JPH05184385A - モノクローナル抗体 - Google Patents

モノクローナル抗体

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JPH05184385A
JPH05184385A JP3344608A JP34460891A JPH05184385A JP H05184385 A JPH05184385 A JP H05184385A JP 3344608 A JP3344608 A JP 3344608A JP 34460891 A JP34460891 A JP 34460891A JP H05184385 A JPH05184385 A JP H05184385A
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守昭 日下部
Teruyo Sakakura
照▲よ▼ 坂倉
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、DBA/1,CE/J,SM/
J,IQI,PL/J,SWM/Ms,RIIIS/
J,RFM/MsNrs,およびC3H系統を基盤とす
る近交系やコンジェニックマウス系統のマウスのミトコ
ンドリアに存在する分子量66,000及び68,000の該抗原を
認識し、IgG1/κサブクラスに属するモノクローナ
ル抗体A、及びモノクローナル抗体Bを産生するハイブ
リドーマを提供するものである。 【効果】 本発明のモノクローナル抗体により、細胞起
源の同定、特に一個体内のキメリズムの解析を効果的に
行なうことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特定のマウス系統に特異
的に存在する抗原を認識するモノクローナル抗体および
該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】マウス近交系はその遺伝背景を多くの遺
伝子マーカーによって特徴付けられている。これらのマ
ーカーは各マウス系統の分類において有効な手段であ
る。近年、遺伝子工学技術・発生工学技術が急速に開発
された。その内、2つ以上の遺伝的に独立した細胞集団
によってその個体を構成されるキメラマウスは1961
年にタルコフスキー(ネイチャー,190:857−8
60)によって報告されて以来、発生機構、癌発生機構
や遺伝子発現の環境要因研究などにおいて非常に重要な
実験系として利用されている。キメラマウスの解析には
組織の解析が必須でありキメラ組織を形成する細胞の起
源を同定する為に多くの方法が開発された。それらの方
法には抗体を用いた免疫組織化学法による解析法も報告
されたが(H−2;Ponder, B. A.J. ら、J. Embryol.
Exp. Morpho., 76:83-93, 1983,GPI;Oster-Granit
e, M.L. & J. Gearhart, Dev. Biol., 85:199-208,198
1.)十分有効なものとはいえなかった。というのは、一
個体内の全ての組織におけるキメリズムを効果的に解析
することができなかったからである。ポリクローナル抗
体を用いて、一個体内の全ての組織におけるキメリズム
を効果的に解析する方法は、日下部ら(J.Cell Biol.,1
07,257-265,1988)によって報告されている。しかし、こ
の方法においてはマウス系統間で相互に免疫して得られ
る抗体産生動物は非常に数が少なく、それぞれの抗体産
生動物の抗血清のマウス系統特異抗原に対する特異性は
個体によって様々であった。また最も重大な欠点は前記
抗血清が微量しか採取できないことであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定のマウ
ス系統に特異的に潜在する抗原を認識するモノクローナ
ル抗体及び該モノクローナル抗体を産生するハイブリド
ーマを提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定のマ
ウス系統に特異的に存在する抗原を認識するモノクロー
ナル抗体及び該モノクローナル抗体を産生するハイブリ
ドーマを得ることに成功し、本発明を完成させるに至っ
た。すなわち、本発明は、DBA/1,CE/J,SM
/J,IQI,PL/J,SWM/Ms,RIIIS/
J,RFM/MsNrs,およびC3H系統を基盤とす
る近交系やコンジェニックマウス系統のマウスに特異的
に存在する抗原であって、C3H系統のマウスのミトコ
ンドリアに存在する分子量66,000及び68,000の該抗原を
認識し、IgG1/κサブクラスに属するモノクローナ
ル抗体A、及びモノクローナル抗体Aを産生するハイブ
リドーマを提供するものである。
【0005】以下に本発明を詳細に説明する。 (抗原溶液の取得)まず、本発明のモノクローナル抗体
の製造に使用する抗原溶液を以下のようにして得ること
ができる。C3H系統マウスの肝臓、筋肉、腎臓、脳、
小腸、大腸、胃、肺、精巣、卵巣、子宮の器官をトリス
−塩酸緩衝液等の緩衝液中にてホモゲナイズし、遠心分
離した後、上清を回収する。上清に硫安を添加し、遠心
分離した後、沈澱を回収する。得られた沈澱をトリス−
塩酸緩衝液等に再溶解した後、不溶成分を遠心分離する
ことにより除いて上清を回収する。上清を分子ふるいカ
ラムクロマトグラフィーで分画する。各分画のグルコー
スフォスフェートイソメラーゼ活性を検索し、活性のあ
る分画を一つにまとめた後、PBS、生理食塩水等を外
液として用いて透析して得られたものが抗原溶液であ
る。 (免疫方法)上記の様にして得られる抗原溶液を使用し
て種々のマウス系統、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウマ、
ウシ等を免疫する。
【0006】また、上記の抗原溶液をアジュバントと混
合して用いることもできる。アジュバントとしては結核
菌を含むフロインド完全アジュバントや菌体を含まない
フロインド完全アジュバント、ミョウバン、百日ぜき死
菌体、大腸菌リポポリサッカライドやニトロセルロース
製やセルロースアセテート製の微粒子を使用することが
できる。
【0007】アジュバントを使用する場合には、該抗原
溶液と該アジュバンドを約1:1の容量比で使用して、
例えばPBS、生理食塩水等に懸濁して0.1〜1mg/m
l の抗原懸濁液を調製することができる。上記の抗原懸
濁液を被免疫動物に接種する。例えばマウスを免疫する
場合には上記の抗原溶液と完全フロインドアジュバンド
の懸濁液を初回免疫では300μlで、追加免疫では1
00μlを3回〜5回、1〜2週間隔で、例えば鼡径リ
ンパ節内投与、皮内投与、脾内投与、腹腔内投与、血管
内投与することにより効率良くマウスを免疫することが
できる。
【0008】免疫動物における抗体産生の有無は、該動
物から血液を採取し、室温にて血液凝固させ、3000
回転/分の遠心分離により血清を採集し、この血清を用
いて、BALB/c及びC3H系マウス胎仔から調整し
た初代培養細胞を1%酢酸を含む95%エタノールで固
定した標本を免疫組織化学的に染色することにより検索
した。 (抗体産生細胞の調製)上記の様にして得られた免疫動
物からリンパ節細胞、脾臓細胞、胸線細胞、リンパ節細
胞、末梢血細胞等の抗体産生細胞を分離することにより
抗体産生細胞を得ることができる。例えば脾臓細胞を抗
体産生細胞として使用する場合には、脾臓を摘出した後
に、例えば、イーグル最小基本培地(以下MEMとい
う)やRPMI1640培地(キブコ製)で数回洗浄す
ることにより抗体産生細胞を得ることができる。 (ミエローマ細胞の調製)細胞融合に使用するミエロー
マ細胞としては、マウス、ラット、ウサギ、ヒトなどの
種々の動物の細胞株を適用できる。使用する細胞株は、
好ましくは薬剤抵抗性のものであり、未融合の状態では
選択培地で生存できず、融合した状態で生存できる性質
を有するものであることが好ましい。最も普通に用いら
れるのは、8−アザグアニン抵抗性の細胞株であり、こ
れはヒポキサンチン・ホスホリボシルトランスフェラー
ゼ(hypoxanthine phosphoribosyl transferase)を欠損
し、ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン培地
(以下HAT培地という)に生育できない性質を有す
る。また、いわゆる「非分泌型」の細胞株であることが
好ましい。この様な細胞株の具体例としては、マウスミ
エローマ・MOPC−21ライン由来のP3−X63−
Ag8U1(P3U1)、P3−X63−Ag8・6・
5・3(X63.6・5・3)、P3−NS1−1−A
g4−1(NS−1),Sp2/0−Ag14(SP
2)、ラットミエローマ210・RCY3Ag1・2・
3(Y3・Ag1.2.3)、ヒトミエローマU−26
6−AR1、GM15006TG−A12などを挙げる
ことができる。 (細胞融合)細胞融合は、MEM、RPMI1640な
どの動物細胞培養用培地中で107 〜108 個のミエロ
ーマ細胞と抗体産生細胞を細胞数として混合比1:4〜
10で混合して行う。細胞融合は37℃水浴中で2〜3
分間行なわれる。細胞融合促進剤としては平均分子量1,
000 〜6,000 のポリエチレングリコール(PEG)をは
じめ、ポリビニールアルコール、ウイルスなどが使用さ
れる。特に、PEG(分子量4000)を用いることが
好ましい。 (選択培地におけるハイブリドーマの選別)細胞融合処
理後の細胞からハイブリドーマを選別するには選択培地
における選択的増殖により行う。例えば、細胞を15%
ウシ胎児血清含有RPMI1640培地などで適当に希
釈し、マイクロタイタープレート上に5×104 〜1×
10 5 個/ウエル程度となる様にまき、各ウエルにHA
T培地等の選択培地を加え、以後適当に選択培地を交換
して培養する。例えば、ミエローマ細胞として8−アザ
グアニン抵抗性株、選択培地としてHAT培地を用いれ
ば、未融合のミエローマ細胞は培養10日目ぐらいまで
に死滅し、また正常細胞である抗体産生細胞もin vitro
では長期間生育できない。従って、培養10〜14日目
から生育してくる細胞は全てハイブリドーマである。 (抗マウス系統特異抗体産生ハイブリドーマの検索)抗
マウス系統特異抗体の検索は、各マウス系統由来の胎仔
培養細胞を用いて行い、さらにウエスタンブロット法に
おいてその特異性を確認する。すなわち、各マウス系統
(C3HとBALB/cを用いた)の9〜10日目の胎
仔を燐酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクスバランス
ソルト緩衝液(HBSS)等の緩衝液で洗浄後、メスま
たはカミソリを用いて細切し、トリプシン溶液中にて消
化し単独の細胞とする。この細胞を仔牛血清含有培地の
添加によって酵素活性を不活化し、滅菌したスライドグ
ラスまたはカバーグラス上で培養する。24〜48時間
後、グラスに付着した細胞をグラスごと1%酢酸を含有
する95%エタノール固定液にて約1〜1.5時間固定
後、無水エタノールで脱水を行い、乾燥させ−20〜−
80℃の冷凍庫中で使用まで保存する。使用に際して
は、これらの固定細胞を再度PBS中で湿潤状態に戻し
てから非特異的吸着をブロックする為に、5%正常ヤギ
血清と1%ウシアルブミン(BSA)を含有するPBS
によって20〜30分間の反応を行う。ブロッキング液
を濾紙等で吸い取った後、ハイブリドーマの培養上清を
それぞれのマウス系統由来の細胞と約1〜1.5時間反
応させる。PBS、トリス塩酸食塩水(TBS)等によ
って洗浄後、蛍光標識抗マウス抗体によって、抗原−抗
体結合物を検出する。抗原と結合力のある抗体を産生し
ている培養上清を添加された細胞中には、以上の操作で
細胞質内に蛍光を発する顆粒が検出できる(陽性の反応
性)。C3Hの細胞にのみ陽性の反応性を示すハイブリ
ドーマ上清を選択する。
【0009】ウエスタンブロット法による特異性の認識
法は以下に従った。C3H系統マウスの肝臓、腎臓等を
摘出し、1gの組織重量に対して10mlのPBS、TB
S等の緩衝液を加えた後、超音波破砕機によって組織を
ホモゲナイズする。ホモゲネートを40,000回転/
分の超遠心分離によって、分離し上清の可溶性成分を回
収する。この蛋白液をβ−メルカプトエタノール存在下
で熱変性させた後、常法に従って、SDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動を行い蛋白成分を分離させる。電
気泳動は10%均一ポリアクリルアミドゲルや4〜15
%不均一ポリアクリルゲル等を使用できる。泳動後、ゲ
ルをニトロセルロース製やナイロン製のメンブレンと密
着させ10〜20%のメタノールを含むSDS不含のト
リス−グリシン(0.025M−0.195M)溶液中
で、4℃、10時間、50〜75Vの電圧にてゲル内に
分離した蛋白をメンブレン上に平行移動させる。蛋白を
ブロットされたメンブレンを5%正常ヤギ血清と1%B
SAを含むTBS(ブロッキング液)に室温で30分間
浸し、蛋白の非特異吸着部位をブロックする。続けて、
免疫組織化学法によって陽性反応を示したハイブリドー
マ上清と室温で16時間反応させた後、冷TBSにて各
15分間、3回洗浄後、ブロッキング液にて10μg/
mlの濃度に希釈したヤギ抗マウスIgG抗体と3時間室
温で反応した後、同様に洗浄し、更に、ブロッキング液
にて40μg/mlの濃度に希釈したマウスPAP液にて
2時間反応する。冷TBSにて十分に洗浄後、発色液に
て陽性蛋白の検出をし、分子量66,000および68,000の蛋
白を認識するハイブリドーマ上清を選択する。 (クローニング)上記の各ウエルの中には2種以上のハ
イブリドーマが生育している可能性があるので、限界希
釈法などによりクローニングを行い、モノクローナル抗
体産生ハイブリドーマを取得する。 (抗体の産生)モノクローナル抗体は、上記のようにし
て得られたハイブリドーマを10〜15%ウシ胎児血清
含有RPMI1640培地などの動物細胞培養用培地ま
たは無血清培地で培養し、その培養上清液から得ること
ができる。その細胞培養法および条件は通常の動物細胞
培養法のものを適宜に応用すればよい。一方、さらに大
量に抗体を生産する方法として、プリスタン(2,6,
10,14−テトラメチルペンタデカン)などの鉱物油
を腹腔内に投与したハイブリドーマの親ミエローマ細胞
の由来動物と同系動物、または未処置のヌードマウスの
腹腔内にハイブリドーマを注入して大量に増殖させる方
法を採用することができる。ハイブリドーマは10〜1
8日ほどで腹水腫瘍を形成し、血清および腹水中に高濃
度(約1〜20mg/ml)の抗体が生産される。精製を必
要とする場合には、腹水を硫安分画後、DEAEセルロ
ースイオン交換クロマトグラフィー、プロテインAやプ
ロテインGを用いたアフィニテイカラムクロマトグラフ
ィー等によって精製することによって目的を達成するこ
とができる。
【0010】上記のようにして得られるハイブリドーマ
の例として、17−6株及び18−15株等を挙げるこ
とができ、これらのハイブリドーマからはC3H系統マ
ウス由来の細胞を認識するモノクローナル抗体が得られ
る。上記のハイブリドーマ17−6株及び18−15株
は、平成3年12月16日付けで、工業技術院微生物工
業技術研究所に受託番号微工研菌寄第12640号及び
第12641号としてそれぞれ受託された。
【0011】
〔実施例1〕
ハイブリドーマの取得 1. 抗原の取得 C3H系統マウスの肝臓、筋肉および腎臓の100gを
0.1%メルカプトエタノール、1mM EDTAを含有す
る50mMのトリエタノールアミン緩衝液(pH8.2)の5
00mlにてホモゲナイズし、40,000回転/分で90分間
の遠心分離後、上清を回収した。濃縮の為に、上清に硫
安を添加して80%硫安分画とし、10,000回転/分で3
0分間遠心分離した後、沈澱を回収した。さらに0.3M
KClを含有する他は上記のトリエタノールアミン緩
衝液と同じ組成を有する緩衝液に沈澱を再溶解した後、
不溶成分を10,000回転/分で30分間遠心して除いて上
清を回収した。上清を分子ふるいカラムクロマトグラフ
ィーであるセファクリルS−300を通すことによって
分画した。各分画のグルコースフォスフェートイソメラ
ーゼ活性を検索し、活性のある分画を一つにまとめた
後、PBSを外液として透析し、抗原溶液として得た。
この抗原溶液にPBSを添加して、抗原溶液の濃度を1
mg/mlとした。 2. 免疫 1で得られた抗原溶液(1mg/ml)を完全フロインドア
ジュバントと1:1で混合し、超音波破砕機でエマルジ
ョンを形成させた後、(BALB/c×SJL/J)F
1(雌、7〜8週齢)の鼡径リンパ節内および皮内に0.
3mlを初回免疫し、4週間後、上記のエマルジョン0.3m
l を用いて第一回目のブースター注射を行い、その一週
間後に尾静脈から採血した。抗体産生の有無をC3Hお
よびBALB/c系統マウス胎仔から作製した培養細胞
の免疫組織化学法および免疫ウエスタンブロット法によ
り検索した。
【0012】抗マウス系統特異抗体の産生の有無は、各
マウス系統由来の胎仔培養細胞を用いて行い、さらにウ
エスタンブロット法においてその特異性を確認した。先
ず、初回の免疫の後、1カ月目に最初の追加免疫を施
し、一週間後、各マウスの尾から採血した。血液は室温
で凝固させた後、3000回転/分で20分間遠心後、
血清を回収した。これらの抗血清の検定の為に、各マウ
ス系統(C3HとBALB/cを用いた)の10日目の
胎仔より調整した初代培養細胞を免疫組織化学的に染色
し、抗体産生の有無を調べた。細胞の調整法としては各
マウス系統の胎仔を取り出した後、PBSで洗浄し、メ
スまたはカミソリを用いて細切し、0.25%トリプシ
ンに0.25%EDTAを含むPBS溶液中にて消化し
単独の細胞とし、10%仔牛血清含有培地の添加によっ
て酵素活性を不活化した後、滅菌したスライドグラスま
たはカバーグラス上で培養した。24時間野に、グラス
に付着した細胞をグラスごとに氷温の1%酢酸を含む9
5%エタノール固定液にて1時間固定後、無水エタノー
ルで脱水後、再び水まで戻しPBSにて十分洗浄した。
非特異的吸着をブロックする為に、5%正常ヤギ血清と
1%ウシアルブミン(BSA)を含むPBS(ブロッキ
ング液)によって30分間、室温で反応を行ない、ブロ
ッキング液を濾紙等で吸い取った後、各抗血清をブロッ
キング液にて100倍に希釈したものを、それぞれのマ
ウス系統由来の固定細胞に重層し、室温で1時間反応さ
せた後、冷PBSによって各15分間、3回洗浄した。
続けて、ブロッキング液にて10μg/mlの濃度に希釈
した蛍光標識抗マウス抗体(ザイメット社)と室温にて
1時間反応させた後、同様に洗浄し、マウント液として
40〜50%グリセリン含有PBSを用いて封入した
後、蛍光顕微鏡下で抗原−抗体結合物を検出した。免疫
染色反応は全て湿潤箱内で行い操作中は標本を乾燥させ
なかった。抗原と結合力のある抗体を含有してる抗血清
は、以上の操作で細胞質内に陽性の顆粒を検出した。C
3Hの細胞にのみ陽性の反応性を示す抗血清をもつマウ
スを選択した。
【0013】ウエスタンブロット法による特異性の検定
は以下に従った。C3H系統マウスの肝臓、腎臓等を摘
出し、1gの組織重量に対して10mlのPBS、TBS
等を加えて超音波破砕機によって組織をホモゲナイズす
る。ホモゲネートを40,000回転/分にて超遠心分離によ
り分離し上清の可溶性成分を回収する。この蛋白液をβ
−メルカプトエタノール存在下で熱変性させた後、常法
に従ってSDS−ポリアクリルミアドゲル電気泳動を行
った。ゲルは10cm×10cm×1mmのミニゲルで、4%
スタッキングゲル・10%均一分離用ポリアクリルアミ
ドスラブゲルを使用した。泳動後、ゲルをニトロセルロ
ースメンブレンと密着させ10%のメタノールを含むS
DS不含のトリスーグリシン(0.025M−0.19
5M)溶液中にて、4℃、10時間、50Vの電圧にて
蛋白をメンブレン上に移動させた。メンブレンを5%正
常ヤギ血清と1%BSAを含むTBS(ブロッキング
液)に室温で30分間浸し、蛋白の非特異吸着部位をブ
ロックした。続けて、免疫組織化学法によって陽性反応
を示した血清をブッキング液にて200倍に希釈した溶
液と室温で2時間反応した後、冷TBSにて各15分
間、3回洗浄後、再び、ブロッキング液にて10μg/
mlの濃度に希釈したヤギ抗マウスIgG抗体と2時間室
温で反応した後、同様に洗浄し、更に、ブロッキング液
て40μg/mlの濃度に希釈したマウスPAP液にて2
時間反応した。冷TBSにて十分に洗浄後に、発色液
(ジアミノベンチジン20mg、塩化コバルト15mgを5
0mlのTBS、pH7.6に溶解し、50μlの過酸化水
素水を添加した溶液)に浸して、陽性バンドを検出し、
分子量66,000および68,000の蛋白を認識する抗血清を選
択した。
【0014】抗体価の低いもの(免疫組織化学に用いた
抗血清の希釈度による抗体価10〜20倍希釈)や抗体
産生の無かった個体には最大5回まで2週間毎に上記の
エマルジョン0.3ml を鼡径リンパ節内および皮内に注射
して免疫を継続した。最終的に、C3H細胞のみを特異
的に識別しBALB/c細胞は認識しない抗体を産生し
ているマウスに上記のエマルジョン0.3ml を注射するこ
とにより最終免疫を施した。 3. ハイブリドーマの調製 最終免疫から3〜4日後にマウスの脾細胞を取り出し、
血清不含のRPMI1640培地で洗浄した。マウスミ
エローマ(NS−1)も同様に洗浄し、脾細胞とミエロ
ーマ細胞を5:1で混合して遠心後、細胞ペレットに5
0%PEG4000(シーケム社)・RPMI1640
溶液1mlを徐々に添加して37℃で3分間、細胞融合を
行わせた。更に、RPMI1640溶液を徐々に加え、
PEG溶液を希釈し最終的に10mlとした。再び遠心
し、細胞塊を20%ウシ胎仔血清・HAT含有RPMI
1640培地にNS−1の細胞数として1×105 個/
0.1mlとなるように懸濁させ、予めフィーダー細胞とし
ての腹腔マクロファージ(5×103 個/ウエル)を培
養してある96ウエルマイクロプレートに0.1mlずつま
いた。フィーダー細胞である腹腔マクロファージは、B
ALB/cマウスにプリスタン(2,6,10,14−
テトラメチルペンタデカン)などの鉱物油0.5ml/匹を
腹腔内に投与してから約一週間経過した後に、腹腔内を
培養液で洗浄し、この培養液を回収することによって得
た。その後、3〜4日毎に培地の半分量を新しいHAT
培地に交換した。7日目あたりから、いくつかのウエル
でハイブリドーマの生育が認められた。10〜14日目
あたりから3日毎に培地の半分量をHT培地(HAT培
地からアミノプテリンを除去した培地)に交換し、交換
開始後、10日目あたりからは正常の20%ウシ胎児血
清含有RPMI1640培地によって培養を継続した。 4. 抗体産生細胞の検索 ハイブリドーマが生育してきたウエルの上清に目的の抗
体が生産されているかどうかは、C3HとBALB/c
マウス系統由来の胎仔培養細胞を用いた免疫組織化学法
によった。さらにウエスタンブロット法によってその特
異性を確認した。 (1) 免疫組織化学法 両マウス系統の10日目胎仔を子宮から取り出し、燐酸
緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄後、メス及びカミソリ
を用いて細切し、0.25%トリプシンと0.25%EDT
Aからなる溶液中にて消化し、単独細胞とした。10%
仔牛血清含有培地の添加によって酵素活性を不活化し、
遠心後、細胞塊を10%仔牛血清含有培地に再懸濁し、
滅菌したスライドグラスまたはカバーグラス上で培養し
た。24〜48時間後、グラスに付着した細胞をグラス
ごと冷95%エタノールと1%酢酸からなる固定液にて
約1時間固定後、無水エタノール中で脱水を行い、風乾
後、−20℃の冷凍庫中で使用まで保存した。使用に際
しては、これらの固定細胞をPBS中で湿潤状態に戻し
た後、抗体の非特異的吸着をブロックする為に、5%正
常ヤギ血清と1%BSAを含有するPBSによって20
〜30分間の反応を行い、ブロッキング液を濾紙等で吸
い取った後、ハイブリドーマ培養上清の約20〜50μ
lずつをそれぞれの系統から作製した上記の固定細胞に
重層して約1時間室温で反応させた。PBSによって十
分洗浄した後、蛍光標識抗マウス抗体(5μg/ml)と
約40分〜1時間室温で反応させた後、40〜50%グ
リセリン含有PBSにて封入し、蛍光顕微鏡下で抗原−
抗体結合物を検出した。抗原と結合力のある抗体を産生
している培養上清を加えた細胞は、以上の操作で細胞質
内に多数の蛍光を発する部位が顆粒状に検出できた(陽
性の反応性)。 (2) 抗体溶液の調製 C3Hの細胞にのみ陽性の反応性を示すハイブリドーマ
上清を選択し、さらに限界希釈法によりクローニングを
行った。単一のクローンが存在していることを顕微鏡下
で確認した後、これらのハイブリドーマの培養上清につ
いて上記の免疫組織化学法の操作を施して検索し、陽性
の反応性を示すハイブリドーマを得た。このようなクロ
ーニングを3回行って単一クローン由来のハイブリドー
マ、17−6株と18−15株の2株を得ることができ
た。更に、これらのハイブリドーマの培養上清を45%
硫安分画によって濃縮し、PBSを外液として透析し
て、抗体溶液を得た。 (3) ウエスタンブロット法 C3H及びBALB/cマウス系統の肝臓抽出物の可溶
性成分を常法によってSDSポリアクリルアミドゲル電
気泳動後、ニトロセルロース膜(10×10cm四方)上
に泳動分離した蛋白を電気的に移動吸着させた。そし
て、ニトロセルロース膜は非特異的吸着を全てブロック
する為に5mlの5%正常ヤギ血清と1%BSAを含有す
るTBS(50mMトリス−塩酸緩衝生理食塩水、pH7.
6)で20分間室温で処理した後、続けて(2) で得た抗
体溶液5ml(抗体の最終濃度は、5〜10μg/mlにな
るようにブロッキング液にて濃度調整してある)を添加
して16時間反応させた。TBSで十分に洗浄した後、
ブロッキング液で希釈した10μg/mlのウサギ抗マウス
抗体5 ml を1時間反応させた後、TBSで十分に洗浄
した後、5mlのマウスPAP(peroxidase-anti-peroxi
dase)40μg /mlと1時間反応させた。TBSで洗浄
した後、ジアミノベンチジン−コバルト塩酸−過酸化水
素水反応液(ジアミノベンチジン20mg、コバルト塩酸
15mg及び過酸化水素水50μlを50mlTBSに溶解
したもの)によって発色反応を行った。17−6株及び
18−15株の産生するモノクローナル抗体は、C3H
マウスの肝臓抽出物の66,000及び68,000ダルトンの蛋白
バンドを認識し、他の蛋白や他のマウス系統のいかなる
蛋白も認識しないことがわかった。 〔実施例2〕 モノクローナル抗体の産生 ハイブリドーマ17−6株、18−15株をそれぞれ2
0%仔牛血清含有RPMI1640培地で96ウエルプ
レート、25cm2 フラスコ、75cm2 フラスコとスケー
ルアップしながら培養し、培養上清を集めた。更に高濃
度の抗体を得る為に各ハイブリドーマをそれぞれヌード
マウスの腹腔内に注入し、腹水癌化させた。10日ほど
後に、腹水を回収し、プロテインGによるアフィニテイ
カラム法によって抗体を精製調製した。抗体の特異性の
検定は、実施例1と同様のモノクローナル抗体の免疫組
織化学法及びウェスタンブロット法に従って行った。 〔参考例1〕 モノクローナル抗体の性質 1 モノクローナル抗体のサブクラスの決定 96穴ソフトマイクロタイタープレートに各モノクロー
ナル抗体をコートし、1%BSA含有PBSでブロッキ
ングした後、MONOABID EIA KIT(ZY
MED社製)により抗IgA抗体、抗IgG1抗体、抗
IgG2a抗体、抗IgG2b抗体、抗IgG3抗体、
抗IgM抗体との反応をみて、各モノクローナル抗体の
サブクラスを決定した。またL鎖の抗λ抗体、抗κ抗体
との反応を調べてタイプを決定した。その結果、17−
6株が産生するモノクローナル抗体はIgG1/κのサ
ブクラスに、18−15株が産生するモノクローナル抗
体はIgG1/κのサブクラスに属することが判明し
た。以下、17−6株が産生するモノクローナル抗体を
モノクローナル抗体A、18−15株が産生するモノク
ローナル抗体をモノクローナル抗体Bと記す。 2 モノクローナル抗体によるマウス系統の検索 以下に述べるマウス系統について、モノクローナル抗体
Aの系統特異性をウエスタンブロット法により検討し
た。その結果、DBA/1J;CE/J;SM/J;P
L/J;SWM/Ms;IQI;RIII S/J;RFM
/MsNrsと、以下のC3Hコンジェニック系統:C
3H NB/sn;C3H SW/snJ;C3HJK
/sn;C3H/He;C3H OL/N;C3H H
e−Ha Pgk-1a ;C3H He sn−Ttf/+t
f;C3H−Ttf/to+;C3H−Ttf/tw1
8tf;C3H−eB/FeJ−nr;C3H OH/
Jは全て抗原を発現していた。一方、発現の無い系統と
してはA/wySnJ;B10/SnJ;CBA/J;
AKR/J;CBA/CaHN;P/J;C57BR/
cdJ;PT;C58/J;C57BL/6J;C57
L/J;SWR/J;129/J;SJL/J;GRS
/A;BALB/cUcsd;CBA/StMs;HR
S/J;1/LnJ;A2G/OLA//HSD;BA
LB/cByJ;BALB/cJ;C57BL/6By
J;MA/MyJ;WB/ReJ−W;BALB/cA
nN;DBA/2J;NZB/B1NJ;DM/Shi
などがあった。
【0015】モノクローナル抗体Bの系統特異性につい
ても、同様の方法で検討したところ、同様の結果が得ら
れた。 3 モノクローナル抗体の認識する抗原 上記の陽性マウス系統における抗原をそれぞれウエスタ
ンブロット法にて解析したところ、モノクローナル抗体
A及びモノクローナル抗体Bが認識する抗原は分子量約
68,000及び66,000であることが判明した。更に、遠心分
離法によって細胞内成分を分画し、各分画をウエスタン
ブロット法によって検索した結果、上記抗体が認識する
抗原はミトコンドリアに局在することがわかった。 4 モノクローナル抗体の認識する抗原の局在 ミトコンドリアに局在するコンプレックスIIに対するウ
サギ抗血清とモノクローナル抗体Aとを用いた免疫2重
染色を施した細胞を鏡検したところ、両抗体の認識部位
が完全に一致した。従って、モノクローナル抗体Aは、
細胞質内のミトコンドリアに局在する抗原を認識してい
ることが判明した。
【0016】モノクローナル抗体Aをモノクローナル抗
体Bに代えて上記の操作を繰り返したところ、同様の結
果が得られた。 5 抗体の認識するマウス抗原の遺伝的解析 モノクローナル抗体Aが認識するマウス抗原の検定の為
にC3HとBALB/c近交系マウス間で戻し交配実験
を行い、双方共に表1に示すような結果を得た。
【0017】 表1:戻し交配による系統特異抗体の遺伝解析 ─────────────────────────────────── 雄 雌 妊娠 仔数 結果 期待数 カイ2乗値 母体数 + − 受/否 ─────────────────────────────────── BALB/c BAC3 5 53 22 31 (1:1) 1.53 受 BALB/c C3BA 6 63 37 26 (1:1) 1.92 受 BAC3 BALB/c 7 53 22 31 (1:1) 1.53 受 C3BA BALB/c 7 43 17 26 (1:1) 1.88 受 ─────────────────────────────────── (F1 × F1) ─────────────────────────────────── BAC3 BAC3 7 58 42 16 (3:1) 0.21 受 C3BA C3BA 4 27 20 7 (3:1) 0.0124 受 ─────────────────────────────────── Note:カイ2乗値(受/否)、自由度=1、有意水準=
0.05、カイ2乗値が3.84以上であれば拒否され
る。 BAC3:( BALB/c♀ X C3H/HeN♂)F1, C3BA:(C3H/HeN♀
X BALB/ c♂)F1 これより、モノクローナル抗体Aが認識する抗原をコー
ドしている遺伝子は核のDNAに存在し、メンデルの法
則に従ってコントロールされており、また単一遺伝子に
よるものであることが判明した。 〔実施例3〕 キメラマウス組織のキメリズムの免疫組織学的解析法 2種の近交系マウス間で8細胞期胚を集合させて発生さ
せたキメラマウスとは2種類以上の遺伝的に独立した細
胞集団より構成される動物である。このキメラ組織の構
成細胞要素がどちらの系統に由来しているかを組織レベ
ルで解析することは組織再生系や細胞系譜の研究に有用
な手段となる。該抗体の認識する抗原は通常の培養細胞
では95%エタノールと1%酢酸から成る固定液によっ
て抗原性を維持することができる。しかし、組織ではこ
の様な緩慢な固定液では固定が不安定で組織の構造も安
定していない、その為、上記の固定液を氷温にし心臓か
ら灌流固定するか、あるいは細切組織をマイクロウエー
ブプロセッシングオープン(バイオラッド社)によっ
て、0.1Mナトリウム燐酸緩衝液中で60%パワー、4
0℃、20分間の条件下でマイクロウエーブ照射の後、
95%エタノールと1%酢酸からなる固定液にて後固定
(氷温で約5時間)し、無水アルコール脱水後、ポリエ
ステルワックスに包埋し、4μmの切片として固定し
た。これらの固定法によって組織構造の保持および抗原
性維持の双方を良好に達成することができた。切片は無
水エタノールにて脱ワックス後、PBSで洗浄し、内因
性パーオキシダーゼ活性を不活性化する為に、0.6%過
酸化水素水と0.2%NaN3からなる溶液によって1時間処
理し、20mMトリス−塩酸生理食塩水(pH7.6,TB
S)で十分洗浄後、アビジン−ビオチンブロッキングキ
ット(ベクター社)溶液を0.5%フィシュゼラチン/T
BSで2倍に希釈したもので20分間反応させ内因性ビ
オチンおよび非特異吸着をブロッキングした。一次抗体
としてビオチン化したモノクローナル抗体Aを0.5%フ
ィシュゼラチン/TBS溶液で希釈(10μg/ml)し
たもので一昼夜、室温で反応させた。尚、モノクローナ
ル抗体のビオチン化は、以下のようにして行った。
【0018】抗体溶液を0.1MNaHCO3溶液を外液とし
て透析し、終了後同液にて1mg/mlとなる様濃度を調整
した。NSH−ビチオン(ピアス社)を1mg/mlになる
様DMSO(シグマ社)に溶解した後、抗体液1mlに対
してビオチン液60μlの割合で混合し、室温で振盪し
ながら4時間反応させた。その後、0.1%ソデイウム
アザイドを含むPBSを外液とに透析した。
【0019】ビオチン化したモノクローナル抗体Aを反
応させた切片をPBSで洗浄後、二次抗体としアビジン
−パーオキシダーゼ(ZYMED社)を0.5%フィシュ
ゼラチン/TBS(pH8.0)で100倍に希釈したもの
で約20分間反応させた。再度TBSにて洗浄後、40
mg ジアミノべンチヂン(DAB)と40μl過酸化水
素水を含有する水溶液150mlを添加し、50mMトリス
−塩酸緩衝液を用いてpHを7.6に調整し、発色反応を約
1〜2分間行った。蒸留水にて洗浄後、切片を0.1%塩
化金水溶液に5分間反応させ、蒸留水にて水洗後、2.5
%硫化ナトリウム水溶液(pH7.4)に5分間浸し、再度
蒸留水で水洗した。銀染色液(150mlの組成:H2O
中、Na2CO3:3.11g, NH4NO3 :0.15g, AgNO3:0.15g,シ
リコタングステン酸:0.75g 及び35%ホルマリン:0.27
4 ml)に1分間浸漬して、撹拌した。発色後すばやく1
%酢酸水溶液に移し、銀反応を停止した。1%チオ硫酸
ナトリウム水溶液 mlにて定着後、蒸留水で水洗、常
法に従って、ヘマトキシリン−エオシン染色を施し、カ
バーグラスで封入した。検鏡の結果、キメラ組織は該抗
体で陽性に染色された細胞と陰性の細胞によって構成さ
れていた。胎生初期胚のキメリズムについてもマイクロ
ウエーブ固定によって効果的にキメリズムを解析でき
た。成獣キメラマウス組織においてはそのキメリズムに
より組織再生系を以下の4群に分類できた。 1:解剖学的な組織単位がどちらか一方の系統由来細胞
で構成される組織(小腸陰窩)。 2:解剖学的に組織単位が双方の系統由来の細胞によっ
て構成される組織(外分泌腺腺房)。 3:解剖学的に組織単位が明瞭ではないがキメリズムに
よってその増殖単位が明瞭となった組織(皮膚)。 4:解剖学的に組織単位をもたずキメリズムによっても
その組織単位を明瞭に観察できない組織(結合組織、筋
組織)。
【0020】モノクローナル抗体Aをモノクローナル抗
体Bに代えて以上の操作を繰り返したところ、同様の結
果が得られた。
【0021】
【発明の効果】本発明のモノクローナル抗体は、細胞起
源の同定に有用である。また、本発明のモノクローナル
抗体は、一個体内の全ての組織におけるキメリズムを効
果的に解析できる。さらに、本発明のモノクローナル抗
体を用いて細胞起源を同定することにより、発生・分化
の機構、癌発生機構や遺伝子発現の機構が解明できる。
これにより、本発明のモノクローナル抗体は不妊や癌の
予防、診断等に役立つことが期待できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/53 M 8310−2J D 8310−2J 33/577 B 9015−2J (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 DBA/1,CE/J,SM/J,IQ
    I,PL/J,SWM/Ms,RIIIS/J,RFM
    /MsNrs,およびC3H系統を基盤とする近交系や
    コンジェニックマウス系統のマウスに特異的に存在する
    抗原であって、C3H系統マウスのミトコンドリアに存
    在する分子量66,000及び68,000の該抗原を認識し、Ig
    G1/κサブクラスに属するモノクローナル抗体A。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のモノクローナル抗体Aを
    産生するハイブリドーマ。
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