JPH05202923A - 内燃機関用コンロッド - Google Patents

内燃機関用コンロッド

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JPH05202923A
JPH05202923A JP1346092A JP1346092A JPH05202923A JP H05202923 A JPH05202923 A JP H05202923A JP 1346092 A JP1346092 A JP 1346092A JP 1346092 A JP1346092 A JP 1346092A JP H05202923 A JPH05202923 A JP H05202923A
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JP
Japan
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large end
half body
connecting rod
young
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Pending
Application number
JP1346092A
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English (en)
Inventor
Haruo Shiina
治男 椎名
Fumito Usuzaka
史人 臼坂
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼結Al合金より構成された軽量で、且つ高
強度な内燃機関用コンロッドを提供する。 【構成】 コンロッド1は、桿部2の一端に、雌ねじ孔
8を形成された第1大端部半体31 を一体に有するコン
ロッド本体5と、第1大端部半体31 に2本のボルト6
により締結された第2大端部半体32 とよりなる。コン
ロッド本体5および第2大端部半体32 は焼結Al合金
より構成される。第1大端部半体31 の破壊靱性値K1C
は第2大端部半体32 の破壊靱性値K1Cよりも大に設定
され、また第2大端部半体32 のヤング率は第1大端部
半体31 のヤング率よりも大に設定される。このように
構成することによって、雌ねじの谷底部における疲労破
壊強度を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関用コンロッド、
特に、桿部の一端に第1大端部半体を一体に有するコン
ロッド本体と、第1大端部半体にボルトまたはボルトお
よびナットにより締結される第2大端部半体とよりなる
コンロッドに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、自動車用内燃機関は高回転高出力
化の傾向にあり、摩擦力低減、軸受負荷軽減等の要請か
らコンロッドには軽量、且つ高強度化が強く望まれてい
る。
【0003】従来、このような要望を満たすコンロッド
としては、チタン合金より構成されたものが知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらチタン合
金は高価であり、一般自動車用内燃機関のコンロッド構
成材料としては適切ではない。
【0005】そこで、本発明者等は軽量、且つ比較的安
価なコンロッド構成材料として、急冷凝固Al合金粉末
を用いた焼結Al合金を選択し、この焼結Al合金より
なるコンロッドについて種々考察を行った。
【0006】この種コンロッドを製造する場合、コンロ
ッド本体および第2大端部半体の製作過程では熱間押出
し加工が採用される。また第2大端部半体をコンロッド
本体の第1大端部半体に締結する場合には、第1大端部
半体の雌ねじ孔に第2大端部半体のボルト通し孔を貫通
したボルトを螺着するか、または第1および第2大端部
半体のボルト通し孔を貫通したボルトに、第2大端部半
体側よりナットを螺着する、といった手段が採用され
る。
【0007】ところが、コンロッド本体の熱間押出し加
工工程では、その押出し方向が第1大端部半体の中心線
方向に設定されるため、押出し比を大きくとるには大径
の素材が必要となるが、これは押出し機からの制約があ
るため困難であり、したがって押出し比は小さくならざ
るを得ない。
【0008】このような状況下で複数のコンロッド本体
を製作すると、それらの第1大端部半体は熱間押出し加
工後の状態で使用に供されるため、押出し比が小さいこ
とに起因して切欠き部における疲労破壊強度のばらつき
が大きくなる。この疲労破壊強度は第1大端部半体の破
壊靱性値K1Cによって影響を受け、また第2大端部半体
のヤング率も第1大端部半体の疲労破壊強度に影響を与
える。
【0009】その結果、第1大端部半体の破壊靱性値K
1Cおよび第2大端部半体のヤング率が適正でない場合に
は、第1大端部半体における雌ねじの谷底部、またはボ
ルト頭座面の隅角部に亀裂が発生し易い、ということが
判明した。
【0010】本発明は前記に鑑み、第1大端部半体の破
壊靱性値K1Cと第2大端部半体のヤング率とを適正に設
定して軽量で、且つ高強度な前記コンロッドを提供する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、桿部の一端に
第1大端部半体を一体に有するコンロッド本体と、前記
第1大端部半体にボルトまたはボルトおよびナットによ
り締結される第2大端部半体とよりなる内燃機関用コン
ロッドにおいて、前記コンロッド本体および第2大端部
半体を焼結Al合金より構成し、前記第1大端部半体の
破壊靱性値K 1Cを前記第2大端部半体の破壊靱性値K1C
よりも大に設定し、また前記第2大端部半体のヤング率
を前記第1大端部半体のヤング率よりも大に設定したこ
とを特徴とする。
【0012】
【実施例】図1において、内燃機関用コンロッド1は焼
結Al合金より構成され、桿部2の一端に第1大端部半
体31 を、また他端に小端部4をそれぞれ一体に有する
コンロッド本体5と、第1大端部半体31 に2本のボル
ト6により締結された第2大端部半体32 とよりなり、
両半体31 ,32 によって大端部7が構成される。この
場合、第1大端部半体31 に雌ねじ孔8が、また第2大
端部半体32 にボルト通し孔9がそれぞれ形成される。
【0013】コンロッド本体5の製作に当っては、急冷
凝固Al合金粉末の製造、圧粉体の成形、脱ガスを含む
素材製作工程またはスプレイデポジション法(例えば、
オスプレイ法)の適用下、急冷凝固Al合金粉末よりな
る素材の製作工程→熱間押出し加工(異形押出し加工)
工程→桿部2の鍛造加工工程→機械加工工程→第2大端
部半体32 との合せ加工工程、といった諸工程が採用さ
れる。
【0014】また第2大端部半体32 の製作に当って
は、急冷凝固Al合金粉末の製造、圧粉体の成形、脱ガ
スを含む素材製作工程またはスプレイデポジション法の
適用下、急冷凝固Al合金粉末よりなる素材の製作工程
→熱間押出し加工(異形押出し加工)工程→機械加工工
程→コンロッド本体5との合せ加工工程、といった諸工
程が採用される。
【0015】コンロッド1において、第1大端部半体3
1 の破壊靱性値K1Cは第2大端部半体32 の破壊靱性値
1Cよりも大に設定され、また第2大端部半体32 のヤ
ング率は第1大端部半体31 のヤング率よりも大に設定
されている。
【0016】破壊靱性値K1Cは、雌ねじの谷底部、とい
った切欠き部における疲労破壊強度に影響を与える因子
であり、第1大端部半体31 の破壊靱性値K1Cを前記の
ように設定すると、第1大端部半体31 の切欠き部にお
ける疲労破壊強度を向上させることができる。これは第
1大端部半体31 の許容応力が第2大端部半体32 の許
容応力よりも高くなることに起因する。
【0017】また第1大端部半体31 、したがってコン
ロッド本体5の破壊靱性値K1Cを高めることは、鍛造加
工工程において桿部2の割れを防止する上で有効であ
り、また雌ねじ孔8の形成時、転造タップによる転造加
工率を上昇させてねじ山を高くすることができ、これに
よりボルト6の雄ねじとの引掛り率を大きく設定して雌
ねじの強度を向上させることができる。
【0018】前記のような諸効果を得るためには、第1
大端部半体31 における破壊靱性値K1Cは10MPa・
1/2 以上、好ましくは15MPa・m1/2 以上であ
る。この値K1Cが10MPa・m1/2 未満では、転造タ
ップの使用時に雌ねじにクラックが入り易く、そのため
雌ねじを切削タップにより形成せざるを得ないが、切削
タップによる雌ねじは転造タップの場合に比べて面粗さ
が粗く、これに起因して雌ねじ孔部分の疲労強度が低下
する。第2大端部半体32 の破壊靱性値K1Cは、通常9
MPa・m1/2 程度である。
【0019】また第2大端部半体32 のヤング率は第1
大端部半体31 の疲労破壊強度に影響を与える因子であ
り、そのヤング率を前記のように設定すると、第2大端
部半体32 の剛性が向上して第1大端部半体31 の変形
が抑制され、これにより雌ねじの谷底部といった切欠き
部への負荷が軽減されるので、第1大端部半体31 の切
欠き部における疲労破壊強度を向上させることができ
る。
【0020】このような効果を得るためには、第2大端
部半体32 のヤング率は95GPa以上であることが望
ましい。この値が95GPa未満では、第1大端部半体
1 のヤング率が通常70GPa程度であることから強
度向上効果が明瞭に現われない。
【0021】第2大端部半体32 のヤング率を高めるこ
とは、そのボルト通し孔9の径変化を抑制する上に有効
であり、このためにもヤング率は95GPa以上である
ことが望ましい。
【0022】また機関運転中の温度上昇や低温環境下で
の機関始動時における大端孔10の径変化に伴う異音、
振動等の発生防止上、第2大端部半体32 の熱膨脹係数
は第1大端部半体31 のそれよりも小さいことが望まし
い。通常、第1大端部半体3 1 の熱膨脹係数は、20〜
200℃において22×10-6/℃であり、この点から
第1大端部半体31 の熱膨脹係数は18×10-6/℃以
下に設定される。
【0023】以下、本発明について具体例を挙げて説明
する。 (a) 押出し比と破壊靱性値K1Cとの関係について 表1に示すAl合金組成の溶湯を用いて、スプレイデポ
ジション法の適用下、急冷凝固Al合金粉末よりなる素
材を製作した。スプレイデポジション法の実施に当って
は、溶湯をN2 ガス雰囲気中で、N2 ガスにより噴霧し
て粉末化し、その粉末を皿状板の上に堆積させて102
℃/secの冷却速度で急冷凝固させる、といった手段
を採用した。
【0024】
【表1】 素材に機械加工を施して直径80mmの丸棒を製作し、そ
の丸棒を用いて押出し温度350℃、押出し比2にて熱
間押出し加工を行い、直径56.5mmの押出し材を得
た。同様の方法によって、前記丸棒より押出し比10に
設定された直径25mmの押出し材を得た。
【0025】表2は、各押出し材における押出し比と破
壊靱性値K1Cとの関係を示す。破壊靱性値K1Cの測定
は、室温下で各5個の押出し材について行われた。
【0026】
【表2】 表2より、押出し比が小さい場合には、破壊靱性値K1C
のばらつき、したがって疲労破壊強度のばらつきが大き
くなることが判る。 (b) 破壊靱性値K1Cとヤング率について 表3に示す各種Al合金組成の溶湯を用いて、スプレイ
デポジション法の適用下、急冷凝固Al合金粉末よりな
る素材を製作し、次いでそれら素材を用いて押出し温度
390℃、押出し比12にて熱間押出し加工を行い、ヤ
ング率を異にする各種第2大端部半体32 を製作した。
表3において、合金EはJIS AC2B材に相当す
る。
【0027】
【表3】 また表1の合金Aを用いて、スプレイデポジション法に
よる素材の製作、それに次ぐ熱間押出し加工を経てコン
ロッド本体5を製作した。この場合、押出し温度は38
0℃、押出し比は3に設定された。
【0028】各コンロッド本体5と各第2大端部半体3
2 とを、図1に示すようにボルト6により締結して複数
のコンロッド1を製作し、各コンロッド1について、次
のような疲労試験を行った。即ち、コンロッド1に、室
温にて小端部4および大端部7を介し最大4500kgf
の引張り荷重を繰返して負荷し、第1大端部半体31
おける雌ねじの谷底部からの破壊までの負荷回数を測定
した。表4は疲労試験結果を示す。
【0029】
【表4】 表4から明らかなように、第1大端部半体31 の破壊靱
性値K1Cを、第2大端部半体32 のそれよりも高くなる
ように、13MPa・m1/2 に設定し、また第2大端部
半体32 のヤング率を、第1大端部半体31 のそれより
も高くなるように、95GPa以上に設定することによ
って、第1大端部半体31 の雌ねじにおける谷底部の疲
労破壊強度を向上させることができる。
【0030】表5は、コンロッド本体5に用いられる他
のAl合金の組成を示す。
【0031】
【表5】 表6は、表5の合金Fを用いて前記同様の方法で製作さ
れたコンロッド本体5と、表3の合金Dを用いて前記同
様の方法で製作された第2大端部半体32 とよりなるコ
ンロッド1についての前記同様の疲労試験結果を示す。
【0032】
【表6】 表6より、表4に比べて第1大端部半体31 の破壊靱性
値K1Cを増大させると、第1大端部半体31 の雌ねじに
おける谷底部の疲労破壊強度が一層向上することが判
る。 (c) 大端孔10の径変化と第2大端部半体32 のヤ
ング率との関係について 図2に示すように、表3の合金Eを用いて、前記と同様
の方法で第1大端部半体31 に相当する第1半環状部材
111 を製作し、また表3の各合金B〜Eを用いて、前
記と同様の方法で第2大端部半体32 に相当する第2半
環状部材112 を製作した。そして、第1および第2半
環状部材111 ,112 を第2半環状部材112 側より
2本のボルト12によって締結し、ボルト1本当りの軸
力を2500kgfから3500kgfに変化させたときの
大端孔10に相当する孔部13の直径変化率を求めたと
ころ、表7の結果が得られた。
【0033】
【表7】 図3は、表7の関係をグラフ化したものである。
【0034】表7、図3より、第2半環状部材112
したがって第2大端部半体32 のヤング率を向上させる
と、大端孔10の径変化を減少させ得ることが明らかで
あり、このような効果を得るためにも第2大端部半体3
2 のヤング率は95GPa以上であることが望ましい。
【0035】図4は、コンロッド1の他例を示し、この
コンロッド1においては、第1および第2大端部半体3
1 ,32 にそれぞれ2個のボルト通し孔14,15が形
成され、それらボルト通し孔14,15を第1大端部半
体31 側よりボルト16が貫通し、そのボルト16の雄
ねじ部17に第2大端部半体32 側よりナット18が螺
着されている。この場合、第1大端部半体31 にはボル
ト頭座面19が形成され、その隅角部20が切欠き部と
なる。
【0036】本発明は、この形式のコンロッド1にも適
用され、その軽量化および高強度化が達成される。この
場合、特に、第2大端部半体32 の熱膨脹係数を18×
10 -6/℃以下に設定すると、機関運転中の温度上昇に
伴いボルト16の軸力が増大しても、その雄ねじ部17
の破損を回避することができる。
【0037】熱間押出し加工により複数の押出し材を製
作した場合、それら押出し材が同一組成であっても、急
冷凝固Al合金粉末の難加工性に起因して、破壊靱性値
1Cは高いがヤング率の低いものと、ヤング率は高いが
破壊靱性値K1Cの低いものとが混在する。
【0038】このような場合には、破壊靱性値K1Cの高
いものをコンロッド本体用構成材料として、またヤング
率の高いものを第2大端部半体用構成材料として使い分
けることにより本発明に係るコンロッドを製作すること
ができる。押出し材からのコンロッド本体等の加工に
は、基本的には機械加工が適用される。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、焼結Al合金より構成
された第1および第2大端部半体の機械的特性を前記の
ように特定することによって、軽量で、且つ高強度であ
り、機関の高回転高出力化に十分に対応し得るコンロッ
ドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンロッドの一例を示す要部破断正面図であ
る。
【図2】大端孔の直径変化率の測定に用いられた部材の
正面図である。
【図3】第2半環状部材のヤング率と孔部の直径変化率
との関係を示すグラフである。
【図4】コンロッドの他例を示す要部破断正面図であ
る。
【符号の説明】
1 コンロッド 2 桿部 31 ,32 第1,第2大端部半体 5 コンロッド本体 6,16 ボルト 18 ナット

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 桿部(2)の一端に第1大端部半体(3
    1 )を一体に有するコンロッド本体(5)と、前記第1
    大端部半体(31 )にボルト(6)またはボルト(1
    6)およびナット(18)により締結される第2大端部
    半体(32 )とよりなる内燃機関用コンロッドにおい
    て、前記コンロッド本体(5)および第2大端部半体
    (32 )を焼結Al合金より構成し、前記第1大端部半
    体(31 )の破壊靱性値K1Cを前記第2大端部半体(3
    2 )の破壊靱性値K1Cよりも大に設定し、また前記第2
    大端部半体(32 )のヤング率を前記第1大端部半体
    (31 )のヤング率よりも大に設定したことを特徴とす
    る内燃機関用コンロッド。
JP1346092A 1992-01-28 1992-01-28 内燃機関用コンロッド Pending JPH05202923A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1602841A2 (en) 2004-05-31 2005-12-07 Nissan Motor Co., Ltd. Connecting rod for internal combustion engines
WO2015025576A1 (ja) * 2013-08-20 2015-02-26 日立オートモティブシステムズ株式会社 内燃機関用電動式空気流量制御装置

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