JPH0518407U - 圧縮粉体用容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構成で、振動及び落下等の衝撃による
圧縮粉体の割れを防止できる圧縮粉体用容器の提供。 【構成】 本考案の圧縮粉体用容器１は、圧縮粉体２を
収納する容器であって、底部３全体が容器内側に向けて
凸状に湾曲して形成されていることを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、化粧料等の圧縮粉体を収納する圧縮粉体用容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、化粧料等を収納する容器において、粉体を圧縮して固形化した固形化 粧料を充填したものが知られている。例えば、パウダーファンデーション類、頬 紅、アイシャドウ等の固形化化粧料は、容器内側の空間に所定の粉体が圧縮充填 されている。この種の内容器は、通常、内側空間を規定する底部及び周壁部から 構成されており、底部は平坦面となっている。

【０００３】 かかる固形化粧品は、容器に圧縮粉体を充填後、工場から市場への輸送中、ま たは一般消費者の携帯中等において、振動又は落下時の衝撃が生じると、固形化 粧料が割れてしまう場合がある。このように固形化粧料に割れが生じると化粧料 をパフ等へ均一に塗布できなくなり、化粧品としての商品価値が低下するという 不都合がある。

【０００４】 従来、このような化粧料の割れを防止するため、圧縮粉体用容器に付与さ れる振動や落下の衝撃を緩和するための技術がいくつか提案されている。例えば 、実開昭６１−１６０８０９号公報には、外容器の内壁面及び底面に複数のリブ を設けて、固形化粧料を充填した内容器を弾性的に支持する構成が提案されてい る。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし乍ら、上述した従来の技術にあっては、内容器を外容器に収納した状態 での固形化粧料の割れを防止することはできるが、内容器のみを詰め替え用のカ ートリッジとして販売する場合や携帯する場合には、内容器のみにおける固形化 粧料の割れを防止することができない。

【０００６】 更に、外容器に複数の弾性突起を形成する構成では、容器の加工が複雑になる 等の問題がある。 また、緩衝材を配置する構成も種々提案されているが、かかる構成も付加的要 素を必要として構成が複雑になるという問題点がある。 従って、本考案の目的は、簡単な構成で、振動及び落下等の衝撃による圧縮粉 体の割れを防止できる圧縮粉体用容器を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、容器の底部全体が容器内側に向けて凸状に湾曲して形成されている ことを特徴とする圧縮粉体用容器を提供することにより、上記目的を達成したも のである。

【０００８】

【作用】

本考案の圧縮粉体用容器によれば、容器の底面を凸状に湾曲させるという簡単 な構成だけで、容器に付与される振動及び落下等の衝撃を緩和することができる 。しかも圧縮粉体を直接に収納する容器の衝撃を緩和するものであるから、詰め 替え用等の単独容器としての衝撃の緩和を直接に図ることができる。

【０００９】 かかる衝撃の緩和は、底面の湾曲変形によって、周壁部に変形力が内側に向け て作用し、該変形力が固形化粧料を周壁部内側に保持するためと考えらえれる。

【００１０】

【実施例】

以下、添付図面を参照して、本考案の好ましい実施例を詳細に説明する。 図１は本考案の実施例による圧縮粉体容器の断面図であり、図２は本考案の実 施例による圧縮粉体容器の製造工程を示す図である。尚、図１は本考案をわかり 易く説明するために、実際のものより特徴部分を大きく表現している。

【００１１】 第１図及び第２図に示すように、本実施例にかかる圧縮粉体用容器１は、パウ ダーファンデーション２を圧縮して固形化したものを充填したものであって、所 謂詰め替え用カートリッジとして単独で、流通し販売されるものである。 固形化粧料容器１は、略円筒形状に形成されており、円形の底部３と周壁部４ とを備え、該容器１は金属板から加圧成型により一体的に成形されている。底部 ３はその全体が粉体の充填空間である内側に向けて突出するように湾曲して形成 されており、略中央部において最も内側に突出されている。

【００１２】 固形化粧料容器１は、金属材料から作られることが好ましく、本実施例ではア ルミニウム材料から作られている。 固形化粧料容器１における各部の寸法は次のようである。容器上端部における 内径ｄ₁ は、好ましくは１０mm乃至１００mm、特に好ましくは２５mm乃至７５mm であり、容器下端部における内径ｄ₂ は、内径ｄ₁ と略同じであり、容器高さｈ は好ましくは２mm乃至１０mm、特に好ましくは３mm乃至７mmであり、底部の高さ Ｌは、好ましくは１．５mm乃至０．１mm、特に好ましくは０．７mm乃至０．２mm である。

【００１３】 上部の内径ｄ₁ に対する底部の高さＬの比（Ｌ／ｄ₁ ）は、０．２乃至１．５ ％、好ましくは０．２乃至１．０％である。０．２％より小さいと充分な変形力 が得られず、１．５％より大きいと変形しすぎて却って変形力が小さくなり、充 分な効果が得られないからである。 本実施例による作用については、図１に示すように、容器の周壁部４に、変形 力Ｆが容器内側に向けて作用し、振動等の衝撃による圧縮固形化化粧料の割が防 止されると考えられる。

【００１４】 次に、本実施例による圧縮粉体容器を用いたファンデーションの詰め替え用カ ートリッジの製造方法について説明する。 図２のａに示すように、外形５４mm、内径５２．６mm、高さ４．７mmの円筒形 状に形成した従来の容器である容器原型１ａを型にて圧縮成型し、底部３を凸状 に湾曲させて形成し、固形化粧料容器１を形成する。

【００１５】 この固形化粧料容器１を、図２のｃに示すように、型枠６に嵌め込み、上方か ら容器内にファンデーション粉体を充填する。この状態で、粉体は容器から溢れ でる状態とする。 次に、図２のｄに示すように、型枠の上に布７を掛け、該布７を介して圧縮杆 ８にて化粧料粉体２ａを押圧し、型枠にて容器型を保持しながら固化した圧縮粉 体を形成する。尚、本実施例では、かかる圧縮は４０Kg／cm² で行った。

【００１６】 そして、図２のｅに示すような、実施例品を製造した。 上述の如く製造した実施例品について、底部の湾曲寸法Ｌを種々変形させたも のを作成し、下記のように耐衝撃テストを行った。その結果を下記表に示す。 底部に湾曲を形成しないもの（Ｌ＝０）、Ｌ＝０．１mm、０．３mm、０．５mm 湾曲させたものをそれぞれサンプルとして用い、コンパクト容器にセットし、こ の状態で２５０回／分、振幅４０mmの衝撃を付与し、圧縮粉体化粧料が割れなか った比率を求めた。

【００１７】 尚、下記表において、テスト１は、上述した条件下において、５分間の衝撃に て割れなかった比率を示し、テスト２は、１０分間の衝撃にて割れなかった比率 を示す。 上記表から明かなように、底部の湾曲がないもの（Ｌ＝０）に比較して湾曲を 形成した場合には、衝撃に対して化粧料が割れなかった比率が高く、特にＬ＝０ ．３mm及びＬ＝０．５mmにおいては殆ど割れなかった。

【００１８】 即ち、本考案の容器によれば、底部を湾曲成型するだけという簡単な構成で、 衝撃力を充分に緩和し、固形圧縮粉体の割れを防止することができる。 本考案は、上述した実施例に限定されることなく、本考案の趣旨を逸脱しない 範囲で種々変形可能である。 例えば、圧縮粉体はパウダーファンデーション等の化粧料に限らず、他の粉体 であっても同様な効果を得ることができる。

【００１９】 また、容器底部を全体として凸状に湾曲した構成であれば、更に、底部に細か い凹凸を併せて形成するものであってもよい。 更に、容器底部の形状は円形に限らず、四角形等の多角形であってもよい。こ の場合、容器の直径は対角線の長さとする。

【００２０】

【考案の効果】

本考案による圧縮粉体用容器によれば、簡単な構成で、振動及び落下等の衝撃 による圧縮粉体の割れを防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例による圧縮粉体容器の断面図で
ある。

【図２】本考案の実施例による圧縮粉体容器の製造工程
を示す図である。

【符号の説明】

１ 圧縮粉体用容器 ３ 底部 ４ 周壁部 Ｌ 湾曲高さ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 容器の底部全体が容器内側に向けて凸状
   に湾曲して形成されていることを特徴とする圧縮粉体用
   容器。
2. 【請求項２】 上記底部の凸状は、該容器の直径の０．
   ２乃至１．０％の寸法だけ容器内側に突出していること
   を特徴とする圧縮粉体用容器。