JPH0849033A - フレッティング疲労強度に優れたAl合金基複合材料 - Google Patents

フレッティング疲労強度に優れたAl合金基複合材料

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JPH0849033A
JPH0849033A JP7126892A JP12689295A JPH0849033A JP H0849033 A JPH0849033 A JP H0849033A JP 7126892 A JP7126892 A JP 7126892A JP 12689295 A JP12689295 A JP 12689295A JP H0849033 A JPH0849033 A JP H0849033A
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alloy
composite material
fatigue strength
weight
fretting
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JP7126892A
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English (en)
Inventor
Toshihiro Mori
敏洋 毛利
Satoru Ishihara
知 石原
Mikio Kondo
幹夫 近藤
Kazuhiko Ito
一彦 伊東
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】Al合金基複合材料における疲労強度、フレッ
ティング疲労強度のさらる向上を図る。 【構成】重量比で、少なくともSiを13%以上及び希
土類元素の1種以上を0.5〜4.0%含有するAl合
金粉末に、硬質補強材としてのセラミックス粒子を0.
5〜4.0%添加した混合物を熱間加工してなるAl合
金基複合材料である。希土類元素によりAl合金基材組
織を微細化するとともに、硬質補強材によりフレッティ
ング摩耗を抑えることができ、これによりAl合金基複
合材料における疲労強度、フレッティング疲労強度のさ
らなる向上を図ることが可能となる。また、希土類元素
及びセラミックス粒子の適当量の添加により高温塑性加
工性も向上する。アスペクト比が5以下の形状の硬質補
強材を用いれば、超塑性の発現による高温塑性加工性の
さらなる向上を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフレッティング疲労強度
に優れたAl合金基複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車や航空機などのエンジン材
料として、軽量化等の要請に応えるため、アルミニウム
(Al)合金が用いられている。例えば、ピストンやコ
ンロッドなどの内燃機関用部品に適用される耐熱性に優
れたAl合金として、AlーSiーFe系の急冷凝固A
l合金粉末を熱間加工した急冷凝固Al合金が知られて
いる。
【0003】ここで、内燃機関用コンロッドの大端部に
は、コンロッド軸受を介してクランクシャフトのクラン
クピンが装着される。そして、コンロッドの大端部に嵌
着されるコンロッド軸受の裏金とコンロッドとの間にお
いては、エンジンの高出力・高回転化に伴いフレッティ
ング疲労に対してより厳しい条件となってきている。こ
のため、コンロッド用材料のフレッティング疲労強度向
上が望まれている。なお、フレッティング疲労とは、金
属同士が押し付けられた状態で繰り返し荷重が加わる場
合に、両者間に微少な相対すべりが発生し、このときの
接触応力による応力集中や、発生した摩耗粉が堆積して
部分的に盛り上がり強い片当たり状態となることによる
応力集中などにより疲労破壊に至る現象である。
【0004】しかし、Al合金は鉄系合金と比較してフ
レッティング疲労強度が低いため、Al合金よりなるコ
ンロッドのフレッティング疲労強度は、コンロッドとし
てのフレッティング疲労強度の通常の耐久限度に比べて
大幅に低く、鉄系合金と比較してもその低下度合いが大
きい。このため、Al合金よりなるコンロッドは、鉄系
合金よりなるコンロッドと比較して、耐久性に問題があ
る。
【0005】そこで、Al合金のフレッティング疲労強
度を向上させる手段としては、本質的には合金組成によ
り疲労強度を向上させることが有効と考えられるが、そ
の他にSiCウィスカーやSiC粒子を複合させること
により、フレッティング疲労強度を向上させたAl合金
基複合材料の例などが知られている。例えば、日本金属
学会誌、第57巻、第11号(1993年)の1268
〜1274頁には、Al合金粉末にSiC粉末を重量比
で20%混合させた混合粉末をHIPで固化成形し、熱
間押出加工後、T6処理して得たAl合金基複合材料が
開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のA
l合金基複合材料によっても、疲労強度やフレッティン
グ疲労強度が十分ではなく、さらなる向上が望まれる。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、Al合
金基複合材料における疲労強度、フレッティング疲労強
度のさらなる向上を図ることを解決すべき技術課題とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)上記課題を解決する請求項1記載のフレッティン
グ疲労強度に優れたAl合金基複合材料は、重量比で、
少なくともSiを13%以上及び希土類元素の1種以上
を0.5〜4.0%含有するAl合金粉末と、硬質補強
材とを含む混合物を熱間加工してなることを特徴とする
ものである。
【0008】なお、希土類元素としては、La、Ce、
Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、Yb又はLuのランタノイドを挙げる
ことができ、複数種の添加も可能であることからコスト
面を考慮すれば比較的安価なミッシュメタルを用いるこ
とが好ましい。好適な態様において、上記硬質補強材
は、平均粒径:1〜5μmのセラミックス粒子であり、
重量比で、Al合金基複合材料全体に0.5〜4.0%
含まれる。
【0009】なお、セラミックス粒子の種類としては特
に限定されないが、SiC、Al23 、Si3 4
ZrO2 などを適宜用いることができる。また、セラミ
ックス粒子の代わりに、Si3 4 、SiC、Al2
3 −B23 などのウィスカを硬質補強材として使用す
ることも可能である。 (2)上記課題を解決する請求項3記載のフレッティン
グ疲労強度に優れたAl合金基複合材料は、重量比で、
少なくともSiを13%以上及び希土類元素の1種以上
を0.5〜4.0%含有するAl合金粉末と、アスペク
ト比が5以下の形状の硬質補強材とを含む混合物を熱間
加工してなることを特徴とするものである。
【0010】好適な態様において、上記硬質補強材は、
重量比で、Al合金基複合材料全体に0.5〜4.0%
含まれる。
【0011】
【作用】
(1)請求項1記載のAl合金基複合材料は、Al合金
粉末中に含まれた希土類元素の作用により、Al合金基
材組織を微細化することができ、これにより疲労強度の
向上を図ることが可能となる。また、Al合金基複合材
料中に分散される硬質補強材の作用により、フレッティ
ング摩耗を抑え、摩耗粉堆積によるフレッティング疲労
強度の低下を抑制する。そして、Al合金基複合材料中
に分散される硬質補強材のブリッジ効果により、Al合
金基材と相手材との直接接触面圧が下がり、相対すべり
発生におけるAl合金基材と相手材との凝着を抑制して
フレッティング摩耗、ひいては摩耗粉堆積を抑えること
ができ、これによりフレッティング疲労強度の向上を図
ることが可能となる。
【0012】さらに希土類元素は、上記作用の他に、熱
的に安定な化合物を形成して耐熱性を向上させるととも
に、熱間加工時の熱履歴によって起こるβ相などの晶出
物の粗大化を抑制して高温における塑性加工性を向上さ
せるという作用も奏する。Al合金粉末中の希土類元素
の添加量を、0.5〜4.0重量%と限定した理由は、
添加量が0.5重量%未満では前述の効果が十分でな
く、一方添加量が4.0重量%を越えると高温塑性加工
性が低下するからである。特に、限界据込率70%以上
の高温塑性加工性を確保するためには、希土類元素の添
加量を1.0〜3.0重量%とすることが好ましい。
【0013】硬質補強材として、平均粒径:1〜5μm
のセラミックス粒子を用い、その添加量を、重量比で、
Al合金基複合材料全体の0.5〜4.0重量%とした
場合は、上記硬質補強材による作用をより確実に発揮さ
せることが可能となる。セラミックス粒子の平均粒径が
1μm未満では、セラミック粒子同士が凝集しやすく疲
労強度を低下させる。一方、セラミックス粒子の平均粒
径が5μmを越えると、被削性が低下する。またセラミ
ックス粒子の添加量が0.5重量%未満では前述の硬質
補強材としての効果が十分でなく、一方4重量%を越え
ると高温塑性加工性が低下する。ただし、優れたフレッ
ティング疲労強度と限界据込率70%以上の高温塑性加
工性を同時に確保するためには、セラミック粒子の添加
量が1〜2.5重量%であることが特に好ましい。
【0014】なお、セラミック粒子に代えてSi
3 4 、SiC、Al2 3 −B2 3 などのウィスカ
を硬質補強材として使用することも可能であるが、この
場合フレッティングが問題となる面に対してウィスカの
配向が直角方向となることが好ましく、またセラミック
粒子に比べて被削性や塑性加工性が劣るため、その添加
量は0.5〜2重量%とすることが好ましい。
【0015】次に、Al合金粉末中に含まれるSiは、
Al合金基複合材料の熱膨張係数を低下させて鋼材の熱
膨張係数に近づける働きがある。すなわち、Al合金基
複合材料を例えば内燃機関用部品に適用する場合、鋼材
部品と組み合わせて用いられることが多く、Al合金基
複合材料の熱膨張係数を低下させて鋼材の熱膨張係数
(12×10-6/℃)に近づける方が好ましい。ここ
で、Al合金基複合材料の熱膨張係数が20×10-6
℃を越えると、Al合金基複合材料を内燃機関用部品に
適用することが困難となる。したがって、Al合金粉末
中に含まれるSiの添加量を13重量%以上として、A
l合金基複合材料の熱膨張係数が20×10 -6/℃以下
となるようにした。
【0016】また、Al合金粉末中に含まれるSiは、
上記作用の他に、Al中に固溶したり、あるいはAl、
Feとβ相(Al5 SiFe)を形成したりしてAl中
に均一分散されることにより、疲労強度や剛性を向上さ
せるという作用、効果も奏する。これらの効果は、添加
量15重量%以上で特に顕著となり、一方25重量%を
越えると高温塑性加工性が低下する。したがって、Al
合金粉末中のSiの添加量は、15〜25重量%とする
ことが特に好ましい。 (2)請求項3記載のAl合金基複合材料は、Al合金
粉末中に含まれた希土類元素の作用により、Al合金基
材組織を微細化することができ、これにより疲労強度の
向上を図ることが可能となる。
【0017】また、Al合金基複合材料中に分散される
硬質補強材の作用により、フレッティング摩耗を抑え、
摩耗粉堆積によるフレッティング疲労強度の低下を抑制
する。そして、Al合金基複合材料中に分散される硬質
補強材のブリッジ効果により、Al合金基材と相手材と
の直接接触面圧が下がり、相対すべり発生におけるAl
合金基材と相手材との凝着を抑制してフレッティング摩
耗、ひいては摩耗粉堆積を抑えることができ、これによ
りフレッティング疲労強度の向上を図ることが可能とな
る。
【0018】さらに希土類元素は、上記作用の他に、熱
的に安定な化合物を形成して耐熱性を向上させるという
作用も奏する。さらに、熱間加工時の熱履歴によって起
こるマトリックスの再結晶粒の粗大化及びSi相やβ相
などの化合物相の粗大化を抑制する。このため、マトリ
ックスの結晶粒が細かくなり、比較的高い歪速度で超塑
性が発現する。
【0019】Al合金粉末中の希土類元素の添加量を
0.5〜4.0重量%と限定した理由は、添加量が0.
5重量%未満では前述の効果が十分でなく、一方添加量
が4.0重量%を越えると高温塑性加工性が低下するか
らである。特に、限界据込率70%以上の高温塑性加工
性を確保するためには、希土類元素の添加量を1.0〜
3.0重量%とすることが好ましい。
【0020】また、Al合金基複合材料中に分散される
硬質補強材の形状は、アスペクト比が5以下であること
が必要である。アスペクト比が5を越えると、硬質補強
材の形状異方性が粒界すべりを妨げ、超塑性変形を阻害
する。したがって、Al合金基複合材料中に分散される
硬質補強材は、セラミックス粒子を用いることが好まし
い。セラミックスウイスカを用いてもよいが、その場合
には複合材料中のセラミックスウイスカをアスペクト比
が5以下となるように破砕されるように、熱間押出比を
十分に高くするか、あるいは熱間押出後に十分な加工比
の熱間加工を加える必要がある。
【0021】また、Al合金基複合材料中に分散される
硬質補強材は、平均粒径:5μm以下のセラミックス粒
子を用い、その添加量を、重量比で、Al合金基複合材
料全体に0.5〜4.0重量%含まれることが好まし
い。セラミックス粒子の平均粒径が5μmを越えると、
被削性が低下する。またセラミックス粒子の添加量が
0.5重量%未満では前述の硬質補強材としての効果が
十分でなく、一方4重量%を越えると超塑性変形を阻害
するおそれがある。ただし、優れたフレッティング疲労
強度と超塑性を同時に確保するためには、セラミック粒
子の添加量が1〜2.5重量%であることが特に好まし
い。
【0022】また、セラミックス粒子同士が凝集するこ
となく、複合材料中に均一に分散していることが好まし
い。セラミックス粒子同士が凝集していると、疲労強度
と超塑性を低下させるからである。次に、Al合金粉末
中に含まれるSiは、Al合金基複合材料の熱膨張係数
を低下させて鋼材の熱膨張係数に近づける働きがある。
すなわち、Al合金基複合材料を例えば内燃機関用部品
に適用する場合、鋼材部品と組み合わせて用いられるこ
とが多く、Al合金基複合材料の熱膨張係数を低下させ
て鋼材の熱膨張係数(12×10-6/℃)に近づける方
が好ましい。ここで、Al合金基複合材料の熱膨張係数
が20×10-6/℃を越えると、Al合金基複合材料を
内燃機関用部品に適用することが困難となる。したがっ
て、Al合金粉末中に含まれるSiの添加量を13重量
%以上として、Al合金基複合材料の熱膨張係数が20
×10 -6/℃以下となるようにした。
【0023】また、Al合金粉末中に含まれるSiは、
上記作用の他に、Al中に固溶したり、あるいはAl、
Feとβ相(Al5 SiFe)を形成したりしてAl中
に均一分散されることにより、疲労強度や剛性を向上さ
せるという作用、効果も奏する。これらの効果は、添加
量15重量%以上で特に顕著となり、一方25重量%を
越えると高温塑性加工性が低下する。したがって、Al
合金粉末中のSiの添加量は、15〜25重量%とする
ことが特に好ましい。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 (好適な実施態様1)本発明の請求項1記載のAl合金
基複合材料に用いるAl合金粉末として、重量比で、 Si : 15〜25 % Fe : 3〜9 % Cu : 1〜6 % Mg :0.1〜1.5% Mn、Zrの1種又は2種: ≦2.0% を含有し、さらに希土類元素の1種以上を0.5〜4.
0重量%含有するAl合金粉末を特に好ましい実施態様
として挙げることができる。上記組成を有するAl合金
粉末を用いることにより、フレッティング疲労強度のさ
らなる向上を図ることができる。なお、各成分の添加量
の限定理由は、以下のとおりである。
【0025】Siの添加量の限定理由は前述したとおり
である。Feは、Al及びSiとβ相(Al5 SiF
e)を形成して均一に分散されることにより、疲労強度
や剛性を向させるとともに、熱膨張係数を小さくする。
Feの添加量が3重量%未満ではこれらの効果が十分で
なく、一方9重量%を越えると高温塑性加工性が低下す
る。したがって、Al合金粉末中のFeの添加量は3〜
9重量%とすることが好ましい。
【0026】Cuは、Mgとともに時効硬化により疲労
強度を向上させる。Cuの添加量が1重量%未満ではこ
の効果が十分でなく、一方6重量%を越えると高温塑性
加工性が低下する。したがって、Al合金粉末中のCu
の添加量は1〜6重量%とすることが好ましい。Mg
は、Cuとともに時効硬化により疲労強度を向上させ
る。Mgの添加量が0.1重量%未満ではこの効果が十
分でなく、一方1.5重量%を越えると高温塑性加工性
が低下する。したがって、Al合金粉末中のMgの添加
量は0.1〜1.5重量%とすることが好ましい。
【0027】Mn及びZrは、希土類元素同様、再結晶
組織を微細にすることにより、疲労強度及び高温塑性加
工性を向上させる。ただし、Mn及びZrによるこれら
の効果は希土類元素に比べて小さく、希土類元素を十分
添加する場合にはMn又はZrを添加しなくても差し支
えない。また、Mn及びZrの合計添加量が2.0重量
%を越えると高温塑性加工性が低下する。したがって、
Al合金粉末中のMn及びZrの添加量は、1種又は2
種の合計で2.0重量%以下とすることが好ましい。
【0028】さらに、本発明の請求項1記載のAl合金
基複合材料においては、疲労強度に影響しない程度のエ
ッチング処理を施すことによりαーAl相に油溜め用の
微細な溝穴を形成したり、セラミック粒子をAl合金基
材から若干突出させたりすることにより、相手材とAl
合金基材との凝着抑制効果を高めて、フレッティング疲
労強度を一層向上させることができる。
【0029】本発明の請求項1記載のAl合金基複合材
料は、コンロッド、バルブスプリングリテーナ、カムキ
ャップなどの内燃機関用部品のほか、特にフレッティン
グ疲労強度を要求される部品に適用することができる。
また粉末鍛造法などの製造方法を用いて、コンロッド大
端穴部などフレッティング疲労強度が要求される部位に
限定して本発明の請求項1記載のAl合金基複合材料を
適用することも可能である。
【0030】(好適な実施態様2)本発明の請求項3記
載のAl合金基複合材料に用いるAl合金粉末として、
重量比で、 Si : 13〜20 % Fe : ≦6 % Cu : 1〜6 % Mg :0.1〜1.5% Mn、Zrの1種又は2種: ≦1.0% を含有し、さらに希土類元素の1種以上を1.0〜3.
0重量%含有するAl合金粉末を特に好ましい実施態様
として挙げることができる。上記組成を有するAl合金
粉末を用いることにより、超塑性の発現により高温塑性
加工性のさらなる向上を図ることができる。なお、各成
分の添加量の限定理由は、以下のとおりである。
【0031】Siは、前述のようにAl合金基複合材料
の熱膨張係数を低下させて鋼材の熱膨張係数に近づける
働きがある。また、Al合金粉末中に含まれるSiは、
Al中に固溶したり、あるいはAl、Feとβ相(Al
5 SiFe)などを形成したりしてAl中に均一分散さ
れることにより、疲労強度や剛性を向上させるという作
用、効果を奏する。一方、20重量%を越えると、Si
相及びβ相(Al5 SiFe)の体積率が大きくなり、
超塑性変形を阻害するおそれがある。したがって、Al
合金粉末中のSiの添加量は13〜20重量%とするこ
とが好ましい。
【0032】Feは、Al及びSiとβ相(Al5 Si
Fe)を形成して均一に分散されることにより、疲労強
度や剛性を向させるとともに、熱膨張係数を小さくす
る。Feの添加量が6重量%を越えるとβ相(Al5
iFe)などの体積率が大きくなり、超塑性変形を阻害
するおそれがある。したがって、Al合金粉末中のFe
の添加量は6重量%以下とすることが好ましい。
【0033】Cuは、Mgとともに時効硬化により疲労
強度を向上させる。Cuの添加量が1重量%未満ではこ
の効果が十分でなく、一方6重量%を越えるとCuを含
む化合物相の体積率が大きくなり、超塑性変形を阻害す
るおそれがある。したがって、Al合金粉末中のCuの
添加量は1〜6重量%とすることが好ましい。Mgは、
Cuとともに時効硬化により疲労強度を向上させる。M
gの添加量が0.1重量%未満ではこの効果が十分でな
く、一方1.5重量%を越えるとMgを含む化合物相の
体積率が大きくなり、超塑性変形を阻害するおそれがあ
る。したがって、Al合金粉末中のMgの添加量は0.
1〜1.5重量%とすることが好ましい。
【0034】Mn及びZrは、希土類元素同様、再結晶
組織を微細にすることにより、疲労強度を向上させる。
ただし、Mn及びZrによるこれらの効果は希土類元素
に比べて小さく、希土類元素を十分添加する場合にはM
n又はZrを添加しなくても差し支えない。また、Mn
及びZrの合計添加量が1.0重量%を越えると、Mn
あるいはZrを含む化合物相の体積率が大きくなり、超
塑性変形を阻害するおそれがある。したがって、Al合
金粉末中のMn及びZrの添加量は、1種又は2種の合
計で1.0重量%以下とすることが好ましい。
【0035】本発明の請求項3記載のAl合金基複合材
料は、内燃機関用部品のほか、特にフレッティング疲労
強度及び高温塑性加工性が要求される複雑形状部品に適
用することができる。 (実施例1)本実施例1は、請求項1記載及び請求項2
記載のAl合金複合材料を具体化したものである。
【0036】通常の空気アトマイズ法により製造し、1
00メッシュ以下に分級した急冷凝固Al合金粉末と平
均粒径5μmのセラミック粒子とを混合して、混合粉末
を得た。この混合粉末を、金型を用いて294MPaの
圧力で成形してプリフォームを得た。このプリフォーム
を窒素雰囲気中450℃で1時間加熱して脱ガス処理を
行った後、450℃で押出比12の粉末熱間押出を行
い、表1に示す本発明材No.1〜7、及び比較材N
o.1〜3を得た。
【0037】
【表1】 *Mm(ミッシュメタル):55%Ce−25%La−15%Nd−5%Sm (フレッティング疲労試験評価) 上記本発明材No.1〜3,7、及び比較材No.1に
T6処理を施した後、フレッティング試験片1に加工し
た。なお、T6処理は、480℃×1hr保持後、水焼
き入れし、さらに180℃×5hr保持後、空冷するこ
とにより行った。そして、このフレッティング試験片1
を、図4、図5に示すように、フレッティング試験機に
セットし、荷重リング2に取り付けた締付けボルト3を
締め付けて相手材4をフレッティング試験片1に20M
Paの圧力で押し付け、相対すべり量検出器5で相対す
べり量を検出しつつ、150℃の恒温漕中でフレッティ
ング試験片1に応力比R=0.1の繰り返し引張荷重を
与えて、両者間に微小な相対すべりを発生させる方法
で、フレッティング試験を実施した。なお、相手材4に
は、S25C(JIS)を用いた。この結果を図1に示
す。
【0038】(高温拘束据込試験評価)上記本発明材N
o.1〜7、及び比較材No.1〜3を、図6の断面図
に示すように、直径φ11mm、高さ16.5mmの円
柱状で、その上面中央に最大直径φ2mm、頂角120
°の円錐状凹部6aが設けられ、外周側面の表面粗さが
Rz:6μmである据込試験片6に加工した。この据込
試験片6を、図7に示すように、メカニカルプレスの上
下一対の溝付ブラテン7a、7b間にセットした。そし
て、ガイドシリンダ8に案内させつつ上ブラテン7aを
下方に移動し、両ブラテン7a、7b間で据込試験片6
を450℃で圧縮する高温拘束据込試験を実施した。こ
の結果を図2及び図3に示す。
【0039】なお、図2は本発明材No.1〜3,7、
及び比較材No.1の試験結果で、セラミックス粒子添
加量と限界据込率との関係を示し、図3は本発明材N
o.2,4〜6、及び比較材No.2,3の試験結果
で、希土類元素添加量と限界据込率との関係を示す。ま
た、限界据込率(%)は、下記式により求めた。 限界据込率(%)={(hO −hC )/hO }×100 (hO :試験片の元の高さ、hC :割れ発生時の試験片
の高さ) 図1の結果から、セラミックス粒子を含まない比較材N
o.1はフレッティング疲労強度が低いのに対して、セ
ラミックス粒子を含む本発明材No.1〜3,7は、フ
レッティング疲労強度が高いことがわかる。
【0040】また、図2の結果から、セラミックス粒子
の添加量が高くなるほど高温塑性加工性が低下すること
がわかる。この結果、優れたフレッティング疲労強度と
高温塑性加工性の両立を良好に図るためには、セラミッ
クス粒子の添加量を0.5〜4.0重量%とすることが
好ましく、優れたフレッティング疲労強度と限界据込率
70%以上の高温塑性加工性を同時に確保するために
は、セラミック粒子の添加量を1〜2.5重量%とする
ことが特に好ましいことがわかる。
【0041】さらに、図3の結果から、希土類元素を含
まない比較材No.2に対して、少量の希土類元素を添
加した本発明材No.2、4〜6は高温塑性加工性が向
上しており、さらに希土類元素添加量を増やした比較材
No.3では逆に高温塑性加工性が低下することがわか
る。これより、希土類元素の添加量が0.5〜4.0重
量%の範囲内にあれば、高温塑性加工性に優れることが
わかる。
【0042】(単体疲労試験評価)上記本発明材No.
2、及び比較材No.1の粉末押出材を、450℃に加
熱して熱間鍛造した後、前述のT6処理と機械加工を施
して内燃機関用コンロッド9を製造した。そして、図8
に示すように、コンロッド9の大端部9aに、裏金にS
PCC(JIS)を使用した軸受10を嵌着し、150
℃のエンジンオイル中、引張荷重2000kg、圧縮荷
重5000kgの繰り返し荷重を与えて単体疲労試験を
実施した。この結果を表2に示す。
【0043】
【表2】 表2から、本発明材No.2は、107 回まで破断する
ことなくフレッティング損傷も軽微であったのに対し
て、比較材No.1は約2×105 回でコンロッド大端
穴内面と軸受背面のフレッティング損傷により疲労破壊
に至った。
【0044】(実施例2)本実施例2は、請求項3記載
及び請求項4記載のAl合金複合材料を具体化したもの
である。エアアトマイズで、Al−17Si−2Mm−
4Cu−0.5Mg組成の合金粉末を作製した。ここ
で、Mmはミッシュメタルを表す。
【0045】この合金粉末を−350メッシュに篩い分
け、これに平均粒径3μmのSiC粉末(平均アスペク
ト比:1.2)を1重量%混合し、加圧力294MPa
でφ48の円柱形状に圧粉し、450℃、1hr、窒素
雰囲気中で加熱した後、φ50からφ14に押し出し
た。さらに、400℃に加熱して、スエージ加工により
φ8.5とした。
【0046】また比較材として、−350メッシュに篩
い分けた上記合金粉末に平均直径0.2μm、平均長さ
50μmのSiCウイスカ(平均アスペクト比:25
0)を1重量%混合し、以下、上記SiC粉末複合材料
素材と同様の条件で素材を作製した。これらの素材から
機械加工した丸棒引張試験片を用い、油圧制御材料試験
機により試験温度500℃で定速引張りを行った。これ
らの複合材料の試験温度500℃における破断伸びと歪
速度との関係を図9に示す。
【0047】図9から明らかなように、本発明材に係る
SiC粉末複合材料は100 /秒の歪速度において20
0%以上の破断伸びが得られ、超塑性が発現した。これ
に対し、比較材に係るSiCウイスカ複合材料には平均
長さ3μmのSiCウイスカが分散しており、この材料
の破断伸びは150%以下であった。
【0048】
【発明の効果】
(1)以上詳述したように本発明の請求項1及び請求項
2記載のAl合金基複合材料は、希土類元素によりAl
合金基材組織を微細化するとともに、硬質補強材により
フレッティング摩耗を抑えることができ、これによりA
l合金基複合材料における疲労強度、フレッティング疲
労強度のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0049】また、希土類元素の添加により高温におけ
る塑性加工性も向上するので、熱間押出や熱間鍛造など
の塑性加工により良好な製品を得ることが可能となる。 (2)以上詳述したように本発明の請求項3及び請求項
4記載のAl合金基複合材料は、希土類元素によりAl
合金基材組織を微細化するとともに、硬質補強材により
フレッティング摩耗を抑えることができ、これによりA
l合金基複合材料における疲労強度、フレッティング疲
労強度のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0050】また、希土類元素の添加により高温におけ
る塑性加工性も向上するとともに、アスペクト比が5以
下の形状の硬質補強材の作用により超塑性の発現による
高温塑性加工性のさらなる向上を図ることができるの
で、熱間押出や熱間鍛造などの塑性加工により良好な製
品を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 セラミックス粒子の添加量とフレッティング
疲労強度との関係を示すグラフである。
【図2】 セラミックス粒子の添加量と限界据込率との
関係を示すグラフである。
【図3】 希土類元素の添加量と限界据込率との関係を
示すグラフである。
【図4】 フレッティング疲労試験方法を説明する一部
断面図である。
【図5】 フレッティング疲労試験方法を説明図であ
り、図4のA−A線矢視図である。
【図6】 据込試験片の断面図である。
【図7】 高温拘束据込試験方法を説明する一部断面図
である。
【図8】 単体疲労試験方法を説明する斜視図である。
【図9】 歪速度と破断伸びとの関係を示すグラフであ
る。
フロントページの続き (72)発明者 石原 知 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 近藤 幹夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 伊東 一彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、少なくともSiを13%以上
    及び希土類元素の1種以上を0.5〜4.0%含有する
    Al合金粉末と、硬質補強材とを含む混合物を熱間加工
    してなることを特徴とするフレッティング疲労強度に優
    れたAl合金基複合材料。
  2. 【請求項2】 上記硬質補強材は、平均粒径:1〜5μ
    mのセラミックス粒子であり、重量比で、上記Al合金
    基複合材料全体に0.5〜4.0%含まれていることを
    特徴とする請求項1記載のフレッティング疲労強度に優
    れたAl合金基複合材料。
  3. 【請求項3】 重量比で、少なくともSiを13%以上
    及び希土類元素の1種以上を0.5〜4.0%含有する
    Al合金粉末と、アスペクト比が5以下の形状の硬質補
    強材とを含む混合物を熱間加工してなることを特徴とす
    るフレッティング疲労強度に優れたAl合金基複合材
    料。
  4. 【請求項4】 上記硬質補強材は、重量比で、上記Al
    合金基複合材料全体に0.5〜4.0%含まれているこ
    とを特徴とする請求項3記載のフレッティング疲労強度
    に優れたAl合金基複合材料。
JP7126892A 1994-06-01 1995-05-25 フレッティング疲労強度に優れたAl合金基複合材料 Pending JPH0849033A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102008010386B4 (de) * 2007-02-26 2009-12-17 Smc Corp. Elektromagnetventilanordnung
CN114836661A (zh) * 2022-06-09 2022-08-02 湖南金天铝业高科技股份有限公司 双尺度陶瓷颗粒增强铝基复合材料及其制备方法
WO2022246889A1 (zh) * 2021-05-27 2022-12-01 江苏大学 一种高强韧可焊原位纳米强化稀土铝合金及其制备方法
CN116174733A (zh) * 2023-04-27 2023-05-30 宁波众远新材料科技有限公司 一种合金粉末及其制备方法和应用、一种零件模型

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