JPH05209322A - ピッチ系活性炭素繊維 - Google Patents

ピッチ系活性炭素繊維

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JPH05209322A
JPH05209322A JP4177796A JP17779692A JPH05209322A JP H05209322 A JPH05209322 A JP H05209322A JP 4177796 A JP4177796 A JP 4177796A JP 17779692 A JP17779692 A JP 17779692A JP H05209322 A JPH05209322 A JP H05209322A
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activated carbon
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carbon fiber
pores
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Morinobu Endo
守信 遠藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光学的等方性ピッチを原料とし、吸着性能に
優れたピッチ系活性炭素繊維の開発。 【構成】 実質的に半径0.15〜2.5nmの多数の細孔
を有し、比表面積500m2 /g以上の活性炭素繊維で
あって、該細孔が、繊維表層部及び繊維内部にほぼ均一
な密度で存在し、かつ該細孔が互いに三次元的に少なく
とも部分的に連通している光学的等方性ピッチ系活性炭
素繊維である。また、この活性炭素繊維は細孔構造のフ
ラクタル次元が2.1〜2.9である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なピッチ系活性炭素
繊維に関し、詳しくは、実質的に均一な細孔密度(繊維
の単位容積当たりの細孔数)を有し、かつ該細孔が互い
に三次元的に少なくとも部分的に連通し、吸着性能の優
れた新規な光学的等方性ピッチ系活性炭素繊維に関する
ものである。更に、本発明は、光学的等方性ピッチ繊維
の紡糸条件及び/又は不融化或いは炭化ピッチ繊維の賦
活処理条件により細孔半径及び/又は細孔密度が調整さ
れ、各種用途に応じて選択的に高い吸着効率を有する新
規な光学的等方性ピッチ系活性炭素繊維に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、種々の物質或いはイオン等の吸脱
着性能を示すものとして、粒状活性炭や活性炭素繊維が
知られている。特に、活性炭素繊維は繊維状であり、そ
れ単体で、または賦形加工などの処理を施すことによ
り、吸着剤、浄水器、脱臭剤、脱臭フィルターなどの各
種吸着材に、また触媒担体や、炭素に対するイオンのイ
ンターカレーション電位を利用する蓄電池、キャパシタ
ー、コンデンサー等に広く用いられている。
【0003】粒状活性炭や活性炭素繊維において、その
吸脱着機能を充分に発揮させるために、それらの細孔構
造と共に細孔の大きさ、細孔密度及び/又は細孔分布は
大きな要素であると考えられている。しかしながら、細
孔半径の大きさ、細孔密度及び細孔分布を制御・調整す
ることはピッチ原料面や製造条件などに左右されて極め
て難しい。例えば、特開昭61−295218号公報に
は、光学的等方性ピッチ系活性炭素繊維について、細孔
分布をその用途に応じて変える試みがなされている。し
かし、繊維内部の細孔の分散状態を制御したもの、例え
ば、細孔密度が均一なものなどは、従来の粒状活性炭や
活性炭素繊維では未だ知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】細孔が繊維の表面層だ
けでなく、繊維の内部にまで均一に存在する活性炭素繊
維は、一定の繊維容積内に占める細孔数が多くなり、吸
着効率も高くなるので、このような活性炭素繊維が得ら
れれば、その応用範囲もさらに広がっていくものと考え
られる。しかしながら、従来の粒状活性炭や活性炭素繊
維は、ピッチ系、有機系(レーヨン、ポリアクリロニト
リル、フェノール樹脂系その他)を問わず、これらのニ
ーズに十分に応えていないのが実状である。すなわち、
細孔を、半径の大きい順にマクロポア(半径25nm以
上)、メソポア(半径1〜25nm)及びマイクロポア
(半径1nm以下)と区分すると、従来の粒状活性炭や
活性炭素繊維の細孔は、不均一に分布し、その細孔構造
は、繊維表面にマクロポアが存在し、その内部にメソポ
アがあり、さらに、その内部にマイクロポアが存在する
構造と、繊維表面にメソポアがあり、その内部にマイク
ロポアが続いている構造に大別される〔例えば、高分子
加工35巻8号20〜21頁(1986年)参照〕。一
般に、吸着に対しては、マイクロポアが最も効果がある
と考えられている。従来、これらのマイクロポアは直線
的に形成され、繊維の表面近傍にのみ多く存在し、その
半径は表面から先細りの状態になっている。したがっ
て、この種の構造で吸着効率をより高めようとすると、
細孔が表面層に多くなるようにする必要がある。その結
果、必然的に構造体としての強度が弱くなってしまう問
題がある。
【0005】そこで、本発明者は、上記課題を種々検討
した結果、光学的等方性ピッチの製造条件、該ピッチ繊
維の紡糸条件及び/又は不融化或いは炭化ピッチ繊維の
賦活処理条件等を調整することにより、得られる活性炭
素繊維の細孔半径及び/又は細孔密度が調整されて、多
数の細孔が表層部及び内部に亘りほぼ均一な密度で存在
し、かつ互いに少なくとも部分的に連通させた活性炭素
繊維を提供できることを見出し、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明は、実質的に半径0.15〜2.5
nmの多数の細孔を有し、比表面積が500m2 /g以
上の活性炭素繊維であって、該細孔が繊維表層部及び繊
維内部にほぼ均一な密度で存在し、かつ該細孔が互いに
三次元的に少なくとも部分的に連通していることを特徴
とする光学的等方性ピッチ系活性炭素繊維を提供するも
のである。
【0006】まず、本発明の光学的等方性ピッチ系活性
炭素繊維は、実質的に半径0.15〜2.5nmの細孔から
なる活性炭素繊維である。また、このピッチ系活性炭素
繊維の好ましいものは、繊維表層部にマクロポアが存在
せずにメソポア及びマイクロポアが混在し、かつ表面に
向かって直接開孔しているものである。図1は、本発明
の活性炭素繊維(直径約8μm)の横断面を透過型電子
顕微鏡で観察した写真である。繊維外周にはマクロポア
が存在するために起こる不規則性は認められない。そし
て、図2及び図3は、それぞれ本発明の活性炭素繊維の
横断面の繊維内部(中心部)及び繊維表層部を透過型電
子顕微鏡で観察した写真である。写真中、白点部は繊維
中の細孔を示すものである。細孔の密度及び半径はこれ
らの写真を基にして測定されたものである。すなわち、
繊維表層部の細孔密度と繊維内部(中心部)の細孔密度
との差は5%以内にあり、そして細孔の半径はほとんど
のものが2.5nm以下であることが判る。本発明の活性
炭素繊維の細孔は、繊維表層部も繊維内部も同様な形状
に形成されているので、細孔の構造が所謂フラクタル構
造になっているということができ、これは、従来の細孔
の構造とは全く異なった構造である。
【0007】さらに、本発明の活性炭素繊維の細孔構造
について、フラクタル解析を行ってフラクタル次元を求
めたところ、フラクタル次元は比表面積等により異な
り、2.1〜2.9であった。フラクタル解析は、常法によ
り粗視化の度合い(スケール)を変える方法で行った。
すなわち、透過型電子顕微鏡写真を画像処理して得られ
たパターンを多数の正方形で細分化し、細孔部分に完全
に含まれる正方形の数が、正方形の辺の長さの変化に応
じて変わる程度を数値化する方法でフラクタル次元を求
めた。フラクタル次元が大きい程複雑で多次元的である
ことになる。本発明の活性炭素繊維の細孔構造のフラク
タル次元は、2.1〜2.9の範囲にあり、透過型電子顕微
鏡による繊維の断面写真から、細孔は繊維表層部のみな
らず、繊維内部に分布していることが判る。そして、細
孔は3次元的に、直線的でなく互いに連通していること
が判る。
【0008】吸着効率をより高くするためには、一つの
細孔がその周囲の全ての細孔と連通するのが最も好まし
いが、周囲の細孔の少なくとも一部分と連通していれ
ば、吸着効率が高められ、充分に活性炭素繊維としての
機能を発揮することができる。本発明によれば、活性炭
素繊維の細孔の密度、細孔の大きさ等は、賦活条件によ
って制御され、細孔半径0.15〜2.5nm、比表面積
(BET)500m2 /g以上、そして製造条件によっ
ては2,500〜3,500m2 /gの活性炭素繊維を製造
することもできる。また、吸着効率を高くした場合で
も、本発明のピッチ系活性炭素繊維は、従来の活性炭素
繊維に比べて機械的強度が大きく、取扱時の損傷が少な
い利点がある。ただし、細孔構造のフラクタル次元が2.
9を超えると、繊維の機械的強度が弱くなるために、取
扱時の損傷が極めて多くなる傾向が見られる。一方、フ
ラクタル次元が2.1未満であり、また比表面積が500
2 /g未満では、吸着効率が低下してしまう。
【0009】次に、本発明の光学的等方性ピッチ系活性
炭素繊維の製造方法について、その例をあげて説明す
る。本発明のピッチ系活性炭素繊維を製造する紡糸原料
ピッチとしては、賦活処理を容易にすることができる点
から光学的等方性ピッチが用いられる。該光学的等方性
ピッチを得るためのピッチ原料としては、酸素含有気体
ブロー下での熱処理等により光学的等方性で高軟化点の
ピッチを与えるなら、特に制限されない。例えば、原油
蒸留残渣油、ナフサ分解残渣油、エチレンボトム油、石
炭液化油、コールタールなどを濾過、精製、蒸留、水
添、接触分解などの処理工程を経て調製されたものが挙
げられる。
【0010】光学的等方性ピッチは上記ピッチ原料か
ら、例えば、次のようにして得ることができる。すなわ
ち、(イ)ピッチ原料は、350〜450℃の温度で、
窒素等の不活性ガスを吹きこみながら熱処理して、光学
的異方性成分を約5%含む熱処理ピッチを得る。次い
で、この熱処理ピッチから光学的異方性成分を分離除去
する。(ロ)次に、上記の光学的異方性成分を除去した
ピッチを、酸素含有気体ブロー下で、150〜400
℃、好ましくは300〜380℃で熱処理する。ここ
で、酸素含有気体としては、空気あるいは酸素リッチ気
体が用いられる。しかし、入手の容易さなどから、空気
が好ましく用いられる。窒素などのブロー下では、得ら
れる製品に光学的異方性成分が多くなり好ましくない。
この熱処理に必要な酸素の使用量は、通常ピッチ1kg
当たり0.2〜5NL/分程度である。熱処理温度が15
0℃未満では、反応が低下するので好ましくない。一
方、400℃を超えると、反応の制御が難しく、所望の
軟化点の高いピッチを得にくくなる。上述のような熱処
理によって得られるピッチは、メトラー法又は環球法
(R・B法)で測定された軟化点が150〜300℃、
好ましくは200〜250℃と軟化点が高く、キノリン
不溶分が数重量%〜15重量%程度のものである。
【0011】次に、(ハ)得られたピッチを、ピッチの
軟化点より約50℃程度高い温度で、デスクフィルター
(例えば、0.3〜3μmのデイプスフィルター)を用い
て濾過し、キノリン不溶分を実質的に完全に除去する。
該キノリン不溶分の除去法としては、ピッチの品質を変
えずにキノリン不溶分を除去できる方法であれば、特に
制限されないものであり、比重差による分離や遠心分離
等の方法も可能である。
【0012】さらに、(ニ)キノリン不溶分を除去した
ピッチは減圧下で、気体ブローしながら高温で熱処理
し、光学的異方性成分が生成する前に処理を停止して光
学的等方性ピッチを得ることができる。上記の減圧下で
の熱処理に使用する気体は、前記酸素含有気体ブロー下
での熱処理時と同様の気体で、圧力5〜15Torr、
温度300〜350℃程度の高温で20分〜1時間程度
処理を行うことによって、軟化点が250〜290℃
で、キノリン不溶分が実質的にないピッチを得ることが
できる。このような一連の処理により、光学的等方性
で、均質かつ高軟化点で分子量分布の幅の狭いピッチが
得られる。本発明のピッチ系活性炭素繊維を得るには、
ピッチ原料として上記一連の処理を経た光学的等方性ピ
ッチが好ましく用いられる。
【0013】本発明のピッチ系活性炭素繊維を得るに
は、はじめに、このようにして得られた光学的等方性ピ
ッチを紡糸して光学的等方性ピッチ繊維とする。その紡
糸方法としては、通常の溶融紡糸法を採用することがで
きる。例えば、不織布状のものを得るためには、高速の
気体を噴出するスリットの中に設けた紡糸孔から該光学
的等方性ピッチを紡糸するもので、通常メルトブロー法
と呼ばれる紡糸法が生産効率の点で好ましい。特に、紡
糸条件として、紡糸口金温度をピッチの軟化点より20
〜80℃高くし、さらに気体温度を紡糸口金温度よりも
10〜50℃程度高くすることが、光学的等方性ピッチ
繊維の均質性を担保する上で好ましい。この場合、通
常、紡糸されるピッチの温度は紡糸口金温度より若干低
いと推定される。紡糸される光学的等方性ピッチの軟化
点が200℃未満と低すぎると、不融化に長時間を必要
とし、生産性が極端に悪くなる。また、300℃を超え
ると、紡糸温度をかなり高くしないと紡糸するのが困難
となり、ピッチが変質し、繊維強度が低下する。また、
ピッチの紡糸粘度は、通常のメルトブロー条件よりも高
く約10〜200ポイズ、好ましくは約30〜100ポ
イズ程度である。そして、紡糸口金温度、気体温度、気
体の噴出速度などは、光学的等方性ピッチの粘度や軟化
温度、最終活性炭素繊維の物性などに左右されて一義的
に決めることはできないが通常、紡糸口金温度は290
〜360℃程度、気体温度は300〜380℃程度、気
体の噴出速度200〜350m/秒が望ましい。紡糸口
金温度が290℃未満であると、ピッチの粘度が高くな
りすぎ、紡糸が不安定となるとともに、繊維の強度もや
や劣るものとなる。また、紡糸口金温度が360℃を超
えると、ショットの発生が多くなり好ましくない。
【0014】次に、光学的等方性ピッチ繊維は、不融化
処理され、不融化ピッチ繊維とされる。この光学的等方
性ピッチ繊維の不融化処理は、常法に従って行うことが
できる。例えば、昇温速度0.2〜20℃/分、処理温度
150〜400℃、好ましくは180〜320℃で酸化
処理することにより行われる。この際の雰囲気として
は、酸素リッチ空気、空気などを例示できるが、さらに
塩素ガス、酸化窒素ガスなどを一部混入しても良い。
【0015】上記のようにして得られた不融化ピッチ繊
維を活性炭素繊維とするには、軽度の炭化を施してから
賦活処理を行うか、あるいは直接に賦活処理を行う。賦
活処理前に軽度の炭化処理を行うには、常法に従って、
例えば、窒素ガスなどの不活性ガス中、昇温速度5〜1
00℃/分、処理温度1,000℃以下、好ましくは80
0℃以下で炭化する。この賦活処理に先立って軽度の炭
化処理を行うことにより、フェルト、織物など各種賦形
物に成形した状態で賦活することができる。この賦活処
理は常法に従って行うが、例えば、空気、水蒸気、炭酸
ガスなどの雰囲気下で通常800〜1,500℃で数分〜
2時間程度処理される。このような賦活処理を行う賦活
装置としては、特に制限されないが、立型又は横型賦活
炉、あるいは回分式又は連続式賦活炉を挙げることがで
きる。
【0016】本発明において、不融化ピッチ繊維の賦活
条件を制御することにより、活性炭素繊維の細孔の大き
さや密度を調整することができる。即ち、比表面積が同
じであっても、賦活温度を高くし、賦活時間を短くする
と、細孔半径が小さく、かつ細孔半径の大きさの揃った
細孔密度が均一な活性炭素繊維が得られる。一方、賦活
温度を低くし、賦活時間を長くすると、細孔半径が広い
範囲で異なった活性炭素繊維となる。また、賦活時間が
同じ場合、賦活温度が高くなると比表面積が大きくな
り、半径の大きな細孔が出来やすい傾向がある。そし
て、賦活温度を一定にしておき賦活時間を長くすると、
細孔密度が高くなるが、細孔半径の大きいものが含まれ
てくる傾向がある。従って、本発明の光学的等方性ピッ
チ系活性炭素繊維は、上記細孔密度の均一性の確保と共
に、各種製造条件を制御することにより多様な細孔径及
び/又は多様な細孔密度とすることができる。その結
果、選択的吸着の幅が広くなり、被吸着物質の種類、活
性炭素繊維の用途に応じて種々の多様な製品を提供する
ことができる。
【0017】例えば、本発明の光学的等方性ピッチ系の
活性炭素繊維は、繊維状であり、それ単体で、または賦
活加工などの処理を施すことにより、トリハロメタンな
どの気相及び液相吸着剤、浄水器、脱臭剤、脱臭フィル
ターなどの各種吸着材の素材として用いることができ
る。また、触媒担体や、炭素に対するイオンのインター
カレーション電位を利用する蓄電池、キャパシター、コ
ンデンサー等の用途に有効に利用することができる。
【0018】本発明において、活性炭素繊維には、均質
で高軟化点を有する光学的等方性ピッチを紡糸原料とし
て、例えば高粘度メルトブロー法により紡糸したピッチ
繊維を用いることが望ましい。そして、光学的等方性ピ
ッチの紡糸温度条件など種々の製造条件を制御すること
により、繊維表層部及び繊維内部に細孔がほぼ均一な密
度で存在し、かつ該細孔が互いに三次元的に少なくとも
部分的に連通している活性炭素繊維を製造することがで
きる。この理由は明らかでないが、光学的等方性ピッチ
の製造条件を特殊にしたこと、及び高粘度状態でメルト
ブローしたことにより、ピッチの炭素層の均質化及び微
細化が極度に促進されるためではないかと推定される。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに具体的
に説明するが、それらは本発明の範囲を制限するもので
はない。 実施例1 光学的等方性ピッチの製造 石油系接触分解重質油を濾過し、触媒を除去し、蒸留し
て得られた重質油(初留点480℃、終留点560℃、
軟化点72℃)をピッチ原料として用いた。この重質油
に窒素を吹きこみながら、400℃で熱処理し、光学的
異方性成分を約5%含む熱処理ピッチを得た。次いで、
この熱処理ピッチを330℃で静置し、この光学的異方
性成分を沈澱させた。続いて、この光学的異方性成分を
含んだ下方部分をピッチから分離除去した。このように
して得られたピッチ140kgを200リットルのリア
クター中に入れ、370℃で、1.0NL/kg・分の空
気吹き込み量で、エアーブローしながら5時間熱処理を
行い、63.1重量%のピッチ収率でピッチ中間体〔軟化
点250℃、QI(キノリン不溶分)=7.5重量%)を
得た。このピッチ中間体を0.5μmのデスクフィルター
で300℃で濾過し、軟化点245℃、QI=1重量%
以下のピッチを得た。次に、10リットルのリアクター
中に上記ピッチ中間体を2.0kg入れ、350℃で真空
度5.0Torr、0.5NL/kg・分の空気吹き込み量
で、減圧下でエアーブローしながら0.5時間熱処理を行
い、94重量%のピッチ収率で光学的等方性ピッチ(軟
化点280℃、QI=1重量%以下)を得た。このピッ
チを偏光顕微鏡で観察したところ、光学的異方性成分が
含まれていないことが判った。
【0020】ピッチ繊維の製造 得られた光学的等方性ピッチを、幅2mmのスリットの
中に直径0.2mmの紡糸孔を一列に1,000個有する口
金を用いて紡糸し、ピッチ繊維を製造した。この際、ピ
ッチの吐出量は1,000g/分、ピッチ温度は350
℃、加熱空気温度は380℃であった。そして、空気噴
出速度は320m/秒であった。紡糸されたピッチ繊維
を、捕集部分が35メッシュのステンレス製金網で構成
されたベルトの背面から吸引して、ベルト上に捕集し
た。
【0021】活性炭素繊維の製造 得られたピッチ繊維のマット状物を、空気中で10℃/
分の昇温速度、最高温度310℃で不融化処理した後、
水蒸気濃度35重量%の雰囲気、温度1,000℃で、1
0分間賦活した。得られた活性炭素繊維は、収率20重
量%、沃素吸着量2,565mg/g、ベンゼン吸着値9
5.0重量%、メチレンブルー値630mg/g、比表面
積2,500m2 /gであった。この活性炭素繊維の透過
型電子顕微鏡写真を見ると、図1、2及び3に示される
ように、繊維表層部と繊維内部における細孔密度の差は
5%以内であった。そして、細孔構造のフラクタル次元
は2.6であった。また、細孔は実質的に半径約0.2〜2
nmのものが混在していることが観測された。
【0022】実施例2 実施例1で得られたピッチ繊維のマット状物を、空気中
で10℃/分の昇温速度、最高温度310℃で不融化処
理した後、水蒸気濃度35重量%の雰囲気、温度900
℃で、15分間賦活した。得られた活性炭素繊維は、収
率60重量%、沃素吸着量1,229mg/g、ベンゼン
吸着値37.8重量%、メチレンブルー値380mg/
g、比表面積1,200m2 /gであった。細孔構造のフ
ラクタル次元は2.4であった。そして、実施例1の活性
炭素繊維に比べて、半径の小さい細孔の比率がやや大き
くなっていた。
【0023】実施例3 実施例1で得られたピッチ繊維のマット状物を、空気中
で10℃/分の昇温速度、最高温度310℃で不融化処
理した後、引き続いて、窒素中で10℃/分の昇温速
度、最高温度850℃で軽度に炭化した。得られた軽度
炭化繊維マット状物を積層、ニードルパンチ加工し、目
付け50g/m2 のフェルトにした後、実施例2と同じ
条件で賦活した。得られた活性炭素繊維フェルトの特性
は、実施例2で得られた活性炭素繊維とほぼ同等であっ
た。
【0024】実施例4 実施例1で製造された活性炭素繊維を用いて、水中での
遊離残留塩素の除去性能について実験を行った。比較の
ために、従来のフェノール樹脂系活性炭素繊維(比表面
積2,500m2/g)についても同様の実験を行った。
浄水器〔(株)タイガー社製、タイガーAFD−010
0型〕に上記活性炭素繊維を7.0g入れて実験を行っ
た。水中遊離残留塩素濃度は2±0.2ppmになるよう
に調節した。濾過流量は1±0.1リットル/分となるよ
うに、また、水温26〜32℃となるようにした。濾過
能力は、浄水器を通過した後の遊離残留塩素の量を測定
することによって算出した塩素除去率が90%に低下す
るまでの総濾過量(リットル)を、充填した活性炭素繊
維の重量(グラム)で除した値をもって評価した。その
総濾過量と塩素除去率との関係を図4に示した。その結
果、本発明の活性炭素繊維は約550リットル/gとい
う極めて優れた濾過能力を有していた。一方、従来のフ
ェノール樹脂系活性炭素繊維では、実施例1のものと同
一の比表面積を有していても、濾過能力は高々200リ
ットル/gしかなく、このことから本発明の活性炭素繊
維の吸着効率が非常に高いことが判る。
【0025】
【発明の効果】本発明のピッチ系活性炭素繊維は、多数
の細孔が繊維表層部及び繊維内部にほぼ均一な密度で存
在し、かつ該細孔が互いに三次元的に少なくとも部分的
に連通しているので、機械的強度を損なわずに、吸着効
率を高くすることができる。また、本発明においては、
光学的等方性ピッチの製造条件や紡糸条件、不融化ある
いは炭化ピッチ繊維の賦活処理条件などを制御すること
によって、細孔密度あるいは細孔径を多様化でき、被吸
着物質の種類、活性炭素繊維の用途に応じて種々多様な
製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の活性炭素繊維の横断面を透過型電子
顕微鏡で観察した写真である。
【図2】 本発明の活性炭素繊維の内部(中心部)横断
面を透過型電子顕微鏡で拡大観察した写真(約75万
倍)である。
【図3】 本発明の活性炭素繊維表層部の横断面を透過
型電子顕微鏡で拡大観察した写真(約75万倍)であ
る。
【図4】 塩素含有水を活性炭素繊維で濾過した時の塩
素除去率と濾過量との関係を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に半径0.15〜2.5nmの多数の
    細孔を有し、比表面積500m2 /g以上の活性炭素繊
    維であって、該細孔が繊維表層部及び繊維内部にほぼ均
    一な密度で存在し、かつ該細孔が互いに三次元的に少な
    くとも部分的に連通していることを特徴とする光学的等
    方性ピッチ系活性炭素繊維。
  2. 【請求項2】 細孔構造のフラクタル次元が2.1〜2.9
    であることを特徴とする請求項1記載の光学的等方性ピ
    ッチ系活性炭素繊維。
  3. 【請求項3】 メソポア及びマイクロポアが、繊維表層
    部に混在しかつ表面に向かって直接開孔していることを
    特徴とする請求項1記載の光学的等方性ピッチ系活性炭
    素繊維。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003514741A (ja) * 1999-11-19 2003-04-22 サーントル ナスィヨナル ドゥ ラ ルシェルシュ スイヤンティフィック 活性炭並びに部分的に中間相化され且つ部分的にメソゲニック化されたピッチからの活性炭の取得方法
KR20140077519A (ko) * 2012-12-14 2014-06-24 삼성전기주식회사 활성 탄소, 이의 제조방법, 및 이를 포함하는 전기화학 캐패시터
JP2022111062A (ja) * 2021-01-18 2022-07-29 オーシーアイ カンパニー リミテッド 石油系高軟化点ピッチの製造方法

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