JPH05209800A - 圧力測定装置 - Google Patents

圧力測定装置

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JPH05209800A
JPH05209800A JP1500192A JP1500192A JPH05209800A JP H05209800 A JPH05209800 A JP H05209800A JP 1500192 A JP1500192 A JP 1500192A JP 1500192 A JP1500192 A JP 1500192A JP H05209800 A JPH05209800 A JP H05209800A
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Makoto Ebata
誠 江端
Kimihiro Nakamura
公弘 中村
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雅男 斎藤
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 シールダイヤフラムを備える圧力測定装置に
おいて、シールダイヤフラムへの測定流体側からの水素
透過を防止する。 【構成】 シールダイヤフラム10の測定流体30A側
表面に、水素透過防止金属層1、中間金属層2及び絶縁
層3を順次積層コーティングする。中間金属層2は、水
素透過防止金属層1を構成する金属よりもイオン化傾向
が大きく、かつ、水素透過防止金属層1を構成する金属
の線膨張係数と絶縁層3を構成する材料の線膨張係数と
の中間の線膨張係数を有する金属よりなる。水素透過防
止金属層1により、シールダイヤフラム10への水素の
透過が防止される。絶縁層3により、耐食性が確保され
ると共に、測定流体側表面での電気化学反応が防止され
局部電池の形成によるガルバニック腐食が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は圧力測定装置に係り、
詳しくは、そのシールダイヤフラムの表面構成の改良に
関する。
【0002】
【従来の技術】第2図に従来の圧力測定装置の断面図を
示す。この従来装置は、主として、検出部20と保護部
30とからなり、これらは導圧管16,17を介して連
結される。検出部20は、測定すべき差圧を電気信号に
変換して出力する。保護部30は、後述の如く、導入圧
力に対して検出部20を保護する。
【0003】なお、検出部20を保護部30に内設させ
る構成とした圧力測定装置もあるが、第2図の如く、検
出部20を保護部30に外設させた圧力測定装置であれ
ば、測定流体が高温度の場合にその温度の影響が検出部
20に及ばないという効果が奏される。
【0004】保護部30は主として、本体31,32、
保護ダイヤフラム13、シールダイヤフラム10、Oリ
ング18、カバー19及び導圧管23からなる。ここ
で、本体31,32は、保護ダイヤフラム13を挟ん
で、図の左右にそれぞれ配設され、それぞれの外周ない
し周縁部で互いに接合されている。Oリング18、カバ
ー19、導圧管23及びシールダイヤフラム10はそれ
ぞれ2個設けられている。
【0005】また、本体31,32には、それぞれ凹部
11,21、孔14,24及び孔45,55が対称に形
成されている。凹部11は本体31の左側面にこれと同
軸の擂鉢状に形成され、孔14は本体31をその軸線に
沿って貫通し、孔45は一方では凹部11の外周近傍に
開口し、他方では導圧管16を貫通して検出部20の図
示していない導圧空間に連通する。本体31の右側面は
断面が波形に形成され、この波形とほぼ同じ形状のシー
ルダイヤフラム10が、本体31の右側面との間に空間
10Aを形成してその周縁で固着される。本体31の右
側の、シールダイヤフラム10の更に外方の周縁部にO
リング18を介してカバー19が取り付けられ、このカ
バー19に導圧管23が接続される。
【0006】左側の本体32も実質的に上記と同様の構
成とされ、シールダイヤフラム10と接する空間10
A、孔14,24、凹部11,21及び孔45,55か
らなる空間には、それぞれ圧力伝達用媒体としてのシリ
コーンオイル(封入液)が充填される。
【0007】このような圧力測定装置においては、ある
条件の下で、測定流体中の水素原子の一部がシールダイ
ヤフラム10を透過して、圧力伝達用媒体であるシリコ
ーンオイル側に侵入し、水素ガスとなり内部に溜まって
正確な圧力測定を阻害するだけでなく、著しい場合には
圧力測定自体を不能にするという問題が起こるおそれが
ある。
【0008】この水素ガスのシリコーンオイルへの侵
入、滞留のメカニズムは次のように推定される。 M → M2++2e- … 2H+ +2e- → 2H … 2H → H2 … 即ち、例えば、シールダイヤフラム10の金属よりカバ
ー19や導圧管23の金属の方が卑である(イオン化傾
向が大きい)と、まず、式のように、カバー19や導
圧管23の金属(M)が、測定流体内に溶出して電子を
放出する。
【0009】次いで、起きる反応は、式に基くものが
主になる。
【0010】従って、シールダイヤフラム10側に式
の反応が起これば、その表面に吸着した水素原子は、そ
の大部分が、式に基づいて分子状の水素となり、水素
ガスになる。この水素ガスは、分子の大きさからシール
ダイヤフラム10を透過することは不可能である。しか
し、一部の水素原子は、式の段階において、つまり水
素原子の状態のときにシールダイヤフラム10中を拡散
し、シリコーンオイル側まで透過、侵入した後に、水素
ガスとなって検出部の内部に溜まることになる。
【0011】従来、このシールダイヤフラムの水素透過
を防止するために、シールダイヤフラム10の測定流体
側表面に金(Au)をめっき等によりコーティングする
ことが提案されている(実開昭62−86528号)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】実開昭62−8652
8号で提案されるAuコーティングにより、シールダイ
ヤフラムの水素の透過はある程度防止されるが、次のよ
うな問題が発生する。
【0013】ダイヤフラム付近を構成する金属、主とし
てステンレス、ハステロイ等よりも電気的に貴である、
即ち、イオン化傾向が小さいAuを、シールダイヤフラ
ムにコーティングすることにより、例えば、Auとカバ
ー19との間でその電気差に起因する電気回路が形成さ
れ、前述と同様に、金属が測定流体に溶解して電子を放
出する。即ち、前記の反応が起こる。次いで、式よ
り水素がAuコーティング膜表面に吸着する。
【0014】Auコーティング膜は、この吸着水素の拡
散、浸透を防止する効果を有するものであるが、実用上
は、コストの面から、また、シールダイヤフラムの圧力
応答性の面から、そのコーティング厚さにも限界があ
り、水素透過を確実に防止することは難しい。
【0015】しかも、Auめっき膜では、常に、膜のピ
ンホールの問題があり、ごく一部でもAuめっき膜のピ
ンホールのために、シールダイヤフラムと測定流体とが
直に接触すると、前述の如く電気回路による局部電池が
形成され、シールダイヤフラム自身が局部的に腐食を起
こすこととなる。特に、シールダイヤフラムの厚さは、
通常、約0.1mm程度であり、腐食によりシールダイ
ヤフラム自体に孔が明き、測定不能となるおそれもあ
る。なお、Auめっき膜を厚膜に形成することにより、
ピンホールの生成を防止することも可能であるが、発信
器の性能を考慮すると、シールダイヤフラム厚さに制限
があるため、Auコーティング膜厚も制限され、ピンホ
ールを完全に排除することは非常に難しい。
【0016】本発明は上記従来の問題点を解決し、シー
ルダイヤフラムの水素の透過を確実に防止すると共に、
シールダイヤフラムを保護することにより、常に、正確
な圧力測定を可能とする圧力測定装置を提供することを
目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1の圧力測定装置
は、圧力を測定すべき流体と、圧力検出部への圧力伝達
用の媒体とを隔離するシールダイヤフラムが設けられた
圧力測定装置において、該シールダイヤフラムの測定流
体側表面に、水素透過防止金属層、中間金属層及び絶縁
層が、該絶縁層が測定流体接触側となるように順次積層
コーティングされてなり、前記中間金属層は、水素透過
防止金属層を構成する金属よりもイオン化傾向が大き
く、かつ、水素透過防止金属層を構成する金属の線膨張
係数と絶縁層を構成する材料の線膨張係数との中間の線
膨張係数を有する金属よりなることを特徴とする。
【0018】請求項2の圧力測定装置は、請求項1に記
載の装置において、水素透過防止金属層は、金又はタン
グステンよりなることを特徴とする。
【0019】請求項3の圧力測定装置は、請求項1又は
2に記載の装置において、中間金属層は、チタン、タン
グステン、クロム、モリブデン、ニオブ、タンタル、ジ
ルコニウム又はニッケルよりなることを特徴とする。
【0020】請求項4の圧力測定装置は、請求項1ない
し3のいずれか1項に記載の装置において、絶縁層がセ
ラミックスからなることを特徴とする。
【0021】請求項5の圧力測定装置は、請求項1ない
し3のいずれか1項に記載の装置において、絶縁層がS
iC、Al23 、AlN、SiO2 、BN、ZrO2
又はSi34 よりなることを特徴とする。
【0022】
【作用】本発明の圧力測定装置においては、水素透過防
止金属層により、シールダイヤフラムへの水素の透過が
防止される。
【0023】一方、最表面の絶縁層により、耐食性が確
保されると共に、測定流体側表面での電気化学反応が防
止される。
【0024】しかして、これら絶縁層と水素透過防止金
属層との間に中間金属層を設けることにより、次の作用
効果が得られる。
【0025】 中間金属層は、水素透過防止金属層の
構成金属よりもイオン化傾向の大きい金属よりなるた
め、ダイヤフラム本体との電位差がこの中間金属層によ
り低減される。即ち、(ダイヤフラム本体と水素透過防
止金属層との電位差)>(ダイヤフラム本体と中間金属
層との電位差)である。これにより、局部電池の形成に
よるガルバニック腐食が低減される。
【0026】 中間金属層は、水素透過防止金属層構
成金属の線膨張係数と絶縁層構成材料の線膨張係数との
中間の線膨張係数を有する金属で形成される。このた
め、水素透過防止金属層と絶縁層との線膨張係数の差に
よる応力が緩和され、コーティング層の密着性が向上さ
れる。
【0027】なお、本発明において、水素透過防止金属
層は、金(Au)又はタングステン(W)よりなること
が好ましく、中間金属層は、チタン(Ti)、W、クロ
ム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タ
ンタル(Ta)、ジルコニウム又はニッケル(Ni)よ
りなることが好ましく、絶縁層はセラミックス、特にS
iC、Al23 、AlN、SiO2 、BN、ZrO2
又はSi34 よりなることが好ましい。各層の厚さ
は、材料の組合せによって、あるいは、使用される環境
条件によって、ダイヤフラムの応答特性を損ねない範囲
で決定される。
【0028】
【実施例】以下に本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。第1図は本発明の圧力測定装置の一
実施例に係るシールダイヤフラム部分(第2図のIに相
当する部分)の拡大断面図である。
【0029】この圧力測定装置は、シールダイヤフラム
に特定の三層構造のコーティング層が形成されているこ
と以外は、前述した第2図に示す従来の圧力測定装置と
同様の構成となっている。
【0030】32はダイヤフラム本体、10はシールダ
イヤフラム、10Aは圧力伝達用媒体(シリコーンオイ
ル)封入部、30Aは測定流体滞留部である。シールダ
イヤフラム10の測定流体側表面に、水素透過防止金属
層1、中間金属層2及び絶縁層3が、該絶縁層3が測定
流体接触側となるように順次積層コーティングされてい
る。
【0031】水素透過防止金属層1を構成する金属とし
ては、水素が拡散し難いないし拡散しないものであれば
良く、例えば、Au又はW等が挙げられる。好ましく
は、Auが好適である。
【0032】絶縁層3を構成する材料としては、非導電
性のセラミックが好ましく、特に、その耐食性、絶縁性
の面から、SiC,Al23 ,AlN,SiO2 ,S
34 、BN、ZrO2 等が好適である。
【0033】中間金属層2を構成する金属は、水素透過
防止金属層1を構成する金属よりも電気的に卑であり、
かつ、水素透過防止金属層1を構成する金属の線膨張係
数と絶縁層3を構成する材料の線膨張係数との中間の線
膨張係数を有するものであって、水素透過防止金属層1
の構成金属や絶縁層3の構成材料に応じて適宜選定され
るが、例えば、水素透過防止金属層1をAuで形成した
場合、中間金属層2は、Ti,W,Cr,Ni、Zr、
Ta、Nb、Mo等を用いて形成するのが好ましい。
【0034】絶縁層3として用い得る一般的なセラミッ
クスの線膨張係数、水素透過防止金属層1として好適な
Auの線膨張係数及び上記中間金属層2に好適な金属の
線膨張係数は下記表1の通りである。
【0035】
【表1】
【0036】なお、上記表1の中間金属層材料は、いず
れもAuよりも電気的に卑である。
【0037】本発明において、水素透過防止金属層はA
uめっき、蒸着、スパッタ、CVD、イオン注入、イオ
ンプレーティング等により形成し、中間金属層は、蒸
着、スパッタ、CVD、イオン注入、イオンプレーティ
ング等により形成し、絶縁層は蒸着、スパッタ、CV
D、イオン注入、イオンプレーティング等により形成す
るのが好ましい。
【0038】なお、シールダイヤフラム10は、一般に
ステンレス、ハステロイ、モネル、タンタル等で構成さ
れる。
【0039】以下に具体的な実施例を挙げて、本発明を
より具体的に説明する。
【0040】実施例1 シールダイヤフラムの表面に、第1図に示す如く、水素
透過防止金属層1としてAuを3μm厚さに、中間金属
層としてTiを0.5μm厚さに、更に、絶縁層として
SiC(シリコンカーバイト)を0.8μm厚さに形成
したもの(No.1)について、水素透過加速テストを加
速試験条件下で行ない、圧力測定装置の出力のドリフト
が0.5%に達するまでの時間で評価し、結果を表2に
示した。
【0041】比較のため、シールダイヤフラムにAuの
みを4.3μm厚さにコーティングしたもの(No. 2)
及び全くコーティングをしていないもの(No. 3)につ
いても同様にテストを行ない、結果を表2に示した。
【0042】
【表2】
【0043】表2より、次のことが明らかである。即
ち、Auコーティングのみのものでは、無コーティング
のものに比べて水素透過は防止されるものの、その効果
にも限界がある。これに対して、本発明に従って、A
u、Ti及びSiCをコーティングしたものでは、従来
品の2倍にあたる3000Hr経過後も異常がなく、本
発明の効果は明らかである。
【0044】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の圧力測定装
置によれば、水素透過防止金属層、中間金属層及び絶縁
層により、水素の透過が確実に防止されると共に、ガル
バノ腐食も防止される。しかも、コーティング膜の耐食
性、密着性、耐久性にも優れる。
【0045】従って、本発明によれば、水素ガスの圧力
伝達用媒体への侵入が長期にわたり確実に阻止され、正
確な圧力測定が保証される。
【0046】しかも、本発明の構成によれば、Au等の
高価な金属よりなる水素透過防止金属層の厚さを薄くす
ることができ、コスト面で極めて有利である。
【0047】特に、請求項2〜6の圧力測定装置によれ
ば、より一層優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は本発明の一実施例に係る圧力測定装置
を説明する模式的な要部拡大断面図である。
【図2】第2図は圧力測定装置の断面図である。
【符号の説明】
1 水素透過防止金属層 2 中間金属層 3 絶縁層 10 シールダイヤフラム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 公弘 東京都日野市富士町1番地 富士電機株式 会社内 (72)発明者 斎藤 雅男 神奈川県横須賀市長坂2丁目2番1号 株 式会社富士電機総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧力を測定すべき流体と、圧力検出部へ
    の圧力伝達用の媒体とを隔離するシールダイヤフラムが
    設けられた圧力測定装置において、 該シールダイヤフラムの測定流体側表面に、水素透過防
    止金属層、中間金属層及び絶縁層が、該絶縁層が測定流
    体接触側となるように順次積層コーティングされてな
    り、 前記中間金属層は、水素透過防止金属層を構成する金属
    よりも電気的に卑であり、かつ、水素透過防止金属層を
    構成する金属の線膨張係数と絶縁層を構成する材料の線
    膨張係数との中間の線膨張係数を有する金属よりなるこ
    とを特徴とする圧力測定装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の装置において、水素透
    過防止金属層は、金又はタングステンよりなることを特
    徴とする圧力測定装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の装置において、
    中間金属層は、チタン、タングステン、クロム、モリブ
    デン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム又はニッケルよ
    りなることを特徴とする圧力測定装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の装置において、絶縁層がセラミックスからなることを
    特徴とする圧力測定装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の装置において、絶縁層がSiC、Al23 、Al
    N、SiO2 、BN、ZrO2 又はSi34よりなる
    ことを特徴とする圧力測定装置。
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