変えるよ
うにしてもよい。あるいは、通常のフィルタの通過後に
標本数を変えても(デシメーションを行なっても)よ
い。周波数帯域の異なる各信号成分には、それぞれ異な
る窓関数が乗算されてからFFT演算が行なわれる。F
FT演算以後の信号処理は図2に示されているとおりで
ある。
【0045】2.位相の予測精度を周波数によって異な
らせる。 前述の場合には暗黙の内に、残差信号をすべての離散周
波数に対して同じ正確さで伝送するものとしているが、
実際には低い周波数の信号については正確に位相を伝送
しなければならないが、高い周波数の信号については位
相の精度は余り必要としないから、位相の予測精度を周
波数によって異ならせて、周波数に応じて量子化サイズ
を変化させるようにすることができる。さて、良く知ら
れているように、人間の聴覚はもともと位相の識別がで
きないとされているから、本発明のように位相の情報な
どは不必要であり、位相予測自体が不必要なのではない
か、というように思われるかも知れないが、仮に、位相
予測を全く行なわずに、すなわち、位相残差信号を全く
伝送しないで、受信側が勝手な位相で再生したとする
と、(イ)フレームの繰返し周波数が雑音のように聞え
てしまう。(ロ)ステレオの音像定位がめちゃくちゃで
定まらず、かつ、雑音的な感じになる。ということが問
題になる。
【0046】まず、(イ)の問題は、位相が狂った場合
には、順次のフレーム間の接続部において波形の連続性
が失なわれて、その結果として雑音になると同時に、フ
レーム間で位相が変動することにより瞬時周波数が大き
く変化して、あたかもFM変調波のようにようになり、
その可聴成分が聞えて来る。また、(ロ)の問題はステ
レオ音響は離隔した2個のスピーカから放射された2つ
の音波の音圧差と位相差とを用いて立体感を出している
ものであり、とりわけその合成音は2個のベクトル的合
成音であるために、位相差により振幅自体が大きく影響
を受ける。つまり、位相差は合成によって音圧差に変換
されるから、位相がずれると人間の両耳の音圧差がでた
らめになり立体感がめちゃくちゃになる。
【0047】前記の観点から位相の精度を考えてみる
と、それは時間の精度に外ならないことが判かる。例え
ば人間の可聴周波数の上限の周波数値20KHzにおけ
る逆位相(半波長=180度)は、時間値では25マイ
クロ秒に相当しているが、前記の時間値に対して、周波
数値が2KHzでは18度の位相、周波数値が200H
zでは1.8度の位相、周波数値が20Hzでは0.18
度の位相に相当する。従って、もし、周波数が10KH
z〜20KHzの信号の位相精度を1ビット(正相、逆
相のみ)で送ったとしても、周波数が5KHz〜10K
Hzの信号の伝送には2ビットが必要となり、最低域の
周波数値が20Hz〜40Hzの信号伝送には約10ビ
ットが必要とされることになる。前記の例からも容易に
判かるように、低域の信号になる程、多くのビット数を
位相残差伝送に当てることが本発明の好ましい実施態様
であり、それは図2中のブロック14における量子化サ
イズによって行なわれるのである。なお、前記の量子化
サイズの信号処理は、装置のどの部分で行なわれてもよ
い。例えば、位相残差信号を求めず、位相予測だけ行な
う場合(既述の音源の場合)には、前記した量子化サイ
ズの信号処理は、図2中の位相予測部内に設けられる。
【0048】
【発明の効果】以上、詳細に説明したところから明らか
なように本発明の音響信号の位相予測方法は、予め定め
られた一定の時間長を有するように音響信号から切出さ
れた順次の各フーリエ変換フレームにおける第1,第2
の各フーリエ変換フレームに同じ窓関数を用いて離散的
にフーリエ変換し、前記した第1,第2の各フーリエ変
換フレーム毎のフーリエ変換の結果として求められた同
一な所定数の離散周波数毎のデータにより、前記した第
1,第2の各フーリエ変換フレーム毎に、それぞれの離
散周波数毎の位相情報を得て、前記した第1,第2の各
フーリエ変換フレームにおいて互に対応している同一な
離散周波数毎の位相情報の変化の態様を求め、前記した
個々の離散周波数毎の位相情報の変化の態様が時間軸上
で一定であるとして、前記した第1の時間位置と第2の
時間位置との時間差の整数倍の時間位置に存在している
第3の時間位置のフーリエ変換フレーム内の所定数の離
散周波数の個々の位相情報を決定して、第3の時間位置
のフーリエ変換フレームの位相情報を予測するようにし
たものであり、本発明では直交変換技術と信号の予測技
術との双方をうまく融合させて、情報量の大幅な削減を
容易にすることができるのであり、本発明方法の応用に
より簡単な構成で性能の良好な電子楽器の音源を容易に
提供することができ、また、音響信号を高能率符号化す
ることが容易であるために、データ量を大幅に圧縮した
音響信号の記録,伝送を良好に行なうことが容易にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の音響信号の位相予測方法の概略を説明
するために使用される図である。
【図2】本発明の音響信号の位相予測方法を適用して構
成した高能率符号化方式の送信部側の一部の構成を示す
ブロック図である。
【図3】本発明の音響信号の位相予測方法を適用して構
成した高能率符号化方式の受信部側の一部の構成を示す
ブロック図である。
【図4】信号の帯域分割を行なう場合の送信部側の一部
の構成を示すブロック図である。
【図5】周波数スペクトル図である。
【図6】周波数スペクトル図である。
【図7】離散周波数と位相角との関係を示す図である。
【図8】ピアノの音の信号の波形図である。
【図9】線形予測を適用して構成されている周知の高能
率符化方式のブロック図である。
【図10】直交変換による近接周波数間のマスキング効
果を利用してビット圧縮を行なう場合の説明に用いる図
である。
【符号の説明】
1…伝送の対象にされているデジタル音響信号の入力端
子、A,B…う信号処理装置、4…極座標変換部、4a
…振幅計算部、4b…位相計算部、5,8,9…ラッ
チ、6,11,12,27…減算器、7,13,23,
29…切換スイッチ、30…直角座標変換部、
【手続補正書】
【提出日】平成4年2月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】今、時間軸上で連続する順次のフレームに
ついて、それぞれの離散的な各周波数毎の実数部(Re
al)振幅と、虚数部(Imag)振幅とを用いて、数
1及び数2により、前記した離散的な各周波数毎に極座
標変換により合成振幅項(Amp)と位相項(Phas
e)とを求めた場合に、最も常識的な考え方をとれば、
時間軸上で隣り合う2つのフレームでは、同じスペクト
ルになるであろう、と予測するのが自然である。なお、
前記した合成振幅項と位相項とは、前述のように数1と
数2とを用いて求める方法以外の方法によって求められ
てもよいことは勿論であり、例えば、虚数部入力が無い
場合には、実数部だけを用いて位相項を求める等のよう
に、他の各種の方法が採用されてもよいことは当然であ
る。図6は標本化周波数が44.1KHzであり、フレ
ーム長として1024点の標本数を有するものとして、
ピアノの音の信号をFFT演算した場合に得られたFF
T演算結果によるスペクトルを実際の例として示したも
のであるが、この図6に例示されているある1つのフレ
ームにおける512個のスペクトラムは、このフレーム
の次のフレームにおける512個のスペクトラムでも、
また、前記の次のフレームの次のフレームにおける51
2個のスペクトラムでも変化量が極めて少ない。すなわ
ち、前記したフレーム長は約1/40秒であり、その間
に音のスペクトラムが変化する量は極めて少ないのであ
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】極座標変換部4の位相計算部4bの計算結
果として得られる特定な離散的な周波数の位相θnはラ
ッチ8と減算器12と切換スイッチ13の固定接点bと
に供給される。n番目のフレームにおける特定な離散的
な周波数(今、仮にfaとする)の位相の計算結果とし
て極座標変換部4の位相計算部4bから出力された位相
θnのデータがラッチ8に保持される以前にラッチ8に
保持されていた位相のデータ、すなわちn−1番目のフ
レームにおける特定な離散的な周波数faの位相の計算
結果として極座標変換部4の位相計算部4bから出力さ
れていた位相θn−1のデータは、位相予測部における
ラッチ9に保持される。前記した位相予測部は、図示の
構成例ではラッチ9と利得が2の増幅器10と、減算器
11とによって構成されている。前記した位相θn−1
のデータがラッチ9に保持される以前にラッチ9に保持
されていた位相のデータ、すなわち、n−2番目のフレ
ームにおける特定な離散的な周波数faの位相の計算結
果として極座標変換部4の位相計算部4bから出力され
ていた位相θn−2のデータは、減算器11に対して減
数信号として供給されており、前記の減算器11に対し
て被減数信号として供給されているのは、前記した利得
が2の増幅器10からの出力であるから、前記の減算器
11から出力される予測位相のデータ、すなわち、位相
予測部から出力される予測位相のデータは2θn−1−
θn−2である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】図9は、電話の音声信号の伝送に際して情
報量の圧縮を行なうために実用されている線形予測を適
用して構成されている周知の高能率符号化方式のブロッ
ク図であり、図9に例示されている高能率圧縮方式では
子測系の分子(零)と分母(極)とを予測するものであ
るが、その予測能力は余り良好ではなく、音楽信号の伝
送には殆ど効果がない。なお、線形予測を行なうものに
は、他に、例えばパーコ方式等が存在するが、これも性
能的に限界がある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の音響信号
の位相予測方法の具体的な内容を詳細に説明する。図1
は本発明の音響信号の位相予測方法の概略を説明するた
めに使用される図、図2は本発明の音響信号の位相予測
方法を適用して構成した高能率符号化方式の送信部側の
一部の構成を示すブロック図、図3は本発明の音響信号
の位相予測方法を適用して構成した高能率符号化方式の
受信部側の一部の構成を示すブロック図、図4は信号の
帯域分割を行なう場合の送信部側の一部の構成を示すブ
ロック図、図5及び図6は周波数スペクトル図、図7は
離散周波数と位相角との関係を示す図、図8はピアノの
音の波形図、図9は線形予測を適用して構成されている
周知の高能率符号化方式のブロック図、図10は直交変
換による近接周波数間のマスキング効果を利用してビッ
ト圧縮を行なう場合の説明に用いる図である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】ところが、前述した本発明者の仮説によれ
ば、図1の(a)に示されている例えばフレーム1にお
ける離散的な各周波数毎に求めたN/2個の位相項のデ
ータと、図1の(a)に示されている例えばフレーム2
における離散的な各周波数毎に求めたN/2個の位相項
のデータと、図1の(a)に示されている例えばフレー
ム3における離散的な各周波数毎に求めたN/2個の位
相項のデータと、図1の(a)に示されている例えばフ
レーム4における離散的な各周波数毎に求めたN/2個
の位相項のデータとにおける、互に同一の周波数値にお
ける位相項のデータについて、図1の(c)に例示され
ているように、フレーム1における位相項のデータが例
えばθであり、またフレーム2における位相項のデー
タが例えばθであり、さらにフレーム3における位相
項のデータが例えばθであり,さらにまた、フレーム
4における位相項のデータが例えばθであったとした
場合に、θ−θ≒θ−θ≒θ−θ≒Δθ
のように各フレーム間における位相の変化量が略々同一
となる、というものであるから、この仮説が成立つとす
るならば、2つのフレームについてそれぞれの離散的な
各周波数毎に求めたN/2個の位相項における互に対応
しているすべての周波数値の位相項のデータ間の位相の
差を知れば、前記した2つのフレームとは異なる他のフ
レームの位相の予測を行なうことができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】具体的にいうと、前記した例のように、フ
レーム1におけるある特定な周波数値fの位相項のデ
ータがθで、フレーム2におけるある特定な周波数値
の位相項のデータがθである場合には、前記した
フレーム2の次のフレームにおけるある特定な周波数値
の位相項のデータθを,θ≒θ+(θ−θ
)=2θ−θ …(a)のように予測する、とい
うようにして、前記のような位相の予測をフレーム1,
2中の離散的な各周波数のすべてについて個々に行なう
ことにより、フレーム3の信号の位相の予測が可能であ
る、としているのが本発明者の仮説である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】ところで、図5の(a)に例示されている
ようなスペクトラムを生じるような単一周波数の正弦波
の信号が、仮に、本発明による位相予測の対象にされた
場合であっても、その信号が窓関数に掛けられることに
より切断されることにより、図5の(b)に例示されて
いるようにサイドローブが発生するが、前記のようなサ
イドローブの周波数についてまでも前出の(a)式によ
って近似できるかどうかが数学的に証明する手段はない
上に、単一周波数の正弦波の信号に窓関数を掛けて切断
した場合を、コンピュータでシミュレーションした結果
では、フレーム毎にサイドローブの位相差(位相の変
化)が僅かではあるが変化しているということ、及び、
高速フーリエ変換(FFT)の原理原則に従えば、時間
軸上で連続する順次のフレームの内容は同一であると想
定していること、ならびに、フーリエ変換において各離
散周波数は完全に整数周期の存在であるから、前記した
各離散周波数の位相が同一でない場合には、当然のこと
ながら各離散周波数の波形自身はフレーム間において不
連続な状態になってしまうこと、等を考え合わせると、
前記した本発明者の仮説は、かなり乱暴な説のように思
われるかも知れない。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】次に本発明の音響信号の位相予測方法を適
用して行なわれる音響信号の予測技術を応用して、記
録,伝送の対象にされる信号の情報量の圧縮を行なって
記録,伝送を行なう場合には、各フレーム毎に振幅の残
差信号U=A−An−1と、相の残差信号V=θ
−(2θn−1−θn−2)とを記録,伝送すればよ
い。前記した各残差信号U,Vは、子測が当ってい
れば零になるが、通常は予測値との僅かなずれが発生す
るから、前記の残差信号が零になることは少ないが元の
信号の情報量に比べで残差信号の情報量は遥かに少ない
ものになっている。図2は伝送系または記録再生系にお
ける送信側または記録側の一例構成を示すブロック図で
あり、また図3は伝送系または記録再生系における受信
側または再生側の一例構成を示すブロック図である。以
下の記載においては伝送系または記録再生系に共通な記
載内容であっても、単に伝送系,送信側、受信側,伝送
のように表現し、記録再生系,記録側,再生側,記録再
生という用語の記載は省略している。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】n番目のフレームにおける特定な離散的な
周波数(今、仮にfaとする)の振幅の計算結果として
極座標変換部4の振幅計算部4aから出力された振幅A
nのデータが被減数信号として供給された減算器6に
は、減数信号としてラッチ5からAn−1のデータ(n
−1番目のフレームにおける特定な離散的な周波数f
の振幅の計算結果のデータ)が供給されているから、減
算器6からはA−An−1の振幅残差信号Uが出力
され、それが切換スイッチ7の固定接点aと可動接点c
とを介してVLC及びマルチプレクサ15に供給され
る。そして、前記したラッチ5には今度はn番目のフレ
ームにおける特定な離散的な周波数の振幅の計算結果と
して極座標変換部4の振幅計算部4aから出力された振
幅Aのデータが保持される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】極座標変換部4の位相計算部4bの計算結
果として得られる特定な離散的な周波数の位相θはラ
ッチ8と減算器12と切換スイッチ13の固定接点bと
に供給される。n番目のフレームにおける特定な離散的
な周波数(今、仮にfとする)の位相の計算結果とし
て極座標変換部4の位相計算部4から出力された位相
θのデータがラッチ8に保持される以前にラッチ8に
保持されていた位相のデータ、すなわちn−1番目のフ
レームにおける特定な離散的な周波数fの位相計算結
果として極座標変換部4の位相計算部4から出力され
ていた位相θn−1のデータは、ラッチ9に保持され
る。前記した位相予測部は、図示の構成例ではラッチ9
と利得が2の増幅器10と、減算器11とによって構成
されている。前記した位相θn−1のデータがラッチ9
に保持される以前にラッチ9に保持されていた位相のデ
ータ,すなわち、n−2番目のフレームにおける特定な
離散的な周波数fの位相の計算結果として極座標変換
部4の位相計算部4から出力されていた位相θn−2
のデータは、減算器11に対して減数信号として供給さ
れており、前記の減算器11に対して被減数信号として
供給されているのは、前記した利得が2の増幅器10か
らの出力であるから、前記の減算器11から出力される
予測位相のデータ、すなわち、位相予測部から出力され
る予測位相のデータは2θn−1−θn−2である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】前記した位相予測部から出力された予測位
相のデータ2θn−1−θn−2が、減算器12におい
て実際の位相データθから減算されることによって、
前記の減算器12からは位相残差信号V=θ−(2
θn−1−θn−2)が出力されて、それが切換スイッ
チ13の固定接点aと可動接点cとを経て、VLC及び
マルチプレクサ15に供給される。前記したVLC及び
マルチプレクサ15では、特定な離散周波数(今、仮に
とする)の位相残差信号Vが量子化ステップサイ
ズqで量子化され、可変長符号を用いた符号化(VL
C)が行なわれる。この場合に、前記した量子化ステッ
プサイズqは前記した周波数faに応じて制御される。
すなわち、周波数fが高くなる程、位相残差信号の量
子化誤差の許容値を大きくし、それによって残差データ
量を小さくして、次に行なわれる可変符号長符号化(V
LC)を有利にするものである。また、前記したVLC
及びマルチプレクサ15では、特定な離散周波数の振幅
残差信号Uも適当な量子化ステップが設定されて量子
化され、可変符号長符号化(VLC)が行なわれる。こ
のように、前記した位相残差信号Vと前記振幅残差信
号Uとは個別に符号化された後に、前記したVLC及
びマルチプレクサ15内で合成されて、信号処理装置A
からの出力データとしてマルチプレクサ16に供給され
る。前記したマルチプレクサ16には、フーリエ変換フ
レーム内の所定数の離散周波数毎の振幅残差信号U
と、位相残差信号Vとを発生させている他のすべて
の信号処理回路A,A…からの出力データも供給されて
いるから、マルチプレクサ16からは、情報量が圧縮さ
れた状態の音響信号のデータが出力されて、出力端子1
7を介して伝送路に送出される。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】次に、図3を参照して伝送系の受信側の一
例構成について説明する。図3において、18は受信側
の入力端子であり、この入力端子18には、図2を参照
して既述した送信側から伝送路(図示していない)を介
して伝送されて来た情報量が圧縮された状態の音響信号
のデータが供給されている。前記した入力端子18に供
給された情報量が圧縮された状態の音響信号のデータ
は、デ・マルチプレクサ19によってフーリエ変換フレ
ーム内の所定数の離散周波数毎の振幅残差信号Uと、
位相残差信号Vとに分離されて、それぞれ特定な離散
周波数毎に、振幅残差信号U及び位相残差信号V
符号化されたまま分離され、それぞれ特定な離散周波数
毎の符号化された振幅残差信号U及び位相残差信号V
の信号処理を行なうために設けられている信号処理装
置B,B…に供給される。図3において、ある特定な離
散的な周波数のデータについての信号処理を行なう1個
の信号処理装置Bだけは、一点鎖線枠B内に具体的な構
成を示しており、他の離散的な周波数のデータの信号処
理を行なう信号処理装置B,B…は図3中で単に実線枠
のブロックB,B…により示してある。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】各信号処理装置B,B…には、前記したデ
・マルチプレクサ19から供給されたそれぞれ特定な離
散周波数毎の符号化された振幅残差信号Uと、符号化
された位相残差信号Vとを分離して復号するデコーダ
及びデ・マルチプレクサ20を備えている。前記したデ
コーダ及びデ・マルチプレクサ20では、離散周波数毎
の復号された振幅残差信号と位相残差信号との逆量子化
が、符号化時に設定されたそれぞれの量子化ステップサ
イズを用いて個別に行なわれる。前記したデコーダ及び
デ・マルチプレクサ20において分離され復号された特
定な離散周波数(今、仮にfとする)の振幅残差信号
と位相残差信号Vとにおける振幅残差信号U
加算器21と切換スイッチ23の固定接点bとに供給さ
れている前記した切換スイッチ23の可動接点cは切換
制御信号の供給端子23tに供給される切換制御信号に
よって固定接点a,b間で切換えられる。この切換スイ
ッチ23の可動接点cと後述されている切換スイッチ2
9の可動接点cとは、連動した切換動作を行なうよう
に、切換スイッチ29の切換制御信号の供給端子29t
に供給される切換制御信号と、切換制御信号の供給端子
23tに供給される切換制御信号とは同一の信号とされ
ている。前記した切換スイッチ23,29の可動接点c
を固定接点b側に切換えた状態にする必要があるのは、
本来、最初のフレームの期間だけでよいのであるが、送
信側において予測誤差の累積による誤動作を防止する上
から、最初のフレームの期間の他に、適当な時間々隔毎
のフレーム期間に可動接点cを固定接点b側に切換える
ようにしている場合には、送信側における切換スイッチ
7,13の切換態様と同期させるようにする。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】図3におけるラッチ22から加算器21に
与えられているデータは、前記したデコーダ及びデ・マ
ルチプレクサ20から加算器21に与えられている振幅
残差信号Uが、n番目のフレームにおける振幅残差信
号Uである場合には、n−1番目のフレームの合成振
幅項のデータAn−1であるから、加算器21において
n−1番目のフレームの合成振幅項のデータA
n−1と、n番目のフレームにおける振幅残差信号U
とが加算されて、加算器21からはn番目のフレームの
合成振幅項(Amp)のデータAが出力され、それが
ラッチ22によって保持されるとともに直角座標変換部
30に供給される。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】また、前記のようにデコーダ及びデ・マル
チプレクサ20において分離され復号された特定な離散
周波数(今、仮にfとする)の振幅残差信号Uと位
相残差信号Vとにおける位相残差信号Vは加算器2
8と切換スイッチ29の固定接点bとに供給されてい
る。前記した加算器28から出力されるデータが、n番
目のフレームにおける特定な離散的な周波数の位相項
(Phase)のデータθとなることは、前記した加
算器28で加算される2つのデータが、デコーダ及びデ
・マルチプレクサ20から加算器28に与えられている
位相残差信号Vが、n番目のフレームにおける位相残
差信号Vと、位相予測部から出力された2θn−1
θn−2とであるからである。前記した加算器28から
出力されたn番目のフレームにおける特定な離散的な周
波数の位相項(Phase)のデータθは、切換スイ
ッチ29の固定接点aと可動接点cとを介して直角座標
変換部30に供給されるとともに、ラッチ24に供給さ
れている。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】前記した加算器28から出力された位相θ
のデータがラッチ24に保持される以前に、ラッチ2
4に保持されていた位相のデータ、すなわちn−1番目
のフレームにおける特定な離散的な周波数fの位相θ
n−1のデータは、ラッチ25と利得が2の増幅器26
と、減算器27とによって構成されている位相予測部に
おけるラッチ25に保持される。前記した位相θn−1
のデータがラッチ25に保持される以前にラッチ25に
保持されていた位相のデータ、すなわち、n−2番目の
フレームにおける特定な離散的な周波数fの位相θ
n−2のデータは、減算器27に対して減数信号として
供給されており、前記の減算器27に対して被減数信号
として供給されているのは前記した利得が2の増幅器2
6からの出力であるから、前記の減算器27から出力さ
れる予測位相のデータ、すなわち、位相予測部から出力
される予測位相のデータは2θn−1−θn−2であ
る。それで、前記した位相予測部から出力された予測位
相のデータ2θn−1−θn−2と、n番目のフレーム
の位相残差信号V=θ−(2θn−1−θn−2
とが加算器28で加算されると、加算器28からはn番
目のフレームにおける特定な離散的な周波数fの位相
項(Phase)のデータθとなる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】実際の伝送に適用する場合には、本発明に
よる予測効率を更に高めながら伝送量は逆に低下させる
ようにしてもよいのであり、次に、具体例を挙げて説明
する。1.フレーム長を周波数に見合ったものにする方
法。 これまでに説明して来た構成例では、信号の周波数の高
低とは無関係に標本数が一定であるようにしてFFT演
算を行なっていたが、本発明の音響信号の位相予測方法
では、フーリエ変換フレーム内に2〜3波長しか入らな
いような低い周波数の信号においては予測誤差が大き
く、また、前記の場合とは逆に、フーリエ変換フレーム
内に30〜50もの波長が入るような高い周波数の信号
においても予測誤差が大きくなる。前記した低い周波数
での問題はFFTの数学的な理由によるが、前記した高
い周波数での問題は、自然界に存在する音響のコヒーレ
ンシー(位相連続性)が不充分なことに起因しているも
のと思われるが、何れにしても結果的には信号の周波数
に見合った大きさのフレーム長とすることが好ましいこ
とを示している。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】2.位相の予測精度を周波数によって異な
らせる。 前述の場合には暗黙の内に、残差信号をすべての離散周
波数に対して同じ正確さで伝送するものとしているが、
実際には低い周波数の信号については正確に位相を伝送
しなければならないが、高い周波数の信号については位
相の精度は余り必要としないから、位相の予測精度を周
波数によって異ならせて、周波数に応じて量子化サイズ
を変化させるようにすることができる。さて、良く知ら
れているように、人間の聴覚はもともと位相の識別がで
きないとされているから、本発明のように位相の情報な
どは不必要であり、位相予測自体が不必要なのではない
か、というように思われるかも知れないが、仮に、位相
予測を全く行なわずに、すなわち、位相残差信号を全く
伝送しないで、受信側が勝手な位相で再生したとする
と、(イ)フレームの繰返し周波数が雑音のように聞え
てしまう。(ロ)ステレオの音像定位が定まらない、と
いうことが問題になる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】まず、(イ)の問題は、位相が狂った場合
には、順次のフレーム間の接続部において波形の連続性
が失なわれて、その結果として雑音になる。また、
(ロ)の問題はステレオ音響は離隔した2個のスピーカ
から放射された2つの音波の音圧差と位相差とを用いて
立体感を出しているものであり、位相が狂えば音像定位
が狂ってしまう。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】前記の観点から位相の精度を考えてみる
と、それは時間の精度に外ならないことが判かる。例え
ば人間の可聴周波数の上限の周波数値20KHzにおけ
る逆位相(半波長=180度)は、時間値では25マイ
クロ秒に相当しているが、前記の時間値に対して、周波
数値が2KHzでは18度の位相、周波数が200Hz
では1.8度の位相、周波数値が20Hzでは0.18
度の位相に相当する。従って、もし、周波数が10KH
z〜20KHzの信号の位相精度を1ビット(正相、逆
相のみ)で送ったとしても、周波数が5KHz〜10K
Hzの信号の伝送には2ビットが必要となり、最低域の
周波数値が20Hz〜40Hzの信号伝送には約10ビ
ットが必要とされることになる。前記の例からも容易に
判かるように、低域の信号になる程、多くのビット数を
位相残差伝送に当てることが本発明の特徴である。実
際、人間の聴感特性は前記特性に合致している。また、
位相予測誤差は前記した振幅Anが小さい場合には、さ
らに大きい値まで許容されることを考慮すれば、前記離
散周波数に加えて振幅値Anにも応じて前記量子化ステ
ップqの制御を行なうようにしてもよいことは言うまで
もない。そして、それは図2中のVLC及びマルチプレ
クサ15によって行なわれるのである。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】 線形予測を適用して構成されている周知の高
能率符号化方式のブロック図である。
【手続補正21】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正22】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め定められた一定の時間長を有するよ
    うに音響信号から切出された順次の各フーリエ変換フレ
    ームにおける第1の時間位置のフーリエ変換フレームの
    フーリエ変換結果と、第2の時間位置のフーリエ変換フ
    レームのフーリエ変換結果とに基づいて、前記した第1
    の時間位置と第2の時間位置との時間差の整数倍の時間
    位置に存在している第3の時間位置のフーリエ変換フレ
    ームの位相情報を予測する方法であって、前記した第
    1,第2の各フーリエ変換フレームに同じ窓関数を用い
    て離散的にフーリエ変換する手段と、前記した第1,第
    2の各フーリエ変換フレーム毎のフーリエ変換の結果と
    して求められた同一な所定数の離散周波数毎のデータに
    より、前記した第1,第2の各フーリエ変換フレーム毎
    に、それぞれの離散周波数毎の位相情報を得る手段と、
    前記した第1,第2の各フーリエ変換フレームにおいて
    互に対応している同一な離散周波数毎の位相情報の変化
    の態様を求める手段と、前記した個々の離散周波数毎の
    位相情報の変化の態様が時間軸上で一定であるとして、
    前記した第3の時間位置のフーリエ変換フレーム内の所
    定数の離散周波数の個々の位相情報を決定するようにし
    た音響信号の位相予測方法。
  2. 【請求項2】 n−1番目のフーリエ変換フレームにお
    ける特定な離散周波数の位相がθn−1であり、n−2番
    目のフーリエ変換フレームにおける特定な離散周波数の
    位相がθn−2であるときに、n番目のフーリエ変換フ
    レームにおける特定な離散周波数の位相θnを、θn=
    2θn-1 − θn-2 のように予測する請求項1の音響
    信号の位相予測方法。
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