JPH05187355A - 冷凍機用圧縮機の転がり軸受とそれを用いた冷凍機用圧縮機 - Google Patents
冷凍機用圧縮機の転がり軸受とそれを用いた冷凍機用圧縮機Info
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- JPH05187355A JPH05187355A JP4002773A JP277392A JPH05187355A JP H05187355 A JPH05187355 A JP H05187355A JP 4002773 A JP4002773 A JP 4002773A JP 277392 A JP277392 A JP 277392A JP H05187355 A JPH05187355 A JP H05187355A
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- Japan
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- bearing
- refrigerator
- cage
- refrigerant
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- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F04—POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
- F04B—POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS
- F04B27/00—Multi-cylinder pumps specially adapted for elastic fluids and characterised by number or arrangement of cylinders
- F04B27/08—Multi-cylinder pumps specially adapted for elastic fluids and characterised by number or arrangement of cylinders having cylinders coaxial with, or parallel or inclined to, main shaft axis
- F04B27/10—Multi-cylinder pumps specially adapted for elastic fluids and characterised by number or arrangement of cylinders having cylinders coaxial with, or parallel or inclined to, main shaft axis having stationary cylinders
- F04B27/1036—Component parts, details, e.g. sealings, lubrication
- F04B27/1054—Actuating elements
- F04B27/1063—Actuating-element bearing means or driving-axis bearing means
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F04—POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
- F04C—ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
- F04C2210/00—Fluid
- F04C2210/26—Refrigerants with particular properties, e.g. HFC-134a
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- Mechanical Engineering (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Compressor (AREA)
- Compressors, Vaccum Pumps And Other Relevant Systems (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】冷凍装置の作動冷媒に弗化炭化水素系冷媒と、
ポリアルキレングリコール系またはエステル系の冷凍機
油を用いた冷凍用圧縮機の転がり軸受の疲労寿命が、従
来のCFC12/鉱油系を用いた場合と同等以上である
転がり軸受の提供。 【構成】弗化炭化水素系冷媒と、ポリアルキレングリコ
ール系またはエステル系の冷凍機用潤滑油を用いた冷凍
機用圧縮機において、該冷凍機用圧縮機の転がり軸受の
転動体42を保持する保持器43が熱硬化性プラスチッ
クから成る。 【効果】ころのミクロクラックの発生を抑え、水素脆化
等によるころの疲労強度の低下を抑制して軸受寿命を向
上させる。
ポリアルキレングリコール系またはエステル系の冷凍機
油を用いた冷凍用圧縮機の転がり軸受の疲労寿命が、従
来のCFC12/鉱油系を用いた場合と同等以上である
転がり軸受の提供。 【構成】弗化炭化水素系冷媒と、ポリアルキレングリコ
ール系またはエステル系の冷凍機用潤滑油を用いた冷凍
機用圧縮機において、該冷凍機用圧縮機の転がり軸受の
転動体42を保持する保持器43が熱硬化性プラスチッ
クから成る。 【効果】ころのミクロクラックの発生を抑え、水素脆化
等によるころの疲労強度の低下を抑制して軸受寿命を向
上させる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、弗化炭化水素系冷媒
と、ポリアルキレングリコール(以下、PAGと称す
る)系あるいはエステル系の潤滑油を用いた冷凍機用圧
縮機の転がり軸受に関する。
と、ポリアルキレングリコール(以下、PAGと称す
る)系あるいはエステル系の潤滑油を用いた冷凍機用圧
縮機の転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の冷凍サイクルにおいて
は、冷媒に極性のないジクロロジフルオロメタン(以
下、CFC12と云う)を使用していたため、冷凍機油
としては主に鉱油が用いられてきた。しかし、CFC1
2は地球のオゾン層を破壊すると云う昨今の地球環境問
題により、塩素を含まない1,1,1,2−テトラフルオ
ロエタン(以下、HFC134aと云う)に置き換えら
れようとしている。
は、冷媒に極性のないジクロロジフルオロメタン(以
下、CFC12と云う)を使用していたため、冷凍機油
としては主に鉱油が用いられてきた。しかし、CFC1
2は地球のオゾン層を破壊すると云う昨今の地球環境問
題により、塩素を含まない1,1,1,2−テトラフルオ
ロエタン(以下、HFC134aと云う)に置き換えら
れようとしている。
【0003】HFC134aは、極性基を有しているた
めに鉱油との相溶性が極めて悪いと云う欠点があり〔冷
凍 60816(1985年)〕、圧縮機の潤滑の信頼
性の面からは用いることができない。HFC134aと
の相溶性を確保するためにはHFC134aと同様に極
性基を有するPAG系(米国特許第4755316号)
あるいはエステル系の合成潤滑油がよい。
めに鉱油との相溶性が極めて悪いと云う欠点があり〔冷
凍 60816(1985年)〕、圧縮機の潤滑の信頼
性の面からは用いることができない。HFC134aと
の相溶性を確保するためにはHFC134aと同様に極
性基を有するPAG系(米国特許第4755316号)
あるいはエステル系の合成潤滑油がよい。
【0004】カーエアコンにおいては−40〜+80℃
で、冷媒と潤滑油とは完全に相溶することが要求されて
いる。前記合成潤滑油のうち、エステル油は特殊なもの
を除き前記温度範囲で相溶するが、PAG油には高温側
の温度の目標値を満足できるものが少ない。
で、冷媒と潤滑油とは完全に相溶することが要求されて
いる。前記合成潤滑油のうち、エステル油は特殊なもの
を除き前記温度範囲で相溶するが、PAG油には高温側
の温度の目標値を満足できるものが少ない。
【0005】PAGで粘度の目標値を満足させつゝ(潤
滑性の面で粘度は一定値以上が必要である)、高温側で
の二層分離温度を向上させるには、分子中の酸素含有率
を増加させるのがよい。具体的には、PAGの一方の末
端あるいは両末端をエステル(例えばCH3COO−)
で置換するのが最も簡単で、これによって高温側の二層
分離温度を向上することができる。このような構造のP
AGを便宜上エステル変性PAGと称することにする。
滑性の面で粘度は一定値以上が必要である)、高温側で
の二層分離温度を向上させるには、分子中の酸素含有率
を増加させるのがよい。具体的には、PAGの一方の末
端あるいは両末端をエステル(例えばCH3COO−)
で置換するのが最も簡単で、これによって高温側の二層
分離温度を向上することができる。このような構造のP
AGを便宜上エステル変性PAGと称することにする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、カーエアコ
ンには冷媒や潤滑油に曝される部分に、例えばゴムホー
ス等のゴム材が用いられている。しかし、エステル油は
ゴム材を著しく膨潤させる性質があり、現在のところエ
ステル油に対して長期信頼性を確保できるゴム材は見つ
かっていないため、上記エステル油をカーエアコンには
使用できないが、将来はエステル油を使用することもあ
り得る。一方、エステル変性PAGは信頼性、コストの
面で使用可能なゴム材が選び出されている。こうした状
況下から、カーエアコンでは現在のところエステル変性
PAGが最も好適である。
ンには冷媒や潤滑油に曝される部分に、例えばゴムホー
ス等のゴム材が用いられている。しかし、エステル油は
ゴム材を著しく膨潤させる性質があり、現在のところエ
ステル油に対して長期信頼性を確保できるゴム材は見つ
かっていないため、上記エステル油をカーエアコンには
使用できないが、将来はエステル油を使用することもあ
り得る。一方、エステル変性PAGは信頼性、コストの
面で使用可能なゴム材が選び出されている。こうした状
況下から、カーエアコンでは現在のところエステル変性
PAGが最も好適である。
【0007】カーエアコンは、圧縮機の駆動源をエンジ
ンとしているため、開放型の圧縮機が用いられている。
さらに、圧縮機部はエンジンに、熱交換器部は車体に装
着されるため、両者を連結する配管には可撓性が要求さ
れる。従って、該配管にはフレキシブルゴムホースを使
用しているのが一般的である。
ンとしているため、開放型の圧縮機が用いられている。
さらに、圧縮機部はエンジンに、熱交換器部は車体に装
着されるため、両者を連結する配管には可撓性が要求さ
れる。従って、該配管にはフレキシブルゴムホースを使
用しているのが一般的である。
【0008】大気中の水分は、圧縮機内に使用されてい
るO−リング、軸シール或るいはゴムホースを透過して
冷凍サイクル内に侵入して来る。こうした水分を捕捉す
るために、冷凍サイクル内にモレキュラシーブ等に代表
される乾燥剤を装着して脱水することが提案されている
が、こうした乾燥剤での吸水量は有限である。簡単な計
算によれば3〜4年で乾燥剤の吸湿能力は全く無くな
る。その後は、ゴム材を透過してくる水分はそのまま冷
凍機油あるいは冷媒中に溶存し、少なくとも飽和水分量
まで増加するものと考えなければならない。
るO−リング、軸シール或るいはゴムホースを透過して
冷凍サイクル内に侵入して来る。こうした水分を捕捉す
るために、冷凍サイクル内にモレキュラシーブ等に代表
される乾燥剤を装着して脱水することが提案されている
が、こうした乾燥剤での吸水量は有限である。簡単な計
算によれば3〜4年で乾燥剤の吸湿能力は全く無くな
る。その後は、ゴム材を透過してくる水分はそのまま冷
凍機油あるいは冷媒中に溶存し、少なくとも飽和水分量
まで増加するものと考えなければならない。
【0009】そこで、冷媒にHFC134aを用い、潤
滑油にエステル変性PAGを用いた場合の寿命をCFC
12/鉱油系と比較した。比較実験は、それぞれ飽和水
分量の水を故意に加えた苛酷な条件で実施した。その結
果、HFC134a/エステル変性PAG系は、CFC
12/鉱油系の18〜35%と云う時間で、圧縮機のス
ラスト軸受転動体に剥離現象が生じた。この原因は水が
直接軸受転動体に悪影響を及ぼす外に、エステル変性P
AGが加水分解して有機酸を生成し、これが同じく軸受
寿命を低下させることが分かった。
滑油にエステル変性PAGを用いた場合の寿命をCFC
12/鉱油系と比較した。比較実験は、それぞれ飽和水
分量の水を故意に加えた苛酷な条件で実施した。その結
果、HFC134a/エステル変性PAG系は、CFC
12/鉱油系の18〜35%と云う時間で、圧縮機のス
ラスト軸受転動体に剥離現象が生じた。この原因は水が
直接軸受転動体に悪影響を及ぼす外に、エステル変性P
AGが加水分解して有機酸を生成し、これが同じく軸受
寿命を低下させることが分かった。
【0010】本発明は、冷凍装置の作動冷媒に弗化炭化
水素系冷媒と、ポリアルキレングリコール系またはエス
テル系の冷凍機油用いた、冷凍用圧縮機の転がり軸受の
疲労寿命がCFC12/鉱油系と同等以上の転がり軸受
およびそれを用いた冷凍用圧縮機を提供することにあ
る。
水素系冷媒と、ポリアルキレングリコール系またはエス
テル系の冷凍機油用いた、冷凍用圧縮機の転がり軸受の
疲労寿命がCFC12/鉱油系と同等以上の転がり軸受
およびそれを用いた冷凍用圧縮機を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するため、冷凍サイクルにおける圧縮機の転がり軸受
の転動体の位置を一定に保持する保持器をプラスチック
製にすることによって前記軸受の疲労寿命を向上しよう
とするもので、その要旨は次のとおりである。
決するため、冷凍サイクルにおける圧縮機の転がり軸受
の転動体の位置を一定に保持する保持器をプラスチック
製にすることによって前記軸受の疲労寿命を向上しよう
とするもので、その要旨は次のとおりである。
【0012】(1)弗化炭化水素系冷媒と、ポリアルキ
レングリコール系またはエステル系の冷凍機用潤滑油を
用いた冷凍機用圧縮機の転がり軸受であって、該転がり
軸受の転動体を保持する保持器がプラスチック製である
冷凍機用圧縮機の転がり軸受およびそれを用いた冷凍機
用圧縮機。
レングリコール系またはエステル系の冷凍機用潤滑油を
用いた冷凍機用圧縮機の転がり軸受であって、該転がり
軸受の転動体を保持する保持器がプラスチック製である
冷凍機用圧縮機の転がり軸受およびそれを用いた冷凍機
用圧縮機。
【0013】(2)前記保持器が熱硬化性プラスチック
で形成された前記転がり軸受。
で形成された前記転がり軸受。
【0014】(3)前記保持器がポリアミドイミド、ポ
リエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイ
ドから選ばれたプラスチック製の転がり軸受。
リエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイ
ドから選ばれたプラスチック製の転がり軸受。
【0015】前記冷凍機用潤滑油としては、一般に40
℃における粘度が約50cStのものが用いられる。し
かし、スクリュー形圧縮機やベーン形圧縮機用として
は、約100cSt、冷蔵庫用の圧縮機においては10
〜40cStのものが用いられる。
℃における粘度が約50cStのものが用いられる。し
かし、スクリュー形圧縮機やベーン形圧縮機用として
は、約100cSt、冷蔵庫用の圧縮機においては10
〜40cStのものが用いられる。
【0016】
【作用】本発明の転がり軸受は、 (1)転動体と保持器との硬度の差が大きいため両者の
摺動に起因する転動体表面のミクロクラックの発生が抑
制される。
摺動に起因する転動体表面のミクロクラックの発生が抑
制される。
【0017】(2)保持器の剛性が低いので、回転変動
や荷重変動に基づく転動体の揺れ動きに対してある程度
変形して追随する。従って、転動体の動きを無理に規制
しないので、転動体とその保持器あるいは転動体とその
レースとの滑り転がりが円滑になり、転動体表面のミク
ロクラックの発生が抑制される。
や荷重変動に基づく転動体の揺れ動きに対してある程度
変形して追随する。従って、転動体の動きを無理に規制
しないので、転動体とその保持器あるいは転動体とその
レースとの滑り転がりが円滑になり、転動体表面のミク
ロクラックの発生が抑制される。
【0018】上記の作用により疲労強度低下の原因とな
るミクロクラックを抑制することができるため、軸受寿
命が向上するものと考える。
るミクロクラックを抑制することができるため、軸受寿
命が向上するものと考える。
【0019】
【実施例】次に、本発明を図面を用いて説明する。図1
は本発明の一実施例を示すもので、カーエアコンに用い
られる可変容量圧縮機50の概略構造を示す断面図であ
る。 本圧縮機では、シャフト1に固定されたドライブ
プレート2には、カム溝3が設けてあり、該溝内に支点
ピン4がカム曲線に沿って移動可能に設けられ、同時に
前記支点ピン4は斜板5から突き出した耳(図示省略)
に嵌合してある。
は本発明の一実施例を示すもので、カーエアコンに用い
られる可変容量圧縮機50の概略構造を示す断面図であ
る。 本圧縮機では、シャフト1に固定されたドライブ
プレート2には、カム溝3が設けてあり、該溝内に支点
ピン4がカム曲線に沿って移動可能に設けられ、同時に
前記支点ピン4は斜板5から突き出した耳(図示省略)
に嵌合してある。
【0020】また、前記ドライブプレート2のカム溝3
が設けた耳部と斜板耳部とは接触する構造としてある。
これにより、シャフト1の回転によってドライブプレー
ト2が回転すると、ドライブプレートの耳から斜板5の
耳に回転力が与えられ、該斜板5が回転する。シャフト
1にはスリーブ6がシャフトの軸方向に滑動可能に組み
込まれており、該スリーブ6に対し斜板5がピン7の周
りに回転自在に締結されている。
が設けた耳部と斜板耳部とは接触する構造としてある。
これにより、シャフト1の回転によってドライブプレー
ト2が回転すると、ドライブプレートの耳から斜板5の
耳に回転力が与えられ、該斜板5が回転する。シャフト
1にはスリーブ6がシャフトの軸方向に滑動可能に組み
込まれており、該スリーブ6に対し斜板5がピン7の周
りに回転自在に締結されている。
【0021】前記シャフト1の回転により、ドライブプ
レート2、斜板5、スリーブ6が共に回転する。斜板5
にはスラスト針状ころ軸受8およびラジアル玉軸受9を
介してピストンサポート10が設置されており、軸受9
の内輪が斜板5に対して回転方向および軸方向に回転し
たり移動しないように、止め輪11で固定されている。
レート2、斜板5、スリーブ6が共に回転する。斜板5
にはスラスト針状ころ軸受8およびラジアル玉軸受9を
介してピストンサポート10が設置されており、軸受9
の内輪が斜板5に対して回転方向および軸方向に回転し
たり移動しないように、止め輪11で固定されている。
【0022】一方、ピストンサポート10は突起12に
より、ラジアル玉軸受9に対して図の右方向への移動が
規制され、しかも、斜板との間に設置されたスラスト針
状ころ軸受8により図の左方向への移動が規制されてい
る。また、ピストンサポート10には半径方向に回り止
めピン13が固定されており、該ピン13には回転と滑
動が可能なスライドボール14が設けてある。
より、ラジアル玉軸受9に対して図の右方向への移動が
規制され、しかも、斜板との間に設置されたスラスト針
状ころ軸受8により図の左方向への移動が規制されてい
る。また、ピストンサポート10には半径方向に回り止
めピン13が固定されており、該ピン13には回転と滑
動が可能なスライドボール14が設けてある。
【0023】前記ピストンサポート10がシャフト1の
軸周りには回転しないように、前記ボール14をフロン
トカバー15の内側に設けられた軸方向シュー溝16内
に回り止めシュー17を介して設置されている。更に、
ピストンサポート10には両端にボール18、19を有
する複数のコネクティングロッド20の一端がボール1
8により、ボール中心周りに回転自在に取り付けられ、
他端のボール19にはピストン21が該ボールの中心周
りに回転自在に取り付けられている。前記ピストン21
はシリンダブロック22に設けたシリンダ23内に組込
まれている。
軸周りには回転しないように、前記ボール14をフロン
トカバー15の内側に設けられた軸方向シュー溝16内
に回り止めシュー17を介して設置されている。更に、
ピストンサポート10には両端にボール18、19を有
する複数のコネクティングロッド20の一端がボール1
8により、ボール中心周りに回転自在に取り付けられ、
他端のボール19にはピストン21が該ボールの中心周
りに回転自在に取り付けられている。前記ピストン21
はシリンダブロック22に設けたシリンダ23内に組込
まれている。
【0024】シリンダブロック22には、吸入弁、吐出
弁および吐出弁リテーナが一組となって各々のシリンダ
に対応するように組み込まれたシリンダヘッド24がリ
アカバー25と共にボルト(図示せず)で固定されてい
る。なお、これら3部品の間には、それぞれO−リング
が設置されており、これら部品間の冷媒の漏れをシール
している。
弁および吐出弁リテーナが一組となって各々のシリンダ
に対応するように組み込まれたシリンダヘッド24がリ
アカバー25と共にボルト(図示せず)で固定されてい
る。なお、これら3部品の間には、それぞれO−リング
が設置されており、これら部品間の冷媒の漏れをシール
している。
【0025】また、ドライブプレート2、斜板5および
ピストンサポート10を取り囲むように設置されたフロ
ントカバー15がボルト(図示せず)で前記シリンダブ
ロック22にO−リングを介して固定されている。
ピストンサポート10を取り囲むように設置されたフロ
ントカバー15がボルト(図示せず)で前記シリンダブ
ロック22にO−リングを介して固定されている。
【0026】前記シリンダヘッド24には、各シリンダ
23に対応して吸入ポート26と吐出ポート27が設け
られている。リアカバー25には前記吸入ポート26の
みが開口し、圧縮機の冷媒吸入口28と流路29で連通
する低圧室30と、前記吐出ポート27のみが開口し、
圧縮機の吐出口(図示せず)と連通する高圧室31とが
設けられている。
23に対応して吸入ポート26と吐出ポート27が設け
られている。リアカバー25には前記吸入ポート26の
みが開口し、圧縮機の冷媒吸入口28と流路29で連通
する低圧室30と、前記吐出ポート27のみが開口し、
圧縮機の吐出口(図示せず)と連通する高圧室31とが
設けられている。
【0027】また、冷媒を圧縮する際にシャフト1に作
用するスラスト力は、前記ドライブプレート2とフロン
トカバー15間に設置されたスラスト針状ころ軸受32
で、また、シャフト1に作用するラジアル力はフロント
カバー15およびシリンダブロック22に設置されたラ
ジアル針状ころ軸受33、34で受ける。
用するスラスト力は、前記ドライブプレート2とフロン
トカバー15間に設置されたスラスト針状ころ軸受32
で、また、シャフト1に作用するラジアル力はフロント
カバー15およびシリンダブロック22に設置されたラ
ジアル針状ころ軸受33、34で受ける。
【0028】リアカバー25に設けた冷媒流路29の途
中には、圧縮機容量制御弁35が設けられ、該容量制御
弁35は圧縮機外部への飛び出しを防止する目的で、止
め輪36でリアカバー25に固定されている。なお、前
記フロントカバー15とシャフト1の間はリップシール
37で圧縮機内外の気密が保たれる。
中には、圧縮機容量制御弁35が設けられ、該容量制御
弁35は圧縮機外部への飛び出しを防止する目的で、止
め輪36でリアカバー25に固定されている。なお、前
記フロントカバー15とシャフト1の間はリップシール
37で圧縮機内外の気密が保たれる。
【0029】次に、本圧縮機の動作について説明する。
マグネットクラッチのコイル51に通電すると、シャフ
ト1、ドライブプレート2、斜板5およびスリーブ6が
エンジンの駆動力が接続されて回転する。ピストンサポ
ート10は回止め機構、即ち、回止めピン13、スライ
ドボール14、シュー17およびシュー溝16によって
その回転が規制されているので、シャフトの回転軸周り
に揺動運動する。この運動がコネクティングロッド20
からピストン21に伝えられ、ピストンがシリンダ23
内で往復動して冷媒を吸入圧縮する。冷媒は冷凍サイク
ルの熱交換器(図示省略)を経て圧縮機に戻ると、圧縮
機冷媒吸入口28、冷媒流路29、容量制御弁35、低
圧室30および吸入ポート26を経てシリンダ23に流
入し、再度圧縮される。
マグネットクラッチのコイル51に通電すると、シャフ
ト1、ドライブプレート2、斜板5およびスリーブ6が
エンジンの駆動力が接続されて回転する。ピストンサポ
ート10は回止め機構、即ち、回止めピン13、スライ
ドボール14、シュー17およびシュー溝16によって
その回転が規制されているので、シャフトの回転軸周り
に揺動運動する。この運動がコネクティングロッド20
からピストン21に伝えられ、ピストンがシリンダ23
内で往復動して冷媒を吸入圧縮する。冷媒は冷凍サイク
ルの熱交換器(図示省略)を経て圧縮機に戻ると、圧縮
機冷媒吸入口28、冷媒流路29、容量制御弁35、低
圧室30および吸入ポート26を経てシリンダ23に流
入し、再度圧縮される。
【0030】圧縮された冷媒は吐出ポート27、高圧室
31を経て図示しない冷媒吐出口より冷凍サイクルに吐
き出される。
31を経て図示しない冷媒吐出口より冷凍サイクルに吐
き出される。
【0031】カーエアコンでは車室内温度が低下する
と、蒸発器内の圧力が低下する。例えば、冷媒の蒸発温
度が0℃となるような蒸発圧力まで低下すると、絶対圧
力で差動するパイロット弁38の働きによって容量制御
弁の弁開度が小さくなり、流路面積が減少するため、シ
リンダ内の圧力が低下する。一方、フロントカバー内部
はシャフト中心部に設けた流路39などによってパイロ
ット弁38外周部と連通しているため、フロントカバー
内部は常にほぼ蒸発圧力と等しい(蒸発器から圧縮機に
いたる低圧ガス配管での圧力損失分だけ圧力低下があ
る)。従って、ピストン頭頂部の圧力が低下することに
よってピストン前後の圧力バランスが崩れ、ピストンは
この圧力差に起因する力によって、図の右方向即ち、圧
縮機の容量を減少させるように移動する。換言すれば、
ピストン前後の圧力バランスが常に一定値に保たれるよ
う、即ち、蒸発圧力が一定値になるように圧縮機容量を
制御する。本圧縮機にはスラスト針状ころ軸受が2個用
いられているが、その構造をドライブプレート2とフロ
ントカバー15との間に設置された軸受32を例に、図
2を用いて説明する。
と、蒸発器内の圧力が低下する。例えば、冷媒の蒸発温
度が0℃となるような蒸発圧力まで低下すると、絶対圧
力で差動するパイロット弁38の働きによって容量制御
弁の弁開度が小さくなり、流路面積が減少するため、シ
リンダ内の圧力が低下する。一方、フロントカバー内部
はシャフト中心部に設けた流路39などによってパイロ
ット弁38外周部と連通しているため、フロントカバー
内部は常にほぼ蒸発圧力と等しい(蒸発器から圧縮機に
いたる低圧ガス配管での圧力損失分だけ圧力低下があ
る)。従って、ピストン頭頂部の圧力が低下することに
よってピストン前後の圧力バランスが崩れ、ピストンは
この圧力差に起因する力によって、図の右方向即ち、圧
縮機の容量を減少させるように移動する。換言すれば、
ピストン前後の圧力バランスが常に一定値に保たれるよ
う、即ち、蒸発圧力が一定値になるように圧縮機容量を
制御する。本圧縮機にはスラスト針状ころ軸受が2個用
いられているが、その構造をドライブプレート2とフロ
ントカバー15との間に設置された軸受32を例に、図
2を用いて説明する。
【0032】本スラスト針状ころ軸受は2枚のレース、
複数の転動体(ころ)および保持器から構成されてい
る。フロントカバー15側のレース40は浸炭焼入れさ
れたスチール製の平板であり、ドライブプレート2側の
レース41は、保持器43および前記レース40がシャ
フト1と直接接触しないようにレース内径側に返り部を
設けてある。
複数の転動体(ころ)および保持器から構成されてい
る。フロントカバー15側のレース40は浸炭焼入れさ
れたスチール製の平板であり、ドライブプレート2側の
レース41は、保持器43および前記レース40がシャ
フト1と直接接触しないようにレース内径側に返り部を
設けてある。
【0033】転動体42は軸受一般に用いられているS
UJ(高炭素クロム軸受鋼)製の筒状のころで、負荷容
量によってサイズおよび本数が異なる。図3に示すよう
に、保持器43はころ42を放射状に保持し、ころの脱
落を防止するためころの直径より僅かに薄い肉厚のリン
グ状円板で形成され、ころの円筒部をシックリ挟込む複
数のころポケット44が設けてある。この保持器は熱硬
化性プラスチック製で、射出成形されている。
UJ(高炭素クロム軸受鋼)製の筒状のころで、負荷容
量によってサイズおよび本数が異なる。図3に示すよう
に、保持器43はころ42を放射状に保持し、ころの脱
落を防止するためころの直径より僅かに薄い肉厚のリン
グ状円板で形成され、ころの円筒部をシックリ挟込む複
数のころポケット44が設けてある。この保持器は熱硬
化性プラスチック製で、射出成形されている。
【0034】ここで、保持器に用いられる熱硬化性プラ
スチックの主なものと保持器としての特性は、NSKレ
ポート(日本精工株式会社:NSKレポートNo.38
8)によると表1に示す通りである。即ち、耐熱性、物
理的特性、耐環境性に優れるものとしてはPAI,PE
EKおよびPPSがある。これらのうち、PAIおよび
PEEKは材料価格や成形価格が高いので本実施例では
PPSを使用している。
スチックの主なものと保持器としての特性は、NSKレ
ポート(日本精工株式会社:NSKレポートNo.38
8)によると表1に示す通りである。即ち、耐熱性、物
理的特性、耐環境性に優れるものとしてはPAI,PE
EKおよびPPSがある。これらのうち、PAIおよび
PEEKは材料価格や成形価格が高いので本実施例では
PPSを使用している。
【0035】
【表1】
【0036】また、一般に、保持器のころポケット部の
断面構造は図4に示すように、(a)箱形、(b)波
形、(c)ブロック形の3種類があり、それぞれ一長一
短がある。このうち、箱形および波形の保持器は、強度
面から主にSPC(冷間圧延鋼板)等の鉄系材質が好適
で、プレス加工などによって成形される。ブロック形の
保持器は軽量化および強度の面からプラスチック材質が
適している。本実施例ではPPS製ブロック形保持器を
使用している。 上記の保持器を有する軸受を用いて圧
縮器を運転した結果を表2に示した。軸受寿命は浸炭焼
入れを施したSCM(Cr−Mo鋼)製レース、SUJ
製ころ、SPC製波形保持器を用いてCFC12/鉱油
系冷凍サイクル(油中水分量は70ppm)で運転した
ときの軸受寿命を1(総回転数:約106回)として、
それぞれの軸受寿命比で表示した。
断面構造は図4に示すように、(a)箱形、(b)波
形、(c)ブロック形の3種類があり、それぞれ一長一
短がある。このうち、箱形および波形の保持器は、強度
面から主にSPC(冷間圧延鋼板)等の鉄系材質が好適
で、プレス加工などによって成形される。ブロック形の
保持器は軽量化および強度の面からプラスチック材質が
適している。本実施例ではPPS製ブロック形保持器を
使用している。 上記の保持器を有する軸受を用いて圧
縮器を運転した結果を表2に示した。軸受寿命は浸炭焼
入れを施したSCM(Cr−Mo鋼)製レース、SUJ
製ころ、SPC製波形保持器を用いてCFC12/鉱油
系冷凍サイクル(油中水分量は70ppm)で運転した
ときの軸受寿命を1(総回転数:約106回)として、
それぞれの軸受寿命比で表示した。
【0037】
【表2】
【0038】まず、CFC12/鉱油系では、鉱油の飽
和水分量はPAGなどに比べて小さいので70ppmで
の試験しかできないが、この結果についてみると、保持
器の形状が(a)箱形、(b)波形に係らず軸受寿命比
はほゞ1である。これに対してPPS製保持器では寿命
比が1.1である。
和水分量はPAGなどに比べて小さいので70ppmで
の試験しかできないが、この結果についてみると、保持
器の形状が(a)箱形、(b)波形に係らず軸受寿命比
はほゞ1である。これに対してPPS製保持器では寿命
比が1.1である。
【0039】一方、HFC134a/PAG系の低水分
状態では箱形保持器はSPC製波形保持器に比べて寿命
比が0.67と減り、また、SPC製波形保持器であっ
てもレースがSCMの場合には0.83となった。
状態では箱形保持器はSPC製波形保持器に比べて寿命
比が0.67と減り、また、SPC製波形保持器であっ
てもレースがSCMの場合には0.83となった。
【0040】冷媒自身に全く潤滑性がないHFC134
aではレースの材質や保持器の形状の差が微妙に軸受寿
命比に影響する。HFC134a/PAG系で油中水分
が70ppmでは軸受寿命比は1であった。油中水分が
2wt%の場合の軸受寿命比は、更に影響を受けること
が分かった。
aではレースの材質や保持器の形状の差が微妙に軸受寿
命比に影響する。HFC134a/PAG系で油中水分
が70ppmでは軸受寿命比は1であった。油中水分が
2wt%の場合の軸受寿命比は、更に影響を受けること
が分かった。
【0041】また、SK(炭素工具鋼)製レース、SP
C製波形保持器の軸受寿命比は0.35と低下してい
る。この理由は、同軸受でころをSUS製にすると0.
71に上昇していることから、エステル変性PAGが加
水分解して有機酸を生成し、こうした環境下で運転する
と、(1)水素脆化などにより材料の疲労強度を低下さ
せる、(2)鉄系材質の保持器ところが摺動してころ表
面に材料欠陥が現われ、これがミクロクラックに進展し
て水素脆化が加速される、等の理由により軸受寿命比が
低下するものと考えられる。なお、レース,ころ共SU
S製とし、SPC保持器の場合の寿命比は0.67とな
っており、ころのみをSUS製とした軸受の寿命にほぼ
等しい。これは、保持器の型式,材質が同じで、しかも
レースが特殊な材質でなければ軸受寿命比はころの疲労
強度で決まることを意味している。しかし、ころがSU
J,保持器がSPC波形の場合、レース材質がSKとS
CMでは寿命に大きな差がある。これは、SCMレース
では熱処理時に僅かに粒界酸化が生じたために疲労強度
が低下し、ころより先にレースに剥離が生じたことによ
る。いずれにしても、前記軸受では油中水分の影響を受
け、水分の増加に伴って寿命が大幅に低下することが分
かる。
C製波形保持器の軸受寿命比は0.35と低下してい
る。この理由は、同軸受でころをSUS製にすると0.
71に上昇していることから、エステル変性PAGが加
水分解して有機酸を生成し、こうした環境下で運転する
と、(1)水素脆化などにより材料の疲労強度を低下さ
せる、(2)鉄系材質の保持器ところが摺動してころ表
面に材料欠陥が現われ、これがミクロクラックに進展し
て水素脆化が加速される、等の理由により軸受寿命比が
低下するものと考えられる。なお、レース,ころ共SU
S製とし、SPC保持器の場合の寿命比は0.67とな
っており、ころのみをSUS製とした軸受の寿命にほぼ
等しい。これは、保持器の型式,材質が同じで、しかも
レースが特殊な材質でなければ軸受寿命比はころの疲労
強度で決まることを意味している。しかし、ころがSU
J,保持器がSPC波形の場合、レース材質がSKとS
CMでは寿命に大きな差がある。これは、SCMレース
では熱処理時に僅かに粒界酸化が生じたために疲労強度
が低下し、ころより先にレースに剥離が生じたことによ
る。いずれにしても、前記軸受では油中水分の影響を受
け、水分の増加に伴って寿命が大幅に低下することが分
かる。
【0042】これに対して、保持器を熱硬化性プラスチ
ックのポリフェニレンサルファイド(PPS)製のブロ
ック形にすると、水分が70ppmでもその軸受寿命比
は1.11,水分が2.0wt%でも1.04であり、
寿命の向上が大きい。特に、水分が70ppmの場合、
CFC12/鉱油系およびHFC134a/PAG系の
寿命が1.11に向上したことは注目すべき点である。
ックのポリフェニレンサルファイド(PPS)製のブロ
ック形にすると、水分が70ppmでもその軸受寿命比
は1.11,水分が2.0wt%でも1.04であり、
寿命の向上が大きい。特に、水分が70ppmの場合、
CFC12/鉱油系およびHFC134a/PAG系の
寿命が1.11に向上したことは注目すべき点である。
【0043】次に、将来、エステル油に適合性の優れた
ゴム材が開発された場合、PAGに代わってエステル油
が使用される可能性が大きい。そこで、エステル油を用
いた場合の軸受寿命について説明する。
ゴム材が開発された場合、PAGに代わってエステル油
が使用される可能性が大きい。そこで、エステル油を用
いた場合の軸受寿命について説明する。
【0044】エステル油は、水があると加水分解して脂
肪酸を生成することが一般的に知られている。しかし、
エステル油の飽和水分量はPAGの約十分の一と小さ
く、このため激しい加水分解は生じにくいが、カーエア
コンのようにO−リングあるいはゴムホースなどから水
分が冷凍サイクル内に透過して来るようなサイクルで
は、連続的に加水分解が進行するので、軸受の環境は次
第に悪化し、その軸受寿命の低下が懸念される。
肪酸を生成することが一般的に知られている。しかし、
エステル油の飽和水分量はPAGの約十分の一と小さ
く、このため激しい加水分解は生じにくいが、カーエア
コンのようにO−リングあるいはゴムホースなどから水
分が冷凍サイクル内に透過して来るようなサイクルで
は、連続的に加水分解が進行するので、軸受の環境は次
第に悪化し、その軸受寿命の低下が懸念される。
【0045】エステル油を用いた場合の、油中水分に対
する軸受寿命比を表2に併記する。油中水分が70pp
mではPAGの場合とほぼ同等かあるいは若干寿命が長
い傾向が認められる。前記のとおり、エステル油の飽和
水分量はPAGの約十分の一と少ないので、油中水分量
の最大値を2000ppmとして運転した。
する軸受寿命比を表2に併記する。油中水分が70pp
mではPAGの場合とほぼ同等かあるいは若干寿命が長
い傾向が認められる。前記のとおり、エステル油の飽和
水分量はPAGの約十分の一と少ないので、油中水分量
の最大値を2000ppmとして運転した。
【0046】この場合もPAGとほぼ同等乃至僅かにエ
ステルの方が長寿命となっている。これは水分量の絶対
値がPAGに比較して少ないためである。なお、レース
の材質の違いによる寿命の差、ころ材質の違いによる寿
命の差あるいは保持器の材質および型式の違いによる寿
命の差の傾向についてはPAGの場合と全く同様であ
る。但し、ころ材質がSUS,保持器がSPC波形軸受
でレースがSUSのものでは、SKに比べて長寿命とな
っているが、これらの値はほゞ同等と見做すことがで
き、PAGについての説明でも述べたように、ころの疲
労強度によって軸受寿命比が決まるものと考えられる。
ステルの方が長寿命となっている。これは水分量の絶対
値がPAGに比較して少ないためである。なお、レース
の材質の違いによる寿命の差、ころ材質の違いによる寿
命の差あるいは保持器の材質および型式の違いによる寿
命の差の傾向についてはPAGの場合と全く同様であ
る。但し、ころ材質がSUS,保持器がSPC波形軸受
でレースがSUSのものでは、SKに比べて長寿命とな
っているが、これらの値はほゞ同等と見做すことがで
き、PAGについての説明でも述べたように、ころの疲
労強度によって軸受寿命比が決まるものと考えられる。
【0047】このように、プラスチック製保持器とした
ことによって軸受寿命が向上したのは、以下に述べる理
由による。
ことによって軸受寿命が向上したのは、以下に述べる理
由による。
【0048】(1)転動体と保持器との硬度の差を大き
くとれるため、保持器との摺動に起因する転動体表面の
ミクロクラックの発生を回避することができる。
くとれるため、保持器との摺動に起因する転動体表面の
ミクロクラックの発生を回避することができる。
【0049】(2)保持器の剛性が低いので、回転変動
や荷重変動に起因する転動体の揺れ動きに対して、ある
程度変形して追随する。従って、転動体の動きを無理に
規制することがないので、転動体と保持器あるいは転動
体とレースとの滑り転がりの動きが円滑になり、転動体
表面のミクロクラックの発生を回避することができる。
や荷重変動に起因する転動体の揺れ動きに対して、ある
程度変形して追随する。従って、転動体の動きを無理に
規制することがないので、転動体と保持器あるいは転動
体とレースとの滑り転がりの動きが円滑になり、転動体
表面のミクロクラックの発生を回避することができる。
【0050】即ち、疲労強度低下の原因であるミクロク
ラックの発生を抑制できるので、軸受寿命が向上したも
のである。
ラックの発生を抑制できるので、軸受寿命が向上したも
のである。
【0051】以上述べたように、転がり軸受のころ保持
器をプラスチック製とすることによって、潤滑油として
分子中にカルボニル基をし、含有水分量が多い場合で
も、CFC12/鉱油系と同等以上の軸受寿命を得るこ
とができる。
器をプラスチック製とすることによって、潤滑油として
分子中にカルボニル基をし、含有水分量が多い場合で
も、CFC12/鉱油系と同等以上の軸受寿命を得るこ
とができる。
【0052】なお、本実施例ではスラスト針状ころ軸受
の場合ついてのみ説明したが、保持器をプラスチック製
としたことによる軸受寿命向上の理由から考え、転動体
と保持器が直接接触するような転がり軸受、例えばラジ
アル玉軸受、ラジアルころ軸受、スラスト玉軸受、スラ
ストころ軸受、円錐ころ軸受などにおいても、同様に軸
受寿命を向上することができる。
の場合ついてのみ説明したが、保持器をプラスチック製
としたことによる軸受寿命向上の理由から考え、転動体
と保持器が直接接触するような転がり軸受、例えばラジ
アル玉軸受、ラジアルころ軸受、スラスト玉軸受、スラ
ストころ軸受、円錐ころ軸受などにおいても、同様に軸
受寿命を向上することができる。
【0053】また、近い将来、CFC12の生産規制に
よって該冷媒が市場で入手不可能になると、現在CFC
12と鉱油で運転されているカーエアコンが冷媒漏れ等
によって冷媒不足状態になった時には、CFC12に変
えてHFC134aを使用せざるを得なくなる。この場
合、冷凍サイクルに残存しているCFC12と鉱油を回
収装置などを用いて抜取り、潤滑油封入脱気後HFC1
34aを封入するが、ガソリンスタンドや自動車ディー
ラが使用する真空ポンプの真空度からみて、冷凍サイク
ルにCFC12が残存することは避けられない。CFC
12が熱分解すると塩化水素を生成し、潤滑油であるP
AGやエステルを劣化させるだけでなく、軸受材質の疲
労強度を低下させる。
よって該冷媒が市場で入手不可能になると、現在CFC
12と鉱油で運転されているカーエアコンが冷媒漏れ等
によって冷媒不足状態になった時には、CFC12に変
えてHFC134aを使用せざるを得なくなる。この場
合、冷凍サイクルに残存しているCFC12と鉱油を回
収装置などを用いて抜取り、潤滑油封入脱気後HFC1
34aを封入するが、ガソリンスタンドや自動車ディー
ラが使用する真空ポンプの真空度からみて、冷凍サイク
ルにCFC12が残存することは避けられない。CFC
12が熱分解すると塩化水素を生成し、潤滑油であるP
AGやエステルを劣化させるだけでなく、軸受材質の疲
労強度を低下させる。
【0054】こうした塩化水素による合成油の劣化を防
止するためにはフェニルグリシジルエーテルその他エポ
キシ系の添加剤が一般に用いられるが、塩化水素は活性
な金属との化学反応が極めて激しく、上記添加剤は軸受
の寿命延長にはほとんど効果が認められない。こうした
環境で使用される転がり軸受でも、転動体保持器をプラ
スチックで成形することによって疲労寿命を向上させる
ことができる。
止するためにはフェニルグリシジルエーテルその他エポ
キシ系の添加剤が一般に用いられるが、塩化水素は活性
な金属との化学反応が極めて激しく、上記添加剤は軸受
の寿命延長にはほとんど効果が認められない。こうした
環境で使用される転がり軸受でも、転動体保持器をプラ
スチックで成形することによって疲労寿命を向上させる
ことができる。
【0055】なお、本発明では熱硬化性プラスチックと
してPPSについてのみ述べたが、表1に記載のPA
I、PEEK等であっても同様の結果が得られることは
説明するまでもない。
してPPSについてのみ述べたが、表1に記載のPA
I、PEEK等であっても同様の結果が得られることは
説明するまでもない。
【0056】また、連続使用温度はPAI、PEEK、
PPSに比べて低いが、フロントカバー15内部の温度
が低くなるような構造の圧縮機においては、PESやP
EIを用いても同様の効果が得られる。なお、本発明の
実施例においては、カーエアコンについて説明したが、
同様な作用,効果が得られるルームエアコンや冷蔵庫等
の冷凍圧縮機の軸受にも本発明が適用できることは云う
までもない。
PPSに比べて低いが、フロントカバー15内部の温度
が低くなるような構造の圧縮機においては、PESやP
EIを用いても同様の効果が得られる。なお、本発明の
実施例においては、カーエアコンについて説明したが、
同様な作用,効果が得られるルームエアコンや冷蔵庫等
の冷凍圧縮機の軸受にも本発明が適用できることは云う
までもない。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、冷凍圧縮機の転がり軸
受の転動体保持器にプラスチック製の保持器を用いるこ
とによって、軸受寿命をCFC12/鉱油系を用いた場
合と同等以上とすることができる。
受の転動体保持器にプラスチック製の保持器を用いるこ
とによって、軸受寿命をCFC12/鉱油系を用いた場
合と同等以上とすることができる。
【図1】本発明の実施例のカーエアコン用可変容量形圧
縮機の断面図である。
縮機の断面図である。
【図2】図1のスラスト針状ころ軸受の構造を示す断面
図である。
図である。
【図3】スラスト針状ころ軸受の保持器の平面図であ
る。
る。
【図4】本発明の実施例の保持器のころ部の断面図であ
る。
る。
1…シャフト、2…ドライブプレート、3…カム軸、4
…支点ピン、5…斜板、6…スリーブ、7…ピン、8,
32…スラスト針状ころ軸受、9…ラジアル玉軸受、1
0…ピストンサポート、11,36…止め輪、13…回
り止めピン、14…スライドボール、15…フロントカ
バー、16…シュー溝、17…に回り止めシュー、1
8,19…ボール、20…コネクティングロッド、21
…ピストン、22…シリンダブロック、23…シリン
ダ、24…シリンダヘッド、25…リアカバー、26…
吸入ポート、27…吐出ポート、28…冷媒吸入口、2
9,39…流路、30…低圧室、31…高圧室、33,3
4…ラジアル針状ころ軸受、35…圧縮機容量制御弁、
37…リップシール、38…パイロット弁、40,41
…レース、42…転動体(ころ)、43…保持器、50
…圧縮機、51…コイル。
…支点ピン、5…斜板、6…スリーブ、7…ピン、8,
32…スラスト針状ころ軸受、9…ラジアル玉軸受、1
0…ピストンサポート、11,36…止め輪、13…回
り止めピン、14…スライドボール、15…フロントカ
バー、16…シュー溝、17…に回り止めシュー、1
8,19…ボール、20…コネクティングロッド、21
…ピストン、22…シリンダブロック、23…シリン
ダ、24…シリンダヘッド、25…リアカバー、26…
吸入ポート、27…吐出ポート、28…冷媒吸入口、2
9,39…流路、30…低圧室、31…高圧室、33,3
4…ラジアル針状ころ軸受、35…圧縮機容量制御弁、
37…リップシール、38…パイロット弁、40,41
…レース、42…転動体(ころ)、43…保持器、50
…圧縮機、51…コイル。
Claims (6)
- 【請求項1】弗化炭化水素系冷媒と、ポリアルキレング
リコール系またはエステル系の冷凍機用潤滑油を用いた
冷凍機用圧縮機の転がり軸受であって、該転がり軸受の
転動体を保持する保持器がプラスチック製であることを
特徴とする冷凍機用圧縮機の転がり軸受。 - 【請求項2】前記保持器が熱硬化性プラスチック製であ
ることを特徴とする請求項1に記載の冷凍機用圧縮機の
転がり軸受。 - 【請求項3】前記保持器が、ポリアミドイミド、ポリエ
ーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイドか
ら選ばれたプラスチックで形成されていることを特徴と
する請求項2に記載の冷凍機用圧縮機の転がり軸受。 - 【請求項4】前記冷凍機用圧縮機の弗化炭化水素系冷媒
が1,1,1,2−テトラフルオロエタンを用いているこ
とをを特徴とする請求項1,2または3に記載の冷凍機
用圧縮機の転がり軸受。 - 【請求項5】弗化炭化水素系冷媒と、ポリアルキレング
リコール系またはエステル系の冷凍機用潤滑油を用いた
冷凍機用圧縮機において、該圧縮機内の転がり軸受の転
動体を保持する保持器が熱硬化性プラスチックで形成さ
れていることを特徴とする冷凍機用圧縮機。 - 【請求項6】前記冷凍機用圧縮機の弗化炭化水素系冷媒
が1,1,1,2−テトラフルオロエタンを用いているこ
とを特徴とする請求項5に記載の冷凍機用圧縮機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4002773A JPH05187355A (ja) | 1992-01-10 | 1992-01-10 | 冷凍機用圧縮機の転がり軸受とそれを用いた冷凍機用圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4002773A JPH05187355A (ja) | 1992-01-10 | 1992-01-10 | 冷凍機用圧縮機の転がり軸受とそれを用いた冷凍機用圧縮機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05187355A true JPH05187355A (ja) | 1993-07-27 |
Family
ID=11538661
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4002773A Pending JPH05187355A (ja) | 1992-01-10 | 1992-01-10 | 冷凍機用圧縮機の転がり軸受とそれを用いた冷凍機用圧縮機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05187355A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003156050A (ja) * | 2001-11-22 | 2003-05-30 | Ntn Corp | スラストニードル軸受 |
US7273319B2 (en) | 2001-09-26 | 2007-09-25 | Ntn Corporation | Roller thrust bearing |
WO2008001887A1 (fr) * | 2006-06-30 | 2008-01-03 | Ntn Corporation | palier à roulement ayant une résistance à la chaleur et à l'huile et palier à roulement pour un compresseur dans une machine réfrigérante |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5720584B2 (ja) * | 1974-05-25 | 1982-04-30 |
-
1992
- 1992-01-10 JP JP4002773A patent/JPH05187355A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5720584B2 (ja) * | 1974-05-25 | 1982-04-30 |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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DE112007001488T5 (de) | 2006-06-30 | 2009-05-07 | Ntn Corp. | Wärmebeständiges, ölbeständiges Wälzlager und Wälzlager zur Verwendung bei einem Kompressor einer Kältemaschine |
US20090129716A1 (en) * | 2006-06-30 | 2009-05-21 | Ntn Corporation | Heat-Resistant, Oil Resistant Rolling Bearing and Rolling Bearing for Use in a Compressor of a Refrigerating Machine |
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