JPH05205857A - シーズヒータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 シース(4) 内部に、発熱体(1) と絶縁粉末材
(2) とを有する。発熱体(1) は、空気が浸透可能な耐熱
性絶縁材の長尺体(12)に発熱線(11)を巻回したものであ
る。発熱体(1) の両端部に、発熱線(11)に電圧を印加
し、かつシース(4) の外部から長尺体(12)を介して発熱
線(11)に空気供給可能な電極(3) を接続する。 【効果】 発熱線の全長に渡って略均一に空気を供給で
き、シース内部の減圧がないので、発熱線の断線や絶縁
粉末材の絶縁劣化が抑制される。また、同様に発熱線周
辺の絶縁粉末材の温度上昇が緩和されるので、さらに絶
縁粉末材の絶縁劣化が抑制される。このため、発熱線が
断線してもスパークが発生しないので、シースが溶断さ
れない。したがって、長寿命で、安全性の優れるものが
得られる。また、発熱線は長尺体に巻回されているの
で、コイルピッチのずれ等の無い品質の均一なものが得
られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、家電製品や工業用品
に使用される高温用のシーズヒータに関する。

【０００２】

【従来の技術】シーズヒータは、電気ストーブ、オーブ
ントースタ等の家電製品や電気炉等の工業製品等の加熱
部品として使用されている。また、シーズヒータは、そ
の発熱性能、簡便性等の理由により広く利用されてい
る。上記シーズヒータは、細長い金属パイプ製のシース
内に、螺旋状に形成された発熱線を挿通してマグネシア
（ＭｇＯ）を主成分とする絶縁粉末材を充填したもので
ある。発熱線の両端は、電極棒が接続されている。シー
スの両端部は、低融点ガラスまたはシリコン樹脂等の耐
熱性樹脂で封口されており、シースの両端部を低融点ガ
ラスで封口したものは、シース内部が密封される完全封
口タイプのシーズヒータが得られる。これに対して、シ
ースの両端部を耐熱性樹脂で封口したものは、シース内
部が密封されない不完全封口タイプのシーズヒータが得
られる。不完全封口タイプのシーズヒータは、未使用放
置期間中に絶縁粉末材が吸湿して絶縁抵抗が低下するた
め、内部温度が上昇し絶縁抵抗が回復するまでの数分間
要するという欠点があるものの、完全封口タイプのシー
ズヒータに比べ発熱線の断線寿命が比較的長いという利
点がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記不
完全封口タイプ、完全封口タイプのシーズヒータは、と
もに発熱線が断線した場合に、シースが溶断を起こし安
全性に欠けるという問題があった。上記不完全封口、完
全封口のいずれのタイプのシーズヒータも、シースの溶
断は、以下のようにして起こる。

【０００４】即ち、シーズヒータが高温に発熱すると、
発熱線とシース内部の酸素および窒素とが反応して、シ
ース内部の空気が消費される。この場合、不完全封口タ
イプのシーズヒータでも、シース内部への空気の供給が
不十分であるので、シースの中央部まで空気が均等に供
給されない。したがって、完全封口タイプはもちろん、
不完全封口タイプのシーズヒータでも、シース内部が減
圧状態になり、発熱線の金属成分であるクロム元素等が
蒸発する。蒸発したクロム元素等は、シース内部に充填
されている絶縁粉末材の空隙間に拡散される。すると、
このクロム元素等にて絶縁粉末材が還元される。このた
め、絶縁粉末材が絶縁劣化されることになる。また、発
熱線の金属成分が蒸発し続けると、発熱線が痩せ細り断
線に到る。このように、絶縁粉末材が絶縁劣化された状
態で、発熱線が痩せ細ったり断線したりすると、この部
分が局部過熱状態になったり、スパークが発生したりし
て、シースが溶断されることになる。

【０００５】また、例えば、シーズヒータの表面温度が
８００℃程度ときは、発熱線周辺の絶縁粉末材は９００
℃以上もの温度になっている。このため、発熱線周辺の
絶縁粉末材は、特に高温度になり絶縁劣化がより促進さ
れるという問題があった。一方、シース内に発熱線を挿
通して絶縁粉末材を充填する際に、発熱線のコイルピッ
チがずれたり、発熱線がセンター線より偏ったりする場
合がある。この場合、当該部分が局部過熱状態になり易
く発熱線の断線がより促進されるとともに、絶縁粉末材
の絶縁劣化がより促進されるという問題があった。

【０００６】このようにして、シースが溶断したシーズ
ヒータは、外部に絶縁粉末材が飛散したり、スパークが
発生したりして火災等を起こす虞があり、安全性に欠け
るという問題があった。そこで、この発明の目的は、発
熱線の痩せ細りや絶縁粉末材の絶縁劣化を抑制するとと
もに品質の均一性を向上させることで、長寿命、かつ、
安全性の優れるシーズヒータを提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、この発明のシーズヒータの構成は、シース内部に、
絶縁性および耐熱性を有し、かつ、空気が浸透可能な長
尺体に発熱線が巻回された発熱体と、絶縁粉末材とを有
しており、上記発熱体の両端部に発熱体に電圧を印加す
るとともに、シースの外部から上記長尺体を介して発熱
線周辺に空気を供給する電極を接続してあることを特徴
とするものである。

【０００８】

【作用】上記構成によれば、電極および長尺体を介し
て、発熱線の全長に渡って略均一に空気を供給すること
ができ、発熱線と空気との反応によるシース内部の減圧
が防止されるので、発熱線の蒸発が抑制され、断線寿命
を延ばすことができる。また、発熱線の蒸発が抑制され
るので、同時に絶縁粉末材の還元も防止され、絶縁粉末
材の絶縁劣化を抑制することができる。さらに、発熱線
の全長に渡って供給される空気にて、発熱線周辺の絶縁
粉末材が放冷されるので、この絶縁粉末材の温度上昇が
緩和され、絶縁劣化をさらに抑制することができる。

【０００９】また、発熱線は長尺体に巻回されているの
で、シース内部に絶縁粉末材を充填する際における、発
熱線のコイルピッチのずれやセンター線からの偏り等を
防止することができる。

【００１０】

【実施例】以下に、この発明の実施例を、図面を参照し
ながら詳細に説明する。図１は、この発明の一実施例の
シーズヒータを示す長手方向の断面図である。図１を参
照して、この発明のシーズヒータは、細長いパイプ形状
に形成された金属製のシース４内部に、発熱体１と絶縁
粉末材２とを有する。

【００１１】上記発熱体１は、絶縁性および耐熱性を有
し、かつ、微小の空気が浸透可能な管状の長尺体１２
と、この長尺体１２にニクロム線等の発熱線１１が規則
正しく巻回されたものである。長尺体１２としては、例
えば、セラミックファイバー、グラスファイバーを束ね
たもの、これらの管状形成物、碍子管、その他の耐熱性
絶縁材からなる多孔質物の棒状、管状のもの等、微小の
空気をシース４の内部に供給できるものであれば、種々
の材質、形状のものを採用することができる。この発熱
体１は、シース４の長手方向に沿ってシース４内部に挿
通されている。このシース４内部の空隙間に、発熱体１
とシース４との絶縁性を確保するためにマグネシア（Ｍ
ｇＯ）を主成分とする上記絶縁粉末材２が充填されてい
る。また、発熱体１の両端部は、発熱線１１に電圧を印
加するとともに長尺体１２を介して発熱線１１に空気を
供給するための導電性の電極パイプ３が接続されてい
る。上記発熱体１が挿通され、絶縁粉末材２が充填され
たシース４の両端部は、低融点ガラス５にて封止されて
いる。この低融点ガラス５にて封止されたシース４の両
端部は、さらに絶縁碍子蓋６によって覆われている。

【００１２】以上の構成を有する、上記実施例のシーズ
ヒータは、電極パイプ３と長尺体１２を介して、略均一
に発熱線１１の全長に渡って空気を供給でき、発熱線１
１にて空気が消費されてシース４内部が減圧されること
もないので、発熱線１１の蒸発が抑制され、断線寿命を
延ばすことができる。また、シース４内部の減圧に起因
する発熱線１１の蒸発が抑制されるので、同時に発熱線
１１の金属成分による絶縁粉末材２の還元も防止され、
絶縁粉末材２の絶縁劣化が抑制される。さらに、発熱線
１１全長に渡って供給される空気によって、発熱線１１
周辺の絶縁粉末材２が放冷されるので、発熱線１１周辺
の絶縁粉末材２の温度上昇が緩和され、さらに絶縁劣化
が抑制される。これにより、発熱線１１が断線した場合
でも、発熱線１１とシース４との間にスパークが発生す
る位まで、絶縁粉末材２が絶縁劣化されていないので、
シース４が溶断されることもない。

【００１３】また、発熱体１は長尺体１２に発熱線１１
が巻回されたものからなるので、絶縁粉末材２の充填時
における、発熱線１１のコイルピッチずれやセンター線
の偏り等を防止でき、品質の均一なものが得られる。し
たがって、品質均一、長寿命、かつ、安全性の優れたシ
ーズヒータが得られる。

【００１４】なお、上記電極パイプ３は、導電性金属パ
イプや多孔質材料の表面に導電材料をコーティングした
もの等、発熱線１１に、電圧を印加するとともにシース
４外部から空気を供給できるものであれば、棒状のもの
等種々のものを使用することができる。また、上記シー
ス４の両端部の封止は、低融点ガラス５を使用している
が、シリコン樹脂やフッ素樹脂等に代表される耐熱性樹
脂を使用しても良く、特に何も封止しない無封口であっ
ても良い。その他、この発明の要旨を変更しない範囲
で、種々の設計変更を施すことが可能である。

【００１５】

【発明の効果】以上のように、この発明のシーズヒータ
によれば、電極と長尺体を介して、発熱線の全長に渡っ
て空気が略均一に供給されて、発熱線と空気の反応に起
因するシース内部の減圧が防止されるので、発熱線の成
分元素の蒸発が抑制され、断線寿命を延ばすことができ
る。また、シース内部の減圧による発熱線の蒸発が抑制
されることから、同時に発熱線の成分元素による絶縁粉
末材の還元も防止されので、絶縁粉末材の絶縁劣化が抑
制される。さらに、発熱線全長に渡って供給される空気
によって、発熱線周辺の絶縁粉末材が放冷されるので、
この絶縁粉末材の温度上昇が緩和され、さらに絶縁劣化
が抑制される。このため、発熱線が断線したときでも、
発熱線とシースとの間にスパークが発生する位まで、絶
縁粉末材が絶縁劣化されていないので、シースが溶断さ
れることもない。

【００１６】また、発熱体は長尺体に発熱線が巻回され
たものからなるので、絶縁粉末材の充填による、発熱線
のコイルピッチのずれやセンター線の偏り等が防止さ
れ、品質の均一なものが得られる。したがって、品質均
一、長寿命、かつ、安全性の優れたシーズヒータが得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例に係るシーズヒータを示す
断面図である。

【符号の説明】

１ 発熱体 １１ 発熱線 １２ 長尺体 ２ 絶縁粉末材 ３ 電極パイプ ４ シース

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シース(4) 内部に、絶縁性および耐熱性を
   有し、かつ、空気が浸透可能な長尺体(12)に発熱線(11)
   が巻回された発熱体(1) と、絶縁粉末材(2) とを有して
   おり、上記発熱体(1) の両端部に、発熱線(11)に電圧を
   印加するとともにシース(4)の外部から上記長尺体(12)
   を介して発熱線(11)周辺に空気を供給する電極(3) を接
   続してあることを特徴とするシーズヒータ。