JPH05203847A - 光ファイバ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 光ファイバに設けられる樹脂被覆層の最外層
に表面滑り性を付与し、粘着を防止する。 【構成】 ２次被覆層３などの最外層の樹脂被覆層にフ
ッ素樹脂などの摩擦係数の小さい樹脂の微粉末を分散さ
せる。樹脂微粉末の粒径は１０μｍが好ましく、その配
合量は２５重量％以下が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバ心線，光フ
ァイバテープ心線，光ファイバコードなどの樹脂被覆が
施された光ファイバに関する。

【０００２】

【従来の技術】光ファイバ裸線の外周には、機械的保
護，微小曲げによる伝送損失の低減などの目的で樹脂の
被覆が１層またはそれ以上施され、光ファイバ素線ある
いは光ファイバ心線とされる。また、複数の光ファイバ
素線を共通の樹脂被覆層で被覆したテープ心線も知られ
ている。このような樹脂被覆層をなす樹脂としては、ウ
レタンアクリレート系などの紫外線硬化樹脂やシリコー
ン樹脂が主に使用されている。

【０００３】しかしながら、これらの紫外線硬化樹脂や
シリコーン樹脂では、その硬化後においても表面に粘着
性が残り、この粘着性によって光ファイバ素線あるいは
心線間、光ファイバ素線あるいは心線とボビンとの間、
光ファイバ心線とケーブル構成材料との間などにおいて
粘着性が生じ、繰り出し性が悪くなったり、局部的な応
力が生じ伝送損失が増加するなどの問題があった。

【０００４】そのため、従来は、滑り性を良くするた
め、例えばタルクなどの微粉末を最外層の樹脂被膜層表
面に散布する方法が取られている。しかし、タルクなど
の微粉末を散布する方法では、微粉末を樹脂被覆層上に
均一に散布することが困難であり、また散布工程におい
て粉塵が生じやすく、後工程においては散布した微粉末
が飛散して粉塵が発生するなどの問題点があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】よって、この発明にお
ける課題は、タルクなどの微粉末を散布するなどの散布
するなどの方法によらずとも良好な表面滑り性を有する
樹脂被覆を有する光ファイバを得ることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】かかる課題は、光ファイ
バの樹脂被覆の最外層にフッ素樹脂などの低摩擦係数の
樹脂微粉末を分散させることで解決される。

【０００７】以下、この発明を詳しく説明する。図１
は、この発明の一例としての単心光ファイバ心線を示す
ものである。光ファイバ裸線１の外周にはウレタンアク
リレータ系やエポキシアクリレート系の紫外線硬化樹脂
からなる１次被覆層２が設けられて、光ファイバ素線と
され、さらにこの１次被覆層２上には同様の紫外線硬化
樹脂に樹脂微粉末が分散されてなる２次被覆層３が設け
られて光ファイバ心線となっている。

【０００８】上記樹脂微粉末としては、例えば、ポリ四
フッ素化エチレン（ＰＴＦＥ），パーフルオロアルキシ
フッ素（ＰＦＡ），四フッ化エチレン・六フッ化プロピ
レン共重合体（ＦＥＰ），四フッ化エチレン・六フッ化
プロピレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体
（ＥＰＥ），テトラフルオロエチレン・エチレン共重合
体（ＥＴＦＥ）などのフッ素樹脂，ベンゾグアナミン樹
脂，ポリエチレン樹脂などの摩擦係数の低い樹脂の粒径
が１０μｍ以下、好ましくは５μｍ以下の微粉末が用い
られる。粒径が１０μｍを越えると分散性が低下し、被
覆層の外観が悪化して不都合となる。また、この樹脂微
粉末の配合量は被覆層をなす樹脂中の２５重量％未満が
好ましい。２５重量％を越えると被覆層の凝集力が低下
して、機械的特性等が低下する。

【０００９】このような２次被覆層３を設けるには、未
硬化状態の液状紫外線硬化樹脂に所定量の樹脂微粉末を
添加し、混合したものを常法により塗布し、紫外線照射
を行なって硬化させればよい。上記樹脂微粉末は粒径が
小さいので紫外線硬化樹脂液に均一に分散し、粘度の上
昇もわずかであるので、通常の塗布ダイスにより容易に
塗布できる。また、硬化後の２次被覆層３には樹脂微粉
末が均一に分散した状態となり、その表面にも一部の樹
脂微粉末が露出し、これによって表面に良好な滑り性が
付与される。

【００１０】図２は、他の実施例を示すもので、このも
のは多心の光ファイバテープ心線の例である。光ファイ
バ裸線１に紫外線硬化樹脂からなる１次被覆層２が設け
られた光ファイバ素線が５本平行に並べられ、上記樹脂
微粉末が添加された紫外線硬化樹脂からなる２次被覆層
４がこれら素線に共通に設けられて光ファイバテープ心
線となっている。

【００１１】このような光ファイバ心線や光ファイバテ
ープ心線においては、２次被覆層３，４に上記樹脂微粉
末が分散されているので、２次被覆層３，４表面は良好
な滑り性を具備し、繰り出し性が良く、繰り出し時に局
部的な応力が加わるようなことがない。また、後工程で
樹脂微粉末が飛散し、周囲を汚すこともない。

【００１２】また、樹脂被覆層をなす樹脂としては、紫
外線硬化樹脂に限らず、シリコーン樹脂，ナイロン樹脂
などの光ファイバの樹脂被覆に用いられている樹脂も同
様に用いられる。また、上記樹脂微粉末が添加される被
覆層としては２次被覆層に限られず、１次被覆層であっ
てもよく、また２次被覆層上に設けられるシースなどで
あってもよい。

【００１３】以下、実施例を示して具体的に説明する。 （実施例１）外径１２５μｍの石英系光ファイバの外周
にウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂を外径２００
μｍになるように施し、さらに平均粒径１μｍのポリ四
フッ化エテレン樹脂の微粉末を２０重量％の割合で混合
したウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂を外径２５
０μｍになるように施した。この光ファイバ心線を１０
０ｍ／ｍｉｎで繰り出し、張力変動を調べたところ張力
変動は３％以下であり、ポリ四フッ化エチレン樹脂の微
粉末を混合しないで作製した光ファイバ心線の張力変動
２０％に比べて良好な結果が得られた。

【００１４】（実施例２）外径１２５μｍの石英系光フ
ァイバの外周にウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂
を２層に被覆して外径２５０μｍとし、この光ファイバ
心線を４本並べて、ポリ四フッ化エチレン樹脂の微粉末
（平均粒径１μｍ）を１５重量％混合したウレタンアク
リレート系紫外線硬化樹脂を被覆して、光ファイバテー
プ心線を製造した。この光ファイバテープ心線と前記微
粉末を混合しない樹脂で被覆した光ファイバテープの心
線の繰り出し性を調べたところ、実施例１と同様に前記
微粉末を混合した樹脂で製造した光ファイバテープ心線
の繰り出し性は微粉末を混合しないで製造した光ファイ
バテープ心線に比べて顕著に優れた結果を示した。ま
た、この光ファイバテープ心線を使用して製造した光フ
ァイバケーブルの伝送損失を調べたところ、従来と変わ
らない良好な結果が得られた。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように、この発明の光ファ
イバは最外層の樹脂被膜層に低摩擦係数の樹脂微粉末が
分散されてなるものであるので、その最外層樹脂被覆層
は高い表面滑り性を有するものとなる。このため、繰り
出し性が良くなり、他の部材に粘着して局部的な応力が
生ずこともない。さらに、従来のタルクなどの粉末を散
布するものに比較して、表面滑り性が安定でかつ長持ち
し、粉末が飛散することもないなどの結果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例を示す概略断面図である。

【図２】 本発明の他の実施例を示す概略断面図であ
る。

【符号の説明】

３…２次被覆層、４…２次被覆層。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 浩一 千葉県佐倉市六崎1440番地 藤倉電線株式 会社佐倉工場内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 最外層の樹脂被膜層に低摩擦係数の樹脂
   微粉末が分散されてなる光ファイバ。
2. 【請求項２】 上記樹脂微粉末の粒径が１０μｍ以下で
   ある請求項１記載の光ファイバ。
3. 【請求項３】 上記樹脂微粉末の配合量が２５重量％以
   下である請求項１記載の光ファイバ。