JPH05211748A - 低騒音当接部材保持装置 - Google Patents

低騒音当接部材保持装置

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JPH05211748A
JPH05211748A JP23680191A JP23680191A JPH05211748A JP H05211748 A JPH05211748 A JP H05211748A JP 23680191 A JP23680191 A JP 23680191A JP 23680191 A JP23680191 A JP 23680191A JP H05211748 A JPH05211748 A JP H05211748A
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JP
Japan
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brush
holder
rotating body
abutting member
holding device
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JP23680191A
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English (en)
Inventor
Toru Sekiguchi
徹 関口
Eiji Mimura
栄二 三村
Kazumitsu Moriya
和満 守屋
Takio Oya
多喜雄 大矢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asmo Co Ltd
Denso Corp
Original Assignee
Asmo Co Ltd
NipponDenso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、ブラシとブラシホルダ間の
摩擦摺動を確保して、ブラシの自励振動を抑制すること
のできる低騒音ブラシ保持装置を提供することにある。 【構成】 低騒音ブラシ保持装置Sは、回転電機のモー
タ軸7に設けられ、このモータ軸7と共に回転するコン
ミュテータ5と、このコンミュテータ5に摺接するブラ
シ1と、このブラシ1を保持するホルダ2と、前記ブラ
シ1を前記コンミュテータ5側へ押圧するコイルばね3
と、を備えており、前記コイルばね3は、ブラシ1の傾
斜面4によって、前記コンミュテータ5を支持するモー
タ軸7方向に位置するホルダ壁側8cにもブラシ1を押
圧してなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転体と、この回転体
に摺接する当接部材の保持装置に係り、特に当接部材と
回転体の摺動によって発生する当接部材の自励振動及び
この振動により生ずる異音を抑制する低騒音当接部材保
持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】回転体に対して、当接部材が押圧保持さ
れる保持装置を備えた装置、例えば直流モータにおいて
は、周知のように整流作用を得るために、当接部材とし
てのブラシと、回転体としてのコンミュテータが用いら
れている。そして、当接部材保持装置としてのブラシ保
持装置は、例えば、ブラシを収納するホルダと、ブラシ
をコンミュテータへ弾性的に押圧するスプリングとを備
えたものが一般的である。このようなブラシ保持装置に
おいて、種々の原因によりブラシが自励振動を起し、整
流作用を悪化させるばかりでなく、この自励振動により
異音を発生して、使用者に不快感を与えていることが経
験的に知られている。そして自励振動が生じていない定
常状態においては、ブラシとコンミュテータとの間の摩
擦力を含め、ブラシに加わる外力の総和はすべてバラン
スしている。そして、たまたま、僅かのアンバランスが
生じても、直ちにもとのバランス状態に戻ることができ
れば、自励振動を発生することはない。
【0003】しかしながら、摩擦特性やブラシの動力学
的特性およびブラシに対してコンミュテータやブラシホ
ルダが与えられている拘束状況が変化したときには、僅
かのアンバランスが生じても、摩擦力を介する機械的エ
ネルギーが、このバランスの変化に加わって、アンバラ
ンスが増幅され、ブラシの振動エネルギーが大きくなっ
て自励振動となる。このようにして発生するブラシの自
励振動を解決するには、大別して、ブラシを構成する材
料を改良する方法と、ブラシ保持装置の構造を改良する
方法とが考えられる。ブラシの材料を改良する方法とし
ては、例えばブラシの材質をより振動し難いものにする
ことが考えられる。しかし、一般に振動を抑圧・減衰さ
せる場合、材料の改良よりも、ブラシ保持装置の構造の
改良を行なった方がより効果的であることが知られてい
る。
【0004】ところで、従来提案されているブラシの自
励振動を抑制する技術としては、例えば、実開昭62−
188965号公報に示されるように、ブラシをコンミ
ュテータ方向へ弾発する板ばねをブラシの側部まで延出
すると共に、この延出部分にブラシ側部に当接する突起
部を形成し、ブラシをブラシホルダ内で、コンミュテー
タに密着当接させるようにして、ブラシがブラシホルダ
内で、コンミュテータ円周方向へ動きにくくなるような
拘束力をブラシに与えたものが公知となっている。ま
た、同技術には、コンミュテータと反対側のブラシ端部
を、ブラシの長軸に対して傾斜面とし、この傾斜面にブ
ラシをコンミュテータ側へ弾発する板ばねを当接させる
と共に、上述したように板ばねの延出部分に設けた突起
部によって、ブラシを短軸方向でしかもコンミュテータ
の回転方向側へ押圧する構成としたものが提案されてい
る。即ち、この構成においては、コンミュテータと反対
側のブラシ端部を傾斜面として板ばねを当接させること
で、短軸方向の分力を発生させ、先に述べた突起部によ
る押圧力とあいまってブラシの短軸方向で回転方向のブ
ラシホルダへの固定力を増加させるようにしたものと考
えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
提案技術においては、ブラシをコンミュテータ回転方向
側のブラシホルダの支持部分(コンミュテータ回転方向
のブラシホルダの壁面等)に押付けるのみであり、ブラ
シとブラシホルダとを面接触状態に保持して、ブラシが
ブラシホルダとの接触面内で摺動するような状態(以下
「摩擦摺動状態」という。)ではない。つまり、この提
案技術においては、コンミュテータの偏心等により、ま
たコンミュテータとブラシとの間の摩擦力の変化によ
り、ホルダの拘束が容易に変化し、ホルダとブラシ間の
面接触が微弱となるものである。このため、アンバラン
ス発生の初期における摺動摩擦効果が期待できなくな
る。一般にブラシの自励振動は、コンミュテータの回転
方向に主に発生するために、一旦起った振動に対して
も、上述の従来構造では、ブラシとホルダとの間に、衝
突摺動は生じるが、摩擦摺動による自励振動の減衰は期
待できない。
【0006】従来のブラシ保持装置におけるブラシの振
動状態を考察してみると、例えば、自励振動がかなり激
しい場合には、図11に示されるように、ブラシホルダ
51内で、ブラシ50全体が左右にピッチング揺動する
ような状態を呈する場合がある。尚、図11において、
符号52はコンミュテータである。このような振動を抑
制するためには、前述のようなアンバランスが生じた、
ごく初期において、摩擦を介する機械的エネルギーの注
入による振動エネルギーの増加が起こらないよう、抑止
手段を講ずる必要がある。
【0007】一般に、摩擦摺動状態に保持する場合にお
いて、当接部材と当接部材のホルダとの接触面には、両
者の摩擦摺動に起因して摩擦熱が発生することが認めら
れる。換言すれば、ブラシに加わる機械的エネルギーが
熱エネルギーに変換される。本発明は、このような摩擦
摺動状態におけるエネルギーの変換に着目してなされた
ものである。即ち、当接部材と、この当接部材のホルダ
との摩擦摺動状態を確保することにより、自励振動を引
き起こすような、当接部材に加わる機械的エネルギー
を、当接部材と当接部材のホルダとの摩擦熱として逸散
させることで、当接部材の自励振動を抑制しようとする
ものである。
【0008】本発明の目的は、当接部材と当接部材ホル
ダ間の摩擦摺動を確保して、当接部材の自励振動を抑制
することのできる低騒音当接部材保持装置を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1に係る発
明は、回転電機の回転軸に設けられ、前記回転軸と共に
回転する回転体と、この回転体に摺接する当接部材と、
この当接部材を保持するホルダと、前記当接部材を前記
回転体側へ押圧する付勢手段と、を備えた当接部材保持
装置において、前記付勢手段は、分力発生手段を有し、
この分力発生手段によって、前記回転体を支持する軸方
向に位置するホルダ壁側にも当接部材を押圧してなる低
騒音当接部材保持装置である。そして分力発生手段は、
前記回転体側へ押圧する付勢手段が当接する前記当接部
材の面を、傾斜面として形成される。
【0010】またホルダに付勢手段を形成し、当接部材
は、前記ホルダに設けられた付勢手段により、回転体を
支持する軸方向に位置するホルダ壁側へ押圧して形成す
ると、より好適である。
【0011】本願の請求項4に係る発明は、回転電機の
回転軸に設けられ、前記回転軸と共に回転する回転体
と、この回転体に摺接する当接部材と、この当接部材を
保持するホルダと、前記当接部材を前記回転体側へ押圧
する付勢手段と、を備えた当接部材保持装置において、
前記付勢手段は分力発生手段を有し、この分力発生手段
によって、前記回転体を支持する軸方向に位置するホル
ダ壁側と、前記回転体の回転方向に位置するホルダ壁側
に前記当接部材を押圧してなる低騒音当接部材保持装置
である。そして分力発生手段としては、前記回転体側へ
押圧する付勢手段が当接する前記当接部材の面を、前記
回転体の回転方向に位置するホルダ壁の角から対角方向
で且つ回転体側に向けた傾斜面として形成する。
【0012】またホルダに付勢手段を形成し、当接部材
は、前記ホルダに設けられた付勢手段により、回転体を
支持する軸方向に位置するホルダ壁側へ押圧して形成す
ると、より好適である。
【0013】
【作用】請求項1の発明によれば、当接部材は分力発生
手段によって回転体を支持する軸方向のホルダの壁側へ
押圧され、当接部材はホルダの壁と当接する。このた
め、図11に示すような当接部材の姿勢変化が起った場
合でも、当接部材とホルダの壁とは常に摩擦摺動状態に
保持され、当接部材に加わる機械的エネルギーが、当接
部材とホルダの壁側との間で摩擦摺動による熱に変えら
れることとなる。従って、当接部材を自励振動させるよ
うな機械的エネルギーが減少又は消滅するため、当接部
材の自励振動が抑制されるものである。
【0014】また請求項4の発明によれば、当接部材を
前記回転体側へ押圧する付勢手段が分力発生手段によっ
て、回転体を支持する軸方向に位置するホルダ壁側と、
回転体の回転方向に位置するホルダ壁側に当接部材を押
圧してなるので、当接部材と回転体間の摩擦振動によっ
て発生する当接部材のローリング振動とピッチング振動
を、付勢手段の分力発生手段によって、当接部材をホル
ダに圧着させることにより阻止することができる。
【0015】これをさらに説明すると、上記ローリング
振動現象では周波数において10KHz以下の異音を発
生し、ピッチング振動現象では10〜20KHzの異音
となる。また異音のレベル(G)はピッチング振動の方
がローリング振動よりも10〜100倍大きいのが一般
的である。つまり、ローリング振動現象は当接部材の長
手方向軸回りの振動モードが主であり、当接部材の断面
寸法が、 [回転体の軸方向における距離] < [回転方向の距
離] の場合には、当接部材を回転軸の回転方向のホルダ内面
に押圧するのが効果的となる。また、ピッチング振動現
象は回転軸の長手方向回りのいわゆるロッキング現象が
主の振動モードであるため、当接部材の断面寸法には直
接関係なく、当接部材を回転軸の長手方向のホルダ内面
に押圧することが効果的である。
【0016】以上のように、当接部材を、ホルダ壁内面
の回転体を支持する軸方向に位置するホルダ壁側と、回
転体の回転方向に位置するホルダ壁側に押圧すること
で、それぞれの面で摩擦摺動状態を保持して、ローリン
グ振動及びピッチング振動を抑制するものである。
【0017】また新品の当接部材における回転体との初
期当たりを向上させるために、回転体と当接する面に角
度を持たせることがあり、この場合の当接部材長手方向
回りのローリング振動現象や、その後の回転体との全面
当たり時に発生する回転軸方向回りのピッチング振動現
象に対しても、有効に抑制することができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を限
定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変す
ることができるものである。
【0019】図1及び図2には、本発明に係る低騒音当
接部材保持装置として回転電機に用いられる低騒音ブラ
シ装置の一実施例が示されており、図1は低騒音当接部
材保持装置としての低騒音ブラシ保持装置の一部欠切断
面を有する全体斜視図、図2は低騒音当接部材保持装置
としてのブラシ保持装置の作用の説明図である。以下、
低騒音当接部材保持装置について、これらの図面に基づ
いて、低騒音ブラシ保持装置を例にして説明する。
【0020】本例における低騒音当接部材保持装置とし
ての低騒音ブラシ保持装置Sは、当接部材としてのブラ
シ1と、当接部材ホルダとしてのブラシホルダ2と、付
勢手段としてのコイルばね3と、分力発生手段としての
ブラシ1に形成された傾斜面4と、を主な構成要素とし
て構成されているものである。
【0021】本例のブラシ1は、従来この種の装置で用
いられているものと同一の部材を用いており、角柱状に
形成されている。そして、その長手軸1a(図2参照)
方向の一方の端面1bは、回転体としてのコンミュテー
タ5の外周面に圧接している。また、本例のブラシ1の
他端は、ブラシ1の長手軸1aに対して傾斜面4となっ
ている。この傾斜面4の略中央部には、直方体形状の係
止突起6が突設されている。この係止突起6には、付勢
手段としてのコイルばね3の一端が外嵌されている。
尚、本例の係止突起6は直方体の形状に形成されている
が、コイルばね3が係止できるものであれば良く、特に
直方体形状に限られるものではない。
【0022】本例のブラシホルダ2は、ブラシ1の形状
に合わせて、一方が開口となっている有底中空箱状に形
成されており、上述したブラシ1及びコイルばね3を収
納している。本例のブラシホルダ2の底部2aには、コ
イルばね3の一端が止着されており、このコイルばね3
とコンミュテータ5との間に、ブラシ1が保持されてい
る。従って、ブラシ1は、コイルばね3によってコンミ
ュテータ5へ押圧されている。尚、本例のブラシホルダ
2には、モータ軸7と直交する方向の壁面8a,8b
に、適宜な長さのスリット9を形成しており、ブラシ1
の摩耗の程度がこのスリット9により視認できるように
してある。またこのブラシホルダ2は、図示しないモー
タハウジングに止着されている。
【0023】本例のコンミュテータ5は、周知構成から
なり、特に本発明のための特別な構成を有する必要はな
いので、ここでの詳細な説明は省略する。尚、コンミュ
テータ5は回転軸としてのモータ軸7に支持されてい
る。
【0024】次に、図2を参照しつつ本例における低騒
音ブラシ保持装置Sの作用について説明する。先ず、コ
イルばね3により分力発生手段としての傾斜面4に、垂
直に作用する力をNs 、ブラシ1の長軸1a方向に対す
る傾斜面4の傾斜角をθと、それぞれ定める。力Ns
は、傾斜面4のために、ブラシ1の長軸1a方向と、こ
れに直交する方向に、それぞれ分力を生じる。
【0025】力Ns と、ブラシ1の長軸1a方向との分
力と、の間には、傾斜角θと同じ角度の開きを生じるた
め、両軸1a方向の分力はNs ・cosθと表わされ
る。また、長軸1aと直交する方向に生ずる分力は、N
s ・sinθと表わされる。そして、Ns ・cosθで
表わされる力は、長軸1a方向でコンミュテータ5側へ
向かうもので、ブラシ1をコンミュテータ5へ押圧する
ように作用する。
【0026】また、Ns ・sinθで表わされる力は、
長軸1aと直交する方向に向かう力である。即ち、この
力は、コンミュテータ5を支持するモータ軸7方向で、
ブラシ1をブラシホルダ2の壁面8cへ押圧するように
作用する。一方、ブラシ1は、コンミュテータ5の回転
による摩擦力のため、その回転方向へ押圧されるような
力を受ける。例えば、コンミュテータ5が図1の白ぬき
矢印で示される方向へ回転する場合には、ブラシ1は、
壁面8aから壁面8bへ向かう押圧力を受けることとな
る。この後者の押圧力の変化や、コンミュテータ5の偏
心等によるブラシ1の姿勢変化により、仮に図11のよ
うなピッチング揺動が起っても、図2の壁面8cとブラ
シ1との間の摺動状態は完全に保たれる。
【0027】従って、ブラシ1と壁面8cとは摩擦しつ
つ摺動する状態(摩擦摺動状態)に保持されることとな
り、ブラシ1に加わる機械的エネルギーは、ブラシ1と
壁面8cとの摩擦熱となって、ブラシ1の自励振動を抑
制する結果となる。尚、摩擦力が大きくなるに従い、自
励振動の抑制は強まるが、摩擦力は分力Ns ・sinθ
の大きさに比例するので、結局、傾斜角θを大とするに
従い大きな摩擦力を得ることができ、より確実にブラシ
1の自励振動を抑制する結果となる。
【0028】次に、他の実施例について、図3及び図4
を参照しつつ説明する。尚、図1及び図2に示された実
施例と同一の構成要素については、同一符号を付して、
その説明を省略し、以下異なる点を中心に説明する。こ
の実施例は、モータ軸7方向で、ブラシ1をブラシホル
ダ2の壁面8cへ押圧する力のみを生ずる板ばね10
を、ブラシホルダ2に設けた点が、図1及び図2に示さ
れた実施例と異なっている。即ち、板ばね10は、次の
ようにして形成されている。先ず、ブラシホルダ2の壁
面8dにおいて、コンミュテータ5側の端部から底部2
aへ向かって、適宜な長さで平行する2つの切込み1
1,11を設ける。そして、この2つの切込み11,1
1に挟まれた部分を、ブラシホルダ2の内部へ波形に曲
げて、その頂部10aが丁度ブラシ1に当接するように
する。
【0029】図4には、本例の構成における作用を説明
するための説明図が示されており、以下、図4に基づい
て本例の作用について説明する。先ず、板ばね10の頂
部10aとブラシ1との当接点においては、ブラシ1の
長手軸1aと直交する方向にブラシ1を押圧する力NH
が作用する。また、コイルばね3は図2に基づいて既に
説明したと同様に作用し、長手軸1aと直交する方向で
は分力Ns ・sinθを生ずる。従って、ブラシ1は、
ブラシホルダ2の壁面8c方向にNs ・sinθ+NH
の合成力で押圧されることとなり、ブラシ1とブラシホ
ルダ2との間においては、図1及び図2で示した実施例
に比べ、増加した力NH に対応した分だけ摩擦力が増加
し、ブラシ1の自励振動がさらに抑制されることとな
る。
【0030】尚、この例では、ブラシ1に傾斜面4を設
けると共に、板ばね10を設けるようにしたが、ブラシ
1の傾斜面4を設けずに、板ばね10のみを設けた構成
としても良い。従って本例のように構成すると、壁面8
cとブラシ1との摩擦摺動状態を傾斜面4の傾斜角θに
大きく依存することなく、確保することができる。
【0031】図5及び図6はさらに他の実施例を説明す
るものである。尚、図1又は図2に示された実施例と同
一構成要素には、同一符号を付してその説明を省略し、
以下異なる点を中心に説明する。この実施例は、これま
で説明した2つの実施例と異なり、コイルばね3とブラ
シ1との間に押圧片12を介在させている。本例の押圧
片12は、ブラシ1と同様に、角柱状部材の一端面を傾
斜面12a(図6参照)とすると共に、他方の端面には
コイルばね3を係止するための係止突起6を突設してい
るものである。そして、この押圧片12は傾斜面12a
をブラシ1の傾斜面4に当接して、ブラシホルダ2に収
納されている。
【0032】図6は本例の作用を説明するものである。
図6において、力Ns はブラシ1の長手軸1a方向に加
わるばね力、θは長手軸1aに対する傾斜面4,12a
の傾斜角である。押圧片12は、傾斜面12a,4のた
めに、ブラシ1が当接するブラシホルダ2の壁面8cと
対向する壁面8dに当接する。このため、壁面7dから
は反力F1 が生ずる。一方、ブラシ1が当接するブラシ
ホルダ2の壁面8cからは、反力F2 が生ずる。そし
て、相互に接合している押圧片12の傾斜面12aとブ
ラシ1の傾斜面4においては、各々の面12a,4に垂
直な反力Pが生ずる。この反力Pはブラシ1の長手軸1
a方向の力P・cosθと、この長手軸1aに直交する
方向の力P・sinθとに分解できる。
【0033】従って、上述した各反力との間には、F1
=P・sinθ,F2 =P・sinθ,Ns =P・co
sθのような関係を生ずる。そして、Ns =P・cos
θからはP=Ns /cosθを得ることができるので、
この関係式をF1 =P・sinθ,F2 =P・sinθ
にそれぞれ代入すれば、F1 =F2 =Ns ・tanθを
得る。
【0034】ここで、反力F2 又はF1 が大であるとい
うことは、ブラシ1がブラシホルダ2に大きな力で当接
していることを意味し、これは、図1及び図2で示され
た実施例において説明したのと同様の理由で、ブラシ1
の自励振動が発生し難くなる結果となる。そして、F2
は正接関数で表わされているので、θ<90度内であれ
ば、θを増加させるに伴いF2 及びF1 を大きくするこ
とができ、より確実にブラシ1の自励振動を抑制するこ
とができることとなるものである。しかもこの場合、t
anθは1以上の値を採り得るので、反力F1 及びF2
を図1及び図2で示した実施例と同様又はそれ以上とす
ることができる。
【0035】尚、上述した各実施例においては、コイル
ばね3の一端をブラシ1に係止するために、ブラシ1に
係止突起6を設けているが、図7に示されるように、ブ
ラシ1の傾斜面4に凹部13を形成し、この凹部13に
コイルばね3の一端部を嵌入するようにしても良い。
【0036】図8及び図9は請求項6及び請求項7に係
る発明の具体的例を示したものであり、本例においても
上記図1で示す例と同一部材等には同一符号を付してそ
の説明を省略し、異なる点を説明する。この実施例にお
いては、分力発生手段によって、前記回転体を支持する
軸方向に位置するホルダ壁側と、前記回転体の回転方向
に位置するホルダ壁側に当接部材を押圧したものであ
る。
【0037】本例では、分力発生手段として、コンミュ
テータ5側へ押圧するスプリング3が当接するブラシ1
の面を傾斜面とする点については、前記図1で示す実施
例と同様であるが、本例の傾斜面24は、コンミュテー
タ5の回転方向に位置するホルダ2の壁面8bの角から
対角方向で且つコンミュテータ5側に向けた傾斜面とし
たものである。図8の符号21,22はそれぞれブラシ
1のローリング振動、ピッチング振動におけるの回転方
向を示したものである。
【0038】次に、図8及び図9に基づいて本例の作用
を説明する。一般に、ローリング振動21の現象では1
0KHz以下の異音を発生し、ピッチング振動22の現
象では10〜20KHzの異音を発生する。また異音の
レベル(G)はピッチング振動の方がローリング振動よ
りも10〜100倍大きいのが一般的である。つまり、
図8で示すように、ローリング振動21はブラシ1のモ
ータ軸7長手方向軸回りの振動モードが主であるため、
ブラシ1のコンミュテータ5との摺接面1bの寸法が、
[回転体の軸方向における距離]A<[回転方向の距
離]Bの場合には、ブラシ1をモータ軸7の回転方向の
ホルダ2の内壁面8bに当接させることが効果的とな
る。また、ピッチング振動22はモータ軸7の長手方向
回りのいわゆるロッキング現象が主の振動モードである
ため、ブラシのコンミュテータ5との摺接面1bには直
接関係なく、ブラシ1をモータ軸7長手方向のホルダ内
壁面8cに当接させるのが効果的となる。
【0039】従って、本例のように構成すると、ローリ
ング振動21に対しては、スプリング3のモータ軸7の
回転方向分力(F・Y)によりブラシがホルダ2の壁面
8bに拘束され、ピッチング振動22に対してはスプリ
ング3のモータ軸7方向分力(F・Y)によりブラシ1
がホルダ2の壁面8cに拘束され、これら現象はその発
生源を断たれることになる。即ち、本例では、ブラシ1
に振動エネルギーが蓄積され、自励振動が成長するまえ
に、振動エネルギーを減衰するものである。
【0040】ただし、スプリング3からブラシ1への押
圧が、モータ軸7方向や、モータ軸7の回転方向の分力
(スプリング3の側圧)を生じさせ、しかもブラシ1の
コンミュテータ5上での座乗性を良好に保つには、自ず
とブラシの傾斜面24の傾斜角θは制約されてくる。特
にブラシ1の初期当たり音を向上させるためコンミュテ
ータ5と摺動するブラシ面1bに角度をつけていること
があり、この場合には、傾斜面24の傾斜角θには下限
値が存在してくることもある。以上から、上記傾斜角θ
としては概略20°前後程度が最適である。
【0041】図10は低騒音当接部材保持装置として、
オルタネータに用いられる低騒音ブラシ保持装置の一実
施例を示す縦断面図である。オルタネータに用いられる
ブラシ保持装置Sは、カーボンブラシ31(31a,3
1b)と、一対のターミナルプレート39(39a,3
9b)をインサートモールドした絶縁材料からなるブラ
シホルダ32と、コイルスプリング33(33a,33
b)とからなり、スリップリング35(35a,35
b)にブラシ31(31a,31b)を摺接させるもの
である。ブラシホルダ32は、各々一端が開口した箱状
の収納部32a,32bを有し、この収納部32a,3
2bの内部にスムーズに動けるようにカーボンブラシ3
1a,31bが収納されている。カーボンブラシ31
a,31bは上記収納部32a,32bに収納される
が、このとき、若干のギャップを有するように寸法加工
される。
【0042】またカーボンブラシ31a,31bをスリ
ップリング35a,35bに圧接するために、コイルス
プリング33a,33bがターミナルプレート39a,
39bとブラシ31a,31bの端面に両面を接し、格
納されている。このとき、分力発生手段として、カーボ
ンブラシ31a,31bのスリップリング35a,35
bと反対側の面は、傾斜面34に形成されている。この
傾斜面34は前記図1及び図2で示すのと同様に形成さ
れている。
【0043】またカーボンブラシ31a,31bとター
ミナルプレート39a,39bとを電気的に接続するピ
ッグテール41a,41bは銅線からなり、スプリング
33a,33bの中心を通り、一端がターミナルプレー
ト39a,39bに半田付により電気的に接続されてい
る。ピッグテール41a,41bの他端は、カーボンブ
ラシ31a,31bの端面にスリップリング35a,3
5bの方向にあけられた穴に銅粉を用いて銅粉止めし
(最も一般的なカーボンブラシとピッグテールとの結線
方法)、機械的,電気的に結線されている。
【0044】本例においても前記ブラシ保持装置と同様
の作用効果を奏するものである。本例においては低騒音
当接部材保持装置としてオルタネータの低騒音ブラシ保
持装置を例にして、前記図1及び図2で示す実施例を示
したが、他の実施例である図3及び図4,図5及び図
6,図7,図8及び図9で示す各実施例と同様に構成す
ることが出来るのは勿論である。
【0045】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、回転体と当接部材とを摺接させるときに、当接部材
と、この当接部材を保持するホルダとを確実に摩擦摺動
状態に保持するので、当接部材に加わる機械的エネルギ
ーが摩擦熱となって逸散し、ブラシの自励振動を確実に
抑制することができる。
【0046】また付勢手段の荷重を分力発生手段を用い
て、回転体の回転軸方向と回転体の回転方向に分力とし
て生じさせ、これらの方向にも当接部材をホルダに圧着
させることによって、当接部材と回転体との間の摩擦振
動によって発生する当接部材のローリング振動とピッチ
ング振動を阻止することができる。そして、この当接部
材の自励振動の抑制により、従来と異なり、当接部材の
振動に起因する異音の発生が少なくなり、使用者に不快
感を与えることがなくなるという効果を奏するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る低騒音当接部材保持装置としての
低騒音ブラシ保持装置の一実施例を示す一部欠切断面を
有する全体斜視図である。
【図2】図1の実施例の作用を説明するための説明図で
ある。
【図3】低騒音ブラシ保持装置の他の実施例を示す一部
切欠断面を含む全体斜視図である。
【図4】図3に示された他の実施例の作用を説明するた
めの説明図である。
【図5】低騒音ブラシ保持装置のさらに他の実施例を示
す一部切欠断面図を示す全体斜視図である。
【図6】図5に示された他の実施例の作用を説明するた
めに説明図である。
【図7】低騒音ブラシ保持装置に用いられコイルばねと
ブラシの係止構造の他の実施例を示す縦断面図である。
【図8】低騒音ブラシ保持装置のさらに他実施例を示す
一部切欠断面を含む全体斜視図である。
【図9】図8に示された他の実施例の作用を説明するた
めに説明図である。
【図10】低騒音当接部材保持装置としてのオルタネー
タの低騒音ブラシ保持装置の一実施例を示す縦断面図で
ある。
【図11】従来の低騒音当接部材保持装置としてのモー
タのブラシ保持装置におけるブラシの振動状態の一例を
示す全体斜視図である。
【符号の説明】
1,31 当接部材(ブラシ,カーボンブラシ) 2,32 ホルダ(ブラシホルダ) 3,33 付勢手段(コイルばね,コイルスプリング) 4 分力発生手段(傾斜面) 5 回転体(コンミュタータ) 7 軸(モータ軸) 10 板ばね 12 分力発生手段(押圧片) 24 分力発生手段(傾斜面) 35 回転体(スリップリング) S 低騒音当接部材保持装置(低騒音ブラシ保持装置)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 守屋 和満 静岡県湖西市梅田390番地 アスモ株式会 社内 (72)発明者 大矢 多喜雄 東京都武蔵野市堺南町2丁目27番2号

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転電機の回転軸に設けられ、前記回転
    軸と共に回転する回転体と、この回転体に摺接する当接
    部材と、この当接部材を保持するホルダと、前記当接部
    材を前記回転体側へ押圧する付勢手段と、を備えた当接
    部材保持装置において、前記付勢手段は、分力発生手段
    を有し、この分力発生手段によって、前記回転体を支持
    する軸方向に位置するホルダ壁側にも当接部材を押圧し
    てなることを特徴とする低騒音当接部材保持装置。
  2. 【請求項2】 前記分力発生手段は、前記回転体側へ押
    圧する付勢手段が当接する前記当接部材の面を、傾斜面
    としてなる請求項1記載の低騒音当接部材保持装置。
  3. 【請求項3】 前記ホルダには付勢手段が形成され、前
    記当接部材はホルダに設けられた付勢手段により、回転
    体を支持する軸方向に位置するホルダ壁側へ押圧されて
    なる請求項1,2記載の低騒音当接部材保持装置。
  4. 【請求項4】 回転電機の回転軸に設けられ、前記回転
    軸と共に回転する回転体と、この回転体に摺接する当接
    部材と、この当接部材を保持するホルダと、前記当接部
    材を前記回転体側へ押圧する付勢手段と、を備えた当接
    部材保持装置において、前記付勢手段は分力発生手段を
    有し、この分力発生手段によって、前記回転体を支持す
    る軸方向に位置するホルダ壁側と、前記回転体の回転方
    向に位置するホルダ壁側に前記当接部材を押圧してなる
    ことを特徴とする低騒音当接部材保持装置。
  5. 【請求項5】 前記分力発生手段は、前記回転体側へ押
    圧する付勢手段が当接する前記当接部材の面を、前記回
    転体の回転方向に位置するホルダ壁の角から対角方向で
    且つ回転体側に向けた傾斜面とした請求項4記載の低騒
    音ブラシ保持装置。
  6. 【請求項6】 前記ホルダには付勢手段が形成され、前
    記当接部材はホルダに設けられた付勢手段により、回転
    体を支持する軸方向に位置するホルダ壁側,及び回転体
    の回転方向に位置するホルダ壁側へ押圧されてなる請求
    項4,5記載の低騒音当接部材保持装置。
JP23680191A 1990-11-28 1991-08-26 低騒音当接部材保持装置 Pending JPH05211748A (ja)

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JP2-322670 1990-11-28
JP32267090 1990-11-28
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5744889A (en) * 1995-06-27 1998-04-28 Nippondenso Co., Ltd. Rotating electric machine and a starter having the same
ES2119717A1 (es) * 1997-01-27 1998-10-01 Rodriguez Arturo Conde Dispositivo elevador del n-de r.p.m. para motores electricos de escobillas o carbones sujetas por lenguetas metalicas.
US6787962B2 (en) 2001-01-24 2004-09-07 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Starter with overheat protection device including brush device
JP2009171668A (ja) * 2008-01-11 2009-07-30 Mitsuba Corp ブラシ装置
JP2011223771A (ja) * 2010-04-12 2011-11-04 Nsk Ltd ブラシモータ及び電動パワーステアリング装置、並びにブラシの配置方法

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