JPH05200564A - スポット溶接機のチップ抜け検出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スポット溶接機のチップ抜けを確実に検出
し、しかも安価な装置とする。 【構成】 溶接ガンの電極チップ２を保持するホルダー
３に絶縁カラー１を介在させて電極チップを取付ける。
電極チップが離脱した溶接ガンが、次溶接スポットにお
いて溶接電圧が印加されたときに、絶縁カラーがワーク
に当接しているのでワークに電流が流れない。この無通
電を検知することで電極チップの抜けが判別できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、スポット溶接機におけ
る電極チップの抜けを検出する装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】電気抵抗による発熱を利用して金属材料
を溶接する方法の一種であるスポット溶接は、一対の水
冷銅電極で溶接部を両側から加圧し、両電極間に集中し
て流れる短時間の電流による発熱と、電極の冷却を利用
してワークの溶接部だけを溶融して接合するものであ
る。特開昭５７−２０２９８６号公報には、インライン
で電極チップの整形を行う自動スポット溶接法が記載さ
れている。

【０００３】スポット溶接機では、溶接作業中に電極チ
ップがワークに接合してホルダーから抜け出すことがあ
り、この溶接ガンを使用して次ぎのスポット溶接を実施
すると、溶接ガンのホルダーを損傷するだけでなく、溶
接不良を起す。この対策として従来は、電極冷却用の冷
却水の水量の変化を検出して電極チップの抜けを検出す
る装置が使用されている。

【０００４】前記従来のスポット溶接機のチップ抜け検
出装置を図３に示す。図３において、４は溶接ガンで、
ロボットやマルチウエルダーに取付けられて自動溶接を
行うものである。溶接ガン４には、ガン本体のエクステ
ンション５の先端に電極チップ２が取付けられ、ガン本
体と摺動するアーム６のホルダー３にも電極チップ２が
取付けられ、これら一対の電極チップ２，２が対向して
設けられている。電極チップ２，２には、４００Ｖの電
源に接続される溶接タイマー７からケーブル８、トラン
ス９、二次ケーブル１０を介して電力が供給され、ワー
クを一対の電極チップ２，２で加圧しながら溶接するも
のであるが、このときに電極チップ２は水で冷却され
る。従来は、この電極チップの水冷系統を利用して電極
チップ抜け検出装置を設置している。冷却水流入管１１
及び冷却水流出管１２を水量検出機１３のフロースイッ
チ１４，１４にそれぞれ接続する。冷却水は、流入ホー
ス１５，１５から溶接ガン４のエクステンション５及び
アーム６のホルダー３内を、図に矢印で示すように流れ
て電極チップ２，２を冷却し、戻りの冷却水は、二次ケ
ーブル１０の周りを経て水量検出機１３のフロースイッ
チ１４を流れ、冷却水流出管１２に戻る。

【０００５】例えば、ホルダー３の電極チップ２がワー
クに接合した状態で溶接ガン４を次の溶接点に移動させ
ると、電極チップ２がホルダー３から抜け出し、冷却水
がホルダー３の先端から吹き出す。このため戻りの冷却
水が減少し、この流量を流出側のフロースイッチ１４で
検出し、流入側のフロースイッチ１４の流量と比較して
所定量以上の違いとなると、水量検出機１３から異常信
号を出す。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】溶接ガン４をロボット
のアームに取付けて自動スポット溶接を行う場合、ロボ
ットを起動して溶接ガン４を溶接ポイントに急速に移動
させると、冷却水ホースが引張られて中の冷却水の流量
が変化し、これをフロースイッチ１４が検出して誤信号
を発生する。このため水量検出機１３の調整が困難であ
るとともに、水量検出機の設置にコストがかかる。

【０００７】本発明は、従来のスポット溶接機に絶縁カ
ラーを取付けるだけで電極チップの抜けを確実に検出で
き、極めて低コストで電極チップ抜けの検出を可能とす
ることを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、溶接ガンの電
極チップを取付け保持する保持体に絶縁カラーを介在さ
せて電極チップを取付けたスポット溶接機のチップ抜け
検出装置である。

【０００９】

【作用】電極チップが離脱した溶接ガンが、次溶接スポ
ットにおいて溶接電圧が印加されたときに、絶縁カラー
がワークに当接しているので電流が流れない。この無通
電を検知することで電極チップ抜けが判別できる。

【００１０】

【実施例】図１Ａは、スポット溶接時の状態を示す一部
断面図、図１Ｂは、電極チップ抜け状態を示す一部断面
図、図２は、本発明に使用する絶縁カラーの一部断面図
である。絶縁カラー１は、図２に示すように中心部を冷
却水の通路用の中空部とした中空円筒体を合成樹脂のよ
うな絶縁材料で作り、先端部に鍔１ａと反対側にホルダ
ーへの嵌合部１ｂを形成し、嵌合部１ｂには、嵌合を容
易にするため複数のスリット１ｃを設ける。この絶縁カ
ラー１を溶接ガンのホルダー３及びエクステンション５
の先端部に嵌合してから、それぞれに電極チップ２，２
を装着する。通常のスポット溶接時には、図１Ａに示す
ように、両電極チップ２，２でワークＷを加圧し、溶接
タイマー７からの短時間の通電により、図に矢印で示す
ように両電極チップ２，２間の溶接部に集中して電流が
流れてジュール熱を発生し、スポット溶接が行われる。
この際、両電極チップ２，２がホルダー３及びエクステ
ンション５内を流れる冷却水で冷却されるのは従来と同
様である。

【００１１】例えば、ホルダー３側の電極チップ２が抜
けた状態で溶接ガン４が次ぎの溶接スポットに移動して
溶接を実施しようとすると、図２に示すように、絶縁カ
ラー１の鍔１ａがワークＷに当接しているので、溶接タ
イマー７から短時間電圧を印加しても電極チップ２とホ
ルダー３間に電流が流れない。したがって、溶接タイマ
ー７でこの無通電を検知することにより電極チップ抜け
が判別できる。

【００１２】本発明の絶縁カラー１を取付けた溶接ガン
４をロボットのアームに取付けて自動スポット溶接を行
う場合について、電極チップ抜け判別動作を次に説明す
る。 ａ ロボット起動 ｂ 溶接ガンが溶接スポットへ移動 ｃ 溶接ガン加圧（ロボットより指令） ｄ 溶接ガン通電（スポット溶接実施） ｅ ワークに電極チップが溶着（異常発生） ｆ 溶接ガン開放（溶接タイマーから溶接完了信号をロ
ボットへ） ｇ 電極チップ抜け（電極チップがワークに接合したま
ま溶接ガンが開放して電極チップが溶接ガンから離脱） ｈ 冷却水放出 ｉ 溶接ガンが次溶接ポイントへ移動 ｊ 溶接ガン加圧 ｋ 溶接ガン通電 ｌ 溶接タイマーが異常検出（絶縁カラーにより溶接タ
イマーの溶接完了信号が出ず異常発生を検出） ｍ ロボット停止 以上のように、電極チップ抜けが発生したときに、次ぎ
の溶接ポイントでは、溶接タイマー７から通電しても絶
縁カラー１の存在により電流が流れないので、ホルダー
３やエクステンション５を損傷することがなく、また、
ワークに不充分な電流が流れて溶接不良を起すこともな
い。そして、絶縁カラーは極めて安価に製造できるの
で、設備投資も大幅に軽減できる。

【００１３】

【発明の効果】本発明は、従来のスポット溶接機の電極
チップ保持体に絶縁カラーを取付けるだけで電極チップ
抜けを確実に検出でき、極めて低コストとなるととも
に、電極チップ抜けが発生したときに溶接ガンを損傷す
る恐れがなく、また溶接不良を起すことも防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のスポット溶接時の状態を示す一部断面
図。

【図２】本発明に使用する絶縁カラーの一部断面図。

【図３】従来のスポット溶接機のチップ抜け検出装置の
説明図。

【符号の説明】

１ 絶縁カラー ２ 電極チップ ３ ホルダー
４ 溶接ガン ５ エクステンション ６ アーム ７ 溶接タイ
マー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉山 敬行 神奈川県藤沢市土棚８番地 株式会社い すゞ中央研究所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶接ガンの電極チップを取付け保持する
   保持体に絶縁カラーを介在させて電極チップを取付け、
   溶接時における無通電を判別して電極チップの離脱を検
   出することを特徴とするスポット溶接機のチップ抜け検
   出装置。