JPH05215203A - 自動変速機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、小型化することができ、製作が容
易となってコストを低廉とし得るとともに、オイルの最
高温度を低下させることができ、しかも空冷式オイルク
ーラのための配設スペースを小とし得ることを目的とし
ている。 【構成】 このため、自動変速機下部にオイルを収容す
るオイルパンを設け、オイルパン下面にオイルの冷却を
果たす空冷式オイルクーラを設けるとともに、空冷式オ
イルクーラの前面部位にオイルパンの温度が所定温度以
上となった際にのみ開放し空冷式オイルクーラ近傍を流
れる空気流量を大とする開閉手段を設けている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は自動変速機に係り、特
に自動変速機のオイルパン下面に空冷式オイルクーラを
設けてオイルの冷却機能の向上を図る自動変速機に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】自動車等の車両にあっては、エンジンの
発生する駆動力を走行状態に応じて適切に取り出すため
に、変速機を設けている。変速機には、走行状態に応じ
エンジンの駆動力を運転者が手動により所要の変速比に
変換して取り出す手動変速機や走行状態に応じ内燃機関
の駆動力を所要の変速比に自動的且つ無段階に変換して
取り出す自動変速機等がある。

【０００３】また、前記自動変速機としては、実公昭５
６−５５４７５号公報に開示されるものがある。この公
報に開示される自動変速機は、オーバドライブケースに
ブリーザ通路とともに、高圧のオイルを導く通路を有す
るオーバドライブ装置付自動変速機において、オイルが
ブリーザ通路を介して大気へ漏れるのを防止するもので
ある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の自動
変速機においては、走行負荷が増加すると、コンバータ
のスベリ率が大きくなり、発熱量が増加するものであ
る。通常、水冷式オイルクーラにて対応可能であるが、
近年、エンジンルームスペースの縮小が図られる傾向に
あり、水冷式オイルクーラの拡大が難しくなっている。

【０００５】また、大型の自動変速機において、ロック
アップ機構を有するものの場合には、発熱量を抑えるた
めに積極的にロックアップを作動させている。

【０００６】更に、小型の自動変速機でロックアップ機
構を有しないもの、あるいは遠心ロックアップ機構を有
するものにおいては、スベリ率をコントロールすること
が困難であり、２次的な冷却装置、例えば空冷式オイル
クーラを追加配設し、２個のオイルクーラによって発熱
量を抑える必要があった。

【０００７】つまり、図７に示す如く、自動変速機１０
２の下部にオイルパン１０４を配設し、ラジエータ１３
０下部に配設される水冷式オイルクーラ１２０と自動変
速機１０２とを２本の第１、第２オイル通路１３２−
１、１３２−２によって連絡させている。

【０００８】そして、第１オイル通路１３２−１途中に
第３オイル通路１３２−３を連絡するとともに、第２オ
イル通路１３２−２途中に第４オイル通路１３２−４を
連絡して設け、第３、第４オイル通路１３２−３、１３
２−４を空冷式オイルクーラ１０６に夫々連絡させてい
る。

【０００９】また、レイアウトとしては、図８に示す如
く、オイルパン１０４と上方のコンバータ１１６間にオ
イルポンプ１１８を配設し、コンバータ１１６と上方に
位置する水冷式オイルクーラ１２０及び空冷式オイルク
ーラ１０６とを連絡して設け、これらのオイルクーラ１
２０、１０６と下方の自動変速機１０２とを連絡し、自
動変速機１０２下部にオイルパン１０４を配設してい
る。

【００１０】この結果、前記空冷式オイルクーラを別途
配設するとともに、この空冷式オイルクーラと自動変速
機とを連絡するオイル通路も配設する必要があり、構成
が大型化し、製作が困難となってコストが大となり、経
済的に不利であるとともに、空冷式オイルクーラのため
の大なる配設スペースを必要とし、実用上不利であると
いう不都合がある。

【００１１】また、外気が冷えている状態に自動変速機
を始動した場合には、オイルパン内のオイルの粘度が高
いため、オイルストレーナから吸い込んだオイルが、自
動変速機の本体を１周して外部のオイルクーラを回って
来るまでに時間がかかり、空気を吸い込んでしまう現象
が発生するものである。この対策のためには、オイル量
を増加させる必要があり、使い勝手が悪いという不都合
がある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
述不都合を除去するために、エンジンの駆動力を走行状
態に応じて所要の変速比に自動的且つ無段階に変換する
自動変速機において、自動変速機下部にオイルを収容す
るオイルパンを設け、このオイルパン下面にオイルの冷
却を果たす空冷式オイルクーラを設けるとともに空冷式
オイルクーラの前面部位には前記オイルパンの温度が所
定温度以上となった際にのみ開放し前記空冷式オイルク
ーラ近傍を流れる空気流量を大とする開閉手段を設けた
ことを特徴とする。

【００１３】

【作用】上述の如く発明したことにより、オイルパンの
温度が所定温度以上となった際には、開閉手段により空
冷式オイルクーラ近傍を流れる空気流量を大とし、温度
の高いオイルを外気によって冷却し、空冷式オイルクー
ラの冷却機能を向上させている。

【００１４】

【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細
に説明する。

【００１５】図１〜図６はこの発明の実施例を示すもの
である。図２において、２は自動変速機、４はオイルパ
ンである。

【００１６】前記自動変速機２は、図示しないエンジン
の駆動力を走行状態に応じて所要の変速比に自動的且つ
無段階に変換するものであり、下部にオイルを収容する
オイルパン４が装着される。

【００１７】また、前記自動変速機２には後述する水冷
式オイルクーラ２０が連絡されるとともに、オイルパン
４下面にオイルの冷却を果たす空冷式オイルクーラ６を
設け、空冷式オイルクーラ６の前面部位には前記オイル
パン４の温度が所定温度以上となった際にのみ開放し前
記空冷式オイルクーラ６近傍を流れる空気流量を大とす
る開閉手段たるフラッパ部８を設ける構成とする。

【００１８】詳述すれば、図１に示す如く、取付フラン
ジ部４ｘを有する略断面Ｕ字状且つアルミ製の前記オイ
ルパン４を形成し、このオイルパン４の下面４ｂにアル
ミ製の前記空冷式オイルクーラ６を複数個の固定ボルト
１０によって固定する。

【００１９】空冷式オイルクーラ６は、上面６ａに内部
オイル通路１２が形成され、この内部オイル通路１２の
内部表面積を大とすべく蛇行形状としている。また、下
面６ｂには、下方向に突出する複数個の冷却フィン１４
を設け、この冷却フィン１４によって外部表面積を大と
している。このとき、冷却フィン１４は、前記空冷式オ
イルクーラ６の幅方向、つまり図示しない車両に配設さ
れる際の車両の前後方向に延設される。

【００２０】また、空冷式オイルクーラ６前側６ｆであ
る図示しない車両に配設される際の車両の前側に、前記
冷却フィン１４への空気流量を調整するフラッパ部８を
装着する。つまり、空冷式オイルクーラ６の前側６ｆ上
部にフラッパ部８上部を固着し、フラッパ部８下部によ
って冷却フィン１４前面を被覆すべく設ける。

【００２１】更に、前記フラッパ部８を、例えば形状記
憶合金によって形成し、前記オイルパン４の温度が所定
温度以上となった際にのみ、図５に示す如く、フラッパ
部８を元形状に復帰させ、冷却フィン１４への空気流量
を増加させるとともに、オイルパン４の温度が所定温度
未満となると、フラッパ部８の自重あるいは走行時の風
圧によって、図６に示す如く、フラッパ部８が折曲さ
れ、フラッパ部８下部によって冷却フィン１４前面を被
覆するものである。

【００２２】このときのレイアウトとしては、図３に示
す如く、オイルパン４と上方のコンバータ１６間にオイ
ルポンプ１８を配設し、コンバータ１６とオイルパン４
下部に位置する水冷式オイルクーラ２０及び空冷式オイ
ルクーラ６とを連絡して設け、これらのオイルクーラ６
と上方の自動変速機２とを連絡し、自動変速機２下部に
オイルパン４を配設している。

【００２３】なお、符号２２は前記空冷式オイルクーラ
６の内部オイル通路１２上流側に連絡する図示しないオ
イル通路の上流側取付部、２４は空冷式オイルクーラ６
の内部オイル通路１２下流側に連絡する図示しないオイ
ル通路の下流側取付部である。

【００２４】次に作用について説明する。

【００２５】前記オイルパン４の温度が所定温度以上と
なった際には、図５に示す如く、オイルパン４の温度に
よってフラッパ部８を元形状に復帰させ、冷却フィン１
４への空気の流入を可能として空気流量を増加させ、最
も温度の高いオイルを外気によって冷却し、図示しない
ラジエータへの熱負荷を軽減させて空冷式オイルクーラ
６の冷却機能を向上させている。

【００２６】また、前記オイルパン４の温度が所定温度
未満である場合あるいは温度が所定温度未満となると、
フラッパ部８の自重あるいは走行時の風圧によって、図
６に示す如く、フラッパ部８が折曲され、フラッパ部８
下部により冷却フィン１４前面を被覆して冷却フィン１
４への空気の流入を阻止し、空気流量を減少させて空冷
式オイルクーラ６の冷却機能を調整している。

【００２７】これにより、前記空冷式オイルクーラ６を
オイルパン４下部に一体に配設することができ、小型化
でき、製作が容易となってコストを低廉とすることがで
き、経済的に有利であるとともに、図４に示す如く、オ
イルの最高温度を低下させることができ、しかも空冷式
オイルクーラのための配設スペースを小とし得て、実用
上有利である。

【００２８】また、外気が冷えている状態において自動
変速機を始動した場合にも、最も高い温度のオイルをオ
イルパン４内に戻すことにより、オイルの粘度が低下
し、オイルストレーナから吸い込んだオイルが、自動変
速機の本体を１周して外部のオイルクーラを回って来る
までの時間を短縮し得て、空気を吸い込んでしまう現象
が発生するのを低減することができ、必要以上にオイル
量を増加させる必要がなく、使い勝手を向上させること
ができる。

【００２９】なお、この発明は上述実施例に限定される
ものではなく、種々の応用改変が可能である。

【００３０】例えば、この発明の実施例においては、前
記オイルパンの温度が所定温度以上となった際にのみ開
放し空冷式オイルクーラ近傍を流れる空気流量を大とす
る開閉手段そして形状記憶合金からなるフラッパ部を使
用する構成としたが、オイルパンの温度が所定温度以上
となった際にのみ開放する開閉手段であればよく、前記
オイルパンに温度センサを設け、オイルパンの温度が所
定温度以上となった際にのみ温度センサからの検出信号
によって電動モータを駆動させ、この電動モータにより
開閉部を開放させ、空冷式オイルクーラ近傍を流れる空
気流量を大とする構成とすることも可能である。

【００３１】

【発明の効果】以上詳細に説明した如くこの発明によれ
ば、自動変速機下部にオイルを収容するオイルパンを設
け、オイルパン下面にオイルの冷却を果たす空冷式オイ
ルクーラを設けるとともに、空冷式オイルクーラの前面
部位にオイルパンの温度が所定温度以上となった際にの
み開放し空冷式オイルクーラ近傍を流れる空気流量を大
とする開閉手段を設けたので、小型化することができ、
製作が容易となってコストを低廉とし得て、経済的に有
利であるとともに、オイルの最高温度を低下させること
ができ、しかも空冷式オイルクーラのための配設スペー
スを小とし得て、実用上有利である。また、外気が冷え
ている状態において自動変速機を始動した場合にも、最
も高い温度のオイルをオイルパン内に戻すことにより、
オイルの粘度が低下し、オイルの循環時間を短縮し得
て、空気を吸い込んでしまう現象が発生するのを低減す
ることができ、使い勝手を向上させ得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示す自動変速機のオイルパ
ンと空冷式オイルクーラとの組付状態の概略斜視図であ
る。

【図２】自動変速機の概略正面図である。

【図３】レイアウトを示す概略説明図である。

【図４】オイルパン温度と時間との関係を示す図であ
る。

【図５】オイルパンの温度が所定温度以上となった際の
フラッパ部の概略図である。

【図６】オイルパンの温度が所定温度未満の場合のフラ
ッパ部の概略図である。

【図７】この発明の従来の技術を示す自動変速機の概略
正面図である。

【図８】レイアウトを示す概略説明図である。

【符号の説明】

２ 自動変速機 ４ オイルパン ４ｂ 下面 ４ｘ 取付フランジ部 ６ 空冷式オイルクーラ ６ｆ 前側 ８ フラッパ部 １０ 固定ボルト １２ 内部オイル通路 １４ 冷却フィン １６ コンバータ １８ オイルポンプ ２０ 水冷式オイルクーラ

【手続補正書】

【提出日】平成４年４月７日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】

【図２】

【図３】

【図４】

【図５】

【図６】

【図７】

【図８】

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンの駆動力を走行状態に応じて所
   要の変速比に自動的且つ無段階に変換する自動変速機に
   おいて、自動変速機下部にオイルを収容するオイルパン
   を設け、このオイルパン下面にオイルの冷却を果たす空
   冷式オイルクーラを設けるとともに空冷式オイルクーラ
   の前面部位には前記オイルパンの温度が所定温度以上と
   なった際にのみ開放し前記空冷式オイルクーラ近傍を流
   れる空気流量を大とする開閉手段を設けたことを特徴と
   する自動変速機。