JPH05172048A - 冷凍機用圧縮機の転がり軸受 - Google Patents

冷凍機用圧縮機の転がり軸受

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JPH05172048A
JPH05172048A JP3342728A JP34272891A JPH05172048A JP H05172048 A JPH05172048 A JP H05172048A JP 3342728 A JP3342728 A JP 3342728A JP 34272891 A JP34272891 A JP 34272891A JP H05172048 A JPH05172048 A JP H05172048A
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JP
Japan
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bearing
life
compressor
roller
oil
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Application number
JP3342728A
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English (en)
Inventor
Kenichi Kawashima
憲一 川島
Hidenori Machimura
英紀 町村
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04BPOSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS
    • F04B27/00Multi-cylinder pumps specially adapted for elastic fluids and characterised by number or arrangement of cylinders
    • F04B27/08Multi-cylinder pumps specially adapted for elastic fluids and characterised by number or arrangement of cylinders having cylinders coaxial with, or parallel or inclined to, main shaft axis
    • F04B27/10Multi-cylinder pumps specially adapted for elastic fluids and characterised by number or arrangement of cylinders having cylinders coaxial with, or parallel or inclined to, main shaft axis having stationary cylinders
    • F04B27/1036Component parts, details, e.g. sealings, lubrication
    • F04B27/1054Actuating elements
    • F04B27/1063Actuating-element bearing means or driving-axis bearing means

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Compressors, Vaccum Pumps And Other Relevant Systems (AREA)
  • Compressor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】加水分解や酸化等に依って有機酸や無機酸が発
生するような冷凍サイクルに於いて、転がり軸受の疲労
寿命を向上させる。 【構成】転動体表面に複数の微小凹凸を設けることに依
って潤滑油を保持し、転動体と保持器及びレースとの摩
擦や摩耗を低減させて、転動体表面のミクロクラックの
発生を回避する。 【効果】ミクロクラックを無くす事に依って、水素脆化
等に依るころ材料の疲労強度低下を回避し、軸受寿命を
向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カーエアコン等の様に
開放型の圧縮機を搭載した冷凍サイクルに用いられる圧
縮機の転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の冷凍サイクルに於いては
冷媒に極性がないCFC12を使用していたため、冷凍
機油には主に鉱油が用いられていた。ところが、昨今の
環境問題に依り、CFC12はHFC134aに置き換えられ
ることになった。HFC134aは極性基を有しているため、
鉱油は全く溶解せず、圧縮機の信頼性(潤滑)の面から
鉱油は使用できない。従って、HFC134a との相溶性を確
保するために極性基を有するPAG或いはエステルが用
いられる。カーエアコンでは−40〜80℃の範囲で互
いに完全に溶解することが要求される。合成油のうち、
エステル油は特殊なものを除いて温度範囲で相溶する
が、PAGの場合には高温側の温度目標値を満足出来な
いものが多い。PAGで、油粘度の目標値を満足させつ
ゝ(潤滑性の面で一定値以上の粘度が必要)高温側の二
層分離温度を向上させるには分子中の酸素含有率を増加
させるのが良い。具体的にはPAGの一方の末端或いは
両末端をエステル(例えばCH3COO−)で封鎖するの
が最も簡単で、こうすることによって高温側二層分離温
度の目標値を満足出来る。このような構造のPAGを便
宜上エステル変性PAGと称することにする。
【0003】ところで、カーエアコンには冷媒や潤滑油
にさらされる部分にゴム材が使用されている。エステル
油はゴム材を著しく膨潤させる性質が有り、現在のとこ
ろ長期信頼性を確保できるゴム材は見つかっていないの
で、この油を使用出来ないが、将来はエステル油を使用
することも有り得る。一方、エステル変性PAGに対し
ては信頼性、コストの面で使用可能なゴム材が選び出さ
れている。このような状況から、カーエアコンでは現在
のところエステル変性PAGが最も好適である。
【0004】カーエアコンでは圧縮機の駆動動力をエン
ジンから得ているため、開放型の圧縮機を用いている。
さらに、圧縮機はエンジンに、熱交換器は車体に固定さ
れるため、これらを連結する配管には可撓性が要求され
る。従って、圧縮機出入口の配管にはフレキシブルゴム
ホースを使用するのが一般的である。このため、大気中
の水分が圧縮機に使用されているOリング,軸シール及
びゴムホースなどを透過して冷凍サイクル内に侵入す
る。この水分を捕捉するために、冷凍サイクル内にはモ
レキュラシーブなどに代表される乾燥剤が装着されてい
るが、乾燥剤での吸湿量は有限である。簡単な計算に依
れば、3〜4年で乾燥剤の吸湿能力は全く無くなる。こ
の後は、ゴム材を透過した水分はそのまま冷凍機油或い
は冷媒中の水分量を増加させることになる。従って、最
悪の場合には、油中水分量は冷凍機油の飽和水分量まで
増加するものと考えなければならない。
【0005】そこで、冷媒及び潤滑油がそれぞれ飽和水
分量になるように、故意に水を加えて苛酷試験を実施し
た。この結果、CFC12/鉱油系での寿命の18〜3
5%といった短時間で圧縮機スラスト軸受の転動体に剥
離現象が生じた。この原因は完全に解明されてはいない
が、水が直接軸受転動体に対して悪影響を及ぼしたか、
或いは、エステル変性PAGが加水分解して有機酸を生
成し、これが軸受寿命を低下させたものと考えられる。
以上述べたように、HFC134a /エステル変性PAG系で
は圧縮機の軸受寿命を減少させるといった欠点が有っ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、作動冷媒に
HFC134a を用い、冷凍機油にエステル変性PAG、或い
は、エステル等の様に加水分解に依って有機酸を生成す
る様な潤滑油を用いた冷凍サイクルに於いて、圧縮機転
がり軸受の疲労寿命を向上させるためのものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明では上記の
冷凍サイクルに於いて、圧縮機転がり軸受の複数の転動
体表面に複数の凹凸(以下、ディンプルと称する)を設
けることによって前記軸受の疲労寿命を向上させようと
するものである。
【0008】
【作用】この様な構造とすることに依って、転動体とレ
ース及び転動体と保持器との潤滑を向上出来るので、こ
れら摺動に起因する転動体表面のミクロクラックの発生
が回避でき、この結果、軸受寿命を向上することが出来
る。
【0009】
【実施例】以下、本発明を図面を用いて説明する。図1
は本発明の一実施例を示すもので、カーエアコンに用い
られる可変容量圧縮機50の概略構造図である。本圧縮
機ではシャフト1に圧入或いはピンなどでドライブプレ
ート2を固定してある。ドライブプレートにはカム溝3
が設けてあり、溝内に支点ピン4がカム曲線に沿って移
動可能に設けられ、同時に支点ピン4は斜板5から突き
出した耳(図には現われていない)に嵌合してある。
又、ドライブプレート2のカム溝が設けられた耳部と斜
板耳部とは接触するような構造としてある。これによ
り、シャフト1の回転によってドライブプレートが回転
すると、ドライブプレートの耳から斜板5の耳に回転力
が与えられ、斜板が回転する。シャフト1にはスリーブ
6がシャフトに対して軸方向に滑動可能に組み込まれて
おり、スリーブは斜板とはピン7によって、スリ−ブに
対して斜板がピン7の周りに回転自在に締結されてい
る。
【0010】従って、シャフト1の回転により、ドライ
ブプレート2,斜板5,スリーブ6が共に回転する。斜
板5にはスラスト針状ころ軸受8及びラジアル玉軸受9
を介してピストンサポート10が設置されており、軸受
9の内輪が斜板に対して回転方向及び軸方向に回転した
り移動しないように、止め輪11で固定されている。一
方、ピストンサポート10は突起12により、軸受9に
対して図の右方向への移動を規制され、しかも、斜板と
の間に設置されたスラスト針状軸受8により図の左方向
への移動を規制されている。又、ピストンサポート10
には半径方向に回り止めピン13が圧入などの方法で固
定されており、ピンには回転と滑動が可能なスライドボ
ール14が設けてある。ピストンサポートがシャフトの
軸周りには回転しないように、ボール14をフロントカ
バー15の内側に設けられた軸方向シュー溝16内に回
り止めシュー17を介して設置されている。更に、ピス
トンサポートには両端にボール18,19を有する複数
のコネクティングロッド20が一端のボール18によ
り、ボール中心周りに回転自在に取り付けられ、他端の
ボール19にはピストン21がボールの中心周りに回転
自在に取り付けられている。ピストンはシリンダブロッ
ク22に設けられたシリンダ23内に組み込まれてい
る。シリンダブロックには、吸入弁,吐出弁及び吐出弁
リテーナが一組となって各々のシリンダに対応するよう
に組み込まれたシリンダヘッド24がリアカバー25と
共にボルト(図示せず)で固定されている。なお、これ
ら3部品の間にはそれぞれOリングが設置されており、
これら部品間の冷媒漏れをシールしている。また、ドラ
イブプレート2,斜板5及びピストンサポート10を取
り囲むように設置されたフロントカバー15がボルト
(図示せず)でシリンダブロックにOリングを介して固
定されている。シリンダヘッド24には各シリンダに対
応して吸入ポート26と吐出ポート27が設けられてい
る。リアカバー25には吸入ポートのみが開口し、圧縮
機の冷媒吸入口28と流路29で連通する低圧室30
と、吐出ポート27のみが開口し、圧縮機の吐出口(図
示せず)と連通する高圧室31とが設けられている。ま
た、冷媒を圧縮する際にシャフトに作用するスラスト力
はドライブプレートとフロントカバー間に設置されたス
ラスト針状ころ軸受32で、又、シャフトに作用するラ
ジアル力はフロントカバー15及びシリンダブロック2
2に設置されたラジアル針状ころ軸受33,34で受け
る。リアカバー25の冷媒流路29の途中には圧縮機容
量制御弁35が設けられ、該容量制御弁は圧縮機外部へ
の飛び出しを防止する目的で、止め輪36でリアカバー
に固定されている。なお、フロントカバーとシャフトの
間はリップシール37で圧縮機内外の気密を保たれる。
【0011】本圧縮機の動作について説明する。マグネ
ットクラッチに通電すると、シャフト1,ドライブプレ
ート2,斜板5及びスリーブ6が回転する。ピストンサ
ポート10は回り止め機構、即ち、回り止めピン13,
スライドボール14,シュー17及びシュー溝16によ
ってその回転が規制されているので、シャフトの回転軸
周りに揺動運動する。この運動がコネクティングロッド
20からピストン21に伝えられ、ピストンがシリンダ
23内で往復して冷媒を吸入圧縮する。冷媒は冷凍サイ
クルの熱交換器を経て圧縮機に戻ると、圧縮機冷媒吸入
口28,冷媒流路29,容量制御弁35,低圧室30及
び吸入ポート26を経てシリンダ23に流入し、ここで
圧縮される。この冷媒は吐出ポート27,高圧室31を
経て図示しない冷媒吐出口より冷凍サイクルに吐き出さ
れる。カーエアコンでは車室内温度が低下すると、蒸発
器内の圧力が低下する。例えば、冷媒の蒸発温度が0℃
となるような蒸発圧力まで低下すると、絶対圧力で差動
するパイロット弁38の働きに依って容量制御弁の弁開
度が小さくなって、流路面積が減少するため、シリンダ
内の圧力が低下する。一方、フロントカバー内部はシャ
フト中心部に設けた流路39などに依ってパイロット弁
38の外周部と連通しているため、フロントカバー内部
は常にほぼ蒸発圧力と等しい(蒸発器から圧縮機にいた
る低圧ガス配管での圧力損失分だけ圧力が低下する)。
従って、ピストン頭頂部の圧力が低下することによって
ピストン前後の圧力バランスが崩れ、ピストンはこの圧
力差に起因する力によって、図の右方向、即ち、圧縮機
の容量を減少させるように移動する。換言すれば、ピス
トン前後の圧力バランスが常に一定値に保たれるよう
に、即ち、蒸発圧力が一定値になるように圧縮機容量を
制御する。
【0012】本圧縮機に用いられているスラスト針状こ
ろ軸受は2個有るがその構造をドライブプレート2とフ
ロントカバー15との間に設置された軸受32を例にと
って図2を用いて説明する。本スラスト針状ころ軸受は
2枚のレース,複数の転動体(ころ)及び保持器から構
成されている。フロントカバー15側のレース40は浸
炭焼き入れされたスチール製の平板であり、ドライブプ
レート2側のレース41は保持器43及び前記レース4
0がシャフト1と直接接触しないようにレース内径側に
返りを設けてある。保持器43はころを放射状に設置
し、且つ、ころが脱落するのを防止するために設置され
るもので、一般には薄板の炭素鋼にプレス成形でころポ
ケットを設け、ころの円筒部を挟み込む様にしてある。
転動体42のサイズ及び本数は負荷容量や回転速度など
の使用条件によって決定される。また、転動体(ころ)
の材質は一般にSUJ2が用いられ、ころの両端には面
取り(一般にはクラウニング処理と称される)が施され
る。本発明では更に図3に示すようにころ表面にディン
プルが設けてある。
【0013】この軸受を用いて圧縮器を運転した結果を
図4〜図7に示した。まず、軸受騒音についてみると、
図4よりディンプルの深さが0.005mm を越えると
急激に騒音が増加し、図5よりディンプルの数が15個
/mm2 より少ない領域では騒音が大きくなる事が分か
る。従って、軸受騒音の面からはディンプルの深さは
0.005mm 以下、その数は15個/mm2以上であ
ればよいことが分かる。次に、軸受寿命について述べ
る。軸受寿命は浸炭焼入れを施したSCM(Cr−Mo
鋼)製レース,SUJ2製ころ,SPC製保持器を用い
てCFC12/鉱油系冷凍サイクル(油中水分量は70
ppm)で運転したときの軸受寿命を1.0として、各々
の軸受寿命を表1にその比率で表示した。まず、ディン
プル無しの場合について述べる。CFC12/鉱油系で
は、鉱油の飽和水分量はPAGなどに比べて極めて小さ
いので70ppmでの試験しか出来ないが、この結果に
ついてみると、レース材質によらず軸受寿命は略1.0
である。これに対して、PAG及びエステルの場合にも油
中水分量が70ppmのときはレース材質がSCMの場
合を除けばころの材質によらず寿命は略1.0 であり、
低水分領域では潤滑油の種類は軸受寿命に影響を及ぼさ
ないことが分かる。尚、レース材質がSCMの場合には
軸受寿命が低下しているが、これは、SCMレースでは
熱処理時に僅かに粒界酸化が生じたために疲労強度が低
下し、ころより先にレースに剥離が生じたことによる。
【0014】次に、PAGで油中水分量が2wt% の場合
には、ころがSUJ2の時はレースがSK材であっても
軸受寿命が大きく低下している。この理由は、同軸受で
ころをSUS製にすると0.71 に上昇していることか
ら、エステル変性PAGが加水分解して有機酸を生成
し、このような環境下で運転されると、(1)水素脆化
などにより材料の疲労強度を低下させる、(2)HFC134
a は分子中に塩素原子を有さないため潤滑性が無いの
で、荷重,回転速度などの運転条件が厳しくなると、こ
ろとレースとの間の滑りに依って、ころ表面にミクロク
ラックが発生し、ころの疲労強度が低下するのに加え
て、有機酸に依り水素脆化が加速される、(3)保持器と
ころが摺動してころ表面に材料欠陥が現われ、これがミ
クロクラックに進展して水素脆化が加速される、等に依
り軸受寿命が低下するものと考えられる。なお、レー
ス,ころ共SUS製の場合の寿命は0.67 となってお
り、ころのみをSUS製とした軸受の寿命に略等しい。
これは、保持器の型式材質が同じで、しかもレースが特
殊な材質でなければ軸受寿命はころの疲労強度で決まる
ことを意味している。いずれにしても、以上述べた軸受
では油中水分の影響を受けて、水分の増加によって大幅
に寿命が低下することが分かる。
【0015】これに対して、ころ表面にディンプルを設
けた軸受では寿命は水分70ppm では1.00である
が、2.0wt%では0.81に向上した。ここで、軸受寿
命とディンプルの数及び深さの関係について述べる。図
6から軸受寿命はディンプル深さが0.001mmまで
の範囲で急激に向上し、0.003mmまでは漸増傾向
が認められる。ディンプルの数と寿命の関係については
図7に示すようにディンプル数が20個/mm2 を越え
ると寿命向上の効果が認められない。尚、図6ではディ
ンプル深さは0.005mm までしか検討しなかった
が、深さが更に深くなるとディンプル凸部の応力が高く
なるので軸受け寿命は低下する。また、ディンプル深さ
が深くしかも数が極端に多い場合もディンプル凸部の応
力か大きくなって、軸受寿命が低下する。従って、ディ
ンプルの深さ及び数には限界が有る。
【0016】このように、ディンプルの深さは軸受寿命
の観点からは0.001mm 以上軸受騒音からは0.0
05mm 以下が適切であり、ディンプルの数は寿命及
び騒音の面から15個/mm2乃至20個/mm2以上が
適切である。
【0017】次に、将来、エステル油に対して適合性に
優れたゴム材が開発された場合にはPAGに代わってエ
ステル油が使用される可能性が有る。そこで、エステル
油を用いた場合の軸受寿命について述べる。エステル油
は水が有ると加水分解して脂肪酸を生成することが一般
的に知られている。エステル油の飽和水分量はPAGの
約十分の一と小さく、このため激しい加水分解は生じに
くい。しかし、カーエアコンのように、Oリング或いは
ゴムホースなどから水分が冷凍サイクル内に透過して来
るようなサイクルでは、連続的に加水分解が進行するの
で、軸受の環境は次第に悪化して軸受寿命が低下する懸
念が有る。油中水分に対する軸受寿命の比を表1に併記
した。
【0018】
【表1】
【0019】油中水分が70ppmではPAGの場合と
略同等か或いは若干寿命が長いような傾向が認められ
る。前述のように、エステル油の飽和水分量はPAGの
約十分の一と少ないので、油中水分量の最大値を200
0ppmとして運転した。この場合もPAGと略同等な
いし僅かにエステルの方が長寿命となっている。これは
水分の絶対値がPAGに比較して少ないためである。
尚、レースの材質の違いによる寿命の差、ころ材質の違
いによる寿命の差の傾向についてはPAGと全く同様で
あるので、個々の軸受寿命についての説明は省略する。
但し、ころ材質がSUSでレースがSUSのものはSK
に比べて僅かに長寿命となっているが、これらの値は略
同等と見做すことが出来、PAGについての説明で述べ
たように、ころの疲労強度に依って軸受寿命が決まるも
のと考えられる。
【0020】このように、ころ表面にディンプルを設け
ることによって軸受寿命が向上したのは、以下に述べる
理由による。ころ表面にディンプルを設けたことによっ
て、ころ表面に潤滑油を保持できるので、(1)ころと
レースとの摺動に起因するころ表面のミクロクラックの
発生を回避することが出来る、(2)ころと保持器との
摺動に起因するころ表面のミクロクラックの発生を回避
することが出来る。即ち、疲労強度を低下させる原因で
あるミクロクラックの発生を少なくできるので、軸受寿
命が向上したものである。
【0021】このように、転がり軸受のころ表面にディ
ンプルを設ける事によって、特に、分子中にカルボニル
基を有する潤滑油を用い、しかも、油中水分量が多い場
合にも軸受寿命を向上させることが出来る。
【0022】なお、本実施例ではスラスト針状ころ軸受
の場合のみを説明したが、転動体表面にディンプルを設
けたことに依る軸受寿命向上の理由から考えると、転動
体と保持器が直接接触するような構造の転がり軸受、例
えばラジアル玉軸受,ラジアルころ軸受,スラスト玉軸
受,スラストころ軸受,円錐ころ軸受などではその効果
に程度の差はあれ必ず軸受寿命は向上する。この意味
で、環境の悪い状態で使用される軸受では転動体にディ
ンプルを設ける事に依って、軸受寿命を向上することが
出来る。
【0023】また、将来、CFC12の生産規制によっ
て該冷媒が市場で入手不可能になると、現在CFC12
と鉱油で運転されているカーエアコンが冷媒漏れ等によ
って冷媒不足状態になった時には、CFC12に変えて
HFC134a を使用せざるを得なくなる。この場合、冷凍サ
イクルに残存しているCFC12と鉱油を回収装置など
を用いて抜取り、潤滑油封入脱気後HFC134a を封入する
が、ガソリンスタンドや自動車ディーラが使用する真空
ポンプの真空度からみて、冷凍サイクルにCFC12が
残存することは避けられない。CFC12が熱分解する
と塩化水素を生成し、潤滑油であるPAGやエステルを
劣化させるだけでなく、軸受材質の疲労強度を低下させ
る。塩化水素に依る合成油の劣化を防止するためにはフ
ェニルグリシジルエーテルその他エポキシ系の添加剤が
一般に用いられるが、塩化水素と活性な金属との化学反
応は極めて激しく、添加剤は軸受の延命にはほとんど効
果が認められない。このような状況で使用される転がり
軸受でも転動体表面にディンプルを設けることに依って
疲労寿命を向上させることが出来る。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば環境の悪い状態で使用さ
れる転がり軸受の転動体表面に微小な凹凸を設けること
によって、軸受寿命が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す図で、カーエアコン用可
変容量形圧縮機の断面図。
【図2】本発明のスラスト針状ころ軸受の断面構造の断
面図。
【図3】ころ表面ディンプルの構造を示す説明図。
【図4】本発明の効果を示す説明図。
【図5】本発明の効果を示す説明図。
【図6】本発明の効果を示す説明図。
【図7】本発明の効果を示す説明図。
【符号の説明】
8,32…スラスト針状ころ軸受、40,41…レース、
42…転動体(ころ)、43…保持器、45…凹部、4
6…凸部、50…圧縮機。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弗化炭化水素系冷媒と分子中に酸素原子を
    有する冷凍機油を用いた冷凍サイクルに於いて、転がり
    軸受の複数の転動体表面に複数の凹凸を設けたことを特
    徴とする冷凍機用圧縮機の転がり軸受。
  2. 【請求項2】弗化炭化水素系冷媒とポリアルキレングリ
    コール系冷凍機油を用いた冷凍サイクルに於いて、転が
    り軸受の複数の転動体表面に複数の凹凸を設けたことを
    特徴とする冷凍機用圧縮機の転がり軸受。
  3. 【請求項3】弗化炭化水素系冷媒とエステル系冷凍機油
    を用いた冷凍サイクルに於いて、転がり軸受の複数の転
    動体表面に複数の凹凸を設けたことを特徴とする冷凍機
    用圧縮機の転がり軸受。
  4. 【請求項4】請求項1において、転動体表面の凹みの深
    さが0.005mm 以下、凹みの数が15個/mm2
    上である冷凍機用圧縮機の転がり軸受。
JP3342728A 1991-12-25 1991-12-25 冷凍機用圧縮機の転がり軸受 Pending JPH05172048A (ja)

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JP3342728A JPH05172048A (ja) 1991-12-25 1991-12-25 冷凍機用圧縮機の転がり軸受

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7585114B2 (en) 2003-03-28 2009-09-08 Ntn Corporation Compressor bearing and compressor component

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7585114B2 (en) 2003-03-28 2009-09-08 Ntn Corporation Compressor bearing and compressor component

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