JPH05178899A - 修飾ポリペプチドおよびそれを有効成分とする血小板減少症治療剤 - Google Patents

修飾ポリペプチドおよびそれを有効成分とする血小板減少症治療剤

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JPH05178899A
JPH05178899A JP3191476A JP19147691A JPH05178899A JP H05178899 A JPH05178899 A JP H05178899A JP 3191476 A JP3191476 A JP 3191476A JP 19147691 A JP19147691 A JP 19147691A JP H05178899 A JPH05178899 A JP H05178899A
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interleukin
amino acid
modified polypeptide
dna
protein
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JP3191476A
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Toshiaki Tanaka
利明 田中
Masanobu Naruto
昌信 成戸
Kensaku Ohashi
研作 大橋
Ritsuko Sawada
律子 沢田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 生理活性タンパク質のN末端あるいはC末端
に、Asn−X−ThrまたはAsn−X−Serの配
列(ここでXはPro以外のアミノ酸を示す)を含むア
ミノ酸配列を付加した修飾ポリペプチド、それを暗号化
する遺伝子、およびそれを有効成分とする血小板減少症
治療剤。 【効果】 本発明の糖鎖修飾型ポリペプチドは、天然型
に比べ多量の糖鎖を付加することが可能であり、従って
安定性が向上する。また、該ポリペプチドは血小板増加
活性を有し、血小板減少症治療剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、修飾ポリペプチドおよ
びそれを有効成分とする血小板減少症治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】真核細胞由来タンパク質には、翻訳後の
修飾により糖鎖の付加されている場合のあることが知ら
れている。最近、このような天然型タンパク質に付加さ
れている糖鎖が、タンパク質の安定化や、生理機能の発
現に積極的な役割を果たす場合のあることが明かとなっ
てきた(早川ら(1989)医薬品研究 20,735-759)。さら
に、ウロキナーゼやG−CSFでは、天然型タンパク質
では糖鎖の付加していなかった部位に、遺伝子操作の手
法を利用して糖鎖を導入することにより、プロテアーゼ
抵抗性を賦与することができることが報告されてる(佐
々木ら、安村ら(1990)日本農芸化学会年次大会)。すな
わち、天然から得られる生理活性タンパク質に人為的に
糖鎖を付加させることにより、そのタンパク質の安定性
を高めたり、活性を修飾する可能性のあることが明らか
となってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、天然か
ら得られる生理活性タンパク質に人為的に糖鎖を付加さ
せる試みはまだ少ない。さらに、すでに報告されてる上
記の例においても、糖鎖の付加するアミノ酸配列は、既
存のタンパク質のアミノ酸配列の1部を変異させるよう
な形で導入されたものである。このような方法において
は、そのアミノ酸変異により元のタンパク質の立体構造
が破壊される場合があり、またその部分に実際に糖鎖が
付加するかどうかは予測しがたく、きわめて試行錯誤的
な要素が強い。
【0004】本発明は、かかる従来技術の欠点を改良す
るため、医薬あるいは診断薬として利用しうる生理活性
タンパク質のNあるいはC末端にNグリコシド型の糖鎖
の付加する配列を付加し、そのタンパク質を、真核細胞
を宿主として発現させることにより、その部位に糖鎖の
付加したタンパク質を提供するものである。さらに本発
明は該修飾ポリペプチドを有効成分とする血小板減少症
治療剤も提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、生理活性タン
パク質のN末端あるいはC末端に、Asn−X−Thr
またはAsn−X−Serの配列(ここでXはPro以
外のアミノ酸を示す)を含むアミノ酸配列を付加した修
飾ポリペプチド、およびそれを有効成分とする血小板減
少症治療剤に関する。すなわち本発明は、生理活性タン
パク質のNあるいはC末端にAsn−X−Thrまたは
Asn−X−Serで示される配列を含むアミノ酸配列
を付加し、そのタンパク質を真核細胞を宿主として発現
させることにより、該アミノ酸配列のアスパラギン残基
に、糖鎖が付加することを特徴とする修飾ポリペプチド
に関する。一般に、タンパク質のNあるいはC末端は立
体構造上タンパク質の外側に出ていることが多く、この
部分への糖鎖付加配列の付加により、従来技術に比べは
るかに効率よく糖鎖の付加した生理活性タンパク質が得
られることを見出したものである。
【0006】本発明における生理活性タンパク質は、い
かなるものであっても良く、例えば、インターフェロン
類、インターロイキン類、TNFなどのリンフォカイン
類、ECGF、TGF、FGFなどの増殖因子類、G−
CSF、GM−CSF、EPO、PF4などの造血ホル
モン類などが挙げられるが、これに限定されない。本発
明では、インターロイキン類、特にインターロイキン−
6が好ましく用いられる。インターロイキン−6は、従
来BSF−2,IFN−β2、26Kタンパク、ハイブ
リドーマ/プラズマサイトーマ増殖因子、肝細胞増殖因
子などの名称で呼ばれていたタンパク質を指す。インタ
ーロイキン−6の具体的なアミノ酸配列は、Hiranoらの
報告に記載されている(Nature 324, 73-76 (1986))。
ただしインターロイキン−6本来の活性を損なわない変
異を含むもの、たとえばN末端アミノ酸の欠失した変異
体(Brakenhoffら(1989) J.Immunol. 143, 1175-1182)
やシステイン残基を他のアミノ酸に置換した変異体(Ja
mbouら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 85, 9426-9430
)なども、本発明のインターロイキン−6に含まれる
ものとする。
【0007】本発明における付加させるアミノ酸配列
は、Asn-X-Thr あるいはAsn-X-Ser を含むもので、かつ
それ自身では高次構造を形成し得ないものをさす。すな
わち、該配列を含むある一定の構造を持った別のペプチ
ドあるいはタンパク質を連結する場合は、本発明に含ま
れないものとする。本発明において、付加させるアミノ
酸配列は該配列を含む5残基以下のペプチドであること
が好ましい。またこのペプチド中でAsn-X-Thr あるいは
Asn-X-Ser 配列が占める位置は、どこであってもかまわ
ない。さらにこのペプチドを構成する他のアミノ酸とし
ては、プロリン以外のアミノ酸であることが好ましい。
【0008】該アミノ酸配列を目的のタンパク質に付加
し、糖鎖を有するタンパク質を得る方法はいかなるもの
でもよいが、通常は遺伝子操作技術により目的とするタ
ンパク質を暗号化するDNA断片を取得し、これを発現
ベクターに組み込み、さらにこれを真核細胞に導入しそ
の細胞の生産するタンパク質を得る方法が用いられる。
目的のタンパク質を暗号化する遺伝子の取得方法は、細
胞からmRNAを調製しcDNAを得る方法、あるいは化学的に
合成する方法などがあるがいずれの方法でもよい。この
DNA に該アミノ酸配列を暗号化するDNA断片を付加す
る方法としては、新たに化学的に全合成する方法、該ア
ミノ酸配列を暗号化するDNA断片を化学的に合成し付
け足す方法、該アミノ酸配列を暗号化する部分を含む合
成DNAプライマーを利用して部位特異的変異を導入す
る方法などが知られているが(Molecular Cloning(198
9)15.2-15.113)、いずれの方法を用いても良い。また
PCR法を利用して該アミノ酸配列を暗号化するDNA
部分をつけ加えることもできる。
【0009】ここで得られた修飾ポリペプチドを暗号化
する遺伝子を、真核細胞用の発現ベクターに組み込み、
さらにそれを真核細胞に導入することにより、糖鎖で修
飾されたポリペプチドを得ることができる。真核細胞に
は、酵母、昆虫、両性類およびほ乳類の細胞があげられ
るが、いずれの細胞を用いてもかまわない。本発明にお
いては、ほ乳動物由来の細胞、たとえばチャイニーズハ
ムスター卵巣細胞(CHO) 、マウスC127細胞、マウスL細
胞、サルCOS細胞、ヒトPC8細胞、ヒトPC12細
胞など、を用いることが好ましい。用いる発現ベクター
についても、特に限定されるものではなく、発現に用い
る宿主にあったものを利用すれば良い。このようにして
得られた細胞の培養上清から、各種クロマトグラフィー
により修飾ポリペプチド得ることができる。
【0010】本発明の血小板減少症治療剤は、前述のイ
ンターロイキン−6修飾体を主成分として含有する。他
の成分としては、一般的な医薬添加物が選ばれる。もち
ろん添加物が無くとも本発明の目的は達成される。一般
的には主として安定化のために添加物が加えられる。そ
のような医薬添加物としては、局法に記載された、医薬
添加物として使えるタンパク質および/または糖類の中
から選ばれる。特に好適にはヒト血清アルブミン(HS
A)、ゼラチン、マンニト−ル、ソルビト−ル、ラクト
−スなどの中から適宜あるいは組み合わせて選ばれる
が、もちろんこれらに限定するものではない。
【0011】本発明の目的の一つである血小板増加作用
を具体的に達成するためには、前述のインターロイキン
−6修飾体を主成分とする組成物を生体に投与する。投
与方法としては、特に限定するものではないが、一般的
な注射、すなわち静脈注射、皮下注射、筋肉注射、点滴
静脈内注入などの内適当な一つが選ばれる。経口、経
鼻、経肺、経腸のような経粘膜投与法も場合により、好
適に実施される。
【0012】有効投与量としては、1日につき体重1K
g当たり0.0001から300μgの範囲、好適には
0.001〜10μgの範囲で選ばれる。前述の投与量
は症状によっても異なり、これらの値に限定されるもの
では勿論ない。投与回数としては通常1日1ないし2
回、もしくは2ないし数日に1回の範囲で選ばれるがこ
れに限定されるものではない。
【0013】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。一般的な実験方法は、実験書(Sambrook,
J. Fritsch,E.F. Maniatis,T. (1989) "Molecular Clon
ing: a laboratory manual" Cold Spring Harbor Labor
atoryPress) に従った。
【0014】実施例1(1).インターロイキン−6遺伝子のクローニング: インターロイキン−6、G−CSFおよびGM−CSF
を産生するヒト甲状腺由来細胞株NIM-1 (微工研菌寄第
11103号)から、グアニジウムチオシアネートを用
いる公知の方法により全RNA を調製し、さらにオリゴdT
セルロースカラムクロマトグラフィーを用い、公知の方
法にしたがってmRNAを精製した。このmRNA1μg を材料
に、公知の方法を利用したcDNA合成キット(ベーリンガ
ー社)を用いて2本鎖のcDNAを合成した。次に、以下に
示すようなEcoRI 切断部位を含む、インターロイキン−
6のN末端、およびC末端に相当する部分を暗号化する
合成オリゴマー(A,B) を作製した。
【0015】 A. 5'-CCGAATTCGAGCCCAGCTATGAACTCC-3' B. 5'-CCGAATTCGCCCATGCTACATTTGCC-3' 合成オリゴマーは、自動DNA 合成装置( アプライドバイ
オシステム社)を用いて合成した後、逆相HPLCにより精
製したものを用いた。これらをプライマーとし、合成し
たcDNAの1/3 量を用いてPCR 法により、EcoRI 切断部位
を両端に保持するインターロイキン−6cDNAを増幅し
た。PCR 反応液の組成は既報(Saiki,R.K.らScience 23
9,487-491(1988) )に従った。反応は、DNA サーマルサ
イクラーDJ1000(パーキンエルマーシータス社)を用
い、熱変性94℃ 1分間、アニーリング50℃ 2分間、
伸長反応 72℃ 3分間、の条件で40サイクル反応を
繰り返した。得られた反応混合物をフェノール/クロロ
ホルム抽出2回、クロロホルム抽出1回した後、EcoRI
消化した。このDNA を低融点アガロースゲル電気泳道を
用いて分離し、目的の約570bp のDNA 断片を分取した。
【0016】(2).物細胞発現ベクターへの導入: 動物細胞発現ベクターpSR α296(Takebe,Y. ら Mol.Ce
ll.Biol. 8,466-472(1988)) をEcoRI 消化後、BAP (Ba
cterial alkaline phosphatase)処理により5’末端を
脱燐酸化し、これと前記(1) で得られたインターロイキ
ン−6cDNAを混合、T4DNA リガーゼを用いて連結した
後、E.coli HB101を形質転換した。得られたアンピシリ
ン耐性を示す形質転換株を培養、アルカリ抽出法により
プラスミドDNA を調整した。インターロイキン−6cDNA
が、ベクターに正しい向きで挿入されたクローンを選ぶ
ため、調整したDNA をPstIで消化、アガロースゲル電気
泳道によりDNA を分離した。インターロイキン−6cDNA
は、その3’側に、ベクターはcDNA挿入位置5’側にPs
tI部位があり、インターロイキン−6cDNAが正しい向き
に入っている場合、約500bp のバンドが検出されること
となる。このような方法により、インターロイキン−6
cDNAを正しい方向に挿入した発現プラスミドpSR αIL6
を選び出した。
【0017】(3).C末端に糖鎖付加アミノ酸配列を付加
したインターロイキン−6を暗号化する遺伝子の作成: 前記(1) に示すと同じ方法で、Cに示すDNAオリゴマ
ーを合成した。
【0018】 C. 5'-CCGAATTCTTACTAAGTAGACGCGTTCATTTGCCGAAGAGCCCTC-3' 次に、pSR αIL6 100ng とA,CのDNAオリゴマー各
100pmol を混合、前記(1) に示す方法に従って、PCR
を行った。得られた反応液から前記(1) と同様にして約
650bp のDNA断片を分取し、制限酵素EcoRI で消化
後、これを前記(2) と同様にして発現プラスミドpSR α
296 に組み込んだ。得られた発現プラスミドpSR αIL6-
NASTはインターロイキン−6のC末端にAsn-Ala-Ser-Th
r のアミノ酸配列を付加した修飾インターロイキン−6
を暗号化している。
【0019】(4).N末端に糖鎖付加アミノ酸配列を付加
したインターロイキン−6を暗号化する遺伝子の作成: 前記(1) に示すと同じ方法で,D,Eに示すDNAオリ
ゴマーを合成した。
【0020】 D. 5'-AGCGCTAATCAGACAGTACCCCCAGGAG-3' E. 5'-TGTCTGATTAGCGCTGGCAGCAGGCAACAC-3' 次に、pSR αIL6 100ng とA,EのDNAオリゴマー各
100pmol を混合、前記(1) に示す方法に従って、PCR
を行った。また別に、pSR αIL6 100ng とB,DのDN
Aオリゴマー各100pmol を混合、前記(1) に示す方法に
従って、PCRを行った続いて、それぞれの反応液、各
1μl とA,B,のDNAオリゴマー各100pmol を混
合、再度PCRを行った。得られた反応液から、前記
(1) の方法に従って、約650bp のDNA断片を分取し、
これを前記(2) と同様にして発現プラスミドpSR α296
に組み込んだ。得られた発現プラスミドpSR αIL6-SANQ
T はインターロイキン−6のシグナル配列からN末端に
いたるPhe-Pro-Ala-Pro のアミノ酸配列をSer-Ala-Asn-
Glu-Thr のアミノ酸配列に置換した修飾インターロイキ
ン−6を暗号化している。
【0021】(5).COS−1における発現: インターロイキン−6およびインターロイキン−6変異
体を解析するために、前記(4) までの操作で作成したプ
ラスミド(pSRαIL6, pSRαIL6-NAST、 pSRαIL6-SANQT)
をCOS−1細胞に導入し発現を試みた。
【0022】10%牛胎児血清(FCS)を含むダルベ
ッコ変法イーグル培地(D.MEM)に懸濁させたCO
S−1細胞(CRL−1650)を3.5x105 個/
5mlずつ6穴プレート(コーニング社、25810−
6)にシーディングし、37℃5%CO2 存在下で一晩
培養を行った。このCOS−1細胞の培地を抜き取り、
10%ニュー・セーラム(コラブレイティブ社)、2μ
gプラスミドDNA、100μMクロロキン、DEAE
−デキストラン400μg/mlの溶液1mlを加え、37
℃ 5%CO2 条件下で4時間トランスフェクションし
た後、液を抜き取り10%ジメチルスルホキシドを含む
PBS1mlを加え、2分間静置した。細胞をD.MEM
で2回洗った後、10%FCSを含むD.MEMを加
え、2日間培養し培地を交換した後、さらに3日間培養
して得られた上清をインターロイキン−6あるいはイン
ターロイキン−6変異体とし、活性および分子量を解析
した。
【0023】(6).バイオアッセイ法によるインターロイ
キン−6の定量: 10%FCS、5x10-5M 2−メルカプトエタノー
ルを含むRPMI1640培地に、数段階希釈した試料
溶液を加え50μlとし、96穴プレート(細胞培養
用)に入れた。各ウェルに2x103 個/50μlの7
TD1細胞(インターロイキン−6依存性細胞株:Van
Damme ら(1987) J. Exp. Med. 165, 914-919) を加え、
37℃ 5%CO2 存在下で3日間培養した。5mg/ml
MTT10μlを各ウェルに加え5時間培養後、150
μlの0.04N塩酸−イソプロパノールを加えて細胞
を溶解した後、570nmの吸収を測定した。標準イン
ターロイキン−6としては天然型インターロイキン−6
(東レフジバイオニクス社製IL−6 EIAキットに
付属した標準IL−6)を用いた。
【0024】その結果、 pSRαIL6 により形質転換した
COS−1培養上清のインターロイキン−6濃度は2.
2μg/ml、 pSRαIL6-NAST形質転換体は2.8μg/
ml、pSRαIL6-SANQT 形質転換体は2.8μg/mlであ
った。
【0025】(7).分子量の測定: 前記(5) で得た上清7.5μlをSDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動(ゲル濃度12%)を行いタンパク
質を分離後、アトー社製ブロッティング装置を使い、デ
ィアポアフィルター(ミリポア社)にゲル上のタンパク
質をブロッティングした。転写後、フィルターを5%ス
キムミルク/PBSでブロッキングした後、抗インター
ロイキン−6モノクローナル抗体IC−67、IG−6
1(Idaら(1989) Biochem. Biophys. Res. Comm. 165, 7
28-734)2μg/mlと反応させ、Bio−Rad社製ゴ
ールドイミュンブロットキットを用いて検出を行った。
【0026】その結果、 pSRαIL6 で形質転換したCO
S−1の上清からは22kDaおよび27kDaにメイ
ンのバンドが得られたのに対し、 pSRαIL6-SANQT で形
質転換したものからは24kDaおよび30kDaをメ
インとするバンドが検出され、また pSRαIL6-NASTで形
質転換したものでは27kDaのバンドの割合が増加し
ており、糖鎖付加が示唆された。
【0027】(8).インタ−ロイキン−6修飾体の精製: 糖鎖を付加させたインターロイキン−6変異体の薬効を
調べるために、COS-1細胞により発現させたインターロ
イキン−6変異体および野生型インターロイキン−6の
精製をおこなった。
【0028】野生型インターロイキン−6(pSRαIL6 発
現物(以下IL6Wと略) )および2種の糖鎖を付加させた
インターロイキン−6変異体タンパク質(pSR αIL6-NA
ST発現物(以下 IL6NASTと略) およびpSR αIL6-SANQT
発現物(以下IL6SANQTと略))をそれぞれ形質転換させ
たCOS-1 細胞により発現させ、2%ウシ胎児血清を含むD.
MEM 培地で37℃3日間培養し、培養上清をそれぞれ2L得
た( 総インターロイキン−6量はIL6Wは4mg、IL6NAST
は5mg、IL6SANQTは4.8mg 含まれていた) 。
【0029】その上清を10000r.p.m.10 分間遠心し、沈
澱物を除去した後、分子量1万以下のタンパク質のみを
通すUK-10 フィルタ−( アドバンテック社) をセットし
た限外ろ過装置( アミコン社) を用いて約20倍に濃縮し
た。続いて、その3mgを、天然型インターロイキン−6
に対するヤギポリクロ−ナル抗体をアフィゲル10( バイ
オラド社) に結合させた抗体カラム(10mgタンパク質
/ml gel)3ml gel にかけた。
【0030】0.15M 塩化ナトリウムを含む10mMリン酸緩
衝液(pH7.4) 、続いて水それぞれ15mlでカラムを洗浄
後、15mM HCl(pH2.0)6mlにてインターロイキン−6の溶
出を行った。溶出フラクション約6ml 中の総インターロ
イキン−6量はIL6Wは2.3mg 、L6NASTは2.0mg 、IL6SAN
QTは2.1mg で、収率は順に77%、67%、70%であった。
このフラクションのインターロイキン−6純度はC18 カ
ラムを用いて逆相−高速液体クロマトグラフィ−(HPLC)
上で、いずれも70%以上であった。純度をさらに上げる
ために、次に逆相-HPLC により精製を行った。各サンプ
ル6mlを、2回に分けて、Zorbox C18カラム(4.6x250m
m, 三井東圧) にかけ、0.1%トリフルオロ酢酸を含むア
セトニトリル(10 〜60%/25分、60%/25〜50分) で溶出さ
せた。移動相の流速は1ml/分で行い、この条件でインタ
ーロイキン−6の溶出時間は約28分であった。溶出フラ
クションは1.5ml で、このステップでの収率はIL6Wは70
%、IL6NAST は65%、IL6SANQTは72%で、純度はHPLC上
約95%以上であった。回収したインターロイキン−6溶
液に、ただちに1/10量の1M炭酸アンモニウム溶液(pH8.
0) を加えて中和した後、“セファデックスG-25”(2.5x
100cm, ファルマシア社)を用いて0.15M NaClを含む10mM
リン酸緩衝液(pH7.4) で脱塩し各約3mlの画分を得た。
得られたインターロイキン−6の濃度はIL6Wは 460μg/
ml、IL6NAST は 380μg/ml、IL6SANQTは 440μg/mlで、
最終的に3種類のインターロイキン−6をそれぞれ約1.
0mg 得た。
【0031】(9).血小板増加作用の確認: 前項で得たインターロイキン−6を試験サンプルとして
C57BL/6マウスに投与し、血小板増加活性を調べ
た。C57BL/6マウスの雄、5週齢のものをSLC
より購入し、1群6匹としてアクリメ−ションを1週間
行い6週齢のものを用いた。
【0032】前項で得たインターロイキン−6修飾体
IL6NASTと IL6SANQT溶液をそれぞれ1
日1回10ml/Kgの容量で背部皮下に投与した。1
群6匹とし、それぞれDay-0 から投与開始して、7日間
連続投与した。投与開始時間は毎回午前9時に定めた。
所定回数の投与終了後3時間以上経過した後、血小板数
を測定した。マウスにエ−テルガス麻酔を施し、仰臥位
に固定して腋窩部をアルコ−ル綿で清拭したのち、左腋
窩動静脈を切断した。切断後流出してくる血液を、あら
かじめ15%EDTA−2Ka溶液10μlを分注して
おいたシリコンコ−ト・ガラス採血管(ベネジェクト真
空採血管、テルモ)に採取した。採取した血液はただち
に自動血球計測機 Celltac(日本光電)を用いて血小板
数を測定した。1日当たり各インターロイキン−6修飾
体を2.5μg/kg投与したところ、修飾体IL6N
ASTとIL6SANQTそれぞれについて対照(生理
食塩水投与)群にたいして、27%、29%の血小板増
加を見た。
【0033】
【発明の効果】本発明により得られた糖鎖修飾型ポリペ
プチドは、その1次構造中に導入されたアスパラギン結
合型糖鎖の結合を惹起するアミノ酸配列により、天然型
に比べさらに多量の糖鎖を有することが可能となる。そ
の結果、分子量の増加、等電点の変化、安定性の変化、
など物理化学的性質が変化し、それにより血中安定性の
向上、薬効の増大、標的臓器への取り込みの促進が期待
できる。また、本発明の修飾ポリペプチドは、血小板増
加活性を有し、血小板減少症治療剤として有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61K 37/02 AGZ 8314−4C C12P 21/02 C 8214−4B K 8214−4B (C12P 21/02 C12R 1:91) (72)発明者 沢田 律子 神奈川県鎌倉市手広1111番地 東レ株式会 社基礎研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生理活性タンパク質のN末端あるいはC
    末端に、Asn−X−ThrまたはAsn−X−Ser
    の配列(ここでXはPro以外のアミノ酸を示す)を含
    むアミノ酸配列を付加した修飾ポリペプチド。
  2. 【請求項2】 生理活性タンパク質がインターロイキン
    −6である請求項1記載の修飾ポリペプチド。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の修飾ポリペプチ
    ドを暗号化する遺伝子。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の修飾ポリペプチ
    ドを有効成分とする血小板減少症治療剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1999023115A1 (en) * 1997-10-31 1999-05-14 Eli Lilly And Company Glycosylated obesity protein analogs

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WO1999023115A1 (en) * 1997-10-31 1999-05-14 Eli Lilly And Company Glycosylated obesity protein analogs

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