JPH0517791A - 電気レオロジー流体組成物 - Google Patents

電気レオロジー流体組成物

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JPH0517791A
JPH0517791A JP19601791A JP19601791A JPH0517791A JP H0517791 A JPH0517791 A JP H0517791A JP 19601791 A JP19601791 A JP 19601791A JP 19601791 A JP19601791 A JP 19601791A JP H0517791 A JPH0517791 A JP H0517791A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本質的に吸着水分を必要とせず、作動温度領
域が広く、流体の導電性が低く、消費電力も少なく、直
流、交流電場のいずれにおいても作動可能で、せん断応
力下の長時間の使用に耐えられる保存安定性の良好な電
気レオロジー流体組成物を得る。 【構成】 導体あるいは半導体酸化物粒子表面上に電気
絶縁性酸化物層が形成されたものからなる固体粒子を電
気絶縁性媒体に分散させた電気レオロジー流体組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,電気レオロジー流体組
成物に関し、さらに詳しくは、電圧によって粘性を著し
く変化させることが可能であり、さらには流動性を全く
示さないゲル状態にまで変化させることが可能で、本質
的に水分を必要とせず、広い温度領域で作動可能で、ク
ラッチ、バルブ、ダンパー、ブレーキ、ショックアブソ
ーバー、アクチュエーター等ヘ応用が考えられる電圧応
答性に優れた電気レオロジー流体組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】電気レオロジー流体は、電気粘性流体、
電気応答流体とも呼ばれているものであり、通常は、液
体状態であり、流動性を示すが、高電圧の印加により著
しく粘度が上昇、さらには流動性を全く示さないゲル状
態にまで変化する機能性流体である。
【0003】このような流体としては、これまである種
の高分子溶液、各種粒子を分散させた懸濁液が提案され
ているが、前者は印加電圧に対する粘度増加率が小さ
く、電気レオロジー流体として充分な機能を示さず、こ
れまで主として後者の粒子分散系流体を中心に検討がな
されている。
【0004】粒子分散系の電気レオロジー流体は、高分
子溶液系に比べれば比較的良好な電圧印加による粘度増
加、即ちウィンズロー効果を示し、これまで、特定量の
表面シラノール基を有するシリカを油性媒体中に分散さ
せた流体組成物(特公昭45−10048公報)、水分
を吸着したイオン交換樹脂を分散させた組成物(特開昭
48−17806号公報)、チタン酸バリウムとシリカ
微粉末を分散させた組成物(特公昭58−32197号
公報)、含水フェノール樹脂分散系(特開昭58−17
9259号公報)、結晶ゼオライトを分散させた組成物
(特開昭63−185812号公報)の他、セルロー
ス、澱粉、大豆カゼイン等を分散させたものも知られて
いる。
【0005】これら公知の電気レオロジー流体組成物
は、印加電圧によって粘度変化するものの、いまだその
変化率は充分なものとは言えない。また、電圧印加によ
り流動性のある状態から、動力伝達も可能な強度のある
ゲル状態にまで変化しうる電気レオロジー流体が望まれ
ているものの、電圧を印加した状態でゲルにまで変化し
うるものは、電圧をかけない状態でも極めてチクソトロ
ピックで粘度が高いものであったり、電圧をかけない状
態で充分な流動性を有するものは、電圧をかけてもゲル
化することができなかったり、満足な特性を示すものは
得られていない。
【0006】さらに、上記の組成物は、本質的に吸着水
分を必要とし、従って、その作動温度域は0℃〜80℃
程度であり、高温での長時間の使用には耐えず、極めて
限定された用途にのみ応用可能なものであった。この問
題を解決するためには、本質的に水分の存在を必要とし
ない電気レオロジー流体が提案されているが、種々の欠
点を有し、実用化可能なものは得られていない。
【0007】例えば、特開昭61−216202号公報
においては、ポリ(アセン−キノン)ポリマー等の有機
半導体を分散させた電気レオロジー流体が提案されてい
るが、流体の導電性が高く、消費電力の大きさ、ジュー
ル熱の発生等の問題があり、また電気レオロジー効果が
充分とは言えず、実用化困難なものである。
【0008】また、特開昭64−6093号公報には、
導電性粒子表面上に電気絶縁性薄膜を形成した誘電体微
粒子を油状媒体中に分散せしめてなる電気レオロジー流
体が提案されている。この方法では導電性粒子として金
属、合金、カーボンブラックその他種々の多くのものを
挙げているものの、実際にはアルミニウムのような金属
や導電性炭素含有プラスチックが用いられているだけ
で、電気絶縁性薄膜も特定のものが具体的に使用されて
いるだけである。その具体的に示された技術内容による
と、この方法においては、水分の存在しない系での電気
レオロジー効果が示されているものの、直流電場では電
気レオロジー効果が発現されず、特開平1−26071
0号公報に開示されているように、交流電圧あるいは直
流パルス電圧下でのみ電気レオロジー効果が発現する。
また、金属粒子の使用は、微細な粒子の使用が極めて困
難であり、高比重の粒径の大きい粒子の使用は、電気レ
オロジー流体の保存安定性を著しく阻害し、金属粒子の
酸化も進行する可能性があり、実用化可能な組成物とは
言い難い。
【0009】特開平2−169025号公報において
は、電気絶縁性薄膜で被覆された炭素微粒子を分散相と
する電気レオロジー流体が開示されている。本系も、吸
着水分の存在しない系での電気レオロジー効果の発現が
期待されるものではあるが、炭素微粒子と各種有機高分
子、無機酸化物等の電気絶縁性薄膜とは本来界面親和性
に欠けるものであり、せん断応力下での使用が前提とな
る電気レオロジー流体においては、長期使用中の電気絶
縁性薄膜の剥離が問題となり、実用化が困難な流体であ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従
来、本質的に吸着水分を必要とせず、作動温度領域が広
く、長期間安定に使用可能な電気レオロジー流体が望ま
れておりながら、この要求特性を満足するものはこれま
でには得られていない。
【0011】本発明は、本質的に水分を必要としない系
であって、電気レオロジー効果の発現が可能で、流体の
導電性が低く、消費電力も少なく、直流、交流電場のい
ずれにおいても作動可能で、せん断応力下での長時間の
使用にも耐えられる、微細粒子からなる保存安定性の良
好な電気レオロジー流体組成物を得ようとするものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、固体粒子を電
気絶縁性媒体に分散してなる電気レオロジー流体におい
て、固体粒子が、導体あるいは半導体酸化物粒子表面上
に電気絶縁性酸化物層が形成されたものであることを特
徴とする電気レオロジー流体組成物によって、上記の課
題を解決した。
【0013】前記した特開昭64−6093号公報に
は、導電性粒子として用いられるものの中に酸化インジ
ウム、酸化第2鉄を挙げ、また電気絶縁性薄膜として用
いられるものの中にシリカ、アルミナを挙げているが、
酸化物を有するものとして具体的に挙げられているのも
は金属アルミニウム粒子の表面に酸化アルミニウムの層
を形成したものだけで、導電性粒子と電気絶縁性薄膜と
の両方に酸化物を用いたものは具体的に挙げられておら
ず、またそのものについてどのような技術的機能を果し
うるか説明されておらず、まったく認識もされていな
い。
【0014】しかるに、本発明は、固体粒子として、導
体あるいは半導体酸化物からなる粒子とその上に形成さ
れた酸化物からなる電気絶縁性層との組合せによるもの
を採用するときには、特開昭64−6093号公報及び
特開平1−260710号公報に示されているように交
流又は直流パルスでは作動するが、直流ではほとんど作
動しないという欠点がなくて、直流においても有効に作
動しうるという、新しい働きをする新規な電気レオロジ
ー流体組成物を開発したものである。この作用、機能を
異にする点で本発明は前記両公報記載の電気レオロジー
流体の発明と別の発明ということができるものである。
【0015】また、本発明は、優れた電気レオロジー効
果を発現させ、また流体の導電率を低く保つために、前
記電気絶縁性酸化物層が化学液相法で形成されたもので
あることが好ましい。特開昭64−6093号公報のよ
うに、金属アルミニウム粒子の表面を反応させて酸化ア
ルミニウム薄膜を形成させるさいには密着性のよい薄膜
が得られるが、導体もしくは半導体酸化物粒子の上に設
けられる電気絶縁性酸化物層を構成する酸化物は、その
性質上前記粒子を構成する酸化物と物質が異なるため、
前記電気絶縁性酸化物層は前記粒子とは別に形成するの
が普通であるので、その酸化物層は発着性の良いもので
あることが好ましい。化学液相法については後述する。
【0016】本発明に使用される導体あるいは半導体酸
化物粒子とは、金属伝導性あるいは半導性を示す酸化物
粒子であり、次のようなものが例示される。金属伝導性
を示す酸化物としては、TiO、VO、LiTi
2 4 、Fe3 4 、ReO3 、SrVO3 、LaNi
2 、BaPbO3 、V2 3 、CrO2 、MnO2
ReO2 、IrO2 、La2 NiO4 、La2 CuO4
等が例示される。
【0017】半導性の酸化物としては、SnO2 、Zn
O、CdO、MnO、FeO、CoO、Cu2 O、Mn
Fe2 4 、NiFeO4 、NbO、NbO2 、Ti2
3 、Ti3 5 、Ti4 7 、Ti5 9 等が例示さ
れる。
【0018】又、不純物の金属イオンをドープして導電
率を高めた酸化物半導体も有用であり、次のものが例示
される。Nb、TaをドープしたTiO2 、Alをドー
プしたZnO、La、TaをドープしたBaTiO3
SbをドープしたSnO2 、LiをドープしたNiO、
BaをドープしたBi2 3 、MgをドープしたCr2
3 、SrをドープしたLaCrO3
【0019】これらの導体あるいは半導体酸化物は、電
気レオロジー流体としての使用条件下、その物性を経時
的に変化することが少なく、好適なものである。これら
の導体あるいは半導体酸化物粒子は、電気レオロジー流
体の保存安定性の観点から微細な粒子が好ましく、平均
粒径0.01μ〜50μm、より好ましくく0.05μ
m〜30μmの粒子が使用される。
【0020】これらの導体あるいは半導体酸化物粒子表
面上に形成さる電気絶縁性酸化物層としては、結晶質の
セラミックスでも非晶質のガラスであっても、また他の
状態のものでもよいが、前記両者のいづれかの状態にあ
るものが好ましい。このような電気絶縁性酸化物として
は、SiO2 、Al2 3 、TiO2 、ZrO2 、Mg
O、CaO、Ga2 2 、HfO2 、CuO等の単一金
属の酸化物の他、MgAl2 4 、LiNbO3 、KN
bO3 、ムライト等の複成分から成る金属酸化物の他、
各種単、多成分系ガラスが例示される。
【0021】これらの電気絶縁性酸化物薄膜は導体ある
いは半導体酸化物粒子表面上に形成されるが、粒子を構
成する物質(芯物質)及び薄膜を構成する物質がともに
酸化物であり、充分な強度を発現する界面親和性を有す
る。このことは、せん断応力下での使用が前提となる電
気レオロジー流体においては好ましいことであり、長期
間安定な電気レオロジー効果を発現するのに有効に寄与
する。
【0022】また、これらの電気絶縁性酸化物薄膜の厚
さは、電気レオロジー流体の導電率を著しく上昇させ
ず、絶縁破壊電圧を低下させない範囲でできる限り薄い
方が好ましく、通常0.5μm以下、より好ましくは
0.2μm以下である。
【0023】この電気絶縁性酸化物薄膜は、その誘電率
が低い場合、電気レオロジー効果を発現させるために
は、その膜厚を極めて薄くする必要がある。この極めて
薄い膜厚は、電気レオロジー流体の絶縁破壊電圧の低
下、せん断応力下での長期使用時の誘電率の上昇等を引
き起す。従って、より好ましい電気絶縁性酸化物薄膜
は、その比誘電率が5以上のものであり、そのような酸
化物としては、Al2 3 、TiO2 、CuO、ZrO
2 、Cr2 7 、BaTiO3 等が例示される。これら
比誘電率の高い酸化物を使用した場合、その膜厚さを比
較的厚くしても電気レオロジー効果が発現し、上記の問
題が回避される。
【0024】この電気絶縁性酸化物薄膜を導体あるいは
半導体粒子表面上に形成する方法としては、電気絶縁性
酸化物微粉体をコーティングした後、加熱、固着する方
法、均一溶液から電気絶縁性酸化物層を形成する方法、
PVD(物理的蒸着法)、CVD(化学蒸着法)等気相
から酸化物層を形成する方法等、種々の方法を挙げるこ
とができるが、形成される膜が厚くなり過ぎることがな
く、薄く均一に形成可能でなおかつ生産性に優れる方法
として化学液相法が好ましい。
【0025】この化学液相法とは、金属塩、有機金属化
合物等、電気絶縁性酸化物の構成金属元素を含有する化
合物の均一溶液を出発物質とし、濃縮、乾燥等の化学的
変化を伴わない方法で、酸化物の構成金属元素を含有す
る固体層を形成したり、沈殿剤の添加による不溶性化合
物の形成、加水分解、重縮合等の反応を利用して酸化物
の構成金属元素を含有する固体層を形成した後、この固
体層を加熱によって酸化物層に変換する方法を示す。
【0026】この化学液相法の中でも金属アルコキシド
を出発物質とするものは、形成される膜の均一性、界面
の親和性、生産性に優れ、特に好ましい方法である。こ
の金属アルコキシドを用いて粉体表面として酸化物膜を
形成する方法としては、粉体工学会誌、第27巻、第1
70頁(1990年)、J.Materials Sc
ience.第22巻 第1677頁(1987年)、
日本セラミックス協会学術論文誌第96巻 第698頁
(1988年)等の方法を応用することが可能である。
【0027】すなわち、その方法を具体的に述べると、
水と混和性を有しない有機溶媒中に吸着水を有する粉体
を分散させ、粉体表面上の水分により金属アルコキシド
を加水分解する方法、水と混和性を有する有機媒体中に
粉体を分散させ、これに金属アルコキジを添加し、さら
に水を供給することにより金属アルコキシドを加水分解
する方法等が例示される。
【0028】上記した方法により、導体あるいは半導体
酸化物粒子表面上に形成された固体層は、適当な温度で
加熱処理することにより、芯物質に強固に付着した電気
絶縁性酸化物層が形成される。金属アルコキシドを使用
した場合、加水分解後、酸化物、水和酸化物、あるいは
水酸化物の層が形成されるが、酸化物層が形成される場
合であっても、電気レオロジー流体に使用したときの吸
着水分の影響を除くために適当な温度で加熱処理され
る。この加熱処理により水和酸化物及び水酸化物は電気
レオロジー効果に影響を及ぼすような多量の水分を含有
することのない酸化物に変化する。この加熱処理におけ
る温度は、導体あるいは半導体酸化物粒子と表面の電気
絶縁性酸化物層との固相反応を起こさず、また吸着水分
が除去される温度の範囲に適宜設定され、40℃から1
000℃の範囲が例示される。
【0029】本発明の電気レオロジー流体に用いられる
電気絶縁媒体は、電気的絶縁性を有する高沸点物質であ
れば、特に制限はなく、通常よく使用されるものとし
て、石油系潤滑剤、トランス油、シリコーン油、セバシ
ン酸ジブチル、塩化パラフィン、臭化アルキル、芳香族
ポリカルボン酸のアルキルエステル、ハロフェニルアル
キルエステル、ハロフェニルアルキルエーテル、フッ素
系オイル等が例示される。
【0030】この電気絶縁性媒体への導体あるいは半導
体酸化物粒子表面上に電気絶縁性酸化物層を形成した固
体粒子の添加量は10〜50体積%とするのが好まし
い。10体積%未満の場合、電圧印加に対する粘度変化
率が小さく、電気レオロジー流体として特性が低い。5
0体積%を越える場合、電圧を印加しない通常時の粘度
も高くチクソトロピックな挙動を示すようになり不適当
である。
【0031】また、この固体粒子を電気絶縁性媒体に分
散する手法は、通常の手法を用いることが可能であり、
ボールミル、アトライター、三本ロール、乳バチ等によ
る分散が可能である。
【0032】
【作用】本発明の電気レオロジー流体は、導体あるいは
半導体酸化物粒子表面に電気絶縁性酸化物層が形成され
ている固体粒子を用いているために、従来具体的に知ら
れている金属粒子表面上に電気絶縁性酸化物薄膜層が形
成されている固体粒子や導電性合成樹脂粒子上に電気絶
縁性合成樹脂薄膜層を有する固体粒子を用いる場合と異
なって、直流電場でも電気レオロジー効果が発現する。
この効果が生ずる作用機構は明らかではないが、粒界層
コンデンサーが導電性の粒の周囲の誘電体層に電荷を蓄
積するのと同様の機構で効率よく導体あるいは半導体粒
子表面上の電気絶縁性酸化物層に電荷が蓄積され、電界
内で強い誘電分極相互作用が起こり、良好な電気レオロ
ジー効果が発揮されるものと考えられる。そして、それ
により吸着水分の存在しない系で電気レオロジー効果が
得られるため、水分の存在に伴う欠点が生じない。ま
た、固体粒子全体が酸化物からなるため、それを含む電
気レオロジー流体は、導電粒子が経時的に変化すること
がなく、表面層と導電粒子の界面ハクリの問題もなく、
長時間安定に使用される。
【0033】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定され
るものではない。 実施例1 遠心沈降法で求めた平均粒径が4.0μmの、BET比
表面積50.9m2 /gのSnO2 粉50gをメタノー
ル100g中に分散させ、これにテトラメトキシシラン
4gを添加し、室温で24時間攪拌した。その後、水
1.9gをメタノール10gに溶解したものを添加し、
さらに24時間反応させた。これを吸引濾過することに
より分散粒子を集め、50℃で乾燥することにより、S
iO2 でコーティング処理されたSnO2 粉末を得た。
原料のSnO2 に対する重量増加率は1. 3%で、得ら
れた粉末のBET比表面積は55.3m2 /g、X線回
析パターンは原料のSnO2 と全く等しいものであっ
た。
【0034】得られたSiO2 で被覆されたSnO2
子を東芝シリコーン(株)製シリコンオイルTSF−4
51−100に乳バチで分散し、上記固体粒子が30体
積%分散している電気レオロジー流体を調製した。
【0035】この得られた電気レオロジー流体中の水分
を、熱重量分析における室温から200℃までの重量減
少率で求めたところ0.5%であり、この電気レオロジ
ー流体中には通常電気レオロジー効果に影響を及ぼす程
の水分は含まれていなかった。
【0036】この電気レオロジー流体のレオロジー測定
は、振動板型レオメーターを用いた。これは、固定台と
それに平行な振動板との間隙に試料液体をはさみ、振動
板を一定の力で振動させたときの振動変位から試料の粘
弾性を測定する装置である。
【0037】測定周波数45Hzの動的測定を行い、試
料膜厚を150μmとし、これに0〜0.23kV/m
mの直流電場を加えた時の電気レオロジー挙動について
調べた。粘弾性測定の結果、ここで用いた分散系につい
ては、ひずみ、電圧によらず常にG1 <0.2G2 (G
1 :貯蔵弾性率、G2 :損失弾性率)となり、弾性効率
は非常に小さいことがわかった。そこで、実験結果はす
べて複素弾性率の絶対値|η*|で表わすことにする。
|η*|は次の式で表わされる。
【0038】|η*|=|G*|/ω =〔(G1 2 +(G2 2 0.5 /ω (ただし、|G*|は複素弾性率の絶対値、ωは角周波
数)電場をかける前の|η*|は、せん断応力によら
ず、ほぼ一定で、1.4×102 Pa(ただし、Paは
パスカル)のせん断応力時に|η*|=1.9Pa・S
(ただし、Pa・Sはパスカル・秒)であったのが、
0.23kV/mmの電圧の印加により3.2Pa・S
に上昇し、良好な電気レオロジー効果を示した。また、
この直流電圧印加時の電流値は0.2μA/cm2 であ
った。 実施例2 実施例1と同じSnO2 粉50gを70℃、85RH%
の雰囲気下に放置して吸湿させ、51.3gの吸湿Sn
2 を得た。これをステアリルアミンの濃度0.002
mol/リットルのn−ヘキサン溶液100mlに分散
させた14.4gのチタンテトライソプロポキシドを添
加し、SnO2の表面吸着水で加水分解させた。40℃
で3時間反応させた後、吸引濾過により粉末を分離し、
600℃で1時間焼成し、TiO2 層で被覆されたSn
2 粒子を調製した。原料のSnO2 に対する重量の増
加率は5.7%で、得られた粉末のBET比表面積は2
5.4m2 /gであった。また、X線回析パターンは原
料のSnO2 にTiO2 (アナターゼ)のパターンがわ
ずかに認められるものであった。
【0039】得られた粒子を東芝シリコーン(株)製シ
リコーンオイルTSF−451−100に乳バチで分散
し、上記固体粒子が25体積%分散した電気レオロジー
流体を調製した。この電気レオロジー流体を実施例1の
振動板型レオメータで評価した結果、せん断応力1×1
2 Pa時の電場をかける前の|η*|=2Pa・Sで
あったものが、0.23kV/mmの直流電圧の印加に
より|η*|=4.7Pa・Sに上昇し、良好な電気レ
オロジー効果を示した。また、この電圧印加時の電流値
は3μA/cm2 であった。 比較例1 実施例1、2で使用したSnO2 粉を何ら処理すること
なく、同じシリコンオイルに分散し、SnO2 を30体
積%含む電気レオロジー流体を調製した。実施例1、2
と同様に振動板型レオメータで評価した結果、電場をか
ける前の1.0×102 Paのせん断応力時の|η*|
=2.2Pa・Sであったものが、0.23kV/mm
の直流電圧印加により10Pa・Sまで増加したが、4
00μA/cm2 もの電流が流れ、電気レオロジー流体
としては使用不可能なものであった。 実施例3 実施例2で調製した電気レオロジー流体を電極板間距離
1mmの二重円筒管型レオメーターで評価した。結果を
図1に示す。縦軸は、せん断応力σ(Pa)を、横軸
は、せん断速度dγ/dt(S-1)を表わす。電場をか
けない状態(0.kVmm-1)ではニュートン流動性に
近い挙動を示したものが、2kV/mmの電圧の印加に
より、ビンガム流体の挙動を示し、1.9×103 Pa
の高い降伏応力を示す優れた電気レオロジー効果が認め
られた。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、本質的に水分を必要と
しない系で、電気レオロジー効果を生じ、直流、交流電
場のいずれにおいても作動可能で、電圧によって粘性を
著しく変化させることができるものであって、電圧応答
性に優れており、せん断応力下での長時間の使用に耐え
られるものである。このため、本発明の電気レオロジー
流体は、クラッチ、バルブ、ダンパー、ショックアブソ
ーバー、アクチュエーター等に用いてきわめて有効であ
って、工業的に非常に実用性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例2で調製した電気レオロジー流
体のレオメーターによる評価結果を表わすグラフを示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 40:14

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体粒子を電気絶縁性媒体に分散してな
    る電気レオロジー流体において、固体粒子が、導体ある
    いは半導体酸化物粒子表面上に電気絶縁性酸化物層が形
    成されたものであることを特徴する電気レオロジー流体
    組成物。
  2. 【請求項2】 前記導体あるいは半導体酸化物粒子表面
    上に形成された前記電気絶縁性酸化物層が、化学液相法
    で形成されたものであることを特徴とする請求項1記載
    の電気レオロジー流体組成物。
  3. 【請求項3】 前記導体あるいは半導体酸化物粒子表面
    上に電気絶縁性酸化物層を形成する際の化学液相法が、
    金属アルコキシドを使用するものであることを特徴とす
    る請求項2記載の電気レオロジー流体組成物。
  4. 【請求項4】 前記導体あるいは半導体酸化物粒子表面
    上に形成された前記電気絶縁性酸化物層が比誘電率5以
    上の電気絶縁物からなることを特徴とする請求項1記載
    の電気レオロジー流体組成物。
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