JPH05198424A - 超電導コイルおよびその製造方法 - Google Patents

超電導コイルおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH05198424A
JPH05198424A JP3282245A JP28224591A JPH05198424A JP H05198424 A JPH05198424 A JP H05198424A JP 3282245 A JP3282245 A JP 3282245A JP 28224591 A JP28224591 A JP 28224591A JP H05198424 A JPH05198424 A JP H05198424A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coil
superconducting
insulator
oxide
wire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP3282245A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3032771B2 (ja
Inventor
Kazumasa Togano
一正 戸叶
Hiroaki Kumakura
浩明 熊倉
Hitoshi Kitaguchi
仁 北口
Hiroshi Maeda
弘 前田
Junichiro Kase
準一郎 加瀬
Junichi Shimoyama
淳一 下山
Takeshi Morimoto
剛 森本
Katsumi Nomura
克己 野村
Masahiro Kiyofuji
雅宏 清藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Cable Ltd
National Research Institute for Metals
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Hitachi Cable Ltd
National Research Institute for Metals
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd, Hitachi Cable Ltd, National Research Institute for Metals filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP3282245A priority Critical patent/JP3032771B2/ja
Publication of JPH05198424A publication Critical patent/JPH05198424A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3032771B2 publication Critical patent/JP3032771B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Landscapes

  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 (1) 合金系、金属間化合物系超電導コイルと
同様な絶縁体を用いた、安価な酸化物系超電導コイルの
実現。 (2) 合金系、金属間化合物系超電導コイルと同様な絶縁
体を用い、またW&R法により安価に酸化物系等の超電
導コイルを製造する方法の実現。 【構成】 (1) 銀等を支持体とし、その少なくとも一面
に、有機物結合媒体中に分散した酸化物系超電導体粉末
から成る層を有する帯状体が、絶縁体と隣接するように
重ねて巻回されたコイル。(2) 熱処理により超電導性が
生ずるように構成された線材を、半径方向に適当な間隙
を形成するように巻回して、コイルを形成し、コイルを
熱処理し、熱処理後に線材の間隙に絶縁体を挿入し、線
材と絶縁体が半径方向に互に隣接するコイルを形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超電導コイルおよびその
製造方法に関するもので、特に酸化物系超電導体を用い
た超電導コイルおよびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】超電導コイルは、テープ状の超電導線材
を絶縁体と重ねて密に巻くことにより製作されることが
多い。
【0003】Nb−Tiで代表される合金系超電導体に
比して、Nb3 Snで代表される金属間化合物系超電導
体は歪による変化が大きい。近年開発された酸化物系超
電導体はセラミックに属し、歪に対する挙動は金属間化
合物系超電導体に近い。合金系超電導体は歪による変化
が小さいため、超電導体を形成してからコイルに巻くこ
とが可能であるから、いわゆるR&W法(react−
and−wind process)によって超電導コ
イルを製作することができる。
【0004】歪による変化が大きい金属間化合物系超電
導体は、超電導体を形成する前に密にコイルに巻く手
法、いわゆるW&R法(wind−and−react
process)が用いられている。酸化物系超電導
体でもこの方法が用いられている(例えば、1990年
11月の低温工学・超電導学会における古河電気工業株
式会社からの発表)。
【0005】酸化物系超電導体のうちBi系超電導体
は、高温での反応性が高いため、コイル形成後に超電導
体を形成するために行う熱処理で、銀、金を除く多くの
物質と反応し、超電導性を失う。これを防ぐため、超電
導体の周囲を予め銀シースで被覆する方法が用いられて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、酸化物超電導
体でW&R法によりコイルを形成する場合、超電導体テ
ープの間に挟んで巻き込む絶縁体として適当なものがな
い。それは、酸化物系超電導コイルをW&R法により製
作するときの熱処理は、金属間化合物系超電導体の場合
より高い温度(800℃以上)を必要とし、絶縁体自身
がこの熱処理の温度に耐える耐熱性を有すると同時に、
超電導体との反応による超電導体および絶縁体の劣化を
生じないことが、要求されるためである。
【0007】本発明は、合金系超電導コイル、金属間化
合物系超電導コイルと同様な絶縁体を用いた、酸化物系
超電導コイルを実現すること、そして、コイル形成後に
高温処理を要する酸化物系超電導体等を用いていなが
ら、W&R法により安価に製造できる超電導コイルを実
現することを、目的とする。
【0008】また本発明は、合金系超電導コイル、金属
間化合物系超電導コイルと同様な絶縁体を用いて、酸化
物系超電導コイルを製造する方法を実現すること、さら
に、コイル形成後に高温処理を要する酸化物系超電導体
等を用いた超電導コイルを、W&R法により安価に製造
する方法を実現することを、目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では、合金系超電
導コイル、金属間化合物系超電導コイルと同様な絶縁体
を用いた、また、コイル形成後に高温処理を要する酸化
物系超電導体等を用いていながら、W&R法により安価
に製造できる酸化物系超電導コイルを実現するため、酸
化物系超電導体と高温でも実質的に反応しない銀等の物
質を支持体とし、その少なくとも一面に、有機物結合媒
体中に分散した酸化物系超電導体粉末から成る層を有す
る帯状体を、巻回して、コイルを構成する。あるいは、
酸化物系超電導体粉末から成る層を有する帯状体と、絶
縁体とが、隣接するように重ねて巻回されたコイルを、
構成する。
【0011】また、本発明では、合金系超電導コイル、
金属間化合物系超電導コイルと同様な絶縁体を用いて、
酸化物系超電導コイルを製造する方法を実現し、さら
に、コイル形成後に高温処理を要する酸化物系超電導体
等を用いた超電導コイルを、W&R法により安価に製造
する方法を実現するため、熱処理により超電導性が生ず
るように構成された線材を、半径方向に適当な間隙を形
成するように巻回したコイルを形成し、このコイルを熱
処理し、熱処理後に線材の間隙に絶縁体を挿入し、線材
と絶縁体が半径方向に互に隣接するコイルを形成して、
酸化物系超電導体等から成る超電導コイルを製造する。
線材の間隙に絶縁体を挿入した後、必要に応じてコイル
の巻き締めにより間隙を縮小してもよい。
【0012】熱処理温度が低い場合には、熱処理前に線
材の間隙に絶縁体を挿入してもよく、あるいは超電導線
材を絶縁体とともに巻回してもよい。2以上の超電導線
材を、互いに間隙を保つように重ねて巻き回すことによ
り、多重の超電導コイルを製造することができ、巻数の
少ないコイルから有効巻数の多いコイルが得られる。こ
の場合、2以上の超電導線材をそれぞれ、半径方向に間
隙を保って巻回し、それらを間隙に互いに差し込んで組
み合わせ、多重コイルを形成するようにしてもよい。組
み合わせる個別のコイルの直径および線材の間隙は互い
に近似していることが好ましい。そうでないと、コイル
の組合せの際に必要とする変形の程度が大きくなり、コ
イルに応力が生じて、超電導特性が損なわれる。
【0013】酸化物系超電導コイルを製造する場合、酸
化物系超電導体と高温でも実質的に反応しない銀等の物
質から成る支持体の少なくとも一面に、有機物結合媒体
中に分散した酸化物系超電導体粉末から成る層を設け
て、帯状の線材を形成し、この線材を、半径方向に所定
の間隙を形成するように巻回してコイルを形成し、コイ
ル形成後に線材の間隙に絶縁体を挿入して、帯状体と絶
縁体とが半径方向に互に隣接したコイルを形成する方法
は、有用である。
【0014】酸化物系超電導体分散物の層は、帯状体の
一面のみにあっても、両面にあってもよい。その厚さ
は、帯状体の各面について乾燥後の厚さにして200μ
m以下とするのが好ましい。超電導体粒子の一部が分散
物の層の表面に露出していてもよいし、層の表面が有機
物結合媒体で、あるいは他の絶縁物で覆われていてもよ
い。
【0015】有機物結合媒体中に酸化物系超電導体粉末
が分散された層を形成するには、酸化物系超電導体と高
温でも実質的に反応しない銀等の物質で構成される支持
体に、酸化物系超電導体粉末を有機物結合媒体の溶液中
に分散した分散液を、ディップコート、ドクターブレー
ドコーティング等により塗布する方法を用いることがで
きる。
【0016】有機物結合媒体中に酸化物系超電導体粉末
が分散された層を形成するための支持体は、酸化物系超
電導体と高温でも実質的に反応しない物質で構成され
る。そのような物質は、銀、金等である。
【0017】絶縁体としては、液体ヘリウムの温度(4.
2K)でひび割れを生じないものが好ましく、合金系超
電導コイル、金属間化合物系超電導コイルに通常用いら
れる絶縁体から選ぶことができる。例えば、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリ四弗化エチレン、アルミナ、マ
グネシア等を用いることができる。
【0018】前述の超電導コイル製造方法は、コイル形
成後に熱処理を要しない場合にも適用できる。すなわ
ち、少なくとも1枚の超電導線材を、半径方向に適当な
間隙を形成するように巻回してコイルを形成し、超電導
線材の間隙にコイル形成と同時またはコイル形成後に絶
縁体を挿入し、超電導体が絶縁体と半径方向に互に隣接
したコイルを形成することができる。銀シース法、CV
D法、スパッター法等で形成した超電導線材にも、この
方法を適用できる。
【0019】なお、コイルの組立の際、酸化物超電導線
材および絶縁体以外の部材、例えば、金属系超電導線
材、常電導線材、観測やモニタ等に供する線材、補強材
等を挿入しても差し支えない。また、複数のコイル状線
材を組合せてコイルを組み立てる際の、線材の間隙に絶
縁体等を挿入する順序は、予め一方のコイル状線材内に
絶縁体を配置しておいてもよいし、多重コイルとした後
に絶縁体を挿入するようにしてもよい。
【0020】
【作用】本発明の酸化物系超電導コイルでは、酸化物系
超電導体と高温でも実質的に反応しない銀等の物質を支
持体とし、その少なくとも一面に、有機物結合媒体中に
分散した酸化物系超電導体粉末から成る層を有する帯状
体をもって、超電導線材を構成する。この超電導線材
は、むき出しの状態で超電導コイルとして用いることも
できる。また、超電導線材と絶縁体とが、半径方向に隣
接するように重ねて巻回されることにより、超電導コイ
ルが構成される。酸化物に超電導性を与えるための高温
での熱処理は、絶縁体と接触する前に、酸化物を含む帯
状体が露出した状態で行うことができる。それ故、酸化
物超電導体と絶縁体の接触を防ぐことを必要とせず、安
価に製造できる。
【0021】また、本発明の酸化物系超電導コイルの製
造方法では、熱処理により超電導性が生ずるように構成
された線材を、半径方向に適当な間隙を形成するように
巻回したコイルを形成し、このコイルを熱処理すること
により、超電導線材のコイルが形成される。熱処理後に
超電導線材の間隙に絶縁体を挿入して、線材と絶縁体が
半径方向に互に隣接するコイルを形成し、超電導コイル
を製造することができる。酸化物に超電導性を与えるた
めに必要な高温での熱処理を、絶縁体と接触しない状態
で行うことが可能なため、酸化物系超電導コイル等をW
&R法により安価に製造できる。超電導線材が構成され
た後に、絶縁体と重ねて巻回して、超電導コイルを製造
するため、合金系超電導コイル、金属間化合物系超電導
コイルと同様な絶縁体を用いて、酸化物系超電導コイル
を容易に製造することができる。
【0022】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的
に説明する。 〔実施例1〕本発明による超電導コイルの典型的な例を
図1に示す。図1の超電導コイルにおいて、銀テープ1
の両面が酸化物系超電導層2で被覆され、その間に絶縁
体3が介在して渦巻き状に巻かれている.銀テープ1は
厚さ50μm、幅13mmのものである。酸化物系超電
導層2は、後述のように、 Bi2 Sr2 CaCu2
X の仮焼粉末のスラリー状分散液を付着、乾燥させ、熱
処理を施したもので、厚さは35μmである。絶縁体3
は厚さ0.38mmのアルミナ粉末充填層である。コイル
全体は外側を、図示しないエポキシ樹脂で固めてある。
実際のコイルの巻き数は50ターンであるが、図1では
4ターンの部分のみを示している。本実施例のコイルの
内径は13mm、外径は63mmである。
【0023】この超電導コイルは次のようにして製造し
た。図2Aに示すように、酸化物Bi2 Sr2 CaCu
2 X の仮焼粉末21をポリビニルブチラール22と
混合し、この混合物に溶媒23(トリクロロエチレンと
2−ブタノール)を加え、図2Bに示すように攪拌して
得られたスラリー状分散液24中に、図2Cに示すよう
に、銀テープ1を1m/分の速度で通し、銀テープ1の
両面に液膜24aを付着させ、数時間自然乾燥させた。
乾燥後の酸化物層の厚さは100μmとなる。厚さ0.2
5mmのポリエチレンシート(図示せず)と重ねて、パ
ンケーキ状に巻き、コイルとする。これを150℃で1
時間アニール(焼鈍)した後ポリエチレンシートを取り
除き、図2Dに示すように、コイル状線材25が互いに
0.25mmの間隔を保つように保持しながら、図2Eに
示すように、電気炉26中で、酸化物が部分的に溶融す
る温度に加熱後徐冷する熱処理を施す。熱処理の詳細は
下記の通りである。
【0024】電気炉中で、まず脱媒処理のため500℃
で2時間加熱した後、90分間で885℃まで昇温し、
885℃に10分間保った後、毎時5〜10℃の割合で
840℃まで温度を下げ、この温度に1時間保つ。電気
炉の電流を切断し、放置して5時間で室温まで冷却し
た。この熱処理により、酸化物層の厚さが減少し、線材
間に0.38mmの間隙をもったパンケーキ状コイルが得ら
れた。
【0025】熱処理により超電導体結晶が成長且つ配向
し、同時に銀テープとの接合が強化される。コイルの断
面を走査電子顕微鏡で観察すると、酸化物粒子は銀テー
プに沿って配向していた。
【0026】熱処理後、コイルの端末に電極(図示せ
ず)を取付け、図2Fに示すように、線材25の隙間
に、絶縁体3としてアルミナ粉末27を充填し、全体を
エポキシ樹脂で固めて、超電導コイルを完成する。
【0027】このようにして製作したパンケーキ型超電
導コイルを液体ヘリウム(4.2K)温度、12Tの磁場
中で通電試験を行った。外部磁場はコイルの中心軸に平
行にした。熱処理後のテープ線材の断面積から被抵抗を
計算し、超電導閾(しきい)値を1×10-13 Ωmと定
義すると、臨界電流値(Ic)は230Aであった。磁
場中での試験後に、外部磁場を除いた状態で試料コイル
に230Aを通電し、ホール素子を用いてコイルの発生
する中心磁場BO を測定すると、3800Gであった。
この値は理論値にほぼ一致し、超電導線材間の絶縁が充
分なされていること、そして超電導線材の長さ方向に欠
陥がないことを、示している。
【0028】〔実施例2〕熱処理までは実施例1と同様
な材料及び工程を経て作製したコイル状線材の、線材間
の間隙に、厚さ0.12mmのポリエチレンテレフタレート
テープを挿入した後、全体を巻き締め、内径13mm、外
径45mm、巻数64ターンのコイルとし、全体をエポキ
シ樹脂で固めて、超電導コイルとした。
【0029】得られたコイルについて、実施例1と同様
に通電試験を行ったところ、その臨界電流値(Ic)
は、実施例1の場合と同様230Aであり、線材の超電
導特性を劣化させることなく、より密に巻いたコイルを
作製できた。
【0030】また、磁場中通電試験後、外部磁場を取り
除き、コイルに230Aを通電し、ホール素子によって
試料コイルの発生する中心磁場B0 を測定したところ、
0 =6000Gであった。このことは、同一線材に対
して巻数が増え、コイルの形状因子がより有利に働くこ
とを示している。
【0031】〔実施例3〕本発明による超電導コイルの
別の例を図3に示す。図3の超電導コイルにおいて、銀
テープ1a,1b,1c,1dはそれぞれ両面を酸化物
系超電導層2で被覆され、それらの間に絶縁体3が介在
して渦巻き状に巻かれている.銀テープ1a,1b,1
c,1dは共に厚さ50μm、幅13mmのものであ
る。酸化物系超電導層2は、実施例1と同様、Bi2
2 CaCu2 X の仮焼粉末のスラリー状分散物を付
着、乾燥させた後、熱処理を施した、厚さ35μmの層
である。超電導層2で被覆された銀テープ1a,1b,
1c,1dを、それぞれ超電導線材31a,31b,3
1c,31dとして示す。絶縁体32a,32b,32
c,32dは厚さ0.15mmのポリエチレンテレフタレ
ートテープである。図示しないエポキシ樹脂でコイル全
体の外側を固めてある。
【0032】実際のコイルの巻き数は64ターンである
が、図3では8ターンの部分のみを示している。本実施
例のコイルの内径(直径)は13mm、外径(直径)は
45mmである。
【0033】この超電導コイルは次のようにして製造し
た。実施例1と同様にして、Bi2 Sr2 CaCu2
X の仮焼粉末のスラリー状分散液中に、厚さ50μm、
幅13mm、長さ7.5mの銀テープ1a,1b等を通
し、銀テープ1a等の表面に液膜を付着させ、乾燥させ
た。乾燥後の超電導層2の厚さは100μmとなる。得
られた複合テープを長さ1.5mずつ5本に切断した
後、それぞれ厚さ1.7mmのポリエチレンシートと重ね
てパンケーキ状に巻き、コイルとする。これをそれぞれ
150℃で1時間アニール(焼鈍)した後ポリエチレン
シートを取り除き、図2に示したと同様に、各コイルの
線材が互いに1.7mmの間隔を保つように保持しなが
ら、酸化物が部分的に溶融する温度に加熱した後徐冷す
る、熱処理を施す。熱処理の条件は実施例1と同じであ
る。銀テープ1a,1b,1c,1dを超電導層2で被
覆したものは、それぞれ超電導線材31a,31b,3
1c,31dである。
【0034】こうして得られたパンケーキ状コイルの寸
法は、いずれも内径13mm、外径63mm、巻数1
2.5ターンで、それぞれ線材間に1.85mmの隙間
が空いている。
【0035】4個のコイル状線材についてそれぞれ電極
を取付けた後、コイル状の超電導線材31aの間隙に、
4枚の、厚さ0.12mmのポリエチレンテレフタレート
テープ32a,32b,32c,32dを挿入する。超
電導線材31cを、4枚のポリエチレンテレフタレート
テープの内側の2枚32b,32cの間に挿入する。挿
入の状況を図4AないしCに示す。ただし、便宜上ポリ
エチレンテレフタレートテープの図示は省略した。図4
Aは挿入前の超電導線材31a,31cを、図4Bは挿
入途中の状態を、図4Cは挿入後の状態を示す。
【0036】同様にして、超電導線材31bを、超電導
線材31cの内側に位置する2枚のポリエチレンテレフ
タレートテープ32a,32bの間に挿入し、さらに、
超電導線材31dを、超電導線材31cの外側に位置す
るポリエチレンテレフタレートテープ32c,32dの
間に挿入する。このような超電導線材の挿入により、4
重のコイルが得られる。この後、4重のコイル全体を巻
き締め、内径13mm、外径45mmのコイルとする。
巻き締めによりコイルの巻数は16ターン、4列合計で
64ターンとなる。全体を極低温用グリース(アピエゾ
ンワックス)で固める。
【0037】最後に4列のコイルを直列に接続して、コ
イルの完成品とする。性能比較のため、前に作製して残
しておいた1つのコイル状線材の間隙にポリエチレンテ
レフタレートテープを複数枚重ね合わせて厚さ1.8mm
としたものを挿入し、そのまま全体を極低温用グリース
(アピエゾンワックス)で固めたものも調製した。
【0038】こうして製作した、4重および1重のパン
ケーキ型超電導コイルを、液体ヘリウム(4.2K)温
度、12Tの磁場中で通電試験を行った。外部磁場はコ
イルの中心軸に平行にした。熱処理後のテープ線材の断
面積から被抵抗を計算し、超電導閾(しきい)値を1×
10-13 Ωmと定義すると、臨界電流値(Ic)はとも
に230Aであった。これは、巻き締めを行うことによ
るコイルの劣化がなかったことを示している。
【0039】磁場中での試験後、外部磁場を除いて試料
コイルに230Aを通電し、ホール素子を用いてコイル
の発生する中心磁場BO を測定すると、4重コイルは6
000G、1重コイルは950Gであった。4重コイル
と1重コイルの磁場の値の比は4より大であるが、これ
は巻き締めによる巻数の増加(12.5から16に)
と、コイル外径の減小(63mmから45mmに)によ
る形状因子の変化のためと考えられる。また、これらの
値は理論値にほぼ一致し、線材間の絶縁が充分なされて
いること、そして超電導線材の長さ方向で劣化部分のな
いことを、示している。
【0040】
【発明の効果】本発明の超電導コイルは、酸化物系超電
導コイルであるにもかかわらず、合金系超電導コイル、
金属間化合物系超電導コイルと同様な絶縁体を用いてお
り、安価である。また、コイル形成後に高温処理を要す
る酸化物系超電導体等を用いていながら、W&R法によ
り安価に製造できる。
【0041】本発明の超電導コイルの製造方法によれ
ば、合金系超電導コイル、金属間化合物系超電導コイル
と同様な絶縁体を用いて、酸化物系超電導コイルを容易
に製造安価な酸化物系超電導コイルを実現することがで
きる。
【0042】本発明の超電導コイルの製造方法によれ
ば、合金系超電導コイル、金属間化合物系超電導コイル
と同様な絶縁体を用いて、酸化物系超電導コイルを容易
に製造することができる。また、W&R法により安価に
酸化物系超電導コイル等を製造できる。
【0043】また、本発明の超電導コイルの製造方法に
よれば、巻き上がったコイル全体を巻き締めた場合、個
々のコイルの変形量が減少するため、コイル線材にかか
る歪が減少し、酸化物超電導線材の許容歪範囲に入るこ
とにより、耐歪特性の良好でない酸化物超電導線材を用
いても、緻密に巻き締められる。従って、同一線材長に
対してコイルの巻数が増える。さらに巻き締めることに
より、コイルの外径が小さくなり、コイルの形状が磁界
発生に対してより有利になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明による超電導コイルの一実施例の
断面を示す説明図である。
【図2】図2AないしEは本発明による超電導コイルの
製造方法の一実施例の説明図である。
【図3】図3は本発明による超電導コイルの他の実施例
の断面を示す説明図である。
【図4】図4AないしCは本発明による超電導コイルの
製造方法の他の実施例の説明図である。
【符号の説明】
1,1a,1b,1c,1d 銀テープ 2 酸化物系超電導層 3 絶縁体 21 Bi2 Sr2 CaCu2 X 仮焼粉末 22 ポリビニルブチラール 23 溶媒 24 スラリー状分散液 24a 液膜 25 コイル状線材 26 電気炉 27 絶縁体 31a,31b,31c,31d 超電導線材 32a,32b,32c,32d 絶縁体、またはポ
リエチレンテレフタレートテープ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熊倉 浩明 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所筑波支所内 (72)発明者 北口 仁 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所筑波支所内 (72)発明者 前田 弘 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所筑波支所内 (72)発明者 加瀬 準一郎 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内 (72)発明者 下山 淳一 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内 (72)発明者 森本 剛 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内 (72)発明者 野村 克己 茨城県土浦市木田余町3550番地 日立電線 株式会社アドバンスリサーチセンタ内 (72)発明者 清藤 雅宏 茨城県土浦市木田余町3550番地 日立電線 株式会社アドバンスリサーチセンタ内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機物結合媒体中に分散された酸化物系
    超電導体粉末から成る層を、前記酸化物系超電導体と高
    温で実質的に反応しない物質から成る支持体の少なくと
    も一面に有する帯状体が、絶縁体と半径方向に隣接する
    ように重ねて巻回され、コイルを形成していることを特
    徴とする、超電導コイル。
  2. 【請求項2】 酸化物系超電導体の粉末から成る層を有
    し、かつ前記酸化物系超電導体と高温で実質的に反応し
    ない物質から成る帯状体が、絶縁体と半径方向に隣接す
    るように重ねて巻回され、コイルを形成していることを
    特徴とする、超電導コイル。
  3. 【請求項3】 熱処理により超電導性が生ずるように構
    成された線材が、半径方向に所定の間隙を形成するよう
    に巻回されたコイルを形成し、 前記コイルを熱処理し、 熱処理後に前記間隙に絶縁体を挿入し、必要に応じて前
    記コイルの直径を縮小し、前記線材と前記絶縁体が半径
    方向に互に隣接するコイルを形成することを特徴とす
    る、 超電導コイルの製造方法。
  4. 【請求項4】 超電導線材が半径方向に所定の間隙を形
    成するように巻回されて形成された、少なくとも2つの
    コイルを、前記間隙に互いに差し込むことにより組合せ
    て、少なくとも2つの前記超電導線材から成る、所定の
    間隙を有した多重超電導コイルを形成し、 前記多重超電導コイルの前記間隙に絶縁体を挿入し、必
    要に応じて前記コイルの直径を縮小し、前記超電導線材
    と前記絶縁体が半径方向に互に隣接するコイルを形成す
    ることを特徴とする、 超電導コイルの製造方法。
  5. 【請求項5】 酸化物系超電導体と高温で実質的に反応
    しない物質から成る帯状の支持体の少なくとも一面に、
    有機物結合媒体中に分散された酸化物系超電導体粉末か
    ら成る層を設けて、線材を形成し、 少なくとも1つの前記線材を、半径方向に所定の間隙を
    形成するように巻回してコイルを形成し、 前記コイル形成時または形成後に、前記間隙に絶縁体を
    挿入して、前記帯状体と前記絶縁体が半径方向に互に隣
    接するコイルを形成することを特徴とする、 超電導コイルの製造方法。
  6. 【請求項6】 少なくとも1枚の帯状超電導線材を、半
    径方向に適当な間隙を形成するように巻回してコイルを
    形成し、前記超電導線材の間隙にコイル形成と同時また
    はコイル形成後に絶縁体を挿入し、超電導体と絶縁体が
    半径方向に互に隣接したコイルを形成することを特徴と
    する、超電導コイルの製造方法。
JP3282245A 1991-10-02 1991-10-02 超電導コイルの製造方法 Expired - Lifetime JP3032771B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3282245A JP3032771B2 (ja) 1991-10-02 1991-10-02 超電導コイルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3282245A JP3032771B2 (ja) 1991-10-02 1991-10-02 超電導コイルの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05198424A true JPH05198424A (ja) 1993-08-06
JP3032771B2 JP3032771B2 (ja) 2000-04-17

Family

ID=17649945

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3282245A Expired - Lifetime JP3032771B2 (ja) 1991-10-02 1991-10-02 超電導コイルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3032771B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015012257A (ja) * 2013-07-02 2015-01-19 株式会社東芝 超電導コイルの熱処理装置及びその方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015012257A (ja) * 2013-07-02 2015-01-19 株式会社東芝 超電導コイルの熱処理装置及びその方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3032771B2 (ja) 2000-04-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6603379B1 (en) Superconducing wind-and-react-coils and methods of manufacture
EP0423354B2 (en) Oxide superconductor wire, method of producing the same and article produced therefrom
KR970007766B1 (ko) 산화물 초전도체 선재와 초전도 코일 및 이러한 소자의 제조방법
JPH06318409A (ja) 超電導導体
JPH06325629A (ja) 酸化物超電導導体とその製造方法およびそれを備えた酸化物超電導電力ケーブル
JP3386942B2 (ja) 酸化物超電導コイル及びその製造方法
EP0631331B1 (en) Method of preparing high-temperature superconducting wire
US3258828A (en) Method of producing a superconductive solenoid disc
CA2178565C (en) Process for producing a multifilamentary superconducting tape and electrically conductive element comprising said tape
JP3032771B2 (ja) 超電導コイルの製造方法
JP3534428B2 (ja) 酸化物高温超電導線材の製造方法
US6215072B1 (en) Method of preparing an oxide superconducting conductor
JP3520699B2 (ja) 酸化物超電導線材及びその製造方法
US6387525B1 (en) Self insulating substrate tape
JPH06139848A (ja) 酸化物高温超電導線材の製造方法
JPS63284720A (ja) 超電導線
JP2757575B2 (ja) 高温超電導線材の製造方法
JPH0362905A (ja) 超電導コイルの製造方法
JP4534276B2 (ja) 酸化物超電導線材の接続方法
AU709072B2 (en) Method of making superconducting wind-and-react coils
JPH117845A (ja) 超電導線
JPH04329217A (ja) 酸化物超電導線材およびその製造方法
JPH01711A (ja) 超電導コイル
JPS6344281B2 (ja)
JPS63266712A (ja) 超電導線

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term