JPH05184177A - クレーンの回生制動制御回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 適正な電圧で回生制動ができるクレーンに使
用できる電圧形インバータを用いた回生制動制御回路を
提供する。 【構成】 電圧形インバータ装置を用いてクレーンの誘
導電動機５を速度制御する。電源電圧に対応した基準電
圧を発生させる整流回路７と、回生制動時に誘導電動機
５の運動エネルギーを放電させる放電部３と、インバー
タ装置４の主回路の電圧を検出し、前記整流回路７で発
生させた前記基準電圧とを比較し、回生制動時において
インバータ装置４の主回路の電圧が前記基準電圧に対し
所定値になると放電部３に放電開始信号を出力する回路
を備えた放電信号制御回路９とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕本発明は電圧形インバータ装置に
より速度制御を行なうクレーンの回生制動時の制御回路
に関するものである。 〔従来の技術〕一般に電圧形インバータ装置を使用し、
巻上、横行及び走行用三相誘導電動機を速度制御を行な
うクレーンにおいては、第３図に示すような回路が用い
られている。三相交流電源１と各三相誘導電動機５との
間にコンバータ部２とインバータ部４とで構成される電
圧形インバータ装置Ｉを設け、回生制動時においては、
発生する運動エネルギーを電源の平滑コンデンサをかね
るコンデンサ６に充電し、コンデンサ６の電圧が所定以
上になったとき、放電部３の抵抗Ｒに放電し、熱に変換
する方法が用いられており、この放電開始電圧Ｅｂは固
定的に決められている。しかし、通常インバータ装置Ｉ
の電源である三相交流電源１の電圧は変動するためこれ
を考慮に入れるとコンデンサ６が放電を開始する放電開
始電圧Ｅｂは電源電圧変動時の最大電源電圧以下に設定
することはできず、誘導電動機の定格電圧の約１１５％
に設定されている。このため誘導電動機に定格電圧以上
の電圧で回生制動を行なうことになり、誘導電動機は過
励磁の領域で運転されるため、充分な制動力も得られな
いこともあり、しかも過電流となり、クレーン等が失速
してしまう問題点があった。又、このため機器が過電
流、過電圧となり寿命を低下させる問題点もあった。 〔発明が解決しようとする課題〕本発明は、回生制動時
の放電開始電圧を電源電圧の変動に応じて変化させる簡
単な回路を設けることのみで、適正な電圧で回生制動が
できるクレーンに使用できる電圧形インバータを用いた
回生制動制御回路を提供することを目的とする。 〔課題を解決するための手段〕本発明は、電圧形インバ
ータ装置を用いて誘導電動機を速度制御するクレーンに
おいて、電源電圧に対応した基準電圧を発生させる整流
回路と、回生制動時に誘導電動機の運動エネルギーを放
電させる放電部と、インバータ装置の主回路の電圧を検
出し、前記整流回路で発生させた前記基準電圧とを比較
し、回生制動時においてインバータ装置の主回路の電圧
が前記基準電圧に対し所定値になると放電部に放電開始
信号を出力する回路を備えた放電信号制御回路とを具備
したクレーンの回生制動制御回路である。 〔実施例〕以下本発明の実施例につき第１図に基づき説
明を行なう。第１図は本発明制御回路の構成を示すもの
である。第１図において、三相交流電源１と巻上用三相
誘導電動機５との間にコンバータ部２とインバータ部４
とで構成される電圧形インバータ装置Ｉを設け、回生制
動時に誘導電動機５の運動エネルギーを充電するコンバ
ータ部２で得た電源の平滑コンデンサをかねるコンデン
サ６と、コンデンサ６の電圧が所定の放電開始電圧Ｅｂ
以上になると放電回路を動作させる放電用トランジスタ
Ｔｒ、抵抗Ｒを含む放電部３を設ける。なおクレーンに
おいて、横行及び走行用三相誘導電動機の場合も同様な
ので、以下巻上用の場合につき説明を行なう。三相交流
電源１より整流回路７に電源を供給し、整流回路７によ
り基準直流電圧を発生させ、整流回路Ｐ’，Ｎ’より放
電信号制御回路９の端子Ｔ３，Ｔ４に入力し、三相交流
電源１の変動に比例した制御の基準電源電圧を供給す
る。主回路Ｐ，Ｎの電圧Ｅ１を放電信号制御回路９の端
子Ｔ１，Ｔ２に接続し、放電信号制御回路９の端子Ｔ５
より放電制御信号Ｓを放電部３の端子Ｔ６に入力し、放
電部３のトランジスタＴｒをスイッチオンし、コンデン
サ６の放電開始信号を与え、コンデンサ６の放電を開始
するように構成する。整流回路７を設けるのはインバー
タ装置Ｉの動作状態、負荷状態に影響されない電圧を得
るためである。次に本発明の放電信号制御回路９の詳細
な回路構成を第２図にもとづいて説明を行なう。主回路
Ｐ，Ｎの電圧Ｅ１はローパスフィルタ１１に入力され、
電圧Ｅ１の絶対値を監視し、所定値以上になると動作し
電圧Ｅ１の絶対値を電圧比較器１２に入力する。従って
電圧比較器１２は主回路の電圧Ｅ１と設定した回生制動
時の放電開始電圧を比較する。又、整流回路７で得た基
準電圧Ｅ２は、ローパスフィルタ２１に入力され、電圧
Ｅ２の絶対値を監視し、所定値以上になると動作し、電
圧Ｅ２の絶対値を電圧比較器２２に入力する。従って電
圧比較器２２は電源電圧が所定の値に達したかどうかを
検出する。ここでローパスフィルタ１１及び２１を設け
たのは、電源の開閉等過渡的な状態では、Ｐ’，Ｎ’間
の電圧Ｅ２が過渡的な状態になり放電用トランジスタＴ
ｒが動作し、コンデンサ６を放電させることがないよう
に過渡的な状態では電圧比較器１２及び１３に出力させ
ないようにするためである。電圧比較器１２は主回路電
圧Ｅ１が所定値以上になると動作し、出力信号を出し、
電圧比較器１３は基準電圧Ｅ２が一定値以上になると動
作し、出力信号を出し、ＡＮＤ回路１３に入力する。Ａ
ＮＤ回路１３では電圧比較器１２及び１３の両回路より
信号が入力されると、ベース駆動回路１４に信号を出力
し、ベース駆動回路１４より駆動指令を放電部３の端子
Ｔ６に入力し、放電用トランジスタＴｒを動作させる。
放電用トランジスタＴｒの動作により放電回路が形成さ
れ、コンデンサ６の充電電圧は放電部３の回路に放電さ
れる。次に、本発明の制御回路の動作について第１図に
基づき説明を行なう。誘導電動機５に負荷をかけずにイ
ンバータ装置Ｉを運転している無負荷時のＰ−Ｎ間の電
圧をＥ１１、Ｐ’−Ｎ’間の電圧をＥ２、回生制動時の
Ｐ−Ｎ間の電圧をＥ１２とする。又、放電部３の放電開
始電圧をＥｂとする。このとき、 Ｅ１１＜Ｅ１２ Ｅ１１＝Ｅ２ が成立する。ここで、従来の方式では放電開始電圧Ｅｂ
は固定でその値は無負荷時のＰ−Ｎ間の電圧Ｅ１１の変
動の最大値を考慮し、Ｅ１１の約１１５％以上に設定さ
れていた。本発明によれば電圧比較器１２及び１３が基
準電圧Ｅ２と主回路ＰＮ間の電圧Ｅ１との二つの電圧の
差が一定値以上になると放電開始信号を出すので、電源
電圧の変動の最大値を考慮することがないので、この電
圧の差を定格電圧の約５％程度に設定することができ、
電源電圧の変動を考慮する必要がなくなり、回生制動時
に誘導電動機に必要以上の電圧がかかることなく過励磁
の領域で運転されることがなくなり、過電流になること
もなくなる。本発明では、Ｐ−Ｎ間の電圧とＰ’−Ｎ’
間の電圧を比較し、回生制動時のＰ−Ｎ間の電圧Ｅ１２
がＰ’−Ｎ’間の電圧Ｅ２に対し、所定の値をこえたと
き、放電信号制御回路９より放電開始信号Ｓを放電部３
に入力し、トランジスタＴｒをオンさせコンデンサ６の
充電電圧を放電部３に放電する。なお、上記動作は三相
交流電源１の開閉時等ではＰ’−Ｎ’間の電圧Ｅ２は過
渡的な状態になるので、この時は放電開始信号を出さな
いようインターロック回路は設けておくものとする。 〔発明の効果〕本発明によれば、簡単な回路を付加する
のみで、電圧形インバータ装置を用いて、クレーン等の
巻上、横行及び走行用誘導電動機の速度制御を行なう場
合、回生制動時に誘導電動機に適正な電圧を供給できる
ので、誘導電動機は過励磁の領域で運転されることがな
く、充分な制動力を得ることができ、クレーンが失速す
ることがなくなる効果を有する。又、このため機器が過
電流、過電圧となることもなくなり、寿命低下すること
もない効果も有する。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の制御回路の構成図、第２図は本発明の
放電信号制御回路の詳細な回路構成図、第３図は従来の
技術の制御回路構成図である。 １は三相交流電源、２はコンバータ部、３は放電部、４
はインバータ部、５は誘導電動機、７は整流回路、９は
放電信号制御回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 （１）電圧形インバータ装置を用いて誘導電動機を速度
   制御するクレーンにおいて、電源電圧に対応した基準電
   圧を発生させる整流回路と、回生制動時に誘導電動機の
   運動エネルギーを放電させる放電部と、インバータ装置
   の主回路の電圧を検出し、前記整流回路で発生させた前
   記基準電圧とを比較し、回生制動時においてインバータ
   装置の主回路の電圧が前記基準電圧に対し所定値になる
   と放電部に放電開始信号を出力する回路を備えた放電信
   号制御回路とを具備することを特徴とするクレーンの回
   生制動制御回路。