JPH05196408A - 走査型トンネル顕微鏡、及び走査型トンネル顕微鏡を利用したトンネル電子分光方法 - Google Patents

走査型トンネル顕微鏡、及び走査型トンネル顕微鏡を利用したトンネル電子分光方法

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JPH05196408A
JPH05196408A JP852292A JP852292A JPH05196408A JP H05196408 A JPH05196408 A JP H05196408A JP 852292 A JP852292 A JP 852292A JP 852292 A JP852292 A JP 852292A JP H05196408 A JPH05196408 A JP H05196408A
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tunnel current
scanning
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JP852292A
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Inventor
Hikari Yamamoto
光 山本
Yasuhiko Fukuchi
康彦 福地
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 走査型トンネル顕微鏡において、試料面の各
測定箇所で得られるトンネル電流データに関し新しいデ
ータ処理手法を与えることにより、実用性の高い物性評
価を行うことのできるSTS機能を実現する。 【構成】 探針1と、探針と試料の距離を変える圧電素
子5と、探針と試料の間にトンネル電流を流すための電
圧印加部6と、トンネル電流検出部7と、トンネル電流
を一定に保持するため探針と試料の距離を調整するサー
ボ回路9と、探針を走査動作させる走査部11と、測定
表面に関するデータを記憶・処理する演算処理部10
と、測定表面の画像を表示するモニタ部13と、各測定
箇所で、電圧印加部のバイアス電圧を段階的に変化させ
る制御部12と、各測定箇所でのバイアス電圧とトンネ
ル電流の特性曲線を表すデータを格納する記憶部と、す
べての測定箇所に関する特性曲線を表すデータに基づき
二次元頻度分布を算出する分布演算手段41と、算出さ
れた二次元頻度分布に基づいて選択範囲内に含まれる測
定箇所を求め、モニタ部に表示する表示処理手段42で
構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は走査型トンネル顕微鏡及
びこの走査型トンネル顕微鏡を利用したトンネル電子分
光方法に係り、特に、探針と試料面の間に流れるトンネ
ル電流の特性について試料面の各測定箇所でのデータを
集め、試料面各部の物性を評価できるデータ処理機能を
有する走査型トンネル顕微鏡の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】探針と試料面の間に流れるトンネル電流
を利用して試料面の物性的情報を得る走査型測定装置
は、現在、大きく分けて2つのタイプが存在する。1つ
のタイプは走査型トンネル顕微鏡(以下STMという)
であり、他のタイプは走査型トンネル電子分光装置(以
下STSという)。STMとSTSは基本的に同一の構
成を有している。いずれの装置でも、試料の測定表面に
直交する位置関係で配置された探針を、試料面に対しト
ンネル電流が流れる程度の微小距離にて接近させ、且つ
探針を上記状態を保持して試料面に沿って走査するよう
に位置制御が行われる。STMでは、探針と試料面との
距離を一定に保つことを条件に走査を行って試料面の凹
凸状態(高さ)を測定する。STSでは、探針を走査動
作において、探針と試料面の各測定箇所との間で発生す
るトンネル電流の特性を測定し、試料面各部の物性に関
するデータを得る。STM及びSTSのそれぞれで、探
針の空間的位置座標は、探針の中心線にて先端から根元
に向う方向をZ軸、このZ軸に直角な平面内に含まれ且
つ互いに直交する2つの方向をそれぞれX軸及びY軸と
して空間座標を定義し、この空間座標におけるX,Y,
Zの座標値によって決定される。更に詳しく述べる。S
TMは、前記条件を満たす試料面走査で得られるZ軸方
向の位置データを用いて試料面の測定領域の凹凸状態を
測定する。こうして探針のZ座標に関する情報を用いて
試料面の鳥瞰図や輝度変調像を表示することができ、試
料面の極めて微細な凹凸形状を解析することができる。
またSTSは、STMと同様に配置された試料と探針の
関係において、探針に印加されるバイアス電圧を複数の
段階(例えば2〜64の段階)に設定し、測定箇所で探
針のZ軸方向の位置を固定したまま(静止状態)、各バ
イアス電圧を順次に印加し、各バイアス電圧に対応して
流れるトンネル電流の大きさを測定する。こうして試料
の全測定箇所に関しトンネル電流を計測し、平面走査を
行う。この場合に、各測定箇所で複数のバイアス電圧の
それぞれに対応するトンネル電流を検出するとき、探針
のZ軸方向の位置制御のためのサーボ回路はOFF状態
にされる。また平面走査において、1つの測定箇所から
他の測定箇所に移動する時、サーボ回路はON状態にさ
れる。STSの測定データに従えば、各測定箇所におけ
るバイアス電圧の変化に対するトンネル電流の変動を解
析することより、例えば半導体におけるN型領域やP型
領域など、試料面の各部の物性を評価することができ
る。しかし、従来の技術での適用範囲では、超真空度に
おいて適用可能で、真空度に関して制限が付されてい
る。なお、この種の装置の従来文献として、IBM J. RE
S. DEVELOP.VOL.30 NO.4 JULY 1986 が存在する。
【0003】上記の説明ではSTMとSTSを別々の装
置として説明したが、STSはSTMの別の利用態様と
考えることもできる。そこで以下では、STSは、ST
Mの基本的構成に基づいて第2の機能によって実現され
る装置であるとし、STMを基礎にして説明を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では、ST
S機能を実現するSTMは、試料面における各測定箇所
で得られるトンネル電流特性データに関し、広い計測分
野にわたって利用することのできる有用な解析技術が確
立されていない。また従来の技術では、超真空環境で正
確な計測データを得る技術は存在するが、比較的低い真
空度(高い圧力)の領域で正確な計測情報を得る技術は
確立されてない。従って、現在のところ、STS機能を
実行するSTMは、物性評価を行うための実用装置とし
ては不完全の状態にある。
【0005】本発明の目的は、試料面の各測定箇所で得
られるトンネル電流データに関し新しいデータ処理手法
を与えることにより、実用性の高い物性評価を行うこと
のできるSTS機能を有したSTMを提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るSTMは、
試料の測定表面に接近して配置される探針と、探針と試
料の距離を変えるための探針移動手段と、探針と試料の
間にトンネル電流を流すためのバイアス電圧を与える電
圧印加手段と、トンネル電流を検出する測定手段と、検
出されたトンネル電流を一定に保持するため探針移動手
段を介して探針と試料の距離を調整する制御手段と、探
針に測定表面を走査させる走査手段と、探針で得られた
測定表面に関するデータを記憶し、処理する演算処理手
段と、この演算処理手段で求められた測定表面の画像を
表示する表示手段とを備え、更に、各測定箇所で、電圧
印加手段の出力するバイアス電圧を段階的に変化させる
電圧可変手段と、各測定箇所で得られたバイアス電圧と
トンネル電流の特性曲線を表すデータを格納する記憶手
段と、この記憶手段に格納されたすべての測定箇所に関
する特性曲線を表すデータに基づき二次元頻度分布を算
出する分布演算手段と、算出された二次元頻度分布に基
づいて選択範囲内に含まれる測定箇所を求め、表示手段
に表示する表示処理手段とを備える。本発明に係るST
Mを利用した走査型トンネル電子分光法は、試料面の各
測定箇所にてトンネル電子分光による測定で得られたバ
イアス電圧とトンネル電流の特性曲線を用いて二次元頻
度分布を求め、得られた二次元頻度分布で選択領域を指
定し、選択領域に含まれる測定箇所を、試料面の画像の
上に表示する。
【0007】
【作用】本発明によるSTMで実行されるSTSでは、
試料の測定表面における離散的に設定された複数の測定
箇所のそれぞれでバイアス電圧とトンネル電流に関する
特性曲線を求め、測定で得たすべての特性曲線を記憶部
に記憶し、すべての特性曲線を用いて二次元頻度分布を
求めることにより、試料の測定表面の各部の物性を評価
することができる。特定の物性を有する試料の表面部分
は、二次元頻度分布において、当該特定の物性を表す山
脈部分にて特性を一義的に定めることが可能な領域を選
択して指定し、この選択領域に含まれる測定箇所を求め
ることにより、定めることができる。物性が求められた
試料面領域については、表示装置に表示された試料面画
像において特定の物性を表す領域を表示することができ
る。こうして画像の上で試料面の各部の物性を評価する
ことができる。
【0008】
【実施例】以下に、本発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。図1に基づきSTMの基本的構成を説明す
る。図1に示される構成は、STMの特徴を表す探針周
辺部の構成と、探針の位置制御及び探針の走査で得られ
る測定データの記憶及び各種の演算処理を行う演算処理
部の構成を示している。
【0009】探針1の先端は鋭く尖って試料2の測定表
面に臨む。探針1は、図示しないトライポッドヘッドに
て、相互に直交するように配置された3本の棒状の微動
用圧電素子3,4,5の交差部に取り付けられる。圧電
素子3はX軸方向の移動に関与するアクチュエータ、圧
電素子4はY軸方向の移動に関与するアクチュエータ、
圧電素子5はZ軸方向の移動に関与するアクチュエータ
である。探針1の中心線は、圧電素子5の中心線とほぼ
一致している。圧電素子3,4は、探針1を試料2の測
定表面に沿って走査移動させるアクチュエータとして機
能する。圧電素子5は、探針1をその中心線方向にて微
動させる機能を有する。圧電素子5による探針1の位置
調整は、探針1の先端部と試料2の表面との間の距離を
微小に調整するために行われる。前記トライポッドヘッ
ドは、他の駆動機構、例えば手動装置、ステッピングモ
ータ、ストロークの大きい粗動用圧電素子等に固定され
る。この駆動機構によって、探針1は、試料2に対し離
れた位置から、トンネル電流が検出される極めて試料2
に近接した位置に移動する。探針1にトンネル電流が流
れる状態では、探針1と試料2の間の距離は原子レベル
の距離である。探針1の粗動を実現する駆動機構によ
り、試料表面に対する迅速な接近動作を行うことができ
る。
【0010】探針1と試料2との間隔が所定の距離にな
る場合に、電圧印加部6により探針1と試料2の間に所
定の電圧が印加されていると、探針1と試料2の間には
トンネル電流が流れる。探針1に発生したトンネル電流
は、その電流値がトンネル電流検出部7で検出される。
【0011】トンネル電流検出部7で検出されたトンネ
ル電流の値は、電流・距離変換部8で対応する距離に変
換される。この距離は探針1と試料2の間隔を表してい
る。この距離は、通常、電圧によって表現される。距離
を表す電圧は、サーボ回路9に与えられる。電流・距離
変換部8から出力される、距離を表す電圧の値は、探針
1と試料2の間で流れるトンネル電流の変化に対応して
変化する。サーボ回路9は、電流・距離変換部8からの
距離に関する出力を入力し、この距離の値を、予め内部
に設定された基準の距離と比較し、探針1と試料2の距
離が一定になるように、圧電素子5に駆動信号を与え、
その伸縮動作を制御する。探針の試料面走査中に探針1
と試料2の間隔を常に一定に保持する目的でサーボ回路
9で作られた制御のためのデータは、演算処理回路10
の記憶部10aに送られ、ここに記憶される。この制御
のためのデータは、圧電素子5のZ軸方向の伸縮量を表
す空間座標である。
【0012】探針1による試料2の表面の走査は、走査
部11の制御の下で行われる。走査部11は、X軸用圧
電素子3とY軸用圧電素子4に対して制御信号を与え、
圧電素子3,4により走査は二次元的にXY平面で行わ
れる。走査部11から圧電素子3,4に与えられた制御
信号、すなわち各圧電素子に対する負荷電圧は、各圧電
素子の伸縮量として、記憶部10aに送られ、記憶され
る。これによって探針1のXY平面における走査の各位
置の座標を得ることができる。
【0013】上記STMにおいて、STSの機能を実現
するために、試料2の測定表面の上で決められた複数の
測定箇所のそれぞれで、電圧印加部6が探針1及び試料
2の間に与えるバイアス電圧を段階的に変化させるため
の制御部12に関する構成が付加される。制御部12に
組み込まれた制御手順に基づきトンネル電流を流すため
のバイアス電圧が段階的且つ連続的に変化する。また、
印加される各バイアス電圧と、各バイアス電圧に対応し
て発生するトンネル電流とが、関連付けられた状態にて
演算処理部10の記憶部10aに格納される。バイアス
電圧とトンネル電流との関係は、試料面の各測定箇所ご
とに測定され、記憶される。
【0014】記憶部10aに記憶された探針1の位置デ
ータ、及び各測定箇所における各バイアス電圧に対応す
るトンネル電流のデータは、処理部10bに与えられ
る。処理部10bは、後述する処理手法に基づき入力さ
れた各測定データを使用してデータ処理を行い、且つ得
られた画像データをモニタ13に送って画像の表示を行
う。
【0015】次に、図2〜図6を参照して、本発明に係
るSTMにおけるSTS機能を説明する。このSTS機
能によって得られる測定データの概念イメージを、図2
に示す。試料2の表面において、トンネル電流を検出す
る各測定箇所は離散的に複数の箇所が選択される。各測
定箇所は予めXY座標で指定され、探針1のXY平面に
おける走査は、この位置データに基づいて行われる。各
測定箇所では、静止状態の探針1にn通りのバイアス電
圧V1 〜Vn が与えられるとする。n個のバイアス電圧
は連続的に値が変化するように設定されている。この結
果、試料面に関しSTSの測定を行うと、図2に示され
る如く、各バイアス電圧ごとにXYデータ平面に対応す
るトンネル電流データを得ることができる。
【0016】バイアス電圧(V)の変化に対するトンネ
ル電流(I)の特性(V−I特性曲線)は、測定対象部
分の物性を示す。すなわち、試料面の各測定箇所で、バ
イアス電圧を連続的に変化させトンネル電流を測定する
ことにより得られるトンネル電流の特性曲線の形状は、
試料の表面物性に依存する。図3に表面物性と特性曲線
の形状との関係の一例を示す。この図では、試料2の電
位を0にセットし、探針1にプラスの電圧を印加したと
きを+のバイアス電圧、マイナスの電圧を印加したとき
を−のバイアス電圧と定義している。図3において、
(a)は一般的な導体の特性曲線を示し、(b)はN型
半導体の特性曲線を示し、(c)はP型半導体の特性曲
線を示す。こうしてV−I特性曲線を調べれば、試料面
の各部の物性を知ることできる。
【0017】次に、本発明に係るSTS機能におけるデ
ータ処理として二次元頻度分布を適用することを説明す
る。バイアス電圧をV1 〜Vn に変化させてトンネル電
流を測定する測定を、全測定領域の各々の測定箇所にお
いて行い、STS機能によるデータを得る。この測定デ
ータは、バイアス電圧、トンネル電流、測定箇所の水平
(X,Y)座標を関連付けて、記憶部10aに格納され
る。次にSTSのデータから取り出される測定領域全域
のV−I特性曲線を、同一のグラフの上に重ねて積み上
げる。その結果、図4に示す如く三次元の立体的なグラ
フを描くことができる。図4のグラフにおいて、バイア
ス電圧の軸とトンネル電流の軸が形成する平面座標系に
おいて、この座標平面に垂直に頻度の軸が定義される。
こうして二次元頻度分布を得ることができる。図4に示
した例では、試料2の表面の観察範囲に導体領域とN型
半導体領域の2つが存在する例を示している。すなわち
図4では、図3の(a)及び(b)で説明した特性曲線
パターンが山脈21,22として現れている。そこで、
例えば2つの山脈が完全に分離した箇所にて山脈の一部
23を選択する。図4に示された二次元頻度分布を作成
するために使用されたすべての測定データについては、
STSによる測定が実行された箇所の水平座標データを
参照することができる。従って、前述の選択領域23の
すべてのデータが、観察領域のどの位置で測定されたも
のであるかが判明する。選択された領域23のすべての
データに対し、観察領域31の平面において測定された
箇所の印をつけると、図5に示すようになる。図5で、
ハッチングした箇所32がN型半導体領域を示す。試料
2の測定表面に含まれるN型半導体領域32のSTSデ
ータが、図4の二次元頻度分布において山脈21を形成
する。上記の如くして、試料2の測定表面における表面
物性が異なる領域を区別することができる。従って、二
次元頻度分布における山脈の形状から測定領域の物性の
種別を認識することができる。
【0018】以上のように二次元頻度分布を用いたデー
タ処理は、処理部10bで実行される。処理部10bで
実行される二次元分布処理のフローチャートを図6に示
す。図6で、まず最初の段階では、図1及び図2を参照
して説明した通りSTSに基づく測定が行われる(ステ
ップS1)。STSによる測定で得られたデータを用い
て、二次元頻度分布を計算する(ステップS2)。これ
によって処理部10bでは実質的に図4に示したグラフ
が作成される。得られた二次元頻度分布のグラフにおい
て、ある特徴を有する部分を選択して指定する(ステッ
プS3)。最後に、指定された領域内に対応する複数の
測定箇所をモニタ12の画面の上に表示する(ステップ
S4)。これにより、モニタ12の画面には、図5に示
す画像が映し出される。
【0019】以上の如く、STS機能を有するSTMに
おいて、STSで得られた測定データに二次元頻度分布
を適用することにより、試料2の測定表面の各部の組成
について重要な情報を得ることができる。STS機能を
実現するSTMでは、本来のSTM機能では得ることが
困難な試料面の物性評価を行うことができる。
【0020】なお、二次元頻度分布では1つの山脈全部
を指定する必要はなく、特徴のある一部の領域を選択す
るだけで十分である。何故なら、一種類のバイアス電圧
に対して観察範囲内のすべての測定データが存在するの
で、山脈のすべてを指定すると、バイアス電圧0付近に
2つの山脈が重なった所が原因となって導体領域にまで
ハッチングが施されるおそれがあるからである。また、
トンネル電流の特性曲線を表す図4に示した山脈の領域
をすべて網羅するためには、トンネル電流方向に関し山
脈の一方の側の裾から他方の側の裾まで指定することが
必要である。
【0021】前述したSTS機能を有するSTMの構成
は、機能ブロック図で表すと、図7に示すようになる。
図1で示した要素と実質的に同一のものには、同一の符
号を付す。先ず、STMの基本的構成、すなわち、探針
1と、探針1と試料2の距離を変えるための探針移動手
段5(圧電素子)と、探針と試料の間にトンネル電流を
流すためのバイアス電圧を与える電圧印加手段6と、ト
ンネル電流を検出する測定手段7(トンネル電流検出
部)と、検出されたトンネル電流を一定に保持するため
探針移動手段5を介して探針と試料の距離を調整する制
御手段9(サーボ回路)と、探針1に測定表面を走査さ
せる走査手段11と、探針で得られた測定表面に関する
データを記憶し、処理する演算処理手段10と、この演
算処理手段10で求められた測定表面の画像を表示する
表示手段13(モニタ部)を有している。更に、測定表
面における各測定箇所で、電圧印加手段6が与えるバイ
アス電圧を段階的に変化させる電圧可変手段12(制御
部)と、各測定箇所で得られた、バイアス電圧とトンネ
ル電流の特性曲線を表すデータを格納するための記憶手
段10aと、この記憶手段に格納されたすべての測定箇
所に関する前記特性曲線を表すデータに基づき二次元頻
度分布を算出する分布演算手段41と、算出された二次
元頻度分布に基づいて選択範囲内に含まれる測定箇所を
求め、前記表示手段13に試料像に重ねて表示する表示
処理手段42を備える。一般的に分布演算手段41と表
示処理手段42は、前記の演算処理手段10において、
ソフト的に実現される。
【0022】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、STMのSTS機能において、試料面の観測範囲
における各測定箇所で得られたSTSデータに基づい
て、二次元頻度分布を作成するようにしたため、その分
布の特徴部分によって正確に試料面の各部の物性及び組
成の評価を行うことができる。またその特徴部分の適切
な一部を選択することにより、試料の観察表面に特定の
物性に関する領域を明確に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るSTMの代表的な実施例を示す部
分構成図である。
【図2】STSに基づき測定されたトンネル電流のデー
タ構造を説明するための図である。
【図3】バイアス電圧とトンネル電流の特性曲線の例を
示すグラフである。
【図4】二次元頻度分布の一例を概念的に示す図であ
る。
【図5】試料の表面像の上に各部の物性を示す領域を像
で示した図である。
【図6】STSの機能を実現するためのフローチャート
である。
【図7】本発明を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
1 …探針 2 …試料 3,4,5 …圧電素子 6 …電圧印加手段 7 …トンネル電流検出部 8 …電流・距離変換部 9 …サーボ回路 10 …演算処理回路 11 …走査部 12 …制御部 13 …モニタ部 41 …分布演算手段 42 …表示処理手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料の測定表面に接近して配置される探
    針と、前記探針と前記試料の距離を変えるための探針移
    動手段と、前記探針と前記試料の間にトンネル電流を流
    すためのバイアス電圧を与える電圧印加手段と、前記ト
    ンネル電流を検出する測定手段と、検出された前記トン
    ネル電流を一定に保持するため前記探針移動手段を介し
    て前記探針と前記試料の距離を調整する制御手段と、前
    記探針に前記測定表面を走査させる走査手段と、前記探
    針で得られた前記測定表面に関するデータを記憶し、処
    理する演算処理手段と、この演算処理手段で求められた
    前記測定表面の画像を表示する表示手段とを備える走査
    型トンネル顕微鏡において、 前記測定表面における各測定箇所で、前記電圧印加手段
    が出力する前記バイアス電圧を段階的に変化させる電圧
    可変手段と、各測定箇所で得られた、バイアス電圧とト
    ンネル電流の特性曲線を表すデータを格納する記憶手段
    と、この記憶手段に格納されたすべての測定箇所に関す
    る前記特性曲線を表す前記データに基づき二次元頻度分
    布を算出する分布演算手段と、算出された二次元頻度分
    布に基づいて選択範囲内に含まれる測定箇所を求め、前
    記表示手段に表示する表示処理手段とを備えることを特
    徴とする走査型トンネル顕微鏡。
  2. 【請求項2】 走査型トンネル顕微鏡の基本構成を利用
    して実行される走査型トンネル電子分光方法において、
    試料面の各測定箇所にてトンネル電子分光に基づく測定
    で得られたバイアス電圧とトンネル電流の特性曲線を用
    いて二次元頻度分布を求め、得られた前記二次元頻度分
    布で選択領域を指定し、前記選択領域に含まれる測定箇
    所を、前記試料面の画像の上に表示したことを特徴とす
    る走査型トンネル電子分光方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012088283A (ja) * 2010-10-22 2012-05-10 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> プローブ型光測定装置および光測定方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012088283A (ja) * 2010-10-22 2012-05-10 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> プローブ型光測定装置および光測定方法

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