JPH0519881Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は磁気デイスク装置の磁気ヘツドの位置
決め動作を駆動するための磁気ヘツド駆動装置の
うち、固定の固定軸を中心とした回動運動によつ
て位置決め動作を行う回転形磁気ヘツド駆動装置
に関し、特に駆動の動力源としてコイルと磁気回
路との組合せによるいわゆるボイスコイルモータ
を使用する回転形磁気ヘツド駆動装置に関する。

〔従来の技術〕

磁気デイスク装置において、磁気ヘツドを磁気
デイスクの所定のシリンダ上に位置決めするため
の磁気ヘツド駆動装置のうち、固定の回転軸を中
心とする回動運動による回転形磁気ヘツド駆動装
置には、駆動動作の動力源としてボイスコイルモ
ータを使用する装置があるが、このような装置は
第２図に例示するような構成を有している。

第２図ａを参照するに、アーム５の先端には磁
気ヘツド３が取付けられ、磁気ヘツド３の先端に
は書込み読出し素子（Ｒ／Ｗ素子）４が装着され
ており、Ｒ／Ｗ素子４は回転軸１２を中心とした
回動運動によつて磁気デイスク２の最外周シリン
ダ２ａと最内周シリンダ２ｂとの間の任意のシリ
ンダ上に位置決めされる。アーム５の後方にはボ
ビンに巻線を巻回したコイル７が固定して装着さ
れており、磁気回路８と協働してアーム５の回動
運動を駆動する構成を有している。

このような磁気ヘツド駆動装置のコイルの形状
には、大別して扁平形と箱形との２種がある。扁
平形コイルとは、巻線を平面内で巻回してその厚
さを薄くし、その上下に永久磁石を配置した磁気
回路によつて駆動する方式のもので、平面的に大
きな面積を必要とし、あまり大きな駆動力を得難
いが高さに制限がある場合、すなわち搭載される
磁気デイスクの枚数が少い磁気デイスク装置に使
用するのに適している。一方、箱形コイルは、断
面が箱形にコイルを巻回したもので、箱の内部を
磁気回路のヨークを貫通させ、上下に永久磁石を
配置させた磁気回路によつて駆動する方式のもの
で、平面的に小さな面積で実現でき、また大きな
駆動力が得られるが高さ寸法を必要とするという
特徴を有している。従つて箱形コイルは搭載する
磁気デイスクの枚数が多い磁気デイスク装置に使
用するのに適している。

第２図ｂはこのような箱形コイルを有する従来
の磁気ヘツド駆動装置の一例を示す断面図で、特
にコイル取付部分の構造を詳細に示す図である。

第２図ｂに示すように、回転軸１２は中空のア
ームホルダ１１の内部の上端および下端に設けら
れているボールベアリング１４および１５によつ
て回転自在に保持され、上部支持板８および下部
支持板１３によつてその上下端を固定支持されて
いる。アームホルダ１１の一方の側面の中央部分
ら側方にアーム取付部材１１ａが張出しており、
複数のアーム５はスペーサ６と交互にこのアーム
取付部材１１ａの上下に積層されて搭載され、ボ
ルト１６によつて固定されている。一方、アーム
ホルダ１１の他方の側面は平面に形成されてお
り、断面が箱形のコイル７（ボビン７ｂの中央部
の外側に巻線７ａが巻回されている）の平面にな
つている外側面がこれに密着して取付けられてボ
ルト１６によつて固定されている。コイル７の内
部は、“ヨ”字状の外形を有するヨークの中央の
辺１７ａが貫通しており、またその上下両面の外
側にはヨークの上下の辺１７ｂおよび１７ｃのそ
れぞれの下面および上面に固着された永久磁石１
８ａおよび１８ｂが近接して配置されている。ヨ
ークの上下の辺１７ｂおよび１７ｃにはそれぞれ
上部支持板８および下部支持板１３が取付られて
おり、下部支持板１３は磁気デイスク装置のフレ
ームに固定されている。

従つて、上記のような構成の磁気ヘツド駆動装
置のコイル７に電流を与えると、永久磁石１７ａ
および１７ｂとの間で吸引力または反撥力を生
じ、アーム５は回転軸１２を中心とした回動運動
を行い、Ｒ／Ｗ素子４は磁気デイスク２の所定の
シリンダ上に位置決めされる。アーム５の運動は
急速に加速と停止が行われるが、上述のようなア
ームの取付構造では上下方向の強度が充分でない
ため、位置決め動作の停止時において低周波の共
振振動が生じ、この振動の減衰が不充分なうちに
書込みまたは読出し動作を行うと、書込みまたは
読出しエラーを生ずることがある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従つて本考案が解決しようとする問題点は、上
述の如き原因による従来の箱形コイルのボイスコ
イルモータを駆動源とする回転形磁気ヘツド駆動
装置の情報の書込みまたは読出しのエラーを減少
させ、その信頼性を向上させることにあり、従つ
て本発明の目的は、位置決め動作時におけるアー
ム共振現象を除去して位置決め動作の安定性を向
上させることにより、情報の書込みまたは読出し
の信頼性を向上させた回転形磁気ヘツド駆動装置
を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の回転形磁気ヘツド駆動装置は、固定の
回転軸に対して回動自在に保持され下端部に台座
を有するアームホルダと、前記アームホルダに挿
嵌され前記台座上にスペーサと交互に積層されて
固定され前端に磁気ヘツドを装着した複数個のア
ームと、前記複数個のアームの隣接するアーム間
の間隔を所定の値に保持するため前記アームホル
ダに挿嵌されて前記アームと交互に積層される複
数個の前記スペーサと、前記アームと一体となつ
て運動し断面が箱形の形状のボビンの外周に巻線
を巻回したコイルと、前記コイルと協働して前記
アームの位置決め動作を駆動する磁気回路とを備
える回転形磁気ヘツド駆動装置において、前記複
数個のスペーサのうち最上位および最下位にある
スペーサが前記コイルの方向に張出した張出し部
を有し、“コ”字状の断面形状を有して前記張出
し部間に挾持されるコイル保持部材を備え、前記
コイル保持部材の上辺または下辺のいずれか一方
を対応する最上位または最下位の前記スペーサの
張出し部に直接固定し、前記コイル保持部材の上
辺または下辺のうち残余の辺を対応する張出し部
と螺合する調整リングを介してねじ固定し、前記
コイル保持部材の側辺に前記コイルを固定して構
成される。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例について図面を参照して
詳細に説明する。

第１図は本考案の一実施例の主要部を示す断面
図である。

第１図を参照するに、複数個のアーム２５は円
筒状のアームホルダ２１の外周に挿嵌され、その
下端に設けられているアーム積載部２１ａ上にス
ペーサ２６ａまたは２６ｂまたは２６ｃと交互に
積載されている。アームホルダ２１の内部の上端
および下端にはボールベアリングが取付けられて
いて回転軸１２を支持していることは第２図に示
した従来例と同様である。

スペーサ２６ａ〜２６ｃは、隣接する２個のア
ーム２５の間隔を所定の値に保持するためのもの
で、中間のスペーサ２５ｃはアームホルダ２１に
挿嵌されるのみの単純なものであるが、最上部の
スペーサ２６ａと最下部のスペーサ２６ｂとは、
コイル７側に対して張出した張出部を有し、これ
らの間にコイル保持部材２７を挾持し、ボルト２
９および３０によつてこれを固定している。

第３図は、コイル保持部材２７とスペーサ２６
ａおよびコイル７との構成の関係を示す分解斜視
図、第４図は、第１図において参照符号Ｂで示し
たコイル保持部材２７のねじ止め部分の詳細を示
す拡大断面図である。

第３図に示すように、コイル保持部材２７は断
面が“コ”字状の形状を有し、上下の辺にはねじ
穴２７ａおよび２７ｂを有し、上方からボルト２
９で、また下方からボルト３０（第１図参照）で
ねじ止めされる。一方その側辺の内面にはねじ穴
２７ｃを有し、コイル７をボルト１６で固定す
る。コイル７およびこれと協働する磁気回路や上
部支持板、下部支持板等の構成は第１図の従来例
と同じである。

コイル支持板２７の下辺はスペーサ２６ｂの張
出部にボルト３０によつて直接ねじ止め固定され
るが、その上辺は第３図および第４図に示すよう
に調整リング２８を介してボルト２９によつてね
じ止め固定される。調整リング２８は、中空の円
筒状の外形を有する部品で、その外周には雌ねじ
が設けられている。一方スペーサ２６ａの張出部
に設けられているねじ穴２６ａ−１の内面には、
調整リング２８の外周の雄ねじと螺合する雌ねじ
が設けられている。また、調整リング２８の穴
は、ボルト２９を貫通する。従つてコイル保持部
材２７をボルト２９で固定するときは、先ず調整
リング２８をスペーサ２６ａのねじ穴２６ａ−１
にねじ込んでその下面をコイル保持部材２７の上
辺の上面に密着させ、この状態でボルト２９を調
整リング２８の穴を貫通させてコイル保持部材２
７の上辺に設けられているねじ穴２７ａにねじ込
むことによつて行う。このような調整リングを設
けた理由は、コイル保持部材２７をスペーサ２６
ａおよび２６ｂの間に挾持するためには、必ずそ
れらの間に微細な間隙が必要であり、この空隙を
残したままコイル保持部材２７をねじ止めする
と、温度変化によつて、コイル保持部材２７に固
定されたコイル７とアーム２５との相対位置に微
妙な変化を生じ、これがＲ／Ｗ素子の位置決め誤
差、ひいては書込みまたは読出しエラーとなるた
めであり、調整リング２８はこの間隙を埋めて、
温度変化によるコイル７とアーム２５との相対位
置の変化を防止する。

次に上述のように構成された第１図の実施例の
作用について説明する。

コイルは、既述のようにコイル保持部材２７を
介してスペーサ２６ａおよび２６ｂに緊締されて
いるので、スペーサ２６ａ〜２６ｃと共に積層し
て固定されているアーム２５と一体となつて動作
し、コイル７の運動はアーム２５に伝達されて既
述のように所要の位置決め動作を行う。

アーム２５とスペーサ２６ａ〜２６ｃとは、ア
ームホルダ２１の外周に緊密に挿嵌され、相互に
広い面積で接触して積層されて固定されているの
で、複数のアーム相互間の位置ずれが起りにく
く、またその固有振動数が高いため、位置決め動
作時の急速な停止動作において低周波領域におけ
る共振現象が生じない。従つて書込みまたは読出
し動作の誤動作を低減させることができる。

〔考案の効果〕

以上詳細に説明したように、本考案の回転形磁
気ヘツド駆動装置を用いることにより、位置決め
動作時におけるアームの振動が除去されるので、
それに起因する書込み・読出しエラーを減少させ
ることができるという効果があり、従つて、本考
案の回転形磁気ヘツド駆動装置を用いた磁気デイ
スク装置の信頼性を向上させることができるとい
う効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２
図ａおよびｂは従来の回転形磁気ヘツド駆動装置
の一例を示す平面図およびＡ−Ａ拡大断面図、第
３図は第１図の主要部の構成を示す分解斜視図、
第４図は第１図のＢ部の詳細を示す拡大断面図で
ある。 ２７……コイル保持部材、２８……調整リン
グ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 固定の回転軸に対して回動自在に保持され下端
   部に台座を有するアームホルダと、前記アームホ
   ルダに挿嵌され前記台座上にスペーサと交互に積
   層されて固定され前端に磁気ヘツドを装着した複
   数個のアームと、前記複数個のアームの隣接する
   アーム間の間隔を所定の値に保持するため前記ア
   ームホルダに挿嵌されて前記アームと交互に積層
   される複数個の前記スペーサと、前記アームと一
   体となつて運動し断面が箱形の形状のボビンの外
   周に巻線を巻回したコイルと、前記コイルと協働
   して前記アームの位置決め動作を駆動する磁気回
   路とを備える回転形磁気ヘツド駆動装置におい
   て、 前記複数個のスペーサのうち最上位および最下
   位にあるスペーサが前記コイルの方向に張出した
   張出し部を有し、“コ”字状の断面形状を有して
   前記張出し部間に挾持されるコイル保持部材を備
   え、前記コイル保持部材の上辺または下辺のいず
   れか一方を対応する最上位または最下位の前記ス
   ペーサの張出し部に直接固定し、前記コイル保持
   部材の上辺または下辺のうち残余の辺を対応する
   張出し部と螺合する調整リングを介してねじ固定
   し、前記コイル保持部材の側辺に前記コイルを固
   定して構成することを特徴とする回転形磁気ヘツ
   ド駆動装置。