JPH05186515A - 放射線硬化型塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

放射線硬化型塩化ビニル系樹脂の製造方法

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JPH05186515A
JPH05186515A JP4021900A JP2190092A JPH05186515A JP H05186515 A JPH05186515 A JP H05186515A JP 4021900 A JP4021900 A JP 4021900A JP 2190092 A JP2190092 A JP 2190092A JP H05186515 A JPH05186515 A JP H05186515A
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博 多喜
Hideyuki Ohashi
英之 大橋
Yoshiichi Kodera
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 着色が少なく、磁気特性、耐久性に優れた
磁気記録媒体の製造を可能にする放射線硬化型の塩化ビ
ニル系樹脂の製造法を提供する。 【構成】 水酸基含有塩化ビニル系樹脂と分子中に1
個のエチレン不飽和基と1個のイソシアネート基を有す
る化合物とホスホン酸ソーダ基を有するカルボン酸とを
共存せしめて反応させる塩化ビニル系樹脂の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】磁気記録媒体用の結合剤としての
放射線硬化型塩化ビニル系樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂は強靭性等の機械的特
性に優れることから、磁気記録媒体用バインダーに使用
されている。近年、キュアリング等の処理の必要性が無
いところから放射線硬化型塩化ビニル系樹脂が検討され
てきている。放射線硬化型塩化ビニル系樹脂を製造する
方法としては、特開昭61−59621号公報から水酸
基を分子中に有する塩化ビニル系樹脂と分子中に1個以
上のエチレン性不飽和基と1個のイソシアネート基を有
する化合物を反応させることが開示されているが、反応
時間短縮の為に60℃以上の温度では塩化ビニル系樹脂
は不安定で塩素を放出して分解するため着色、塗膜物性
の低下等が発生し問題である。また低温での反応性の向
上のためにアミン等のウレタン結合形成触媒を多量に添
加すると製造した樹脂の磁性粉分散性及び硬化後の塗膜
物性が低下するため好ましくない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、以上の
様な事情に鑑み、反応温度60℃未満でも製造上問題の
ない製造を可能にし、機械特性及び電気特性に優れた磁
気記録媒体用に好適な着色のない放射線硬化型の塩化ビ
ニル系樹脂を得ることを目的として鋭意検討した結果、
本発明に到達した。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、水酸基
を分子中に有する塩化ビニル系樹脂と分子中に1個以上
のエチレン性不飽和基と1個のイソシアネート基を有す
る化合物とを反応させて放射線硬化型塩化ビニル系樹脂
を製造するに際し、下記一般式(I)〜(VI)の燐系極
性基を共存せしめて反応させることを特徴とする放射線
硬化型塩化ビニル系樹脂の製造方法。
【0005】
【化7】
【0006】
【化8】
【0007】
【化9】
【0008】
【化10】
【0009】
【化11】
【0010】
【化12】
【0011】R1 は炭素数8〜10の3価の炭化水素
基、R2 は炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、
炭素数1〜12のアルコキシ基、シクロアルコキシ基、
又はアリールオキシ基を示す。アリール基及びアリール
オキシ基はハロゲン原子、ヒドロキシル基、−OM’
(M’はアルカリ金属を示す。)またはアミノ基が結合
したものでもよい。R3 、R4 は、炭素数1〜12のア
ルキレン基、シクロアルキレン基、アリール基、次式:
−(CH2 −OR5 )m −で表される基(R5 は炭素数
1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリー
レン基を示す。mは1〜4の任意の数値を取ることがで
きる。)、Mはアルカリ金属原子、又はアミノ基を示
す。
【0012】本発明者等は放射線硬化型塩化ビニル系樹
脂を製造するに際して、燐系極性基を有する化合物を共
存せしめて、該化合物の燐系極性基を反応性の全樹脂構
成成分1トンに対し、0.01〜1000当量に含有さ
せて反応させることで、水酸基等の活性水素基と、イソ
シアネート基との反応性、即ち、ウレタン結合生成反応
が促進され、40℃という低温でも水酸基を有する塩化
ビニル系樹脂と分子中に1個以上のエチレン性不飽和基
と1個のイソシアネート基を有する化合物から着色の少
なく、かつ物性の低下が起こることない放射線硬化型塩
化ビニル系樹脂が製造でき、かつ反応終了後は添加した
燐系極性基が分散剤となり、磁性粉の分散性向上にも効
果がある。
【0013】本発明に於ける水酸基を持つ塩化ビニル系
樹脂としては、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコ
ール共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合
体、塩化ビニル−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ
ート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコ
ール−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体などが
あり、水酸基の数としては1分子中に3〜60個、好ま
しくは5〜30個である。また分子中に極性基を1種類
以上含有してもよく、極性基としては、−OSO3
基、−SO3 M基、−OPO3 M基、−PO3 M基、−
COOM基などがある(M原子はH、アミン 、アルカ
リ金属などを示す)。
【0014】本発明において、エチレン性不飽和二重結
合を1個以上およびイソシアネート基1個を1分子中に
有し、かつウレタン結合を分子中に持たない化合物とし
ては、(メタ)アクロイルイソシアネート、2−イソシ
アネートエチル(メタ)アクリレート、ポリイソシアネ
ートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応物など
がある。上記化合物の添加量としては主鎖ポリマーの2
〜20wt%の範囲が良く、2wt%未満では硬化性が
不十分であり、20wt%を越えて添加しても添加によ
る硬化性の向上は見られない。
【0015】本発明の燐系極性基を有する化合物は前記
式(I)〜(VI)で示されるの燐系極性基及びエステル
形成性官能基とを有する燐化合物である。これらの燐化
合物の代表例の構造式の化13〜化18に示す。し
【0016】反応系中に存在する燐系極性基は、全反応
性樹脂構成成分1トンに対し、0.04〜1000当
量、好ましくは0.05〜50当量、さらに好ましく
は、0.1〜5.0当量である。前記範囲より小さくな
れば、イソシアネート基と水酸基等の活性水素を有する
官能基との反応における触媒としての作用がなくり、ウ
レタン結合形成反応が進まず好ましくない。また、前記
範囲より大きくなれば、吸湿性の増大、物理的特性の低
下等を生じ実用生が少なくなり好ましくない。
【0017】一般式(I)〜(VI)の燐系極性基の系中
への添加は、溶剤に対する溶解性、反応性の点でポリエ
ステルとして望ましい。またポリエステルとしての添加
量が多くなると硬化性低下等を起こすので、ポリイソシ
アネート、活性水素基を有する(メタ)アクリレート化
合物との反応により、硬化性の優れたポリウレタンアク
リレートとして系に加えてもよい。
【0018】反応条件としては、反応温度は25〜60
℃の範囲が好ましい。溶媒としては、活性水素を持たな
いものが使用でき、例えば、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエ
ーテル類またはメチルエチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類が挙げられる。
【0019】触媒としては、通常は加える必要がない
が、燐系化合物以外の触媒を併用してもよい。その他の
触媒としてはイソシアネート反応触媒が用いられ、例え
ば、ジブチルチンジラウリレート、ジブチルチンオキサ
イド等の金属化合物またはトリエチルアミン等のアミン
化合物を用いることが出来る。また、反応中でのエチレ
ン性不飽和二重結合の安定化のため重合禁止剤等を用い
てもよい。
【0020】電子線照射機としてはスキャニング方式、
あるいはカーテンビーム方式が採用でき、吸収線量は1
〜20Mrad、好ましくは2〜15Mradが良い。
吸収線量は1Mrad未満では硬化反応が不充分であ
り、20Mradを越えると、硬化に使用されるエネル
ギー効率が低下したり、過度の架橋が進行したりするた
め、好ましくない。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 (燐系化合物含有ポリエステルの製造例)温度計、撹拌
機を具備した反応容器中にジメチルテレフタレート35
7部、ジメチルイソフタレート357部、前記燐化合物
(54)65部、エチレングリコール320部、テトラ
ブトキシチタネート0.4部を仕込み、150〜230
℃で120分間加熱し、エステル交換反応を行った。つ
いで反応系を30分間で250℃まで昇温し、系の圧力
を徐々に減じ45分後に10mmHgとし、この条件で
さらに60分間反応を続けた。得られたポリエステルジ
オールAの分子量は2000、燐化合物の含有量は37
6当量/トンであった。
【0022】同様にジメチルテレフタレート388部、
ジメチルイソフタレート388部、エチレングリコール
355部、ネオペンチルグリコール320部を原料に反
応を行った。得られたポリエステルジオールBの分子量
は2000、燐化合物の含有量は0当量/トンであっ
た。
【0023】実施例1 温度計、撹拌機、還流式冷却器を具備した反応容器中に
水酸基含有塩化ビニル系樹脂であるVAGH(ユニオン
カーバイド社製)100部とメチルエチルケトン250
部を仕込み、溶解後、2−メタクロイルオキシエチルイ
ソシアネート10部、ポリエステルジオールA0.1部
及びハイドロキノン0.003部を仕込み、50℃で6
時間反応させて残存イソシアネートが赤外分析器により
なくなったことを確認して、反応を終了させ放射線硬化
型塩化ビニル系樹脂Aを得た。同様に残存イソシアネー
トがなくなるまで反応させ放射線硬化型塩化ビニル系樹
脂B及びCを得た。
【0024】比較例1 温度計、撹拌機、還流式冷却器を具備した反応容器中に
前出のVAGH100部とメチルエチルケトン250部
を仕込み、溶解後、2−メタクロイルオキシエチルイソ
シアネート10部、ポリエステルジオールB0.1部、
ジブチルチンジラウレート0.02部及びハイドロキノ
ン0.003部を仕込み、50℃で6時間反応させたが
反応が遅いため、70℃に昇温してさらに6時間反応さ
せて残存イソシアネートを消失させ、放射線硬化型塩化
ビニル系樹脂Dを得た。同様に放射線硬化型塩化ビニル
系樹脂E及びFを得た。その結果を表1に示す。
【0025】 磁性塗料の製造方法 磁性粉末(コバルト被覆γ−酸化鉄) 60部 ポリウレタンアクリレート樹脂(BK4102:東洋紡績社製) (固形分濃度35wt%) 15部 放射線硬化型塩化ビニル系樹脂溶液A(固形分濃度31wt%) 15部 トルエン 25部 メチルイソブチルケトン 25部
【0026】上記組成物をボールミルで24時間混合し
た後、この磁性塗料を25μmのポリエチレンテレフタ
レートフィルム上に乾燥後の厚みが6μmとなるように
塗布した。次いで0.05秒間、2500ガウスの直流
磁場により、フィルムの長さ方向に磁場配向処理を行
い、100℃で1分間熱風乾燥した後、カレンダー処理
を行い、5Mradの放射線処理を行なった。表1に示
した放射線硬化型塩化ビニル系樹脂を用いて、同様の方
法によりポリエチレンテレフタレートフイルム上に磁化
可能層を形成させ、磁気テープを製造した。各々の磁化
可能層の測定結果を表2に示した。
【0027】
【発明の効果】表1及び2から明らかなように本発明よ
り製造された放射線硬化型塩化ビニル系樹脂は着色が少
なく、この樹脂を用いて得られた磁気記録媒体は磁気特
性及び耐久性の向上したものが得られる。
【0028】
【化13】
【0029】
【化14】
【0030】
【化15】
【0031】
【化16】
【0032】
【化17】
【0033】
【化18】
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基を分子中に有する塩化ビニル系樹
    脂と分子中に1個以上のエチレン性不飽和基と1個のイ
    ソシアネート基を有する化合物とを反応させて放射線硬
    化型ビニル系樹脂を製造するに際し、下記一般(I)〜
    (VI)の燐系極性基を有する化合物を共存せしめて反応
    させることを特徴とする放射線硬化型塩化ビニル系樹脂
    の製造方法。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】 〔R1 は炭素数8〜10の3価の炭化水素基、R2 は炭
    素数1〜12のアルキル基、アリール基、炭素数1〜1
    2のアルコキシ基、シクロアルコキシ基、又はアリール
    オキシ基を示す。アリール基及びアリールオキシ基はハ
    ロゲン原子、ヒドロキシル基、−OM’(M’はアルカ
    リ金属を示す。)またはアミノ基が結合したものでもよ
    い。R3 、R4 は、炭素数1〜12のアルキレン基、シ
    クロアルキレン基、アリール基、次式:−(CH2 −O
    5 )m −で表される基(R5 は炭素数1〜12のアル
    キレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基を示す。
    mは1〜4の任意の数値を取ることができる。)、Mは
    アルカリ金属原子、又はアミノ基を示す。〕
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