JPH0518004Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、工具本体の先端に２以上のスロー
アウエイチツプを有するスローアウエイ式ドリル
に関するものである。

「従来の技術」 従来、上記のようなスローアウエイ式ドリルと
しては、例えば第７図ないし第９図に示すような
スローアウエイ式ドリル１が知られている。この
スローアウエイ式ドリル１は、工具本体１１を備
えている。この工具本体１１の先端部には、２つ
のチツプ座１２，１２が設けられている。このチ
ツプ座１２は、工具本体１１の軸線Ａに対して点
対称位置に形成されており、ドリルの回転方向を
向くチツプ座底面１３とドリルの先方を向くチツ
プ座側壁１４を有している。そして、前記２つの
チツプ座１２，１２のチツプ座側壁１４，１４
は、前記工具本体１１の軸線Ａ方向に対して同位
置に設けられている。

これらチツプ座１２，１２には、スローアウエ
イチツプ１５，１５が設けられている。このスロ
ーアウエイチツプ１５は、ドリルの先方側に切刃
１６を有しており、後端側の側面１７を前記チツ
プ座側壁１４に当接させて、固定ねじ１８によつ
てチツプ座１２に固定されている。

このようなスローアウエイ式ドリル１は、前記
２つのチツプ１５，１５の切刃１６，１６によつ
てワークを切削して穴を明けるようになつてい
る。

「考案が解決しようとする問題点」 ところで、上記スローアウエイ式ドリル１にあ
つては、スローアウエイチツプ１５の刃先に摩耗
ないしは欠損が生じた場合には、刃先の再研削を
行い、チツプを再使用するようにしている。とこ
ろが、チツプ１５のチツプ座１２から先方への突
出量にも限りがあるため、何回か再研削を繰り返
すと、チツプの先端が前記チツプ座から先方へ突
出しなくなり、再使用ができなくなる。このた
め、チツプを交換しなければならず、チツプの利
用効率が低下するとともにチツプの費用がかさむ
という問題点があつた。

「考案の目的」 この考案は、切刃の研削によつてスローアウエ
イチツプの工具本体軸方向の長さが短くなつて
も、スローアウエイチツプを再使用することがで
きるスローアウエイ式ドリルを提供することを目
的とする。

「考案の構成」 この考案は、工具本体の先端に、工具本体の先
端方向を向くチツプ座側壁を有する２以上のチツ
プ座が設けられ、これらのチツプ座の各々に同一
形状の刃先を有するスローアウエイチツプが、そ
の刃先の前記工具本体の軸線方向における位置を
互いにほぼ一致させ、且つ、その工具本体の後端
方向を向く側面を前記チツプ座側壁に当接させて
着脱自在に固定されたスローアウエイ式ドリルに
おいて、前記２以上のチツプ座側壁の前記工具本
体における軸線方向の位置を互いにずらして配設
し、これらチツプ座側壁の各位置に応じた長さの
スローアウエイチツプを各チツプ座に設けたこと
を特徴とするものである。

「実施例」 以下、この考案の実施例について第１図ないし
第６図を参照して説明する。

第１図および第３図は、この考案に係るスロー
アウエイ式ドリル２を示す図である。このスロー
アウエイ式ドリル２は、工具本体２１を備えてい
る。この工具本体２１には、先端から後端側に向
つて２つのねじれた切屑排出溝２２，２２が設け
られている。

これら２つの切屑排出溝２２，２２のうち一方
の切屑排出溝の回転方向を向く壁面の先端部に
は、長いチツプ座（チツプ座）２３が切欠状に設
けられている。この長いチツプ座２３は、回転方
向を向くチツプ座底面２４と、工具本体２１の軸
線Ｂに平行で工具本体の軸線Ｂから離間して設け
られた内周側側壁２５と、工具本体２１の軸線Ｂ
に垂直で前記工具本体２１の先方に向つて形成さ
れた後部側壁（チツプ座側壁）２６とを有してい
る。また、前記チツプ座底面２４には、チツプを
固定するためのめねじ孔２７が形成されている。

このような長いチツプ座２３には、長いスロー
アウエイチツプ（スローアウエイチツプ）４が固
定されている。この長いスローアウエイチツプ４
は、略矩形平板状のチツプ本体４１に、すくい面
とされる上面４２と、この上面に平行になされ前
記チツプ座底面２４に当接する下面４３とが形成
され、また内周側側壁２５に当接する内周側側面
４４と、前記後部側壁２６に当接する後部側面
（側面）４５とが形成されている。また、チツプ
本体４１の先端部は前記チツプ座底面２４の先端
より先方に突出して形成されており、その先端に
は逃げ面とされる先端面４６が形成されている。
この先端面４６と前記上面４２との交差部には、
主切刃４７が形成されており、この主切刃４７の
内周側には、副切刃４８が形成されている。この
副切刃４８は、前記主切刃４７との交差部が前記
下面４３から上面４２に向かう方向に凸となるよ
うに形成されている。なお、前記チツプ本体４１
には、その上面４２から下面４３に貫通する固定
穴４９が設けられている。

そして、このような長いスローアウエイチツプ
４は、前記固定穴４９に挿入され前記めねじ孔２
７に螺合した固定ねじ２８によつて、前記チツプ
座２３に固定されている。

一方、他方の切屑排出溝２２の回転方向を向く
壁面の先端部には、短いチツプ座（チツプ座）３
０が設けられている。この短いチツプ座３０は、
その後部側壁（チツプ座側壁）３１の軸線Ｂ方向
の位置を除いて前記長いチツプ座２３と同一構成
になされている。すなわち、この短いチツプ座３
０の後部側壁３１は、前記長いチツプ座２３の後
部側壁２６より軸線Ｂ方向先方にＣだけずれた位
置に形成されている。なお、この短いチツプ座３
０のチツプ座底面３２にもチツプを固定するため
のめねじ孔が設けられている。そして、前記短い
チツプ座３０におけるめねじ孔と内周側側壁３３
との距離および前記めねじ孔と後部側壁３１との
距離は、前記長いチツプ座２３におけるめねじ孔
２７と内周側側壁２５との距離および前記めねじ
孔２７と後部側壁２６との距離にそれぞれ等しく
なされている。

また、このような短いチツプ座３０には、短い
スローアウエイチツプ（スローアウエイチツプ）
５が固定されている。このスローアウエイチツプ
５は、その軸線Ｂ方向の長さを除いて、前記長い
スローアウエイチツプ４と同一構成になされてい
る。すなわち、この短いスローアウエイチツプ５
は、前記長いスローアウエイチツプ４より前記軸
線Ｂ方向に長さＣだけ短く形成されている。な
お、この短いスローアウエイチツプ５にも、固定
ねじを挿入するための固定穴が設けられている。
この短いスローアウエイチツプ５における固定穴
と内周側側面５１との距離および前記固定穴と後
部側面（側面）５２との距離は、前記長いスロー
アウエイチツプ４における前記固定穴４９と前記
内周側側面４４との距離および前記固定穴４９と
前記後部側面４５との距離に、それぞれ等しくな
されている。

そして、このような短いスローアウエイチツプ
５は、その先端面５３を前記長いスローアウエイ
チツプ４の先端面４６に一致させ、前記長いスロ
ーアウエイチツプ４と同様に、固定ねじによつ
て、前記短いチツプ座３０に固定されている。

次に、このようなスローアウエイ式ドリル２の
使用方法について説明する。

まず、上記のように、工具本体２１の長いチツ
プ座２３に長いスローアウエイチツプ４を装着す
るとともに、短いチツプ座３０に短いスローアウ
エイチツプ５を装着して穴明けに使用する。そし
て、チツプの切刃に摩耗ないしは欠損が発生した
ら２つの切刃の先端面、４６，５３を後部側面４
５，５２にむかつて同量だけ再研削する。このよ
うな再研削を繰り返すことによつてその研削量Ｄ
が前記段差Ｃとほぼ同量になつたら、長いチツプ
座２３に装着された当初長いチツプであつたチツ
プを短いチツプ座３０に再装着し、一方長いチツ
プ座２３には新たな長いチツプ４を装着する。そ
して、その後は、このような再研削と再装着を繰
り返して使用する。

このように、上記のスローアウエイ式ドリル２
にあつては、従来の同一のチツプを同一のチツプ
座に装着した場合に比して、チツプ１個当たりの
研削量ないしは、研削回数を２倍にすることがで
きる。したがつて、チツプ１個当たりの利用効率
を２倍にすることができ、チツプにかかるコスト
を1/2にすることができる。

次に、第４図ないし第６図は、本考案に係る他
の実施例であるスローアウエイ式ドリル６を示す
ものである。このスローアウエイ式ドリル６は、
工具本体６１を有している。この工具本体６１に
は、その先端から後端側に向つて２つの切屑排出
溝６２，６２が設けられている。この２つの切屑
排出溝６２のうち一方の切屑排出溝先端部には、
長いチツプ座（チツプ座）６３が設けられてい
る。この長いチツプ座６３は、ドリルの回転方向
を向くチツプ座底面６４とドリルの先方を向く後
部側壁（チツプ座側壁）６５とを有している。そ
して、前記チツプ座底面６４には、チツプを固定
するためのめねじ孔６６が設けられている。

このチツプ座６３には、長いスローアウエイチ
ツプ（スローアウエイチツプ）６７が装着されて
いる。この長いスローアウエイチツプ６７は、平
面視平行四辺形の板状に形成されており、すくい
面とされる上面６８と載置面とされる下面６９
と、先方側と後方側にそれぞれ形成され逃げ面と
される先端面（側面）７０，７０とを有してい
る。そして、後方側の先端面７０は前記後部壁面
６５に当接して配設されている。なお、この先端
面７０，７０と前記上面６８との交差部には切刃
７１，７１が形成されている。また、この長いス
ローアウエイチツプ６７の中央部には、固定穴７
２が設けられている。この固定穴７２は、前記工
具本体６１の軸線Ｅ方向に長い長円状に形成され
板厚方向に貫通して形成されている。

そして、このような長いスローアウエイチツプ
６７は、前記固定穴７２に挿入され前記めねじ孔
６６に螺合した固定ねじ７３によつて、前記長い
チツプ座６３に固定されている。なお、前記めね
じ孔６６は、このような装着状態において、長穴
状の前記固定穴７２の中央部に位置するように前
記チツプ座底面６４に位置せしめられている。

一方、前記２つの切屑排出溝６２のうち他方の
切屑排出溝先端部には、短いチツプ座（チツプ
座）７４が設けられている。この短いチツプ座７
４は、その後部側壁（チツプ座側壁）７５の工具
本体６１の軸線Ｅ方向の位置が前記長いチツプ座
６３の後部側壁６５の位置より先方にＦだけずれ
て配設されている点を除いて同様の構成になされ
ている。また、前記短いチツプ座７４には、短い
スローアウエイチツプ（スローアウエイチツプ）
７６が装着されている。この短いスローアウエイ
チツプ７６も、その軸線Ｅ方向の長さが前記長い
スローアウエイチツプ６７の軸線Ｅ方向の長さに
たいしてＦだけ長い点を除いて同様の構成になさ
れている。

このように、このスローアウエイ式ドリル６に
あつては、スローアウエイチツプ６７，７６の先
方側と後方側に２つの切刃を設けているから、１
つのチツプあたりの研削回数および研削量を、前
述の実施例のスローアウエイ式ドリル２のさらに
２倍、すなわち従来のスローアウエイ式ドリルに
対して４倍にすることができ、したがつてチツプ
１個あたりの利用効率を４倍にすることができ
る。

なお、上記実施例においては、工具本体に異な
る長さのスローアウエイチツプを２個設けている
が、これに限る必要はなく、３個の互いに異なる
長さのスローアウエイチツプを設けてもよく、そ
のようにすれば、スローアウエイチツプ１個あた
りの研削量および研削回数を３倍にすることがで
きる。またスローアウエイチツプの数は４個以上
にしてもよいことは勿論である。

また、上記実施例においては、刃先形状とし
て、略半径方向に形成された直線状主切刃と、こ
の主切刃の内周側に形成され前記主切刃との交差
部がドリルの回転方向に向つて凸となる副切刃と
からなるもの、および直線状切刃のみからなるも
のを採用していが、これに限る必要はなく、同一
刃先形状であればどのような刃先形状でもよい。

「考案の効果」 以上説明したように、この考案によれば、工具
本体の先端に、工具本体の先端方向を向くチツプ
座側壁を有する２以上のチツプ座が設けられ、こ
れらのチツプ座の各々に同一形状の刃先を有する
スローアウエイチツプが、その刃先の前記工具本
体の軸線方向における位置を互いにほぼ一致さ
せ、且つ、その工具本体の後端方向を向く側面を
前記チツプ座側壁に当接させて着脱自在に固定さ
れたスローアウエイ式ドリルにおいて、前記２以
上のチツプ座側壁の前記工具本体における軸線方
向の位置を互いにずらして配設し、これらチツプ
座側壁の各位置に応じた長さのスローアウエイチ
ツプを各チツプ座に設けているので、刃先の研削
によつてスローアウエイチツプの工具本体の軸線
方向の長さが短くなつたら、該スローアウエイチ
ツプを、チツプ座側壁が工具本体の後端方向に位
置するチツプ座から工具本体の先端方向に位置す
るチツプ座に、順次再装着することによつてスロ
ーアウエイチツプをチツプ座の数だけ再使用する
ことができ、これによりスローアウエイチツプの
利用効率を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案の一実施例を示す
図であつて、第１図はその側面図、第２図はその
軸線方向先端視図、第３図は第１図中−線に
沿う矢視断面図、第４図ないし第６図は本考案の
他の実施例を示す図であつて、第４図はその側面
図、第５図はその軸線方向先端視図、第６図は第
４図中−線に沿う矢視断面図、第７図ないし
第９図は従来のスローアウエイ式ドリルの一例を
示す図であつて、第７図はその側面図、第８図は
その軸線方向先端視図、第９図は第７図中XI−
XI線に沿う矢視断面図である。 ２……スローアウエイ式ドリル、４……長いス
ローアウエイチツプ（スローアウエイチツプ）、
５……短いスローアウエイチツプ（スローアウエ
イチツプ）、６……スローアウエイ式ドリル、８
……スローアウエイ式ドリル、２１……工具本
体、２３……長いチツプ座（チツプ座）、２６…
…後部側壁（チツプ座側壁）、３０……短いチツ
プ座（チツプ座）、３１……後部側壁（チツプ座
側壁）、４５……後部側面（側面）、５２……後部
側面（側面）、６１……工具本体、６３……長い
チツプ座（チツプ座）、６５……後部側壁（チツ
プ座側壁）、６７……長いスローアウエイチツプ
（スローアウエイチツプ）、７０……先端面（側
面）、７４……短いチツプ座（チツプ座）、７５…
…後部側壁（チツプ座側壁）、７６……短いスロ
ーアウエイチツプ（スローアウエイチツプ）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 工具本体の先端に、工具本体の先端方向を向く
   チツプ座側壁を有する２以上のチツプ座が設けら
   れ、これらのチツプ座の各々に同一形状の刃先を
   有するスローアウエイチツプが、その刃先の前記
   工具本体の軸線方向における位置を互いにほぼ一
   致させ、且つ、その工具本体の後端方向を向く側
   面を前記チツプ座側壁に当接させて着脱自在に固
   定されたスローアウエイ式ドリルにおいて、前記
   ２以上のチツプ座側壁の前記工具本体における軸
   線方向の位置を互いにずらして配設し、これらチ
   ツプ座側壁の各位置に応じた長さのスローアウエ
   イチツプを各チツプ座に設けたことを特徴とする
   スローアウエイ式ドリル。