JPH05181101A - 液晶パネルの洗浄方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 洗浄後に形成する配向膜に乱れが生じないよ
うに液晶パネルの表面を清浄化する。 【構成】 液晶パネル１を洗浄槽３から引き上げる際
に、その液晶パネル１の引上げ方向Ｂを、洗浄後に液晶
パネル１に形成する配向膜４の配向方向Ａと同一方向に
する。液晶パネル１を洗浄槽３から引き上げた後の乾燥
方法としては、エアなどを吹き付けて液晶パネル表面に
付着している液滴を吹き飛ばすことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、液晶パネルの洗浄方
法に関する。更に詳しくは、この発明は、ガラス基板に
透明電極を形成した後配向膜を形成する前の液晶パネル
の洗浄方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶ディスプレイに使用する液晶パネル
は、一般にガラス基板にＩＴＯなどの透明電極を形成
し、さらにＳｉＯ斜方蒸着膜などの配向膜を形成したも
のからなるが、ガラス基板にＩＴＯなどの透明電極を形
成後配向膜を形成する前にはその表面を清浄化するため
に洗浄工程に付される。この洗浄工程において液晶パネ
ルの表面が十分に清浄化されず汚れが残存していると、
配向膜の付着力が低下したり、配向膜上に形成される液
晶層の配向に乱れが生じたり、液晶パネルをシールする
際の接着力が低下したりする。そこで、この洗浄工程に
おいては、複数の洗浄槽を使用して各種の洗浄工程を組
み合わせることが行われている。

【０００３】たとえば、図２のように液晶パネル（ＩＴ
Ｏ電極付きガラス基板）１を洗浄用治具２に並べ、アル
カリ性洗浄液を入れた洗浄槽３内で超音波洗浄し、次に
同様に純水で超音波洗浄し、さらに有機溶媒で超音波洗
浄し、乾燥させ、ＵＶ洗浄する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ように複数の洗浄槽を使用して各種の洗浄方法を組み合
わせても液晶パネルの表面を十分に清浄化することは困
難であり、そのために液晶層の配向に乱れが生じ、液晶
表示画面のコントラストが低下することなどが問題とな
っていた。

【０００５】この発明は、このような従来技術の課題を
解決しようとするものであり、ガラス基板に透明電極を
形成した後配向膜を形成する前の液晶パネルの表面を、
洗浄後に形成する配向膜に乱れが生じないように清浄化
することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明者は、従来各種
洗浄槽を使用して液晶パネルを洗浄する際に、洗浄槽か
ら液晶パネルを引き上げる方向は考慮されておらず、そ
の引き上げ方向は洗浄後に液晶パネルに形成する配向膜
の配向方向に対してランダムな方向となっていたが、こ
の引き上げ方向を洗浄後に液晶パネルに形成する配向膜
の配向方向と同一方向とすれば配向膜の乱れを低減でき
ることを見出し、この発明を完成させるに至った。

【０００７】即ち、この発明は、配向膜を形成する液晶
パネルを、洗浄槽を使用して洗浄する液晶パネルの洗浄
方法において、液晶パネルを洗浄槽から引き上げる際
に、該液晶パネルの引上げ方向を該液晶パネルに形成す
る配向膜の配向方向と同一方向にすることを特徴とする
液晶パネルの洗浄方法を提供する。

【０００８】以下、この発明を図面に基づいて詳細に説
明する。

【０００９】図１は、この発明の洗浄方法にしたがって
洗浄槽３から液晶パネル１を引き上げる際の説明図であ
る。同図に示したように、この発明の洗浄方法において
は、洗浄後に形成する配向膜４の配向方向（矢印Ａ）と
液晶パネル１を洗浄槽３から引き上げる方向（矢印Ｂ）
とを同一方向とする。したがって、洗浄用治具２には液
晶パネル１の引き上げ方向がそのような方向になるよう
に液晶パネル１を並べる。この場合、液晶パネル１は、
その表面が洗浄槽３内の液面に対して垂直になるように
並べることが好ましい。

【００１０】この発明の洗浄方法は、このように洗浄槽
３からの液晶パネル１の引き上げ方向Ｂを洗浄後に形成
する配向膜４の配向方向Ａと一致させるかぎり各種洗浄
槽を使用した洗浄工程に適用することができ、たとえば
従来例と同様に酸洗浄、アルカリ洗浄、純水洗浄、有機
溶媒洗浄等の各工程にこの発明の方法を適用することが
できる。

【００１１】なお、有機溶媒による洗浄工程後に液晶パ
ネルを乾燥させるに際しては、洗浄槽から液晶パネルを
引き上げた後、乾燥窒素あるいは乾燥空気等を吹き付け
て液晶パネルに残存している液滴を強制的に吹き飛ばす
ことが好ましい。洗浄工程後に液晶パネルを単に自然乾
燥あるいは加熱乾燥させると、液晶パネルに残存した液
滴が乾燥工程中に濃縮して液晶パネル上にしみを残し、
液晶層の配向の乱れを引き起こすが、エアを吹き付けて
液滴を強制的に吹き飛ばすことによりこのようなしみの
発生を防止できる。

【００１２】

【作用】この発明の液晶パネルの洗浄方法によれば、洗
浄槽を使用して液晶パネルを洗浄する際に、液晶パネル
を洗浄槽から引き上げる方向を洗浄後に液晶パネルに形
成する配向膜の配向方向と同一方向とするので、その引
き上げ時に液晶パネルに付着する汚れは液晶パネルに形
成する配向膜の配向方向と同一方向に並ぶ。このため、
液晶パネルの表面に付着した汚れによる配向膜の乱れが
低減する。

【００１３】

【実施例】以下、この発明の実施例を具体的に説明す
る。

【００１４】実施例１ 図１に示したような洗浄用治具に液晶パネル（ＩＴＯ電
極付きガラス基板）を並べた。この場合、液晶パネルに
は洗浄後にＳｉＯ斜方蒸着膜を形成することとし、洗浄
槽からの液晶パネルの引上げ方向がそのＳｉＯ斜方蒸着
膜の配向方向に一致するようにし、また洗浄槽内の液面
と液晶パネルの表面が垂直になるようにした。

【００１５】次に、市販のアルカリ性洗浄液を入れた洗
浄槽内に洗浄用治具ごと液晶パネルを入れ、１０分間超
音波洗浄した。そして、アルカリ性洗浄液を入れた洗浄
槽から洗浄用治具ごと液晶パネルを引き上げ、純水の流
水でアルカリ性洗浄液を洗い流し、純水を入れた洗浄槽
内で５分間超音波洗浄した。次にイソプロピルアルコー
ルを入れた洗浄槽内で同様に５分間超音波洗浄し、さら
にエタノールを入れた洗浄槽内で超音波洗浄した。エタ
ノールを入れた洗浄槽から液晶パネルを引き上げ、その
液晶パネル表面に付着した液滴が見えなくなるまで乾燥
窒素を吹き付けた。そしてＵＶオゾン洗浄機で室温で１
０分間洗浄した。

【００１６】このように洗浄した液晶パネルに、真空蒸
着法によりＳｉＯ斜方蒸着膜を形成した。この場合の蒸
着条件は、真空度８×１０^−６Ｔｏｒｒ、基板温度１７
０℃、蒸着角度８５°、蒸着速度１オングストローム／
秒とし、膜厚は６００オングストロームとした。

【００１７】このようにＳｉＯ斜方蒸着膜を形成した液
晶パネルの２枚を反平行に組み、液晶セルを形成し（液
晶パネル間のギャップ１．４μｍ）、強誘電性液晶（Ｃ
Ｓ−１０１４、チッソ（株）製）をアイソトロピック温
度で注入し、自然冷却し、液晶表示素子を作製した。得
られた液晶表示素子のコントラストを測定したところ、
１００：１と良好であった。

【００１８】比較例１ 洗浄用治具に液晶パネルを並べるときに、洗浄槽からの
液晶パネルの引上げ方向がその液晶パネルに形成するＳ
ｉＯ斜方蒸着膜の配向方向に対してほぼ垂直になるよう
にする以外は実施例１と同様にして液晶表示素子を作製
し、そのコントラストを測定した。その結果、コントラ
ストは４０：１であった。

【００１９】比較例２ 洗浄用治具に液晶パネルを並べるときに、洗浄槽からの
液晶パネルの引上げ方向がその液晶パネルに形成するＳ
ｉＯ斜方蒸着膜の配向方向に対してほぼ垂直になるよう
にし、またエタノールを入れた洗浄槽から液晶パネルを
引き上げた後に乾燥窒素を吹き付けることなく自然乾燥
した以外は実施例１と同様にして液晶パネルを洗浄し
た。その結果、洗浄後の液晶パネルには円形状のしみが
あった。また、この液晶パネルを使用して実施例１と同
様に作製した液晶表示素子のコントラストは僅かに５：
１であった。

【００２０】

【発明の効果】この発明の洗浄方法によれば、洗浄後に
形成する配向膜に乱れが生じないように液晶パネルの表
面を清浄化することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例の説明図である。

【図２】従来例の液晶パネルの洗浄方法の説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 液晶パネル ２ 洗浄用治具 ３ 洗浄槽 ４ 配向膜 Ａ 配向膜４の配向方向 Ｂ 液晶パネルの引き上げ方向

フロントページの続き (72)発明者 仁藤 敬一 東京都品川区北品川６丁目７番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 松居 恵理子 東京都品川区北品川６丁目７番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 高梨 英彦 東京都品川区北品川６丁目７番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 配向膜を形成する液晶パネルを、洗浄槽
   を使用して洗浄する液晶パネルの洗浄方法において、液
   晶パネルを洗浄槽から引き上げる際に、該液晶パネルの
   引上げ方向を該液晶パネルに形成する配向膜の配向方向
   と同一方向にすることを特徴とする液晶パネルの洗浄方
   法。