JPH05191175A - 高周波電力増幅器 - Google Patents

高周波電力増幅器

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JPH05191175A
JPH05191175A JP4023162A JP2316292A JPH05191175A JP H05191175 A JPH05191175 A JP H05191175A JP 4023162 A JP4023162 A JP 4023162A JP 2316292 A JP2316292 A JP 2316292A JP H05191175 A JPH05191175 A JP H05191175A
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Masaya Kuwano
雅也 桑野
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IWATSUU SEIMITSU KK
Iwatsu Electric Co Ltd
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IWATSUU SEIMITSU KK
Iwatsu Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高効率の高周波電力増幅器を得ること。 【構成】 電界効果トランジスタ101のドレインDに
おける寄生線路の電気長と結合線路20a,20bの電
気長の合計をドレインDの出力の基本波の2次高調波の
波長の4分の1に等しくして点193を仮想接地し、2
次高調波による損失を除去した。結合線路20a,20
bには、帯状の面対向した2つの結合線路を外部導体で
被い、誘電体を充填したものを用いた。 【効果】 漏洩電磁界による電力損失を無くし、寄生線
路の悪影響を除去し、高効率で小型の電力増幅器を得
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高周波信号の電力増幅器
に関するものであり、具体的には、移動無線通信機等に
使用される電力効率の高い送信用電力増幅器を提供せん
とするものである。
【0002】
【従来の技術】無線装置の送信機には、高いレベルの高
周波電力を出力するための高周波電力増幅器が組み込ま
れている。無線装置が消費する直流電力の大部分は、こ
の高周波電力増幅器が必要とする電力であり、無線装置
の低消費電力化のためには高周波電力への変換効率を高
めることが不可欠である。このことはとくに、電池によ
り動作する携帯電話機において極めて重要な事項であ
る。
【0003】通常、A級あるいはAB級の高周波電力増
幅器では、UHF帯変換効率30ないし50%が得られ
ているが、能動素子からみた負荷側の高周波信号に対す
るインピーダンスを適切に選べば、さらに高い変換効率
を得ることができる。
【0004】この変換効率と負荷側のインピーダンスと
の関係について、図10を用いて説明する。図10は電
力増幅器の基本構成を示しており、入力端子121から
の高周波信号をソースSが接地された電界効果トランジ
スタ101でのゲートGに印加し増幅された高周波信号
はそのドレインDから得られて、基本波におけるインピ
ーダンス整合をとるための基本波整合回路134を介し
て負荷インピーダンス150へ高周波電力が供給され
る。ここでL6およびL7はインダクタンスであり、そ
れぞれ直流電源VGS,VDSをゲートGおよびドレインD
に供給している。ここでIDCはドレインDへの直流電
流、VD(t) は高周波ドレイン電圧、ID(t)はド
レインDへの高周波電流、IM(t) は基本波整合回路
134への高周波電流、IOUT(t) は負荷インピーダ
ンス150への高周波電流である。
【0005】図11(a)には図10のドレインDへの
高周波電流ID(t) の電流波形171が、図11
(b)には図10の高周波ドレイン電圧VD(t) の電
圧波形172が示されている。高周波電流ID(t)
は、 ID(t)=ΣICk exp(jkωt)=I0 +I1 +I2 +I3 +I4 +… (1) ここで゛、 I1 =Re{2IC1 exp(jωt)} I2 =Re{2IC2 exp(j2ωt)} I3 =Re{2IC3 exp(j3ωt)} I4 =Re{2IC4 exp(j4ωt)} … と表わすことができる。ここでΣはkを−∞から+∞ま
で変えて加算することを表わし、IC は実部および虚部
を含む複素電流を示し、Reはその実部を示している。
【0006】同様に高周波ドレイン電圧VD(t) は、 VD(t)=ΣVCk exp(jkωt)=V0 +V1 +V2 +V3 +V4 +… (2) ここで、 V1 =Re{2VC1 exp(jωt)} V2 =Re{2VC2 exp(j2ωt)} V3 =Re{2VC3 exp(j3ωt)} V4 =Re{2VC4 exp(j4ωt)} … と表わすことができる。ここでΣはkを−∞から+∞ま
で変えて加算することを表わし、VC は実部および虚部
を含む複素電流を示し、Reはその実部を示している。
図10の点181から、基本波整合回路134側をみた
インピーダンスをZM (ω)とし、ω=2πfとするな
らば、式(1)および(2)の各電流IC および電圧V
C の間には、 VC1=−ZM (ω)IC1C2=−ZM (2ω)IC2C3=−ZM (3ω)IC3C4=−ZM (4ω)IC4 …… (3) の関係があるので、点181から右側を見た各調波に対
するインピーダンスZM (kω)により式(1)および
(2)の高周波電流ID(t) および高周波ドレイン電
圧VD(t)の波形が変化することがわかる。
【0007】電界効果トランジスタ101の電力損失P
F は、 PF =T-1∫ VD(t)ID(t)dt (4) ここで、T=2π/ω,ω=2πfであり、∫は0から
Tまでの期間積分することを表わしている。
【0008】基本波の周波数f0 における電界効果トラ
ンジスタ101のドレインDからの出力POUT(1)
は、 ω0 =2πf0 とすると、 POUT(1)=2Re{ZM (ω0 )}|IC12 (5) k次の高調波の周波数kf0 における電界効果トランジ
スタ101のドレインDからの出力電力POUT(k)
は、 OUT(k)=2Re{ZM (kω0 )}|ICk2 (6)
【0009】図10の回路の直流電源VDSから供給され
る消費電力PDCDC=VDSDC=PF+ΣPOUT(k) (7) となる。ここでVDSは直流電源VDSの電圧であり、Σは
k=1から∞まで変えたときの合計を表わしている。電
界効果トランジスタ101のドレインDにおける基本波
の周波数f0 の出力電力を得るドレイン効率ηは、 η=POUT(1)/PDC (8) である。
【0010】式(8)に示したドレイン効率ηを大きく
して高効率化を図るためには、消費電力PDCの減少と、
基本波の周波数f0の出力電力POUT(1)の増大が必要
となる。
【0011】そこで消費電力PDCを減少せしめるため
に、式(7)の電界効果トランジスタ101の電力損失
F を減少することが必要であり、それには、式(4)
に示された電力損失PF の原因となる高周波ドレイン電
圧VD(t) とドレインDの高周波電流ID(t) の
積、すなわち、図11のID(t)とVD(t)が時間的
に重なっている部分(電流波形171aの立下り部分と
電圧波形172aの立上り部分、同じく172aの立下
り部分と171bの立上り部分、171bの立下り部分
と172bの立上り部分)を小さくするように図10の
点181から右(負荷側)を見たインピーダンスを設定
する必要がある。図11においてID(t)を表わす電
流波形171a,171bと、VD(t) を表わす電圧
波形172a,172bとの時間的な重なりが無くなれ
ば、式(4)の電力損失PF を除去することができる。
また式(7)の基本波(k=1)を除くk次の高調波の
出力電力POUT(k) (ただしkは2以上)を0にする
ために、式(6)のk次の高調波における抵抗分Re
{ZM(kω0 )} を0にするか、あるいはk次の高調
波における高周波電流である複素電流ICkを0にすれば
よい。
【0012】このような条件を実現する方法として、ド
レインDの高周波電流ID(t) を流通角180°の半
波整流波形とし、偶数次のインピーダンスを0とするた
めのB級増幅器が使用されている。半波整流時のドレイ
ンDの高周波電流ID(t)は、 ID(t)=1/π +(1/2) cos ω0 t +(2/3π) cos(2ω0 t) −(2/7π) cos(4ω0 t) +(2/35π) cos(6ω0 t) −… (9) となる。式(9)を見ると、この高周波電流ID(t)
はω0 で示される基本波と、たとえば2ω0 ,4ω0
…などで示される偶数次の高調波成分を含むから、偶数
次高調波に対するインピーダンスを0にすれば偶数次高
調波における電圧は0になるから高周波ドレイン電圧V
D(t) は基本波成分のみになり、式(8)に示すドレ
イン効率ηは高くなることが知られている。
【0013】実際には、k=3以上の高次の高調波にお
ける高調波電力はk=2の場合に比べて比較的小さいの
で、2次高調波(k=2)に対して、式(6)のインピ
ーダンス Re{ZM(2ω0 )} を0にして高いドレイン効率ηを得ようとしている。現
実には、図10の電界効果トランジスタ101のドレイ
ンDの点181から右を見た基本波の2倍の周波数2f
0 (2次高調波)に対するインピーダンスを0に近づけ
ることで実現しようとしている。
【0014】基本波の2倍の周波数2f0 (2次高調
波)に対するインピーダンスを0にしようとする回路
(以下第1の従来例という)が図12(a)に、図12
(b)には(a)に示した回路における2次高調波の定
在波が示されている。(a)の回路においては、インダ
クタンスL6,L7や直流電源VDS,VGSは記載が省略
されている。
【0015】図12(a)において、入力端子121に
印加された高周波信号は、ソースSが接地された電界効
果トランジスタ101のゲートGに印加され増幅され
て、高周波電力はドレインDに得られる。その高周波電
力は、伝送路114を通り、オープン・スタブ118の
接続された点182を通過して、基本波整合回路134
を介してインピーダンス整合がなされて、負荷インピー
ダンス150に印加されている。
【0016】伝送路114およびオープン・スタブ11
8における2次高調波の定在波は図12(b)に示され
ており、点191と点182との間に接続された伝送路
114の電気長は2次高調波の波長λの2分の1であ
り、点182に接続されたオープン・スタブ118の開
放端の点192までの電気長はλの4分の1である。点
192においては、2次高調波の振幅は最大であり、点
182および点191ではその振幅は0すなわち仮想接
地となる。この回路では点191を仮想接地するために
λの2分の1の長い伝送路114を用いているために、
高い周波数におけるばかりでなく低い周波数においても
位相の回転が生ずることになるから、点191における
インピ−ダンスは高周波信号の周波数によって大きく変
化する。このために、2次高調波(周波数2f0 )に対
する仮想接地の条件は狭い周波数領域においてのみ実現
される。したがって、たとえば、無線チャネルの変更に
より高周波信号の周波数が変化して2次高調波の周波数
が2f0 よりはずれた場合には、損失が発生して急激に
電力効率が悪化する。
【0017】このような 問題を解決する回路(以下第
2の従来例という)が図13(a)に、その高周波信号
の位相図が図13(b)にスミス・チャートとして示さ
れている。(a)の回路においてはインダクタンスL
6,L7や直流電源VDS,VGSは省略されている。電界
効果トランジスタ101は増幅素子部102とボンディ
ング・ワイヤやパッケージのリードおよび接続のための
リードなどによる寄生線路103を含んでいる。電界効
果トランジスタ101のドレインDには、基本波の周波
数f0 の2次高調波のλ/4(λ=1/(2f0 ))の
電気長を有するオープン・スタブ118が接続され、点
182における 2f0に対するインピーダンスを0にし
ようとしている。
【0018】しかしながら、寄生線路103の電気長Δ
θがあるために、点183ではその往復の2Δθの電気
長が加わり、2f0 =3ギガ・ヘルツ(f0 =1.5ギ
ガ・ヘルツ)において20°〜40°の位相ずれを生
じ、図13(b)の点Aのように、点Cから2Δθ(2
0°〜40°)ずれて、140°〜160°となり、2
次高調波に対するインピーダンスが0にはならないこと
になる。したがって、点183における2次高調波のイ
ンピーダンスを0にするためには、寄生線路103の影
響を見込んで電界効果トランジスタ101のドレイン端
子Dから右方の負荷側を見たインピーダンスは、図13
(b)の点Cよりも2Δθ(20°〜40°)回転した
点Bが最適なインピーダンス条件となる。このことは位
相角の最適値を示しているつぎの文献の実験結果からも
裏付けられる。
【0019】文献1. 池田 他、 信学会 春季全国
大会 C−64 1990年
【0020】図13(a)の第1の従来例の回路には、
前記問題の他に、つぎのような基本波に対するインピー
ダンス整合上の問題もある。
【0021】図14には図13(a)に示した第2の従
来例の回路の周波数f0 の基本波に対する等価回路が示
されている。ここで高周波信号源107は、電界効果ト
ランジスタ101の基本波における等価回路である。そ
こには、高周波定電流源108と信号源インピーダンス
109が含まれており、図13(a)のオープン・スタ
ブ118は基本波においてはキャパシタンスC6と等価
である。
【0022】ドレイン効率ηを最大とするB級電力増幅
器である高周波信号源107の基本波における負荷イン
ピーダンスZM(ω0 ) は、直流電源VDS の電圧VDS
(図10参照)と、点184における出力電力P0UT
ら、 ZM (ω0 )=VDS 2 /(2POUT ) の関係がある。たとえば無線増幅器の動作条件として、
DS =5ボルト,P0UT=1ワットのときには、ZM
(ω0 )=12.5オームとなる。負荷インピーダンス
150の値は50オームであり、もし、キャパシタンス
C6の存在がなければ、50オーム対12.5オームの
VSWR(電圧定在波比)は4である。
【0023】ところが、オープンスタブ118の存在に
より、基本波においてはキャパシタンスC6が存在する
から、図14の点185から高周波信号源側を見たイン
ピーダンスは信号源インピーダンス109にキャパシタ
ンスC6のインピーダンスが並列に接続されたものとな
り、その値は9.8オーム程度になる。したがって、基
本波整合回路134は、50オームの負荷インピーダン
ス150と、VSWRが5.1程度の点185から高周
波信号源107側を見たインピーダンとの整合をとらな
ければならない。このVSWRの値が大きくなるほど基
本波整合回路134の帯域幅は狭くなる。そのために基
本波整合回路134は構成部品が多くなり、この整合回
路134における電力損失も増大し、電力効率が低下し
ている。
【0024】図15には第3の従来例(特開昭62−1
68404)が示されている。電界効果トランジスタ1
01のドレインDと基本波整合回路134との間の伝送
線路115の途中をキャパシタンスC7により接地して
いる。伝送線路115のうちのキャパシタンスC7とド
レインDとの間の部分伝送路116によってキャパシタ
ンスC7のアドミッタンスをインピーダンス変換し、ド
レインDにおいて2次高調波に対してショートを実現し
ようとしている。
【0025】しかしながら、基本波に対して整合をとろ
うとすれば、キャパシタンスC7の値は大きくすること
はできず、キャパシタンスC7の2次高調波におけるイ
ンピーダンスは十分に小さなものとはならないから、キ
ャパシタンスC7により2次高調波をショートすること
ができない。したがって、伝送路115とキャパシタン
スC7との接続点である点186より基本波整合回路1
34側へ2次高調波が伝送されるため基本波以外の不要
波(2倍波)が出力される。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】第1の従来例(図12
(a))においては寄生線路は、伝送路114の一部と
みなして処理できるために、寄生線路の存在は問題とは
ならなかったが、長い伝送路114を使用するから帯域
幅が狭くなるという問題があった。
【0027】第2の従来例(図13(a))において
は、第1の従来例の帯域幅が狭くなるという問題は解決
されてはいるものの、2次高調波を図13(a)の点1
83において仮想接地しているから、寄生線路103の
存在のために、点182における2次高調波に対するイ
ンピーダンスを0にすることができず、2次高調波が基
本整合回路134側へも流れ、これが電力損失となる。
また、基本波整合回路134においても、基本波のみを
通過せしめて、2次高調波を遮断するようにしなければ
ならないから回路構成が複雑になり、そのために電力損
失がさらに増加していた。基本波に対しては、オープン
・スタブ118は図14のキャパシタンスC6と等価に
なり、点185から高周波信号源107側を見たインピ
ーダンスはキャパシタンスC6が存在しないときよりも
小さくなるために、VSWRが大きな値となり、このイ
ンピーダンス整合をとるための基本波整合回路134は
狭帯域となり、そのインピーダンスの整合度もキャパシ
タンスC6が存在しないときよりも悪くなり、電力効率
が十分には上らないという解決されるべき課題があっ
た。
【0028】第3の従来例(図15)においては、伝送
路115およびキャパシタンスC7を基本波に対して整
合をとるように選ぶと、2次高調波に対してキャパシタ
ンスC7のインピーダンスが十分に小さな値とはならな
いためにドレインDにおいて2次高調波の成分をショー
トすることができず、また、2次高調波が基本波整合回
路134の方向へ伝送され、2次高調波電力損が発生
し、さらに不要な2次高調波までも出力してしまうとい
う解決されるべき課題があった。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題
を解決するためになされたものであり、電力増幅をする
電界効果トランジスタと、電界効果トランジスタのドレ
インと負荷インピーダンスと基本波における整合をとる
ための基本波整合回路との間を接続するための電界効果
トランジスタの寄生線路を含む電気長が2次高調波の4
分の1波長である第1の結合線路と、この第1の結合線
路に平行し相互に結合を有し、電界効果トランジスタに
近い側の端子が接地され他端が開放された第2の結合線
路とを含むように構成した。
【0030】
【作用】2次高調波に対しては、寄生線路と結合線路の
電気長が4分の1波長となり、第2の結合線路が第1の
結合線路と結合しているために、ドレイン側から負荷側
を見込んだ、反射係数の位相角を所要値に設定した。そ
の結果、高い電力効率が得られるようになった。第1の
結合線路とドレイン端子との間に2次高調波の4分の1
波長より若干短い伝送路を挿入し、その伝送路の一端を
接地し、他端にキャパシタンスを接続することにより、
ドレイン端子をショートすることもできる。
【0031】
【実施例】本発明の一実施例を図1に示し、これを用い
て説明する。ここにおいて図10および図13の構成要
素に対応するものについては同じ記号を付した。また、
図10のインダクタンスL6,L7および直流電源
GS,VDSは記載を省略している。
【0032】入力端子121に印加された高周波信号
は、ソースSを接地された電界効果トランジスタ101
のゲートGに印加される。高周波電力が得られる電界効
果トランジスタ101のドレインDは結合線路20aに
点193で接続され、結合線路20aの他端は点194
において負荷インピーダンス150とインピーダンス整
合をとるための基本波整合回路134に接続されてい
る。結合線路20aに並行して結合線路20bがあり、
点193側の結合線路20bの一端は接地され、点19
4の他端はオープンになっている。この2つの結合線路
20a,20bは一体となって結合線路素子を構成して
いる。両結合線路20a,20bの電気長は、基本波の
2倍の周波数を有する2次高調波の波長の4分の1であ
り、結合線路20bが20aに電磁結合しているから、
2次高調波に対しては点193をショート(仮想接地)
し、結合線路20a,20b以外の線路を必要とせず回
路寸法を小型にすることができる。
【0033】図1(b)は図1(a)に示した回路の基
本波における等価回路を示したものであり、θ3,θ4
は電気長で2次高調波の波長λの4分の1の長さであ
り、θ3=θ4である。図1の実施例は、結合線路20
aの電気長がλの4分の1と短い。図12に示した第1
の従来例の場合には、点191を仮想接地するためにλ
の2分の1の電気長を用いていたから、図1の回路は、
第1の従来例(図12)に対して、周波数の変化に対す
る線路のインピーダンスの変化が小さく、帯域幅は2倍
弱広いものが得られる。
【0034】図2には本発明の他の実施例が示されてい
る。ここで図1の回路と異なる点は、電界効果トランジ
スタ101は、ソースSを接地された理想的な増幅素子
部102とボンディング・ワイヤや半田付けのためのリ
ード線などによる電気長Δθで表わされた寄生線路10
3で等価的に表わされており、結合線路20bにおける
点194側の端子がキャパシタC4により接地されてい
る点である。結合線路20a,20bの電気長と寄生線
路103の電気長Δθを加えたものが、2次高調波の波
長λの4分の1と等価となるようにしている。キャパシ
タC4の効果と結合線路20bとによって点183を仮
想接地している。
【0035】図3は図2に示した回路の等価回路であ
り、図1(b)に対応している。図1(b)と異なるの
は、電気長θ6とその効果により得られた電気長θ5
(=θ6)の長さが、2次高調波の波長λの4分の1に
なっており、キャパシタンスC4の効果としてキャパシ
タンスC5が等価的に付加されている点である。キャパ
シタンスC5は2つの結合線路20a,20b間の結合
度0<k≦1によって定まり、C5=kC4の関係にあ
る。図2および図3の回路においては、2次高調波に対
しては点183で完全にショートを実現しており、基本
波に対しては短い結合線路20a,20bのために広帯
域が得られるという特徴がある。
【0036】図4には本発明のさらに他の実施例が示さ
れている。ここで図2に示したものとの差異を説明する
と、ドレインDの点196と結合線路20aの一端の点
195との間に伝送路141を追加し、結合線路20b
の両端をショート,オープン,キャパシタンス,インダ
クタンスからなるリアクティブ素子であるインピーダン
ス158,159で接地している点である。
【0037】ここで伝送路141の電気長と寄生線路1
03の電気長Δθとの和は、2次高調波の波長λの4分
の1と等価となるように設定され、インピーダンス15
8はオープンすなわち、何も接続せず、インピーダンス
159はショートすなわち、短絡接地する。すると2次
高調波に対しては、両結合線路20a,20bが密に結
合しているために点195はオープン、点183ではシ
ョートが得られる。インピーダンス158としてキャパ
シタンスを用い、このキャパシタンスと結合線路20b
のインダクタンスとで形成する共振回路の共振周波数が
2次高調波の周波数(2f0 )となるように設定して
も、インピーダンス158をオープンにした場合と同じ
効果が得られる。結合線路20bのインダクタンスとリ
アクティブ素子であるインピーダンス158,159の
構成する回路が2次高調波の周波数(2f0 )に対して
共振するように、これらのリアクティブ素子であるイン
ピーダンス158,159を選ぶことができる。
【0038】図5には図1〜図4において重要な役割を
果たしている結合線路20a,20bを構成する結合線
路素子の第1の実施例の構造が示されている。ここで1
0は外部導体、20a,20bは帯状の結合線路、70
は結合線路20aと20bとの間および両結合線路20
a,20bと外部導体10との間に充填された、たとえ
ば4フッ化エチレンやポリエチレンなどの高周波損失の
少ない誘電体である。
【0039】図6には図5の結合線路素子の断面図とそ
こにおける電界が図示されている。(a)には偶モード
(イーブン・モード)における電界31〜34が、
(b)には奇モード(オッド・モード)における電界3
5〜37が示されている。(a)において、結合線路2
0a,20bは同電位にあるために、その間に電界は無
く、周辺の外部導体10との間でその電位差にもとづい
て電界31〜34が発生する。それに対して、(b)に
おいては奇モードであるために、結合線路20aと20
bとの間に強い電界37が発生し、これにもとづいて、
両結合線路20a,20b間には大きな結合容量が形成
される。両結合線路20a,20bと周辺の外部導体1
0との間には弱い電界35,36が発生する。図6
(a),(b)の場合には、結合線路20a,20bは
外部導体10により全周を被われているから、漏洩電界
が無く、それによる電力損失は無い。
【0040】図5に示した構造は、たとえば基本周波数
をf0 、2倍波の周波数2f0 の波長をλとすると、λ
/4(λ=(2f0-1)の結合線路素子として使用
し、誘電体70としてポリエチレン、f0 =5ギガ・ヘ
ルツのとき断面が2×2mm程度であり、長さが5mm
程度である。この結合線路素子はチップ部品として扱う
ことができるから、プリント基板やハイブリッド集積回
路基板上に簡単に搭載することができ、搭載工程の簡素
化が図られる。さらに プリント基板などの基板の材質
とは異なるものを誘電体70として選択できるから、高
周波信号に対して低損失で高誘電率の材料(たとえばセ
ラミックス)を用いるならば結合線路素子の小型化が可
能となる。
【0041】図7には、図5の結合線路素子をプリント
基板やハイブリッド集積回路基板の基板上に表面実装し
易くするために電極を設けた例を示している。図7
(a)は結合線路素子の正面図、(b)はB−B′断面
を示す図、(c)は(a)に示した図の底面図、(d)
は電極41a,41bおよびその周辺部を示すための部
分斜視図である。図7に示した各構成要素のうち図5に
示したものに対応するものについては同じ記号を付し
た。
【0042】図7において、図5に示した結合線路素子
と異なる部分について説明すると、結合線路20a,2
0bの両端に電極41a,41bを設けたことであり、
それにともない、電極41a,41bの部分を逃げるた
めの切り欠き部51を外部導体11に設けた点である。
【0043】図8には、図5に示した第1の実施例とは
異なる第2の実施例の構造が示されている。ここでは、
外部導体12の下部は、結合線路20a,20bの下部
と同じ水準の位置にあり、両結合線路20a,20bの
間および両結合線路20a,20bと外部導体12との
間には誘電体71が充填されている。72は誘電体であ
り、その底面には外部導体13が設けられている。この
構造によって、図6に示した電界の分布と近似の電界分
布が得られる。すなわち、誘電体を通って空中へ漏洩す
る電磁界はほとんど生じない。この構造においては、誘
電体72および外部導体13は、プリント基板やハイブ
リッド集積回路基板をそのまま用いてもよい。
【0044】図9には、図8の結合線路素子をプリント
基板やハイブリッド集積回路基板の基板上に表面実装し
易くするために電極を設けた例を示している。図9
(a)は結合線路素子の正面図、(b)はC−C′断面
を示す図、(c)は(a)に示した図の底面図、(d)
は電極を示すための部分斜視図である。図9に示した各
構成要素のうち図8に示したものに対応するものについ
ては同じ記号を付した。図7において、図8に示した結
合線路素子と異なる部分について説明すると、結合線路
20a,20bの両端に電極42a,42bを設けたこ
とである。
【0045】図5ないし図9により説明した結合線路素
子においては偶モードと奇モードの位相速度を一致させ
ることができ、結合線路20a,20bが面対向してい
るために結合容量が大きく、接地した外部導体10〜1
3から外部へ高周波信号の電磁界が漏洩することもな
く、それによる電力損失が生じない。また、チップ部品
として取り扱うことができ、誘電体70〜72のそれぞ
れの材質も、図1ないし図4の回路を構成するプリント
基板やハイブリッド集積回路基板の材質とは別個の材質
を誘電体材料として選択することも可能である。たとえ
ば、セラミックなどの比誘電率の大きな材料を用いるな
らば、極めて小型の結合線路素子となるので高効率の高
周波信号の電力増幅器の小型化に有用である。
【0046】以上の説明においては、増幅素子として電
界効果トランジスタを用いた場合について説明したが、
それに代えてバイポーラ・トランジスタを用いても同様
の効果が得られることは以上の説明から明らかであろ
う。
【0047】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よるならば、高周波電力増幅器の効率を悪化する1つの
要因である基本波の2次高調波に対して増幅素子の出力
端子を仮想接地することができるようにした。このよう
な効果をさらに高めるために面対向した帯状の2つの結
合線路を外部導体で被い、誘電体を充填した結合線路素
子を用いたので小型で広帯域で高効率の高周波における
電力増幅器の製作が可能となった。したがって、本発明
の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す回路図およびその等価
回路図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す回路図である。
【図3】図2の等価回路を示す回路図である。
【図4】本発明のさらに他の実施例を示す回路図であ
る。
【図5】図1の構成要素である結合線路素子の一実施例
を示す透視斜視図である。
【図6】図3の結合線路素子の偶モードおよび奇モード
の電界分布を示す電界図である。
【図7】図3の結合線路素子の具体的な構造を示す構造
図である。
【図8】図1の結合線路素子の他の実施例を示す透視斜
視図である。
【図9】図6の結合線路素子の具体的な構造を示す構造
図である。
【図10】従来例の増幅器の動作原理を説明するための
回路図である。
【図11】図8の増幅器のドレイン電流波形およびドレ
イン電圧波形を示す波形図である。
【図12】他の従来例を示す回路図および第2高調波の
定在波図である。
【図13】実装された従来の増幅器の回路図と高周波信
号の位相角を示す位相図である。
【図14】図10の回路の基本波における等価回路図で
ある。
【図15】他の従来例を示す回路図である。
【符号の説明】
10〜13 外部導体 20 結合線路 31〜37 電界 41,42 電極 51 切り欠き部 70〜72 誘電体 101 電界効果トランジスタ 102 増幅素子部 103 寄生線路 106,107 高周波信号源 108 高周波定電流源 109 信号源インピーダンス 110 主伝送路 111,112 部分伝送路 113〜115 伝送路 116 部分伝送路 118 オープン・スタブ 121 入力端子 134 基本波整合回路 141 伝送路 150 負荷インピーダンス 156〜159 インピーダンス 171 電流波形 172 電圧波形 181〜196 点 C1〜C5,C6,C7 キャパシタンス IDC 直流電流 ID (t),IM (t),IOUT (t) 高周波電流 L1〜L3,L6,L7 インダクタンス Δθ,θ1〜θ6 電気長 VDS ,VGS 直流電源 VD (t) 高周波ドレイン電圧

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波信号を増幅素子部(102)にお
    いて電力増幅して高周波電力を出力端子(D)に得るた
    めの電力増幅手段(101)と、 前記電力増幅手段の出力端子である第1の接続点(19
    3)と、この第1の接続点から第1の電気長を有し、高
    周波信号の出力を得る第2の接続点(194)までの第
    1の結合線路手段(20a)と、 前記第1の電気長と同じ長さであり、相互に結合を有
    し、前記増幅素子部と前記出力端子との間に寄生する寄
    生線路(103)を含む電気長が、前記電力増幅手段に
    おいて増幅する高周波信号の基本波の2次高調波に対し
    て前記増幅素子部の出力が仮想接地されるような電気長
    であり、前記増幅素子部の出力が仮想接地されるように
    作用する第2の結合線路手段(20b)とを含む高周波
    電力増幅器。
  2. 【請求項2】 高周波信号を増幅素子部(102)にお
    いて電力増幅して高周波電力を出力端子(D)に得るた
    めの電力増幅手段(101)と、 前記電力増幅手段の出力端子に一端(196)を接続さ
    れ、前記増幅素子部と前記出力端子との間の電気長が、
    前記電力増幅手段において増幅する高周波信号の基本波
    の2次高調波の波長の4分の1より長くはない伝送路手
    段(141)と、 前記伝送路手段の他端(195)と高周波信号の基本波
    出力を得る点(194)を接続する第1の結合線路手段
    (20a)と、 前記第1の結合線路手段に同じ電気長を有し、相互に結
    合を有して、前記2次高調波に対して前記伝送路手段の
    他端(195)をオープンにすることにより前記増幅素
    子部の出力を仮想接地するように作用する第2の結合線
    路手段(20b)とを含む高周波電力増幅器。
  3. 【請求項3】 前記第1および第2の結合線路手段が、 2つの帯状の導体の面を対向して並行に配置された結合
    線路と、 前記2つの結合線路の電界を実質的に封じ込めるための
    前記2つの結合線路に沿ってその周辺を被う外部導体
    (10)と、 前記2つの結合線路間および前記2つの結合線路と前記
    外部導体との間を充填する誘電体(70)とを含む請求
    項1または2記載の高周波電力増幅器。
  4. 【請求項4】 前記第1および第2の結合線路手段が、 2つの帯状の導体の面を対向して並行に配置された結合
    線路と、 底面に基板外部導体(13)を有する基板誘電体(7
    2)からなる基板の上面に設置して、前記2つの結合線
    路の電界を実質的に封じ込めるための前記帯状の導体の
    面を前記基板に垂直にした前記2つの結合線路に沿って
    前記基板誘電体に面していない前記2つの結合線路の周
    辺を被う外部導体(12)と、 前記2つの結合線路間
    および前記2つの結合線路と前記外部導体との間を充填
    する誘電体(71)とを含む請求項1または2記載の高
    周波電力増幅器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0613806A (ja) * 1992-06-25 1994-01-21 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 電力増幅器
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JP2000138552A (ja) * 1998-10-29 2000-05-16 Kyocera Corp 弾性表面波装置
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EP2302731A1 (en) 2009-09-18 2011-03-30 Fujitsu Limited Filter and amplifying circuit
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