JPH05186364A - 水溶性組成物 - Google Patents

水溶性組成物

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JPH05186364A
JPH05186364A JP4203984A JP20398492A JPH05186364A JP H05186364 A JPH05186364 A JP H05186364A JP 4203984 A JP4203984 A JP 4203984A JP 20398492 A JP20398492 A JP 20398492A JP H05186364 A JPH05186364 A JP H05186364A
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water
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soluble
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peptide
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JP4203984A
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Yasutaka Igari
康孝 猪狩
Minoru Yamada
稔 山田
Kiyoko Ishiguro
聖子 石黒
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】持続性の医薬活性を有するポリペプチドの水溶
性組成物を提供する。 【構成】(イ)サイトカイン、造血因子、ペプチドホルモ
ン、心臓血管系に作用する因子、細胞接着因子、中枢お
よび末梢神経系に作用する因子、体液電解質および血液
有機物質に作用する因子、骨および骨格系に作用する因
子、腎臓および尿路系に作用する因子、感覚器官に作用
する因子、免疫系に作用する因子、呼吸器系に作用する
因子、生殖器系に作用する因子および酵素の群から選択
された医薬活性を有する水溶性ペプチドと(ロ)硫酸基を
有する酸性ムコ多糖類または(および)硫酸基を有する
天然型酸性ムコ多糖類の脱硫酸化物とを配合してなる水
溶性組成物。 【効果】医薬活性を有するポリペプチドの生体内におけ
る持続効果が増強される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬活性を有する水溶
性ペプチドの持続性製剤として有用な水溶性組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】医薬活性物質、とりわけ、ペプチド性医
薬品を持続性製剤とする目的はペプチドの体液中濃度を
持続的に一定有効濃度範囲に保つことである。該ペプチ
ドの薬理効果の発現機序により、 a)薬理効果が体液中有効濃度にあまり依存せず、かつ過
剰な薬理効果が生体にとって有害とならないものと、 b)体液中有効濃度に依存して薬理効果が現れ、かつ急激
な薬理効果の発現や過剰な薬理効果の発現が生体にとっ
て有害であるために定期的に薬用量を調整する必要があ
るものとがある。 持続性製剤の基剤として種々のものが知られているが、
ヒアルロン酸もその一つであり、特開平2−213号公
報にはヒアルロン酸およびその非毒性塩を含む生理活性
ペプチドの持続性製剤の技術が開示されている。その例
をみると、ヒアルロン酸ナトリウムの濃度を5%とした
カルシトニン、またはエルカトニン持続製剤を雄性ラッ
トに皮下投与後の血液中カルシウム濃度の低下が最低1
2時間持続されており、また、同様にヒアルロン酸ナト
リウム濃度を5%としたヒト成長ホルモン持続性製剤を
雄性ラットに投与後の血液中ヒト成長ホルモン濃度は最
低12時間持続している。これらはいずれも、比較例の
ヒアルロン酸ナトリウムが存在しない場合に比べて明ら
かに持続時間の延長がみられる。一方、別な比較例にお
いてヒアルロン酸ナトリウムの濃度を5%としたテガフ
ール製剤を雄性ラットに皮下投与しても持続効果は観察
されていない場合もある。
【0003】ところで、これらの公知技術では投与され
た部位でのヒアルロン酸の粘性による溶液中での物質の
拡散遅延を利用しており、また、カチオン基を含む物質
ではカルボキシル基を有するヒアルロン酸巨大分子との
間でイオン交換が起こり得、この交換が物質の拡散を一
層遅くしうる。特開平2−213号公報においてヒアル
ロン酸自身の濃度が3〜7%がもっとも好ましいとされ
ている。しかしながら、その高粘度のために気泡が混入
した場合にその除去が大きな問題になり、遠心分離また
は減圧による脱気が必要になってくる。また、同時にそ
の高粘度のために投与時に太い注射針を使用とする必要
があり、患者に与える苦痛は無視できないものがある。
また、特開平1−287041号公報においては、1%
濃度のヒアルロン酸を用いた製剤例が記載されている。
しかし、1%濃度のヒアルロン酸ナトリウム含有関節内
注射液の市販品の場合、その投用上の注意においては、
18〜20G程度の太めの注射針の使用が推奨されてお
り、皮下投与用注射製剤としては患者に与える苦痛が大
きい。さらに、特開昭62−129226号公報には注
射しうる製品中のヒアルロン酸濃度は約0.05%〜4
%(重量)の範囲とすることができ、かつ製品の最終使
用に従ってより高くすることもできると記載されている
が、具体的な注射剤への適用についての記述は無い。し
かしながら、前述のごとく比較的高濃度のヒアルロン酸
を使用しないかぎり、医薬活性物質の持続効果を上げ得
ないことは容易に類推される。確かに、製剤中のヒアル
ロン酸を高濃度にすると、その粘度に依存して医薬活性
物質の徐放効果が得られる可能性はあり、また、pHを
酸性側に低下させることにより(例えばpH2.5近
辺)、ヒアルロン酸の粘度が高まることを利用すれば同
様に医薬活性物質の徐放効果が得られる可能性はあ
る。しかしながら、ヒアルロン酸の粘度が高まれば高ま
るほど注射剤としては投与し難いものになり、またヒア
ルロン酸の溶液のpHが生理的pH領域からはずれるほ
ど医薬活性物質の安定性に悪影響を与えたり、投与され
る生体組織部位へのダメージが懸念される。
【0004】EP312208号公報にはヒアルロン
酸、コンドロイチン、コンドロイチン−6−硫酸、コン
ドロイチン−4−硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫
酸、ヘパラン硫酸、ヘパリンなどのグリコサミノグルカ
ンとマイトジェン作用、血管新生作用を持つポリペプチ
ド成長因子でエリスロポエチン(EPO)、コロニー刺
激因子(CSF)などの増血因子以外の例えばエピダー
マルグロースファクター(EGF)、トランスフォーミ
ンググロースファクターアルファ及びベータ(TGFα
およびTGFβ)、塩基性及び酸性エフジーエフ(aF
GFおよびbFGF)、インスリン様成長因子(IG
F)、血小板由来成長因子(PDGF)とを組み合わせ
ることによる創傷治癒用水性ゲル製剤の技術が公開され
ている。しかしながら、ヒアルロン酸以外のグリコサミ
ノグリカンと該ポリペプチド成長因子とが組み合わされ
た例はない。WO91/00739にはペプチドである
モチリンと安定化剤としてのヘパリンの組み合わせた技
術が公開されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、医薬活
性物質を徐放製剤化する目的でヒアルロン酸を用いる試
みがなされているものの、生体に投与する際の適合性に
ついては、いまだ解決されていない問題点が残されてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
点を解決するため鋭意研究をおこなったところ、医薬活
性を有する水溶性ペプチドと硫酸基を有する酸性ムコ多
糖類または(および)その脱硫酸化物とを配合してなる
水溶性組成物は、医薬活性を有する水溶性ペプチドの薬
理活性を損なわず、薬理効果を持続させることが可能に
なることを見いだし、これに基づいてさらに研究した結
果、本発明を完成した。
【0007】本発明は(イ)サイトカイン、造血因子、ペ
プチドホルモン、心臓血管系に作用する因子、細胞接着
因子、中枢および末梢神経系に作用する因子、体液電解
質および血液有機物質に作用する因子、骨および骨格系
に作用する因子、腎臓および尿路系に作用する因子、感
覚器官に作用する因子、免疫系に作用する因子、呼吸器
系に作用する因子、生殖器系に作用する因子および酵素
の群から選択された医薬活性を有する水溶性ペプチドと
(ロ)硫酸基を有する酸性ムコ多糖類または(および)硫
酸基を有する天然型酸性ムコ多糖類の脱硫酸化物とを配
合してなる水溶性組成物である。
【0008】上記の医薬活性を有する水溶性ペプチド
を、以下、本明細書中では単に「医薬活性ペプチド」と
略称することもある。また、上記硫酸基を有する酸性ム
コ多糖類または(および)硫酸基を有する天然型酸性ム
コ多糖類の脱硫酸化物を、単に「本発明のムコ多糖類」
と略称することもある。本発明の製剤における医薬活性
ペプチドとしてはオクタノール/水分配比が0.1以下
の水溶性のものが好ましく、0.05以下の水溶性のも
のがさらに好ましい。該医薬活性ペプチドとしては分子
量が200〜20万に属するものが好ましい適用対象で
あり、300〜9万のものがさらに好ましく適用し得
る。
【0009】本発明において、医薬活性ペプチドとして
は上記のものが挙げられるが、サイトカイン、造血因
子、ペプチドホルモン、中枢および末梢神経系に作用す
る因子、骨および骨格系に作用する因子、免疫系に作用
する因子、生殖器系に作用する因子がより好ましい対象
である。とりわけ、サイトカイン、造血因子、ペプチド
ホルモンに対し非常に有利に適用し得る。
【0010】次に、サイトカインとしては、リンホカイ
ン,モノカインが挙げられる。該リンホカインの例とし
ては、インターフェロン(アルファ、ベータ、ガン
マ),インターロイキン(IL−2〜IL−11)など
が挙げられる。さらにモノカインの例としては、IL−
1、腫瘍壊死因子(例えばTNFalfa、TNFbeta)、
白血病細胞阻止因子(LIF)などが挙げられる。上述
の造血因子の例としては、エリスロポエチン、顆粒球コ
ロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージ
コロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコ
ロニー刺激因子(M−CSF)などが挙げられる。該造
血因子として、血小板増殖作用を持つものが挙げられ、
具体的には例えば、白血球増殖因子製剤(リューコプロ
ール、森永乳業)、トロンボポエチン、血小板増殖刺激
因子、メガカリオサイトポテンシエーターなどが挙げら
れる。上述のペプチドホルモンの例として、インスリ
ン,成長ホルモンなどが挙げられる。上述の心臓血管系
に作用する因子の例として、エンドセリン、エンドセリ
ン合成酵素阻害剤、エンドセリン拮抗剤、バソプレシ
ン、レニン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンI
I、アンギオテンシンIII、アンギオテンシンIインヒビ
ター、アンギオテンシンII受容体拮抗剤、心房性ナトリ
ウム利尿ペプチド(ANP)、抗不整脈ペプチドなどが
挙げられる。
【0011】上述の細胞接着因子の例として、ラミニ
ン,細胞間接着分子1(ICAM1)などが挙げられ
る。上述の中枢および末梢神経系に作用する因子の例と
して、鎮痛麻酔(opioid)ペプチド(例、エンケファリ
ン、エンドルフィン、キョートルフィン)、ニューロト
ロピックファクター(NTF)、カルシトニン遺伝子関
連ペプチド(CGRP)、下垂体アデニレートサイクラ
ーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、甲状腺刺激ホ
ルモン放出ホルモン(TRH),その塩,これらの誘導
体(特開昭50−121273号公報、特開昭52−1
16465号公報),ニューロテンシンなどが挙げられ
る。
【0012】上述の体液電解質および血液有機物質に作
用する因子の例として、副甲状腺ホルモン(PTH)、
カルシトニン、アポプロテインE,ヒルディンなどが挙
げられる。上述の骨および骨格系に作用する因子の例と
して骨Gla ペプチド、副甲状腺ホルモン関連ペプチド
(PTH−rp)またはそれの活性フラグメント(例、オ
ステオスタチン、Endocrinology、129、324(19
91))またはヒストンH−4関連造骨成長因子(OG
P)(The Embo Journal、11、1867(199
2)),これらのミューテイン、これらの誘導体などが
挙げられる。上述の腎臓および尿路系に作用する因子の
例として、腎臓の機能を制御するものが挙げられ、具体
的には脳由来ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、ウロ
テンシンなどが挙げられる。
【0013】上述の感覚器官に作用する因子の例とし
て、該器官の感受性を支配する因子、例えばサブスタン
スPなどが挙げられる。上述の免疫系に作用する因子と
して、炎症や悪性新生物を支配する因子や感染性微生物
を攻撃する因子、例えば走化性ペプチドやブラディキニ
ンなどが挙げられ、さらにこれには天然あるいは遺伝子
工学の技術で産生される、例えば杉花粉あるいはぶたく
さ花粉などの、抗原として作用しうるペプチドあるいは
蛋白質も含まれる。これらは単独で、あるいはハプテン
に結合した形で、あるいはアジュバントとともに本発明
の組成物にし、注射投与するのがよい。上述の呼吸器系
に作用する因子の例として、喘息反応を支配する因子な
どが挙げられる。上述の生殖器系に作用する因子の例と
して、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)、
その類縁体(米国特許第4,008,209),オキシト
シン、黄体ホルモン(LH),これらの誘導体などが挙
げられる。上述の酵素の例としてスーパーオキサイドデ
ィスミュターゼ(SOD)、ティッシュープラスミノー
ゲンアクティベーター(TPA)、カリクレインなどが
挙げられる。
【0014】該医薬活性ペプチドにはペプチドに対する
可溶性受容体もさらに含まれる。該医薬活性ペプチドは
ポリエチレングリコールなどの合成ポリマー、コンドロ
イチン、多糖などの天然ポリマーあるいは非ペプチド性
物質で修飾されていてもよい。該非ペプチド性物質は受
容体に対するリガンドまたは抗体に対する抗原でもよ
い。 さらに該医薬活性ペプチドは、天然のものでもよ
く、化学的に合成されたものでも、遺伝子組換え技術に
より製造されたものでもよい。本発明における医薬活性
ペプチドは、糖鎖が異なるが活性を保持するペプチド、
糖鎖が欠如したペプチド、部分的にアミノ酸構成が異な
る等のムテイン、または活性を保持するこれらのペプチ
ドの誘導体,類縁対,同族体、もしくはこれらのペプチ
ドの活性フラグメントをも包含する。該医薬活性ペプチ
ドの作用機作としてはアンタゴニストあるいはアゴニス
トのいづれの作用機作でもよい。
【0015】本発明において使用されるムコ多糖類は前
記に定義されたものをいうが、アミノ糖とウロン酸との
二糖単位の繰り返し構造からなる長い直鎖状の複合多糖
類である。ウロン酸の一部でガラクトースに置き換わっ
たものも含み、硫酸基またはカルボキシル基により高い
負電荷を持つポリアニオンである。アニオン糖残基のア
ミノ基は一般的にアセチル化されているが、アセチル基
の代わりに硫酸基が該アミノ基に結合したものも含まれ
る。またはこれらの誘導体でも良い。本発明のムコ多糖
類は軟骨などの生体組織から抽出されたものでもよく、
微生物から産生されるものでもよい。また、これらの誘
導体でもよい。その分子量としては1000〜100
万、好ましくは1000〜30万程度のものが挙げられ
る。さらに好ましくは1000〜10万程度のものが挙
げられる。上記硫酸基を有するムコ多糖類としてはその
硫酸基の数が、二糖単位あたり約0.01〜4.0個のも
のが挙げられ、二糖単位あたり約0.1〜3.0個のもの
が好ましく用いられる。硫酸基を有する天然型酸性ムコ
多糖類を脱硫酸化する方法としては、酸性メタノール溶
液で脱硫酸する方法(シュバート,メソッヅインカーボ
ハイドレートケミストリー,5巻,109頁,1965
年)が挙げられる。脱硫酸化された本発明のムコ多糖類
における硫酸基の数は、二糖単位あたり約0〜0.1個
が 挙げられ、好ましくは約0〜0.05個が挙げられ
る。
【0016】本発明において用いられる硫酸基を有する
ムコ多糖類としては、たとえばコンドロイチン硫酸,ケ
ラタン硫酸,ヘパリン,ヘパラン硫酸などが具体例とし
て挙げられる。なかでも、コンドロイチン硫酸,ヘパラ
ン硫酸,ケラタン硫酸が好ましい。本発明において用い
られる硫酸基を有する天然型酸性ムコ多糖類の脱硫酸化
物としては、コンドロイチン,脱硫酸化ヘパリン,ヘパ
ランが具体例として挙げられる。なかでもコンドロイチ
ン,ヘパランが好ましい。本発明のムコ多糖類は、塩
類、たとえばアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩
であってもよい。該アルカリ金属塩としては、たとえば
ナトリウム塩,カリウム塩などが挙げられる。好ましく
はナトリウム塩である。該アルカリ土類金属塩として
は、マグネシウム塩,カルシウム塩などが挙げられる。
【0017】本発明組成物において、医薬活性ペプチド
の配合割合は該ペプチドの活性および治療上の必要量に
応じて、その有効量を含有せしめればよいが、一般にペ
プチド対ムコ多糖類の重量比は約0.00001:1〜
10:1であり、さらに好ましくは、約0.0001:
1〜5:1、もっとも好ましくは約0.001:1〜
1:1である。本発明の組成物にあっては、さらに、実
質的に薬理活性を示さず体液内に注入しうる水溶性蛋白
質(以下、水溶性蛋白質と称することもある。)を配合
してもよい。該水溶性蛋白質としては、たとえば血清ア
ルブミン、グロブリン、コラーゲン、ゼラチンなどが挙
げられる。なかでも血清アルブミンが好ましい。水溶性
蛋白質の配合割合は、注射用医薬組成物に通常添加され
る量から選択でき、たとえば水溶性蛋白質対ムコ多糖類
の重量比が約0.0001:1〜100:1であること
が好ましい。さらに好ましくは約0.001:1〜1
0:1、最も好ましくは約0.01〜1:1である。本
水溶性組成物における医薬活性ペプチドの水溶液にした
ときの好ましい使用濃度としては、約0.000000
1〜10%(W/V)が挙げられ、さらに好ま しくは
約0.000001〜5%(W/V)、もっとも好まし
くは約0.00001〜1%(W/V)が挙げられる。
本水溶性組成物におけるムコ多糖類の水溶液にしたとき
の好ましい使用濃度としては、約0.01〜10%(W
/V)、さらに好ましくは約0.1〜5%(W/V)、
もっとも好ましくは約0.1〜2%(W/V)が挙げら
れる。本水溶性組成物における水溶性蛋白質の水溶液に
したときの好ましい使用濃度としては、約0.01〜5
%(W/V)、さらに好ましくは約0.01〜1%(W
/V)あるいはもっとも好ましくは約0.01〜0.5%
(W/V)が挙げられる。
【0018】本発明の水溶性組成物溶液のpHは、医薬
活性を有するペプチドの活性に大きな影響を与えず、注
射剤として許容される範囲内で、また溶液の粘度を大幅
に変化させたり、沈澱物などを形成させないpHを選択
すればよい。通常、約pH4〜pH8であることが好まし
い。さらに好ましい範囲は、約pH5〜pH8である。
【0019】本発明の組成物は各成分を自体公知の常套
手段により混合することにより製造される。本発明の組
成物は医薬活性ペプチドおよびムコ多糖類、および必要
により水溶性蛋白質が単位投与物中に存在するように調
製するのが使用に際し有利である。例えば、アンプルま
たはバイアル中に滅菌水または滅菌生理食塩水に溶解ま
たは懸濁してこれらが存在するようにする。この場合、
医薬活性ペプチドの溶液およびムコ多糖類の溶液および
必要により水溶性蛋白質の溶液を混合して調製しても、
または医薬活性ペプチドの溶液にムコ多糖類の粉末およ
び必要により水溶性蛋白質の粉末を加えて調製しても、
またはその他の組み合わせによる調製法でもよい。ま
た、医薬活性ペプチドとムコ多糖類、および必要により
水溶性蛋白質が混在する凍結乾燥または真空乾燥粉末に
滅菌水または滅菌生理食塩水を加えて調製してもよい。
この単位投与物には従来用いられている添加物例えばp
H調節剤(例、グリシン,塩酸,水酸化ナトリウム),
局所麻酔剤(例、塩酸キシロカイン,クロロブタノー
ル),等張化剤(例、食塩,マンニトール,ソルビトー
ル),吸着防止剤(例、Tween 80),賦形剤(例、ポ
リエチレングリコール400,デキストラン)などを含
有させてもよい。
【0020】本発明の水溶性組成物は、一般に非経口投
与製剤として好ましく使用される。該非経口投与製剤と
しては、注射製剤,経粘膜水剤,点鼻水剤,点耳水剤な
どが挙げられる。該注射製剤としては、静脈内投与用,
皮下投与用,関節腔内投与用,筋肉内投与用,眼球内投
与用などが挙げられる。本持続性製剤25Gあるいは2
6Gなどの注射針を用いてアンプルあるいはバイアルか
ら注射器内に本持続性製剤を容易に吸引することが可能
である。吸引時に生じる気泡は短時間静置することによ
り、容易に除去可能である。本発明の組成物は、水に溶
解された状態のものでもよく、また、マンニトール等の
晶質物と共に凍結乾燥されたものでもよい。凍結乾燥さ
れたものは、滅菌水または滅菌生理食塩水を加えて水溶
液にする。凍結乾燥された組成物の場合は、水溶液にし
たときの粘度、張度、濃度が上記したものとなるように
調整されればよい。本発明の水溶性組成物の水溶液の張
度は投与された時に生体にダメージを与えない範囲内で
あればよく、例えば塩化ナトリウムやマンニトールなど
の等張化剤により調整される。
【0021】本発明の水溶性組成物の水溶液の粘度は注
射可能な程度に低くする。該粘度は好ましくは約500
センチポイズ(cP)以下、さらに好ましくは約400c
P以下である。ここでいう粘度とはEタイプ粘度計(ト
キメック社製、日本)を用いコーンLDを使用して25
℃で測定される粘度をいう。上述のように、医薬活性ペ
プチドと酸性ムコ多糖を混合することにより、該医薬活
性ペプチドの生体中での残留時間を延長させ、ひいては
その薬理効果を延長させることが可能になる。上述の効
果を引き出せる酸性ムコ多糖の水溶液の粘度は低く、通
常の注射液とほぼ同様に取り扱うことが可能である。そ
の結果、細い注射針で投与することが可能になり、本発
明の水溶性組成物を用いた水溶液は気泡の発生がほとん
ど起こらない。従って患者および医療従事者への恩恵は
図り知れないものがある。
【0022】本発明の組成物の構成成分を混合すること
の最終目標は医薬活性物質の活性を保持しながら、混合
操作中の気泡発生を最小限にすることである。該構成成
分は同時にあるいは考えうるいずれかの順番で容器(例
えば瓶またはドラム)に入れられる。該容器中の雰囲気
は例えば清浄な空気あるいは清浄な窒素ガスでもよい。
ここで得られた水溶液は小容量のバイアルまたはアンプ
ルに移され、さらに凍結乾燥の操作を受けてもよい。本
発明の組成物を、水溶液のままであるいは凍結乾燥粉末
とし、これをポリ(乳酸−グリコール酸)共重合体、ポ
リヒドロキシ酪酸、ポリ(ヒドロキシ酪酸−グリコール
酸)共重合体、あるいはこれらの混合物の溶液に溶解あ
るいは分散させた後、例えば、自体公知の方法によりフ
ィルム、マイクロカプセル(マイクロスフェアー)、ナ
ノカプセル(ナノスフェアー)などに成型してもよい。
さらに、本発明の組成物は燐脂質、コレステロール、あ
るいはこれらの誘導体を用いて自体公知の方法で作製さ
れるリポゾーム中に封入してもよく、得られた製剤を生
理食塩水あるいはヒアルロン酸生理食塩水溶液中にさら
に分散してもよい。
【0023】本発明の組成物は水溶液としてソフトカプ
セル中に充填し、あるいは本発明の組成物を粉末状と
し、これをハードカプセル中に充填あるいは錠剤に成型
し、経口投与あるいは座剤として直腸投与してもよい。
これらの固型剤として投与した場合には、投与後に水溶
液となったときに持続効果が発揮される。さらに、本発
明の組成物の水溶液は適度に粘性を持ち撹拌などの物理
的な刺激に対して影響を受けにくいため、自己投与のた
めにプレフィルドシリンジ(Prefilled Syringe)に充
填して供給されてもよい。本発明の組成物は常温、例え
ば10℃〜30℃、または通常冷蔵温度、例えば2℃〜
8℃で保存されてもよい。本発明の組成物の投与量,投
与対象,投与対象疾患などは、医薬活性ペプチドのそれ
らによる。また、本発明の組成物において、水溶性ペプ
チドに加えられるムコ多糖類は低毒性である。
【0024】
【実施例】以下に実施例及び実験例を挙げて本発明をさ
らに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0025】実施例1. エリスロポエチン持続性製剤 ヒトエリスロポエチン3000国際単位(約30マイク
ログラムに相当)、マンニトール25ミリグラム、ヒト
血清アルブミン1ミリグラムを含むヒトエリスロポエチ
ン製剤(エポジン注3000:中外製薬)に1バイアル
あたり2ミリリットルの注射用生理食塩水を加えて溶解
した。この溶液1.14ミリリットルに1%コンドロイ
チン硫酸製剤(科研製薬)1.14ミリリットルを加え
て混和した。
【0026】実施例2. エリスロポエチン持続性製剤 ヒトエリスロポエチン3000国際単位(約30マイク
ログラムに相当)、マンニトール25ミリグラム、ヒト
血清アルブミン1ミリグラムを含むヒトエリスロポエチ
ン製剤(エポジン注3000:中外製薬)に1バイアル
あたり2ミリリットルの注射用生理食塩水を加えて溶解
した。この溶液1.14ミリリットルにコンドロイチン
ナトリウム塩(生化学工業)を1.5%の濃度で生理食
塩水に溶解させたもの0.57ミリリットルを加えて混
和した。
【0027】実施例3. エリスロポエチン持続性製剤 ヒトエリスロポエチン3000国際単位(約30マイク
ログラムに相当)、マンニトール25ミリグラム、ヒト
血清アルブミン1ミリグラムを含むヒトエリスロポエチ
ン製剤(エポジン注3000:中外製薬)に1バイアル
あたり2ミリリットルの注射用生理食塩水を加えて溶解
した。この溶液1.5ミリリットルに注射用生理食塩水
0.3ミリリットルを加え、ヘパラン硫酸(生化学工
業)10ミリグラムを加えて混和した。
【0028】実施例4. インターフェロンアルファ持
続性製剤 300万国際単位(約100マイクログラムに相当)の
インターフェロンアルファー2aと5ミリグラムのヒト
血清アルブミンを含むインターフェロンアルファ製剤
(キャンフェロンA300:武田薬品)の各バイアルに
それぞれ1ミリリットルの注射用蒸留水を添加して溶解
した。この溶液1.2ミリリットルに0.6ミリリットル
の1%コンドロイチン硫酸製剤(科研製薬)を添加し完
全に混和した。
【0029】実施例5. G−CSF持続性製剤 300マイクログラムのG−CSF、50ミリグラムの
マンニトール、0.004%のトイーン80を含む顆粒
球コロニー刺激因子(G−CSF)製剤(ニュポジェ
ン:アムジェン社(米国))の0.023ミリリットル
に1.039ミリリットルの注射用生理食塩水(扶桑薬
品)、1.039ミリリットルの1%コンドロイチン硫
酸製剤(科研製薬)、および4マイクロリットルの20
%(w/v)ヒト血清アルブミンを含有するヒト血清ア
ルブミン製剤(ニチヤクアルブミン:日本製薬)を添加
し、完全に混和した。
【0030】実施例6. インスリン持続性製剤 10ミリグラムの豚インスリン(ディオシンス社:オラ
ンダ)に5ミリリットルの0.1規定塩酸を添加し溶解
させた。ガラス製バイアル瓶(容量約5ミリリットル)
にこの溶液1ミリリットルと1ミリリットルの1%コン
ドロイチン硫酸製剤(科研製薬)を入れ完全に混和し
た。
【0031】実施例7. TRH持続性製剤 1.464ミリグラムの甲状腺刺激ホルモン(TRH)
酒石酸塩と50ミリグラムのD−ソルビトールを含有す
るヒルトニン注(武田薬品)の1ミリリットルをガラス
製バイアル瓶(容量約5ミリリットル)に入れ、さらに
1%のコンドロイチン硫酸製剤(科研製薬)を1ミリリ
ットル加えて完全に混和した。
【0032】実施例8. 副甲状腺ホルモン持続性製剤 450マイクログラムの副甲状腺ホルモン(PTH)
(バッケム社、スイス)を1.5ミリリットルの注射用
生理食塩水に溶解した。この溶液1ミリリットルを含む
ガラス製バイアル瓶に1%のコンドロイチン硫酸製剤
(科研製薬)を1ミリリットル加えて完全に混和した。
【0033】実施例9. リュープロレリン持続性製剤 750マイクログラムのLH−RHアナログである酢酸
リュープロレリン(武田薬品。米国特許 No. 4008
209)を1.5ミリリットルの1/30モルの燐酸緩
衝液(pH6)に溶解した。この溶液の1ミリリットル
を含むガラス製バイアル瓶に1%のコンドロイチン硫酸
製剤(科研製薬)を1ミリリットル加えて完全に混和し
た。
【0034】実施例10. LH−2持続性製剤 1ミリリットルのインターロイキン2(10マイクログ
ラムを含有)(特開昭61−78799号公報に記載の
方法により製造され、特開昭60−115528号公報
に記載の精製法で精製。N末端にメチオニンが付いてい
るものといないもの混合物)に0.5ミリリットルの生
理食塩水を添加した。この溶液の1ミリリットルを含む
ガラス製バイアル瓶に1%のコンドロイチン硫酸製剤
(科研製薬)を1ミリリットル加えて完全に混和した。
【0035】実施例11. ヒルジン持続製剤 100ATU(約8μg に相当)のヒルジン(ペニンス
ララボラトリー、米国)を含む溶液に注射用生理食塩水
を加えて全量1ミリリットルとした。この溶液を含むガ
ラス製バイアル瓶に1%のコンドロイチン硫酸製剤(科
研製薬)を1ミリリットル加えて完全に混和した。
【0036】実施例12. SOD持続製剤 200μg のセラチア由来スーパーオキサイドディスミ
ュターゼ(SOD)(特開昭57−29285号公報、
特開昭53−16685号公報)を含む0.7ミリリッ
トルの生理食塩水に1%のコンドロイチン硫酸製剤(科
研製薬)を1ミリリットル加えて完全に混和した。
【0037】実験例1.下記配合割合にて注射剤を調製
し、実験に使用した。 比較製剤1:ヒトエリスロポエチン3000国際単位
(約30マイクログラムに相当)、マンニトール25ミ
リグラム、ヒト血清アルブミン1ミリグラムを含むヒト
エリスロポエチン製剤(エポジン注3000:中外製
薬)に1バイアルあたり2ミリリットルの注射用生理食
塩水を加えて溶解した。 比較製剤2:注射用生理食塩水 2 ミ
リリットル 8週齢の雄性SD系ラット背部皮下に、135国際単位
/kg/日の7日分の薬用量で実施例1、実施例2、比較
製剤1、および比較製剤2の注射液を1週間おきに2回
投与した。投与前および一定時間毎に約0.4ミリリッ
トルづつ採血し(抗凝固剤としてEDTA 2Na使
用)、ミクロヘマトクリット用キャピラリーチューブ
(ドラモントサイエンティフィック社製)に血液を吸引
後ヘマトクリット値を測定した(KH120M型遠心分
離機、クボタ社製)。
【0038】実施例1で得られた製剤,比較製剤1およ
び比較製剤2の結果を〔図1〕に示す。〔図1〕におい
て、実施例1のエリスロポエチン持続性製剤(△)と比
較製剤1のエリスロポエチン注射液(●)と比較製剤2
の生理食塩水(○)を1週間おきに2回投与したラット
群のヘマトクリット値の時間推移を示す。〔図1〕から
明らかなように比較製剤2の生理食塩水投与群ではヘマ
トクリット値の変化はほとんどなかった。第1回目の投
与後ヘマトクリット値は両方とも上昇しているが、比較
製剤1では投与後7日目に低下していたのに比べて実施
例1の製剤では低下が少なかった。2回目の投与後も実
施例1の製剤の群のヘマトクリット値は投与後14日目
まで高い値に維持されていが、比較製剤1ではヘマトク
リット値が急速に上昇した後再び減少していた。このこ
とはエリスロポエチンにコンドロイチン硫酸を添加する
ことにより薬理効果の急激な変動を抑えながら薬理効果
の持続効果が得られることを示している。実施例2の製
剤,比較製剤1および比較製剤2の結果を〔図2〕に示
す。〔図2〕は実施例2のエリスロポエチン持続性製剤
(△)と比較製剤1のエリスロポエチン注射液(●)と
比較製剤2の生理食塩水(○)を1週間おきに2回投与
した時のヘマトクリット値の時間推移を示すグラフであ
る。それぞれの図におけるラットは一群5匹を用いてお
り、各図中の点は平均値を示している。〔図2〕から明
らかな如く、1回目の投与後に実施例1の製剤に比較す
ると少し遅いがヘマトクリット値が上昇し、2回目の投
与をはさんでその値が持続していた。コンドロイチン添
加によりエリスロポエチンの薬理効果の持続が得られる
ことは明らかである。
【0039】実験例2.下記配合割合にて注射剤を調製
し、実験に使用した。 比較製剤3:ヒトエリスロポエチン3000国際単位
(約30マイクログラムに相当)、マンニトール25ミ
リグラム、ヒト血清アルブミン1ミリグラムを含むヒト
エリスロポエチン製剤(エポジン注3000:中外製
薬)に1バイアルあたり2ミリリットルの注射用生理食
塩水を加えて溶解した。 比較製剤4:注射用生理食塩水 2 ミ
リリットル 8週齢の雄性SD系ラット背部皮下に、135国際単位
/kg/日の7日分の薬用量で実施例3、比較製剤3およ
び比較製剤4の注射液を1週間おきに2回投与した。投
与前および一定時間毎に約0.4ミリリットルづつ採血
し(抗凝固剤としてEDTA 2Na使用)、ミクロヘ
マトクリット用キャピラリーチューブ(ドラモントサイ
エンティフィック社製)に血液を吸引後ヘマトクリット
値を測定した(KH120M型遠心分離機、クボタ社
製)。結果を〔図3〕に示す。〔図3〕においては比較
製剤4の生理食塩水(○)、比較製剤3のエリスロポエ
チン溶液(●)、および実施例3のエリスロポエチンに
ヘパラン硫酸を添加した溶液(△)を1週間おきに2回
投与したラット群のヘマトクリット値の時間推移を示す
グラフである。〔図3〕から明らかな如く、比較製剤4
の生理食塩水投与群ではヘマトクリット値の変化はある
ものの、上昇していく傾向はみられなかった。第1回目
の投与後、実施例3のヘパラン硫酸を添加した群ではヘ
マトクリット値は速やかに上昇し、2回目の投与をはさ
んでほぼ同じ値を投与後14日目まで維持していた。一
方、比較製剤3のエリスロポエチン溶液投与群では1回
目の投与後徐々にヘマトクリット値が上昇し投与後7日
目にピークに達した後、9日目に大きく低下した。実験
開始後12日目には2回目の投与により再びヘマトクリ
ット値は上昇していた。このことはエリスロポエチンに
ヘパラン硫酸を添加することにより薬理効果の急激な変
動を抑えながら薬理効果の持続効果が得られることを示
している。
【0040】実験例3.下記配合割合にて注射剤を調製
し、実験に使用した。 比較製剤5:300万国際単位(約100マイクログラ
ムに相当)のインターフェロンアルファー2aと5ミリ
グラムのヒト血清アルブミンを含有するインターフェロ
ンアルファ製剤(キャンフェロンA300:武田薬品)
のそれぞれのバイアルに1ミリリットルの注射用蒸留水
を添加して溶解した。この溶液1.2ミリリットルに0.
6ミリリットルの注射用生理食塩水(扶桑薬品)を添加
し、完全に混和した。8週令の雄性SDラットの背部皮
下にインターフェロンアルファー2aを含む実施例4の
製剤あるいは比較製剤5の製剤がそれぞれ0.3ミリリ
ットルの容量で投与された。投与前および投与後一定時
間毎に約0.4ミリリットルの血液が採取された。血清
はそれぞれの血液サンプルから分離され、血清中のイン
ターフェロンアルファー2a濃度をELISA法で測定
した。結果を〔図4〕に示されている。比較製剤5の製
剤の投与群では投与部位からインターフェロンアルファ
ー2aは速やかに吸収され血清インターフェロンアルフ
ァー2a濃度は時間とともに減少した(○)。一方、コ
ンドロイチン硫酸、ヒト血清アルブミン、およびインタ
ーフェロンアルファー2aを含む実施例4の製剤投与群
では血清インターフェロンアルファー2a濃度は投与後
2時間目から8時間目まで対照群に比較して高かった
(●)。これらの結果はインターフェロンアルファー2
aにコンドロイチン硫酸とヒト血清アルブミンを組み合
わせることにより、血清インターフェロンアルファー2
a濃度を持続させうることを示している。それぞれの点
は5匹のラットの平均値である。
【0041】実験例4.下記配合割合にて注射剤を調製
し、実験に使用した。 比較製剤6:300マイクログラムのG−CSF、50
ミリグラムのマンニトール、0.004%のトイーン8
0を含む顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)製剤
(ニュポジェン:アムジェン社(米国))の0.02ミ
リリットルに1.805ミリリットルの注射用生理食塩
水(扶桑薬品)を添加し、完全に混和した。8週令の雄
性SD系ラットの背部皮下にヒトG−CSFを含む実施
例5の製剤、または比較製剤6の製剤をそれぞれ0.3
ミリリットルの容量で投与した。投与 前および投与後
一定時間毎に約0.1ミリリットルの血液が採取された
(抗凝固 剤としてEDTA.2ナトリウム塩を使
用)。末梢白血球、赤血球、血小板数はミクロセルカウ
ンターCC−180A型(東亜医用電子)を用いて測定
した。末梢好中球、リンパ球、単球、好酸球数はギムザ
染色を施した塗抹標本を鏡検することにより白血球20
0個を分類し、それぞれの細胞の出現頻度を白血球数に
乗じて算出した。結果を〔図5〕に示す。比較製剤6の
ヒトG−CSF溶液投与群(○)では投与後16時間目
において末梢血中の好中球数が増加していた。ヒトG−
CSFにコンドロイチン硫酸を添加した実施例5の製剤
を投与した群(●)では比較製剤6の製剤投与群よりも
さらに末梢血中の好中球数は増加していた。また、投与
後24時間目においては、比較製剤6の製剤を投与した
群に比較して、実施例5の製剤を投与した群ではさらに
高い値を維持していた。このようにコンドロイチン硫酸
を添加することによりG−CSFの薬理効果を増強でき
ることを示している。図中の各点は5匹のラットの平均
値である。
【0042】実験例5.下記配合割合にて注射剤を調製
し、実験に使用した。 比較製剤7:10ミリグラムの豚インスリン(ディオシ
ンス社)を5ミリリットルの0.1規定の塩酸5ミリリ
ットルで溶解した。この溶液1ミリリットルと1ミリリ
ットルの注射用生理食塩水をガラス製バイアル瓶(容量
約5ミリリットル)に入れ、完全に混和した。8週令の
雄性SD系ラットの背部皮下にインスリンを含有する実
施例6の製剤あるいは比較製剤7の製剤をそれぞれ0.
2ミリリットルの容量で投与した。投与前および投与後
一定時間毎に約0.4ミリリットルの血液を採血し、血
清グルコースレベルを測定した(グルコースCテスト和
光:和光純薬)。〔図6〕に血清グルコースレベルの時
間推移を示す。投与後3時間目までは、インスリンを含
有する実施例6の製剤投与群(●)と比較製剤7の製剤
投与群(○)との間には血清グルコースレベルの差はみ
られなかった。投与後8時間目には後者の製剤投与群で
は血清グルコースレベルは投与前のレベルの復帰してい
たが、前者の製剤投与群では血清グルコースレベルは充
分に抑制されていた。以上の結果からインスリンとコン
ドロイチン硫酸を組み合わせることにより、インスリン
の薬理効果を持続させうることが示されている。
【0043】
【発明の効果】酸性ムコ多糖類と医薬活性ペプチドとを
混合して投与することにより医薬活性ペプチドが持続的
に生体内に存在し薬理作用が持続する。酸性ムコ多糖類
溶液の粘性を非常に低くしても該効果が発揮されるので
通常の溶液とほぼ同様に取り扱いできる。この結果、細
い注射針を使用でき気泡の混入などがほとんど無いため
に、患者、医療従事者に与える恩恵は計り知れない。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実験例1で得られた、ヘマトクリット値の
時間推移を示すグラフである。
【図2】は、実験例1で得られた、ヘマトクリット値の
時間的推移を示すグラフである。
【図3】は、実験例2で得られた、ヘマトクリット値の
時間的推移を示すグラフである。
【図4】は、実験例3で得られた、血清中のインターフ
ェロン−α値の時間的推移を示すグラフである。
【図5】は、実験例4で得られた、末梢血中の好中球数
の時間的推移を示すグラフである。
【図6】は、実験例5で得られた、血清中のグルコース
値の時間的推移を示すグラフである。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(イ)サイトカイン、造血因子、ペプチドホ
    ルモン、心臓血管系に作用する因子、細胞接着因子、中
    枢および末梢神経系に作用する因子、体液電解質および
    血液有機物質に作用する因子、骨および骨格系に作用す
    る因子、腎臓および尿路系に作用する因子、感覚器官に
    作用する因子、免疫系に作用する因子、呼吸器系に作用
    する因子、生殖器系に作用する因子および酵素の群から
    選択された医薬活性を有する水溶性ペプチドと、(ロ)硫
    酸基を有する酸性ムコ多糖類または(および)硫酸基を
    有する天然型酸性ムコ多糖類の脱硫酸化物とを配合して
    なる水溶性組成物。
  2. 【請求項2】酸性ムコ多糖類または(および)脱硫酸化
    物がアルカリ金属塩である請求項1記載の水溶性組成
    物。
  3. 【請求項3】医薬活性を有する水溶性ペプチドが、エリ
    スロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CS
    F)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CS
    F)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−
    CSF)、インターフェロン類、インターロイキン類、
    腫瘍壊死因子(TNF)、黄体形成ホルモン放出ホルモ
    ン(LH−RH),スーパーオキサイドディスミュター
    ゼ(SOD),またはこれらのムテイン,誘導体,類縁
    体もしくは同族体である請求項1記載の水溶性組成物。
  4. 【請求項4】ムコ多糖類がコンドロイチン硫酸,ヘパラ
    ン硫酸,ケラタン硫酸,コンドロイチン又はヘパランで
    ある請求項1記載の水溶性組成物。
  5. 【請求項5】医薬活性を有するペプチドとムコ多糖類と
    の重量比が約0.00001:1〜10:1である請求
    項1記載の水溶性組成物。
  6. 【請求項6】単位投与組成物中において使用される濃度
    では実質的に薬理活性を示さない体液内に注入しうる水
    溶性蛋白質をムコ多糖類1重量部に対し0.0001〜
    100重量部の割合でさらに含有せしめる請求項1記載
    の水溶性組成物。
  7. 【請求項7】水溶性蛋白質が血清アルブミン,グロブリ
    ン,コラーゲンまたはゼラチンである請求項6記載の水
    溶性組成物。
  8. 【請求項8】水溶液の粘度が約500cP以下である請
    求項1記載の水溶性組成物。
  9. 【請求項9】水溶液の張度が生理食塩水の張度の約1/
    2〜2倍である請求項1記載の水溶性組成物。
  10. 【請求項10】非経口投与製剤である請求項1記載の水
    溶性組成物。
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