JPH05208682A - 電動式パワーステアリング装置 - Google Patents

電動式パワーステアリング装置

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JPH05208682A
JPH05208682A JP4237092A JP4237092A JPH05208682A JP H05208682 A JPH05208682 A JP H05208682A JP 4237092 A JP4237092 A JP 4237092A JP 4237092 A JP4237092 A JP 4237092A JP H05208682 A JPH05208682 A JP H05208682A
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JP
Japan
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steering
torque
vehicle speed
fuzzy
return
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JP4237092A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Ueno
弘 植野
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Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Omron Tateisi Electronics Co
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高車速時の収斂性を確保しつつ、低車速時の
ハンドルの戻り特性を改善して、運転フィーリングを向
上させる。 【構成】 操舵トルク、車速、舵角速度センサ33、舵
角加速度センサ41によって検出された操舵系の操舵状
態のうち少なくとも2つのパラメータ(例えば、車速、
操舵トルク、操舵トルクの微分値、舵角速度、舵角加速
度のうちの少なくとも2つ以上のパラメータ)をファジ
ー入力としてファジー推論を行い、ステアリングの戻り
状態に応じた粘性ゲインを演算する。そして、この演算
した粘性ゲインに基づいてステアリング戻り時における
アシストモータ6の制御値を補正する。したがって、非
線形できめ細かな制御が可能となり、高車速時の収斂性
を十分に確保しつつ、低車速時のステアリング戻り時に
はアシストトルクを小さくすることで、ステアリングの
戻り速度が向上し、また残留ハンドル角が小さくなって
良好な戻り特性になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両に用いて好適な電
動式パワーステアリング装置に係わり、詳しくはモータ
の回転出力によって操舵力を補助するパワーステアリン
グ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車両のパワーステアリング装置と
して油圧式に代えてモータを用いた電動式のものが使用
されており、モータはアクチュエータとして小型、軽量
等の利点から今後とも増加傾向にある。
【0003】従来のパワーステアリング装置では、トル
クセンサによって操舵系の操舵トルクを検出するととも
に、車速センサによって車速を検出し、これらの検出結
果に基づいて操舵系に連結されたモータの駆動を制御
し、パワーアシストを行っている。そして、一般的には
車速感応型であり、低速域では軽く、高速域では重くな
るようにトルクセンサ入力に応じてアシスト力を制御し
ている。
【0004】ところで、上記従来装置では、アシスト用
モータのトルクをギヤで減速してラック軸等に伝達する
構成であるため、アシスト用モータの慣性モーメントが
あたかも大きくなったように作用し、またギヤのフリク
ションが影響して高車速時の収斂性が悪化したり、低車
速時のハンドル戻りが悪化するという不具合があった。
【0005】そのため、かかる不具合を解消するため
に、例えば高車速時については制動用の回路を設け、ハ
ンドルの中立位置近傍においてアシストモータを制動す
る装置が考えられている(例えば、実開昭61ー169
675号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな改良の従来装置にあっては、高車速時の不安定性を
粘性制動によって安定化する構成となっているため、安
定性を改善することはできるものの、特に低車速時のハ
ンドルの戻り速度が不足し、運転者が疲労感や不安感を
覚えるという問題点があった。また、粘性制動のゲイン
が一定であるため、高車速時のおけるハンドルの手放し
時の収斂性がいかなる場合にも十分に確保されている状
態ではなかった。
【0007】そこで本発明は、高車速時の収斂性を確保
しつつ、低車速時のハンドルの戻り特性を改善して、運
転フィーリングを向上できる電動式パワーステアリング
装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明による電動式パワーステアリング装置は、操
舵系に連結され、操舵補助トルクを発生するモータと、
操舵系の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、前記操舵トルク検出手
段および車速検出手段の出力に基づいて前記モータの駆
動を制御する制御手段と、を備えた電動式パワーステア
リング装置において、前記操舵系の操舵状態を検出する
操舵状態検出手段と、前記操舵トルク、前記車速および
該操舵状態検出手段によって検出された操舵系の操舵状
態のうち少なくとも2つのパラメータに基づいて所定の
ファジールールに従ってファジー推論を行い、ステアリ
ングの戻り状態に応じた粘性補正値を演算する粘性補正
演算手段とを設け、前記制御手段は、粘性補正演算手段
の演算値に基づいてステアリング戻り時における前記モ
ータの駆動制御値を補正することを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明では、操舵トルク、車速および操舵状態
検出手段によって検出された操舵系の操舵状態のうち少
なくとも2つのパラメータ(例えば、車速、操舵トル
ク、操舵トルクの微分値、操舵角、舵角速度、舵角加速
度のうちの少なくとも2つ以上のパラメータ)をファジ
ー入力としてファジー推論が行われ、ステアリングの戻
り状態に応じた粘性ゲインが演算されるとともに、この
粘性ゲインに基づいてステアリング戻り時におけるアシ
ストモータの制御値が補正される。
【0010】したがって、アシストモータの粘性ゲイン
を非線形できめ細かく制御することが可能となり、高車
速時の収斂性を十分に確保しつつ、低車速時のステアリ
ング戻り時にはアシストトルクを小さくすることで、ス
テアリングの戻り速度が向上し、また残留ハンドル角が
小さくなって良好な戻り特性になる。
【0011】
【実施例】以下、本発明を図面に基づいて説明する。図
1〜図8は本発明に係る電動式パワーステアリング装置
の一実施例を示す図である。図1は本装置の全体を機能
的に示すブロック図である。図2はこのパワーステアリ
ング装置が適用されるステアリング機械系の一例を示す
構成図である。
【0012】まず、図2に示すパワーステアリング機械
系について説明しておく。図2において、操舵ハンドル
1の回転力はハンドル軸を介してピニオンギアを含むス
テアリングギア2に伝達されるとともに、上記ピニオン
ギアによりラック軸3に伝達され、さらにナックルアー
ム等を経て車輪4が転向される。
【0013】また、コントロール装置5により制御駆動
される操舵アシスト(補助)モータ(DCモータ)6の
回転力はピニオンギアを含むステアリングギア7とラッ
ク軸3との噛み合いによりラック軸3に伝達され、ハン
ドル1による操舵を補助することになる。ハンドル1と
モータ6の回転軸はギア2、7およびラック軸3により
機械的に連結されている。
【0014】一方、後述の操舵トルクセンサ11(図1
参照)により、操舵トルク(戻りトルク)が検出され、
車速センサ12(図1参照)より車速が検出される。そ
して、これらの検出トルク、車速等に基づきコントロー
ル装置5によってモータ6が制御される。コントロール
装置5およびモータ6には車両に搭載されたバッテリ8
から、その動作電力が供給される。
【0015】コントロール装置5は電流検出器、電圧検
出器等の検出器、モータ6を駆動する駆動回路、モータ
6の全体的な制御を統括するコンピュータ(CPU、例
えばマイクロプロセッサ)、メモリ、コンピュータと上
記入/出力機器とのインターフェース回路等から構成さ
れている。
【0016】次に、図1はコントロール装置5に内蔵さ
れたコンピュータの各種機能をブロック的に、他の入/
出力機器、各種回路を示すブロックとともに、描いたも
のである。この図において、アシスト指令部10にはト
ルクセンサ(操舵トルク検出手段)11の検出トルクV
Tと車速センサ(車速検出手段)12の検出車速VSとが
与えられる。アシスト指令部10内のアシストトルク値
指示関数部13は検出トルクVTに応じてモータ6によ
って発生すべきアシストトルクを表す指令値を出力す
る。
【0017】また、乗算定数関数部14は検出車速VS
に応じて定数を発生し、この定数が乗算演算部15にお
いて上記アシストトルク指令値に乗じられる。この結
果、乗算演算部15から出力されるアシストトルク値
(又はモータ電流指令値)は図3に示すように、検出ト
ルクVTと検出車速VSによって定められた値となる。
【0018】図3は、操舵トルクVTに応じて、一定範
囲の操舵トルクVTに対してはこれにほぼ比例するモー
タ電流が流れ(アシストトルクが発生し)、上記範囲を
超えると、ある一定のモータ電流が流れる(アシストト
ルクが発生する)ように、また車速VSに応じて、車速
Sが速いときにはモータ電流(アシストトルク)を少
なくし、車速VSが遅いときにはモータ電流(アシスト
トルク)を多くするように、モータ6を制御するための
アシスト指令が発生することを表している。
【0019】一方、検出トルクVTは位相補償部16に
も与えられ、この位相補償部16によって検出トルクV
Tの微分値が乗算演算部15の出力に加算されることに
より、アシスト指令部10の出力(基準電流指令値)と
なって電流制御部20に供給される。この基準電流指令
値には後述する粘性指令部30からの指令値が加算(又
は減算)された後、目標電流指令値として電流制御部2
0に与えられる。なお、電流制御部20はその全部をハ
ードウエアの回路で構成してもよいし、その一部をコン
ピュータ・ソフトウエアで実現することもできる。
【0020】電流制御部20は、例えば4個のスイッチ
ング素子を含むHブリッジ駆動法に従うPWM(Pulse
Width Modulation)パルスを用いたチョッパ動作によっ
てモータ6を駆動制御するもので、電流フィードバック
制御を行う。すなわち、電機子電流検出部26によって
モータ6の電機子電流iaが検出され、電流偏差演算部
21において与えられた目標電流指令値と検出電流ia
との偏差が演算される。この偏差の絶対値が絶対値変換
部24で得られ、この絶対値に基づきデューティ生成部
25でPWMパルスのデューティ比が決定される。
【0021】一方、上記偏差の極性(正又は負)が正負
判別部22で判別され、生成されたデューティ比と判別
された極性はモータ駆動部23に与えられ、モータ駆動
部23はこれらの値に基づいてHブリッジ型に配線され
た4個のスイッチング素子をオン/オフ制御してモータ
6を駆動する。
【0022】粘性指令部30は舵角の運動に対して粘性
力を与えるもので、舵角速度センサ(操舵状態検出手段
に相当)33、粘性補償値指示関数部31および乗算演
算部32によって構成される。舵角速度センサ33は操
舵ハンドル1の舵角速度dθ/dt(θは舵角)を検出
して粘性補償値指示関数部31に出力し、粘性補償値指
示関数部31は舵角速度dθ/dtが大きい程絶対値が
大きくかつ逆方向のトルクを発生させる指令値を乗算演
算部32に出力する。舵角速度dθ/dtは、操舵量に
対応するものである。
【0023】なお、以下の説明において、図面上は通常
通りに舵角(操舵角変化)をθを用いてドットを文字の
上に付加して表すが、明細書本文ではドット表示が困難
であるため、舵角をdθ/dtとして表すことにする。
【0024】乗算演算部32には、ファジー推論部40
の出力結果が入力されており、ファジー推論部40には
車速センサ12の出力、トルクセンサ11の出力、舵角
速度dθ/dtを検出している舵角速度センサ33(舵
角速度検出手段に相当)からの出力、位相補償部16か
らの検出トルクVTの微分値が与えられる他、さらに操
舵ハンドル1の舵角加速度d2θ/dt2を検出している
舵角加速度センサ41からの出力が与えられる。舵角加
速度センサ41は操舵状態検出手段を構成している。な
お、舵角速度検出手段は、例えばタコジェネレータ、エ
ンコーダのようなものであってもよいし、センサの代え
て舵角速度を推定するオブザーバを設けてもよい。この
オブザーバは、モータ6の端子電圧と電機子電流とに基
づいて、又はモータ6への電流指令値と測定した電機子
電流とに基づいて舵角速度を推定する。
【0025】ファジー推論部(粘性補正演算手段に相
当)40は車速、操舵トルク、トルクVTの微分値、舵
角速度および舵角加速度を入力パラメータとして所定の
ファジールールに従ってファジー推論を行い、ステアリ
ングの戻り状態を推定し、ステアリングの戻り状態に応
じた粘性ゲイン(粘性補正値に相当)を演算して乗算演
算部32に出力する。乗算演算部32は粘性補償値指示
関数部31の出力にファジー推論部40からの粘性ゲイ
ンを乗算して粘性指令部30の指令値とし、この指令値
がアシスト指令部10の基準電流指令値に加算されて後
段の電流制御部20に与えられる。上記電流制御部20
およびアシスト指令部10は制御手段50を構成する。
【0026】次に、上記粘性ゲイン演算のファジールー
ルについて説明する。図4(a)は粘性ゲイン演算にお
ける前件部のメンバーシップ関数で、操舵トルクとトル
ク微分値を入力パラメータとするものである。図4
(b)は同じく粘性ゲイン演算における前件部のメンバ
ーシップ関数で、車速を入力パラメータとするものであ
る。また、図4(c)は後件部におけるファジー出力で
あり、シングルトーン位置で表したメンバーシップ関数
で、粘性ゲインを出力値としている。粘性ゲインは正方
向で粘性制動が大きくなり、負方向で粘性が減少して粘
性補償することになる。
【0027】なお、各メンバーシップ関数におけるラベ
ルの意味は、次の通りである。 PL:Positive Large(正方向に大きい) PS:Positive Small(正方向に小さい) ZR:ゼロ(中立) NS:Negative Small(負方向に小さい) NL:Negative Large(負方向に大きい) H:車速が大きい L:車速が小さい
【0028】ファジィルールは図5(a)(b)のよう
に示され、式を用いて表すと、次のようになる。ルール
はいわゆるIF、THEN(もし、ならば)の形式で表
現される。ただし、図5(a)は低車速のとき、図5
(b)は高車速のときである。 R1.IF トルク=PL AND トルク微分値=
NS THEN ファジー出力=NL(負方向に大きい) R2.IF トルク=PS AND トルク微分値=
NS THEN ファジー出力=NS(負方向に小さい)
【0029】図5(a)に示すファジィルールR1は、
「もし、操舵トルクが正方向に大きく、かつトルク微分
値が負方向に小さい場合にはファジー出力は負方向に大
きい(すなわち、粘性ゲインが負方向に大きく、粘性が
大きく減少する)。」という意味である。
【0030】また、ファジィルールR2は、「もし、操
舵トルクが正方向に小さく、かつトルク微分値が負方向
に小さい場合にはファジー出力は負方向に小さい(すな
わち、粘性ゲインが負方向に小さく、粘性がやや減少す
る)。」という意味である。以下、他のルールも同様の
手法で判断される。
【0031】図5(a)に示すファジィルールは低車速
に対応し、いずれもハンドル1の戻り時に粘性ゲインを
減少(補償)してハンドル1の戻りを良くするようにな
っている。また、ハンドル1の中立付近では粘性制動を
かけて安定化するようになっている。一方、図5(b)
に示すファジィルールは高車速に対応し、ハンドル1の
中立付近で粘性制動をかけて安定化するようになってい
る。
【0032】次に、パワーステアリング制御の動作につ
いて説明する。イグニションスイッチがオンすると、ま
ず通常のパワーアシスト処理が実行され、これにより、
車速感応型の制御、すなわち低速域では軽く、高速域で
は重くなるようにトルクセンサ入力に応じてアシスト力
が制御される。
【0033】一方、ハンドル1の戻り時にはファジー推
論によって、戻り状態が推定され、この戻り状態に応じ
て粘性ゲインが演算されて乗算演算部32に出力され
る。そして、乗算演算部32では粘性補償値指示関数部
31の出力にファジー推論部40からの粘性ゲインが乗
算されて粘性指令部30の指令値とされ、この指令値が
アシスト指令部10の基準電流指令値に加算されて後段
の電流制御部20に与えられ、最終的にアシスト力が補
正制御される。
【0034】具体的には、図4に示したメンバーシップ
関数による評価、すなわち、操舵トルク、トルク微分値
および車速を入力パラメータとしてメンバーシップ関数
にどの程度適合するかの評価が行われ、図5に示すファ
ジールールに従ってファジー論理演算が実行される。
【0035】ファジィ論理演算過程では、その前件部で
上記入力パラメータが与えられ、ファジィルールの対応
するメンバーシップ関数にどの程度適合するかが求めら
れ、適合度の小さいものが選択されて後件部に与えら
れ、後件部では選択された適合度より出力のメンバーシ
ップ関数に制限をかけて例えば、台形状のメンバーシッ
プ関数を得る。次いで、上記メンバーシップ関数をMA
X合成処理によって重ね合わせて合成出力を生成し、そ
の後、デファジファイヤによってこの合成出力の重心を
確定出力としてハンドル1の戻り状態の推定値に応じた
粘性ゲインが演算され、乗算演算部32に出力される。
【0036】乗算演算部32では前段の粘性補償値指示
関数部31の出力にファジー推論部40からの粘性ゲイ
ンが乗算されて粘性指令部30の指令値となり、この指
令値がアシスト指令部10の基準電流指令値に加算され
て後段の電流制御部20に出力される。その後、電流制
御部20によりPWMパルスを用いたチョッパ動作によ
ってモータ6が駆動制御されて操舵系のアシストが行わ
れる。
【0037】ここで、ハンドル1を手放して戻すときに
は、アシスト出力がハンドル1の回転を止める方向に働
く。本実施例では、ハンドル1の戻りを検出すると、上
記ファジー推論による演算補正により粘性を補償(減
少)し、戻り速度を向上させ、一方ハンドル1の中立付
近では、粘性を大きくすることで、制動をかけて安定化
し、ハンドル1のオーバシュートをなくす制御が行われ
る。
【0038】図6は低車速時における戻り特性の波形を
示す図である。このうち、特に図6(a)は本実施例の
制御を行わない場合の制御波形であり、ハンドル1手放
し時の戻り速度が不足気味である。これに対して、図6
(b)は本実施例の制御を行った場合の制御波形であ
り、粘性が補償されることにより、ハンドル1手放し時
の戻り速度が向上している。
【0039】また、図7は高車速時におけるハンドル1
の収斂特性の波形を示す図である。このうち、特に図7
(a)は本実施例の制御を行わない場合の制御波形であ
り、ハンドル1手放し時の収斂性が悪くなっている。こ
れに対して、図7(b)は本実施例の制御を行った場合
の制御波形であり、ハンドル1の中立付近では粘性が大
きくなることにより、ハンドル1のオーバシュートが抑
制され、収斂性が向上している。
【0040】このように、本実施例ではハンドル1手放
し時の粘性ゲインをファジー推論によって決定している
ので、非線形できめ細かな制御を行うことができ、特に
高車速時のハンドル手放し時には、粘性制動をかけて収
斂性を向上させることができ、低車速時のハンドル戻り
時には粘性補償を行うことで、戻り速度を向上させて、
残留ハンドル角を小さくし、良好な戻り特性にすること
ができるという効果が得られる。
【0041】この場合、ファジー推論を用いることで、
戻り時の判別を精度良く行うことができ、また単純なフ
ァジールールの設定で効果的な粘性ゲインを変更が可能
である他、速度の符号に応じた摩擦の補償などを簡単な
ルールの追加で行うことができ、機能アップを図り易い
という利点がある。これは、以下に、ファジールールの
変形例として説明する。
【0042】次に、図8はファジー推論部40における
ファジィルールの第1の変形例を示す図である。ただ
し、図8(a)は低車速のとき、図8(b)は高車速の
ときである。この第1の変形例では、操舵トルク、舵角
速度および車速を入力パラメータとしており、式を用い
て表すと、次のようになる。
【0043】ルールはいわゆるIF、THEN(もし、
ならば)の形式で表現される。 R1.IF トルク=PL AND 舵角速度=NS THEN ファジー出力=NL(負方向に大きい) R2.IF トルク=PS AND 舵角速度=NS THEN ファジー出力=NS(負方向に小さい)
【0044】図8(a)に示すファジィルールR1は、
「もし、操舵トルクが正方向に大きく、かつ舵角速度が
負方向に小さい場合にはファジー出力は負方向に大きい
(すなわち、粘性ゲインが負方向に大きい)。」という
意味である。
【0045】また、ファジィルールR2は、「もし、操
舵トルクが正方向に小さく、かつ舵角速度が負方向に小
さい場合にはファジー出力は負方向に小さい(すなわ
ち、粘性ゲインが負方向に大きい)。」という意味であ
る。以下、他のルールも同様の手法で判断される。
【0046】図8(a)に示すファジィルールは低車速
に対応し、いずれもハンドル1の戻り時に粘性ゲインを
減少(補償)してハンドル1の戻りを良くするようにな
っている。なお、ハンドル1の戻り時にはトルクと舵角
速度とは、符号が逆になっている。また、ハンドル1の
中立付近では粘性制動をかけて安定化するようになって
いる。一方、図8(b)に示すファジィルールは高車速
に対応し、ハンドル1の中立付近で粘性制動をかけて安
定化するようになっている。
【0047】この第1の変形例においても、操舵トルク
と舵角速度を操舵状態検出の入力パラメータとしている
ため、上記実施例の場合と同様に非線形できめ細かな制
御を行うことができ、特に高車速時のハンドル手放し時
には、粘性制動をかけて収斂性を向上させることがで
き、低車速時のハンドル戻り時には粘性補償を行うこと
で、戻り速度を向上させて、残留ハンドル角を小さく
し、良好な戻り特性にすることができるという効果が得
られる。
【0048】次に、図9はファジー推論部40における
ファジィルールの第2の変形例を示す図である。この第
2の変形例では、舵角と舵角速度を入力パラメータとし
ており、式を用いて表すと、次のようになる。
【0049】ルールはいわゆるIF、THEN(もし、
ならば)の形式で表現される。 R1.IF 舵角=PL AND 舵角速度=NS THEN ファジー出力=NL(負方向に大きい) R2.IF 舵角=PS AND 舵角速度=NS THEN ファジー出力=NS(負方向に小さい)
【0050】ファジィルールR1は、「もし、舵角が正
方向に大きく、かつ舵角速度が負方向に小さい場合には
ファジー出力は負方向に大きい(すなわち、粘性ゲイン
が負方向に大きい)。」という意味である。
【0051】また、ファジィルールR2は、「もし、舵
角が正方向に小さく、かつ舵角速度が負方向に小さい場
合にはファジー出力は負方向に小さい(すなわち、粘性
ゲインが負方向に小さい)。」という意味である。以
下、他のルールも同様の手法で判断される。
【0052】図9(a)に示すファジィルールは低車速
に対応し、いずれもハンドル1の戻り時に粘性ゲインを
減少(補償)してハンドル1の戻りを良くするようにな
っている。一方、図9(b)に示すファジィルールは高
車速に対応し、ハンドル1の中立付近で粘性制動をかけ
て安定化するようになっている。
【0053】この第2の変形例においても、舵角と舵角
速度を操舵状態検出の入力パラメータとしているため、
上記実施例の場合と同様に非線形できめ細かな制御を行
うことができ、特に高車速時のハンドル手放し時には、
粘性制動をかけて収斂性を向上させることができ、低車
速時のハンドル戻り時には粘性補償を行うことで、戻り
速度を向上させて、残留ハンドル角を小さくし、良好な
戻り特性にすることができるという効果が得られる。
【0054】なお、上記実施例ではファジー推論を行う
ファジー推論部40を実際上はマイクロコンピュータを
用いたソフトウエアによって実現しているが、例えばフ
ァジーチップを用いてハード的に実現してもい。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、ハンドル手放し時の粘
性ゲインをファジー推論によって決定しているので、非
線形できめ細かな制御を行うことができ、特に高車速時
のハンドル手放し時には、粘性制動をかけて収斂性を向
上させることができ、低車速時のハンドル戻り時には粘
性補償を行うことで、戻り速度を向上させて、残留ハン
ドル角を小さくし、良好な戻り特性にすることができ、
運転フィーリングを向上できるという効果が得られる。
【0056】また、アシスト制御にファジー推論を用い
ているので、戻り時の判別を精度良く行うことができ、
さらに単純なファジールールの設定で効果的な粘性ゲイ
ンを変更が可能である他、速度の符号に応じた摩擦の補
償などを簡単なルールの追加で行うことができ、機能ア
ップを図り易いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の
一実施例の機能的ブロック図である。
【図2】同実施例のパワーステアリング機械系の一例を
示す図である。
【図3】同実施例のアシストトルクの特性を示す図であ
る。
【図4】同実施例のファジー推論で用いられるメンバー
シップ関数を示す図である。
【図5】同実施例のファジー推論で用いられるファジー
ルールを示す図である。
【図6】同実施例の低車速時の制御の波形を示す図であ
る。
【図7】同実施例の高車速時の制御の波形を示す図であ
る。
【図8】同実施例のファジー推論で用いられるファジー
ルールの第1の変形例を示す図である。
【図9】同実施例のファジー推論で用いられるファジー
ルールの第2の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 操舵ハンドル 6 モータ 11 操舵トルクセンサ(操舵トルク検出手段) 12 車速センサ(車速検出手段) 20 電流制御部 33 舵角速度センサ(操舵状態検出手段) 40 ファジー演算部(粘性補正演算手段) 41 舵角加速度センサ(操舵状態検出手段) 50 制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B62D 117:00 119:00 137:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操舵系に連結され、操舵補助トルクを発
    生するモータと、 操舵系の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、 車速を検出する車速検出手段と、 前記操舵トルク検出手段および車速検出手段の出力に基
    づいて前記モータの駆動を制御する制御手段と、 を備えた電動式パワーステアリング装置において、 前記操舵系の操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、 前記操舵トルク、前記車速および該操舵状態検出手段に
    よって検出された操舵系の操舵状態のうち、操舵状態を
    含む少なくとも2つのパラメータに基づいて所定のファ
    ジールールに従ってファジー推論を行い、ステアリング
    の戻り状態に応じた粘性補正値を演算する粘性補正演算
    手段とを設け、 前記制御手段は、粘性補正演算手段の演算値に基づいて
    ステアリング戻り時における前記モータの駆動制御値を
    補正することを特徴とする電動式パワーステアリング装
    置。
  2. 【請求項2】 前記操舵状態検出手段は、操舵系の操舵
    角を検出する操舵角検出手段、操舵系の舵角速度を検出
    する舵角速度検出手段のうち少なくとも1つを含み、 前記粘性補正演算手段は、前記車速、操舵トルク、操舵
    トルクの微分値、操舵角、舵角速度のうちの少なくとも
    2つ以上のパラメータをファジー入力としてファジー推
    論を行い、ステアリングの戻り状態に応じた粘性補正値
    を演算することを特徴とする請求項1記載の電動式パワ
    ーステアリング装置。
JP4237092A 1992-01-30 1992-01-30 電動式パワーステアリング装置 Pending JPH05208682A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019209788A (ja) * 2018-06-01 2019-12-12 株式会社ジェイテクト 操舵制御装置

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