JPH05181830A - 信号処理装置 - Google Patents

信号処理装置

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JPH05181830A
JPH05181830A JP4165637A JP16563792A JPH05181830A JP H05181830 A JPH05181830 A JP H05181830A JP 4165637 A JP4165637 A JP 4165637A JP 16563792 A JP16563792 A JP 16563792A JP H05181830 A JPH05181830 A JP H05181830A
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JP
Japan
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signal
coupling coefficient
error signal
learning
nerve cell
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Pending
Application number
JP4165637A
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English (en)
Inventor
Toshiyuki Furuta
俊之 古田
Shuji Motomura
修二 本村
Hirotoshi Eguchi
裕俊 江口
Takashi Kitaguchi
貴史 北口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 デジタル方式の自己学習機能付きのニューラ
ルネットワークにおいて、学習能力を向上させる。 【構成】 デジタル方式の自己学習機能付きのニューラ
ルネットワークの出力層に、0,1の2値で表現された
信号列からなる正の誤差信号δj(+)又はEij(+)と負の
誤差信号δj(-)又はEij(-) とが同時に1になることを
禁止させる論理手段51を設け、出力層においては本来
的に正の誤差信号と負の誤差信号とが同時に1となるこ
とはないので、近似処理により両者がともに1となって
しまった場合には強制的にともに1とはならない論理処
理を施すことにより、実質的に相殺機能を維持させて学
習能力を向上させるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、神経細胞を模倣したニ
ューラルコンピュータ等の信号処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】生体の情報処理の基本的な単位である神
経細胞(ニューロン)の機能を模倣し、さらに、この
「神経細胞模倣素子」をネットワークにし、情報の並列
処理を目指したのが、いわゆるニューラルネットワーク
である。文字認識や、連想記憶、運動制御等、生体では
いとも簡単に行われていても、従来のノイマン型コンピ
ュータではなかなか達成しないものが多い。そこで、生
体の神経系、特に生体特有の機能、即ち、並列処理、自
己学習等を模倣して、これらの問題を解決しようとする
試みが盛んに行われている。しかしながら、これらの試
みは計算機シミュレーションで行われているものが多
く、本来の機能を発揮させるためには、並列処理が必要
であり、そのためにはニューラルネットワークのハード
ウエア化が必要である。一部では、既にハードウエア化
の試みもなされているが、ニューラルネットワークの特
徴の一つである自己学習機能が実現できず、大きなネッ
クとなっている。また、殆どのものはアナログ回路で実
現されており、動作の点で問題がある。
【0003】これらの点について、さらに詳細に検討す
る。まず、従来のニューラルネットワークのモデルにつ
いて説明する。図57はある1つの神経細胞ユニット
(神経細胞模倣素子)1を表すもので、図58はこれを
ネットワークにしたものである。即ち、1つの神経細胞
ユニット1は多数の他の神経細胞ユニット1と結合し信
号を受け、それを処理して出力を出す。図58の場合、
ネットワークは階層型であり、1つ前(左側)の層のユ
ニットより信号を受け、1つ先(右側)の層のユニット
へ出力する。
【0004】ここで、図57の神経細胞ユニット1にお
いて、他の神経細胞ユニットと自分の神経細胞ユニット
との結合の度合いを表すのが結合係数と呼ばれるもの
で、i番目のユニットとj番目のユニットとの結合計数
を、一般にTijで表す。結合には、相手のユニットから
の信号が大きいほど自分の出力が大きくなる興奮性結合
と、逆に、相手のユニットの信号が大きいほど自分の出
力が小さくなる抑制性結合とがあるが、Tij>0が興奮
性結合、Tij<0が抑制性結合を表す。自分がj番目の
ユニットの時、i番目のユニットからの入力をyi とす
ると、これに結合係数Tijを掛けたTiji が自分のユ
ニットへの入力となる。前述のように、各ユニットは多
数のユニットと結合しているので、それらのユニットに
対するTiji を足し合わせた結果なるΣTiji が、
自分のユニットへの入力となる。これを内部電位とい
い、(1)式のようにuj で表す。
【0005】
【数1】
【0006】次に、この入力に対して、非線形な処理を
して出力とする。この時の関数を神経細胞応答関数と呼
び、非線形関数として、(2)式及び図59に示すような
シグモイド関数を用いる。
【0007】
【数2】
【0008】図58に示すようにネットワーク構成にし
た時には各結合係数Tijを与え、(1)(2)式を次々と計
算することにより、最終的な出力が得られるものであ
る。
【0009】一方、このようなネットワークを電気回路
で実現したものの一例として、図60に示すようなもの
がある。これは、特開昭62−295188号公報中に
示されるもので、基本的には、S字形伝達関数を有する
複数の増幅器2と、各増幅器2の出力を他の層の増幅器
の入力に一点鎖線で示すように接続する抵抗性フィード
バック回路網3とを設けたものである。各増幅器2の入
力側には接地されたコンデンサと接地された抵抗とによ
るCR時定数回路4が個別に接続されている。そして、
入力電流I1 ,I2 ,〜,IN が各増幅器2の入力に供
給され、出力はこれらの増幅器2の出力電圧の集合から
得られる。
【0010】ここに、入力や出力の信号の強度を電圧で
表し、神経細胞間の結合の強さは、各細胞間の入出力ラ
インを結ぶ抵抗5(抵抗性フィードバック回路網3中の
格子点)の抵抗値で表され、神経細胞応答関数は各増幅
器2の伝達関数で表される。また、神経細胞間の結合に
は、前述のように興奮性結合と抑制性結合とがあり数学
的には結合係数の正負符号により表される。しかし、回
路上の定数で正負を実現するのは困難であるので、ここ
では、増幅器2の出力を2つに分け、一方の出力を反転
させることにより、正負の2つの信号を生成し、これを
適当に選択することにより実現するようにしている。ま
た、図59に示したシグモイド関数に相当するものとし
ては増幅器が用いられている。
【0011】しかし、これらの回路には、 ネットワーク内部での信号の強度を電位や電流など
のアナログ値で表し、内部の演算もアナログ的に行わせ
るため、温度特性や電源投入直後のドリフト等により、
その値が変化してしまう。 ネットワークであるので、素子の数も多く必要とす
るが、各々の特性を揃えることは困難である。 1つの素子の精度や安定性が問題となったとき、そ
れをネットワークにした場合、新たな問題を生ずる可能
性があり、ネットワーク全体で見たときの動きが予想で
きない。 結合係数Tijの値が固定であり、予めシミュレーシ
ョンなどの他の方法で学習させた値を使うしかなく、自
己学習ができない。といった問題点がある。
【0012】一方、数値計算で用いられている学習法則
としては、バックプロパゲーションと呼ばれる下記のよ
うなものがある。
【0013】まず、各結合係数は最初にランダムに与え
ておく。この状態で、入力を与えると、出力結果は必ず
しも望ましいものとはならない。例えば、文字認識の場
合、手書きの「1」の文字を与えたとすると、出力結果
として「この文字は『1』である」と出るのが望ましい
結果であるが、結合係数がランダムであると必ずしも望
ましい結果とはならない。そこで、このネットワークに
正解(教師信号)を与えて、再び、同じ入力があったと
き正解となるように各結合係数を変化させる。このと
き、結合係数を変化させる量を求めるアルゴリズムが、
バックプロパゲーションと呼ばれているものである。
【0014】例えば、図58に示した階層型のネットワ
ークにおいて、最終層のj番目の神経細胞ユニットの出
力をyjとし、その神経細胞ユニットに対する教師信号
をdjとすると、(3)式
【数3】 で表されるEが最小となるように、(4)式
【数4】 を用いて、結合係数Tijを変化させる。
【0015】さらに具体的には、まず、出力層と、その
1つ前の層との結合係数を求める場合には、(5)式
【数5】 を用いて誤差信号δを求め、それよりさらに前の層同士
の結合係数を求める場合には、(6)式
【数6】 を用いて誤差信号δを求め、(7)式
【数7】 を求めて、Tijを変化させる。ここに、ηは学習定数、
αは安定化定数と呼ばれるものである。各々論理的には
求められないので、経験的に求める。また、f′はシグ
モイド関数fの1階微分関数、ΔTij′,Tij′は前回
学習時の値である。
【0016】このようにして学習をし、その後、再び入
力を与えて出力を計算し、学習をする。この操作を何回
も繰返す内に、やがて、与えられた入力に対して望まし
い結果が得られるような結合係数Tijが決定される。
【0017】ところが、このような学習方法を何らかの
方法でハードウエア化しようとした場合、学習には、多
量の四則演算が必要であり、実現が困難である。学習方
法そのものもハードウエア化に対しては不向きである。
【0018】一方、デジタル回路でニューラルネットワ
ークを実現したものの例を図61ないし図63を参照し
て説明する。図61は単一の神経細胞の回路構成を示
し、各シナプス回路6を樹状突起回路7を介して細胞体
回路8に接続してなる。図62はその内のシナプス回路
6の構成例を示し、係数回路9を介して入力パルスfに
倍率a(フィードバック信号に掛ける倍率で、1又は
2)を掛けた値が入力されるレートマルチプライヤ10
を設けてなり、レートマルチプライヤ10には重み付け
の値wを記憶したシナプス荷重レジスタ11が接続され
ている。また、図63は細胞体回路8の構成例を示し、
制御回路12、アップ/ダウンカウンタ13、レートマ
ルチプライヤ14及びゲート15を順に接続してなり、
さらに、アップ/ダウンメモリ16が設けられている。
【0019】これは、神経細胞ユニットの入出力をパル
ス列で表し、そのパルス密度で信号の量を表している。
結合係数は2進数で表し、メモリ16上に保存してお
く。入力信号をレートマルチプライヤ14のクロックへ
入力し、結合計数をレート値へ入力することによって、
入力信号のパルス密度をレート値に応じて減らしてい
る。これは、バックプロパゲーションモデルの式のTij
i の部分に相当する。次に、ΣTiji のΣの部分
は、樹状突起回路7によって示されるOR回路で実現し
ている。結合には興奮性、抑制性があるので、予めグル
ープ分けしておき、各々のグループ別にORをとる。こ
の2つの出力をカウンタ13のアップ側、ダウン側に入
力しカウントすることで出力が得られる。この出力は2
進数であるので、再びレートマルチプライヤ14を用い
て、パルス密度に変換する。このユニットをネットワー
クにすることによって、ニューラルネットワークが実現
できる。学習については、最終出力を外部のコンピュー
タに入力してコンピュータ内部で数値計算を行い、その
結果を結合係数のメモリ16に書込むことにより実現し
ている。従って、自己学習機能は全くない。また、回路
構成もパルス密度の信号をカウンタを用いて一旦数値
(2進数)に変換し、その後、再びパルス密度に変換し
ており、複雑なものとなっている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】このように従来技術に
よる場合、アナログ回路方式では動作に確実性がなく、
数値計算による学習方法も計算が複雑であり、ハードウ
エア化に適さず、動作が確実なデジタル方式のものは回
路構成が複雑である。また、ハードウエア上で自己学習
ができないという欠点もある。
【0021】このような欠点を解消するため、パルス密
度型の学習機能付きニューロンモデルが特願平2−41
2448号により提案されている。しかし、この提案例
によると、詳細は後述するが、出力信号と教師信号とが
ランダムなパルス列であるため、パルス密度が同じでも
違うパルス列になることがある。このため、正の誤差信
号と負の誤差信号とが生成される。この時、両者のパル
ス密度が同じであるため、本来は学習時に相殺される筈
であるが、実際には近似を行っているので相殺されず、
学習能力の限界を持つものとなっている。
【0022】また、この提案例によると、詳細は後述す
るが、例えばあるタイミングにおいて結合係数変化信号
が1の時に格納されていた結合係数も1であれば、学習
書換えしようとする新しい結合係数も1であるので、事
実上、学習が行われない、といった事態を生ずることが
あり、学習能力の限界を持つものとなっている。
【0023】
【課題を解決するための手段】結合係数可変手段と、こ
の結合係数可変手段の可変結合係数値を教師信号に対し
て0,1の2値で表現された信号列からなる正の誤差信
号と負の誤差信号とに基づいて生成する結合係数生成手
段とを有する自己学習手段を神経細胞模倣素子に付設し
た複数の神経細胞模倣手段を網状に接続した信号処理手
段を設けた基本構成において、請求項1記載の発明で
は、正の誤差信号と負の誤差信号とが同時に1になるこ
とを禁止させる論理手段を設けた。
【0024】請求項2記載の発明では、正の誤差信号と
負の誤差信号との何れか一方の信号を所定時間遅延させ
る遅延手段を設け、遅延された誤差信号と遅延を受けな
い誤差信号とが同時に1になることを禁止させる論理手
段を設けた。
【0025】さらに、請求項3記載の発明では、正の誤
差信号と負の誤差信号との何れか一方の信号を所定時間
遅延させる遅延手段を設け、前記正の誤差信号と負の誤
差信号とが同値の時及び遅延された誤差信号と遅延を受
けない誤差信号とが同値の時に正の誤差信号と負の誤差
信号が1になることを禁止させる論理手段を設けた。
【0026】また、結合係数可変手段と、この結合係数
可変手段の可変結合係数値を教師信号に対する正の誤差
信号と負の誤差信号とに基づいて生成する結合係数生成
手段とを有する自己学習手段を神経細胞模倣素子に付設
した複数の神経細胞模倣手段を網状に接続した信号処理
手段を設けた基本構成において、請求項4記載の発明で
は、出力層の前記正の誤差信号と負の誤差信号との一致
を検出する検出手段を設け、この検出手段から一致出力
が出力された時に前記自己学習手段による学習を禁止さ
せる学習禁止手段を設けた。
【0027】請求項5記載の発明では、出力層の前記正
の誤差信号と負の誤差信号との何れか一方の信号を所定
時間遅延させる遅延手段を設け、遅延された誤差信号と
遅延を受けない誤差信号との一致を検出する検出手段を
設け、この検出手段から一致出力が出力された時に前記
自己学習手段による学習を禁止させる学習禁止手段を設
けた。
【0028】さらに、請求項6記載の発明では、出力層
の前記正の誤差信号と負の誤差信号との何れか一方の信
号を所定時間遅延させる遅延手段を設け、出力層の前記
正の誤差信号と負の誤差信号との一致を検出する第1検
出手段と、遅延された誤差信号と遅延を受けない誤差信
号との一致を検出する第2検出手段とを設け、第1検出
手段と第2検出手段との双方から一致出力が出力された
時に前記自己学習手段による学習を禁止させる学習禁止
手段を設けた。
【0029】さらに、請求項7記載の発明では、前記可
変結合係数値を生成するための結合係数変化信号の一部
又は全部に予め設定された時間以前の入力信号を用いる
補正手段を設けた。
【0030】請求項8記載の発明では、結合係数と結合
係数変化信号とに基づき繰上り信号、繰下り信号を生成
する繰上り・繰下り信号生成手段と、生成された繰上り
信号、繰下り信号を予め設定された時間遅延させて前記
可変結合係数値の生成に供する遅延手段とを前記結合係
数生成手段に設けた。
【0031】さらに、請求項9記載の発明では、前記可
変結合係数値を生成するための結合係数変化信号の一部
又は全部に予め設定された時間以前の入力信号を用いる
補正手段を設け、結合係数と前記結合係数変化信号とに
基づき繰上り信号、繰下り信号を生成する繰上り・繰下
り信号生成手段と、生成された繰上り信号、繰下り信号
を予め設定された時間遅延させて前記可変結合係数値の
生成に供する遅延手段とを前記結合係数生成手段に設け
た。
【0032】
【作用】請求項1ないし3記載の発明においては、0,
1の2値で表現された信号列からなる正の誤差信号と負
の誤差信号とに着目した場合、出力層においては同時に
1となることはないので、同一タイミングにて、或い
は、所定遅延時間ずれたタイミング関係において、両者
が同値の場合には同時には1とさせないことにより、実
質的に相殺機能を持たせることができ、学習能力が向上
するものとなる。
【0033】請求項4ないし6記載の発明においても、
正の誤差信号と負の誤差信号とに着目した場合、出力層
においては同時に1となることはないので、同一タイミ
ングにて、或いは、所定遅延時間ずれたタイミング関係
において、両者が同値の場合には学習させないことによ
り、実質的に相殺機能を持たせることができ、学習能力
が向上するものとなる。
【0034】自己学習手段においては、変化させたい結
合係数が属している信号線上の入力信号と誤差信号との
論理処理により結合係数変化信号を算出し、この結合係
数変化信号に基づいて可変結合係数値を算出するが、こ
の時、請求項7記載の発明においては、補正手段によ
り、結合係数変化信号の一部又は全部に予め設定された
時間以前の入力信号を用いて補正することにより、より
適切な状態に補正された結合係数変化信号が得られるも
のとなり、学習能力が向上するものとなる。
【0035】特に、正の誤差信号と負の誤差信号とに着
目した場合において、例えばこれらの誤差信号により算
出される正の結合係数変化信号が1の時に格納されてい
る結合係数も1であれば、学習書換えしようとする新し
い結合係数も1であるので、事実上学習が行われない
が、この時、請求項8,9記載の発明によれば、結合係
数と結合係数変化信号とに基づき繰上り信号を生成し、
予め設定された時間遅延させて、遅れたタイミングで可
変結合係数値の生成、即ち、学習に供することにより、
有効に学習が行われる。負の結合係数変化信号側につい
ては、繰下り信号により同様に対応できる。
【0036】
【実施例】本発明の第一の実施例を図1ないし図29に
基づいて説明する。ここに、本実施例の要旨の説明に先
立ち、既提案例による自己学習機能を持つデジタル論理
回路を用いたニューロン素子構成のニューラルネットワ
ークについての基本的思想及びその構成例について説明
する。本実施例の前提とするニューラルネットワーク
は、結合係数可変回路とこの結合係数可変回路の可変結
合係数値を教師信号に対する正,負の誤差信号に基づい
て生成する結合係数生成回路とを有する自己学習回路を
付設したデジタル論理回路による複数の神経細胞模倣素
子よりなる信号処理手段を網状に接続して構成される。
【0037】まず、提案例におけるニューラルネットワ
ークはデジタル構成によりハードウエア化したものであ
るが、基本的な考え方としては、 神経細胞ユニットに関する入出力信号、中間信号、
結合係数、教師信号などは全て、「0」「1」の2値で
表されたパルス列で表す。 ネットワーク内部での信号の量は、パルス密度で表
す(ある一定時間内の「1」の数)。 神経細胞ユニット内での計算は、パルス列同士の論
理演算で表す。 結合係数のパルス列はメモリ上に置く。 学習は、このパルス列を書換えることで実現する。 学習については、与えられた教師信号パルス列を元
に誤差を計算し、これに基づいて、結合係数パルス列を
変化させる。このとき、誤差の計算、結合係数の変化分
の計算も、全て、「0」「1」のパルス列の論理演算で
行う。 ようにしたものである。
【0038】以下、この思想について説明する。最初
に、デジタル論理回路による信号処理に関し、フォワー
ドプロセスにおける信号処理を説明する。図2は1つの
神経細胞ユニット(神経細胞模倣素子)20に相当する
部分を示し、ニューラルネットワーク全体としては例え
ば図58に示した場合と同様に階層型とされる。入出力
は、全て、「1」「0」に2値化され、かつ、同期化さ
れたものが用いられる。入力信号yi の強度はパルス密
度で表現し、例えば図3に示すパルス列のようにある一
定時間内にある「1」の状態数で表す。即ち、図3の例
は、4/6を表し、同期パルス6個中に信号は「1」が
4個、「0」が2個である。このとき、「1」と「0」
の並び方は、ランダムであることが望ましい。
【0039】一方、各神経細胞ユニット20間の結合の
度合を示す結合係数Tijも同様にパルス密度で表現し、
「0」と「1」とのビット列として予めメモリ上に用意
しておく。図4の例は、「101010」=3/6を表
す式である。この場合も、「1」と「0」の並び方はラ
ンダムであることが望ましい。
【0040】そして、このビット列を同期クロックに応
じてメモリ上より順次読出し、図2に示すように各々A
NDゲート21により入力信号パルス列との論理積をと
る(yi ∩ Tij)。これを、神経細胞jへの入力とす
る。上例の場合で説明すると、入力信号が「10110
1」として入力されたとき、これと同期してメモリ上よ
りパルス列を呼出し、順次ANDをとることにより、図
5に示すような「101000」が得られ、これは入力
i が結合係数Tijにより変換されパルス密度が2/6
となることを示している。
【0041】ANDゲート21の出力のパルス密度は、
近似的には入力信号のパルス密度と結合係数のパルス密
度との積となり、アナログ方式の結合係数と同様の機能
を有する。これは、信号の列が長いほど、また、「1」
と「0」との並び方がランダムであるほど、数値の積に
近い機能を持つことになる。なお、入力パルス列に比べ
て結合係数のパルス列が短く、読出すべきデータがなく
なったら、再びデータの先頭に戻って読出しを繰返えせ
ばよい。
【0042】1つの神経細胞ユニット20は多入力であ
るので、前述した「入力信号と結合係数とのAND」も
多数あり、次にOR回路22によりこれらの論理和をと
る。入力は同期化されているので、例えば1番目のデー
タが「101000」、2番目のデータが「01000
0」の場合、両者のORをとると、「111000」と
なる。これをm個分について多入力同時に計算し出力と
すると、例えば図6に示すようになる。これは、アナロ
グ計算における和の計算及び非線形関数(シグモイド関
数)の部分に対応している。
【0043】パルス密度が低い場合、そのORをとった
もののパルス密度は、各々のパルス密度の和に近似的に
一致する。パルス密度が高くなるにつれ、OR回路22
の出力は段々飽和してくるので、パルス密度の和とは一
致せず、非線形性が出てくる。ORの場合、パルス密度
は1よりも大きくなることがなく、かつ、0より小さく
なることもなく、さらには、単調増加関数であり、シグ
モイド関数と近似的に同等となる。
【0044】ところで、結合には興奮性と抑制性があ
り、数値計算の場合には、結合係数の符号で表し、アナ
ログ回路の場合はTijが負となる場合(抑制性結合)は
増幅器を用いて出力を反転させてTijに相当する抵抗値
で他の神経細胞ユニットに結合させている。この点、デ
ジタル方式の提案例にあっては、まず、Tijの正負によ
り各結合を興奮性結合と抑制性結合との2つのグループ
に分け、次いで、「入力信号と結合係数のパルス列のA
ND」同士のORをこのグループ別に計算する。このよ
うにして得られた興奮性グループの結果Fj と抑制性グ
ループの結果Ij とする。
【0045】或いは、1つの入力yi に対して興奮性を
表す結合係数Tij(+) と抑制性を表す結合係数Tij(-)
との両方を用意し、各々ANDをとる(yi ∩T
ij(+) 、yi ∩Tij(-) )。さらに、これら同士のOR
を各々とり(∪(yi ∩Tij(+) )、∪( yi ∩T
ij(-) )、興奮性グループの結果をFj 、抑制性グルー
プの結果をIj とする。
【0046】これらをまとめると、 1つの入力に対して、結合係数を興奮性、抑制性の
どちらか一方のみを持つ場合には、(8)(9)式
【数8】 のようになる。
【0047】 1つの入力に対して、結合係数を興奮
性、抑制性の両方を持つ場合には、(10)(11)式
【数9】 のようになる。
【0048】或いは、(12)(13)式
【数10】 に示すようになる。ただし、(12)(13)式において、1つ
の入力に対して結合係数を興奮性、抑制性のどちらか一
方のみ持つ場合には、yFij ,yIij は(14)(15)式で示
され、1つの入力に対して結合係数を興奮性、抑制性の
両方を持つ場合には、yFij ,yIij は(16)(17)式で示
される。
【0049】
【数11】
【0050】このようにして得られた興奮性グループの
演算結果Fj と抑制性グループの演算結果Ij が、不一
致であれば興奮性グループの結果を出力する。即ち、興
奮性グループの結果Fj が「0」で抑制性グループの結
果Ij が「1」であれば、「0」を出力し、興奮性グル
ープの結果Fj が「1」で抑制性グループの結果Ij
「0」であれば、「1」を出力する。興奮性グループの
結果Fj と抑制性グループの結果Ij が一致したときに
は、「0」を出力しても「1」を出力してもよく、或い
は、別個に用意された第2の入力信号Ej を出力させて
もよく、又は、このような第2の入力信号Ej とこの第
2の入力信号Ej に対して設けたメモリの内容との論理
積を演算したものを出力させるようにしてもよい。この
メモリも入力信号に対する結合係数と同様、全て読出し
てしまったら再び先頭から読出せばよい。
【0051】この機能を実現するため、まず、「0」を
出力させる例の場合であれば、興奮性グループの出力と
抑制性グループの出力の否定とのANDをとればよい。
図7はこの例を示すもので、数式で示すと、(18)式のよ
うになる。
【0052】
【数12】
【0053】また、「1」を出力させる例の場合であれ
ば、興奮性グループの出力の否定と抑制性グループの出
力とのANDをとればよい。図8はこの例を示すもの
で、数式で示すと、(19)式のようになる。
【0054】
【数13】
【0055】第2の入力信号を出力させる例の場合であ
れば、図9に示すようになり、数式で示すと、(20)式の
ようになる。
【0056】
【数14】
【0057】さらに、第4の方式の例であれば、第2の
入力信号Ej に対して設けられたメモリの内容(係数)
をT′j とすると、図10に示すようになり、数式で示
すと、(21)式のようになる。
【0058】
【数15】
【0059】神経細胞ユニット20のネットワークは、
バックプロパゲーションと同様な階層型(即ち、図5
8)とする。そして、ネットワーク全体を同期させてお
けば、各層とも上述した機能により計算できる。
【0060】次に、学習(バックプロパゲーション)に
おける信号演算処理について説明する。基本的には、以
下のa又はbにより誤差信号を求め、次いで、cの方法
により結合係数の値を変化させるようにすればよい。
【0061】a.最終層における誤差信号 最終層で各神経細胞ユニットにおける誤差信号を計算
し、それを基にその神経細胞ユニットに関わる結合係数
を変化させる。そのための、誤差信号の計算法について
述べる。ここに、「誤差信号」を以下のように定義す
る。誤差を数値で表すと、一般には+,−の両方をとり
得るが、パルス密度の場合には、正、負の両方を同時に
表現できないので、+成分を表す信号と、−成分を表す
信号との2種類を用いて誤差信号を表現する。即ち、j
番目の神経細胞ユニットの誤差信号は、図11のように
示される。つまり、誤差信号の+成分は教師信号パルス
と出力パルスとの違っている部分(1,0)又は(0,
1)の内、教師信号側に存在するパルスであり、−成分
は同様に出力側に存在するパルスである。換言すれば、
出力信号yj に誤差信号+パルスを付け加え、誤差信号
−パルスを取り除くと、教師信号dj となることにな
る。即ち、これらの正負の誤差信号δj(+),δj(-)を論
理式で表現すると、各々(22)(23)式のようになる。式
中、XORは排他的論理和を表す。このような誤差信号
パルスを元に結合係数を後述するように変化させること
になる。
【0062】
【数16】
【0063】b.中間層における誤差信号 まず、上記の誤差信号を逆伝播させ、最終層とその1つ
前の層との結合係数だけでなく、さらにその前の層の結
合係数も変化する。そのため、中間層における各神経細
胞ユニットでの誤差信号を計算する必要がある。中間層
のある神経細胞ユニットから、さらに1つ先の層の各神
経細胞ユニットへ信号を伝播させたのとは、丁度逆の要
領で1つ先の層の各神経細胞ユニットにおける誤差信号
を集めてきて、自己の誤差信号とする。このことは、神
経細胞ユニット内での前述した演算式(8)〜(10)や図3
〜図8に示した場合と同じような要領で行うことができ
る。ただし、神経細胞ユニット内での前述した処理と異
なるのは、yj が常に正なる1つの信号であるのに対し
て、δj は正、負を表す信号として2つの信号を持ち、
その両方の信号を考慮する必要があることである。従っ
て、結合係数Tijの正負、誤差信号δj の正負に応じて
4つの場合に分ける必要がある。
【0064】まず、興奮性結合の場合を説明する。この
場合、中間層のある神経細胞ユニットについて、1つ先
の層のk番目の神経細胞ユニットでの誤差信号δ
k(+)と、その神経細胞ユニットと自己との結合係数Tjk
のANDをとったもの(δk(+) ∩Tjk)を各神経細胞
ユニットについて求め、さらに、これら同士のORをと
る{∪(δk(+) ∩ Tjk)}。これをこのニューロンの
誤差信号δ.pj(+) とする。即ち、1つ先の層の神経細
胞ユニットをn個とすると、図12に示すようになる。
これらを順に数式で示すと、(24)〜(26)式のようにな
る。
【0065】
【数17】
【0066】同様に、1つ先の層の神経細胞ユニットで
の誤差信号δk(-)と結合係数TjkとのANDをとり、さ
らにこれら同士のORをとることにより、この中間層の
誤差信号δ.pj(-) とする。即ち、図13に示すように
なり、これらを順に数式で示すと、(27)〜(29)式のよう
になる。
【0067】
【数18】
【0068】つぎに、抑制性結合の場合を説明する。こ
の場合、1つ先の層の神経細胞ユニットでの誤差信号δ
k(-)とその神経細胞ユニットと自己との結合係数Tjk
ANDをとり、さらにこれら同士のORをとる。これ
を、この中間層の誤差信号δ.pj(+) とする。即ち、図
14に示すようになり、これらを順に数式で示すと、(3
0)〜(32)式のようになる。
【0069】
【数19】
【0070】また、1つ先の誤差信号δk(+)と結合係数
jkとのANDをとり、さらにこれら同士のORをとる
ことにより、同様に、この層の誤差信号δ.dj(-) とす
る。即ち、図15に示すようになり、これらを順に数式
で示すと、(33)〜(35)式のようになる。
【0071】
【数20】
【0072】1つの神経細胞ユニットから別の神経細胞
ユニットへは興奮性で結合しているものもあれば、抑制
性で結合しているものもあるので、図12のように求め
た誤差信号δ.dj(+) と図14のように求めた誤差信号
δ.dj(+) とのORをとり、それを自分の神経細胞ユニ
ットの誤差信号δ.dj(+) とする。同様に、図13のよ
うに求めた誤差信号δ.dj(-) と図15のように求めた
誤差信号δ.dj(-) とのORをとり、それを自分の神経
細胞ユニットの誤差信号δ.dj(-) とする。
【0073】以上をまとめると、(36)式
【数21】 に示すようになる。
【0074】さらに、この2つの信号が同時に1となっ
たときには、両方とも0とするような処理を行い、この
神経細胞ユニットの誤差信号δj(+),δj(-)とする。(3
7)式はこれを示すものである。
【0075】
【数22】
【0076】或いは、(38)式
【数23】 に示すようになる。
【0077】または、(39)式
【数24】 としてもよい。
【0078】次に、1つの入力に対して興奮性と抑制性
との両方の結合係数を持つ場合、(36)式に代えて、(40)
式を用いればよい。
【0079】
【数25】
【0080】或いは、(38)式ただし書きに代えて、(41)
式を用いればよい。
【0081】
【数26】
【0082】或いは、(39)式ただし書き中のE.
jk(+),E.pjk(-)に代えて、(42)式を用いればよ
い。
【0083】
【数27】
【0084】さらに、学習のレート(学習定数)に相当
する機能を設けてもよい。数値計算でレートが1以下の
とき、さらに学習能力が高まる。これはパルス列の演算
ではパルス列を間引くことによって実現できる。ここで
は、カウンタ的な考え方をし、図16、図17に示すよ
うなものとした。例えば、学習レートη=0.5では元
の信号のパルス列を1つ置きに間引くが、元の信号のパ
ルスが等間隔でなくても、元のパルス列に対して間引く
ことができる。図16,17中、η=0.5の場合はパ
ルスを1つ置きに間引き、η=0.33の場合はパルス
を2つ置きに残し、η=0.67の場合はパルスを2つ
置きに1回間引くことを示す。
【0085】このようにして、誤差信号を間引くことに
より学習レートの機能を持たせる。このような誤差信号
の間引きは、通常市販されているカウンタの出力を論理
演算することやフリップフロップを用いることにより容
易に実現できる。特に、カウンタを用いた場合、学習定
数ηの値を任意、かつ、容易に設定できるので、ネット
ワークの特性を制御することも可能となる。
【0086】c.誤差信号により各結合係数を変化させ
る方法 変化させたい結合係数が属しているライン(図58参
照)を流れる信号と誤差信号のANDをとる(δj ∩y
i )。ただし、ここでは誤差信号には+,−の2つの信
号があるので、各々演算して図18,図19に示すよう
に求める。即ち、δj(+)∩yi 、δj(-)∩yi を各々
正,負の結合係数変化信号としている。
【0087】このようにして得られた2つの信号を各々
ΔTij(+) ,ΔTij(-) とする。ついで、今度はこのΔ
ijを元に新しいTijを求めるが、Tijは絶対値成分で
あるので、元のTijが興奮性か抑制性かで場合分けす
る。興奮性の場合、元のTijに対してΔTij(+) の成分
を増やし、ΔTij(-) の成分を減らす。即ち、図20に
示すようになる。逆に、抑制性の場合は元のTijに対し
ΔTij(+) の成分を減らし、ΔTij(-) の成分を増や
す。即ち、図21に示すようになる。
【0088】これらの図20,図21の内容を数式で示
すと、(43)(44)式
【数28】 のようになる。
【0089】さらに、1つの入力に対して興奮性と抑制
性との両方の結合係数を持つ場合には、(45)(46)式に示
すようになる。
【0090】
【数29】
【0091】或いは、図18、図19及び(43)(44)式を
変形し、(47)式のようにしてもよい。
【0092】
【数30】
【0093】以上の学習則に基づいてネットワークの計
算をする。
【0094】次に、以上のアルゴリズムに基づく実際の
回路構成を説明する。図22ないし図27にその回路構
成例を示すが、ネットワーク2全体の構成は図32と同
様である。図22ないし図25は図58のような階層型
ネットワーク中のライン(結線)に相当する部分の回路
を示し、図26は図58中の丸(提案例では、各神経細
胞ユニット20)に相当する部分の回路を示す。また、
図27は最終層の出力と教師信号から最終層における誤
差信号を求める部分の回路を示す。これらの図22ない
し図27構成の3つの回路を図58の場合のようにネッ
トワークにすることにより、自己学習可能なデジタル式
のニューラルネットワークが実現できる。
【0095】まず、図22から説明する。図中、25は
図4に示したような神経細胞ユニットへの入力信号であ
る。図5に示したような結合係数の値はシフトレジスタ
26に保存しておく。このシフトレジスタ26は取出し
口26aと入口26bとを有するが、通常のシフトレジ
スタと同様の機能を持つものであればよく、例えば、R
AMとアドレスコントローラとの組合せによるもの等で
あってもよい。入力信号25とシフトレジスタ26内の
結合係数とはANDゲート27を備えて図6に示した処
理を行なう論理回路28によりANDがとられる。この
論理回路28の出力は結合が興奮性か抑制性かによって
グループ分けしなければならないが、予め各々のグルー
プへの出力29,30を用意し、何れに出力するのかを
切換えるようにした方が汎用性の高いものとなる。この
ため、提案例では結合が興奮性か抑制性かを表すビット
をグループ分け用メモリ31に保存しておき、その情報
を用いて切換えゲート回路32により切換える。切換え
ゲート回路32は2つのANDゲート32a,32bと
一方の入力に介在されたインバータ32cとよりなる。
【0096】切換える必要のない場合には、各々固定し
ても構わない。例えば、興奮性の場合を図23、抑制性
の場合を図24に示す。また、1つの入力に対して、興
奮性を表すビットに対するメモリと、抑制性を表すビッ
トに対するメモリとの両方を用意してもよい。図25は
この例を示す。図中、26Aが興奮性を表す結合係数に
対するビットのメモリ、26Bが抑制性を表す結合係数
に対するビットのメモリである。
【0097】また、図26に示すように各入力処理(図
6に相当)をする複数のORゲート構成のゲート回路3
3a,33bが設けられている。さらに、同図に示すよ
うに図7に示した興奮性結合グループが「1」で、抑制
性結合グループが「0」のときにのみ出力「1」を出す
ANDゲート34aとインバータ34bとによるゲート
回路34が設けられている。図8ないし図10に例示し
たような処理結果とする場合にも同様に論理回路で容易
に実現できる。
【0098】もっとも、ゲート回路34としては、図8
方式の場合であれば図28(a)に示すようにインバー
タ34bとORゲート34cとの組合せとし、図9方式
の場合であれば図28(b)に示すように排他的ORゲ
ート34dとインバータ34eと2つのANDゲート3
4f,34gとORゲート34hとにより構成してAN
Dゲート34gに第2入力Ej を入力させるものとし、
図10方式の場合であれば図28(c)に示すように同
図(b)に第2入力Ej に対する係数T′を記憶したメ
モリ34iと、ANDゲート34jとを追加した構成と
すればよい。
【0099】次に、誤差信号について説明する。最終層
での誤差信号を生成するのが図27に示すAND,排他
的ORの組合せによる論理回路35であり、(6)(7)式
に相当する。即ち、最終層からの出力36及び教師信号
37により誤差信号38,39を作るものである。中間
層における誤差信号を計算する(38)式の内、Ej(+),E
j(-)を求める処理は、図22中に示すANDゲート構成
のゲート回路42により行われ、+,−に応じた出力4
3,44が得られる。ここでは、結合係数として学習後
のものを用いたが、学習前のものであってもよく、この
場合も容易に回路化し得る。また、このように結合が興
奮性か抑制性かにより場合分けする必要があるが、この
場合分けはメモリ31に記憶された興奮性か抑制性かの
情報と、誤差信号の+,−信号45,46とに応じて、
AND,ORゲート構成のゲート回路47により行われ
る。なお、結合の興奮性、抑制性の区別を固定した図2
3、図24方式のものでは、前記メモリ31の内容を各
々0,1に固定したものと等価な回路となる。一方、1
つの入力に対して興奮性結合を表すメモリ26Aと抑制
性結合を表すメモリ26Bとの両方を用いる図25方式
のものでは、(41)式に相当する回路が、図25において
ゲート回路35として示されている。
【0100】また、誤差信号を集める計算式(8)、即
ち、(38)式の残りの部分は図26に示すORゲート構成
のゲート回路48により行われる。さらに、学習レート
に相当する図16,17の処理は図26中に示す分周回
路49により行われる。これは、フリップフロップ等を
用いることにより容易に実現できる。もっとも、分周回
路49は不必要であれば特に設けなくてよく、設ける場
合であっても図26中に示した例に限らず、図22〜図
25中に符号49を付して示す位置に設けるようにして
もよい。
【0101】最後に、誤差信号より新たな結合係数を計
算する部分、即ち、図18〜図21の処理に相当する部
分は、図22中に示すANDゲート、インバータ、OR
ゲート構成のゲート回路50により行われ、シフトレジ
スタ26の内容、即ち、結合係数の値が書換えられる。
このゲート回路50も結合の興奮性、抑制性によって場
合分けが必要であるが、これはゲート回路47により行
われる。図23、図24の場合には、興奮性、抑制性が
固定であるので、ゲート回路47に相当する回路は不要
である。図25の方式の場合は、1つの入力に対して興
奮性、抑制性の両方を持つので、ゲート回路50中のゲ
ート回路50Aが興奮性の場合、ゲート回路50Bが抑
制性の場合に相当する。
【0102】しかして、本実施例の特徴とする(38)式中
に示すδj(+),δj(-)、又は、(39)式中に示すE
jk(+) ,Ejk(-) を求める演算、即ち、正、負の誤差信
号が同時に1になる時に、両方とも0とする論理手段5
1を図1に示す。即ち、自己の誤差信号とインバータ5
2,53により他方の誤差信号を反転させた信号とを入
力とするANDゲート54,55を設けたものである。
よって、正、負の誤差信号がともに1の場合には、AN
Dゲート54,55の出力がともに0となり、出力すべ
き正、負の誤差信号はともに0とされ、同時に1になる
ことが禁止される。このような論理手段51は図22〜
図24の各図において、各々Aで示す位置に挿入すれ
ば、(39)式の処理が行われる。この時には、図22〜図
24中のゲート回路42が(39)式中のE.pjk(+),E.
jk(-)を求める処理に相当し、図26中のゲート回路
48が(39)式中のδj(+),δj(-)を求める処理に相当す
る。また、論理手段51を図25中のAで示す位置に設
けた場合も(39)式中に示すEjk(+) ,Ejk(-) を求める
演算が行われる。この時には、図25中のゲート回路4
2が(42)式の処理、図26中のゲート回路48が(39)式
中のδj(+),δj(-)を求める処理に相当する。
【0103】また、論理手段51を図26中のB又はC
で示す位置に設けた場合は、(38)式中に示すδj(+),δ
j(-)を求める処理を実現できる。この時、図22〜図2
4中のゲート回路42が(38)式中のただし書き、図25
中のゲート回路10が(41)式、図26中のゲート回路4
8が(38)式中のδ.pj(+),δ.pj(-)を求める処理に相
当する。
【0104】以上、説明したように信号をパルス密度で
表現する手法は、実際の回路のみならず、計算機上でシ
ミュレートする場合にも有用である。計算機上では、演
算は直列的に行われるが、アナログ値を用いて計算させ
るのに比べて、「0」「1」の2値の論理演算のみであ
るので、計算速度が著しく向上する。一般に、実数値の
四則演算は、1回の計算に多くのマシンサイクルを必要
とするが、論理演算では少なくて済む。また、論理演算
のみであると、高速処理向けの低水準言語が使用しやす
いといった特徴も持つ(以下の実施例でも同様)。
【0105】ところで、上述した処理方法を実施する上
で全部を回路化する必要はなく、一部又は全部をソフト
ウエアで行わせるようにしてもよい。また、回路自体も
論理が等価な別の回路に置換えてもよく、論理を負論理
に置換えてもよい(以下の実施例でも同様)。
【0106】このようなニューラルネットワークを用い
た自己学習式文字認識装置の場合を例にとり、実測例を
説明する。まず、手書き文字をスキャナで読取り、図2
9に示すように16×16のメッシュに分け、文字部分
のあるメッシュを「1」、ないメッシュを「0」とし
た。このような256個のデータをネットワークに入力
させ、出力は5つあるユニットの内で一番大きい出力の
ものの位置が、認識結果となるようにした。そのため、
「1」〜「5」までの数字を入力したとき、その数字に
対応する番号の出力が一番大きくなるように学習させ
た。次に、ネットワークの構成は、第1層目が256
個、第2層目が20個、第3層目が5個の神経細胞ユニ
ット20からなるものとした。最初、各結合係数をラン
ダムに与えておくと、出力結果は必ずしも所望のものと
はならない。そこで、この回路の自己学習機能を用い
て、各結合係数を新たに求め、これを何回か繰返すこと
により、所望の出力が得られるようにする。提案例で
は、入力は「0」か「1」であるので、入力パルス列は
常にLレベル又はHレベルの単純なものとなる。また、
出力はトランジスタを介してLEDと結び、Lレベルの
時には消灯、Hレベルの時には点灯するようにした。同
期クロックを1000kHzとしたので、パルス密度に
応じて人間の目にはLEDの明るさが変わるので、一番
明るいLEDの部分が答えになる。十分学習させた文字
に対しては認識率100%が得られたものである。
【0107】つづいて、本発明の第二の実施例を図30
により説明する。前記実施例で示した部分と同一部分は
同一符号を用いて示す(以下の実施例でも同様とす
る)。前記実施例では、正、負の誤差信号δj(+),δ
j(-)又はEij(+) ,Eij(-) を同一タイミング時におい
てともに1の場合に0にさせるようにしたが、本実施例
では、遅延手段を用いて、正、負の誤差信号δj(+),δ
j(-)又はEij(+) ,Eij(-)をある一定の時間差(例え
ば、図4等に示した同期信号の1つ又は複数個分)でと
もに1か否かチェックし、ともに1の場合には、両方と
も0となるようにしたものである。
【0108】例えば、同期信号1つ分の遅延時間とした
場合、(37)式に代えて、(48)(49)式に示すように、正、
負の誤差信号δ.pj(+),δ.pj(-)と各々一定時間前の
負の誤差信号δ.dj(-) の否定信号と正の誤差信号δ.
j(+) の否定信号とのANDをとる。
【0109】
【数31】
【0110】ここで、同期信号1つ分前の負の誤差信号
を示すδ.dj(-) 、正の誤差信号を示すδ.dj(+) とし
ては、(50)(51)式が用いられる。ただし、右辺の各信号
は同期信号1つ分前の時点での信号である。
【0111】
【数32】
【0112】或いは、(36)〜(51)式に示した処理に代え
て、(52)〜(54)式
【数33】 を用いるようにしてもよい。
【0113】ただし、Ejk(+) ,Ejk(-) は(55)式で定
義される。
【数34】
【0114】ここで、δ.dj(+),δ.dj(-)は(56)(57)
式に示すものが用いられる。ただし、この場合も、右辺
の各信号は同期信号1つ分前の信号である。
【0115】
【数35】
【0116】又は、(52)〜(54)式に代えて、(58)式
【数36】 を用いてもよい。
【0117】ただし、E.pjk(+),E.pjk(-),E
jk(+) ,Ejk(-) は(59)〜(61)式により定義される。
【0118】
【数37】
【0119】ここで、δ.dj(+),δ.dj(-)は(62)(63)
式に示すものが用いられる。ただし、この場合も、右辺
の各信号は同期信号1つ分前の信号である。
【0120】
【数38】
【0121】さらに、(53)(54)式に代えて、(64)(65)式
【数39】 を用いてもよい。
【0122】或いは、(66)(67)式
【数40】 を用いてもよい。
【0123】或いは、(68)(69)式
【数41】 としてもよい。
【0124】或いは、(60)(61)式に代えて、(70)(71)式
【数42】 を用いてもよい。
【0125】或いは、(72)(73)式
【数43】 を用いてもよい。
【0126】或いは、(74)(75)式
【数44】 を用いてもよい。
【0127】これらの処理では、正、負の誤差信号の何
れか一方を遅延させて比較するようにしたが、さらに、
これらの正、負の誤差信号を前記実施例のように何れも
遅延させずに比較し、この比較においても、ともに1の
場合にはともに0となるようにしてもよい。これは、(5
3)(64)式を(76)式、(54)(66)式を(77)式、(64)(67)式を
(78)式、(66)(68)式を(79)式、(60)(70)式を(80)式、(6
1)(75)式を(81)式、(71)(73)式を(82)式、(72)(74)式を
(83)式のようにすればよい。
【0128】
【数45】
【0129】また、この際、(50)(51)(62)(63)式は元の
ままとしてもよく、或いは、(84)〜(87)式
【数46】 のようにしてもよい。
【0130】以上のアルゴリズムを基に、これを実際の
回路にする場合、図1に代えて、図30に示す論理手段
56のような回路構成とすればよい。具体的には、前記
論理手段51に対して各々遅延手段となる遅延回路57
a,58aを設けたものである。これらの遅延回路57
a,58aには同期信号が与えられ、この同期信号1個
分が遅延される。具体的には、Dレジスタ等を用いるこ
とにより容易に実現できる。なお、これらの遅延回路5
7a.58aはインバータ52,53と順序を入替えて
もよい。
【0131】このような論理手段56を図22〜図24
中のA位置、図26中のD位置の何れかに設ければ(60)
〜(63)式が実現される。また、論理手段56において、
遅延回路57a,58aに代えて遅延回路58bとして
設ければ、(63)(71)(72)式が実現される。同様に、遅延
回路57a,58aに代えて遅延回路57bとして設け
れば、(62)(74)(75)式が実現される。さらに、遅延回路
57a,58aに代えて遅延回路57c,58cとして
示す位置に設ければ(62)(63)(72)(73)式が実現される。
(80)〜(83)式の場合も同様に、容易に回路構成し得る。
【0132】図30に示す論理手段56を図25中のA
位置に設置し、遅延回路57a,58aにより構成され
ている場合、(60)〜(63)式が実現される。遅延回路58
bにより構成した場合には(63)(71)(72)式が実現され、
遅延回路57bにより構成した場合には(62)(74)(75)式
が実現され、遅延回路57c,58cにより構成した場
合には(62)(63)(72)(73)式が実現される。
【0133】また、図30に示す論理手段56を図26
中のB位置又はC位置に設置し、遅延回路57a,58
aにより構成されている場合、(53)〜(57)式が実現され
る。遅延回路58bにより構成した場合には(57)(64)(6
5)式が実現され、遅延回路57bにより構成した場合に
は(56)(68)(69)式が実現され、遅延回路57c,58c
により構成した場合には(56)(57)(68)(69)式が実現され
る。
【0134】さらに、本発明の第三の実施例を図31な
いし図37により説明する。本実施例は、誤差信号によ
り各結合係数を変化させる際に、図18、図19に示し
たような提案例方式に代えて、正、負の誤差信号
δj(+),δj(-)が同値の時には、正、負の結合係数変化
信号がともに0(即ち、学習させない)になるようにす
るため、図31、図32に示すように、各々さらに誤差
信号δj(-)の否定、誤差信号δj(+)の否定とのANDを
とるようにしたものである。数式で示せば、(88)(89)式
【数47】 のようになる。
【0135】このようなアルゴリズムに基づく実際の回
路構成を説明する。図33ないし図37にその回路構成
例を示す。図33は図22に対応し(結合が興奮性か抑
制性かで切換える方式)、図34は図23に対応し(結
合が興奮性に固定)、図35は図24に対応し(結合が
抑制性に固定)、図36は図25に対応し(興奮性、抑
制性を表すビットメモリ利用方式)、図37は図26に
対応する。また、最終層の出力と教師信号から最終層に
おける誤差信号を求める部分の回路としては図27がそ
のまま用いられる。
【0136】本実施例の構成上の特徴は、誤差信号より
新たな結合係数を計算する部分、即ち、図20〜図21
及び図31〜図32の処理に相当する部分を処理するた
めのゲート回路50にある。まず、入力信号yi と正の
誤差信号δj(+)とを入力とするANDゲート61と、入
力信号yi と負の誤差信号δj(-)とを入力とするAND
ゲート62とが設けられているが、ANDゲート61に
は負の誤差信号δj(-)を反転させて両者の一致を検出す
るための検出手段となるインバータ63出力が入力さ
れ、同様に、ANDゲート62には正の誤差信号δj(+)
を反転させて両者の一致を検出するための検出手段とな
るインバータ64出力が入力されている。よって、正、
負の誤差信号が同値の場合には、必ずANDゲート6
1,62は禁止されるので、これらのANDゲート6
1,62が学習禁止手段となる。ANDゲート61,6
2の出力側が提案例方式と同様であり、ANDゲート6
2側はインバータ65により反転された後、シフトレジ
スタ26の出力とANDゲート66によりANDがとら
れ、ANDゲート66の出力と他方のANDゲート61
の出力とがORゲート67を介してシフトジスタ26に
フィードバックされ、学習書換えに供される。よって、
正、負の誤差信号が同値の場合には、ANDゲート66
を通してシフトレジスタ26に記憶されていた前回の結
合係数がそのまま使用されるので、実質的に学習が行わ
れないことになる。
【0137】図34〜図36方式においても基本的には
同様である。図34,図35の場合には、興奮性、抑制
性が固定であるので、ゲート回路47に相当する回路は
不要である。図36方式の場合は、1つの入力に対して
興奮性、抑制性の両方を持つので、ゲート回路50の出
力側もシフトレジスタ26A,26Bに対応させてイン
バータ65a,65b、ANDゲート66a,66b、
ORゲート67a,67bに分けて設けられている。
【0138】このようなニューラルネットワークを用い
た自己学習式文字認識装置の場合を例にとり、第一の実
施例の場合と同様に、手書き文字をスキャナで読取り、
図29で説明したようにこの回路の自己学習機能を用い
て、各結合係数を新たに求める処理を行った結果、十分
学習させた文字に対しては認識率100%が得られたも
のである。
【0139】つづいて、本発明の第四の実施例を図38
ないし図43により説明する。前記実施例では、正、負
の誤差信号δj(+),δj(-)を同一タイミング時に同値か
否か検出して学習動作を制御させるようにしたが、本実
施例では、遅延手段を用いて、正、負の誤差信号
δj(+),δj(-)をある一定の時間差(例えば、図4等に
示した同期信号の1つ分又は複数個分)で同値か否か検
出し、同値の場合には、正、負の結合係数変化信号がと
もに0となり、実質的に学習させないようにしたもので
ある。
【0140】例えば、図31、図32に示した方式に代
えて、図38、図39に示すように、正、負の誤差信号
δj(+),δj(-)と各々一定時間(図示例は、同期信号1
つ分)、前の負の誤差信号δj(-)の否定信号と正の誤差
信号δj(+)の否定信号とのANDをとる。
【0141】数式で示すと、(90)(91)式
【数48】 のようになる。
【0142】ここで、同期信号1つ分前の負の誤差信号
を示すδ.dj(-) 、正の誤差信号を示すδ.dj(+) とし
ては、(92)(93)式が用いられる。ただし、右辺の各信
号は同期信号1つ分前の時点での信号である。
【0143】
【数49】
【0144】或いは、図38、図39に示した処理に代
えて、(94)(95)式を用いるようにしてもよい。
【0145】
【数50】
【0146】或いは、(96)(97)式
【数51】 を用いてもよい。
【0147】又は、(98)(99)式
【数52】 を用いてもよい。
【0148】これらの処理では、正、負の誤差信号の何
れか一方を遅延させて比較するようにしたが、さらに、
これらの正、負の誤差信号を前記実施例のように何れも
遅延させずに比較し、この比較においても、同値の時に
は学習を行わせないようにしてもよい。これは、(90)(9
4)式を(100)式、(91)(95)式を(101)式、(95)(97)式を
(102)式、(96)(98)式を(103)式のようにすればよい。
【0149】
【数53】
【0150】また、この際、(92)(93)式は元のままとし
てもよく、或いは、(104)(105)式
【数54】 のようにしてもよい。
【0151】このようにして求められた2つの信号をΔ
ijとした場合の処理は、前記実施例で示した図20、
図21及び(43)(44)式の場合と同様に行えばよい。
【0152】1つの入力に対して、興奮性と抑制性との
両方を持つ場合には、(106)(107)式
【数55】 とする。
【0153】あるいは、(90)(91)(43)(44)式を変形し、
(47)式の場合と同様に、(108)式のようにすればよい。
【0154】
【数56】
【0155】ただし、ΔTij(+) 、ΔTij(-) は(109)
〜(112)式のようになる。
【0156】
【数57】
【0157】或いは、(109)〜(112)式に代えて、(113)
〜(116)式
【数58】 が用いられる。
【0158】或いは、(109)〜(112)式に代えて、(117)
〜(120)式
【数59】 が用いられる。
【0159】或いは、(109)〜(112)式に代えて、(121)
(122)式
【数60】 が用いられる。
【0160】或いは、(109)〜(112)式に代えて、(123)
(124)式
【数61】 が用いられる。
【0161】或いは、(109)〜(112)式に代えて、(125)
(126)式
【数62】 が用いられる。
【0162】或いは、(109)〜(112)式に代えて、(127)
(128)式
【数63】 が用いられる。
【0163】或いは、(109)〜(112)式に代えて、(129)
(130)式
【数64】 が用いられる。
【0164】以上の学習則に基づいて、ネットワークの
計算をする。
【0165】以上のアルゴリズムを基に、これを実際の
回路にしたものの例を図40ないし図43に示す。図4
0は図33に対応し、図41は図34に対応し、図42
は図35に対応し、図43は図36に対応する。基本的
には、前記実施例方式と同様の構成であるが、本実施例
では、例えば図40の回路構成において、ゲート回路5
0中に各々遅延手段となる遅延回路68a,69aを設
けたものである。これらの遅延回路68a,69aには
同期信号が与えられ、この同期信号1個分が遅延され
る。具体的には、Dレジスタ等を用いることにより容易
に実現できる。このような構成により、例えば図40に
よれば(108)〜(122)式の処理が行われる。
【0166】また、遅延回路68a,69aに代えて遅
延回路68bに示す位置に設ければ、(113)〜(116)式の
処理を行わせることができる。同様に、遅延回路59b
に示す位置に設ければ、(121)(122)式の処理を行わせる
ことができる。さらに、遅延回路68a,69aに代え
て遅延回路68c,69cに示す位置に設ければ、(11
7)〜(120)式の処理を行わせることができる。(123)〜(1
24)式の場合も同様に、容易に回路構成し得る。
【0167】図41ないし図43の場合も同様である。
【0168】ついで、本発明の第五の実施例を図44〜
図49により説明する。本実施例は、誤差信号により各
結合係数を変化させる際に、図18、図19に示したよ
うな提案例方式に代えて、正、負の誤差信号δj(+),δ
j(-)が同値の時には、正、負の結合係数変化信号がとも
に0になるようにするため、図31,図32に示したよ
うに、各々さらに誤差信号δj(-)の否定、誤差信号δ
j(+)の否定とのANDをとるようにすることを基本とす
る。数式で示せば、前述した(88)(89)式のようになる。
【0169】このようにして得られる2つの信号を各々
ΔTij(+),ΔTij(-)とし、図20、図21に示すよう
な処理、即ち、前述した(43)(44)式に示すような学習処
理を行う。
【0170】すると、いま、(43)式でΔTij(+) が1の
時(この時、ΔTij(-) は(89)式により必ず0とな
る)、結合係数Tijも1であれば、新Tijも1となるの
で、事実上学習が行われなくなる。そこで、本実施例で
は、この時には繰上り信号を生成して次の同期信号にお
ける演算の時に学習させるようにしたものである。逆
に、現時点では、1つ前の同期信号の時点で生成された
繰上り信号によっても学習を行う必要がある。また、前
回からの繰上り信号による学習が今回も行えなかった場
合、即ち、Tijが1の時やTijが0でもΔTij(+) が1
の時には、次回で学習が行えるように考慮してもよい。
また、ΔTij(-) が1の時には前回からの繰上り信号と
互いに打消し合うように処理させてもよい。
【0171】(43)式において、ΔTij(-) が1の時も結
合係数Tijが0であれば、同様に、事実上学習が行われ
なくなる。そこで、本実施例では、この時には繰下り信
号を生成して次の同期信号における演算の時に学習させ
るようにしたものである。逆に、現時点では、1つ前の
同期信号の時点で生成された繰下り信号によっても学習
を行う必要がある。また、前回からの繰下り信号による
学習が今回も行えなかった場合、即ち、Tijが0の時や
ijが1でもΔTij(-) が1の時には、次回で学習が行
えるように考慮してもよい。また、ΔTij(+) が1の時
には前回からの繰下り信号と互いに打消し合うように処
理させてもよい。
【0172】このような点は、(44)式についても同様の
ことがいえる。以上のことを、まとめると、(43)(44)式
に代えて、(131)(132)式を用いればよい。
【0173】
【数65】
【0174】ただし、ΔT′ij(+) ,ΔT′ij(-) は(1
33)(134)式
【数66】 で示されるものとする。
【0175】或いは、(133)(134)式に代えて、(135)(13
6)式
【数67】 を用いてもよい。
【0176】なお、これらの数式に示すΔT.d
ij(+)(Tijが興奮性の時の繰上り信号、Tijが抑制性
の時の繰下り信号)、ΔT.dij(-)(Tijが興奮性の時
の繰下り信号、Tijが抑制性の時の繰上り信号)として
は、(137)〜(140)式に示すものが用いられる。ただし、
これらの式の右辺の各信号は、同期信号1つ分前の時点
での信号である。
【0177】Tij∈興奮性の場合には、
【数68】 とされる。
【0178】Tij∈抑制性の場合には、
【数69】 とされる。
【0179】或いは、これらの(137)〜(140)式に代え
て、(141)〜(144)式
【数70】 を用いてもよい。
【0180】さらに、1つの入力に対して興奮性と抑制
性との両方の結合係数を持つ場合には、(145)(146)式
【数71】 を用いればよい。
【0181】ただし、ΔT′ij(+) ,ΔT′ij(-) は(1
47)(148)式
【数72】 で示されるものとする。
【0182】或いは、(147)(148)式に代えて、(149)(15
0)式
【数73】 を用いてもよい。
【0183】ここで、ΔT.d(++) ,ΔT.d(+-) ,Δ
T.d(-+) ,ΔT.d(--) としては、(151)〜(154)式に
示すものが用いられる。ただし、この場合も右辺の各信
号は同期信号1つ分前の時点での信号である。
【0184】
【数74】
【0185】又は、これらの(151)〜(154)式に代えて、
(155)〜(158)式
【数75】 を用いてもよい。
【0186】或いは、(131)(132)(88)(89)(137)〜(144)
式を変形して、(159)〜(165)式
【数76】 を用いてもよい。
【0187】或いは、(164)(165)式に代えて、(166)(16
7)式
【数77】 を用いてもよい。
【0188】以上の学習則に基づいてネットワークの計
算をする。
【0189】このようなアルゴリズムに基づく実際の回
路構成を説明する。図44ないし図図47にその回路構
成例を示す。図44は図33、図45は図34、図46
は図35、図47は図36に対応し、図37、図27は
そのまま用いるものとする。しかして、本実施例では(1
33)(134)〜 (165)式の処理を行わせるため、ゲート回路
50において図44等に示した上記基本構成に加え、A
NDゲート61,62の出力側に各々繰上り・繰下り信
号生成手段なるANDゲート70,71と遅延手段なる
遅延回路72,73とを設けたものである。より具体的
には、ANDゲート61からの結合係数変化信号ΔT
ij(+) がORゲート74,ANDゲート75を通して、
シフトレジスタ26からの結合係数Tijとともに入力さ
れるのがANDゲート70であり、ANDゲート70出
力が遅延回路72により遅延されてΔT.dij(+)として
再び前記ORゲート74に入力され、学習に供される。
なお、遅延回路72によるΔT.dij(+)はANDゲート
61からの結合係数変化信号ΔTij(+) とともにAND
ゲート76に入力され、ORゲート77を介して再び遅
延回路72に入力される。同様に、ANDゲート62か
らの結合係数変化信号ΔTij(-) がORゲート78,A
NDゲート79を通して、シフトレジスタ26からの結
合係数Tijをインバータ80で反転させた信号とともに
入力されるのがANDゲート71であり、このANDゲ
ート71出力が遅延回路73により遅延されてΔT.d
ij(-)として再び前記ORゲート78に入力され、学習
に供される。なお、遅延回路73によるΔT.dij(-)
ANDゲート62からの結合係数変化信号ΔTij(-)
ともにANDゲート81に入力され、ORゲート82を
介して再び遅延回路73に入力される。
【0190】遅延回路72,73は信号を遅延させるた
めのものであり、同期信号(図示せず)が与えられて、
同期信号分だけ信号を遅延させる。具体的には、Dレジ
スタ等を用いることで容易に実現できる。
【0191】図45〜図47方式においても基本的には
同様である。ただし、図45,図46の場合には、興奮
性、抑制性が固定であるので、ゲート回路47に相当す
る回路は不要である。図47の方式の場合は、1つの入
力に対して興奮性、抑制性の両方を持つので、ゲート回
路50は同図中に添字a,bを付して区分けするよう
に、同等の回路構成のものが2組設けられている。即
ち、図47のゲート回路50は(88)(89)(145)〜(148)(1
51)〜(154)式の処理を実行するもので、ANDゲート6
1の出力がΔTij(+) 、ANDゲート62の出力がΔT
ij(-) 、ORゲート57aの出力が新Tij(+) 、ORゲ
ート57bの出力が新Tij(-) 、ANDゲート75の出
力がΔT′ij(-) 、ANDゲート79の出力がΔT′
ij(+) 、遅延回路72aの出力がΔT.dij(--) 、遅延
回路72bの出力がΔT.dij(+-) 、遅延回路73aの
出力がΔT.dij(-+) 、遅延回路73bの出力がΔT.
ij(--)である。
【0192】なお、図44ないし図46に示したゲート
回路50に対しては図48に示すように、ANDゲート
75,76,79,81を省略して簡略化させてもよ
い。これによれば、(135)(136)(159)〜(163)(166)(167)
式の処理が実現される。
【0193】また、図47に示したゲート回路50に対
しては図49に示すように簡略化させてもよい。これに
よれば、(88)(89)(145)(146)(149)(150)(155)〜(158)式
の処理が実現される。
【0194】同様にして(133)(134)(159)〜(163)(166)
(167)式の場合や、(135)(136)(159)〜(165)式の場合
や、(88)(89)(145)〜(146)(155)〜(158)式の場合や、(8
8)(89)(145)(146)(149)〜(154)式の場合も、容易に実現
できる。
【0195】さらに、本発明の第六の実施例を図50な
いし図53により説明する。まず、アルゴリズムから説
明する。本実施例では、図31、図32及び(88)(89)式
に示した論理処理の後に、さらに、補正信号Dij(+)
ij(-) とのANDをとり、これを新たな結合係数変化
信号ΔTij(+) ,ΔTij(-) とするようにしたものであ
る。
【0196】まず、ここで用いる補正信号Dij(+) ,D
ij(-) は、(168)〜(173)式に示すようなものとする。た
だし、右辺の入力信号yi は予め設定された時間以前、
例えば同期信号1つ分前の時点での信号である。
【0197】
【数78】
【0198】このような補正信号Dij(+) ,Dij(-)
用いると、新たな結合係数変化信号ΔTij(+) ,ΔT
ij(-) は(174)(175)式
【数79】 により示される。
【0199】このように補正された結合係数変化信号Δ
ij(+) ,ΔTij(-) を用いて新結合係数を算出する
が、この場合の処理としては、(43)(44)式の処理でもよ
いが、より学習能力を向上させるためには、前記実施例
と同様に、(45)式以降の処理を適宜行えばよい。
【0200】このような補正処理を含むアルゴリズムを
実施するためには、図50ないし図53に示すように構
成すればよい。図50は図44に対応し、図51は図4
5に対応し、図52は図46に対応し、図53は図47
に対応する。基本的には、前記実施例方式と同様の構成
であるが、本実施例は、ゲート回路50に対して補正手
段となる補正回路83を付加したものである。具体的に
は、シフトレジスタ26から出力される結合係数Tij
遅延回路84により遅延された以前の入力信号yi との
ANDをANDゲート85によりとり、その出力とイン
バータ86により反転させた結合係数TijとのORをO
Rゲート87によりとったものを、補正信号Dij(-)
してANDゲート62に入力させ、(175)式に示すよう
な結合係数変化信号ΔTij(-) の生成に供するものであ
る。正側については、(168)(169)式に示すように補正信
号Dij(+) が1に固定されているので、特別な補正手段
は設けられず、ANDゲート61の出力が(87)式の結合
係数変化信号ΔTij(-) となる。ここに、遅延回路84
は遅延回路84,73等と同様のものである。また、図
50にあってはメモリ31からの興奮性/抑制性切換え
信号がORゲート87に入力されている。図51、図5
2では不要である。
【0201】また、図53に示す補正回路83にあって
は(173)式の処理を行うため、正の結合係数Tij(+)
そのままANDゲート85に入力されているとともにO
Rゲート87に対してはインバータ86により反転され
て入力され、また、負の結合係数Tij(-) はインバータ
88により反転されてANDゲート85に入力されてい
るとともにORゲート87に対してはそのまま入力され
ている。
【0202】なお、ゲート回路50が図48、図49の
ような構成の場合にも、同様な補正回路83を設けるこ
とができる。
【0203】さらに、本発明の第七の実施例を図54な
いし図56により説明する。本実施例は、前述した第五
の実施例をベースとするものであるが、誤差信号を求め
て各結合係数を変化させる方法において、結合係数変化
信号ΔTij(+) ,ΔTij(-)を、(176)(177)式により演
算するようにしたものである。
【0204】
【数80】 ただし、Zij(+) ,Zij(-) は(178)(179)式で示され、
Diは1パルス前の信号yi を表す。
【数81】
【0205】このように得られた2つの信号Δ
ij(+) ,ΔTij(-) をΔTijとし、元の結合係数Tij
が興奮性か抑制性かに応じて新たなTijを求める処理、
即ち、(131)(132)式以降の学習処理を行わせるように
したものである。
【0206】ここに、例えば4つの入力信号の場合、Z
ij(+) ,Zij(-) (i=1〜4)は、図54に示すよう
にORゲート90、インバータ91、ANDゲート92
群からなるゲート回路93により生成される。生成され
た信号Zij(+) ,Zij(-) は図55又は図56に94,
95で示すようにゲート回路50に入力されて処理され
る。ここに、図55は図44に対応し、図56は図47
に対応する。
【0207】まず、入力信号yi と正の誤差信号δj(+)
と負の誤差信号δj(-)をインバータ63で反転させたも
のとを入力とするANDゲート96と、入力信号yi
遅延回路97で遅延させたもの(yDi)と正の誤差信号
δj(+)をインバータ64で反転させたものと信号Z
ij(+) と信号Zij(-) とを入力とするANDゲート98
が設けられている。これらのANDゲート96,98の
出力はORゲート99に入力されて(176)式の処理が行
われる。一方、信号Zij(+) と入力信号yi を遅延回路
97で遅延させたもの(yDi)とを入力とするANDゲ
ート100と、信号Zij(+) を反転させるインバータ1
01とが設けられ、これらのANDゲート100出力と
インバータ101出力とを入力とするORゲート102
が設けられている。このORゲート102の出力は、入
力信号yi 、正の誤差信号δj(+)を反転させたもの、負
の誤差信号δj(-)を反転させたものとともに、ANDゲ
ート103に入力され、(177)式の処理が行われる。
【0208】なお、本実施例にあっても、前述した実施
例の(135)(136)式以降の構成の場合に適用することは容
易である。
【0209】
【発明の効果】本発明は、上述したように、結合係数可
変手段と、この結合係数可変手段の可変結合係数値を教
師信号に対して0,1の2値で表現された信号列からな
る正の誤差信号と負の誤差信号とに基づいて生成する結
合係数生成手段とを有する自己学習手段を神経細胞模倣
素子に付設した複数の神経細胞模倣手段を網状に接続し
た信号処理手段を設けた自己学習機能付きの基本構成に
おいて、請求項1記載の発明では、正の誤差信号と負の
誤差信号とが同時に1になることを禁止させる論理手段
を設け、請求項2記載の発明では、正の誤差信号と負の
誤差信号との何れか一方の信号を所定時間遅延させる遅
延手段を設け、遅延された誤差信号と遅延を受けない誤
差信号とが同時に1になることを禁止させる論理手段を
設け、さらに、請求項3記載の発明では、正の誤差信号
と負の誤差信号との何れか一方の信号を所定時間遅延さ
せる遅延手段を設け、前記正の誤差信号と負の誤差信号
とが同値の時及び遅延された誤差信号と遅延を受けない
誤差信号とが同値の時に正の誤差信号と負の誤差信号が
1になることを禁止させる論理手段を設けたので、0,
1の2値で表現された信号列からなる正の誤差信号と負
の誤差信号とに着目した場合、出力層においては同時に
1となることはないので、同一タイミングにて、或い
は、所定遅延時間ずれたタイミング関係において、両者
がともに1の場合には強制的に両者を同時には1とさせ
ないように論理処理することにより、実質的に相殺機能
を持たせることができ、学習能力を向上させ、処理能力
を向上させることができる。
【0210】また、結合係数可変手段と、この結合係数
可変手段の可変結合係数値を教師信号に対する正の誤差
信号と負の誤差信号とに基づいて生成する結合係数生成
手段とを有する自己学習手段を神経細胞模倣素子に付設
した複数の神経細胞模倣手段を網状に接続した信号処理
手段を設けた自己学習機能付きの基本構成において、請
求項4記載の発明では、出力層の前記正の誤差信号と負
の誤差信号との一致を検出する検出手段を設け、この検
出手段から一致出力が出力された時に前記自己学習手段
による学習を禁止させる学習禁止手段を設け、請求項5
記載の発明では、出力層の前記正の誤差信号と負の誤差
信号との何れか一方の信号を所定時間遅延させる遅延手
段を設け、遅延された誤差信号と遅延を受けない誤差信
号との一致を検出する検出手段を設け、この検出手段か
ら一致出力が出力された時に前記自己学習手段による学
習を禁止させる学習禁止手段を設け、さらに、請求項6
記載の発明では、出力層の前記正の誤差信号と負の誤差
信号との何れか一方の信号を所定時間遅延させる遅延手
段を設け、出力層の前記正の誤差信号と負の誤差信号と
の一致を検出する第1検出手段と、遅延された誤差信号
と遅延を受けない誤差信号との一致を検出する第2検出
手段とを設け、第1検出手段と第2検出手段との双方か
ら一致出力が出力された時に前記自己学習手段による学
習を禁止させる学習禁止手段を設けたので、正の誤差信
号と負の誤差信号とに着目した場合、出力層においては
同時に1となることはないので、同一タイミングにて、
或いは、所定遅延時間ずれたタイミング関係において、
両者が同値の場合には学習させないことにより、実質的
に相殺機能を維持させることができ、学習能力を向上さ
せ、処理能力を向上させることができる。
【0211】さらに、結合係数可変手段と、この結合係
数可変手段の可変結合係数値を教師信号に対する正の誤
差信号と負の誤差信号とに基づいて生成する結合係数生
成手段とを有する自己学習手段を神経細胞模倣素子に付
設した複数の神経細胞模倣手段を網状に接続した信号処
理手段を設けた自己学習機能付きの基本構成において、
自己学習手段では、変化させたい結合係数が属している
信号線上の入力信号と誤差信号との論理処理により結合
係数変化信号を算出し、この結合係数変化信号に基づい
て可変結合係数値を算出するが、この時、請求項7又は
9記載の発明では、可変結合係数値を生成するための結
合係数変化信号の一部又は全部に予め設定された時間以
前の入力信号を用いる補正手段を設け、結合係数変化信
号の一部又は全部に予め設定された時間以前の入力信号
を用いて補正することにより、より適切な状態に補正さ
れた結合係数変化信号が得られるものとなり、学習能力
を向上させることができる。
【0212】また、正の誤差信号と負の誤差信号とに着
目した場合において、例えばこれらの誤差信号により算
出される正の結合係数変化信号が1の時に格納されてい
る結合係数も1であれば、学習書換えしようとする新し
い結合係数も1であるので、事実上学習が行われない
が、請求項8又は9記載の発明によれば、結合係数と結
合係数変化信号とに基づき繰上り信号又は繰下り信号を
生成し、予め設定された時間遅延させて、遅れたタイミ
ングで可変結合係数値の生成、即ち、学習に供すること
により、有効に学習を行わせることができ、やはり、学
習能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例を示す論理回路図であ
る。
【図2】既提案例における基本的な信号処理を行なうた
めの論理回路図である。
【図3】論理演算例を示すタイミングチャートである。
【図4】論理演算例を示すタイミングチャートである。
【図5】論理演算例を示すタイミングチャートである。
【図6】論理演算例を示すタイミングチャートである。
【図7】論理演算例を示すタイミングチャートである。
【図8】論理演算例を示すタイミングチャートである。
【図9】論理演算例を示すタイミングチャートである。
【図10】論理演算例を示すタイミングチャートであ
る。
【図11】論理演算例を示すタイミングチャートであ
る。
【図12】論理演算例を示すタイミングチャートであ
る。
【図13】論理演算例を示すタイミングチャートであ
る。
【図14】論理演算例を示すタイミングチャートであ
る。
【図15】論理演算例を示すタイミングチャートであ
る。
【図16】論理演算例を示すタイミングチャートであ
る。
【図17】論理演算例を示すタイミングチャートであ
る。
【図18】論理演算例を示すタイミングチャートであ
る。
【図19】論理演算例を示すタイミングチャートであ
る。
【図20】論理演算例を示すタイミングチャートであ
る。
【図21】論理演算例を示すタイミングチャートであ
る。
【図22】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図23】その変形例の構成例を示す論理回路図であ
る。
【図24】その変形例の構成例を示す論理回路図であ
る。
【図25】その変形例の構成例を示す論理回路図であ
る。
【図26】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図27】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図28】変形例を示す論理回路図である。
【図29】画像読取り例を示す説明図である。
【図30】本発明の第二の実施例の論理回路図である。
【図31】本発明の第三の実施例の論理演算例を示すタ
イミングチャートである。
【図32】論理演算例を示すタイミングチャートであ
る。
【図33】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図34】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図35】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図36】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図37】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図38】本発明の第四の実施例の論理演算例を示すタ
イミングチャートである。
【図39】論理演算例を示すタイミングチャートであ
る。
【図40】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図41】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図42】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図43】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図44】本発明の第五の実施例を示す論理回路図であ
る。
【図45】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図46】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図47】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図48】変形例を示す論理回路図である。
【図49】変形例を示す論理回路図である。
【図50】本発明の第六の実施例を示す論理回路図であ
る。
【図51】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図52】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図53】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図54】本発明の第七の実施例を示す論理回路図であ
る。
【図55】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図56】各部の構成例を示す論理回路図である。
【図57】従来例の1つのユニット構成を示す概念図で
ある。
【図58】そのニューラルネットワーク構成の概念図で
ある。
【図59】シグモイド関数を示すグラフである。
【図60】1つのユニットの具体的構成を示す回路図で
ある。
【図61】デジタル構成例を示すブロック図である。
【図62】その一部の回路図である。
【図63】異なる一部の回路図である。
【符号の説明】
20 神経細胞模倣素子 50 自己学習手段 51,56 論理手段 61,62 学習禁止手段 63,64 検出手段 70,71 遅延手段 70,71 繰上り・繰下り信号生成手段 72,73 遅延手段 83 補正手段 97 遅延手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北口 貴史 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結合係数可変手段と、この結合係数可変
    手段の可変結合係数値を教師信号に対して0,1の2値
    で表現された信号列からなる正の誤差信号と負の誤差信
    号とに基づいて生成する結合係数生成手段とを有する自
    己学習手段を神経細胞模倣素子に付設した複数の神経細
    胞模倣手段を網状に接続した信号処理手段を設け、前記
    正の誤差信号と負の誤差信号とが同時に1になることを
    禁止させる論理手段を設けたことを特徴とする信号処理
    装置。
  2. 【請求項2】 結合係数可変手段と、この結合係数可変
    手段の可変結合係数値を教師信号に対して0,1の2値
    で表現された信号列からなる正の誤差信号と負の誤差信
    号とに基づいて生成する結合係数生成手段とを有する自
    己学習手段を神経細胞模倣素子に付設した複数の神経細
    胞模倣手段を網状に接続した信号処理手段を設け、前記
    正の誤差信号と負の誤差信号との何れか一方の信号を所
    定時間遅延させる遅延手段を設け、遅延された誤差信号
    と遅延を受けない誤差信号とが同時に1になることを禁
    止させる論理手段を設けたことを特徴とする信号処理装
    置。
  3. 【請求項3】 結合係数可変手段と、この結合係数可変
    手段の可変結合係数値を教師信号に対して0,1の2値
    で表現された信号列からなる正の誤差信号と負の誤差信
    号とに基づいて生成する結合係数生成手段とを有する自
    己学習手段を神経細胞模倣素子に付設した複数の神経細
    胞模倣手段を網状に接続した信号処理手段を設け、前記
    正の誤差信号と負の誤差信号との何れか一方の信号を所
    定時間遅延させる遅延手段を設け、前記正の誤差信号と
    負の誤差信号とが同値の時及び遅延された誤差信号と遅
    延を受けない誤差信号とが同値の時に正の誤差信号と負
    の誤差信号が1になることを禁止させる論理手段を設け
    たことを特徴とする信号処理装置。
  4. 【請求項4】 結合係数可変手段と、この結合係数可変
    手段の可変結合係数値を教師信号に対する正の誤差信号
    と負の誤差信号とに基づいて生成する結合係数生成手段
    とを有する自己学習手段を神経細胞模倣素子に付設した
    複数の神経細胞模倣手段を網状に接続した信号処理手段
    を設け、出力層の前記正の誤差信号と負の誤差信号との
    一致を検出する検出手段を設け、この検出手段から一致
    出力が出力された時に前記自己学習手段による学習を禁
    止させる学習禁止手段を設けたことを特徴とする信号処
    理装置。
  5. 【請求項5】 結合係数可変手段と、この結合係数可変
    手段の可変結合係数値を教師信号に対する正の誤差信号
    と負の誤差信号とに基づいて生成する結合係数生成手段
    とを有する自己学習手段を神経細胞模倣素子に付設した
    複数の神経細胞模倣手段を網状に接続した信号処理手段
    を設け、出力層の前記正の誤差信号と負の誤差信号との
    何れか一方の信号を所定時間遅延させる遅延手段を設
    け、遅延された誤差信号と遅延を受けない誤差信号との
    一致を検出する検出手段を設け、この検出手段から一致
    出力が出力された時に前記自己学習手段による学習を禁
    止させる学習禁止手段を設けたことを特徴とする信号処
    理装置。
  6. 【請求項6】 結合係数可変手段と、この結合係数可変
    手段の可変結合係数値を教師信号に対する正の誤差信号
    と負の誤差信号とに基づいて生成する結合係数生成手段
    とを有する自己学習手段を神経細胞模倣素子に付設した
    複数の神経細胞模倣手段を網状に接続した信号処理手段
    を設け、出力層の前記正の誤差信号と負の誤差信号との
    何れか一方の信号を所定時間遅延させる遅延手段を設
    け、出力層の前記正の誤差信号と負の誤差信号との一致
    を検出する第1検出手段と、遅延された誤差信号と遅延
    を受けない誤差信号との一致を検出する第2検出手段と
    を設け、第1検出手段と第2検出手段との双方から一致
    出力が出力された時に前記自己学習手段による学習を禁
    止させる学習禁止手段を設けたことを特徴とする信号処
    理装置。
  7. 【請求項7】 結合係数可変手段と、この結合係数可変
    手段の可変結合係数値を教師信号に対する正の誤差信号
    と負の誤差信号とに基づいて生成する結合係数生成手段
    とを有する自己学習手段を神経細胞模倣素子に付設した
    複数の神経細胞模倣手段を網状に接続した信号処理手段
    を設け、前記可変結合係数値を生成するための結合係数
    変化信号の一部又は全部に予め設定された時間以前の入
    力信号を用いる補正手段を設けたことを特徴とする信号
    処理装置。
  8. 【請求項8】 結合係数可変手段と、この結合係数可変
    手段の可変結合係数値を教師信号に対する正の誤差信号
    と負の誤差信号とに基づいて生成する結合係数生成手段
    とを有する自己学習手段を神経細胞模倣素子に付設した
    複数の神経細胞模倣手段を網状に接続した信号処理手段
    を設け、結合係数と結合係数変化信号とに基づき繰上り
    信号、繰下り信号を生成する繰上り・繰下り信号生成手
    段と、生成された繰上り信号、繰下り信号を予め設定さ
    れた時間遅延させて前記可変結合係数値の生成に供する
    遅延手段とを前記結合係数生成手段に設けたことを特徴
    とする信号処理装置。
  9. 【請求項9】 結合係数可変手段と、この結合係数可変
    手段の可変結合係数値を教師信号に対する正の誤差信号
    と負の誤差信号とに基づいて生成する結合係数生成手段
    とを有する自己学習手段を神経細胞模倣素子に付設した
    複数の神経細胞模倣手段を網状に接続した信号処理手段
    を設け、前記可変結合係数値を生成するための結合係数
    変化信号の一部又は全部に予め設定された時間以前の入
    力信号を用いる補正手段を設け、結合係数と前記結合係
    数変化信号とに基づき繰上り信号、繰下り信号を生成す
    る繰上り・繰下り信号生成手段と、生成された繰上り信
    号、繰下り信号を予め設定された時間遅延させて前記可
    変結合係数値の生成に供する遅延手段とを前記結合係数
    生成手段に設けたことを特徴とする信号処理装置。
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